あおみ労務事務所
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労務記録
「会社の粘着力を増すためには社員との共通の思い出をより多く持て」と、明日香出版社の社長・石野誠一氏が、かつての講演会の中で言っていたことを思い出します。
このページでは、労務管理の意義を、「人を生かす」という視点でとらえ、業務で体験した出来事や身近で話題になったことなど、労務管理の記録を発信していきます。
2014.02.16 (San)
失恋休暇

二週連続の積雪には驚いたが、今日また驚かされた。
何と、「失恋休暇」を設けている会社があるとか?

美容院を経営する「チカラコーポレーション」(神戸市中央区)。
この会社では、恋に破れた社員の心を癒やすための有給休暇があるという。

一見華やかに見える「美容院業界」。
しかし、その実態は・・・・

「10年以上美容師を続けることができるのは10%に満たない」世界。
「その過酷な労働環境を、根本から改善しよう」というのが、この制度作りの根本にあった。

「美容院業界は、商品が美容師という客商売。美容師が失恋してテンションが下がったままお客さんの前に出ても仕方がない」。

という考えで、同社は、平成23年10月、失恋したら年代などに応じて有給休暇を取れる制度「失恋休暇」を導入したのである。


システムは簡単。失恋して休暇を取りたい旨を店長に口頭で報告すれば翌日から取得できる。
申請用の特別な書類などはない。

休暇の日数は年齢によって変わる。
20代前半なら1日、20代後半なら2日、30歳以上は3日の取得が可能。

また、“心の痛み”度合いによって日数が加算される。
失恋休暇は離婚の場合も認めており、休暇に1日を足せる。連続も分割も自由。

失恋休暇の発案者は、西靖晃社長。
「女性が多い職場なので、恋愛に対しての理解を会社が示すために作った」と社長は語る。

美容業界で一番働きたい会社になることが目的。
「どのような仕組みがあれば美容師がやりがいを持てるか」を常に考えている。



「失恋休暇」に笑ってしまいます!



2014.02.01 (Sat)
「ありがとう」と「ごめんなさい」

妻の母が通うディサービスの広報誌「高浜かわら版」(第66号)をいただいた。
数々の行事の報告や職員、ボランティアの紹介、看護だよりなどが記されている。

その中で、理事長のコラム(
一人から始まる 今日一日から始まる)の連載があった。労務管理の視点から見ても面白いので、その全文を引かせていただいた。


医聖・ヒポクラテスは言葉が人を癒すと言いました。
あるイベントでの話です。

絵本作家の草場一壽さんが、ご自分の絵本の出版記念講演の後、会場から「どんな子育てをすればいいですか?」という質問を受けました。草場さんは即答しました。
 
「『ありがとう』と『ごめんなさい』が言える子どもに育ったら子どもも百点満点、育てた親も百点満点だと思います」
 
この話を聞いた瞬間、舞台の袖で絵本の朗読の準備をしていたアナウンサーの副田ひろみさんが号泣し始めたのです。
 
実はその数年前、副田さんは大学を卒業して就職したばかりの息子さんを交通事故で亡くしていたのです。翌年の一月二日、初夢に息子さんが出てきました。

副田さんが「何してたの?お母さん心配してたのよ」と言うと、息子さんはお母さんに「ありがとう」と、ただそれだけを言って、友達とどこかに行ってしまいました。

朝、娘さんが「お兄ちゃんの夢を見たよ。夢の中でメールをしたらすぐに返信が来て『ごめんな、ごめんな』って書いてあったよ」と言ったのです。
 
副田さんは思いました。「息子は早くに死んでしまってごめんなさいと、またそれまで育ててくれてありがとうの二つのメッセージを言おうとしたんだ」と。
 
その思いを大切にしていた副田さんだったので、草場さんから「ありがとう」と「ごめんなさい」が言える子どもに育ったら子どもも親も百点満点と言われ、一気に涙があふれ出し、朗読ができなくなってしまったのです。

しかし草場さんの言葉によって副田さんは心底救われたと言います。
言葉は本当に大事です。



2013.09.01 (San)
仕事の哲学

九月に入った。
物理的には夏(八月)の続きだが、それだけとは思えぬものがある。

依然、向日葵は咲き続け、晩夏のけだるい笑顔を見せているが、その横でゆっくり地上に小さい翅を満たしていくものたち。

小さい秋がいくつもの点を作り、やがては線や面になっていくのだろう。
散歩していると、萩の小花が目立つようになってきた。

「仕事の哲学」(安田正著 インプレスコミュニケーションズ発売)という本が売れているようだ。「一流役員が実践している」とコメントされている。

仕事は「段取り八分、仕事二分」が鉄則。
「仕事の哲学」は、まさに段取り八分の芯の部分を言い当てたものなのだろう。

以下、本の中身を抜粋。どう考えるか?



メールが来たとき

平社員は、5分考えた挙句、後回し。
部長は、空いた時間にまとめて返す。
役員は、3分以内に返信する。

接待をするとき
平社員は、食べログで話題のお店。
部長は。ミシュラン掲載のお店。
役員は、行きつけの5軒から選ぶ。

ごちそうしてもらった次の日
平社員は、90%メールすらしない。
部長は、80%の人がお礼を言わない。
役員は、100%朝7時にお礼メールする。

英語に関して
三流は、TOEIC700点を目指す。
二流は、ビジネス英会話に通う。
一流は、あえて勉強しない。

お風呂に入るとき
三流は、シャワーを浴びるだけ。
二流は、しっかりと湯船につかる。
一流は、朝風呂を浴びる。




2013.06.09 (San)
改正高年齢者雇用安定法

高年齢者雇用安定法の一部を改正された法律が、4月から施行された。
つまり、企業は原則として「希望者全員の雇用を65歳まで義務付けられた」ことになる。

「平成37年度までの経過措置」を残しているから、まだ完全とは言えないが、いずれ、すべての希望者が65歳まで雇用されるのは、時間の問題である。

金曜日の中日新聞夕刊・目耳緑(もくじろく)の中で、この改正法の取り組みに熱心な企業が取り上げられていた。

企業の経営姿勢として、感心したので、その全文を記載します。


65歳まで希望者全員の雇用を企業に義務付ける法律が4月に施行された。
愛知県春日井市の塗装業、川畑工業の取り組みは既に一歩、先に行く。

約50人の従業員のうち、60歳以上が2割を占める。
就業規則を改定して、希望者全員が70歳まで働けるようにすることを検討中だ。
西薫貴社長(48)は、「目標は先に、先に、とあるべきだ」。

従業員の体力や危険予知力などのデータを半年ごとに取って配置に生かしたり、年齢を重ねても仕事がしやすい設備を付けたりと、職場づくりに工夫を重ねる毎日だ。

高齢者を組織内でどう生かすかが、どの企業にとっても大きなテーマ。
西社長は、雇用は義務ではなく、大事な戦力の確保と考えてきた。

だから「20歳の若者が採用面接に応募してきても、キャリアを積んだウチの還暦の従業員を選ぶよ」。



2013.04.30 (Tue)
芝桜

コールデン・ウィークの前半戦が終了。
仕事とは関係ないところでちょっと調べ物をしていた時、二年前のメールが目に留まった。

二年前といえば、労務士会の支部長職を任期満了で退任した頃。
総会を終え、次の支部長に無事バトンを渡したのだった。

あれから二年、過ぎ去ればすべてが早い。よくあれだけの激務をこなせたとつくづく思う。
たった二年前なのに、気持ちが相当若かったのだろう。

さて、二年前のメール。
忘れもしない、Yさんからのものだ。


柴田先生
ご丁寧なメールありがとうございました。
長かったようで短い2年間でした。

最初のころは何もわからず、色々とご迷惑やご心配をおかけしました。
先生のおかげでなんとか2年を過ごすことができたと思っています。

支部長のお仕事は本当に大変なものですね。
人数が増えつつある支部の運営をしていくことの難しさを感じさせられました。

先生が支部長のときに、会計幹事を引き受けることができ本当に幸運でした。私は積極的に支部活動に参加していく方ではありませんが、今後もご指導いただければ幸いです。

2年間、本当にありがとうございました。

追伸:茶臼山の景色はきっと素敵でしょうね。


総会を無事に終え、安堵の中で関係スタッフに労いとお礼のメールを送った。
Yさんからのメールは、それに対する返信である。

「茶臼山の景色」とは、山肌を薄紅色で流したような“シバザクラ”のこと。
支部長を退いた暁には、茶臼山のシバザクラを見に行こうと決めていたが、未だ行けずじまい。

いつか行きたいと思っている。

 指眼鏡を覗くと見えてくる花野          比呂志




芝桜の丘パンフレット



2013.04.28 (San)
考え方を叱る

(株)ジェイックの河津理恵(かわずりえ)さんからメールを頂いた。
河津さんには、いつも気の利いた情報発信源になって貰っていて、その熱心さには頭が下がる。

今回のメールの内容は、新入社員の「“考え方”を叱る」というもの。
ちなみに、(株)ジェイックは、“採用”と“教育”のコンサルタント会社。

以下、河津さんの全文。長いですが、読んでみて下さい。


弊社の新人たちは朝顔を合わせると、大きな声で挨拶をします。
「おはようございます!」

毎年この時期は、新人たち大きな声で挨拶するのですが、何年経っても、声の大きさにはびっくりしてしまいます。新人たちの気持ちの良い挨拶のおかげで、朝から気分良くスタートできます。

先週訪問した企業様で、こう聞かれました。

「ジェイックさんは今年も新卒たくさん採用しているよね。うちは今回初めて若手を採用したんだけど、“若手育成のコツ”ってある?初めてだから、いまいちわからないんだよね。」

確かに、初めて採用を行う企業様からすると、イマドキの若者とどう接すればいいか?
悩むところかもしれません。

そこで今回は、指導方法のひとつである“叱る”に焦点を当てて、『若手育成のコツ』についてお話しします。

若手を採用するとまず目につくのが、ダメな点の数々。例えば、

・挨拶がなっていない 
・気遣いがない 
・言葉遣いが悪い 

などがそうです。

いわゆる先輩社員からすると、デキて当たり前のこと。
これがデキていない様子を見かけると、イライラします。

私もそうです。実は今しがた、新入社員から、「○○様から△△という問い合わせがありました」と言伝があって若干イラっとしてしまいました(笑)

いや、“折り返しする”のか、“解決した”のか、私がするアクションを教えてくれ!と。
「こんな問い合わせがありました」と言われても、どうすればいいかわからないでしょと。

ここで思ったままをぶつけて、「何でできていないんだ!」
と叱るのもひとつですが、私は叱りませんでした。

理由はふたつ。
ひとつめは「知らない」可能性が高いからです。

若手の場合は特に、私からすると“当たり前”でも、「知らない」ことがたくさんあります。
社会に出たばかりだと当然ですよね。

私だって入社当時はひよっこでしたし。
ですから、「知らないのだからしょうがない」と考えるようにしています。

もうひとつは、方法論を叱ったとしても、“考え方”そのものを変えないと、同様の失敗を繰り返すからです。

例えば、私がイラっとした言伝の件も、「相手の立場に立って考えることができないこと」が根本的な原因です。

言伝を伝えた先輩がその後どうするのか?
考えないからこういう行動になるわけです。

この根本原因を解決しないと、言伝の方法を指導したとしても、他の行動において同様の失敗を繰り返します。

・営業のとき、プレゼンテーションがひとりよがり
・上司への報告が自己都合
・周囲の人から支援されない

他にも、「相手のことを考えて行動しない」とたくさんの問題行動が発生します。
そこで私は、以下のようにコミュニケーションしました。

私「M君。言伝ありがとう。ひとつ聞いてもいい?
言伝を受け取った人は、受け取った後、どうすると思う?」

M君「どうすると言いますと?」
私「うんうん、なるほどね。で終わりかな?」

M君「必要があれば折り返しするのではないでしょうか。」
私「そうだよね。でもさ、M君がどう電話を切ったのか、

“私から折り返しします”と言ったのか、“M君が確認して折り返しします”と言ったのか、
今のM君の言伝でわかるかな?」

M君「わからないと思います。」
私「だったら相手の立場に立って考えてみると、M君はどうするべきだった?」

M君「言伝とどう電話を切ったか、伝えるべきでした。」
私「オッケー。じゃあ何て言って電話を切った?」

M君「河津さんから折り返ししますと伝えました。」
私「了解。じゃあ折り返ししとくね。ありがとう。

今度からは、相手が行動しやすいように“考え”て、言伝を残すようにしようね。」
M君「わかりました」

効果が上がるかどうかは、M君の行動次第ですが、少なくとも「相手の立場に立って考える」重要性をM君は感じたはずです。

このように“考え方”を指導していくと、方法そのものの改善だけでなく、他の行動も改善していく可能性があります。

御社内で若手指導に苦労していらっしゃるのであれば、試しになってはいかがでしょうか?



2013.03.31 (San)
50年と1、2分

昨秋に長野県飯田市で行われた川柳大会でお会いしたのをきっかけに、長野県の川柳作家・樹萄らきさんのブログをたまに覗かせてもらっている。

   
らき太な日常    http://blog.goo.ne.jp/rakipyon330

気が向いたときだけの更新なので、空振りとなることが多いが、川柳同様に切っ先鋭く、その視点にはいつも脱帽。

例えば、こんな具合。以下、らきさんのプログからの抜粋・・・


近頃、会社でお酒のポップを書いている。

純米大吟醸はどんなイメージかと考えているとき、ふと、歌舞伎の隈取りが浮かんだ。

ネットで画像を見てみると、なんだかカッコよく見えた。
いいかも。

思うのは自由である。
だが、真似て描いてみようとしたら、難しいったって、難しいたって。

左右対称の曲線がやたらと難しい。
二枚くらい描いて、当り前か、と思った。

隈取りなんて今まで一度も描いてみたことがないのだ。おいそれと描けるわけはないのだ。
見るだけだと、あまり難しそうには見えなかっただけだと実感。

何枚描いても、いや、描くたびにヘンになっていく隈取りをみながら、
とある一言を思い出した。

以前テレビで焼き物絵師を見たときだ。
白いお皿にさらさらと絵筆が泳ぐ。

「ほんの1、2分で描いてしまうんですね」
と、キャスターが感心したときだ。

「絵を描いて50年になりますから、50年と1、2分ですよ」
と絵師は謙虚につぶやいた。

この言葉がよみがえったのだ。
だよね。

何百年も続いている隈取り
見るのと描いてみるのとでは大違いなのはあたりまえだよね。

「あたりまえだろっ!」
と、江戸時代の歌舞伎役者にどたまを叩かれた気分に一瞬なった。



2012.09.23 (San)
「詩人」から社会保険労務士へ

異業種交流団体の広報誌に載せるということで、インタビューを受けた。
字数の関係で、大幅に編集したものが出来てきたので、紹介します。


 「詩人」から社会保険労務士へ   あおみ労務事務所 柴田比呂志さんへのインタビュー 

                         聞き手 広報委員小笠原和英     

小笠原:昔、詩人をやっていたとか?

