あおみ労務事務所
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「晴耕雨読」という言葉を、今しみじみ味わっています。
「晴れた日には畑を耕し、雨の日には読書する」すこぶる人間らしい気がします。
宮澤賢治が「雨ニモマケズ 風ニモマケズ・・・」と手帳に記したように、このページでは、心に浮かぶままの考え・感想や日常での出来事、変わりゆく景色などを、詩やエッセイなどの形で、気軽に綴っていきます。
2019.11.10(Sun)
さるすべり散り永遠を出ていった

昨日今日と、立冬に亡くなった叔父の通夜、葬儀。
身内の不幸をこの頁で書くことは憚られるが、書きたい理由がある。

それは、叔父も私と同様に短詩系文芸の書き手であったからだ。
叔父は元々は、名鉄系ホテルのホテルマン。

四十年超の歳月をホテルの接客に捧げた人だ。
穏やかな性格は、ここで培われたものだろう。

十代から油絵を描いていたようだが、知らなかった。
短歌をやっていると聞いたのは、十数年前。

そんなことはとうに忘れていたが、ここ数年、叔父の名を見る機会が増えた。
高浜市文化協会の「春日の森 市民俳句・短歌・川柳の集い」への応募作品である。

西尾市一色町に居を構える叔父がなぜ?と思ったが、すぐに高浜文協の会員であることを知った。
一色町文化協会の短歌部の仲間に誘われ、高浜文協にも入ったのだった。

高浜文協ではついに会えず終いになったが、叔父の作品が残っている。
いくつか書き写すことで、哀悼の気持ちを表したい。


梅雨冷のひそみし山の陰に来て額紫陽花のブルーと出会う

満ち潮に膨らむ海の水面より低きにありてデルタわが街

ここに吾勤めし日々あり廃駅の跡にたたずみ風に吹かれる

木漏れ日の坂を上がれば宗恩寺その裏山に父祖は眠りぬ

こどもらはスケッチブックに描きゆくそれぞれの海さまざまな秋

早春の野道を歩まん肩ならべタンポポの咲く川沿いの道

引き潮の渚にたちて沖を見る頬に冷たき早春の風

独り居の老女の逝きて誰もいぬ屋敷の隅に夕化粧咲く

空港のざわめきの中傍らを知らぬ言葉が通り過ぎゆく      鈴木日出夫

                              (西三文協短詩型文芸誌「やはぎがわ」より)




2019.11.03(Sun)
ネジひとつ壊れ男になっている

11月に入っても、日中の日射しは依然強い。
かつての11月は、もっと冷え込んでいたと記憶するが、これも温暖化の為せる技だろう。

寒くなると沖へ逃げるはずの鯊(はぜ)が、この時期になっても海岸べりの浅瀬を泳いでいる。
温暖化は地球にとっては迷惑な話だが、まだ鯊釣りができる私たちには有り難いことだ。

水曜日、「渡し場かもめ会」の神谷正巳会長から電話をいただいた。
渡し場かもめ会とは、先週紹介した嫁入り舟再現の立役者。

芳川渡し場まつりがメインの行事であるが、毎月の海岸清掃活動や「海の児童公園」の清掃・花壇の手入れ、海の水質調査などを行っている。

要は、ふるさとの美しい海の復元と嫁入り舟等の歴史文化の継承が目的。
が、どの組織でも避けられない状況にある会員の高齢化が最大の悩みの種だ。

会員増への“声掛け”か?と思ったが、違った。
要件は、渡し場まつりの時に投句した俳句が入選、表彰式への出席依頼だった。

すっかり忘れていた、と言うより半分覚えていない。
投句用紙と鉛筆を渡されたので、1,2分で書いて投句箱にポイ!

俳句になっていない代物では表彰式の品位を落とすので、最初、表彰式出席は断わった。
が、表彰式の後の反省会(懇親会)にも出席して欲しいとの熱心な言葉に負けて出席。

一杯飲ませてくれるとなれば、断る道理はない。
賞状の他に、副賞(吉浜の鶏卵30個入り1ケース)もあるらしい。

高浜市長、県議らの祝福を受けての栄えある表彰式。
好天に恵まれ、海からの風が心地好く、酔い心地抜群の反省会も楽しかった。

鶏卵1ケースを提げて、片道20分の復路をただ今帰還!
夕刻から、また吉浜の海岸へ家人と鯊釣りへ行く予定・・・・


参考までに入選作品10句は ↓


【令和元年第二十七回渡し場まつり俳句入選作品】

秋燕低く飛びおり嫁小舟  新美あさ子

秋風に嫁入り舟の影ゆらぐ  中嶋義一

渡し場に金管ひびく秋の空  梅田優奈

嫁舟と水面に映るいわし雲  神谷みち子

鯊釣りの海へ嫁入り舟がゆく  柴田比呂志

秋の陽が頬をそめたる嫁入り舟  吉岡初浩

ボラはねる渡しの舟の道しるべ  中川庄嗣

秋澄んで琴の音渡る衣浦に  神谷和代

秋の風ゆれる嫁舟幸せに  都築一雄

行く秋やふる里の精華(はな)渡船祭  杉浦節治



2019.10.27(Sun)
海に石投げれば夏がまだ匂う

昼過ぎから吉浜(芳川)の海岸へ。
いつもは夜の散歩で出かけるのだが、今日は“嫁入り舟”を見に行く。

この海岸は、「藤江の渡し」跡。
毎年この時期、「芳川渡し場まつり」が催され、嫁入り舟が再現される。

藤江の渡しは、江戸時代から三河と知多をつなぐ交通手段だった。
旅人や行商人のほか花嫁らも利用したといわれる。

昭和31年、衣浦大橋ができて渡し舟は廃止。
地元の保存会(渡し場かもめ会)の尽力で、平成5年から芳川渡し場まつりが開催。

嫁入り舟が再現されたのは、平成8年から。
毎回、二組のカップルが乗船する。

その他、金管バンドや大正琴、和太鼓にチアダンスのステージと海の日の標語の表彰式。
豚汁・綿菓子・だんご等の屋台が、祭りに彩りを添える。



嫁入り舟



「藤江の渡し」跡 説明板


 ひとりでも遊べる海に石投げて   新家完司

嫁入り舟を見ていたら、ふと完司さんの川柳を思い出した。
秋の夕暮などはとてつもなく似合う句だ。

完司さんは、「ひとりでも遊べる海に石投げて」のそのままの人。
純粋な少年の心をいつまでも持ち続けている人だ。



2019.10.20(Sun)
元気です心に海を光らせて

諸般の事情で、先月を最後に川柳塔社の「web句会」が休会となった。
毎月20日〆、25日前後が発表だっただけに、淋しい気もするが、肩の荷も一つ下りた。

このweb句会が始まったのは、2016年4月。3年半続いたことになる。
記憶の限りでは皆勤である。いい作品は一つも書けてないが、いい学びをさせてもらった。

句会、大会の発表誌同様に、web句会も入選句の結果が勉強になる。
川柳塔社のホームページに今までの結果があるので、興味があればご参照ください。

   
 https://senryutou.net/web-kukai-touku/


web句会に参加して、川柳に対する見方が少しずつ変わってきたように思う。
これは当然、選者の時の選句の仕方にも関わってくるが、まず、きれいごとや正義を言わないこと。

川柳は人生を詠むが、人生論を語るものではないこと。
いい句を詠むには、簡単に発表しないこと。

再考し、熟成させ、時には全く違うものにして世に問う機会を待つこと(勲二郎談)。
と言いながら、まだまだきれいごとを詠んでいる己がいる、情けない・・・・。

↓ は、最近ハッとした作品群(web句会発表)、新しい!


バス停が醤油くさくて町を出る  芍薬  「出る」

Wi-Fiと青いもの何かください  怜  「何か」

まっすぐに雨が降る日のイギリス語  エノモトユミ  「英語」

周波数あわせる時に混ざる海  エノモトユミ  「ラジオ」


「必要な人員や予算が確保でき次第再開いたします」とあるから、web句会もいずれ再開する。
しばらくは充電期間を持つのもいいだろう。

「待つ」ことは、何においても必要なことである!



2019.10.13(Sun)
この道でいいんだタップ踏みながら

昨日からの三連休は、12日(土)・岐阜県川柳作家協会川柳大会 13日(日)・俳句の会(ペンキ句会) 14日(月)・豊橋文化祭川柳大会と続くはずだったが、出鼻を挫かれた。

台風19号により、岐阜の大会は中止。
大垣の街並みの散策が叶わず残念だった。

が、当日の席題以外はすべて事前投句してあるので、大会は中止されても結果は残る。
追って、入選句と大会成績上位者の発表があるだろう。

今日は、俳句の会。
いつもと違う午前中の開催だったが、10名が出席。

川柳の句会、大会が重なる中で、準備不足もいいところ。
まだまだ俳句への意欲が欠けているのだろう。

提出句と点数は ↓


抜歯した窪みに沁みてくる夜長

かりんとうの甘さを抓む長き夜 (3点)

御嶽がよく見える日の落花生 (4点)

鯊釣りやまだ少年の日のぬめり (2点)

湖に霧ボートの上で擦るマッチ (1点 特選1)


「湖に霧」の句は、富沢赤黄男(とみざわかきお)の次の句の盗作。

一本のマッチをすれば湖は霧

赤黄男のこの句は、昭和16年太平洋戦争開戦の年の作品。
戦後、寺山修司が(おそらくは)この句に触発されて、次の歌を詠んだ。

マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや

私の盗作句は、学生時代の想い出を詠んだ。
友人と山中湖で貸しボート屋のボートを漕いでいた。

立ち昇る霧に一瞬のうちに包囲された。
ボートとオールと友の顔以外は見えない。

なす術もないから、煙草に火を付けて一服した。
霧が立ち去る以外にどうすることもできないからだ。

幸いなことに、数分後ボート屋のモーターボートが助けに来てくれた。
ボート屋にとって、“遭難”は日常茶飯のことだったのだろう。

あの日から40年近い、光陰は矢の如し・・・・


さて、明日は豊橋の大会。
句の用意はしてあるが、いいものがない。

時計の針は午後10時を回った。
黒糖焼酎を舐めながら、推敲とやらをしてみよう!



2019.10.06(Sun)
寸劇が始まる空が掻きくもる

土・日は、岡崎川柳研究社の本社句会と高浜川柳会の句会で明け暮れた。
それほど長くやっているわけではないが、作句という準備を含めると結構な時間になる。

5日、6日は国民文化祭の川柳大会が新潟で行われていた。
5日は前夜祭で、200を軽く超える柳人が再会を喜び合っただろう。

柳誌でしか知らない仲間と肩組めば、たちまち10年来の知己である。
背景に同じ志を抱いている者どうしの契りは、かくも深い。

今日は大会当日。
どんな句が特選に選ばれ、表彰されたのか?

明日には柳人のブログで知ることができようが、やはり参加が叶わなかった痛手は大きい。
しばらくはまた、ポッカリと心に穴が開くのだろう。

↓ は、昨日の本社句会の入選句。
何年やっても上手くならない!

どれほどの甘さか水を選る蛍  「レベル」

C難度生きてゆくのは難しい  「レベル」

海に石投げれば夏がまだ匂う  「投げる」

ちっぽけな秋を掴んで巴投げ  「投げる」

投げ竿が大きくしなる鯨だな  「投げる」

増税へムンクは叫び声上げる  「雑詠」

咳込んでいます逝く夏への余韻  「雑詠」

妻とだけ分け合う林檎一つ買う  「雑詠」


そしてこちらは、高浜川柳会メンバーのキラリ光る一句。


雑草の種までできたサボり癖   悦子

草むしり蟻の豪邸土砂崩れ  文子

おまけ好き九月に暑さもういらぬ  典子

地獄耳爺ちゃん忍者盗聴器  康司

悩んでも名句出てこぬ満腹後  清和

逃げ道はどこにでもあるソーダ水  比呂志


P.S.

国文祭にいがた表彰句(紋章川柳ブログより)



2019.09.29(Sun)
少年に風が見えるだなんてウソ

先週の日曜日から心に穴が開いてしまっている。
正確に言うと、大相撲秋場所千秋楽が終了した午後6時。

関脇・御嶽海の幕内最高優勝で幕が閉じられたのはいい。
中盤から、実力、風格ともに、幕内最強力士に見えたものだ。

同じく関脇・貴景勝を優勝決定戦で下したのもうなずける。
これからの角界を担う二人は、常に良きライバルとして競い合うことだろう。

秋場所は、@貴景勝の大関復帰 A平幕・炎鵬の勝ち越し を期待して、大相撲を見ていた。
この2つは難なく(?)達成されたが、千秋楽、貴景勝が負傷するという事態に見舞われた。

右膝の負傷から地獄を見た貴景勝が、またもや同様に地獄を見るのか?
その後の経過は分からないが、短期の治療で直ることを祈るのみだ。


月曜日は、愛知川柳作家協会の川柳忌・みたままつり句会。
この一年の物故者のみたまに祈りを捧げる日である。

久し振りに柳友のYさんにお会いでき、うれしいことだった。
Yさんのスケジュール帳のカバーには、私の句が二つ挟まれていた(↓)。


かなしみもあって桜の狂い咲き

リズムよく生きたか川という流れ


手本というのではないだろうが、拙句を評価してくれるのはありがたい。
お蔭で、前日からの心の穴が少し埋まったような気がした。

句会の結果です。

生きるため芸に磨きをかける象  「ノルマ」

木から樹へ少年の日の志  「志」

老いだろう少しずれてく周波数  「じわじわ」



2019.09.22(Sun)
木から木へ風は冒険くりかえす

昨日から「春日の森 市民俳句・短歌・川柳の集い」(高浜市文化協会主催)の小・中学生の応募句(歌)の選をしている。いわゆる一次選で、入選候補作品の選別である。

高浜市は、小学校が5校、中学校が2校あって、春日の森にはおよそ7千作品が寄せられる。
文芸部員が総出で、この7千を160まで絞り込む作業は見た目以上にキツい。

私は、港小学校と南中学校を担当。
小・中学校は俳句の作句を基本としているが、
南中学校の2年生だけが短歌。

選をして感じるのは、俳句の難しさだ。
字数が少ないだけに言い切ることができない。

省略の文芸ということが、生徒たちには解からない。
たとえ解かったとしても、高度なテクニックを必要とする。

それに比べて、短歌は最後の7・7で自分の感情を言い切ることができる。
生徒も伸びやかに感情の吐露ができるようで、読んでいても気持ちがいい。

角川春樹は、俳句の特質を次の3要素とした。

1 俳句とは映像の復元力である。

2 俳句とはリズムである。

3 俳句とは自己の投影である。

と、書いたところでこの域へ容易には到達できないものだ。
先ずは説明ではなく、映像が浮かび上がること。

そして、リズムは韻文であるがゆえ、言わずもがな。
自己の投影は、句の中に自分が存在するということだろう。

何とも難しい話だが、いい作品に多く触れることで、この3要素は見えてくるだろう。
生徒と一緒に学んでいきたいものである!



2019.09.16(Mon)
いい夢を見よう木陰のハンモック

行ってきました、4年ぶりの飯田。
2019年長野県県民芸術祭参加 第73回 長野県川柳大会。

7年前、4年前に続いて、3回目の来飯(らいはん)である。
例によって、県道419号線、伊勢湾岸道路、中央道と乗り継いでのおよそ2時間の道のり。

まだ暑いが、絵に描いたような秋日和。
青空の中に宝石のように光る鱗雲が初秋を演出していた。

飯田インターチェンジのりんご並木には、まだ青いりんごが鈴なり。
このりんごを見るたびに、飯田に来たんだと実感が湧く。

7年前、川柳きぬうらクラブの当時の会長・浅利猪一郎さんが選者のときに行ったのが最初。
誘われたわけではなく、全くの傍観者だったが、成績は合点で7位(飯田市議会議長賞)。

4年前はと言えば、合点10位の飯田天柳吟社賞を受賞。
そして、今年は合点5位、長野県川柳作家連盟賞である。

いずれの年も、↓ の秀句(天、地、人)が合点をはね上げた。
ちなみに、合点は、平抜き1点、佳句2点、秀句3点で計算される。


7年前  小さい秋どんな袋に入れようか  「袋」

4年前  愚痴こぼす日は何度でも歯を磨く  「合図」

今 年  この道でいいんだタップ踏みながら  「道」

  〃   元気です心に海を光らせて  「元気」 席題


↓ は、今年の入選句。

長生きはせんでもいいと父の背  「姿」

この道でいいんだタップ踏みながら  「道」

モラルって心の隅に射すひかり  「光る」

もうひと花咲かす六十歳の地図  「望」

天を衝くかみなり様の応援歌  「元気」 席題

元気です心に海を光らせて  「元気」 席題


今年の参加人数は、出席者84名、投句者69名の合計153名だった。
飯田での次の大会はおそらく4年後(長野大会は、長野、上田、小諸、松代、飯田の持ち回り)。

長旅(と言うほどでもないが)は、歳とともに堪えるが、頭を真っ白にするには最適。
浮世を忘れさせてくれるのは、川柳の効能である!



2019.09.08(Sun)
逆上がりみんな入道雲になる

待ちに待った大相撲秋場所 初日である。
贔屓力士は、関脇 貴景勝と平幕の炎鵬。

リアルタイムは無理だったが、大相撲中継終了前の録画では見ることができた。
結果、二人とも難なく(?)勝ちを収めた。

炎鵬はさすが相撲巧者、阿武咲に対し、目の覚めるような掬い投げ。
貴景勝は、一瞬ヒヤッとする場面もあったが、埼玉栄高の先輩 大栄翔を貫録の突き落とし。

とにかく、この二人が勝ってくれさえすればいい。
貴景勝は大関返り咲き、炎鵬は勝ち越しが当面の課題だが、二週間後は、神のみぞ知る、である。


さて、秋になり文芸の季節がやってきた。
昨日今日の川柳句会、大会の結果である。

7日 岡崎川柳研究社本社句会(岡崎市中町 参加人数20名)

少年に風が見えるだなんてウソ   「嘘」

ゆうやけと帰る鴉が鳴いている   「ぞろぞろ」

老いという反乱軍が来ています   「ぞろぞろ」

民主化へデモは牛歩の足並みで   「ぞろぞろ」


8日 中部地区川柳大会(名古屋港ポートビル 参加人数168名)

空仰ぐパズル一つが埋まらない   「仰ぐ」

寸劇が始まる空が掻きくもる   「劇」

一人の劇場しあわせごっこする   「劇」

逆転打わたしを包む風がある   「包む」

日曜のレシピに父が跳ねている   「ほのぼの」



2019.09.01(Sun)
正解はいらないアユの掴み取り

昨日、今日と近くの海岸へハゼ釣りに行った。
四半世紀ぶりで、何もかも忘れてしまっている。

しかし、釣竿と糸と錘と釣り針があればなんとかなる。
幸い釣竿と糸はかつてのものが健在、あとは錘と針とエサ。

近くの釣具店で、ないものを購入、エサは海岸でゴカイを探した。
こうして一応は釣りの格好を整えたが、腕の方はにわかには上達しない。

果たして、初日の釣果は中ぶりのハゼが一匹。
本日は、一時間ほどエサを泳がせたが、ピクッともしない。

二日でハゼ一匹とは畏れ入ったが、お蔭で浮き世を忘れることができた。
考えれば、魚釣りとは何と非日常の行為だろうか。

「野ざらし」という落語がある。
そのまくらに、“馬鹿の番付”というのが出てくる。

西の横綱は、「醤油を三升飲んで死んだ人」。
東の横綱を張ったのが、「釣りをする人」。

なぜ「釣りをする人」が馬鹿かというと、水の中に魚がいるかいないか判らないのに、そんな所にノウノウと糸を垂れてる奴は、馬鹿の親玉だということだそうだ。

ここから「野ざらし」の噺に入っていく。
立川談志は、このまくらの後、一つジョークを入れた。

「こないだ馬鹿の横綱を見たよ。釣れもしないのに、一日中、ジッと糸を垂れてる奴」。
「なんで一日中ってわかるんだ?」

「だって、俺、一日中、見てたもん」
「お前が、一番、馬鹿だ」

かくして非日常は過ぎてゆく。
秋が少し大きくなって来る!



2019.08.25(Sun)
火の匂いさせて男は立ち上がる

お正月は伊勢で過ごしませんか。
初詣と川柳の二本立て!

ローカルな始まったばかりの伊勢での川柳大会へ、比呂志さんの詩情あふれる作品をお待ちしています。ぜひ!!いらして下さい。

* 令和2年 新春“おいせさん”川柳大会
* 令和2年1月13日(月 成人の日) 10時開場
* シンフォニアテクノロジー響ホール伊勢4階大会議室
  (伊勢市観光文化会館 近鉄宇治山田駅前すぐ) 


三重川柳協会の東川和子さんが ↑ の手紙をくださった。
これぞ達筆と思わせる、毛筆書きの手紙には恐縮するばかりだ。

川柳を始めてから、こうした手紙をいただくようになったが、同世代ではまずあり得ない。
いずれも、一回り以上歳の離れた人生の先輩たちからだ。

私などは、パソコンで文章を作成して“よし”としてしまうが、古き良き時代の先輩方は、自筆(場合によっては毛筆)でなければ納まりがつかないのだろうか?

通信手段の多くがメールになっても、手紙という慣習は残って欲しいと思う。
自筆の手紙は、世知辛い世の中で棘とげになった心の襞を潤わせてくれる。

東川和子さんの名を出したついでに、 ↓ は、彼女の川柳作品。
いずれも洒脱で、川柳センスが光る。


プロポーズどちらの耳が聞いたのか

六月の花嫁だって風邪を引く

あなたには鳥の言葉で返事する

屑篭の中でも海の絵は青い

南瓜から包丁抜けず一大事

冷めないうちに召し上がれ 恋も

どうせなら明るい方にグレてやる

新妻の隠れ場所なら春キャベツ

点滅が始まってます初老です


出典
「三省堂 現代川柳鑑賞事典」(三省堂 田口麦彦)
「三省堂現代女流川柳鑑賞事典」(三省堂 田口麦彦)
「川柳よっかいち 2011 12」(四日市川柳会)



2019.08.18(Sun)
短歌の友人

盆の初日、久々に書店へ行った。近所の古本屋だ。
諸般の事情で十八日が閉店らしく、すべての商品が値札の半値。
まあ、そんなことは知らずに、ついでに立ち寄った店だが、二冊を購入。
そのうちの一冊が、穂村弘著『短歌の友人』(文庫200円)。

この本は、著者初の歌論集で伊藤整文学賞を受賞している。
2007年12月に河出書房新社より刊行。
文庫の方は、2011年2月初版印刷。
初出一覧を見ると、
2000年から2007年までに発表された作品群。
12年から19年前ということになる。

「短歌とは何か」「短歌はどのように変化してきたのか」「これから短歌はどうなっていくのか」が書かれているはずだが、お頭の弱い私には難解すぎて手におえない。

そもそも“ほむほむ”こと穂村弘は、洒脱なエッセイを得意とする軟弱な歌人が売りだったのではないか。例えば、「1%のラブレター」。



 目の前のカップルが、いつかどこかで出会い、時間の経過とともに微妙な眼差しや言葉や行為を
  交し合って、少しずつ関係を深めていったのだ。こいつらの全員がそれをやったのだ。
  『ふたりのやりとりの複雑さ』×『道のりの遠さ』×『カップルの数』を思って、ふーっと気が遠くなる。



穂村は、「怖くて結婚できない」などと平気で言う人で、それが軟派なイメージをもたらすのだが、『短歌の友人』を開けると、そこには硬派な言葉たちが缶詰のように詰まっている。
私が理解できたところは正直言って二か所。まずはその一つ。


現在(初出一覧から十六年前)の短歌の世界は、酸欠状態にあると言う。
酸欠とは酸素が少ない状態。では、酸素の正体は何か。
それは、人間の愛や優しさや思いやりだろうが、それらが本当に失われてきたのだろうか、と穂村。
そうではなく、今の世界には行き場を失った優しい心たちが、世界の至るところに虚しく溢れている。
そうした心を伝播循環する何かが欠けているから、心が迷子になったり、変形したりしているのだと。



 誰もが自分がいる場所を見失って、迷子の心で強く強く強く〈誰か〉を求めている。
  ときには目の前に〈きみ〉がいてもなお、〈誰か〉を求めるのである。


理解できた二つ目。ここでは、穂村が先輩歌人にケチョンケチョンに貶されている。どう貶されているかと言えば、第一歌集『シンジケート』に対して、何の感興も湧かないとか、チンプンカンプンで歯が立たないとか、物質観と生活感の欠如とか、もっと言うなら、自己とは何か、人間とは何か、人生とは何かということへの真摯な問いかけの欠如。もののあわれや無常観を根っ子にしたところの死生観の欠落を大いに嘆いているのである。そして、こうまで言っている。


 いや、もしかしたら私の歌作りとしての四十年は、この一冊の歌集の出現によって抹殺されるかも
  しれないという底知れぬ恐怖感に襲われたことを正直に告白しておこう。
 本当にそういうことになったとしたら、私はまっ先に東京は青山の茂吉墓前に駆けつけ、
 腹かっさばいて殉死するしかあるまい。



歌人論でありながら、このときの文章には引用句が一首もない。それほどまでの憤怒は、斎藤茂吉の作品を頂点とする「命の重みを詠う」という至上の価値に抗った作品に見えたということだろう。
これにより、穂村は、異質な作風の存在が人間性や人生そのものの否定に直結する詩型の特異性を強く感じたと言うのだ。


ところで、私も穂村の歌を知らない。
上の先輩歌人が激怒するほどのものなのか。作品を調べてみた。



 体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ

 サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい

 「とりかえしのつかないことがしたいね」と毛糸を玉に巻きつつ笑う

 子どもよりシンジケートをつくろうよ「壁に向かって手をあげなさい」


いずれも、第一歌集『シンジケート』から引いた。作品の良し悪しは素人には分からないが、少なくとも同世代の私にとって、口語体も鉤括弧も内容も違和感はない。
しかし、ひと昔前の歌人からするとムカつく存在なのだろう。文語を愛し、命を詠う短歌だけを歌だと信じる世代にとって、台頭する新人類は、里に下りて来るイノシシやクマのような駆除すべき猛獣でしかない。


缶切が錆び付いて、『短歌の友人』の缶詰はこれ以上開かない。錆び付いているのは、私の凹んだお頭に他ならないが、錆を少しずつ落としながらこの本をもう一度味わってみようと思う。
短歌という谺が還ってくるような気がするのだ。

                                        (刈谷文協文芸誌「群生」寄稿)




2019.08.11(Sun)
心まだひらがなでいる夏の雨

夕刻の散歩は、涼風を求めて衣浦の海へ。
夏至の頃に比べてずいぶん日が短くなった。

片道二十分ほどの距離を歩けば、海に着くころには真っ暗。
百数十メートル離れた対岸の民家の灯が目に映るだけだ。

海岸は釣り場になっていて、数多の釣竿が並ぶ。
人の数はその半分にも満たず、竿の先端から発する光だけが力強い。

釣り人はウナギを求めて夜毎通ってくるようだ。
ウナギは、ハゼのようには食いつかず、よって仕掛けの数で勝負ということか?

ウデに加えて、潮の流れ、時間帯、釣るポイント、餌・・・・・
いくつかの条件が重なってウナギは釣れる。

一晩に七、八匹を釣る猛者もいれば、ボウズで帰るカナシイ人もいる。
釣り場には釣り人の悲喜こもごもが残されている・・・・


今日、午後からは「俳句の会」(11名出席)。
面白い句が数多!上位得点句を紹介します。


5点句
採れたての茄子へ白紙委任状   比呂志

4点句
秋暑し名簿発注者の名簿   三千代

3点句
骸とは軽くなること甲虫  当卯

脳天に枇杷の葉っぱの土用灸  風子

らむね玉からからから旅の果   しょう子


「芸術の基準は“美”」という主宰の言葉が印象的だった!



2019.08.04(Sun)
新しいチカラが海のまま走る

寝る前のひと時、いつものように柳誌の拾い読み。
どこでどう手に入れたものか、おかじょうき川柳社の「月刊おかじょうき」。

「2018 4・5月号」とあるから、1年数ヶ月前の発行の柳誌だ。
作りはモダン。センスの良さはピカイチ!

おかじょうき川柳社の代表はムーさんことむさしさん。
編集は、まだ40代ながら柳歴20年以上を誇るSinさん。

柳誌のモダンさもさることながら、柳人の句もまたモダンである。
下は、3月例句会、4月例句会の天位句と評(たぶんSinさんの)。


3月例句会

席題「耳」 守田啓子・熊谷冬鼓 選

湖になるところに耳を置いておく  奈良一艘
 * きれいな映像が見えてきます。最期は湖に・・・。

トランプの耳がチクワになっている  小野五郎
 * チクワとは言いえて妙。

宿題「もたもた」 土田雅子 選

今朝はまだごはんを食べてないのです  鳴海賢治
 * この肩すかし感がたまらんです。

宿題「務」 小野五郎 選

アンパンでいるのがきっと妻の義務  徳田ひろ子
 * アンパンと妻の取りあわせが絶妙。平和が続くか、波乱含みか。

宿題「自由詠」 きさらぎ彼句吾 選

カタログと違う家族がやってくる  月並与生
 * 恐いですね。それも、家族のカタログが有るなんて。


4月例句会

席題「オノマトペ一切」 奈良一艘・守田啓子 選

たかが雨ふつふつふつと煮るりんご  まきこ
 * 闘志の煮方に賛成一票!

ピコピコと筋肉一人ぼっちです  北野岸柳
 * ユーモアの中に哀愁が漂っている。うまいなァ。

宿題「やれやれ」 須藤しんのすけ 選

深呼吸して爪痕を舐める  奈良一艘
 * やっと終わった〜やれやれ・・・。

宿題「目」 小野五郎 選

あんぱんの割れ目 人間の裂け目  守田啓子
 * あんぱんの割れ目から人間の裂け目へと一気呵成にもっていった背筋力。
    恐ろしいほどの噴出、表現。

宿題「自由詠」 むさし 選

泣いてるか泣いていないか嗅いでみる  奈良一艘
 * 泣いてるか泣いていないかなんて、みんなで嗅いでみればすぐ分かる・・・。


最後に、席題「祭り」でのむさしさんの一句。
祭りの威勢良さが一句に凝縮されている!

祭りだ花火だぎゃあてえぎゃあてえ蝉の羽根





2019.07.28(Sun)
土踏まず淋しい人のいる隙間

金曜日、川柳マガジン8月号が届いた。
いつも10分ほど目を通すだけで、そのまま本棚へ直行の雑誌。

だが、川柳界の出来事はおよそこの雑誌で知れる。
川柳という世間をこと細かに教えてくれている。

全日本川柳協会主催の「川柳文学賞」を徳永政二さんが受賞した。
先の浜松大会で知ってはいたが、活字になると政二さんの作品が甦ってきた。

7、8年前だろうか、徳永政二という川柳作家を知ったのは。
他の作家とはどこか違う、ふんわりとしたものを感じた。

「ふんわりの正体は何だろう」とやはり考えたくもなる。
思考が苦手は私には、そんなテーマは重荷でしかないが・・・・ともあれ、政二作品!


悲しみはつながっているカーブする

一本の木から汽笛を聴いている

よかったねよかった帽子ぬぎながら

そうですねそれは涙に近いもの

生きているみんなころがるようにして

君の全部僕の全部と橋の上

くりかえすことのうれしさバッタ跳ぶ


なんでもない夜よみかんに種がある

やわらかいタオルひとりというものよ

空を押すように金魚の浮くように


二人の川柳作家のコメントを紹介する。

「たいせつなひとに贈る、たいせつなひとことが書かれた特別なポストカードみたいといえば、イメージが伝わるだろうか」(川柳家・なかはられいこ)

「〈君の全部僕の全部と橋の上〉 いいなあと橋の二人を見上げている。
見上げながらドキドキしている」(川柳家・芳賀博子)



2019.07.21(Sun)
爪痕を残すこの世が好きだから

大相撲とは長く縁が切れていたが、近頃復活した。
貴景勝の大関取りがその契機だったから、去年の九州場所くらいからか?

順調に大関に上り詰めたのはいいが、その後の怪我で先場所途中休場。
今場所全休により、来場所の大関陥落が決まった。

貴景勝の不在で、今場所はつまらないと思っていたが、どっこい。
やはり名古屋は一波乱も二波乱もある場所である。

横綱・鶴竜が久し振りの安定した取り口。
終わってみれば、14勝1敗の幕内最高優勝。

この人は人柄がいいだけに、勝負師には不向きと思っていたが、思い違いだったか?
やるときはやる!武士道が似合うモンゴルの侍である。

今場所、特に注目したのは、“炎鵬”。
名の通り火の玉小僧だが、小よく大を制すの見本品である。

往年の舞の海をさらに小さくした感じ。
公式では、168a、99`とか。上背は私より低い。

この火の玉小僧が、今場所はやってくれた。
先場所が7勝2敗からまさかの6連敗。

さらに今場所は、7勝3敗からの3連敗。
何と十度目の正直で勝ち越し、千秋楽も白星で飾り9勝6敗。

今場所9勝6敗の十両二枚目の石浦は、来場所間違いなく幕内へ復帰。
横綱・白鵬の土俵入りの太刀持ちと露払いとして、二人の勇士にお目に掛かれるだろう。

秋場所が今から楽しみだ。

さて、参議院選挙の結果が出る頃だ。
テレビに張り付いてこの国のかたちを見定めよう!



2019.07.14(Sun)
嘘ひとつ運命線が流れだす

かつての詩を読んでいると、いい詩というのは止め方のうまさにあると感じる。
止めが全体をまとめるのではなく、詩そのものを膨らませていくのだ。

教師が嫌になった
嫌いな子もたくさんいるのだ
ひいきしたい子もいる
好きな子といっしょにいやな奴を苛めたいが
もらるは
それをゆるさない
                    (伊藤比呂美「さるすべり」)

初夏
反歯の教師にSVCの文例問われた
I feel fine.
ぼくの答えに振りむいた女の子

くるり
プールサイドでしたことは
解かれて薄暮
膝がなきそうだった・・・・・・

それもこれもくるりくるり
女の子も
英語に振りむくなんてあれっきりだろう
                    (阿部恭久「生きるよろこび」)

火葬場ではぼくを
えりわけることなどせず
ぜんたいへ優しい火を
はなってもらおう

草を刈ってしまったら たったこれだけの人だった
なんて
君が空を見あげて
悲しまない ように
                    (松下育男「除草」)

めはうるみにうるんで川となり
やがては海、とは行かず
たいていはそのまま終わるのだが
たかが川までの、という威勢を
ためているということで
生地アマゾンもときにちいさく見える
そら、あくがれの
四ツ足であるぞ
さみしい鰐の通い商い
そんな目の高さが
夏の日の底でどこか
おおごとのものとして
見当たる
                    (荒川洋治「さみしい鰐のめぐすり」)


川柳の方では、昭和の六大家の一人・川上三太郎が、「句とは十七字にちぢめる事ではなく 十七字にふくらむ事である」と言っている。

十七音に膨らますカギは、やはり中七、下五の言葉選びだろうか?
突飛なものではなく、一見違和感を持たせながら、なるほどと思わせるもの。

あった、あった。
なかはられいこさんの下の句が参考になる。

スタンプを集めてもらう真空地帯

UV対策終わりましたか有事です

ファスナーを下げて引きずり出す国家

エプロンと海岸線をつけたまま

寄せて上げて寄せてきれいな月つくる

                    (なかはられいこブログ「そらとぶうさぎ」)

こんな佳句ができ上がるまで何年掛かることだろう!



2019.07.07(Sun)
スルメ焼く俺の闘志が反り返る

中元が届く。
夏場だから、缶ビールや冷麦・素麺の類が多い。

お客さんが気を使って下さるのはありがたいが、こちらとしては却って身構える。
本当は、いの一番にこちらから持参しなければいけないところだが、この時期は業務多忙だ。

だから、お返しの品を持参できるのは七月の中旬以降。
それも、疲れ切った体に鞭を打った挙句であり、些か情けない。

昨日は、二か月ぶりの本社句会。
席題の選者が待っているから、渋々と言ったところ。

席題「戦う」。
参議院選挙の公示があり、二週間後が投票日。

そんなところを題意に秘めたが、「選挙戦」に関しての句はゼロ。
やはり、敗戦の苦い思い出や日々の暮らしといった切り口が多かった。

「生活は戦いであり、職業は武器である」
高校の頃の教師の言葉が甦った。

フランスの技術者養成専門学校の校訓だ。
教師は、この校訓がよほど気に入ったとみえて、生徒に何度も話した。

今思えば確かにそうで、生活という戦いを噛み締めているが、学生の身にどれほど伝わっていたか?平穏な暮らしが当たり前の甘ちゃんには、試練などまだまだ先のことだった。


プチプチを潰すひとりの日曜日  「暇」

暇というしあわせもある凪の海  「暇」

心まだひらがなでいる夏の雨  「雑詠」

ディズニーの夢を見ている水枕  「雑詠」

戦いがはじまるソーダ水の泡  「戦う」 軸吟



2019.06.30(Sun)
あおぞらが野心を持ってから歪

昨夜からの雨が夕刻にピタリと止んだ。
梅雨時でも雨と雨との切れ間は必ずあって、一瞬だが、強い光が射し込んだ。

青い街・シャウエン(モロッコ)が写し出された六月のカレンダー。
明日には一枚捲られ、七月の景色が顔を出す。

いよいよ本格的な夏だ。
その前に、やらなければならないことが山と積まれているが・・・・


先週、鈴鹿市民川柳大会でご一緒させて頂いた川柳塔社の編集人・木本朱夏さんが、「川柳塔No.1106」を送って下さった。分厚い!さすが、麻生路郎が育て上げた川柳塔誌である。

同人、誌友の雑詠の他、句会報告、排風柳多留研究、初歩教室、川柳鑑賞など読み応え満点。
これ以上の中身を持つ柳誌は、外に見当たらない。

中でも、上方芸能評論家の木津川計さんの「川柳賛歌」(前月号鑑賞)は圧巻。
木津川さんが先に発刊した「人生としての川柳」(角川学芸ブックス)のファンである私には堪らない。

例えば次のような鑑賞文。

 
ぶらんこの揺れに任せる花の午後   山岡冨美子

宮本輝の『花の降る午後』は、「異国情緒にあふれる街・神戸」を舞台にした恋愛小説だった。
神戸に花が降るのなら京都には何が降るのかを問うと『雪の降る午後』が似つかわしかろう。