柴 田:二十代半ばの二年間、東京で詩を書いていました。勤め先の「敷島製パン」を辞め、明治神宮外苑絵画館文化教室の無限アカデミー「現代詩講座」を受講しました。

荒川洋治さん、犬塚堯さん、中上哲夫さんたちの指導を受け、詩を書いていました。
主宰が病死し、「現代詩講座」もたち切れになったのを契機に帰郷しました。

気負いだけが先行し、実の伴わない頃でしたが、美しい思い出になっています。  

小笠原:「詩人」から「社会保険労務士」への転身のきっかけは?

柴 田:求職のためハローワーク(碧南)に行ったのがきっかけです。
詩人では生活できませんから、生活の糧を求めて。

そこで、「西三河労務管理センター」に出合い就職。
二年で社会保険労務士の資格を取りました。

小笠原:詩人の頃の活動が、今の仕事に役立っていることは?

柴 田:ないかもしれませんね。
しかし、あの頃の志が今の仕事の土壌になっているような気がします。

詩人を目指して東京に行ったのと、行かなかったのとでは、その後の人生の輝きが大きく違っていたのかもしれない、と思うことがあります。

文章力などは、詩人の頃に鍛えられたと思います。

小笠原:今は詩を書かないのですか?

柴 田:代わりに川柳をやっています。
「岡崎川柳研究社」と「高浜川柳会」を活動の場としています。

川柳は五・七・五の「定型詩」ですから、やっぱり詩を書いていることになります。
他県で開催される大会にも時々出席しています。




秋の雲



2012.05.26 (Sat)
大工の労働者性

ミササガパーク(刈谷市高須町)のバラが見頃である。
バラ園に足を運ぶと、ぷーんといい香りがする。

平日の入りはまばらだが、土・日は一杯の人出。
大・中・小の花の大きさに加え、色彩の豊かさが、心を癒してくれる。


労災保険上の「労働者」性について考えている。
社労士となれば、誰もが一度は通る道である。

社労士になって2、3年目の頃に、「労働者」性について考える機会があった。
それには触れぬが、こんな設問にはどんな回答をすべきか?


【問題】

私の仕事は大工であり、私自身人を雇わず、工務店から仕事を貰って生活をしています。先日、建築現場で作業中に足場から落ち、負傷したのですが、そのような場合、労災保険の療養補償給付及び休業補償給付を受けられるでしょうか?


この事例は、藤沢労基署長(大工負傷)事件といって、藤沢労基署で「労働者」性を否定され、不支給処分となったため、処分の取り消しを求めて大工が訴訟した事件である。

結論から言うと、訴訟においても「労働者」性が否定され、大工は、「使用者の指揮監督下に労務を提供し、使用者から労務に対する報酬を支払われる者」に該当しないとされた。

そのポイントは次のとおりである。

@指揮監督下の労働か否か?

具体的な作業内容、方法、作業時間等について、工事の性質上必要なものを除いて特段支持されることなく、自己の裁量で行うことができたので、工務店の指揮命令下にはなかった。

A報酬の労務対償性は?

大工と工務店との間では請負方式の支払いが中心であった。請負方式とは、仕事の完成までに要した労働時間と報酬額とが全く無関係で、大工の腕の差が報酬に反映される方式。よって、大工が請求書を出し、報酬を請求していたことから、大工の報酬は、労務に対する対価ではなく、仕事の完成に対する報酬であるとした。

B事業者性の有無は?

大工は、自らの大工道具でほとんどの仕事を賄うことができ、工務店の機材を使うことは少なかったこと、工務店から得ていた報酬額は工務店の従業員よりも高いこと、その他大工が工務店の名刺を使用していなかったことから、事業者性を否定できないとした。

C専属制の程度は?

大工は、当時その工務店の仕事しかしていなかったが、それは、工務店が大工を引き留めておくために身入りの良い仕事を回したり、仕事が途切れないように配慮していたためで、むしろ、大工には他の工務店を選択する相当大きな自由があったと見做される。

これらポイントを総合して、労働者ではないと結論付けられた。就労実態によって判断するには、深い所まで切り込んでいかねばならない。

その意味で、社労士は事業全体を把握しておく必要があると言えるだろう。



2012.02.19 (San)
整理解雇の四要件

「この冬一番の冷え込み」とニュースで言っていたように、寒い日だった。
寒い日は、“炬燵でヌクヌク”がいいが、貧乏性の身には、それができない。

今日も寒風を求めて、稗田川沿いを散策。この寒い中、何人もの人に遭遇した。
幾分早い春の匂いを嗅ぎに、皆、散策に出ているのだろう。

 髪靡く春の匂いがする方へ        比呂志


2、3日前の中日新聞のコラム・中日春秋が面白かった。
「雇用」に関するこの短文の一部を紹介する。

「1998年8月、米国の格付け会社が、トヨタ自動車の社債を、最上位から一つ格下げしたことがあった。理由は、同社が表明していた「終身雇用制の維持」。

ロナルド・ドーア氏の新聞コラムでの表現を借りれば、要は、「人員整理の決意が足りない」と格付け会社がみなしたということ。

時は降って2012年。つい一昨日のことだが、日本の格付け会社がトヨタの格付けを、やはり最高位から一つ下げた。今度の理由は「円高への対策が不十分」。

つまり国内生産の比率が高いのがいけない、というのである。トヨタは、他の自動車メーカーに比べて海外生産比率が低い。雇用を守るため「国内生産三百万台の維持」を掲げている。」のが悪いかのように」

筆者は言う。「従業員を守ろうとする姿勢が、会社の欠点とみなされ、雇用を何とも思わない会社だと株価や企業価値が上がるなんて・・・」。


先週、顧問先の企業から相談があった。
「一部の社員の人員整理を行いたいが、どうしたらいいか?」と。

生産量減少がしばらく続く中で、合法的に人員を整理する手立てを探そうというのである。それに対する答えは、人員整理の四要件に尽きる。つまり

@整理解雇の必要性があること
A解雇を回避するために措置を取っていたこと
B対象者の人選の基準が合理的であり、運用も合理的であること
C労働者に対する説明、協議を十分に行ったこと

ができて初めて、人員整理が可能となる。
さらに言えば、

@については、「高度の経営危機下にあって、その合理的運用上人員整理の必要がある」場合や「長期的な経営不振のため、合理化を行わなければ企業が倒産に至るなど回復しがたい打撃を被ることが必定であること」などの極限状態にあることが必要。

Aでは、「役員報酬の不支給、減額」「配置転換、出向、転勤などの人事異動の実施」「一時帰休」「賃金の引き下げ」「希望退職者の募集」を行う必要がある。

要は、簡単にはいかないのである。
雇用を守るための最大限の努力をしたかどうか?

人員整理には、それが必ず問われる。格付けが下がっても、雇用を守る姿勢を示すトヨタ同様に、法律は、「一企業ではなく、日本にとって良いこと」を求めているのだろうか?



2012.02.04 (Sat)
戦没者の遺族に対する特別弔慰金請求

入浴中に高齢者が急死する事故が相次いでいるそうだ。こうした事故は、一般に「ヒートショック」と呼ばれていて、つまりこんな具合だ。

脱衣による寒さで血管が収縮すると血圧は上昇するが、熱い湯に入ると血管が広がり血圧は下がる。血圧や脈拍数の急変動が引き金になって、浴槽でおぼれたり、脳卒中、心筋梗塞が起きたりするというのだ。

ヒートショックの対策は、移動先との温度変化を抑えることに尽きる。そのため、入浴時には、脱衣所にストーブなどを置いて、室内全体を暖めておくことが大切。

人それぞれが、その環境に応じた工夫を凝らしていく以外に方法はない。
自分のことは自分で守っていかねばならぬ、ということだろう。


先週、風変わりな依頼があった。
それは、「戦没者の遺族に対する特別弔慰金請求」。

元々、戦没者の妻が「特別弔慰金」を
受けていたが、その妻が亡くなったために、その他の遺族が受けることになり、娘と息子が新たな対象となったのだ。

この請求がかなり厄介。「息子」なる人が、自分で請求しようとしたが歯が立たず、もう一人の「娘」へ、「あなたに権利をあげる」と言って投げ出した。

「娘」が請求しようとするも、あまりに面倒なため、棒が折れてしまった。
それで私に依頼があったというわけだ。「息子」は、私の顧問先の会長。

細かな経緯は省略するが、「息子」の所へ合計3回、「娘」の所へ1回、高浜市役所へ合計4回、刈谷市役所へ合計2回行き、月曜日、何とか片付いた。

受給権を証明する添付書類が半端ではない。戦没者の父母の死亡証明まで必要だったから、その厄介さは、年金請求の比ではない。

ともあれ、片付いてやれやれ。
社労士という仕事、いろいろなことを学ばせてくれる。

ありがたい?ことである。



2011.12.25 (San)
会社の品位

火曜日、S社を訪問。N社長と「時間外・休日労働に関する協定届」の件で話した後、「うつ病」の社員の話題に。

この社員の「うつ病」は、傷病手当金請求書の医師の証明から判断すると十年来に及ぶようだ。6月後半から欠勤し、8月初旬に1週間入院。

入院による休養、薬物の変更等で徐々に回復。盆明けから仕事に復帰した。
ところが、晩秋の頃からまた、うつ病が再発し、再欠勤といった具合だ。

彼女には元々、
「うつ病」を持病とするうつ体質があったと見られ、空気を読むとか、周りに同調するとかができないようだ。

当然、一緒に仕事をやる仲間とうまくいかず、それがストレスを作り上げていく。
少しの配慮があればうまくいくのに、それが出来ないのは悲しいことなのだ。

N社長が偉いのは、彼女の「うつ」を容認し、彼女と一緒に仕事をする人に配慮を求めたことだ。「いらいらすることもあるだろうが、解かってあげて!」

会社の品位とは、おそらくこうしたことだろう。
「うつ病」が治らないから解雇!では、あまりに品位に欠ける。

うつはうつとして容認し、周りがどれだけうつ病の人に配慮できるか、その環境を作っていくことが、社長の役割ではないか?

そんなことを思ったS社の訪問だった。



2011.11.26 (Sat)
ストレスの器

「てきせい新聞」がファックスで届いた。
〜御社の採用の失敗を防ぐための情報誌〜とある。

巷では年々、「採用」に関わるコンサルが増えているようで、それは、企業において採用の失敗が五万とある証しだろう。

人材が企業の浮沈を左右するのは、いつの時代も同じで、“ヒト”という経営資源が優れているいればいるほど、企業は発展しやすい環境といえるのだろう。

では、何をもって優れているとするのか?

意欲、頭の良さ、素直さ、経験などはもちろんだが、現代(過去でも同じかもしれないが)では、「ストレスに対する器の大きさ」も採用視点に必要なのだそうだ。

実際、ストレスに耐えられない人の推移は、ここ四半世紀で2倍以上に膨れ上がっている。うつ病の患者数も15年ほどで2.5倍に増えている(厚労省発表)。

ということは、採用の応募者にも、ストレスに弱い人が明らかに多くなっているということだ。

ストレスの器は、中学生くらいまでに決まり、大人になっても変わらないと言われているので、採用の際には、ストレス耐性がわかる適性診断を行うこともうなずける。


「てきせい新聞」発行元の(株)ジェイックの適性診断にご興味ある方は、次へ

    
http://www.jaic-g.com/ap/tekisei.html



2011.11.06 (San)
産休育休への対応 その弐

先週の回答です。

顧問先からの相談のの趣旨は、産休、育休のため休業を余儀なくされる社員に対して、解雇できるかどうか、ということ。

当然のことながら、それはできない。

男女雇用機会均等法には、次のような“きめごと”がある。

「労働者の定年及び解雇について、労働者が女性であることを理由として男性と差別的取扱いをしてはならない」

事例を見てみよう。


【事例】

第二営業部の竹中部長と佐々木さんが立ち話をしています。佐々木さんは、現在妊娠中です。
遵法商事では、女性が出産するときは退職することが慣行になっています。

鈴木部長「佐々木さん。出産の予定日まで、あと3カ月だったっね。」
佐々木・「はい。申し訳ありませんが、予定日の前後は休暇をいただきたいと思います。」

鈴木部長「産前産後休暇か。ところで、退職はいつにする?」
佐々木・「はあ?出産しても会社は辞めませんけど。」

鈴木部長「仕事より育児の方が大切だよ。仕事は辞めた方がいいな。」
佐々木・「でも、主人も育児には協力してくれると思いますので。」

鈴木部長「当社では、子どもが生まれたら退職するのが慣行になっているんだよ。」
佐々木・「私は、仕事をずっと続けたいんです。産前産後休暇だけ休ませていただければ、後は出勤します。」

鈴木部長「わがままは困るな。退職の手続きを進めておくからね。」
佐々木・「それって、解雇ということですか?」

【問題点】

出産を理由とした解雇は法律違反となる。

【解説】

女性の結婚、妊娠や出産を理由にした解雇は均等法によって禁じられている。
育児は女性だけの役割ではないし、出産後に仕事を続けるのか休業や退職をするのかという選択は会社が一方的に決める問題ではない。

均等法では、労働者が女性であることを理由として、解雇について男性と異なる取り扱いをすることを禁じている。就業規則等で、女性の結婚や出産を理由にした退職制度を定めることも違法。

また、産前産後休暇の期間とその後30日間に関しては、労基法でも解雇を禁止している。


均等法は定年についても男女の格差を禁止している。

現在は法律に基づいて、就業規則上は男女の差別がなくなってきている。

しかし
、この事例のように慣行として残っている場合や、厳しい経済情勢の下、既婚女性や妊娠・出産した女性のみを対象とした解雇等に関して都道府県労働局雇用均等室に相談や個別紛争の解決援助の申し立てが増加しているという実態面での問題がある。

【法令等】

雇用機会均等法第8条 事業主は、労働者の定年及び解雇について、労働者が女性であることを理由として、男性と差別的取扱いをしてはならない。

A 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。

B 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、出産し、又は労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条第1項若しくは第2項の規定
(編注:産前産後)による休業をしたことを理由として、解雇してはならない。


さて、育児休業に対してはどうか?

育児・介護休業法には、次のような“きめごと”がある。

「事業主は、1歳6ヶ月未満の子を養育する労働者から育児休業の申し出があった場合には休業させなければならない」

事例を見てみよう。

【事例】

経理部の小泉部長のところへ、伊藤さんがやってきました。
伊藤さんは、最近お子さんが生まれたばかりです。

伊藤・・「小泉部長。実は、育児休業をとりたいんです。」
小泉部長「育児休業?子育ては奥さんに頼めばいいだろう。」

伊藤・・「それが、妻も働いていますし、子育ては女性だけの役割ではないと思いまして。」
小泉部長「確かに女性だけの役割ではないが、奥さんが休業してはどうなの。」

伊藤・・「妻も管理職なものですから、休業が難しいんです。」
小泉部長「伊藤君や奥さんのご両親には育児を手伝ってもらえないかい?」

伊藤・・「どちらの両親も、地方に住んでいますから難しいと思います。」
小泉部長「そうか、困ったな。男性の育児休業なんて前例がないしな。」

伊藤・・「何とかお願いします。」

【問題点】

労働者(女性と限りません)から育児休業の申請があった場合、事業主は拒否することができない。

【解説】

育児休業とは、1歳未満の子を養育するためにする休業のことを指すが、一定の要件に基づき最長6ヶ月の延長がみとめられる。また、有期雇用者についても一定の条件を満たせば育児休業が取得できる。

【法令等】

育児・介護休業法第5条 @但し書き期間を定めて雇用される者にあっては、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。

1 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者
2 その養育する子が一歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(当該子の一歳到達日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く)

A(略)

B 労働者は、その養育する一歳から一歳六ヶ月に達するまでの子について、次の各号のいずれにも該当する場合に限り、その事業主に申し出ることにより、育児休業することができる。

ただし、期間を定めて雇用される者であってその配偶者が当該子の一歳到達日にといて育児休業をしているものにあっては、第一項各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。

1 当該申出に係る子について、当該労働者又はその配偶者が、当該子の一歳到達日において育児休業をしている場合

2 当該子の一歳到達日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合。




2011.10.30 (San)
産休育休への対応

金曜日、顧問先からファックスが届いた。
少々理解しにくい部分もあるが、全文を紹介する。


産休制度の運用について教えて下さい。

この数ヶ月の間、女子事務員の結婚が2件ありました。
他にも年頃?の女性も多いので、今のうちに対応を検討したいと考えています。

法律上、社員から申し出があれば産休(産前6週間、産後8週間)をとることができることは承知しています。一方で、会社では限られた人数で業務を回しています。

産休のため、代わりに新入社員を入れると、その後に復職した場合は、今までよりプラス1となるためにできず、結局は、皆で分担して対応せざるを得ないと思っています。

会社命令で、残った社員に分担を指示できますが、受け取った社員からの反発が怖いです。
産休後に社員から復職したいと言われた場合、断りたいのが本音でする。

どうやって進めていけばよいのか、他社事例も含めてご教授いただけないでしょうか?


さて、この問題(産休、育休への対応)、どう考えたらいいのか?
法的な対応と、会社の社会的責任という点からの対応と、分けて考える必要がある。

回答は、次回!



長嶺啓介 : 白い家(イギリス)



2011.10.10 (Mon)
ボーナスはやる気の素

彼岸を過ぎてからずいぶん涼しくなってきた。
日中はともかく、朝夕は寒いと思う日も多く、長袖が欠かせなくなった。

会社の方は、秋に入って社員の入退職が目立つようになった。リーマン・ショック以後、人員整理等による非自発的な退社はあったが、自己都合退社は少なかった。

しかし、震災・津波のショックが癒え、経済が好転するようになってから、自発的な退職者が増えた。売り手市場に転換しそうな兆しが見える。

どんな会社に退職者が多いかというと、「ボーナスの少ない会社」あるいは、「ボーナスが出なかった会社」だ。ボーナスはやる気の素である。やる気の素を失うと、人は易々と退職の道を選ぶ。

先週の日経新聞・夕刊に、作家の幸田真音さんが文章を寄せていた。
題して「ボーナスは やる気のもと」。短いので、全文を紹介する。


仕事がら、昼食時のレストランや、夜更けの繁華街では、ついつい周辺の人々の様子に目が移り、知らぬ間に人間観察をしていることがある。

先日も、聞くともなしに聞いていると、若い男女の会話が耳に飛び込んできて、切なくなってしまった。

「なんだかねえ、もうあんまり頑張って仕事をする意欲も意味もなくなってきたわ。
今年はボーナスも出ないしね」

今年も残り3か月弱、年末のボーナスが気になる時期である。おまけに彼女は最近、仕事の担当を替えられたようで、やる気も励みも失った顔だ。

ずっと黙って聞いていた彼は、おもむろに言った。

「だからさ、もう君はそこまで頑張ることはないんだよ。ボーナスが出ないんだったらバイトと同じじゃないか」

とりなしたり、励ましたりするのだろうと思っていたのに、むしろ彼女をけしかけている。
嫌なら仕事を辞めちゃえ、とでも言い出しかねない様子だ。

「それよりこっちは大変さ。能天気な新入りと上司の板挟み状態で、おまけにボーナスカットじゃ、やってられないよ」

こういうご時世だからと、昇給やボーナス支給を「自粛」している企業や組織は少なくない。
さらには業績悪化のため何百人、何千人の人員削減を発表しているところもある。

事情はわかるが、こうした雇用環境の悪化が消費を冷やし、景気低迷のスパイラルに陥らせる。働くことのインセンティブには、仕事自体の楽しさや、達成感もあるだろう。

お金がすべてなどと言うつもりは毛頭ないが、頑張った褒美としてボーナスの存在は大きい。
サラリーマンの元気な糧だとしみじみ思う。

大切なのは、勇気を出して、世の中に停滞している資金を動かすこと。
若い世代が明日に希望を持てなくなったら、この国に未来はない。



2011.09.25 (San)
人材登用の基準

(有)パル・ネットワークの味岡社長が、“定期便”の「ドキドキ通信」を送ってくださった。
「お客様とパル・ネットワークの味岡をつなぐ通信」ということで、いわば社外報だ。

今月のメニューは

・「さあ、みんなで花火をしよう」in宮古
・能力と意欲(欲)
・今月の旅行
・告知 月一勉強会

と盛りだくさん。この人かなりの行動派だ。

さて、この中で面白かったのが、「能力と意欲(欲)」。
人を登用する際の基準が書かれている。

人材採用の参考になると思うので紹介させていただくと・・・・

「韓非子」の人材登用の順位

1番目 能力は高くても欲のない人
2番目 能力もないし欲もない人
3番目 能力も欲もある人
4番目 能力がないのに欲ばかりが強い人

「釣りバカ日誌」の人材登用の順位

1番目 能力はあるが意欲に欠ける者
2番目 能力も意欲もない者
3番目 能力も意欲もある者
4番目 能力はないが意欲がある者


欲と意欲では、そのニュアンスが違うが、要は、評価すべきは「成果」であって、「努力していること」ではないと言いたいのだろうか?

少し考えてみたい。



2011.08.21 (San)
イマドキ社員との付き合い方?

水曜日、愛知県労働協会から「労働法講座」の案内が届いた。
その中で、かつての労務管理では考えられないテーマがあった。

 「イマドキ社員との付き合い方」
   〜指示待ち、リスク回避、責任転嫁・・・若年労働者の労務管理〜


今の若い者は・・・とか、新人類とか、我々の世代でも散々言われ続けたが、どの時代にも「今風」がある。その時代の風の流れや匂いを敏感に察知すること。

とりわけ「人」という面では、大切なことだろう。
「ゆとり世代」と呼ばれる若年労働者が幅を利かせている時代。

その足音がだんだん高まっている。
新しいタイプの職場トラブルを、どう労務管理の俎上に乗せるのか?

この講座では、「イマドキ社員」が引き起こす次のような労務トラブルについて、関連する裁判例などを参照しながら、対応策と考え方を模索する。

ちょっと注意すると、「自分は悪くない」「教え方が悪い」と言い張る。

上司が指示しなかったら、一日中ネットサーフィンをしている。

「教えてもらってない事はできませんよ!」と人のせいにする。

やや難しい仕事を頼んだところ、「ミスしたらどうしてくれるんですか!」と食ってかかる。

上司と対立状態になり、その上司に対し、会議などの面前で「あなたは課長失格です!」などと
  批判する発言をする。

普通の指導に当たることでも、「それはパワハラです!」と言って譲らない。

「最高評価で自己申請するのは当たり前です」と事実と乖離した自己申告をする。

先輩の指導でも、「私には私のやり方がありますから」と主張し、助言や忠告を聞かずに勝手に
  仕事を進め、そして失敗する。


関心のある方は、下のホームページを覗いてください。
上の難題に対する“答え”を準備してから受講すると何か見つかるはずです!



  
愛知県労働協会労働教育グループ  http://www.ailabor.or.jp/rodo/
                


2011.08.07 (San)
史上最強の内閣

月曜日、顧問先であるS社のN社長からメールをいただいた。
Nさんは、

@経営理念を「目で見てわかる」ように、理念ブックとして冊子化したり、
A社員面接にコーチングを取り入れたり、
B家族を交えての納涼会を開催するなど、

社員とのふれあいを大切にした経営をされている。
メールに、「ブログやってます」と書かれていたので、早速開いてみると、なかなか味わい深い。

近作の「史上最強の内閣」が面白かったので、Nさんには断りなく紹介します。





● 憲法九条の問題に関して

国会では「ミサイルが発射されたら、自衛隊が撃墜に向けて行動を起こします」という防衛大臣・山本軍治に、社倫党代表の宮城美津穂が噛みついた。
「もしそれがただの人工衛星であったとしたら、どうしますか?」と言うのだ。

山本防衛大臣にすれば「われわれには国民の生命財産を守るのが仕事じゃけ、攻撃には反撃します」とごく当たり前のことを答えているつもりなのに、こんな事を聞かれて「あんた大丈夫か」と、かえって宮城美津穂の精神状態を心配した。

宮城美津穂はブチ切れて、「もし本当に人工衛星であった場合には憲法違反です」と言った。
そんな宮城美津穂に、二条首相が反撃に出た。京都からやってきたお公家首相である。
「宮城はんは、なんでそないに憲法9条を守るとしか言わないんどすか?」

「何をおっしゃるんですか! 憲法を守るというのは当たり前でしょう。総理は憲法を守る必要はないとおっしゃるんですか」と宮城美津穂は鬼の首をとったように騒ぎ立てた。

ですから、9条を守るだけじゃダメやないですか? 9条を広めないと、攻めに出ないと。
「?」といぶかる宮城美津穂に、二条首相は続けた。

日本だけが戦争放棄してもあきまへん。周りの国にもしてもらわんと平和になりまへんわ。
社倫党はんはあちらの労働党はんとも仲ええんでしょう? 

ならあちらにも9条持つように勧めてくれたらええんですわ。ついでに中国、一番戦争する可能性のあるアメリカ合衆国にも持ってもろたらすぐに世界は平和になります。

どうも以前から拝見してると、宮城はんは外国に「日本の憲法9条が危ない」ていうようなことおっしゃって、不安を煽るばかりでんな。それじゃいつまで経っても平和は来まへんで。

本当に平和を求めておられるのかわからへん。まずは小さな国からでええですわ。
「我が国の憲法9条はええですよ。これを持って軍事費に回していた予算をインフラ整備や福祉に使ったらよろしい。

それで武力を背景に無理難題言うてくる国があったら国際世論が黙ってまへん」ていうように徐々に広めていけばいいと思うのやけどなあ。違いますか?

宮城はんのやってはることは正反対ですわ。そりゃ周辺国に、「日本の戦争放棄は怪しいでっせ」とキャンペーン張ったら、緊張が増して軍事費を増やす口実与えるだけですわ。宮城はんはほんまに戦争反対なんですか?

中国や北朝鮮の核にも軍備拡張にも文句を言わず、ひたすら国内で「憲法9条を守れ」という一部の人たちに対する史上最強の批判であろう。

今、まさにこんな内閣が必要では。



2011.07.17 (San)
新型うつ病

「新型うつ病」が、若年層に増えているようだ。
このうつ病、「仕事のときだけうつ状態になり、会社の外では元気」なのが特徴。
 
また、原因を会社や上司のせいにする傾向がある。
「会社が悪い」「上司が悪い」などの言葉が口癖のようになる。

日常生活や仕事、友達関係などがうまくいかなくて”自分を責める”という従来型とは、大違いだ。
予防としては、毎日のストレスを翌日に持ち込まない「1日ストレス決算主義」がいいらしい。

「今の若者、ここまできたか」という感じだが、感情を「内」に向けるのではなく、「外」に向ける点は、従来型が持つ「暗さ」がなくていいのかも知れない。

しかし、「新型うつ病」が労災・・・・なんてことになったら、目も当てられない!

以下は、「新型うつ病」の労務管理上の対策です。

(1) 安全配慮義務の観点からも、主治医の指示を尊重する
(2) 本人をよく理解しようと努める
(3) 時には背中を押してあげたり、育てる関わりも必要
(4) 本人が1人で仕事を抱え込みすぎないよう目を配る
(5) 本人への伝え方を工夫する
(6) 人事労務管理の枠組みで対応する

【 対応時の留意点 】

(1)遅刻や欠勤が繰り返されるようであれば、社内規定に則して休職を命じる(そのための根拠を
   あらかじめ就業規則にきちんと定めておく)。

(2)同一の疾病により休職と復職を繰り返す場合は、前後の休職期間を通算するなど、会社側の
   限界を明確にする(そのための根拠として、就業規則にきちんと定めておく必要があるのは、
   上記の通り)。

(3)人事異動や担当職務の変更については、本人の希望だけを鵜呑みにせず、主治医の意見や
   現場の状況などを総合的に判断して決定する。




2011.06.25 (Sat)
精神疾患の労災認定

雑誌のコラムに、「精神疾患の労災認定者が過去最高を更新」とあった。

仕事のストレスやうつ病など精神疾患を発症したとして、2010年度に労災申請をした人は、前年度より45人増えて1181人、労災認定された人も74人増の308人で過去最多。

増加した背景には、厚生労働省がハラスメントを認定基準の対象としたことが上げられるが、「精神疾患」が異常に叫ばれる中、この数字の低さはなんだろうか?