ことにうっすらと雪化粧の金閣寺がいい。
すると大坂には何が降るのか。

遺憾ながら、『銭の降る午後』という他はない。
どの都市にも町にも降ってくるものがあろう。

“愛情は降る星の如く”、そんな街で冨美子さんは幸せのぶらんこに身を任せたに違いない。


格調の高さは他の追随を許さない。
読書量もモノを見る目もやさしさも、一級品である。


新家完司さんの「愛染帖」(投句選・評)もよい。
浜松(全日本川柳大会)と鈴鹿と二週に亘ってお会いできたことは光栄だった。

↓ は、愛染帖の上位二句の完司評。

 
詫びながら左右に揺れる草刈機   上村夢香

そうか、あのエンジン音は「ゴメ〜ン ゴメ〜ン」と言っているのか。
人間の為に作られた道具のほとんどは動植物の敵。


 再雇用され上座から下座へと   月並与生

定年のあと同じ職場で再雇用して貰ったのは良いが、肩書は外れて給料はダウン。
さて、これからが人生の深い味である。



青い街・シャウエン



2019.06.23(Sun)
手を洗うまではガキ大将でした

鈴鹿川柳会の過去の会報誌を繰っている。
手元のモノは、「第10回 鈴鹿市民川柳大会号」とある。

平成24年7月号と記されているから、7年前だ。
川柳に本腰を入れ始めたのが、確か平成23年5月。

そうか、翌年にはもう県外の川柳大会に参加していたのだ。
デビューの年の入選は、1句だけ。

風が見えなくなって少年期が終わる  「自由吟」(天根夢草選)

その後の変遷を辿ってみよう。
平成25年。

ふるさとの訛りに返る電話口  「気楽」(吉崎柳歩選)

手に取ればこんなに軽い鬼の首  「残る」(荒川八洲雄・田中五十鈴選)

凹んでるときにもパンのいい匂い  「自由吟」(新家完司選)


平成26年。

天窓が結ぶ非日常のそらへ  「結ぶ」(青砥たかこ選)

理想論いつも迷子になっている  「外」(鍋島香雪選)

しあわせへ回転ドアは故障中  「耐える」(伊勢星人選)


平成27年。
この年は、選者として登壇した。

ハンカチを忘れて少しだけ自由  「自由吟」(吉崎柳歩選)

どんぶりを割りたい曇天の虚ろ  「どんぶり」(軸吟)


平成28年。


冷奴こんないい手がありました  「適当」(宮村典子・加藤友三郎選)

テキトーを許さぬ全開の蛇口  「適当」(宮村典子・加藤友三郎選)

溺れてもいいかな美しい海に  「自由吟」(森中恵美子選)


平成29年。

桃缶が冷え憎しみは半分に  「憎い」(真島久美子・高柳閑雲選)

炒飯の具にする苦手意識など  「苦手」(猫田千恵子選)

夏だから恋は薄めの睨めっこ  「自由吟」(井上一筒選)

剃刀のようです雨の日の手紙  「自由吟」(青砥たかこ選)

竹筒のようかん恋は奥手です  「筒」(丹川修選)


平成30年。

バカボンのパパによく似た人格者  「人格」(吉崎柳歩選)  

ピノキオの鼻はいらない人格者  「人格」(吉崎柳歩選) 

復讐のかたちで雨は横なぐり  「自由吟」(木本朱夏選)

海に石投げて大人になってゆく  「大人」(小林祥司・浜野みさえ選)

雑巾を絞りきれいにするこの世  「絞る」(田沢恒坊選)


さて、第17回 鈴鹿市民川柳大会へ、いざ出陣!
どうやら一日もちそうな天候である。


※ 鈴鹿市民川柳大会の入選句

あおぞらにヒコーキ雲という未練  「未練」

どしゃぶりは青空になる通過点  「自由吟A」

高波となりニッポンを洗う海  「自由吟A」

準備体操まだ坂道を上がれない  「自由吟B」  

記憶ってキリンレモンの泡なんだ  「自由吟B」



2019.06.16(Sun)
海ひとつ抱えおとこよ淋しいか

梅雨晴れ間の日の川柳大会だ。
大会は大会でも、全日本川柳協会(日川協)主催の大会ともなれば600を軽く越す人の群れ。

会場は地割れを起こしたかのように深くて暗く低い音。
「鬩ぎ合い」という言葉があるが、投句作品と選者とが湖底で対峙する一瞬である。

昨日が、東海市市民川柳大会。
日川協大会前夜祭参加のために、選者の入選発表(披講)の途中で退席。

東海市民センター会場を後にしたのが2時30分。
すぐに車を飛ばして、JR刈谷駅前駐車場に3時10分着。

刈谷駅発車が3時22分、豊橋市着が3時57分。
さらに豊橋駅発車4時、浜松駅着が4時35分。

ここで初めて、予約ホテルの地図を確認するも、土地勘がないので何度も迷う。
浜松駅から東へ徒歩3分の「くれたけインアクト浜松」のチェックインは、すでに5時を回っていた。

少し心を落ち着かせてから、前夜祭会場へ。
会場の受付には、北海道から台湾までの数多の人の山。

山を掻い潜り(受付を済ませ)席次表のテーブルについたのは、開会(5時30分)5分前。
後は惰性で二次会(カラオケ)まで楽しい一時を過ごしたのだった。

本日の入選句は ↓


正体は青空とても目がきれい   「さすが」

新しいチカラが海のまま走る   「走る」


帰宅したら、東海市民川柳大会の結果がファックスで来ていた。
武久さんありがとう。 入選句は ↓

私心なく生きて観覧車は回る   「私」

土踏まず淋しい人のいる隙間   「隙」

人参の乱切り隙のない暮らし   「隙」

青色にしよう曇りの日の付箋   「色」

百均にありますしあわせの翼   「翼」


娘からの宅配も届いていた。
父の日のプレゼントだ。

獺祭(清酒)三本セット。
心して飲むことにしよう!



2019.06.09(Sun)
期待値が高まるジャムのいい匂い

雨期に入り、苺の収穫がほぼ終わった。
食卓を日々賑わせていた赤い彩りがもうすぐ無くなる。

不揃いの苺をそのまま抓んだり、手製のヨーグルトを掛けて食べたり、ジャムにしたり・・・・
初期の頃の薄味だった苺は、うっとりするほどに甘さを増してきた。

苺よさらば また来年!と手を振っておこう。
さて、我が家のこれからは、ラズベリーとブラックベリー、こちらも楽しみだ。


今日は、ペンキ句会(俳句)の月例会。
総勢12名の強者が一堂に会しての俳句の読みの会である。

12名は、私を除いていずれも精鋭。
従って11名の精鋭+1名のヘッポコが本当のところである。

俳句を作句する場合、大切なことは「季語を効果的に使うこと」。
そこには次の2つの意味がある。

@どの季語を選ぶか
A選んだ季語をどう使うか

季語をどう使うかとは、仮に数ある季語の中で「夏草」を選んだとする。
「夏草や」にするか、「夏の草」にするか、また句の初めにかぶせるか、終わりに据えるか・・・・

こうした問題を一つ一つ解決する必要がある。
その解決のためのキーワードが「季語の本意」。

春は万物の命が目覚める季節、夏は涼しさを求める季節
秋は夏を越してほっと一息つく季節、冬は暖炉の火のように華やかな季節

新年は年の初めのめでたい季節
これが四季と新年それぞれの本意である・・・・

学べば学ぶほどあまりに深くて溺れそうになる。
溺れながら、藁にもすがる思いでやっている俳句だ。

今日の作品と点数 ↓


からからと一人芝居のラムネ玉(2点)

太陽を殴ってあしたからは雨期(1点)

クルクルと回るや梅雨の理髪店(2点)

麦の穂が尖るしあわせって何だ(2点)

夏めくや少年鍵穴を抜ける(3点 特選1)



2019.06.02(Sun)
精根が尽き原っぱになっている

小降りの雨の中の散策だ。
傘は差さず、運動帽を被っていれば大丈夫。

稗田川(ひえだがわ)沿いの遊歩道は、今、桑の実が無数に落ちている。
熟した果実は、風が吹けば落ちて、歩道を紅色に染める。

それを目印に、桑の木を数えてみた。
散策コース約4`の道のりに8本。

小枝を引き寄せて、その熟した果実を口に入れる。
品の良い甘さが口中へ広がってゆく。

桑の実は、物が溢れていない時代のかけがえのないおやつだったのだろう。
今は、目にいいとされる“アントシアニン”がブルーベリーの3倍あることで知られる・・・・


昨日は、「きぬうら」の川柳大会。
高浜川柳会の仲間たちと、総勢5名で殴り込み。

出席者123名、欠席投句者60名の、合計183名が参加。
一課題あたり、2句の出句だから、366句が選者の俎上に乗る。

入選句は、平抜き32句、佳句5句、秀句3句の、合計40句。
入選率は、実に11パーセント弱の厳選だ。

高浜川柳会の仲間の戦績は、入選1句が2人、全没2人、私が辛うじて4句。
4句の入選の内、秀句1句、佳句1句だったが、返り討ちにされた格好。

4句を紹介します ↓


美しい不意打ちだった雨の音  「自由吟」 佳句

爪痕を残すこの世が好きだから  「自由吟」 秀句

元彼のかたちで雲になっている  「元」

ポーズする一番星になるために  「ポーズ」



半田市赤レンガ倉庫内(地ビールが飲めます!)



2019.05.26(Sun)
麦の穂となれ草食系の男たち

麦の穂が黄金色に色づいてきた。
風が吹くと、ガサガサと乾いた音を立てる。

梅雨に入る前のひととき、麦の穂は自己を主張しているようだ。
今日も日中の暑さはなかった。真夏日に匹敵する暑さだ。

各地で猛暑日、最も暑い5月に 熱中症疑いで2人死亡・・・・

と、ヤフーニュース。
上空に暖かい空気が入り込んだ影響らしいが、北海道佐呂間町では39・5度を観測。
猛暑日とは、気温35度以上を言うが、風薫る五月にこれでは先が思いやられる。


昨日は、高浜市文化協会の平成30年度定時総会。
運営スタッフの一員であるため、総会開始1時間以上前から会場設営。

高浜市長始め錚々たる来賓を迎え入れる準備は疎かにはできない。
“おもてなし”は何もできないが、気持ちのいい総会の場を作り上げることだけだ。

総会の方は何事もなく終了。
私の出番はそれからだ。

毎年、総会後に「大山さくらものがたり」文芸コンクールの表彰式がある。
その司会・進行と作品の披講をここ数年仰せつかっている。

「大山さくらものがたり」とは、高浜市文化協会の メイン・イベントの一つ。
毎年、大山緑地を会場として、桜の開花時に撮影会、茶会、文芸コンクールが繰り広げられる。

文芸コンクールには、投句総数64作品が寄せられた。
一日だけの投句箱の設置に、これだけの作品なら御の字。

それを文芸部門で厳選して、入選作品を表彰するのである。
今回の受賞作品は ↓


短歌の部

天賞  光まとい心字池に散る花よ池の鯉らの頭上の花見  神谷治

地賞  ホーホケキョ春告げ鳥の心地よさわが携帯も鶯の声  神谷京子

人賞  よどみなき光の立春迎えたり新たな御代に希望あるべし  平澤悦子

俳句の部

天賞  張りつめる茶室の所作や花明り  新美あさ子

地賞  まっさらのノートにひらり春の風  吉岡初浩

人賞  新元号目出度く決まり春爛漫  田嶋冨久子

川柳の部

天賞  次の旅覇気は上々八十路前  都築典子

地賞  さくら花ハローニーハオのおもてなし  古橋文子

人賞  縦揺れや横揺れも越え金婚譜  杉浦康司


俳句の地賞に輝いた吉岡初浩さんは、現高浜市長。
この人の文学的センスは前々から感じていたが、市長にしておくにはもったいない人である!



2019.05.19(Sun)
五月病ですねピカソの絵が笑う

五月も半ばを過ぎ、この季節の景が定まってきた。
樹木や草の新しい芽がすべて出揃ったかのようである。

稗田川の堤には、ツバメが楽しそうに飛び交っている。
巣作りを終えたツバメたちよ、その自由を謳歌すればよい。

桑の実が鈴なりになった。
昨日まで気付かなかったが、すでに熟している実も多い。

桑の枝を引き寄せ、熟している実を抓んで口に入れる。
甘みと酸味のバランスが絶妙、妻にいくらか摘んでいこうか・・・・


今日は朝から名鉄線、近鉄線を乗り継ぎ、三重県津市へ。
「津市民文化祭参加川柳大会」である。

毎度のこと、一夜漬けの代物(川柳作品)を携えて出陣。
楽しみは、会場(JR津駅前ビル アスト津4F)隣の昭和食堂での一杯。

出句してから開会までの二時間近くはフリータイムだ。
それで、昼食を兼ねて生ビールを!の積りだったが、開いてない。

扉を叩くのも野暮。それで、津駅南の飲み屋街を探索するもすべて支度中の看板。
やむなく駅構内のサイゼリヤへ。

「タラコソースシシリー風」(399円)と「シーフードパエリア」(599円)を注文。
生ビールはあきらめた。

この心掛けがよかったものか、大会では優勝に値する「津市長賞」をゲット。
受賞句は ↓

 あおぞらよ責めるな俺の無力感  「厳しい」 阪本きりり選

きりりさんからは「いくらか出せ」と言われたが(勿論冗談)、応ぜず。
受賞句がしたためられた短冊(竹尾久扇筆)をもらい、帰路についた。

帰宅は、午後5時30分。
それから夕方の散歩に出た、というわけだ。



2019.05.12(Sun)
五月来るさみしき人の断面図

夕暮れの散歩を終え、畳の間で寛いでいる。
部屋の片隅には、川柳に関係する頂き物の雑誌の山。

頂き物は頂き物だけに、積読になり易い。
ごく稀に気の向いたときだけ、柳誌を開け、ページを繰る。

先日、愛川協総会・大会の時に頂いた「川柳豊橋番傘」令和元年5月号。
大会の選者として隣同士だった豊橋番傘川柳会の鈴木順子会長がくださった。

柳誌を開けると、まず「好句往来」(前月号近詠鑑賞)。
三重川柳協会の東川和子さんの洒脱な文章にうっとり。

この人の鑑賞は、人生を教えてくれる。
何か探している(悩んでいる)人にとっては、バイブルにもなる名文である。

後は、斜め読みならぬ、飛ばし読み。
その時間、五分と掛からない。

久保田元紀さん(故人)の講演録「雑詠とは?近詠とは?」がよかった。
この講演録は元々、「せんりゅうくらぶ翔」の平成19年7月の柳誌に掲載されたもの。

その一部を紹介しよう ↓


「(題詠として)効果的に練習するのに、特に大事なのは動詞ね。
今日も「返す」と「使う」というのが出てますが、こうゆう句会、レベルが高いんですよ。

で、皆さんね、「返す」「使う」でしょ。
句を作る時にね、使えるもん使こたら、共倒れになるんですよ。

ハサミを使うとかナイフを使うとかね。誰かが同じように使うから。
だから私は言うのね、使えない物を使ったら絶対良い句になるんですよ。

例えばね、食べるという題が出たとします。
食べられない物を食べたら良い句になるんです・・・・」




2019.05.05(Sun)
平成の小窓しばらく開けておく

連休中に壁のカレンダーが一枚捲られ、新しい景が目に飛び込んでくる。
それまでは、ワシントンD.C.(アメリカ)の国会議事堂前の満開の桜。

この桜は、日本から贈られた正真正銘の日本産のソメイヨシノだ。
開花期間中には「全米桜祭り」が開かれるという。

新しい景は、「天井のない美術館」と呼ばれるブルージュ(ベルギー)。
縦横に張り巡らされた運河の両側には、春になると花が咲き誇り、水の都に彩りを添える。

元号が変わり、令和元年五月。
かつて、詩人の清水哲男さんが歌った五月は ↓


 美しい五月

唄が火に包まれる
楽器の浅い水が揺れる

頬と帽子をかすめて飛ぶ
ナイフのような希望を捨てて
私は何処へ歩こうか

記憶の石英を剥すために
握った果実は投げなければ
たつた一人を呼び返すために
声の刺青は消さなければ

私はあきらめる
光の中の出合いを

私はあきらめる
かがみこむほどの愛を

私はあきらめる
そして五月を。


もう美しすぎて頭がくらくらする。
頭の中を数羽のツバメが交差するようだ。

連休中に詠んだツバメの句 ↓


改元を告げにツバメがやってくる

赴任地のツバメとまずはお友達

徐行して下さいツバメが通過中


令和のツバメたち、平成の小窓は開けておくから飛び込んで来い!


連休中の句会・大会の入選句は ↓


三重県川柳連盟川柳大会

真実はキャッシュカードの残高に 「カード」

サヨナラを予約してから饒舌に 「予約」

平成よサヨナラ 竹の花が咲く 「終わる」

終焉は磯の香りがするように 「終わる」

やあやあとハグ美しい初対面 「しばらく」

夫から離れたとこで見るツツジ 「夫」

プチプチを潰しています夫です 「夫」

赤チンが叱ってくれた少年期 「自由吟A」

五月病ですねピカソの絵が笑う 「自由吟B」


愛知川柳作家協会川柳大会

遺伝子が尖ったままの北の国 「尖る」

麦の穂となれ草食系の男たち 「尖る」

散り際はぼんやりでよい梨の花 「ぼんやり」 軸吟

赴任地のツバメとまずはお友達 「任」


岡崎川柳研究社本社句会

ソーダ水の海に溺れている策士 「策」

秘策はあるドラえもんの玩具箱 「策」

子育ての呪文空から降りてくる 「育てる」 

ときどきは放任主義もいいですね 「育てる」

徐行して下さいツバメが通過中 「雑詠」

どう生きる答えを探し鳥は飛ぶ 「雑詠」

美しい嘘メビウスの輪のように 「雑詠」

雨の日の涙はすこし物足らぬ 「涙」 軸吟



2019.04.28(Sun)
平成が終わるどんぶり飯喰うか

事務所の出窓のサボテンがいくつか花を咲かせた。
調べると、白玉殿(はくぎょくでん)という種類。

これからひと月くらい楽しめそうだ。
花は散るのではなく、花を付けたり、引っ込んだりで、まるでモグラ叩きのモグラのよう。

どんな生体になっているのかと思うが、それも種の保存のための知恵なのだろう。
人は何も考えず、花の可愛さだけ愛でていればよい。

今日は、川柳きぬうらクラブの月例句会(愛知県半田市)。
連休中の句会、大会は、今日を手始めに4日間ある。

いずれも一夜漬けの作句となるが、どんな句ができるかは楽しみだ。
さて、今日の結果は・・・・

五月来るさみしき人の断面図  「面」

内面はナイーブでしたうぶでした  「面」

冷奴きれいな面を上にして  「面」

落としどころ見つけて茜色の海  「治める」

笑おうよ大きな波が避けてゆく  「治める」


明日は、三重県川柳連盟主催の川柳大会(三重県津市)。
もう午後9時を過ぎた。

8題16句を今から作句しなければならない。
芋焼酎を一気飲みしてからフル回転である!


サボテン三兄弟



2019.04.21(Sun)
玉葱の焦げ目 もいちど恋をする

夕刻、稗田川沿いの小道を歩く。
いつもは夜歩く道だが、まだ明るいうちの散策は久しぶり。

ツバメが川の水面や堤の草すれすれを飛び交っている。
夜には気付かなかったが、いつ頃飛来してきたのか?