「精神疾患」と「労災」とが、まだしっくり結びついていないのが現状なのだろう。
「精神疾患」が労災となる判断基準の一つは、残業時間である。

今回労災認定された人の1カ月の平均残業時間は「80〜100時間未満」が92人で最も多い。
次いで「100〜120時間未満」の84人。「120時間以上」も64人に上っている。
 
それゆえ、労働時間の管理や業務の配分、長時間労働の抑制などが、企業にとって至上命題になる。

さて、「精神疾患の労災」を扱った事例を紹介する。

刈谷市内の産廃業S社が、E社からガソリンタンクの清掃時の廃液・スラッジ回収を依頼。
S社の社員・MがE社へ出かけ、ダンパー車上部で回収液量を監視中、突如、清掃中のタンク及び周辺で火災が発生(新聞紙上に掲載)。

火災鎮静後、警察署、消防署、労基署、E社外国調査チーム等、各機関の事情聴取に応じた(8/30〜9/9)Mは、事故の情景が頭に焼きつき、眠れない日が続いた。

不眠となり、病院で治療を受けたところ、「心的外傷後ストレス障害」と診断された。

平成15年発生の業務災害ゆえ、記憶の底に埋もれていたものを取り上げたが、Mはその後、5年間に渡り休業を余儀なくされた。

精神疾患とは、恐ろしいものである!



2011.05.29 (San)
悠久の時の中で

雨が続いている。東海地方は、昨日梅雨入りしたようだ。
しばらくは、気の滅入る日もあるが、我慢のしどころだ。

季節にも、“弾ける時”と“耐える時”とがあっていい。
耐える時があるから、人間は弾けることができるのだ。

明後日は、愛知県社会保険労務士会の通常総会。
理事としては、最後の仕事になる。

支部の方は、先月、現支部長へバトンを渡したので、気楽なものだ。
新しい幹事たちで、新年度の幹事会もすでに始まっている。

幹事会の布陣を見ると、若い世代が台頭し、とても新鮮だ。
支部監事として役員に残るが、口出しはしまいと決めている。

若い世代が、自分の信じるやり方でやればいい。
少しくらいの脱線なら、許容すべきだろう。


伊集院静の随筆集「水のうつわ」(幻冬舎文庫)を、久しぶりに眺めている。
読むというより、眺めるといった方が正解で、新聞のチラシを眺めるように、ちらっと“見る”。

少し気になるところがあって、本を手にした。
気になるところとは、伊集院と馴染みの鮨屋の主人とのこんな会話である。

「旅はどないでした?」

「まあぼちぼちだったね。そっちに何か変わったことは?」

「昨日、芝居を観に行きました。そこで面白いせりふがありました」

「どういうせりふ?」

「『人生はただ時間だけが流れて行くだけのことなのだ』って年老いた主人公が最後に言うんですわ。戦争があり平和があり憎しみがあり悦びがあり・・・・、その時は大きな波が真正面から来たり、嵐の真っただ中にいるような気がしたが、年老いてよく考えてみると、人生はただ時間が流れて行くだけのことだった・・・・と、ね。なんか感動したねぇ」

何となくわかる気がする。支部長を二年間務めて、無論、悦びよりも苦しみの方が多かったが、苦しい時間も嬉しい時間も同じように流れて行ったし、終えてからも同様に時は流れている。

悠久・・・・という言葉が、ふと浮かんだ。
五木寛之が言っていた、「生きることが目的」というのも、うなずける。

この仕事、しばらく・・・・いや、死ぬまでやっていくしかないか!


伊集院静



2011.05.05 (Thu)
外国人労働者

季節の花が、町に溢れている。
一際目を引くのが、ツツジ。

とりどりの色が光に反射して、やさしく目を射抜く。
町々に溢れているのは、クルメツツジ。

江戸時代末期、キリシマツツジとサタツツジをもとに、久留米藩士・坂本元蔵によって品種改良が始められたのだそうだ。

ツツジに、鯉のぼりがよく似合う。
五月はじめの、風のない今日は、曇り空。

先週の中日新聞に、「ブラジル人向け弁当会社 注文激減で廃業へ」とあった。
リーマン・ショック、東日本の震災の余波でブラジル人は軒並み解雇。

弁当会社は注文が激減し、ついに廃業をせざるを得なくなった。
2007年の最盛期には1日1800食あった注文が、不況、震災と続く中で、100食を割り込んだ。

「一つの時代が終わった。また新しいことを考える」と、経営者。
そもそも、ブラジル人向け弁当会社を作ったのは、こんな経緯だ。

経営者は、ブラジル出身の日系二世。
人材派遣に携わっていた頃、仕事中に倒れた従業員に付き添い、病院に行くことがあった。

原因は脱水症状。
残業で汗をかく一方、日本食が口に合わず塩分不足に陥っていた。

塩分のある味噌汁や漬物が苦手なブラジル人。
特に若い子は自分で料理できず、栄養不良だった。

そこで、肉中心で塩とニンニクをきかせたブラジル料理の弁当を作り、宅配を始めた。
インゲン豆を煮たブラジルの日常食「フェイジョン」を必ず添えた。

口コミで評判が広まり、年々、注文が増加していった。
その矢先の不況、そして震災が追い打ちをかけたのだった。

この手の話を聞くと、いつも暗くなる。
外国人の雇用がこれでいいのか、という気持ちになる。

ブラジルからの移住が増えた入管難民法改正は、人手不足の産業界の要請があったとはいえ、単なる“労働力”としてしか見ていない産業界ゆえに、実を結んでいないように思う。

パートタイマー同様、外国人労働者を仕事の繁閑の調整弁とするのは、そろそろ止めにすべきではないか?そうすれば、五月晴れの空が見えてくる!



2011.02.20 (San)
残業手当の適正化

事務所の黒板に、「労働時間適正化」のポスター。
ポスターには、“とんち”でお馴染みの一休さんを模したイラストが描かれている。

一休さんになろう。

働きすぎはよくないよ。
トンチも働かず、心も体も悪くする。

しっかり働いて疲れたら
趣味やスポーツでリフレッシュ。

きちんと一休みしましょうね。

労使の協力で、労働時間を適正化しましょう。

労働者の健康を損なう過重労働はいけません。
労働基準法に違反する賃金不払残業も許されないことです。

労使が協力し長時間労働を抑制しましょう。

これらポスターの文句のとおり、今年に入って、労基署の労働条件実態調査が頻繁に行われるようになった。特に、「賃金不払」に関しては、社会問題化しつつあるので、念入りだ。

まとめると、次のことに注意を払わないと大変なことになる。

@40時間制が適切に行われているか?
基本として、1週40時間を超えた労働時間は残業となる。
変形労働時間制の協定が締結されているかも注意する必要がある。

A残業時間が切り捨てられていないか?
残業時間は、1分単位で1ヶ月分を集計する。
トータルした残業時間で1時間未満の時間があれば、四捨五入。

B割増賃金の基礎となる賃金に諸手当を算入しているか?
算入しなくてもよい手当は、次のものに限られる。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

その他、個別のケースは通達等が山ほどあり、細かいことを言えば切りがない。
とりあえず、上の3点だけは適正化する必要がある。



2011.01.30 (San)
大府七福神

今朝は、妻と二人で大府市の
地蔵院(中央町)の「豆まき」へ参加。
無論、まく方ではなく、まかれる方の一般客だ。

この時期、市内の七ヵ寺に祭られている七福神が、当番のお寺に集められ、豆まきが行われる。
狭い境内に、押すな押すなの人波。お寺は、七年間にして一番の活気に包まれたかのようだ。

三度の豆まきが終わり、甘酒を馳走になって退散。
その足で、市内の「げんきの郷」(吉田町)へ。

JAあいち知多が主催する、21世紀の「農」と「食」のシンボルタウン。
道の駅の大規模版というか、全国最大規模の産直市場である。

これまた、超満員の人出。それで、少し買い物をして、人波に押されるように退散。
そして、昼食は、これまた市内の、ビュッフェレストラン 「旬采食健 ひな野」(追分町)へ。

幸せを絵に描いたような日曜日の朝。
それは、平日にきちっとした仕事があるからだろう。

火曜日、刈谷市の総合庁舎で、同級生とバッタリ。
話を聞くと、二年間失業の身にさらされているという。

例のリーマンショックの余波で職を失くし、就職活動するが叶わず、昨日やっといい返事(内定)が貰えそうな所が見つかった、と言っていた。二次面接があるので、まだ分からないが・・・・とも。

「仕事があるのはありがたい」と、しみじみとつぶやくO君。
就活の成功を祈っているよ・・・・!


大府七福神のおまつり



2010.12.30 (Thu)
事業廃止!全従業員解雇!顧問社労士の役割は?

刈谷労働基準協会発行の会報誌「KARIYA」。
その中に、「ちょっと気になる労務相談」というコーナーがある。

刈谷管内の社労士が輪番で執筆し、もはや社労士の庭のような存在。
取りまとめは、初回から私が担当していて、すでに3年が経過した。

今回は、高浜で開業する若手社労士・O氏の執筆。
そのタイトルは、
「事業廃止!全従業員解雇!顧問社労士の役割」。

顧問先企業が事業廃止した時、解雇される従業員に対し、どうケアしたり、失業生活中のライフプランの提示をするか、O氏の事務所での取り組みを語っている。

そのポイントは

@
廃業および解雇日決定の連絡を受け、まず全従業員参加による緊急集会の開催
  その場では社長から従業員に対し、事業を廃止せざるを得ない事情の説明、解雇通告。
  顧問社労士として、労働法令・関連法規・就業規則に則り適正に退職処理を行うことを宣言。
  次回再び全従業員出席の元開催する弊所主催「従業員退職説明会」の日時・概要の告知。
  (日程は解雇日14日前で設定)

A
「退職相談事務局」の設置
  今後の退職に関する問い合わせ・相談窓口として弊所が「退職相談事務局」機能を果たす
  ことを周知。

B関係官庁との連携
  
ハローワークとは綿密にやりとりをし、最速での離職票の発行を調整。
  今回解雇された従業員限定の「失業保険受給に関する説明会」設定の依頼。
  市町村役場においては、国民年金の免除申請、国民健康保険の減免について意見交換し、
  免除の基準・申請手順の確認、必要書類の確保など、情報収集し退職者へ情報提供。

「解雇される従業員は皆、不安です。
退職後の生活、再就職に向けて、できる限り丁寧な対応を心がける」というOさん。

その誠心誠意に感心させられる。


ほっとします



2010.11.28 (San)
支部長メッセージ その参

寒くなってきた。
日課の歩行が辛くなってくる時期だ。

冬は体が硬くなるから、歩き始めはどこかの部位が軋む。
十数分歩くと、軋みもいくらか解消するが、夏のように柔軟とまではいかない。

汗の量も半減する。寒い時は、歩くには適さないのだろう。

愛知県社会保険労務士会(愛社労)三河西支部会員宛に支部長メッセージを書いた。
年金定期便よろしく、定期的にその時の思いを気軽に綴っている。

下は、(22.11.20)号。
会務の一端を垣間見える。



愛社労三河西支部会員の皆様、支部長の柴田です。
いつもながらの支部事業へのご理解・ご協力、本当にありがとうございます。

「今朝は今季一番の冷え込み」といったニュースが伝えられるなど、晩秋の風が身に堪える時期となってきましたが、それでも晩秋を彩る紅葉が盛りを迎え、街中に美しい姿を見せています。

猛暑を誇った今夏が昨日のことのように感じられる一方で、季節の足取りがあまりに速いことに驚かされます。

「大遅刻してきて秋は知らん顔」(佐藤弘子)といった川柳に納得するように、今年の秋は、ことのほか短かったような気がします。

それでも、教養法令研修会(9/8)、親睦旅行(11/6)、雇用保険研修会(刈谷、西尾とも11/18)に加え、正・副支部長会、幹事会、各部会および委員会、役員選考委員会と、数多くの事業や行事をこなしてきました。

そして初冬には、社労士の日・無料相談会(12/4・5)、次期支部長を選任する臨時支部会と第2回目の全体例会、労働法の研修会(いずれも12/17)が開催されます。

さて、本会の方では、社労士会館取得以降多くの問題が発生しています。
老朽化した施設の維持費のために多額の積立金の必要に迫られ、緊縮財政のための支部交付金の縮小もささやかれています。

三河西支部としても、こうした事態に対応するべく、幹事会や部会等の交通費の減額などを幹事会で模索しているところです。

一方で事務局の問題にも対応していかねばならず、事務局機能を強化するための資金をどう捻出していくのかなど、頭を抱える課題にも一応の結論を出していくつもりでいます。

今後とも、会員の皆様のご理解・ご協力をお願いするとともに、臨時支部会・全体例会への多くの出席をお願い致します。



2010.11.07 (San)
少し努力する!

ごく稀に行く居酒屋の看板娘・Yちゃんが、バイトを少し休むという。
普段は看護学生で、清純無垢なナースの卵。休む理由は・・・・

@学校の先生がこんなことを言ったらしい。


ある程度のストレスは自分を成長させるために必要だけれど、過度のストレスは自分をダメにしてしまうでも全くストレスがなければ人は成長しない」

先生はそう言ってテスト勉強とレポートに追われているYちゃんに部活の雑務と学校行事の雑務を押し付けて去っていったのだ。ちなみに、締め切りは1週間後。

Yちゃんにとっては、明日から1週間日直(→朝早く学校へ行き、遅くまで学校に残る、いわゆる雑用)をやらなければいけないというタイミングの悪さ。

Aさらに、居酒屋の店長がこんなことを言ったらしい。

「努力をすることは大切だけれど、自分を追い込んでまでやる必要はない」

その結果、@+A=バイトしばらく休み となったのだった。

我々が理解しなければいけないのは、先生と店長の言葉。
これは、ある意味、労務管理の真実を突いている。

無理しすぎると、時に取り返しのつかないことになる。
ならば、どうするか・・・・。

少し努力する事!