昨日行った木曽福島(長野県木曽郡木曽町)にも多くのツバメがいた。
巣作りや餌探しのため身体を休める暇もなく飛び回っていた。

民家や商店街の軒下には、判を押したようにツバメの巣。
それも人の手が届きそうなところにあった。

木曽福島はツバメの別天地のように思われた。
それは、住民の理解という礎の元に成り立っているのだろう。

八沢地区には、ドライバーに向けての”つばめに注意”の看板が ↓

『つばめ 低空飛行中につき 徐行 お願いします』

その下には、英語表記も記されていた。


「地酒で乾杯!」発酵食品の街 木曽福島と権現滝をトレッキング

昨日は、JRのさわやかウォーキングを家人と二人で。
7.6` 所用時間 約2時間20分。

桜が満開のコースはと言うと・・・・


木曽福島駅(スタート) → 中善酒造店(中乗さん醸造元) → 小池糀店 → 権現滝 →

興禅寺 → 御料館(旧帝室林野局) → 福島関所資料館 → 高瀬資料館 → 

七笑酒造 → 木曽福島駅(ゴール)


権現滝が良かった。
小池糀店からわずか1.4`だが、山の斜面を這うようにして歩くコース。

勾配がキツイ分、滝に辿りついたときの達成感は格別。
権現滝は、源氏の武将・木曽義仲にまつわる伝承が残る滝。

義仲が平家追討の兵を挙げるにあたって、この滝で沐浴し、御嶽大権現に戦勝祈願したことからその名が付いたとされる。義仲の挙兵は、治承4年(1180)。実に839年も前のこと。

権現滝から下山すること約半時間。次は興禅寺である。
興禅寺は、義仲の墓があることで知られる臨済宗妙心寺派の寺。

ここの満開のしだれ桜(時雨桜 しぐれざくら)は、それはそれは見事。
登山のほどよい疲れを癒してくれた。

コースの最後は、七笑酒造。春の蔵開き真っ最中。
「木曽の酒といえば七笑」は、日本酒党の常識。

そして、七笑の利酒は酒飲みの期待をつゆほども裏切らない。
特に、袋吊りによるしぼりたての一品は、香り、味覚、喉越しとも最上。

美味い酒をほどよく飲んで、さて、ゴールへ。
木曽福島のツバメにさよならをして、「特急しなの」に乗り込む。

車中では、夢の中で権現滝へ続く斜面をいつまでも登っていた。


権現滝




2019.04.14(Sun)
幸せなときも山葵はツンとくる

年に数度、ウイスキーが欲しくなる。
今はほとんど芋焼酎で作られた身体だが、この身が欲するようだ。

ワイルドターキーとジャックダニエルを買ってきた。
ワイルドは、七面鳥のラベルで有名なバーボンの王道。

アイゼンハワー大統領をはじめ、アメリカの歴代大統領が愛飲していたウイスキー。
原材料はトウモロコシがほとんどで、癖のあるモノ好きには、最高の逸品だ。

ジャックダニエルは、分類上はテネシーウイスキー。
生産地がアメリカのテネシー州に限定されていて、バーボン味。

レギュラーボトルのブラック(Old No.7)は、世界で最も売れている単一銘柄。
往年の大スターであるフランク・シナトラは、ジャックダニエルをこよなく愛した。

薀蓄はこのくらいにして、さて、ワイルドとジャックをそれぞれのグラスに注ぐ。
まずはストレートで飲み比べ。そしてロック、水割りへ。

麦茶のように一気に多量を飲るわけではなく、舌で転がす程度だ。
懐かしい味が舌に沁みてくる・・・・。

と、どこからかあの日の僕らの声が・・・・。
大学に入って、下宿して、高校の頃の学友とその時飲んだのがウイスキーだった。

そうか、この時期にウイスキーが飲みたくなるのは、あの頃を思い出すからだろう。
酒の怖さも、限界も知らない若者は、酒を飲むたびに吐き、強くなっていった。

 もう一杯ください夢が醒めぬよう    比呂志  



2019.04.07(Sun)
壜詰にしようサクラという吐息

ソメイヨシノが散り初めの季節を迎えた。
枝にしがみついていた花は、風の誘いによって落下を余儀なくさせられる。

落花落日 窓の心が哀しいね

と詠んだのはもう十年も前のこと。
窓という字の「心」があの頃、哀しく思えて仕方なかったのを思い出す。

今日、名鉄ハイキングで行った城山公園(尾張旭)の桜も花吹雪状態。
人間の吐息だけでも花は散っていくかのようだった。


昨日は、岡崎川柳研究社主催の「岡崎さくらまつり協賛 春の市民川柳大会」。
運営スタッフの一員であるため、早い時間からの“出勤”。

大会会場は、名鉄・矢作橋駅すぐの岡崎市西部地域交流センター(やはぎかん)。
ここ数年、会場の模索を続けてきたが、今後はここが拠点となる手応え。

「帯に短し襷に長し」はどの場面でもあり、主催者には悩ましいところだ。
だが、その中でどう方向性を見出していくかということも、主催者の役割。

足りないところを何で補っていくか、どう折り合いをつけていくか、だ。
大会の方は、運営スタッフ全員の努力で何とか乗り切ったという感じ。

無論、過不足は多いが、今後どうすべきかが少なからず明確になってきた。
もう少しで壁をよじ登れるところまできた、と思ったのは私だけではないはずだ。

出席人数141名、欠席投句者数58名、参加合計199名は新記録!
早くからの会場設営を始めとした縁の下の力が、数の上からも報われた一瞬だ。

以下は、大会受賞句と私の入選句。


岡崎市長賞  改めて開くみやびな万葉歌  (改める)  松原ヒロ子

岡崎市議会議長賞  米作りいざ黎明の水を張る  (水)  岡戸君江

岡崎市教育委員会賞  傷百態それでも守るものがある  (傷)  本条みさ子

岡崎市観光協会賞  心奥を覗いて諭す水かがみ  (水)  西尾美義

岡崎市文化協会賞  のり越して慌てふためく春帽子  (うっかり)  加藤田鶴子

愛知川柳作家協会長賞  棒一本引いてここからやり直す  (棒)  宮内多美子

中日新聞社賞  ひな祭り雛一体に傷のあと  (傷)  橋本恭治

東海愛知新聞社賞  うっかりは無い守り抜く子の命  (うっかり)  渡辺美保子

東海愛知新聞社賞   改める規則に夫婦異議はない  (改める)  恵利菊江

世直しへ棒が啖呵を切っている  (棒)

逃げ水のようにいっぱい嘘ついた  (水)

うっかりとイヌノフグリを踏んでいる  (うっかり)

訃報欄さえピンクに染めている桜  (うっかり)

俎板の鯉よしあわせってなんだ  (傷)

傷のあるリンゴ大人の味がする  (傷)

改元を告げにツバメがやってくる  (改める)



城山公園の桜(スカイワードあさひを背景に)




2019.03.31(Sun)
底冷えがする少子化の窓ばかり

今日は、「大山桜ものがたり」当日である。
「大山桜ものがたり」とは、高浜市文化協会のメイン・イベントの一つ。

毎年、大山緑地周辺を会場として、桜の開花に合わせた桜撮影会、茶会、文芸コンクールが繰り広げられ、薄墨桜やソメイヨシノの鑑賞とともに、春の一日を楽しく過ごせるよう工夫されている。

「千本桜の大山」へは、朝早くから“出勤”。
無論、受付会場の設営と文芸コンクールの投稿の管理人である。

短歌、俳句、川柳の作品は、後日、主催者の選によって文化協会定時総会後に表彰式を行う。
1日だけ設置された投稿箱には、それでも三桁の作品が寄せられる。

投稿開始1時間後、私も作句の準備に掛かる。
今日の気分は、俳句でも川柳でもなく、短歌。

材料集めに大山緑地公園内を散策。使えそうなフレーズをメモ。
10分ほどで集めた言葉たちは・・・・

 ・東海銀行高浜支店   ・鈴和建設   ・洋風のトイレ   ・まちづくり協議会

 ・大だぬき   ・愛知用水   ・桜の古木に絡む蔦   ・ポケモンゲット 運をゲット

ここから、歌に仕立て上げなければならないが、寒の戻りでやけに寒い。
その上、風が強く、日が陰ると泣きたくなるほどの心持ち。

気を取り直してようやく詠んだ歌は・・・・ ↓


提灯に昔の名前で出ています東海銀行高浜支店

洋風のトイレの窓に光射し回転木馬は音もなく来る

ポケモンをゲットするよう神様に捧げてみよう祈りを一つ

無気力がクルクルバスに乗っている思考停止の時間が過ぎる

まちづくり協議会にて舟を編むこの町のよさ残すアルバム

春泥を掻き分けながら行く人よ鈴和建設第二処分場



2019.03.24(Sun)
にんげんに百面相という至芸

少し寒が戻ったせいで肌寒い。
室内の温度計は、日昼にしては低めの13度。

数日前まで20度近くあったのだから、肌寒いというのは正常な感覚だ。
ソメイヨシノもこれで数日開花日が延びることだろう。

今日は「川柳きぬうらクラブ」の句会日で、2ヶ月ぶり。
先月が岡崎川柳研究社の幹事会と重なった為、きぬうらは欠席投句だった。

「川柳きぬうら」2019年3・4月号を見ると、「夜」「平成」で作った全句が入選 ↓


愛されてより美しくなる夜景

酒瓶を転がし夜は更けてゆく

梟になれる気がする夜行バス

平成の小窓しばらく開けておく

平成が終わるどんぶり飯喰うか

続編が気になる平成のドラマ


そして、今月の句会はと言うと、これまた全句入選(課題「水」「明るい」) ↓
「人間万事塞翁が馬」だから、この先どんな不幸が待ち受けているかわからない。


怠けていないかびっくり水を差す

水のない砂漠さ生きてゆくことは

羊水にいるころからの泳ぎ下手

玉葱の焦げ目 もいちど恋をする

洗面器その明るさをオレにくれ

父さんの開花予報がよく当たる


投句後、句会場近くの半田市雁宿公園へ行った。
展望台への斜面に咲き誇るユキヤナギが美しかった。




雁宿公園のユキヤナギ


2019.03.17(Sun)
ペコちゃんのほっぺに幸せの音色

曇天の日曜日だ。
ときどき薄日が射したり、細かな雨が降るくらいの振り幅しかない一日。

家に籠っていては憂鬱になる。
ならば、パッと出掛けるのがいい。

2019年春 名鉄ハイキング電車沿線コース

「一足早い早咲き桜 西古瀬川の河津桜で花見」コース


というわけで、朝八時半には我が家を出発。
知立駅前の駐車場からは、いつものリュックを背負った中年の二人連れ。

知立駅9時11分発の急行で、国府(こう)駅着は9時39分。
ここから約10`のコースは、以下・・・・


国府駅(スタート) → 国府観音 → 守公神社 → 東三河ふるさと公園 →

御油神社 → 御油の松並木資料館 → 船山古墳 → 西古瀬川の河津桜 → 

とらや製菓舗 八幡店 → 八幡駅(ゴール)


本当は一つ一つをじっくり見て歩くのがいいのだが、旅人はいつも駆け足。
コースの中では、御油神社が少し心に残っている。

とても奥深いところにある神社という印象。
御油の松並木を陽とすれば、御油神社は陰である。

参道がとてつもなく長い。
石段は、数えてはないが300段くらいはあるか?

中年ならいいが、老人になれば並の体力では持たない感じ。
神仏を尊ぶことは、体力を必要とすることだとわかる。

神社には由緒謂れがあるが、この御油神社のそれはよく分からない。
文安元年(1444)が創設年というから、古いのは古い。

熊野族が紀州本宮よりこの地に移り、御油城を築いたことに由来するとか。
その後どんな道を辿りながら、ここまで来たのか?

よく分からないというところに価値があるのかもしれない。
人間と同じで、底が知れてしまっては威厳が無くなる。


御油神社参道


河津桜は、満開を通り越し、葉桜へと驀進中。
だが、桜と菜の花のコントラストが美しい一枚の絵に仕上がっていた。


西古瀬川の河津桜



2019.03.10(Sun)
地下街を歩く孤独を捨てながら

出窓の縁を激しくたたく雨だ。
久し振りのまとまった雨から洗礼を受けているような浅い春。

この時期は、菜種梅雨と呼ぶのだろう、数日ごとに雨が降る。
梅や早い桜のせいか、雨は淡いピンクを帯びているように見える。


元川柳結社ふらすこてん(昨年末で解散)の主宰・筒井祥文さんが六日朝に亡くなった。
いろいろな方のブログから察するに、肺の病のようである。

とにかく、1に煙草、2に煙草、3・4がなくて5に煙草ほどの煙草好き。
愛用は、両切りショートピース。それを一日40本を吸い続けた果ての入院。

入院先でも隠れて吸っていたことは想像に難くない。
棺の中の祥文さんは、口に煙草を咥え、胸の周りに両切りショートピースが散らばっていたという。

祥文さんとの接点が一度だけあった。
川柳みどり会(一昨年解散)主催の「第23回センリュー トーク」(平成26年10月25日)である。

祥文さんは選者、私は句会の一般参加者。
句会後の懇親会で挨拶させてもらった。

祥文さんは、きれいな奥様を連れており、この世の栄華を一身に纏ったような風情。
この時、同じく選者であった奈良のひとり静さんともお話しさせてもらった。

数日後、祥文さんから「ファイル1〜19」と「ふらすこてん第34・35号」が届いた。
驚いた。ファイル1〜19は現代川柳について綴られた正真正銘の論文である。

あの顔(失礼)から繰り広げられる理路整然とした川柳論。
加えて、ふらすこてん誌に連載中の「番傘この一句」の格調の高さ。

「知らないとはいえ、失礼しました」と、京都の空へ頭を下げたのだった。
後日、「筒井祥文を偲ぶ会」が行われるようである。

連絡係は、「川柳北田辺」主宰のくんじろうさん。
きれいな奥様はどこかへ消えてしまったのだろうか?



2019.03.03(Sun)
しあわせへ恵方の的は外せない

カレンダーが変わり、三月。
それもすでに三日が過ぎようとしている。

この二か月間、何をしてきたのだろう?
胸に問うてみるが、慌ただしさが残るだけで、答えは出ない。

湯殿で一月、二月の垢を落とし、湯舟に入って目を閉じる。
蜜柑の香がツンと鼻をくすぐる。

我が家では、冬の間じゅう蜜柑の皮をパックに詰めて湯舟に浮かべる。
冬至の日に柚子を湯舟に浮かべる要領だ。

春になってからも、この習慣は蜜柑があるうちは続きそうだ。
湯舟の中では、蜜柑の香が身体中の細胞に付着する。


老舗造り酒屋での利酒と蟹江の美味いもの巡り

このキャッチコピーに惹かれて今日は、JRの「さわやかウォーキング」。
スタート駅は、関西線 蟹江駅。

コース距離は7.6`。
コースは、ざっと・・・・


JR蟹江駅(スタート) → 富吉神社 銭洗尾張弁財天 → 源氏塚公園 → 

「みちくさの駅 楽人」まちなか交流センター → 蟹江城址 → 歴史民俗資料館 → 

山田酒造 → 観光交流センター「祭人」 → JR蟹江駅前(ゴール)


「富吉神社 銭洗尾張弁財天」「源氏塚公園」は、前を素通り。
「町中交流センター」は、寒空の下のハーブ茶の振る舞いが有り難かった。

「蟹江城址」は、秀吉と家康が争った蟹江合戦の舞台となった蟹江城の跡地ということだが、城址の石碑と本丸跡の井戸の跡があるだけの小さな公園で、やや見どころにかける。

「歴史民俗資料館」と「観光交流センター」では、「蟹江町 新商品お披露目フェア」と銘打った蟹江の新しい名物の紹介があったが、いずれも今ひとつ。

残るは山田酒造。水郷の町の運河沿いにひっそりとたたずむ酒蔵。
蟹江町は水郷の町と聞いているが、半田市にある運河ととても似ている。

醸造業が栄えたのも、共通点。輸送に水郷という地の利を利用できたからだろう。
運河沿いを右に降りていくと、酒蔵らしい風情の建物。

その中に100人はいるだろうか、人、人、人の群れ。
さらに、酒蔵に隣接する倉庫前には、おつまみ用の屋台の出店販売にも数多の群れ。

一般酒の利酒のあと、純米大吟醸酒(価格:1升5,400円)を半合(有料 価格:300円)いただく。
少し降り出した春の雨の中、飲み終わった口中に吟醸香が余韻となって広がった。

 山田酒造のホームページ  
http://yamadashuzo.com/


2019.02.24(Sun)
綿あめのように膨らむ春の声

暖冬を覆すこともなく二月が終わろうとしている。
三寒四温真最中の今日は花粉がかなり舞っていた。

お蔭で大きなクシャミが何度も出たが、春先の陽気だ。
季節は、このまま春へという流れなのだろう。

先週綴ったように、今日は、白老(澤田酒造)の酒蔵開放へ出かけた。
美味良酒 マルアを出発するマイクロバスには17人の強者が乗り込む。

いずれも日本酒大好き人間で、一時としてお猪口を離さぬ面々。
半数ほどは見覚えのある顔だが、店の主人以外は名前を一人として知らない。

と言って、一行は、旧知のように笑顔を振りまき、言葉を交わす。
酒というものは、こうして見知らぬもの同士の絆を育んでいく。

白老の酒蔵開放は、昨日今日の二日間。
おそらく入場者は五千人に達したのではないか?

春の気温と晴天が幸いしたが、極寒であっても雨天であっても、足を運ぶのが真の呑み助である。
この勇者たちに神様は拍手を送ったことだろう。

試飲した中での一押しは、白老 純米大吟醸 あらばしり ↓
これは、絞りたての原酒をつめた「蔵人だけしか呑めぬ酒」の大吟醸版。

こんな酒を飲んでしまったら、他が飲めなくなってしまうので要注意!
720ml 3,024円(税込)。



白老 純米大吟醸 あらばしり


白老の酒蔵の裏には伊勢湾が広がっている。
右に常滑競艇場、セントレア。

左にはまばゆく光る水平線。
伊勢湾を臨みながら、あらばしりの余韻に浸っていた。



2019.02.17(Sun)
象の鼻キリンの首にある初心

「2019 美味良酒 マルア 春のお酒だより」が届いた。
春の息吹を感じるフレッシュなしぼりたてが並ぶ(↓)

「酔鯨純米吟醸吟麗未濾過すっぴん生酒」(高知)
「爽醸久保田雪峰純米大吟醸速醸仕込み」(新潟)

「天領ささにごり無濾過純米吟醸原酒」(岐阜)
「蓬莱泉はるのことぶれ純米大吟醸生原酒」(愛知)

「三千盛春出し生純米大吟醸生酒」(岐阜)
「萩乃露特別純米十水仕込み雨垂れ石を穿つうすにごり生酒しずり雪」(滋賀)

これだけでは、何が美味いのかさっぱりわからない。
美味さがわかる秘訣は、まず飲むこと!それしかない。

飲んで、飲んで、己の舌で吟味することだ。
舌が拒絶反応するまで飲めば、その酒の良し悪しが見えてくる。

酒だよりには、続いて「白老(澤田酒造)酒蔵解放参加」の案内。
「いよ、待ってました!」と声を掛けたくなる。

日  時 : 2月24日(日)
定  員 : 20名
参加費 :  6,000円(バス代・通行料・昼食代・酒代 税込)

当日スケジュール(ざっくり)

 
9:00 マルア(高浜市)マイクロバス出発  →  9:20 刈谷駅南口 マイクロバス乗車出発

  →  10:00 白老(澤田酒造)着・酒蔵見学・試飲  →  12:30 澤田酒造出発

  →  12:45 常滑屋にて昼食(白老のお酒と共に)、その後「やきものの散歩道」散策

  →  16:30 刈谷駅着・解散  →  16:50 マルア着
 

興味ある方は、↓を開いてください。
春の息吹を存分に感じてみましょう!


  https://www.marua-jp.com/hpgen/HPB/sakedayori/tayo19sp.pdf



2019.02.10(Sun)
風になりたいのか糸を切る凧よ

俳句を始めて三年が経とうとしている。
調べると、ペンキ句会(船団愛知句会)の初参加が、平成28年3月13日。

「理想とは遠いところで麦を踏む」(5点 内特選1)がデビュー作。
この頃教わったのは、俳句は「季語が主役」ということ。

妙に納得したものだが、最近この定説を覆す事案に遭遇した。
角川春樹である。

たまたま調べものがあって、ネットを辿っていくと、春樹の次の文章。


新作のパンが並びて春立ちぬ   石橋 翠

「春立ちぬ」の一句は、石橋翠一代の名吟。
私が特選にとった理由は、一行詩の中で季語が自己主張していないことにある。

つまり季語が季語として威張っていないことだ。
これを「純粋季語」或いは「季語の純化」とも言う。

「春立ちぬ」という季語が、上五中七の「新作のパンが並びて」という、誰もが記憶を共有出来る映像に対して「春立ちぬ」が実にさりげなく置かれているからだ。

それでいて、季語が充分に働いているではないか・・・・


となると、季語=主役、とは言い切れない。
これは、懐の深い春樹の為せる業であるが、俳句の懐の深さでもあろう。

俳句の懐の深さに甘えて、今日提出した句は ↓
俳句としての体裁を整えているのだろうか?