その後しばらく休んで、Yちゃんは復帰。
彼女の笑顔に、時折癒されているオジサンである。




2010.10.03 (San)
雇用の創造はいかに?

早いもので、10月に入った。歳月人を待たず、というやつだ。
数日前の新聞に目をやると

 生活保護 半年で10万人の増

の見出し。生活保護を受けている人が、全国で190万人を超えたようだ(6月集計)。
180万人を超えたのが、昨年の12月。わずか半年で、10万人増えたことになる。

190万人を超えたのは、戦後の混乱の余波で受給者が多かった1955年度(月平均で193万人)以来。この増加はいつまで続くのか?菅総理、やっぱり「雇用」をやろうじゃないか!

さて、「生活保護」という用語を調べてみた。以下抜粋。

 憲法25条に規定された生存権に基づき、最低限度の生活を保障し自立を支援する制度。
 国が定める最低生活費に比べ収入が少ない世帯に差額分を支給する。

 生活費に当たる生活扶助のほか住宅扶助や医療扶助、教育扶助などがある。
 費用は国が4分の3、地方自治体が4分の1を負担。

 受給者増を背景に大阪市などは全額負担を求めている。

他の記事にも触れてみる。これも数日前のもの。

 貧困は社会全体の問題

反貧困ネットワーク(東京都新宿区)事務局長の湯浅誠さんの講演テーマだ。
湯浅さんといえば、「年越し派遣村」で一躍名を馳せた。

講演の中身は、

 貧困を自己責任論でとらえるのではなく、社会全体の問題として取り組む必要がある。
 そして、8つのいすを10人で取り合う「いす取りゲーム」を例示。

 座れなかった人に注目し、「その人に何か問題があった」と考えがちだが、いすの数に着目
 すれば、10人全員が座れる方法に考えが及ぶなど、別の風景が見えてくる。

解りやすい!



2010.09.19 (San)
雇用の創造

「一に雇用、二に雇用、三に雇用・・・・」
菅総理が、民主党代表選で「雇用の創造」を訴えていたのは、数日前。

昨日の中日新聞の文化欄・「先人たちの名語録」(童門冬二)を読むと、幕末の頃すでに、「雇用」に言及していた名君がいたのだ。

幕末の薩摩藩主・島津斉彬(しまづ なりあきら)。
明治維新の立役者、あの西郷隆盛を育てた、稀代の名君である。

「治民の要は人をして空手、為すなきに終わらしめざるにあり(政治でもっとも大事なのは、失業者を出さないことだ)、と言っている。

そして、その方策として、

@輸入品(外国からだけでなく、他藩からも)の藩内生産への切りかえ
Aこれによって雇用の創出をおこない、藩内失業者を救済する

という方針で展開した。これにより、薩摩藩の失業者が激減する中、豊かになっていく藩の富を背景にして、明治維新の扉を開かせたのだった。



2010.09.05 (San)
若年者雇用実態調査

「自分の収入で生計」44%

上は、先週の中日新聞の見出し。
自分の収入だけで生活できている若年労働者(15〜34歳)の割合だ。

数字を逆に読めば、半数以上の若者が自分の収入だけで生活できていないことになる。
何たる有様。必然、親や配偶者の収入に頼っているのである。

夫を持つ妻であれば、パート収入だけでは生活できないから仕方ないが、この数字は、いかに派遣やフリーターという非正規労働者が多いかを物語っている。

その結果、結婚しない、あるいは結婚できない若者が増えている。
男性の生涯未婚率は15.96%、女子は7,25%に達するという(2005年国勢調査)。

さらに引きこもりやニートの高年齢化が顕著だというデータもある。
引きこもりの平均年齢は、32歳。40代の人もいて、後20年もしたら、老齢年金の問題も生じてくる。

「若者の就労問題はもはや福祉問題」なのである。
白骨化した死体を隠して、年金を不正受給する事件が後を絶たないのも、うなずける。

「生き方の多様化」といってしまえばそれまでだが、何かが間違っているのだろう。
甘えの構造を放置したツケである。行政ではない。やはり政治の問題だ。

今年も最低賃金が大幅に上がる。生活保護の金額よりも低いからといって、最低賃金を闇雲に上げていくのはどんなものだろう。少なくとも中小企業の実態を知っている者のやることか!



2010.08.22 (San)
熱中症

朝晩が少しずつ涼しくなってきた。
秋の風が、我が物顔とまではまだいかないが、朝夕に少しだけ顔を覗かせる。

とはいえ、日中の温度の上昇は勢いを増すばかりで、人間が一匹茹であがってしまう。
ましてや、鋳造工場では、“熱中症予備軍”が所狭しとひしめいている。

先週は、立て続けに3件、熱中症の労働災害。
幸い、大事には至らなかったが、夏バテが出始める頃だし、自愛したいものだ。

熱中症対策に欠かせないのが、「塩飴」。梅干を置く工場もまだ多いが、塩飴がいいらしい。
すっきりとしたレモン風味の塩飴が、今年は格別売れているようだ。

   ミドリ安全の「塩熱飴」  
http://midori-anzen.jp/ht/

さて、今年も後半戦。事務所のポトスが、蔓を伸ばし続けている。
どこまで伸びるか?

事務所の床の足の踏み場がなくなるくらい、伸びていけばいい!



2010.08.08 (San)
あるメールから・・・年金記録問題

メールが届いた。


柴田先生、いつもお世話になっております。

お話を頂いてから、少しずつ考えてみたものの、
軽い気持ちで引き受けてしまったことを、たいへん後悔しました・・・。

私にとっては、読んでいただくものを作りあげることは
とても大変な作業でした。

締切直前になってしまい、申し訳ありません。
会報誌の原稿を添付してお送りします。


中々、ムードあるメールだ。
メールの送り主は、6月に開業したばかりの、とある先生。

そもそもの馴れ初め(?)は、開業の挨拶で支部長(私のことです)宅を訪問した彼女に、会報誌の原稿執筆を依頼をしたことに始まる。

刈谷労働基準協会の会報誌に、社労士が輪番で執筆するコーナーがあって、私が毎月の原稿の取りまとめをしている関係で、今年度残った最後の一枠を、彼女に依頼したというわけだ。

話をしているうちに、「年金記録確認愛知地方第三者委員会調査員」の履歴が判明。第三者委員会で関わった実務の実際は、多くの人の参考になるだろうと判断し、依頼した。

下は、メールに添付されていた原稿。
刈谷労働基準協会の会報誌「KARIYA」9月号に掲載予定・・・・中々、味わい深い!

 ちょっと気になる労務相談
  『厚生年金保険の誕生と、年金記録問題のこれから』


今回は、労務相談とは少し違った分野ですが、企業や労働者と密接な関係のある厚生年金保険について、お話をさせていただきます。

厚生年金保険の前身は、太平洋戦争中の昭和17年6月、ドイツの年金制度を範として「労働者年金保険」として発足しました。当初は男子筋肉労働者のみが対象で、工員など現業の男性だけを加入させ、職員などの事務系男子や、女子は対象外でした。集められた年金保険料という名の資金は、戦時という状況のもとで戦費調達の役割を果たしたと推測されます。

しかし、戦況の悪化で男子労働者は徴兵され、いわゆる現場労働にも女子が進出するなか、年金保険の適用拡大が必要とされ、事務系の男性や、女性を対象に含めた「厚生年金保険」が、昭和19年10月から実施されることになりました。

戦前から、公務員や軍人に恩給制度はありましたが、保険料を徴収しない制度でした。現在のように保険料(掛金)を徴収する(旧)国家公務員共済組合法が適用されたのは、昭和24年10月から。そして国民年金は、昭和36年4月から開始されました。厚生年金保険は、それらより長い歴史を持っています。

「宙に浮いた5千万件」から始まった年金記録問題の存在は、それまでの年金制度と旧社会保険庁に対する国民の不信感とは別の衝撃を与えました。膨大な年金記録が誰のものかわからずに宙に浮いているということは、将来、受給期間が足りずに年金が受給できなかったり、納付した保険料に見合った年金額を受給できない可能性があるのです。

そこでこの問題を解決すべく、保険料の納付実績や年金見込み額などの年金情報が「ねんきん特別便」、「ねんきん定期便」として送付されるようになりました。加入者自らが定期的に記録をチェックし、年金記録が見つからない場合は、職歴・加入歴を整理して年金事務所に相談することと、それでも記録がなく、納得がいかないときは、年金記録確認の申立を総務省の年金記録確認第三者委員会に行うことができます。

事業所に勤務していた方が、当時の給与明細を持っていない場合は、厚生年金保険に入っていたかどうかを証明できません。その場合は、お勤めした事業所が現存していれば、事業所に当時の資料が残っていないかを確かめ、厚生年金保険の台帳をもとに、同時期に勤務した方にお話を伺うことで、当時の状況について調査します。

第三者委員会の調査の中では、調査を申し立てた方や、同時期に勤務した方々から、

「給料の明細を見て、たくさん引かれていたから、厚生年金も払っていたはず。」

「仕事中にケガをして病院にかかった。治療費がかからなかったから、保険に入っていたよ。」

こうしたお話を伺うことが、多々あります。

お給料から控除されるのは、税金、社会保険料などです。しかし、職場によっては、食事代なども差し引かれることもあり、控除があったことで、一概に厚生年金保険料を引かれていたとは判断できません。

また、仕事中のケガは言うまでもなく、労災保険の対象ですので、治療費がかからなかったことが社会保険に入っていた証明とはなりません。もちろん、厚生年金保険に入っていなかったとも言い切れません。

お話を伺いながら感じるのは、どなたも懸命に働いたかつての職場に、自分の足跡が無いことや、一部しか記録が無いことの無念さです。しかし、50年60年と時を経ている場合では、事実を確かめることができないことがほとんどです。

記録回復は当然の権利と思い、年金記録確認の申し立てをされた方でも、残念ながら当時の勤務や、保険料控除を証明する証拠が見当たらないことで、記録回復を認められない場合があります。

認められないことに、ご本人が納得できないのは当然のことでしょう。勤めた記憶は間違いないのに、立証できないのですから。

「役所が記録を間違ったのではないか。私は払い損だ」。」

「会社が保険料を天引きしていたのに、国に納めていなかったのか。」

過去に勤務した事業所や、ずっと生活してきた日本という国を信頼できなくなることは悲しいことです。保険料を納付したのに未納扱いとなっていたのでは、まじめに保険料を納付してきた人が納得しないでしょう。その結果、保険料を納める人が減少し、年金制度が崩壊してしまうことにもなりかねません。

今年度から日本年金機構は、8億5千万件の紙台帳とコンピュータ記録の突き合わせの全件調査を行います。2年間集中的に取り組み、4年間で、すべての突き合わせを完了する予定です。それでも宙に浮いている記録の一部は、統合が困難であろうと言われています。

この全件調査が終わった後に、なお残る年金記録問題について「一定の基準で年金記録を認める」ことの是非を、国民に意見を求める計画としています。解決まで、まだまだ時間を要しそうです。

年金制度は、長期間の保険料納付を前提に、老後の生活を支える大切なものです。今年金を受給している方だけでなく、現在保険料を納付している方々も、自分の年金記録に関心を持ち確認してみる必要があります。私たち一人ひとりが行動しなければ問題は解決しないと思います。



2010.07.25 (San)
山法師

先日、得意先の
歯科医院を訪問すると、診療室の窓辺に何ともいえない清楚な花々。
花は散り際を迎えて、ひとひらひとひらゆっくり散っていくかのように佇んでいる。

花水木に似ているが、花水木とは咲く時期が異なっている。
さて、花の名は?

書店で、花図鑑を買った。
「初夏の花木」の項に、それらしい花を見つけた。

「山法師(ヤマボウシ)」。
比叡山の僧兵のような名は、元々野趣が持ち味ということか?

「近縁種の花水木に似るが、花水木は苞の先端が凹むのに対し、山法師は先端が尖る」とある。
「近年、庭木として盛んに利用されるようになった」とも。

ここ数日の茹だるような猛暑。
瑞々しい花を眺めて、心を癒していこう。



山法師



2010.06.26 (Sat)
仕事は誰のために?

昨日は、東京へ出張、そして、とんぼ返り。
社会保険労務士会連合会の通常総会へ代議員として出席した。

梅雨さなか、年度更新と算定基礎業務を置き去りにしての東京行きは、少々辛いものがあった。
しかし、普段の生活ではできない体験は、とても新鮮だ。

他の季節であれば、総会出席と都内の寄席めぐりなどをワンパックにして、一泊二日の旅にできただろうが、この時期はそういうわけにいかない。

やることが山ほどあって、ややもすると山崩れを起こしそうだ。
気持ちに余裕がないから、脳が切れやすくなり、たびたびショートを起こす。

余裕がないというのは、何事にも情けないものだ。
そういえば、連合会が発行している「月間社会保険労務士」に、先日良いことが書かれていた。

内容は、「仕事は誰のためにやるか?」。
以下は、「がんばっても周りから認めてもらえない」とこぼす平社員とカウンセリングとのやりとり。

仕事の本質が垣間見えるようだ。

「ところで、Tさんは何のために仕事をしているのですか?」
「生活のためとか、できるだけいい暮らしをしたいからですが・・・」

「なるほど、経済的な理由ということになりますか?」
「他にも、自分を高めるとかの精神的なものも大事だと思います」

「なるほど、総じて自分ため、ということでしょうか?」
「そうです、だって仕事ってそういうものではないですか?」

「仕事とは、自分のためにするものだと?」
「ええ、まあ、その結果、他の人のためになるというのはあると思いますが・・・」

「なるほど、確かに多くの人がそのように考えているかもしれませんね。
でも、たぶんその考えから変えたほうが事態はよくなるでしょうね」

「仕事は、自分のためでなく、他人のためにやるものだと思いませんか?
で、より多くの人の役に立ったり、より多くの人を喜ばすことができた人がそれなりの評価や報酬をもらえるわけです。こう考えたほうがわかりやすいでしょ?」



2010.05.22 (Sat)
「年金」の考え方

年金のことを書きます。とは言え、すべて引用。
年金の本来あるべき姿が、ここにありますので、参考にして下さい。

三重県の友達を訪ねました。
彼女が書いた「くらしの作文」に私がほれ込み、押し掛け友達になって以来、手紙や電話で親交を深めていますが、、会うのは今回が二度目でした。

還暦を迎え、老齢基礎年金の繰り上げ受給請求をしたことを話すと、「今、暮らしに困っとらんのやったら、六十五歳からでええやん。もし早く死んだら、そのお金、世のため人のために使ってもらい。死んだらお金いらんもん」と言うのです。

はっとさせられました。
六十歳から受け取るか否か考える上で、損得勘定しか頭に無かった自分とは大違いです。
「年金というのは、長生きした人が生活に困らんように助け合う制度だよ」と母が言っていたのを思い出しました。

ということは、心ならずも早世せざるを得なかった人々の思いやりが込められているお金だということです。受け取る時には、《当たり前だ》と思わず、長生きできたことも含めてありがたく頂いて大切に使わせてもらうべきだと思うのです。

年金事務所への申請は取り消しました。
係りの方には迷惑をかけましたが、何だかとってもすっきりした気分になりました。

                             「中日新聞・くらしの作文」(豊橋市 内柴泰代)



2010.04.25 (San)
支部長メッセージ その弐

「支部だより」の原稿依頼が届いた。支部だよりの発行予定は、5月20日(木)。
ということで、早々に書いたのが下の「支部長メッセージ」。

読んでも面白くない代物ですが、これで会務の一端を察してください。!

三河西支部の皆様、支部長の柴田です。
初夏を迎え、採れたての苺をジャムにすると甘酸っぱい香が満ちてきます。

いつもながらの支部事業へのご理解・ご協力、本当にありがとうございます。
4月16日(金)の三河西支部通常支部会には、多数の出席をいただき、ありがたくお礼を申し上げます。

雨催いの天候ながら、議事の方は白熱。
たくさんの叱咤激励に、身の引き締まる思いが致しました。

今年度は、「みんなで創る三河西支部」を合言葉に、会員一人ひとりが主役となるよう、
“三河西支部丸”の舵取りに専念していく所存です。皆様のさらなるご理解・ご協力よろしくお願い致します。

さて、三河西支部の会員数も増加の一途を辿り(支部会員数の推移参照)、また、連合会の受託事業など新規事業も増し、連合会から愛知会そして三河西支部へと、多くの事業が下りてきています。

支部長推薦一つとっても、相当の事務量に上り、それらを踏まえれば当然のことながら、「支部事務局」という話が泉のように湧いてきます。

“三河三支部合同”、“三河西支部単独”、“三河SRへの委託”など、まことしやかに「支部事務局」の構想が囁かれますが、目的と予算を明確にした上で、また先輩諸氏の苦労を無にすることなく、事務局という課題に対処していきたいと考えます。

時に、愛知会では「組織再編検討特別委員会」を設置。
組織再編の行く末により、事務局のあり方も、姿かたちが変わってきます。

組織再編が緒に就くのを待って行動に出るのが賢明なやり方かもしれませんが、次世代の負担を軽減することが狙いであれば、待ったなしの時期かも知れません。

この細腕で難題を担えるのか、悩みは尽きません。
「弱音吐くおとこを月が叱咤する」(柴崎昭雄)の心境です。

しかし、今年度の事業計画は、迷うことなくやり遂げなければなりません。
皆様の力をお借りして、一歩ずつ確実に事業を行ってまいりますので、今年度も引き続き皆様のご理解・ご協力よろしくお願い致します。

 【支部会員数の推移】




2010.04.18 (San)
荒稼ぎな16歳!

桜が散ったというのに、妙に肌寒い。
このところ続いている天候不順は、何かの前兆ではないかと勘ぐってしまう。

しかし、季節は確実に前へ進んでいて、ここ数日でハナミズキが一気に開花した。
白とピンクの清楚な花々が、目を楽しませてくれるのがありがたい。

金曜日は、愛社労 三河西支部の総会(通常支部会と呼んでいます)。
支部長の忙しさを改めて思わされた一日だった。

議事は白熱?を通り越して、言いたい放題の態を成し、支部会ですでに体はグッタリ。
そのお陰か、その後の懇親会のビールが最高にうまかった。

その日、メル友からの経営情報。これが中々面白い!
世相の一端を読んでみてください。

【荒稼ぎな16歳

アメリカ在住の16歳の女の子が、650万稼いだ。彼女の荒稼ぎ方法とは、『YouTube』。
『YouTube』は、世界中からアクセス可能な動画投稿サイト。

彼女は、その『YouTube』を利用して、自分で買った服や靴などをブログで紹介する感じで動画投稿(しかもマシンガン投稿)していたのだ。

つまり、マシンガン投稿形式で動画を公開しつつ、トークも加えつつそれを続けた結果、ブログ見る視聴者が世界中で増えに増えて広告収入が650万円にも上ったというわけだ。
 
彼女の公開動画ブログ、総再生数、約750万回。視聴者いわく・・・・
彼女の動画にはセンスがあって、ただ単に買ったものを載せるだけではない。

流行をいち早く取り込んだり、『コレとコレを組み合わせるとカワイイ・オシャレ』とか、ファッションアドバイスしたりなどで同世代の女の子の支持をガッツリ得たのである。
 
今では彼女、『YouTubeから飛び出したファッションリーダー』的な存在として全米で注目を浴びている。なにが・いつ・どんな形で収入になるか、わからない!

彼女自身も、まさか趣味で始めた動画投稿がここまでの収益になったり、注目浴びたりすることは思いもよらなかっただろう。

『チリも積もれば山となる』・・・・か?



2010.03.28 (San)
外国人の介護福祉士

愛社労・三河西支部の総会(通常支部会と呼んでいます)まで、20日を切った。
2月以降、事業報告の確認、議案書の整理、幹事会等で慌しい日を過ごしている。

新年度が明けてすぐに開催する監査会、そして監査会の報告を新年度第1回目の幹事会へ。
最終の議案書を仕上げるのは、その後だ。支部長としては、気だけが急いてくる。

今日、仕事仲間からメールが来た。それによると、先日介護福祉士の免許資格を初めて外国人が取得したというのだ。インドネシア人とフィリピン人。

日本で働くことを強く望み、勉強に精励した結果の免許資格。
しかし、
就職先が容易に見付からない。

不況の影響で
多くの施設が採用を見合わせているのは事実だが、一番のネックは「外国人であること」。多くの施設が、外国人はできれば採用したくないというのだ。

その理由は、意思疎通の問題や受け入れ側の施設内での刺激等々。
受け入れ側としては、外国人の採用は負担が大きなってしまうと捉えているのだ。

日本と外国では風習も違うし、考え方も違う。差別と言うのではなく、同じ空気を吸っていても、違う空気を吸っているくらいの違和感があるのだろう。

これだけ日本に外国人が増えている昨今、まだまだ同一に扱えない閉鎖性が悲しいが、日本人の了見の狭さが、逆に我が身を滅ぼすことに繋がらないか・・・・!



2010.02.27 (Sat)
南極探検隊員の求人

世界的経済危機から1年半。経済の“氷河期”をくぐり抜けて、ようやく景気は「全体としては持ち直している」(日銀)というところまで回復の兆しを見せていますが、依然として個人消費は低迷。

設備投資、住宅投資ともに低水準で、今また、トヨタの大規模リコール問題が、景気回復の行く手に待ち構え、柔らかな春の日差しを遮ろうとしています。


しかし、少しずつ雇用情勢が改善している節もあり、私の事務所でもこのところ顧問先からの求人募集の依頼が増えてきています。求人募集の多寡は、景気を占う指標になります。

求人が多くなるのは、仕事が徐々に増えている証拠で、経済が活況に転ずる兆候。このまま求人募集が広域に拡大し、転職先が見つからない失業者や就職先が内定していない学生には、吉報を手に入れてもらいたいものです。


【求む男子、至難の旅。わずかな報酬。酷寒。暗黒の長い日々、生還の保証なし。成功の暁には名誉と賞賛を得る】

上は、先日、雑誌で目にした求人広告。もちろん、現在の求人広告ではなく、第1次世界大戦前、英紙に掲載された南極探検隊員募集の広告です。

第1次大戦は、1914年7月勃発ですから、さかのぼることほぼ1世紀。現代のように甘美な時代ではなく、人の心が荒れ果てた暗黒の時代。

この求人広告を見て応募が殺到したといいますから、金銭よりも名誉や賞賛に重きを置いた人がいかに多かったかがわかります。


個人の欲得を捨てて、公のためにゆるぎない志を燃やしていた。そんな時代が、わずか1世紀の間に大きく変貌を遂げました。かつての南極探検隊員にとって、現在のニートやフリーターといった社会現象がどう目に映るのでしょうか。

しかし、南極探検隊員の募集広告は、今のハローワークでは通用するはずはありません。まず、男子だけの求人は、男女雇用機会均等法に違反。わずかな報酬は、最低賃金法に抵触?

加えて、「至難」「酷寒」「暗黒の長い日々」は、劣悪な環境下に身を置くことになりますから、安衛法違反の可能性があり、「生還の保証なし」に至っては、保険加入が義務付けられるでしょう。

要するに、現代ではありえない求人募集なのです。


このように今のハローワークでの求人募集は、法令順守が大前提となっていて、法律をひとつずつクリアしていかなければ、「適正な求人」として、求人窓口で受理されません。

仕事を探している方は、安心して働くことができる職場を探しているわけですから、求職者の立場からすれば、応募への第一歩は「適正な求人」との出会いから、と言えるのです。


ハローワークの求人募集については、下のチェック項目がクリアされているかどうか点検するとともに、年齢制限が認められる例外的事項や性別不問の適用除外職種などを充分理解した上で、求人の申し込みをしていただきたいと思います。

1.募集及び採用に際して、年齢不問としていますか?(雇用対策法)

2.募集及び採用に際して、性別不問としていますか?
(男女雇用機会均等法)

3.高年齢者雇用確保措置は導入済みですか?
(高年齢者雇用安定法)

4.週40時間労働制を守っていますか?
(労働基準法)

5.労働保険に加入していますか?
(労働者災害補償保険法・雇用保険法)

6.厚生年金、健康保険に加入していますか?
(厚生年金保険法・健康保険法)

先日、ハローワークの求人コーナーで、担当者が求人者とすったもんだのやりとりをしていました。その客はいわゆる“堅気”には遠いいでたちで、少々コワモテ。

ところどころ聞こえる会話を拾っていくと、どうやら客は風俗店の店長で、店で働いてくれる風俗嬢を募集している様子でした。担当者が、「ハローワークはそんな所じゃない」と求人を拒むと、「じゃあ、どんな所なの?」と。


常識の中で考えると、その手の求人はハローワークには馴染まないものですが、「拒否する根拠は?」と問われると、どう答えればいいのでしょうか。

ハローワークに掲載される職種がマトモで、掲載を拒否される職種がマトモじゃないと言えるのでしょうか?風俗嬢だって立派な仕事じゃないか、と思ってしまいます。


その昔、福沢諭吉翁が「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」(学問のすすめ)と説いたのと同じで、仕事にも上下はないと思いますが、どうなのでしょう。

さて、この求人はどうなったのか。店長が最後に、「シャレです、シャレシャレ」と言って帰ったとか、風聞はどこまでが本当なのか分かりません。

この場合、「風紀を乱すから」が解答です。「法令順守」という枠と「風紀」というもう一つの枠をともに守っていくことで初めて、求人票が受理されます。

「風紀」という枠はあくまで例外的なものですから、「法令順守」の枠を逸脱しないよう、企業は絶えずチェックしていただきたいものです。


そして、大事なことは、求人募集のための法令順守ではなく、社員を大切にするための法令順守であることを、企業は忘れてはいけないのだと思います。
                                  
                                  (刈谷労働基準協会・会報誌原稿より)



2010.02.13 (Sat)
次は、「残業代請求」?

T・H・G東京法令学院からセミナーの案内が届いた。
定期的に開催されている「就業規則作成セミナー」だ。

4月に労基法が改正されるが、その大きな柱は、
「割増賃金の引き上げ」「年次有給休暇の時間単位による付与」である。

どちらも就業規則に大きな影響を及ぼすもので、改正労基法が施行されれば、真っ先に就業規則を改定しなければならない、というのである。

雇調金(中小企業は、中安金)に加えて、就業規則改定は骨のいる作業であるが、やらねばならぬこと。なぜなら、「過払い金返還請求」の次に、「残業代未払い請求」が来るからである。

今、多くの弁護士、司法書士が代理人となって、「過払い金返還請求」がなされている。
例のサラ金大手「アイフル」を倒産の危機に追いやった、あれである。

つまり、利息制限法で定められた上限金利(15%〜20%)を超えてサラ金が金を貸した場合、すでに借金を返済していれば、借り手は利息を払いすぎていたことになる。(下参照)

この過払い金を遡って(10年まで)返還請求するのである。そして、弁護士、司法書士が次のターゲットとして狙いをつけているのが、「残業代」。

残業計算は労基法で縛られているが、間違った計算がなされていることがよくある。
25%増、35%増は心得ているが、案外知らないのが、残業の基礎計算。

諸手当を含めず、基本給だけで計算している事例を多く見る。
除外できる手当は、
「勝つべしリーチと住宅」

つまり、
「家族手当」「通勤手当」「別居手当」「子女教育手当」「臨時に支払われた賃金」「1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」「住宅手当」だけが、基礎計算から除外できる。

それを今一度指導しなければならない。
この春は、これが一番大きな仕事になるだろう!