何もない二月の海に降るひかり(4点)

春はまたジルバを踊りながら来る(1点)

鈍行にしましょう春に会えるから(7点 特選4)

綿あめのようにふくらむ春の声(2点)

ビー玉に春が閉じ込められている(3点)


2019.02.03(Sun)
独り酌む冬のインクが滲みてくる

今日は節分。
我が家も「稲荷の玉」で名高い市原稲荷神社(刈谷市司町)へ!

実は、先週が節分祭当日だと思い出掛けたのだが、一週間早かった。
「立春の日の前の日曜日」を「節分の日の前の日曜日」と思い込んだのがいけなかった。

というわけで、先週は、同じく刈谷市の「刈谷ハイウェイオアシス」へ。
ここは「食べる」「買う」「遊ぶ・楽しむ」「観る」が揃った刈谷では珍しいパワースポット。

観覧車有り、天然温泉有り。隣接する岩ケ池を散策するのもよい。
ということで二週続けての刈谷市入り・・・・

さて、豆撒き。
節分祭も毎年となると厭きが来るものだが、この熱気はやっぱりいい。

半ば揉みくちゃにされながら、人と人との触れ合いを感じる一瞬だ。
それから、振る舞いの数々。今年も豚汁と汁粉をいただいた。

ところで、「稲荷の玉」である。
立札には、「諸願成就の霊石。由緒不祥なれど霊験あらたかなり」とある。

その由来は、

昔々、全国各地を旅する一人の老人がいました。
老人が市原の地に来た時、一夜の宿を探していた様子で、時の宮司が宿を貸しました。

そして明くる日、その老人から「この境内には御神宝に勝るとも劣らない立派なものがある。
それを丁重にお祀りすれば、より一層繁栄するでしょう。」と言い残し去って行きました。

言われるがままに境内を隈なく探してみると、御本殿の脇より大きな石の玉が出てきました。
その後、お祀りし、参拝に来た人がこの玉に触れてみたところ・・・・

子宝に恵まれたとか病気が治ったとか数え切れぬ程の霊験を聞くようになり、所願成就の石の玉として知れわたってきました。


稲荷の玉




2019.01.27(Sun)
ユメが編めそう吟醸のひとしずく

高浜文化協会のAさんからお誘いを受けていた講演会は、今朝が開催日。
日曜日の朝は、日課の買い物や風呂掃除があるからすっかり忘れていた。

講演会の演目は、「歌集『滑走路』を読む〜社会の詩学」。
講師は、テレビ・新聞・雑誌などで幅広く活躍する政治学者・姜尚中(カン サンジュン)さん。

これだけでは解からない。
パンフレットにある歌集の注釈(↓)を読むと少し見えてきた。


歌集滑走路 

著者 萩原慎一郎

1984年東京都生まれ。私立武蔵高校、早稲田大学卒。
17歳の時に短歌を始める。りとむ短歌会所属。2017年6月逝去。

若き歌人・萩原慎一郎さんの歌集「滑走路」は平成の時代を映す短歌集です。
2017年12月に刊行されると、NHK「ニュースウオッチ9」や「クローズアップ現代+」で取り上げられるなど、大きな話題をとなり、発行部数は歌集としては異例の2万部に達しています。

萩原さんがつくる三十一文字の世界には、不安や孤独、生きづらさだけではなく、日常にあるささやかな希望も歌われています。著者の純粋な表現が同時代の心に響く一冊です。


さらに調べていくと作者の死は、自死である。
中学、高校時代にいじめを受け、高校卒業後はいじめの後遺症に苦しむ。

大勢の前に出ることができなくなり、精神科に通う日々。
通信制の大学を卒業した後、27歳の時に非正規の仕事に就いた。

仕事は事務センターで、コピー用紙の交換、シュレッダー、広報紙の発送の手伝い、資料の整理。
精神的な不調のために、自分が望んでいた仕事につけない悔しさがあったという。

死の半年ほど前から、仕事も休みがちになっていた。
そして自死。死ぬその日も短歌を作っていた(↓)。



あらゆる悲劇咀嚼しながら生きてきたいつかしあわせになると信じて


以下は、萩原さんの歌集から。
一冊がまるで長い長い遺書のように感じられる。


非正規の友よ、負けるな ぼくはただ書類の整理ばかりしている

夕焼けをおつまみにして飲むビール一編の詩となれこの孤独

要するにみんな疲れているのだろうせわしき朝のバスに揺られて

至福とは特に悩みのない日々のことかもしれず食後のココア

かならずや通りの多い通りにも渡れるときがやってくるのだ

きみのため用意されたる滑走路きみは翼を手にすればいい

家にいるだけではだめだぼくたちは芭蕉のように旅人になれ

日常の小さな達成集めては自信に変えてしまおう良夜

シュレッダーのごみ捨てにゆくシュレッダーのごみは誰かが捨てねばならず

夜明けとはぼくにとっては残酷だ朝になったら下っ端だから

コピー用紙補充しながらこのままで終わるわけにはいかぬ人生

消しゴムが丸くなるごと苦労してきっと優しくなってゆくのだ

かっこよくなりたいきみに愛されるようになりたいだから歌詠む



2019.01.20(Sun)
美しい祈りナイフを砥ぐように

夜空を仰ぎながらの散歩が日課となっている。
外気は冷たいが、冬の良さの一つは星空がきれいなところ。

冬の大三角と冬の大六角形(冬のダイヤモンドと呼ばれている)がまばゆい。
北の空には、カシオペア座と北極星が見える。

一月も後半となり、今日は大寒の入りだ。
一年で一番寒い時だが、この時期を無事に過ごせば立春となる。

春を待つ喜びは北国でなくとも、この地域にもある。
三河湾を囲む常春の町々にも、春を待つ喜びが横溢している。

昨日は、JAあいち中央主催の「碧南地区 農業まつり」。
旬の農産物の販売やイベント、試食、試飲も多々あり、屋台が所狭しと軒を並べた。

我が家の関心事は、「もぎたて野菜(大根、蕪、人参)」の無料配布。
配布券をJA碧南営農センターで受け取り、あおいパークへ野菜をもらいに行くという塩梅だ。

ついでにと言っては失礼だが、あおいパーク内も見学。
隣接する植物園では、オカリナコンサートがまさに始まるところだった。

演奏者は、オカリナデュオ・水平線。「中部国際空港セントレアを望む海辺の町・愛知県常滑市出身のしぶおんぷ とやまねこの二人で2000年に結成したオカリナユニット」とある。

ブーゲンビリアの花の下、オカリナの優しい音色。
リクエストした「コンドルは飛んでゆく」に、それはそれは癒された。

水平線のホームページはこちら  http://sibuonpu.ciao.jp/



2019.01.13(Sun)
泣き虫のわたしを叱咤する母港

ホームグラウンドである岡崎川柳研究社の発行誌「川柳おかざき 風」(1月号)が届いた。
表紙絵は、地元の画家・中村広子さんの「2019年 四角いカレンダー」を掲載。

毎年、中村さんのアトリエで数冊購入するこのカレンダーを、許可を得て使用させてもらっている。
私の手元にある一番古いものは、平成15年4月号、モノクロの銅版画である。

それから15年以上の歳月が流れているが、すべてに中村さんの画が使われている。
西三河地区の原風景と言おうか、懐かしい景には古き時代の素朴な味わいがある。



岡崎の柳誌も、少しずつ変わってきた。
読み物が増えてきたのが一番ありがたい。

柳人は、句の鑑賞だけではなく、さまざまな川柳観を求めているものだ。
その一端を味わわせてくれるのが読み物である。

そこから作句のヒント、句の方向性などが導かれる。
「はっ」と思うことが、句に彩りを与えてくれる。

ということで、読み物の一つを紹介する。
以下は、私が担当した1月号(12月号より)の「私の好きな句」。

愛も恋も去ってカラオケ熱唱し   武井さわ子

恋愛を語る歳ではないと自重しているが、句の裏にホンネが透けている。
フラダンスを嗜み、カラオケを熱唱するさわ子さんだ。死ぬまで恋を語ってもらいたい。

歳重ね欲の皮まで張りがない   青山 恵子

淑やかな恵子さんのことだから、言葉にウソはないが、肉体はともかく、「欲の皮」の弛みはいささか気掛かり。「名句を残す」という欲は失わないでいて欲しい。

ストレスが溜まってますねレントゲン   宮碕 恵子

「ストレスに弱い器でヒトという」(浅利猪一郎)を思い出す。
病の影ではなく、ストレスの影を引き摺って人は生きる。
だから時々は胸の扉をノックすることだ。

独りならおばさんだって大人しい   犬塚ひろし

おばさんという存在は宇宙人のようだが、群れを離れれば哀しい生き物。
お誘いしてジルバなど一緒に踊りたいが、一晩中踊り狂って、目を回されても困る。

食三日抜きひもじさを懐かしむ   会津庄一朗

飽食の時代。誰もがダイエットに励むが簡単にはゆかぬ。なぜなら人類の歴史のほとんどは飢餓との戦いの連続であり、飽食の時代など最近の一瞬の出来事だから。

追い風も向い風にもエッサッサ   古沢 一三

「エッサッサ」は、江戸末期に大阪で流行った「えっさっさ節」が由来だが、一三さんの生き方の理念と捉えたい。威勢よく、リズムよくこの世を生きているのだ。

立ち話釣瓶落しに急かされて   榊原 明代

晩秋の夕の美しい景が目の前に広がる。近所の奥さんとの立ち話もやさしい茜色に包まれる。
まだ話し足りない言の葉だが、釣瓶落としに今日が閉じられる。

強がりを言って右見て左見て   都築 典子

どんな強がりか気になるが、その強がりに多少の躊躇いがある。
強がりを言わなければその場を凌げなかったのだろう。
「右見て左見て」は典子さんのやさしさだ。

落葉踏む句帳に秋を詰め込んで   池田 康雄

康雄さんはなかなかの詩人だ。この路線でこの先ずっと突き進んでもらいたい。
そう、今年は猪突猛進の猪年。「秋を詰め込んで」の措辞の見事さに拍手。

酒代は減ったが増えた薬代   牧野 安宏

安宏さんともあろうお方がこんなことでは先が思いやられる。
「酒代に回すつもりの薬代」くらいの気概が必要。
いつの日か安宏さんと一献酌み交わしたいものだ。



2019.01.06(Sun)
十字架を背にやわらかい貌になる

フェニックス川柳会代表の丸山進さんが、「川柳フェニックスNo11」を送って下さった。
柳誌は毎号、「会員近詠集」「瀬戸川の畔(句評)」「川柳プロムナード(エッセイ)」などで構成。

地元瀬戸のFMラジオ番組「川柳の時間」の投句作品の紹介もされており(パーソナリティの高橋ひろこさんは川柳フェニックスの会員)、川柳大好き人間の集いの場所、という風情である。


川柳音痴(私のことです)には、会員作品はなかなか理解できないが、それでもエッセイの中に選句のエッセンスが説かれていて、参考にさせてもらった。以下紹介したい。

まず、三好光明さんの選者観。
(これは、「川柳の理論と実践」の著書・新家完司の選者理念を三好光明さんが引用したもの)

選句は、心を動かされたか!心が動くということは、一読して「良くない句を見破る力(理性)と「良い句に感動する力(感性)」の二つの力を備えるように鍛錬が必要である。

次に、北山おさ虫さんの選者観。

私のスクリーニング方法であるが、私は句の形を重視する。

@表記が正しいか
A変なリズムでないか
B課題にピントが合っているか
C意味が通じているか
D既視感がないか 等々である。

そして次の段階の秀句選びでは内容を重視する。

E発想のユニークさ・新鮮さ
Fインパクト
G川柳の技巧 等々がポイントになる。


何気なく書かれた選句に対する想いが、次の世代へ綿々と繋がっていく。
川柳家の川柳魂をどんどん読んでいきたいものである。



2018.12.30(Sun)
うつくしい余白だろうか充電期

夕方、いつものように稗田川沿いを散策。
冬至前には暗かった道が、同じ時間、まだ夕焼けに包まれている。

ヌートリアの親子が堤の草を食んでいる。
母親の後ろに小さないのちが二匹。

これからの寒さを思うと少々心配になる。
が、動物たちは人間よりも遥かに賢いから、生き抜く術は心得ているのだろう。

川沿いの木々のほとんどが葉を落とした。それにしても、裸木の美しいこと。
それ自体が完結した作品であるかのように、どの木もバランスが見事。

桜の木が細かい花を付けている。冬の桜には、寒緋桜(カンヒザクラ)や緋寒桜(ヒカンザクラ)、寒桜(カンザクラ)などがあるが、稗田川の桜はそのいずれかだろうか?

五十分ほどの散策で、辺りはかなり暗くなってきた。
見上げると、空に冬の星がひとつずつ点る。


さて、今年の総仕上げ。以下は、川柳大会、句会で秀句に採っていただいた句。
一年を生きてきた証である!

失ったものがバケツを深くする

犬掻きのままで七合目が過ぎる

犬の遠吠えさえうつくしい影絵

山茶花はらりと力みのない別れ

かなしい恋です損益分岐点

遠吠えも犬死にさえもみんな夢

よれよれの襷に父の夢がある

さみしさを打ち消すように摘む蓬

敵ひとりいて紙ヒコーキを飛ばす

うつくしい人に逢いたい羅針盤

春を待つ春にならなければいいと

名医かも知れぬカルテを這う蚯蚓

自販機に詰める何でもない言葉

りんご剥く朝の光をほどくよう

三月が終わろうとする未決箱

にんげんをやり直す日は歯を磨く

足を組むこの世を少しだけ拗ねて

とっくり二本転がしている孤独

一線を越してはならぬマークです

海の絵が昔ばなしをしてくれる

生きてゆく大きな音を溜めながら

小麦粉を捏ねてひとりの誕生日

若者よ麦のチクチク感を持て

未来図の金魚鉢にもいるメダカ

滝つぼに残っています青い恥

シーソーの向こうに夏の地平線

水音を残ししあわせだったかい

次の世も生きてゆくなら鳥か魚

長いながい滑り台から湧いた夢

草の実が爆ぜてドラマは始まった

幾千のドラマだあおぞらは舞台

雑巾を絞りきれいにするこの世

淋しくて柱に頭突きしています

生きてゆくためのちいさな波頭

風は雲を呼ぶ討ち入りの時のよう

甘い水飲んでぞくぞくするホタル

夕焼けを泳ぐ溺れてしまいそう

責任者出て来いと言う四十度

耳洗うまた喝采を聞くために

母にまだ空襲という耳がある

四十度みんなムンクの絵のように

ツッコミとボケとで織り上げる夫婦

駅弁を開けるとうつくしい日本

ちまちまと生きる男にバラの花

仕合せが曇らないよう風になる

ていねいに盛ると機嫌のいい御飯

手弁当でしたあの日の輝きは

月色を手本にしますオムライス

雑草の背丈がボクを越えてゆく

苦労した分だけ若くなっている

嘘いくつ食べたか厚くなる仮面

ライバルと背中合わせでする会話

なで肩の母はスーパーマンでした

ピアノ弾くいのちの肩を尖らせて

海も狩人クジラまで打ち上げる

源流に大声のかあちゃんがいた

ゆっくりと齧ってみたい秋の空

相席にしましょう青い空だから

ポケットの深いところに冬の鍵

そこそこの生き方でいい答案紙

かなしみもあって桜の狂い咲き

中尊寺ですねその目のかがやきは

もう少しお飲みなさいと神の声

あおぞらも夕焼けもいる友の数

殴っても蹴っても青空は不死身

煩悩をセリフにすれば長くなる

A4にびっしり埋まる敵の数

うつくしい余白だろうか充電期

十字架を背にやわらかい貌になる

泣き虫のわたしを叱咤する母港

美しい祈りナイフを砥ぐように

婆ちゃんのボッケが駄菓子屋の金庫

ユメが編めそう吟醸のひとしずく

酒という友がいるから生きている

独り酌む冬のインクが滲みてくる


冬木立



2018.12.23(Sun)
煩悩をセリフにすれば長くなる

昨日の鈴鹿川柳会の忘年会で飲み過ぎたせいか、今日は不調。
飲み残りの清酒をもったいない精神で飲み過ぎたのがいけなかった。

それでも朝は、日課のスーパーへの買い物と風呂掃除はこなした。
さて、昼からは少々痛い頭を抱えて、川柳きぬうらクラブの句会である。

きぬうらの句会は、前半の互選研究と後半の課題吟の披講の二部構成。
互選研究は、前月の句会時に提出した互選課題吟を担当者がまとめて一覧にする。

当月手渡された一覧から三句を選び投票(そのうちの一句は特選とする)。
これを担当者(進行者)がまとめて、一句ずつ句を吟味するという塩梅だ。

互選研究をしている間に、後半の課題吟の選がなされるから万事そつがない。
私が投票したのは ↓ の三句。


知らぬ間に手は熱燗に持ち替える   鈴木恒夫

しみじみと生き方を問う冬隣   本田みよ子

不用意な一言でした以来冬   榊原幸男


「熱燗」の句は、擬人法を用いて、上手に手の意志を表現した。「持ち替え」は勿論、その人の意志によるものだが、「知らぬ間に」の表現で、無意識に手が持ち替えたことを強調した。

冷酒から常温、常温からぬる燗、ぬる燗から熱燗へと季節が流れていくのがわかる。
「冬」を読み込んでないが、冬の到来が目に見えるようである。

「冬隣」の句。「冬隣」は、俳句では秋の季語。
冬がすぐそこまで来たことを感じさせるような晩秋のたたずまい、が本意。

よって、課題「冬」としては少々違和感が残るが、川柳ならいいだろう。それより、「しみじみと生き方を問う」に、冬が来る前の覚悟が感じられて、この季節にとてもフィットする。

「不用意な」の句は、下五の「以来冬」という表現に意表を突かれた感じ。
違和感がないわけではないが、むしろ新しさを感じさせる表現がよい。

と、投票した句にコメント。
各人が句の選評をする中で、句への学びや気づきが生まれるのである。

ちなみに、「冬」での私の提出句は、「たこ焼きをひっくり返し冬が来る」で三点入った。
後半の課題吟の入選作は ↓


ユメが編めそう吟醸のひとしずく  「編む」

しがらみを上手に編んでゆく月日  「編む」

酒という友がいるから生きている  「酒」 

独り酌む冬のインクが滲みてくる  「酒」

飲むたびに銀河鉄道ひとまわり  「酒」



2018.12.16(Sun)
殴っても蹴っても青空は不死身

「川柳すずか」(鈴鹿川柳会)12月号が届いた。
青砥会長の編集後記を読むと、今号は創刊300号であるらしい。

それを記念しての行事はないようだが、折しも今月は忘年句会。
句会、忘年会に参加することで、晴れの通過点を祝うことにする。

柳誌を捲ると、「すずか路」前号鑑賞。
全国区の川柳作家の、切れっきれの文章がひときわ輝きを放つ。

今号担当は、卑弥呼の里川柳会代表の真島久美子さん。
私の句も取り上げていただいた。


無人駅ばかりを降りてきた自由

無人駅の先に広がる風景の美しさ。
それを簡単に塗り替えてしまうほどの淋しさに包まれている。

自分で選んだ駅であり、自分で選んだ自由こそが、どう生きても満足しない人間の業を表現している気がしてならない。最後の駅も無人なのだろうか。


驚いた。真島さんは川柳会ではまだ若手である。
子供の頃から両親の指導で川柳を書いているから、柳歴は長い。

それよりも、誰より自由という淋しさを知っている人であること。
淋しさゆえに自由を求めてきた人なのだろうか?