2010.01.30 (Sat)
起きて半畳、寝て一畳

今朝の中日新聞を拾い読むと、不景気風が喉を突いてくる。
それで、喉が少々痛い。そんな時は、緑茶でよくうがいをするといいそうだ。

まずは、
年金支給額据え置きのニュース。

厚生労働省が、29日、2010年度の公的年金支給額を09年度と同額に据え置くと発表。
据え置きは4年連続。支給額は
 
国民年金が、月額66,008円(40年間保険料を納め満額受給の場合)
厚生年金は、月額232,592円(夫が標準的な給与で妻が専業主婦のモデル世帯)

さて、次は
,10年春闘雇用・賃金の行方

トヨタ労組執行部案では、ベア(賃金制度改善分)要求見送り、定昇(賃金制度維持分)優先。
ボーナスにあたる一時金(夏冬合計)は、昨年春闘の妥結額(組合員平均186万円)と同水準。

電機メーカー各社の労組で構成する電機連合では、賃金体系の維持(定昇だけの要求)や平均5ヶ月分の一時金を求める2010年春闘の統一要求を決定。

業績悪化に加えて、リコール問題など難問を背負ったトヨタや電機メーカー各社の実情が浮き彫りにされるが、労組もそこは心得ているようで、無理難題は吹きかけないだろう。

困っているときはお互い様!少々賃金が安くても死ぬことはないのだ!



2010.01.17 (San)
朝顔と金魚

年が明けて二週間が過ぎ去った。今年は穏やかな幕開きである。
例の「中小企業緊急雇用安定助成金」(中安金)が一息ついたせいだろう。

昨年は、年明けから連日、中安金の説明にあけくれた。
助成金の趣旨、条件、手続きなど、一連の説明は中々骨のいる作業だった。

休業や教育訓練のスケジュール、協定の結び方などを、労基法に馴染みのない経営者に、噛んで含めるように話すのは一筋縄ではいかない。

そんな苦労の連続が年明けから続いた昨年は、いつまでも心に残る年になるのだろうか?
今年の一月は、少し余裕を持って、日経新聞・「私の履歴書」を読んでいる。

今月は、細川護熙(ほそかわ もりひろ)元首相が登場している。
反骨精神旺盛な、わび・さびの心を持った、時に天邪鬼な“殿様”である。

昨日のリーダーシップ論が面白かった。
こんなふうに綴られている。

 昔の戦では織田信長でも上杉謙信でも、武将たる者は例外なく本陣に旗さしものを押し立てて
 敵に臨んだ。私の決起は誠に小さなドン・キホーテ的行動だったが、旗印として掲げたこの国
 の姿形は簡単にいえばこういうことだった。

 道義を重んじ、謙虚を美徳とし、質実な生活を心がけ、ぜいたくと浪費を憎む精神・・・・。
 農を基本とした緑の美しい国土に、こうした気風がみなぎってるならば、テレビや車があふれ
 かえっていなくとも、必ずや世界の国々から敬愛のまなざしをもって接せられるだろうと。

 リーダーたる者は、その旗をしっかりと立てることがまず第一だ。
 旗が見えなければ、ついていく者はどこへ向かって走ったらいいかわからない。

細川さんの政治信条は、質の高い実のある国づくり、虚飾を廃した「質実国家」づくりだ。
大量生産、大量消費の経済社会を、質があり、実のある社会に転換していくこと。

そのためには、「ライフスタイルも江戸時代のように、朝顔と金魚をながめて暮らすのが一番分にあった平和な生き方だというぐらいの覚悟が必要だろう」と提案しているところなど、実に面白い。

そして、時代は確実にその方向へ向かっている! 


冬の金魚



2009.12.06 (San)
特定保健指導

昨日は、社労士の日・無料相談会。三河西支部の統括責任者として、4会場を巡察(?)。
4会場とも例年に比べ低調に見えたのは、あいにくの雨のせいか?

相談件数こそ少ないが、相談会の日までに費やした努力は無駄ではないと確信している。
事前の広報活動、ポスターの貼付、チラシやティッシュペーパー、社労士リーフレットの配置等。

相談会場では、何度も館内放送を入れてもらったり、ティッシュを渡しながらの呼び込み。
本来の目的である、「社労士」の知名度アップに繋がったはずだ、と思っている。

無料相談会を終えて帰宅するや、すぐに高浜市いきいき広場内で「特定保健指導」。
保健福祉グループの小澤茜さんが丁寧に指導して下さった。

すでに受診済みの健康診断の結果から、まず数値を点検し、続いて状況分析。
次に問題点を指摘され、いよいよ主眼である「問題解決のためにどうするか!」。

目標を設定し、具体的な計画を立てた。
計画を立てるときに大切なのは、続けられる目標を立てること!

無理なことは続かない、そう思うべきである。
さて、私の
「健康目標シート」は、以下のとおりです。

 
1 自分の健康上の問題点は?

     肥満 高血圧


 
2 あなたの健康状態は何点ですか(理想を100点とする)?

     
60点

 
3 今の生活を続けた場合、10年後の健康状態は何点ですか?

     
45点

 
4 続けられる目標を立てましょう!

     
目標体重 68kg

 
5 具体的な計画を立てましょう!

     @ 酒量を現状の80%にする。
     A 飲み始める時間を1時間早くする。
     B ウォーキングの距離を500m伸ばす。

小澤さんからは、「ご自分で問題点に気づかれていたことが素晴らしいと思います。がんばりましょう」というコメントを頂いた。しばらくはこの人と二人三脚である!



2009.11.29 (San)
支部長メッセージ

日常の社労士業務もさることながら、今年は、“支部長”としての仕事が忙しい。
「愛知県社会保険労務士会 三河西支部」の支部長職である。

三河西支部は、碧海5市(刈谷市、知立市、安城市、碧南市、高浜市)と西尾・幡豆地区にまたがり、現在、会員160名。自慢(?)の細腕では到底、会員をまとめることはできない。

目の前にある行事をこなすだけで精一杯。会員とのふれあいは、失礼ながら薄い。
唯一、「支部長メッセージ」なるもので、定期的に会員への繋がりを試みている。

下のように、その時々の思いを綴っていく。
決して学術的にならぬよう配慮しながら、あくまで軽く流す。

メッセージは、いわばイントロ。
ここから、報告・連絡事項へと繋げていくのである。

どれだけの会員が読んでくれているのか?
気になるところであるが、しばらくは“こころ”を綴っていこうと思っている。

会員へは、乞うご期待!である。

 支部長メッセージ(21.11.19)     三河西支部長 柴田比呂志

 愛社労三河西支部会員の皆様、晩秋の風が身にしみる季節となってまいりました。
 朝夕はもちろん、雨や曇の日には、昼間から“暖”が欲しいと思うのは私だけでしょうか。

 秋から冬へ続くこの時期はまた、もの悲しい季節でもあります。
 落日に照らされて街路樹が葉を落としていく様子は、さみしいものを感じます。

 先日、新聞で「街路樹の栄枯盛衰」という見出しを目にしました。
 夏の強い日差しから歩行者を守り、秋の落ち葉で冬の訪れを知らせてくれる街路樹。
 その顔ぶれが昔と比べずいぶん変わってきている、という内容でした。

 かつて、街路樹の代名詞といえば「プラタナス」でした。
 近年はプラタナスが徐々に減り、代わって「ハナミズキ」が急伸してきています。

 その理由は、毛虫の駆除や剪定などで維持管理にコストがかかるプラタナスよりも、その半分
 以下のコストですむハナミズキの方が経済的だからです。

 景観重視だった樹種選択から、“手間いらず”の選択へと変貌を遂げようとしているのです。

 同じように労務管理の手法も、今後変貌していくのではないでしょうか。
 昨秋からの不景気風から企業の体力は減退。企業のありようも変化の兆しが見えます。

 かつてと同じ労務管理の手法では限界に来ることが予感されます。
 時代に適合した労務管理を皆で知恵を出し合って模索していきたいと考えます。

 三河西支部でも、こんなことを考える機会を設けることができればと思っています。
 今後ともどうぞよろしくお願い致します。




2009.11.07 (Sat)
ねんきん定期便

「ねんきん定期便」が届いた。
仕事で見慣れているせいか、驚きはしないが、少々感慨深いものがある。

これまでの年金加入期間は、@国民年金第1号被保険者として 199ヶ月 A厚生年金保険 133ヶ月  の合計332ヶ月。年金加入履歴、厚生年金の標準月額とも、間違いなしだ。

この「ねんきん定期便」、ご丁寧にもこれまでの保険料納付額の合計額とともに、老齢年金の見込額まで書かれている。

受給までまだ何度も法律改正を繰り返す世代には、年金見込額はややもすると、過度の期待になりかねない。下がりこそすれ、上がるはずはないのだから。

そんなことを考えながら、こんな手数と金の掛かる「ねんきん定期便」とは何なのだろう、と思う。
自分の履歴は自分で管理すべきだし、国が個人の情報を毎度毎度、開示することもないだろう。

知りたいことがあれば、社会保険事務所に問い合わせたり、専門家に相談するとか、個人が動けばいいことで、国がすべて責任を持つものではないはずだ。

まぁ、色々炙り出されてきた過去の不正を正すという意味では、ありがたいことであるが・・・・。
ともかく、他人のものでない、自分の「ねんきん定期便」に関われてよかった!



2009.10.11 (San)
黒船襲来!

水曜日、異業種交流会の経営フォーラム。
出席した分科会が興味深かった。

 「仕事は自分で創れ!」

のテーマの下、(株)桝一市村酒造場 代表取締役のセーラ・マリ・カミングス女氏が報告。
「木桶仕込みの復活」「「寄り付き料理レストラン」オープンなどの“仕掛け”は見事なものだった。

「木桶仕込みの復活」は、効率が求められて久しい酒造業界からは逆行しているが、清酒が育まれた伝統的手法を守り、木桶職人を守り育てることにも繋がった。

「寄り付き料理」とは、蔵人が酒造りの期間(冬季の三ヶ月)に食した料理のこと。寒い時期の厳しい労働を泊り込みで担う男衆のために、栄養のバランスを考えて作られた料理。

これらは、すべて原点回帰といえるものだ。
アメリカ・ペンシルベニア州生まれの彼女が、原点回帰を目指したのはなぜだろう。

日本の良き伝統が崩壊しつつある現実に危機感を抱いたからか?
ややもすると、“茹でガエル”になってしまう日本人の閉鎖性を憂えてか?

そこに自分自身の役割を見出して、見事原点回帰を成し遂げた。
「仕事は自分で創れ!」とはいうものの、生易しいことではない。

中小企業がどんどん痩せている(仕事のない)昨今、社員に、「仕事は自分で創れ!」と言って、どれだけの人が叶えられるだろうか?

それを思うと、セーラ女子の為し得たことは、幕末の“黒船”に匹敵する行動力であった。


桝一市村酒造場 看板


桝一市村酒造場 煙突


   桝一酒造場 http://www.masuichi.com/

   セーラ・マリ・カミングス 
http://www.masuichi.com/sarah/index.htm#



2009.09.27 (San)
何かしら光りあるやも!

今朝の中日歌壇(中日新聞)の入選句。

 何かしら光あるやも山動く選挙翌日職安は混む       (名古屋市)板倉亜澄

衆院選の民主党の大勝で何かが変わるかも、と皆の期待が膨らんでいる。
それは、月曜日の今日訪れた職安の混み具合から推察できるのだ。

昨日、2008年の民間平均給与が出た。
平均給与額は、429万6千円で、前年より1.7%(7万6千円)減。

中小零細企業の水準から見ると、この平均額はかなり高い。
大企業と中小零細企業では、どこまでいっても格差がある。

2008年1年間を通じて民間企業に勤めた給与所得者は1.0%増の4587万3千人。
うち女性が2.6%増の1805万5千人。

世帯主の賃金減少や失業を補うために、主婦が働きに出るケースが増えた可能性が高い。



2009.09.05 (Sat)
消毒液の作り方

月曜日、K労基署の次長からメールを貰った。
労基協会会報誌の寄稿に対する礼の後に次のように続いていた。

 先週、夏休みをいただき、多少涼しいところへ出かけましたら、
 ちょうど大陸から涼しい高気圧が張り出し、朝晩は少し寒いくらいでした。
 (最高気温25℃、最低気温15℃程度)

 明日からは学校も再開されるので、通勤途中の混雑もまた増します。
 短期間での気候の変化などで体が変調を来しやすいかもしれません。

 なお、当署が入っている合同庁舎の1階(税務署)職員に
 新型インフルエンザ感染者が1名出てしまったようです。

 ご本人の症状は軽くて済んだようですが、
 当庁舎内にも感染の危険性が現実問題として迫ってきました。

 ご利用の皆様方に危害が及ばないよう対応を図らねばなりません。
 先生も、ご注意いただきますようお願いいたします。

インフルエンザが身近にまで迫ってきている。
次長が言うように対応策を図らねば!

家人によると、昼のワイドショーでは、消毒液の作り方で持ちきりだそうだ。
早速、調べた。以下が消毒液の作り方です!


 
市販の塩素系漂白剤を使って、簡単にできる消毒液の作り方

500mlのペットボトルの水に、ペットボトルのフタで約2回分の塩素系漂白剤を入れてよく振る。
これで、濃度0.1%の消毒液が出来上がり!

気になる部分の消毒や冷蔵庫の中、ドアノブ、トイレ掃除など拭き掃除に有効。

2リットルのペットボトルの水に対して、フタで約2回分の塩素系漂白剤を入れてよく振る。
これで、濃度0.02%の消毒液が出来上がり!

子供のおもちゃや調理器具などの消毒に有効。

なお作った消毒液は、時間が立つと成分が抜けるので、すぐに使いきるのがいいようです。



2009.08.29 (Sat)
安全靴を履かなければならない法的根拠は?

月曜日、K社の常務から電話。
「なぜ安全靴を履かなければいけないのですか?」

K社は、夏の温度が尋常を超える鋳造工場。
ゆえに、夏場になると安全靴を脱いで作業する者が多々現れる。

部下の作業指導をする常務にとっては、安全靴を履かねばならぬ法的根拠を頭に入れて、作業者に対処しなければならないのだろう。

安全靴については、安衛則第558条で定められている。

  労働安全衛生法規則第558条

@事業者は作業中の労働者に通路等の構造または当該作業の状態に応じて、安全
  靴その他適当な履物を定め、当該履物を使用させなければならない。

A前項の労働者は、同項の規定により定められた履物の使用を命じられたときは、
  当該履物を使用しなければならない。

しかし、どのような作業状態で安全靴を使用すればよいかの定めはない。
事業者が作業の状況を考慮して、安全靴の着用を判断すべきなのだ。

要は、「安全靴を履いていれば防げた災害をなくすこと」なのである。
安衛法の保護具の基本的な考え方は、すべてここにある。

しかしながら、具体的な保護具着用の数値基準がなく、危険を予期したら必要な対策・必要な保護具を着用しなければならない、ことほど難しいものはない、と思うがどうだろうか?