↓ は、過去に真島さんに取り上げてもらった句と鑑賞である。


やさしさに登ろう楠の木の上に
 (263号)

家の庭に、私と同級生の楠の木が生えていて「やさしさ」という言葉がぴったりの形をしている。ブランコを下げて子供達が遊んでいるが、あの楠の木の上に広がる空の色はまるで私の為にあるようだ。

居眠りをしてはならない交差点 (264号)

この交差点は、道路のことではなく「人間交差点」のことだ。
居眠りをしていると、大切なことを見過ごしてしまう。

大切なことを見過ごすと、大切な言葉を失う。
川柳家はここで居眠りをすることなど出来ないのだ。

これからは○×式に生きてやる (276号)

一人で生きているのなら○×式で生きることは可能かもしれないが、家族や友達が絡んでくるとそうもいかない。△だったり□だったりして、なんとか穏便に乗り切ろうとするものだ。意気込み通り生きられるのかが見物である。

死が少し物干し竿に掛けてある (294号)

川柳は人間を詠むものだということを、正面から突きつけられた一句だ。
物干し竿で揺れているのは、昨日の平凡でも今日の平凡でもない。

「死」そのものだとすれば、なんて無表情なのだろうかと笑いたくなった。
「少し」という言葉に縋りたくなる。




2018.12.09(Sun)
あおぞらも夕焼けもいる友の数

JAあいちの情報誌「ACT(アクト)」が届いた。
農業を生業としているわけではないが、我が家は古くからの組合員である。

定期貯金の金利がいいとか、料理教室の案内があるとか、産直で安い買い物ができるとか、家人に言わせると会員特典を有効利用しているのだそうだ。

私はもっぱら、アクトの俳句・短歌コーナーで遊んでいる。
このコーナーは、会員であれば自由に自分の作品を投句することができる(無料)。

川柳がないのが玉に瑕だが、私に言わせると川柳も俳句も短歌も一緒。
今の自分の姿、今の自分の想いを表明する文芸という共通点がある。

さて、今月号(12月号)。
自慢をするようで気が引けるが、俳句・短歌ともに入選作として、紙面を飾った。


【俳句】 怒っても泣いても秋は自然体

【短歌】 遮断機の下りてゆくよう草を食みキリンの首に秋透き通る



短歌は秀吟ということで、選者の後藤紘さんから ↓ の選評をいただいている。

 多く寄せられた作品の中で心に残った一首。不思議な味わいを持った一首である。
 作者の個性が巧みに表現され、目を見張る一首に仕上がっている。

 単純なようで、実に深いものを読む者に、気持ちを投げかけて、読者をうれしくさせる。
 一首で強く味わってほしい良歌である。


俳句・短歌を書く場合、気持ちのもちかたをどんなふうにしたらよいのか?
詩人の荒川洋治さんが、次のように整理していたことを思い出す。


【俳句】 五七五のあとにまだ七七があるつもりで、しかし、途中でぶったぎる。
      意味が生まれては俳句ではない。

【短歌】 五七五七七のうしろの七七にすべてをかける。
      自己の感情の充足を第一とすると、いい歌?になる。



2018.12.02(Sun)
もう少しお飲みなさいと神の声

師走に入った。
暖かな日が続いているせいかその実感はないが、間違いなく12月である。

残されたカレンダーは一枚。
サンタクロース村(フィンランド)を舞うオーロラが暦の上に浮かび上がる。


昨日は、岡崎川柳研究社 本社句会。
会場の両町公民館から車で5分ほどの処に岡崎東公園がある。

ここは、花菖蒲がつとに有名だが、紅葉のスポットでもある。
という訳で、句会前のひと時、ちょっと足を伸ばして紅葉狩り。


岡崎東公園の紅葉



岡崎東公園の紅葉



岡崎東公園の紅葉と柿


早足で30分ほど、それでも真っ赤に色づく季節を堪能できた。
公園内の池には、冬の鳥が人目など気にせずに優雅に泳いでいた。


句会の結果です ↓

港へはカラダひとつで還ります  「港」

泣き虫のわたしを叱咤する母港  「港」

血の匂い祈りはいつも生ぐさい  「祈る」

美しい祈りナイフを砥ぐように  「祈る」

オクターブ上げて祈りを深くする  「祈る」

蹴っ飛ばしてやろう空が蒼すぎる  「雑詠」

かなしい街もクリスマス色になる  「雑詠」

泣きたくて季節外れの海へゆく  「雑詠」

秋天へまだ果てしない観覧車  「旅」 軸吟


今日は、刈谷文化協会の表彰式と「文化を語る会」。
「刈谷文化奨励賞」を頂けるとのことで、颯爽と刈谷市総合文化センターへ。

今年度は、刈谷文化賞2名、刈谷文化奨励賞13名、そして長老栄誉賞43名である。
表彰状と楯と金一封(1万円)を頂き、名誉なことであった。

続いて、文化を語る会。
こちらは「出席者がそれぞれの文化を語る」というのが趣旨だが、忘年会・懇親会の風情。

気心の知れた仲間どうしが集い、余興(大正琴、民踊)を楽しんだ。
もっと違うやり方があると思うが、長年慣れ親しんだ流れから這い出す術がない。

さて、今年も残り一月。
いくつかの忘年会が待っている。

「もう少しお飲みなさいと神の声」
冬の空から、こんな声が聞こえてくればいい!



2018.11.25(Sun)
かなしみもあって桜の狂い咲き

朝晩の冷えが厳しくなった。
それはそうだ、11月下旬といえば、炬燵を出し始める頃。

これまで暖かかったせいか、今年は狂い咲きを目にした。
桜もそうだが、花海棠(はなかいどう)や藤のごく一部が花を咲かせていた。

「狂い咲き」とは、季節外れに花が咲くこと。また、その花。狂い花。
(比喩的に)盛りを過ぎたものが、ある一時期、勢いを盛りかえすこと。

季節の花は美しいが、季節外れの花は痛ましいように思う。
人もまた、盛りを過ぎれば自然と同化しながら慎ましく生きるのがいい。


今日は、川柳きぬうらクラブの11月句会。
連休を遊び呆けていたので、まともな句ができていない。

それも一杯飲みながらの作句だから、納得できる代物はできない。
独創性や伝達性のない句の量産ばかりだ。

本日、何とか入選できた句は ↓

やわらかな秋だね神さまと遊ぶ  「神」

もう少しお飲みなさいと神の声  「神」

しあわせな耳いい人に囲まれて  「周辺」

あおぞらも夕焼けもいる友の数  「周辺」

駅裏に立ち飲みという蜘蛛の糸  「周辺」  軸吟



2018.11.18(Sun)
そこそこの生き方でいい答案紙

午後4時少し前、久しぶりに明るいうちの稗田川沿いを散策。
緑、黄、オレンジ、赤と樹木の葉が皆いい色を奏でている。

まだ暖かい11月の空気が頬に心地よい。
晩秋とは思えない季候に、いくぶん緊張感も欠けてゆくが・・・・

昨日は、高浜文協のメイン・イベントの一つ「春日の森 市民俳句・短歌・川柳の集い」の表彰式。
ここ数年、表彰式の進行と作品の披講を担当している。

厄介なのは、私が毎回、受賞者の一人であること。
以前は、式の中で何とか二役をこなしていたが、どうにも格好が悪い。

というわけで、昨年から息子に代理出席をお願いした。
昨年は三男、今年は長男が賞状・商品を受けた。

昨年は、「秋刀魚焼く海の青さを残さずに」(俳句)が高浜市観光協会長賞。
今年は、「八月の風をあつめる帽子店」(俳句)が県議会議員賞、という塩梅。

主催者側の投句は慎まなくてはならないが、入賞句数(分子)に対する総投句数(分母)を増やそうとの努力だけでやってきたことで、来年からは考えものである。

ちなみに今年の総投句数は、7,457作品。
内、101作品が入賞。

作品の披講は、短歌が一番楽しい。
三十一文字(みそひともじ)のリズムがとても心地よい。

それに比べ、俳句・川柳では心地よいと感じるには短すぎるのだろうか?
今年の受賞作品(短歌)をいくつか引いてみると、やはり調べがよい。


今に生き今の社会に腹立てる昔の父と似てるな私   都築典子

大切な人が亡くなるのはまるで空き地にいるみたいにさみしい   齊藤虹輝

外見れば草木がとても生い茂り視界を戻すと白紙の回答   岩倉春菜

雪の音あの人とともにさりゆけば残るものは二人の足跡   柴田直子

くじけても支えてくれた仲間たちもう外さない俺のシュート   中薗陽丸

夕暮れの砂浜の上立ちつくす海が夕日をそっと飲みこむ   藪本天

お互いが相手の気持ち分からずに想い続ける画面の向こう   伊藤萌



2018.11.11(Sun)
ポケットの深いところに冬の鍵

眠る前の一時、ほんの十分ほど柳誌を読む。
いや、読むというよりは目でページを撫でる。

気分で開いたページ、気分で目にした行。
そこで見つけた句をとりあえず目で追う。

下は昨夜出会った句。
「川柳文学コロキュウム創立15周年記念全国誌上川柳大会」の特選句である。

 空が澄むキリンの舐めたところから   加藤ゆみ子

難しいことは何ひとつ言っていない。
しかし、空が澄むために必要なものはまさにキリンの舌なのだ、と作者は言っている。

奇抜な発想だが、なるほどそうかという気持ちになってくる。
黄砂やPM2.5で翳んだ空や大気汚染をも含めた社会悪に立ち向かうキリンの姿が見えてくる。

それは、現代社会を見る作者の目である。
社会批評を十七音という詩に託しているのだ。

この誌上大会は、八人の選者の共選である。
選者評を読むと、川柳作句の勘所が見えてくる。

参考のためにいくつか記してみたい。

【新家完司】

創作で最も重要なことは独創性であるが、川柳という文芸に於いては伝達性も考慮しなければならない。伝達力を持たせながら独創を目指すのは難儀なことではあるがそれが川柳における「創作力」である。

また、独創性に重きを置くがために「一読明快」が失せるのは止むを得ないが、難解に陥ることなく「何か感じさせる力」を持たせたい。

【P霜石】

いい句というものは、素直な表現ほど読者をチクチク刺激したり、やんわり啓蒙させる海のように深いものなのだなあと思った。

【柳本々々】

俳人の佐藤文香さんが選の基準をこんな風に話されていたことがある。<できるだけ社会の役に立ちそうもない句>。この言葉をよく思い出す。

すぐに何かに貢献したり奉仕したりする言葉ではなく、一見行き場所がないように見えるがその<うろうろ>している言葉のようすが、この世界のどこかで<うろうろ>しているひとの生とシンクロしてしまうような言葉。それが川柳なのではないか。

【徳永政二】

川柳を新しく書く。
そのことを意識して書く。

そして、大切なことは味わい。
暮らしの中から生まれる人間の味わい、こころの味わいである。

【なかはられいこ】

善人が書く善意溢れる作品はつまらない。
正しいことを言うのは川柳のしごとではないと思うのだ。

かといって偽悪的な作品には嘘っぽさを感じてしまう。
善と悪、夢と現、好きと嫌い、そんな二元論から離れたところで書かれた作品に魅力を感じる。



2018.11.04(Sun)
ゆっくりと齧ってみたい秋の空

晩秋を迎え、風の冷たさが気になるころだ。
昼前から降り出した雨は、夕方には止んだ。

空気が乾いているから雨はありがたいが、これでまた頬の冷たさが加速する。
今年も残り二ヶ月を切った。

一年の計をそろそろ振り返らなければいけない。
やり残したことは?あと二ヶ月成すべきことは?

そんなことを言いつつ、何もせずに終わるのがこれまで。
今年は違うぞ!と言っても、だれも信用してくれないが・・・・

昨日は、全日本川柳浜松プレ大会兼第52回静岡県川柳大会に参加。
名鉄とJRの一時間半の車中は、未知の地へ行くようで気もそぞろ。

川柳の大会へはこれまで、東は豊橋までが守備範囲。
その壁を突破しての旅は、川柳の書き手として幅が広がるか?

そんなことを考えながら、会場へ到着。
出席者178名、欠席投句者209名の計387名。

二句出しだから、一課題あたり774句。
その中で、佳句35句、秀句5句、特選3句が入選。

何と5.5lの入選率。これでは全没が当たり前でないか。
と思っていたが、神の計らいか、下の二句が入選、「かなしみ」の句は秀句をゲット。


最善を尽くすと皺が増えてくる   「善」

かなしみもあって桜の狂い咲き   「急かす」


団ちゃん(選者)、秀句をありがとう。
静岡の皆さん、お世話様でした。

来年6月16日、また来ます!
おまけ・・・・投句後に鈴鹿の仲間と行った地ビール工房は ↓


はままつ地ビール工房 マイン・シュロス



2018.10.28(Sun)
相席にしましょう青い空だから

暑くなく、寒くなく、いい季節を過ごしている。
家庭での話題は、「今年の紅葉狩りはどこにしようか?」が主流派。

「今年も京都にしましょう」と、家人の一言で決定。
三千院、詩仙堂、東福寺などが候補。秋の「哲学の道」もいいだろう。

昨日は、犬山川柳社創立十五周年記念川柳大会。
この大会へは二度目。五年前にしっとりとした犬山を味わって以来だ。

五年前はどんな句が入選したのか?
そして、今年はどんな句を作句したか?

進歩があるのかないのか、入選作を比較すると見えてくるものがあるだろう。
自省の意味でも、こんな試みはいいかもしれない。


平成25年】

罪深いにんげんだから白が好き  「白」

おどけてみよう人生は一度きり  「おどける」

晩秋の風がおどけてばかりいる  「おどける」

春夏秋冬 窓は回転木馬だね  「窓」

告白というには安い花を買う  「告白」

焼酎と文庫欠かせぬ冬ごもり  「必要」

必要とあらば見せます力こぶ  「必要」


【平成30年】

相席にしましょう青い空だから  「席」

海鳴りがまだ棲んでいる父の耳  「戻る」

弓なりに咲いて戻ってゆく故郷  「戻る」

凡という由緒正しきものを噛む  「由緒」

水戸納豆でしたか由緒ある粘り  「由緒」


今回は一課題減っているので、入選数は比較にならない。
要は内容(なかみ)。五年前の方が生き生きとしてはいないか?

そうであるなら、どこかに弾けるものを置き忘れてきたのかもしれない。
弾けるものとは、ピュアな心だろうか?

日常の発見を素直に言葉に乗せる作業が疎かになっているのか?
「相席にしましょう」は、この日、秀句・天となり、犬山市文化協会賞を受賞した作品。

実は、前夜まで他の句を用意していたが、いまいち納得できずにいた。
朝、目覚めとともに「相席にしましょう青い空だから」は降ってきた。

秀句というものはそんなものだろう。
ピュアな心を作為のない言葉で綴っていった結果ではないか。

受賞は出来すぎだが、いいことを教えられた。
帰路、名古屋川柳社のKさんと金山で一杯飲った。

久々の柳友との一献は、秋の夜長の楽しい一齣だった。




2018.10.21(Sun)
苦労した分だけ若くなっている

久し振りに本を買った。
最近は、本屋へ足を運ぶこともないが、たまたま行った東浦町のイオンで二冊。

「五代目三遊亭圓楽 特選飛切まくら集」(五代目三遊亭圓楽)
「作家の遊び方」(伊集院静)

当代の圓楽は六代目で、いわゆる楽太郎の円楽。
思えば、五代目は私が追っかけをした一人。

学生の頃は圓楽全集(カセット)を求めて、名駅まで足を運んだ。
圓楽に飽きると志ん朝、談志、小三治、圓窓、米朝、圓生、三木助(三代目)へ。

落語の語りが心地好く、毎夜、落語のカセットを聴きながら眠った。
「特選飛切まくら集」は、圓楽の噺のイントロ集である。

「作家の遊び方」の方は、伊集院静の生き様が描かれているようだ。
伊集院が作家として飯が何とか食べられるようになったのはなぜか?

それは、「ある期間、生きることを放棄して遊び呆けたから」、と述懐する。
「遊ばねば見えないものはある」と後書きが締めくくっているように、何かが見えてきたのだろう。

さて、眠りに就く前のひととき、圓楽、伊集院と少し遊んでみよう!








2018.10.14(Sun)
月色を手本にしますオムライス

 時代をつないで犬山発心 〜犬山市産業振興祭と名経祭〜

昨日は名鉄ハイキングに参加。
稲の穂のように心も体も実ってくる十月半ば。

コースは、なぜか懐かしい匂いのする犬山。
下の順路に沿って約10`の道のりを歩いた。

名鉄小牧線 羽黒駅(スタート) → 小弓の庄 → 犬山産業振興祭会場 → 鳴海てがし神社

 → 小弓鶴酒造 → 名古屋経済大学 名経祭会場 → 田県神社前駅(ゴール) 


スタート地点の羽黒駅は、一昨年の国民文化祭の川柳大会の会場となった犬山市民文化会館の最寄駅。懐かしさの要因はこんなところにもあるのだろう

小弓の庄。犬山唯一の現存する明治期の擬洋風建築。
「擬洋風」とは、和風建築に洋風を取り入れた建築様式。

元々は、加茂銀行羽黒支店として建てられた建物で、その後は愛北病院羽黒診療所として利用。
現在では、犬山市が羽黒のまちづくり拠点施設として活用している。


小弓の庄・玄関ホール


小弓鶴酒造。創業は、江戸時代の末期、嘉永元年(1848年)。
嘉永と言えば、ペリーが黒船で来航した頃だ。

この地が「小弓の庄」と呼ばれたことから、名付けられた「小弓鶴」。
無論清酒の酒蔵だが、ビール工房が併設されていて、とてもお洒落な店構えだ。

ここで、ウインナーとクラフトビール「犬山ローレライ麦酒」を堪能。
犬山名物げんこつ飴(厳骨庵)を三袋買って、目指すは名古屋経済大学キャンパス。


小弓鶴酒造・犬山ローレライ麦酒館

小弓鶴酒造から約5`。
穂の垂れた水田ばかりしか目に入らない農道を黙々と闊歩。

小高い丘までは緩やかな坂道。
このあたりになると歴戦の兵でも苦しくなる場面。

徐々にペースが遅くなった家人を大きく引き離して名古屋経済大学のゲートまで。
ゲート入口にはイチョウの木が二本。その下にはギンナンが甘い香を放っていた。

大学祭のテーマは「天真乱漫」。
「爛」ではなく、「乱」が祭の気分を象徴しているようだ。

様々な模擬店(屋台)の中に、「学長酒場」なるものがあった。
学長自らが酒場の主になって、酒を振る舞うという趣向。

犬山の地酒が五本と、なぜか長野の銘酒「真澄」が一本。
無料の利き酒会である。

学長はこの時不在。等身大の看板写真だけ。
学長補佐が注ぎも注いだり、こちらが待ったを掛けたほど。

ここで泊まるならいくらでも飲めるが、そうはいかないので「待った」。
学長酒場、恐るべしである。

模擬店の焼きそばと五平餅を平らげ、酔いも醒めたところで大学を後に。
犬山の懐かしい匂いを残して帰路についたのは午後三時。

今月の27日、再び犬山を訪れるが、今度は川柳大会である。
大会終了後、犬山の酒を存分に堪能したいものである。



2018.10.07(Sun)
ライバルと背中合わせでする会話

スポーツジム車で行ってチャリをこぐ

「ちがうだろ!」妻が言うならそうだろう

ノーメイク会社入れぬ顔認証

効率化進めて気づく俺が無駄

電子化について行けずに紙対応

「マジですか」上司に使う丁寧語

父からはライン見たかと電話来る

「言っただろ!」聞いてないけど「すみません」

減る記憶それでも増えるパスワード

ほらあれよ連想ゲームに花が咲く


上は、今年5月に発表された「サラリーマン川柳」入選作上位10句。
「スポーツジム」の句が1位で、「ほらあれよ」が10位である。

サラ川では、「分かち書き」の表記だが、あえて正しい表記に書き直した。
分かち書きというのは、例えば、

恋人の膝は檸檬のまるさかな

という川柳なら、

恋人の 膝は檸檬の まるさかな

という具合に、5・7・5の「・」の部分に空きを入れて表記すること。
分かち書きは勿論邪道なのだが、そんなところを含めてサラ川を批判する川柳人は多い。

しかし、サラ川批判の川柳人に異を唱えた野武士がいた。
今は亡き「やしの実川柳社」主幹の鈴木如仙氏(平成28年1月永眠)である。

如仙氏の主張は、その著書「三千題五千句集 如仙の川柳お好み焼き」の中の、NHK学園文芸センター編集主幹・大木俊秀氏の序文にこう書かれている。


狂句まがいもあり中傷誹謗の内容もあるサラリーマン川柳がなぜ売れるのか。
それは、作者が位置づけ出来て、その作者のホンネが感じられるからである。

ただやみくもにサラリーマン川柳を非難するのではなく、言いたいことのある人たちのホンネを、同人誌川柳の中で言わせることが必要ではないか。

俵万智という人が出て昭和の与謝野晶子と騒がれた。
二人の短歌にはほんとうのホンネのことばが流れている。

ホンネがそれほど受けるということは、世の中がホンネを求めているから。
ホンネの作品を読んだときには納得もできるし、感動も伝わる。


昨日、知多郡阿久比(あぐい)町で川柳大会があった。
見出しの句(ライバルと背中合わせでする会話)はそのときの町議会議長賞を受けた作品。

西部劇のガンマンのライバルとの会話を思い描いた。
背中合わせで互いが逆方向に歩き、やがて振り向き銃を打つ。

現実の中にも、この光景はあるだろう。
ライバルとの会話は常に背中合わせでするものなのだ。

課題「会話」のこのときの同時作は、

さみしくて海と会話をして帰る

こちらも佳句を頂戴したが、事実ではなく「虚」である。
思春期の頃ならともかく、今の暮らしではありえない気持ち。

こんなところが選者の評価に繋がったのだろう。
如仙氏の「ホンネ川柳」・・・・心に留めておこう!