2009.08.23 (San)
寺の鐘を作って生き延びた日立造船

盆が過ぎた。秋風が灼熱の太陽の後ろで待機している時期だ。
やがて、陽が勢いをなくす頃、風は悠々と吹きすさぶだろう。

昨秋からの景気の減退を引きずってか、企業は今のところ音なしの構えだ。
構えるどころか、どうしていいか分からないというのが実態だろう。

一口に「知恵を出せ」といっても、普段から知恵を出す癖のついていない中小企業では、無理な話で、私にできることはといえば、適当なヒントをさりげなく語るくらいだ。

「商売のタネ本」(三浦一郎 富永正文)を久しぶりに開いている。
商売のヒントが、無数の蜘蛛の糸のように繰り広げられている。

第二次世界大戦が終わった直後の「日立造船」。
造船会社とは名ばかりで、鍋釜を作って何とか経営を切り盛りしていた。

そんなとき、当時の社長・松原与三松(まつばらよそまつ)は、大阪の築港工場の中に、つり鐘がゴロゴロしているのを見つけた。戦時中に供出された鐘である。

「もう平和になったのだから、お寺は鐘がなくて困っているだろう。これを作れば商売繁盛、仏恩報謝」と、早速寺院をまわって注文をとり、鐘の大量生産に取りかかったのである。

「鐘ひとつ売れぬ日はなし造船所」というわけで、日立造船は、みごとに苦難の時代を生き延びた。



2009.07.25 (Sat)
雇用調整助成金が売上を超した?

水曜日、中小企業家の集まりの会があった。
暗い世相を映し出すように、どの社長の顔も暗い。

仕事量が激減し、売上が通常の月に比べ、3分の1。
そうなれば、明るく振舞えと言う方が無理な話だ。

そこを反映したものか、幹事がいつもの「近況報告」に変え、「最近楽しかったことは?」と質問を切り替えていく。最近楽しかったことを考えると、何だか楽しくなっていく。

景気は心理面が大半だというが、要は気持ちの持ちよう。売上が3分の1になろうが、5分の1になろうが、飢え死にした話は聞いたことがない。

本当に困っている人には失礼だが、「楽しいことを考える」のは、次の飛躍につながると思うが、どうだろうか?現状を憂えていても仕方がないのなら、先の先の良い事を考えていくことだ。

「今月の収入の一番は、雇用調整助成金だ」という社長がいた。
雇用調整(休業、教育訓練、出向)で得た助成金が、何と売上よりも多いというのだ。

「休業+教育訓練」という図式で雇用調整を行えば、単純に計算して、1人当たり1日、(7,730円+6,000円)。人数分を乗ずれば、その月の雇用調整助成金が算出される。

10人が10日の(休業+教育訓練)をすれば、

 13,730円×10人×10日=1,373,000円

仕事が激減している中にあっては、こうした現象が発生することもあるだろう。
しかし、大切なことは、次の飛躍につなげていくこと。

そのために今、何ができるかを社員一丸となって考えていくことだ!



2009.07.05 (San)
一時帰休に伴う月額変更

算定基礎届の提出期限が差し迫っている。
年中行事の一つだが、今年度は多々戸惑うことが発生している。

一時帰休に伴う月額変更である。

昨秋からの未曾有の景気低迷は、多くの会社に休業をもたらし、休業による賃金低下は、固定的賃金の変動とみなされ、月額変更の対象になるというのである。

通達(昭和50年3月29日保険発第25号・庁保険発8号通知)がある。
 
一時帰休に伴い、就労していたならば受けられるであろう報酬よりも低額な休業手当等が支払われることとなった場合は、これを固定的賃金の変動とみなし、随時改定の対象とすること。
 
ただし、当該報酬のうち固定的賃金が減額され支給される場合で、かつ、その状態が継続して3ヶ月を超える場合に限るものであること。

なお、ここでいう3ヶ月とは、暦日ではなく、月でカウントすることになる。例えば、一時帰休の開始日が3月10日とした場合は、6月1日の時点でその状態が継続して3ヶ月を超える場合となる。

したがって、6月1日に一時帰休の状況が解消している場合には、3ヶ月を超えてないので、随時改定の対象にはならない。

この通達が基本であって、会社毎にあらゆるケースが想定される。
よって、提出期限が差し迫っているのに算定基礎業務(月額変更含む)は一向に捗らない。



2009.06.21 (San)
霧は晴れてますか?

 久しぶりハローワークで同窓会             サラリーマン川柳より

月曜日、得意先から求人募集の依頼を受けてハローワーク刈谷へ。
なぜか、同級生のFが、入り口にたむろしていた。

人一倍、大きな顔だから良く目立つ。話し掛けると、職を失ったとかで、昨秋からの著しい景気後退を受けてのリストラ組だった。

Fは確か、建築関係の仕事に就いていたと記憶するが、この建築不況の最中にあっては、事業主も雇用を守ることは容易ではなかったのだろう。

景気が底を打った、と最近よく言われる。 求人募集の依頼がここのところ増えてきている。
霧がしだいに晴れていくようにも見えるが、まだまだ霧は深いのかも知れない。

製造業の霧が少しずつ晴れてはいるが、小売・卸といった業種で新たな霧が発生しているようにも見える。視界がパノラマのように360度晴れ渡るのはいつの日か?

「久しぶりハローワークで同窓会」が現実にならないように祈りたい。
まだまだ仕事を止めるにはもったいない年頃でもある。



2009.06.07 (San)
インタビュー

「お父さん、今度インタビューするからね!」
先日、三男坊が何気なく話しかけてきた。

「インタビュー?」
俺は有名人じゃないぞ!と言いたかったが、言葉が出なかった。

どうやら、、身近で働いている人に、その「仕事」をインタビューすることで、「働く」ことの意義を考えようとする学校授業の一環であるらしい。

いいことだ。生きることの喜び、楽しさ、辛さ、切なさ、そうした声を聞くことも、少なからず生活力を身につけることになるだろう。色々なことを知ることが、今は大切なことなのだ。

以下は、インタビューの内容。

 インタビューした人   柴田 和彦
 インタビューされた人  柴田 比呂志

@現在の職につくまでの履歴(りれき)

昭和56年 3月 南山大学・経営学部卒業
            敷島製パン(株) 刈谷工場 販売課に入社
昭和58年10月        〃  退社
            詩を書くために上京 無限アカデミー(詩の学校)入校
昭和60年 3月 無限アカデミー卒業と同時に帰郷
昭和60年 4月 西三河労務管理センターに入所  社会保険事務及び労務管理を学ぶ
昭和62年11月 社会保険労務士試験合格
平成 2年 9月 西三河労務管理センター退所 
平成 2年10月 あおみ労務事務所開業 現在に至る

Aその職についた理由

学生の頃から労働法に興味があったことと、社会保険・労働保険関係の仕組みについて学んでみたかったためです。

B仕事の内容

中小企業に勤める社員さんが安心して働ける環境作りのお手伝いをすること。
具体的には、社会保険・労働保険に関する事務手続き、就業規則や諸規程の整備、年金相談、労務管理の相談・指導、助成金の申請などを行なっています。 

C仕事で楽しかったこと 

毎月定期的に会社を訪問しますが、事務所に飾られた花がきれいだったり、知らない花に出会い、花の名を教えてもらったときなどに、楽しさを感じます。

D一番大変な仕事は何か

会社では、事業主と社員さんとの間でトラブルになることがしばしばあります(給料面などの労働条件の部分が多いです)。お互いがもっと話し合えばいいのですが、言葉が足りなかったために誤解を生むケースがほとんどです。そんなとき、事業主と社員さんとの間に入って、お互いがプラスになるような解決案を見つけていきます。互いが納得してくれ、和解してくれたときは、この仕事をやっていてよかったと思います。

E仕事は何年間続いていますか

 修行時代の5年6ヶ月と開業してからの18年8ヶ月とで、合計24年2ヶ月続けています。

F一日何時間仕事をするか

会社訪問と事務所での事務などでだいたい10時間くらいは仕事をしています。

G難しい仕事はありますか

人が相手の仕事ですから、仲介に気を使うことが多いです。どちらの顔も立てねばならず、お互いがプラスになる解決策を見つけるのが難しいです。
答えのある仕事は簡単ですが、労務管理は答えのない仕事ですから、相手の立場を思いやり、誠実に問題と向き合うのが大切だと思っています。



2009.05.16 (Sat)
「休業」が止まらない!

今、多くの企業が「中小企業緊急雇用安定助成金」(中安金といいます)を利用しているが、そろそろ息切れする企業が現れつつある。

完全に資金ショート。何しろ、社員の休業手当を補填してくれるのはいいが、売上がどこもかしこも大幅減。ところによっては、一過性の薄日が差し込んで入るが、いかんせん続かない。

今日は、早朝から来客。例によって「中安金」の説明に始終する。
昼一番で企業訪問。ここでも「中安金」の説明会。

製造業は一通り助成金利用が一巡したが、小売、卸売り企業が新たに休業を開始。
かつて「悲しみが止まらない」(杏里)という歌があったが、今は、「休業」が止まらない。

どの企業も、どうしていいのか分からないのが現状のようで、経営というものを今まで真剣に考えたことがなかったツケが一挙に潮を吹いたかのようだ。

自分のことは自分で考えるしかない。他人に相談するのもいいが、まず自分なりに方向性を出すことだ。そして、それが間違っていないか複数の経営者に聞いてみるのがいい。

できるだけ多くの経営者に聞いて、意見を集約すれば、それほど悪い方へはいかないものだ。
いまこそ経営者のネットワークが必要なときだ。

求めよ、さらば与えられん!(マタイによる福音書) がんばれ社長!



2009.05.03 (San)
「内定」は卑怯者の言葉

ある方から辛辣な批判を頂きました。批判の核心はこうです。

 
「内定」は卑怯者の言葉

間接的にせよ、企業の労務管理を担当している関係上、見逃すわけにはいきません。
「内定」を取り消すことが卑怯というのではありません。「内定」そのものが卑怯だと!

ある方のメッセージには、こんな言葉が並びます。

 僕は思うのです。そもそも「内定」っていう言葉がいけないんだって。
 この世から「内定」を廃絶して、選挙速報みたいな「当確」とか、「確定」にすればいい。

 「内定」なる言葉はこれまで、就職希望者と採用側企業との間に意味の微妙な温度差を
 作ってきました。学生からすれば
 
  「内定が出た」 = 「雇用契約を結んでもらった」 

 なのに、企業側は

  「内定を出す」 = 「とりあえずの口約束を交わした」

 だから、企業側にしてみれば

  「ええっ?内定って反故にしちゃいけないの?だってまだ契約書もハンコもないんだよ?」

 っていうのが本音だったんじゃないでしょうか。

そして、ついに核心を突きます。

 内定という曖昧な甘言を廃止せよ!
 今後は契約を交わし「確定」が成立したとき初めて人材を確保できる方式に変えるべきだ!

ずいぶん過激な意見のようですが、曖昧模糊とした日本人のこれまでのやり方を痛烈に批判していて、「内定を取り消された人」や「派遣切りにあった人」などには胸がすく思いでしょう。

一方で、そんなに簡単なものではないという経営者の声も聞こえてきそうですが・・・・。
「内定」ではなく、「当確」や「確定」とするのは、要は、経営者の覚悟の問題なのでしょう。

「人を雇用する」とは

 「人の人生を預かる」 = 「人を幸せにする」

ことを忘れてはならないのだと思います。

さて、ある方とは、諏訪哲史さん。
2007年「アサっテの人」で芥川賞を受賞した1967年生まれの新進気鋭の作家です。



2009.04.18 (Sat)
失業問題と演劇

日経新聞・夕刊を開く。
文化欄の「失業問題は演劇と無縁か」(芸文余話)の文字が、目に飛び込んでくる。

読み進めていくと、どうやら東京都内のある劇場では、失業保険受給者に切符を割引販売しているようだ。つまり、失業中なら切符が安くなるというアイデアを持った劇場である。

いいことだ。未曾有の大不況で求人が少ない中、失業者は時に家に引きこもりになりがちだが、こうしたアイデアが功を奏せば、失業者も街に出ようという気になる。

今までの日本では、「失業中に芝居?そんな暇があったら就職活動しなさい」と言われるのが落ちだったが、不景気風がこうも冷たくては、“就活”は禁句だろう。

それで、失業者を元気づけるアイデアが必要になる。
レストランもコンビニも、失業者に割引の制度を設けたらどうだろう?

社会的弱者を救済するということではなくて、経済活性化への誘引としての割引制度として位置づけたらどうだろう。劇場の切符割引販売は、そんなことを教えてくれる。



2009.04.12 (San)
派遣会社が「結婚予備校」

 経営悪化 派遣会社が「結婚予備校」

という見出しが、中日新聞・社会面に踊る。
「“婚活”に活路」とも書かれている。

最近、“婚活”という文字を目にする。何だろうと思っていたら、どうやら「結婚のための活動」らしい。“就活”(就職活動)に対しての、“婚活”であるようだ。

さて、稲沢市の人材派遣会社が「結婚予備校」を設立した。景気悪化による“派遣切り”で、本業だけでは厳しくなり、派遣社員のスキルアップなど人材派遣で得たノウハウを生かしての設立だ。

これまで派遣社員に対しては、あいさつや接客などの講座を受けさせた経験から、“婚活”に絡めればビジネスチャンスがあると考えたのだ。

予備校は独身男女に身だしなみや食事のマナーなどの講義を月二回、計十二日間行う。
同じ会場で男女が学ぶので、出会いの場にもなると予想する。

受講料は三十万円だが、すでに三十三人から申し込みがあった。新入生たちは、早速歩き方や立ち方、豊かな表情をつくる顔の筋肉のトレーニングに取り組んでいるようだ。

雇用崩壊という厳しい現実の中、したたかに生き抜いている派遣企業がある。
生き残れるかどうかは、今まで蓄積した経験と社会の需要をしっかりと見つける力だろう!




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あおみ労務事務所 社会保険労務士 柴田比呂志
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