2018.09.30(Sun)
駅弁を開けるとうつくしい日本

川柳マガジン10月号が届いた。
パラパラと捲っていくと、「近代川柳作家作品」合評のページ。

今月号は、「安川久留美(やすかわくるみ)作品研究」。
合評者の一人として名を連ねてから1年、最後の合評である。

振り返れば、新葉館出版のtakeこと竹田麻衣子氏から電話を貰ったのが、昨年の9月半ば過ぎ。
「合評者をやってください」の依頼に即承諾。話が早いのが私の取り柄だ。

細かい話は一切なし。こちらも聞かない。
この時期の依頼なら、来年からか?と思っていたが、10月3日にメールあり。

第1回目の合評原稿依頼である。
メールのポイントは ↓


・第1回目の合評は時実新子の5句

・合評目的は、作家論ではなく、作品探求を主とした鑑賞、川柳論

・一作品に対し最少100字〜最大200字の間

・締切り 平成29年10月15日(日)


出版会社の原稿依頼とは、かくも緊急なものかと実感した次第。
時実新子の合評鑑賞は、この項の↓の方を探せば出てきます。

ということで、最後の合評鑑賞を載せます。


ハッと目が覚めれば妻子生きている

一家心中の夢でも見たのだろうか。
作者は、日常によほど気になることを抱えていたのだ。
人は多かれ少なかれストレスを抱いて生きているが、夢でさえ妻子を死に追いやるほどのストレスとは何か。昨日、北海道で震度7の地震が発生した。不可抗力には太刀打ちできなくても、生きていれば何とかなるのがこの世の中だ。
悪夢はやはり五臓の疲れだろう。


万物の霊長きょうは人を蹴り

「万物の霊長」とは、万物の中で最もすぐれているもの。すなわち人間のこと。
作者は「本当にそうか」と疑問を抱いているのだ。見渡せば霊長として欠けている人間ばかり。
人を蹴る、人を殴る。昨今話題の体操界もそうだが、人間の尊厳を貶める事例は枚挙にいとまがない。
しかし、人間とはそういうもの。だから互いが叱咤激励しながら人格を高めていく以外ないと作者は言っている。


命日を忘れてうまい葱と酒

親の命日を問われて即答できる人の割合はどのくらいか。
たいていの人は日常に追われて命日を忘れているのではないか。
それほどに死者に対して薄情なのが人間。といって、一周忌、三年、七年の法要を忘れないのも人間だ。死者を敬いながら、死者を忘れている。
私が死者であるなら、命日を忘れて葱で一杯やっている息子のところへ繰り出し、一緒に一杯やるだろう。


鉛筆の折れたと思う置手紙

この句は置手紙を貰った側の句だ。
置手紙の書きようから推察して、鉛筆を折りながら書いた手紙と判断したのだ。
字の太さ、筆圧、掠れ具合、紙に付着している芯の粒子など。
それは、書いた側の強い思いの表現である。どんな手紙かと気になるが、色恋の話ではなさそうだから、さほど興味はない。
が、メール配信ですべてを済ませられる昨今、置手紙はとても新鮮である。


み仏の指現金を所望かや

見たさまの句。確かに仏さまは指で輪を作っている。
これを「現金所望」と発想するのはいたって健全。みんなそう思う。
だが、一方で仏さまの慈悲にすがりたいのも庶民。
現金を所望する仏さまに賽銭を入れるのも健全な人間たる所以である。
そこには人知を超えた大きな力が存在している。
「天地指す御仏の指ためらわず」斎藤大雄さんの名句を思い出さずにはいられない。




2018.09.23(Sun)
ちまちまと生きる男にバラの花

土曜日は、愛知川柳作家協会主催の「川柳忌・みたままつり句会」。
名古屋港に隣接する「名古屋港ボートビル」が会場だ。

ポートビル前の道路を挟んで東側に、「名古屋港ガーデンふ頭臨港緑園」。
北側には「名古屋港水族館」と、土・日・祭日は、家族連れが群れを成す。

美しい水平線に美しい緑地と水族館。
吟行会なら最高のシュチゥエーションだが、句会となるとイマイチ。

遊び気分が横溢してしまい、作句の真剣味が薄れる。
句会会場はそこそこ体を成していればいいと思うのは、私だけではあるまい。

ということで、入選句は ↓ の2句だけ。
しかし、この2句とも秀句賞を獲得し、図書券2枚ゲット。


苦労した分だけ若くなっている  「意外」

嘘いくつ食べたか厚くなる仮面  「仮面」


今日午後からは、先日訪れた
岡崎市の額田地区・鳥川町(とりかわちょう)へ。
「延命水」を汲みにひたすらエンヤコラどっこいしょである。

4か所の湧水群の内、今日は3か所
「延命水」「産湯の滝」「大岩の水」である。


「延命水」でポリ容器に水を詰めてからは、水の飲み比べ。
「どこも同じ味」などと言うのは野暮なこと。

どこか違うところがあるだろうと舌と喉をフル回転させたが、わからない。
焼酎の水割りで試そうと、ペットボトルに一本ずつ汲み分けた。

さて、これからどういう結論が出るか、答は次回!



2018.09.16(Sun)
仕合せが曇らないよう風になる

稗田川の堤防の彼岸花が満開の時期を迎えた。
金色の品種は珍しく、花は丈夫で長持ちである。

金色の花はとても華やかで、稗田川をやさしく彩っている。
梅雨を思わすような不順な天候の中で、いつまでも微笑んでいて欲しい。

昨日はJRの「さわやかウォーキング」。家人とともに豊橋鉄道終点の地・田原市へ。
終日曇り空の予報のもと、折畳み傘と水分補給のペットボトルだけを持参。

夏の雨はやさしいから小雨を気にすることはないが、それでも準備は大切。
昨今の異常気象ではないが、どんな想定外が起こるとも限らない。

JR豊橋駅からは豊橋鉄道で終点・三河田原駅まで。
田原の町中を歩くのは実に四十年ぶり。

「再会」という言葉は大袈裟だが、かつて訪れた地はさまざまな思いを連れてくる。
今回のコースは ↓


豊橋鉄道・三河田原駅 → 城宝寺 → 田原市民俗資料館 → 田原市博物館 →

崋山会館・崋山神社 → 池之原公園 → 道の駅田原めっくんはうす → 豊橋鉄道・三河田原駅


城宝寺。渡辺崋山の墓があることで知られる寺。
学生の頃、行き当たりばったりの旅の宿にさせてもらった寺だ。

あれは桜の花の咲く頃。学生にとってはまだ気儘な春休みの最中。
三河湾を歩いて一周しようと名鉄蒲郡駅を出発して二日目の夜。

旅の垢を流そうと寄った銭湯で地元の人から町の情報収集。
そこで知った崋山ゆかりの寺であり、渥美半島最大級の古墳があるという城宝寺へ。

境内の南の丘に聳える弁天堂に無賃乗車という塩梅。
仏さまに桜の花が供えられていた記憶は鮮明だ。

翌朝、無断で宿泊した非礼を詫び、心経を唱えて退出。
冷や汗三斗の旅は、この日を皮切りに現在まで続く。



城宝寺古墳(この上に弁天堂)


池ノ原公園。
渡辺崋山終焉の場所。

崋山は田原藩の家老であったが、実は江戸生まれの江戸育ち。
その著書「慎機論」が鎖国政策批判にあたるとして罪に落とされた。

田原にいたのは、謹慎処分を受けてから自刃するまでのわずか二年間。
その謹慎の間住んでいた池之原屋敷跡が、今の池之原公園である。

「崋山はここで砂糖黍を搾り、生計の足しにしていた」とガイドさん。
貧しい暮らしの中で、海の向こうを夢見ていたのだろう。


池ノ原公園・渡辺崋山像


池之原公園から道の駅・田原めっくんはうすへは2.7`の道のり。
渥美特産といえばメロン、夏の風物が所狭しと並んでいた。



田原めっくんはうす


今日は、川柳きぬうらクラブの吟行会。
吟行先は、名鉄知多半田駅からすぐの明治時代の洋館・旧中埜家住宅。

この建物は、中埜半六(ミツカン酢の社長)の別荘として、ドイツの山荘をモデルに建てられた。
木造の骨組みにレンガを使用し、屋根はスレート葺。国の重要文化財である。


旧中埜半六別荘


吟行会の結果は ↓

百年の栄華を雨漏りが語る  「吟行吟」

トンガリ屋根もずいぶん丸くなってきた  「吟行吟」

ささやかな旅です半田中埜邸  「吟行吟」

余計なことは言うまい指定文化財  「吟行吟」

掻き揚げの具にする家中の笑い  「笑う」

君はまだ月にいるのかかぐや姫  「月」  

月色を手本にしますオムライス  「月」

月蝕のようだね欠けている僕ら  「月」



2018.09.09(Sun)
母にまだ空襲という耳がある

朝、大坂なおみの全米オープン優勝を伝える速報がテレビに流れた。
そして、大会初戦から決勝までのハイライトが映し出された。

立ち姿も、身のこなしも、インタビューの言葉もすべて美しい。
勝者というだけでなく、大坂なおみがここまで身につけた美しさだと思った。

決勝戦の相手・セリーナは、四大大会優勝23回の実績を持つ歴戦のつわもの。
その貌も引き締まって美しいが、今回はなおみの方が勝った。

昨日、高浜川柳会の句会後に恒例の納涼会。
当然ながらテニスの話題も飛びだした。

庶民というものが情けないと思うのは、すぐに賞金の話になる。
全米オープンの優勝者の賞金は、他の大会とは雲泥の差であるらしい。

何と、380万ドル(約4億1800万円)。
大坂なおみが優勝者になれば、これまでの獲得賞金を超える莫大な金額が得られる。

そんなことが私の脳にインプットされていたから、優勝と聞いて賞金額が浮かんだ。
実に嘆かわしいほどの庶民の発想、情けない。

優勝者は賞金の使い道を問われると「自分はお金を使うタイプではないので、私にとって家族が幸せなら私も幸せです」と控えめにコメントした。これには感動した。

生き方はかくあらねばと思ったしだい。
美しい生き方を今後の目標としよう!

P.S.

本日は名古屋市港区にて「中部地区川柳大会」。
石川県、静岡県からの出席者を含め、183名が健吟を披露した。

入選句は ↓


袋綴じ開けると雨は横なぐり  「ハード」

鋭角に曲がって淋しさをはらう  「ハード」

節穴はたぶんこっそり覗くもの  「こっそり」

手弁当でしたあの日の輝きは  「弁」

弁解はしない曇りの日も雨も  「弁」


大会終了後、柳友のYさんから「シャリキン」(甲類焼酎 宮崎本店)をいただいた。
この人もとても美しい人。

「シャリキン」にはホッピーが一番合う。
さて、そろそろ一杯と行こうか!


シャリキン


2018.09.02(Sun)
耳洗うまた喝采を聞くために

午後、家人に誘われて岡崎市鳥川町(とりかわちょう)へ。
鳥川町といえば鳥川(とっかわ)ホタルの里がつとに有名。

もちろんホタルを見に行こうというのではない。
水汲みである。

実は二年ほど前、「鳥川ホタルの里湧水群」は、環境省の主催する名水百選選抜総選挙で「秘境地として素晴らしい名水」部門の1位に選ばれている。

数日前のテレビでこれを目にした家人が、この日何も予定のない私を誘い出したというわけだ。
鳥川町は岡崎市額田地区。旧名は、額田郡鳥川村。

山と谷しか見当たらないまさに秘境。
そこへ水汲みにエンヤコラどっこいしょである。

さて、さてそのお味は?
「甘い」「柔らかい」の形容詞だけで会話ができた。

軟水というやつだろう。
こちらも酒蔵で鍛えてあるからすぐわかる。

湧水群は四か所。
「産湯の滝」「大岩の水」「庚申(こうしん)の水」「延命水」である。

ここが一番美味いという「延命水」を20g入り容器に2本。
容器を運ぶ役割は当然私。明日は筋肉痛である。

ちなみにテレビ番組の影響か、先客が2組。
私たちが水を汲んでいる間に、あれよあれよと5組ほど。

秘境の地で、これほどの人口密度は稀なことだろう。
というわけで、今から焼酎の水割りを飲る。

五臓六腑に沁みわたるだろうか?


延命水



2018.08.26(Sun)
四十度みんなムンクの絵のように

四十度近い日の多かった夏がまもなく過ぎる。
「過ぎてしまえばみな美しい」と歌詞にあるように、酷暑もまた懐かしい。

と言って、真夏日はまだ繰り返すかも知れず、油断できない。
人命のことを考えれば、ノスタルジアで生きることもやや躊躇いがある。

金曜日、懸案だった仕事が一段落し、肩の荷が軽くなった。
とは言え、羽が生えるまでにはまだ数ステップを要し、こちらも油断できない。

ムンクの絵のように、人は死ぬまで悩みを抱えて生きていくのだろうか?
だからこそ逃避行するところが必要なのだろう。

というわけで、今日は「川柳きぬうらクラブ」の句会へ。
選者を拝命されていたので、意気揚々と出陣。

宿題は、「織る」と「座敷」。
発想が広がりにくい兼題だけに、同想句のパレード。

私の結果はというと ↓


ブランコを漕いで小さな虹を織る  「織る」

ツッコミとボケとで織り上げる夫婦  「織る」 秀句

枝豆のふくらみながら夢を織る  「織る」  佳句

枝豆とビールがあればいい座敷  「座敷」  

西郷どんが座っていそう奥座敷  「座敷」


来月は吟行会で、ミツカン酢の里へ。
現実逃避にはもってこいの企画である。



半田運河



2018.08.19(Sun)
責任者出て来いと言う四十度

夏の暑さがようやく例年に戻った。
無論、台風の影響もあるが、ひとまずは酷暑を回避したようだ。

四十度近くあった温度計が今朝方はぐーんと下がり、寒さを感じるほどだった。
小さい秋が目に留まるようになるのはこの頃。

萩の小花が、まだ日中は生温かい風に揺れている。
少しずつ長くなる影とともに、風も緩やかにその体温を落としていく。

昨日は、高浜川柳会の定例句会。
会員の句に著しい進歩はないが、それでも随所にキラッと光るものがある。

その光を増やしていくこと、これが皆の課題だろう。
そのためには多読と多作しかない。

いい句を十分に鑑賞し、その句の良さを自らの作句に生かす。
「学ぶ」の語源は「真似ぶ」、すなわち真似ることである。

日頃から佳句に目を留める訓練を怠ってはならないのだろう。
会員の作品は ↓


舌下錠小さな嘘をひとつ消す   典子

節電の言葉も溶かす四十度   悦子

天高したった一匹焼くサンマ   清和

物置に忘れられてたラブソング   康司

甲子園熱気あふれて猛暑打つ   文子

薄情な夕日だ夏を置き去りに   比呂志


見出しは、川柳きぬうらクラブ7月句会の拙句。
不思議なことに40℃が懐かしくなってきた!



2018.08.12(Sun)
淋しくて柱に頭突きしています

木曜日、毎日放送制作のバラエティ番組「プレバト」の“俳句炎帝戦”を見た。
この夏の俳句王を名人、特待生の中から作句のレベルで決定しようというのだ。

特待生7人の中から予選を勝ち上がった2人と名人5人の計7人。
7人の俳句を俳人・夏井いつきがプロの目で査定した。

お題は「ラジカセ」。上位3人の句はさすがに凄い。
結果、無冠の帝王・梅沢富美男が今夏の炎帝戦を制した。


短夜や付録ラジオの半田付け   FUGIWARA藤本

村祭ラジカセが笛担当す   フルーツポンチ村上

旱星ラジオは余震しらせおり   梅沢富美男


こんな句を作りたいが、そうはいかないのが素人の悲しさ。
「先は永いから、一段一段上がって行こう」という気にさせた。

今日は、俳句の会(ペンキ句会)。出席者11人、投句者2人。
出句したのは ↓ 括弧内は、互選の点数 

バリカンの流れるように夏の音 (3点 特選1)

たよるものなき少年の籐の椅子

ひきだしに入道雲の湧いており (2点)

吊り革のおなじリズムや涼新た (1点)

地球儀のここら辺りで草を引く (3点)


本日学んだこと。「蛾」「香水」「蜥蜴」は、夏の季語。
「底紅」は、木槿(むくげ)の中でも、白の一重花に中心が赤い底紅種のこと。



2018.08.05(Sun)
雑巾を絞りきれいにするこの世

稗田川沿いを颯爽と歩く。
夜の帳が下りてもまだ熱風がほとばしる。

無風に近いせいか汗が止まらない。
先週からの左足裏の痛みはようやく取れた感じだ。

それにしても足裏の痛みは何だったのだろう。
思い当たるのは“痛風”だけだが、疲れから来ているとも思う。

何しろ、四月以降の業務量は半端じゃなかった。
まだその流れを引き摺ってはいるが、ようやく出口が見えてきた。

暗闇から見える淡い光は、まさに降臨。
みすぼらしく憐れな一庶民にうるわしい神々が降りてくる。

北西の夜空に金星、そして東には火星。
これらはきっと神なのだろう!


昨日は、岡崎川柳研究社の本社句会。
夜に花火大会を控え、街中に浴衣姿の男女の群れ。

団扇片手に炎天をゆくのはいつもの光景。
乙川河川敷を家人と歩いた30年も前の光景が思い出された。

昨日の入選句は ↓

耳洗うまた喝采を聞くために   「耳」 秀句 

片耳の隅にたたんだ褒め言葉   「耳」

母にまだ空襲という耳がある   「耳」 秀句

父という寂しいもののいる安堵   「安心」 佳句

火星接近シャンプーのいい匂い   「自由吟」

遊泳禁止でしたかあおぞらを泳ぐ   「自由吟」

四十度みんなムンクの絵のように   「自由吟」 秀句

失恋にサンドバッグも痛かろう   「痛い」 軸吟



2018.07.29(Sun)
幾千のドラマだあおぞらは舞台

東京都内のある居酒屋の「張り紙」がネット上で話題になっている。
客のビールの頼み方に応じて、↓のように3段階の料金を記載しているというのだ。

「おい、生ビール」 1,000円
「生一つ持ってきて」 500円
「すみません。生一つください」 380円(定価)

料金の下には、「お客様は神様ではありません」
「当店のスタッフはお客様の奴隷ではありません」との記述も。

張り紙はさらにもう一枚。

「当店はブラック企業のため、少人数での営業を余儀なくされています」
「お客様の空よりも広く、海よりも深い大地のように寛大なお心に免じて、温かく見守って下さい」と。

このアイデアは、フランスのカフェの看板画像からヒントを得たというが、店のコンセプトの一つ「売れることより面白いことを!」の一環としてのジョークツールと言う。

事実、、「おい、生ビール」と頼まれたからといって1,000円でビールを提供したことは一度もなく、ただ、「スタッフはいつもより“ほんの少し”嫌な思いをしますが」と付け加えるのも忘れていない。

つまり、本音をジョークに上手に忍ばせた手口で、客に対して警鐘を発している。
最低限のマナーを求めることで、店と客がお互いに気持ちよい時間を過ごしましょうと・・・・




江ノ電・七里ヶ浜から稲村ヶ崎へ


2018.07.22(Sun)
草の実が爆ぜてドラマは始まった

四十度近い気温は異常である。
このまま続けば、命に関わるさまざまな事態が発生しかねない。

実際、熱中症で亡くなられた幼い命や年老いたいのち。
それらを目の当たりにして心の詰まる思いがする。

太陽はかくも容赦のない構え

文句あるかと太陽は容赦なし

責任者出て来いと言う四十度

ペン先から発せられるのはこんな句ばかり。
ペンは剣より強しと言うが、自然を抗うことはできない。

意地はっていやがる太陽の奴め

と詠んだのは松江の芳山さん。
この異常気象、ミラクルを使ってでも止めたいものだ。


火曜日、大垣川柳社のHさんが、今は亡き未来工業の創始者・山田昭男さんの句稿を送って下さった。十代後半から二十代前半の作品と言うが、確かなものであった。

寒流へ妻の温みは散らすまい

雑音を閉ざして耳は生き伸びる

年の瀬か雪はひもじき貌となる

疲れたる貌騒音を舐めつくす

雑念の中で生き抜く力あり

自意識と決別の夜のみこし吊る

あえぎつつ歩む地平のその果ては

烈風の中に枯木は今日も佇ち



2018.07.15(Sun)
長いながい滑り台から湧いた夢

暑い日が続く。クーラーのよく効いた部屋では感じられなかった“不快指数”は、扇風機部屋となった今、急上昇。これ以上気温が上がれば、人間も枯れ掛けてくる。

蜘蛛枯れて血のごと細き糸遺す  中川智正

中川智正は、先週死刑執行された元オウム真理教信者。
麻原彰晃の主治医的役割だった彼は、収監されてから俳句を詠んだ。


木肌食う冬鹿のごと鉛筆噛む

三途ふと何級河川か春一番

かなぶんのくせにぶつかると痛いね

同室が誰とは知らず蠅生まる

一会なく訃報ありけり麦の秋

虹ひとつ消えて我らの前の虹

平成をこの辞書と生く竹の花

クロールに息継ぎのあり日の平和
      俳句同人誌「ジャム・セッション」より引用


これら句群を詠みながら、中川の夢は何だったのだろう、とふと思う。
凡庸にはわからない、長いながい滑り台から湧くような夢があったのだろうか?


昨日は、岐阜県川柳作家協会の川柳大会。
選者を依頼されていたので正装にて出陣。

とは言っても、スーツ姿ではさすがに暑いから、手提げ袋にスーツを折畳んで持参。
席題をやっつけてからはやることもなく、選者室で終始雑談。

課題句はすべて事前投句なので、一か月も前に選は完了、発送済み。
選者は当日、豪華弁当を平らげ、披講するだけだから、楽ちん!

私が秀逸として採った句は ↓

帰ろうか 千年杉の老いぬ間に   佐藤文子

何時の日か女神はポンと降りてくる   村上延江


選後評を次のように記した。

言うまでもなく課題は「題意」を持つ。
「何時か」には、過去の不定の時を表すものと未来の不定の時を表すものとの二つがある。

人は過去を振り返り、未来を標榜する。
それら背景にあるものは「人はいかに生きるか」ではないか。

秀逸2の「千年杉」に見られる命を慈しむ気持ち。
そして、秀逸1の「女神」を信じる心意気。

限られた命ならせめて、女神の降りてくるのを信じたい。


大会終了後、打ち上げの懇親会は名鉄岐阜駅に隣接する割烹「日本海」。
選者はすべて声を掛けられたが、同行したのは私だけ。

ビール、焼酎、清酒と美味い酒を三種混合ガンガン!
新家完司さんが乗り移った!




2018.07.08(Sun)
次の世も生きてゆくなら鳥か魚

おそるべき君等の乳房夏来る   西東三鬼

梅雨の長雨が去り、夏到来である。
ある事情から、夏の力の恐ろしさを知らされた。

数日前に、事務所のエアコンが壊れた。
二十一年数ヶ月使っていれば無理もないが、前触れもないエアコンの故障。

時期は、折り紙付の多忙な1シーズン。
山崩れが起きそうな仕事量を抱え、茫然自失。

急遽リリーフで登場したのが、壊れかけの扇風機。
倉庫からリリーフカーに乗って颯爽と・・・・

扇風機は「涼」という意味ではいい仕事をしてくれるが、負の部分がある。
書類を飛ばすという欠陥がある。

というわけで、ここ一週間、扇風機と友だちになれた。
夜、焼酎の水割りを啜りながら、新しい友と人生を語っている。



2018.07.01(Sun)
水音を残ししあわせだったかい

超多忙な日常を抱えてようやく7月。
確か今日は海の日と記憶していたが、カレンダーを見て違うことに気付いた。

海の日は、7月の第3月曜日。今年は7月16日だ。
「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う日」とある。

夏休み前の子どもたちがワクワクするときだ。
いや、大人たちだって夏はウキウキする。

ビアガーデン、花火、スイカ、ヒマワリにアサガオ、そしてラジオ体操・・・・
昭和の頃のイメージと少しも変わらない。

さて、今週は川柳マガジンの合評原稿を書き上げねばならない。
とは言え、句の良し悪しを論ずるのではなく、鑑賞程度しかできないが・・・・

7月号(6月27日発行)の鑑賞文は ↓


【萩原夏絵鑑賞】    

突然の出逢いそばやで語る老い

「出逢い」とあるから、かつての恋人と数十年ぶりに遭遇したのであろう。
在りし日を材料に話題の尽きない二人。話の中心は老いのこと。

老いを語ることで行く末に思いを馳せる。
「夜の冷え母の蕎麦掻き思い出し」も夏絵の句。

蕎麦掻きとは、蕎麦粉に熱湯を加えて掻き混ぜた塊にそばつゆを付けて食べる素朴なおやつ。
子供の頃から蕎麦に親しんでいた様子が窺える。

我が町は小雨両手の荷と歩き

「我が町」と言いつつ思いは少し離れたあの町へ。
わが町は小雨だけれど、あの町は晴れているだろうか、と。

その町でそれほど親しくもない人と会う。
両手を塞ぐ荷物は、柳誌や川柳書籍の詰まったバッグ。

私の属する岡崎川柳研究社の初代主幹・稲吉佳晶(女性)は、川柳普及のために柳誌を名刺代わりに東奔西走したというが、夏絵もまた川柳普及のために諸国を行脚した一人。

歯も耳も目も幸せの中のもの

歯が痛む、耳鳴りがする、目が翳むなどは、幸せを損なう症状に違いない。
治療で時間を費やすのも鬱陶しい。

美味い物が食べられるのも、いい話が聴けるのも、目の保養ができるのも健康な歯と耳と目のお陰だ。それだけの句なら味わいは浅い。

老いてゆけば、身体の機能が低下するのは当たり前。
その時は、「見ざる」「聞かざる」「言わざる」が幸せの中に入り込む。

俎を一寸叩いて粥が出来

俎を叩くのは、粥に添える青菜を刻むため。
青菜は三つ葉か小松菜。大根や蕪の葉でもよい。栄養価があり、彩りがぐっと増す。

話は逸れるが、この季節、寄席を覗くと落語『青菜』の一席。「植木屋さん、ご精が出ますな」に始まり、「うーん、弁慶にしておけ」の落ちまで、高座に青い風が吹く。

青い風を演出するのは青菜と柳影。
粥が煮えるまで冷酒をちびりちびり・・・。

あるときは羽織にほしい雲の色

「雲は天才」と言ったのは石川啄木。
確かに、朝焼けや夕焼けのオレンジ色まで含めると実に変化に富んでいるのが雲。

その雲の色が欲しいと作者。
その昔、柳人十数名で「花紅会」を結成。

トレードマークである男性陣の赤いネクタイに混じって夏絵は紅一点で和服に赤いリボンをつけて全国を駆け回った。しかしその一方で、女性ゆえの非力を感じていたのだろう。

まだ女性進出が叶わぬ時代の話である。


いとう良一画



2018.06.23(Sat)
シーソーの向こうに夏の地平線

多忙な日々を送っている。
無論、それは日常の業務に追われてのことだが、6月は特に余裕のない月。

そんな時に限って川柳の大会が続く。
「きぬうら」「東海」はすでに終了。明日はいよいよ「鈴鹿」である。

句はこの時間(午後9時半)になっても揃っていない。
今から焼酎の水割りを舐めながら奮闘しなければならない。

今日は依頼されていた鑑賞文(「すずか路」前号鑑賞)をやっつけた。
やっつけ仕事のようだが、しごくマジメには書いている。

これは「川柳すずか」7月号に発表のため、前回(2月号)の鑑賞文を紹介する。


「すずか路」前号鑑賞  289号から

「二刀流」と言えば、当節ではプロ野球の大谷翔平選手を指すが、その昔、二刀流を標榜した川柳家がいた。右に大衆の剣を持ち、左に芸術の剣をかざした川上三太郎である。

自戒を込めて三太郎の語録を二つ。
「そこまでを句にするよりそこからを書くべきである」

「句とは十七字にちぢめる事ではなく、十七字にふくらむ事である」。
それでは、「すずか路」という大衆の剣を抜いてみよう。

想い出がだんだん妻とずれてくる   石崎 金矢

大海原へ出航する二艘の船を思い浮かべた。
型も性能も操縦士の腕も違う船は、みるみる離れていく。
まして方向も違う船。わずかな方位の違いが途方もない差となって表れる。
かくして妻との共通の想い出は、違った景色に見えてくる。

祝う日も喪の日も酒は同じ色   竹内そのみ

今日のビールはやけに甘いし、いつもより輝いて見える。
昨日のビールは最近では一番苦かったし、どんよりしていた。
何が違うのか?「それはお前の心さ!」と誰かが囁く。
心を縛る何かが、味も色も違ったものにさせているのだろう。

重箱がだんだん低くなる老後   福村まこと

重箱は四季を表わす四重が正式とされるが、庶民には手間も金もかかり、二重くらいで丁度よい。
ましてや老夫婦だけの家庭なら一箱で充分。重箱は老後の生活の比喩。
質素だが健全な暮らしぶりに満足している様子が窺われる。

日も月もみんないっしょに歳をとる   佐藤 千四

「歳月人を待たず」とか。この陶淵明の詩の一節は、「歳月は人を待ってはくれないから、嬉しいときは大いに喜び楽しもう。酒をたっぷり用意して、近所の仲間と酌み交わそう」の意。
いつの時代にも粋な詩人はいるものだ。

天までも昇ってきたわマッサージ   寺田 香林

鈴鹿のホームページをご覧になっていない方には恐縮だが、たかこ会長の「ルンルン」が真っ先に聴こえた。「ピョン」から「ルンルン」へ!今年も期待値大。
マッサージの心地よさはまさに天まで昇るほど。話し言葉がよく効いた一句。

スッピンが化けて電車を降りてゆく   瀬田 明子

同時作すべてが電車内で化粧する女性がモチーフ。
「寝坊」に始まり、「降りてゆく」までの数十分の物語。
「見ないフリ」とあるから、もちろん明子さんのことではないが、すっかり様変わりした車内風景に隔世の感を抱いたのだろう。

知らぬ間にゆっくりと効くいいくすり   澁谷さくら

即効性のある薬は概して副作用を伴う。
反して、漢方など即効性のないものは副作用もなく、じわじわと効いてくる。
薬のことを詠んでいるが、薬だけではあるまい。薬を人間に置き換えて読んでもよい。
「ゆっくり」がこの句の趣旨だ。

嵐呼ぶ男に着火されました   神野 優子

映画「嵐を呼ぶ男」の封切りは1957年。優子さんはその後の生まれだから、裕次郎のドラマーを見たのはリバイバル上映か、それともカラオケか?
封切りから六十年後の昨今、草食系ばかりが増えて、着火できる男が少なくなってきた。

笑われることにしっかり慣れておく   上村 夢香

加齢とは、笑われる材料の在庫を増やすことだろうか?
話がくどくなったり、同じことを何度も聞いたり。足が遅くなったり、膝や腰が痛くなったり。
でもそんなこと、ぜんぜん気にすることはない。なぜなら、誰もが通る道だから。

可愛いおとこ見ると振り向く癖がある   前田須美代

須美代さんはいったいいつまで色気があるのだろうか?
そうか、若さを保つ秘訣はこの癖なのだ。
同時作「そうでしたあれが別れのハグでした」も可愛いおとことのハグを彷彿とさせる。
須美代さんにいつか着火されたし!

コーヒーも酒も砂漠を潤さぬ   坂倉 広美

「砂漠を潤さぬ」とは、重症。どんな悩み事があるのか?
「砂漠」は自身の比喩だが、好きなコーヒーや酒を飲んでも鬱積は溜まる。
同時作「死ぬ日までの修羅消しゴムで何度消す」とあるように、どうやら原因は胸に巣食う修羅のようだ。

一年分一晩喋り夜が明ける   勝田五百子

娘さんとの一年ぶりの再会だろう。遠く嫁いだ娘と母が布団を並べて夜が明けるまで語り合う光景は何物にも代え難い幸せなひとときだ。
お孫さんは爺ちゃんの布団の中で、星のような寝息。
新家完司さんのいかつい顔が浮かんだ。

サンタさんお茶を出すのでいらしてね   中川 知子

数多いクリスマスの句の中で一番面白いと感じた句。
サンタが本当はいないことなど、小学校の高学年になればいやが上でも知らされるが、それでは夢がない。夢の続きが見たくて、メルヘンを追い求めるのは大人も同じ。

野球帽とるとやっぱり古稀の顔   吉崎 柳歩

化粧、髪型で別人のようになる女性と違って、男性はさほど変化しないものだが、スーツ姿の石橋芳山さんはまるで違った。野球帽姿の新家完司さんは青年に見えた。
別人を作るアイテムは豊富。纏えばその日は違う人生を生きていける。




2018.06.16(Sat)
未来図の金魚鉢にもいるメダカ

夕刻、稗田川の川沿いを散策。
夜の帳が下りるまでにはまだ半時間ほどある。

六月半ばの桑の実が気になっていたが、黄昏時の暗さで、結果は分からずじまい。
落下した跡がないところを見ると、桑は実を付けていないのか?まだこれからなのか?

桑には大別すると二種類あるようだ。
葉っぱを収穫する養蚕用の「ヤマグワ」と、果実の収穫が目的の「西洋桑」。

稗田川の桑はどうやら「ヤマグワ」らしい。
そうなると桑の実を期待しても詮無いこと。それが分かっただけでも良かった。


今日は、東海市民川柳大会で東海市立文化センター(東海市横須賀町)へ。
投句を済ませてから、聚楽園公園と併設する東海市しあわせ村を歩いた。

万緑の中、心も体も緑に溶けていくような感じ。
水の湧き出る音(天然の泉かと思ったが、ポンプでの汲み上げだろう)が心地好かった。

大会の結果は ↓

長いながい滑り台から湧いた夢  「夢」

前略と言う間もなくて波になる  「波」

草の実が爆ぜてドラマは始まった  「ドラマ」 

幾千のドラマだあおぞらは舞台  「ドラマ」

歳月のどこにも付いている鱗  「歳月」


東海市長賞(草の実が爆ぜてドラマは始まった)と文化協会長賞(幾千のドラマだあおぞらは舞台)のW受賞は出来過ぎ。禍福は糾える縄の如しと言うから、今後が心配!

さて、明日は俳句の吟行会(ペンキ句会)。
どうなることやら、神のみぞ知る!



2018.06.10(Sun)
若者よ麦のチクチク感を持て

青麦があっという間に褐色に色付いた。
この季節を麦秋と言うが、人間の世界では梅雨。

三河地方も数日前にようやく梅雨入り。
雨の音が心地好いリズムとなって耳を突く。

昨日は、高浜川柳会の月例句会。
新メンバーEさんの加入で活気ある句会となった。


孫の住む街の天気もチェックする


Eさんの雑詠10句の内の一つ。
お孫さんの大学進学で離ればなれになった様子が描かれている。

その淋しさを、淋しいと言わず、孫の住む街の天気を気にするようになったと詠んだ。
「想い」を書くのではなく、「こと」を書くのが川柳の大切なところ。

「こと」を書けば、「想い」が伝わる。
読み手の想像の翼が広がっていく。


今年また洗濯竿を低くする


こちらはFさんの句。
検診のたびに背が縮まる様を、「洗濯竿を低くする」と詠んだ。

こちらも「こと」を書いただけの川柳。
なぜ洗濯竿を低くしたのか、読み手には容易に理解できる。

川柳は「こと」だけを書けばよい。そうすれば「想い」が伝わる。
高浜川柳会メンバーの句から学ばせてもらった。



2018.06.03(Sun)
生きてゆく大きな音を溜めながら

隣家のビワの実が色付いてきた。
食べ頃になるまでにはまだ時間を要するが、色の濃くなる様は見ていて気持ちがよい。

ビワの木の下には、鉢植えの孔雀サボテン。
こちらはすでに満開、鮮やかな赤を周囲に見せている。

我が家にも同種の孔雀シャボテンがあるが、一向に蕾を付けない。
家人に聞いてみると、冬の雪で樹皮を傷めたようだ。

夏草もぐんぐん伸びてきた。
わが世を謳歌している草々よ、雨期を前に背丈をどんどん伸ばせ!

昨日は岡崎川柳研究社の本社句会。
業務多忙のため、作句が疎かになっているが、それでも二句が天を射止めた。

入選句はこちら ↓

恥多き生きかた甲羅干しにする  「恥」 佳句

滝つぼに残っています青い恥  「恥」 秀句

踊り場でくすぶっている自尊心  「階段」 佳句

懺悔かもしれない石段を上がる  「階段」 佳句

幸せになれとツツジの置手紙  「雑詠」

シーソーの向こうに夏の地平線  「雑詠」 秀句

お宝はやすみりえから来た手紙  「手紙」 軸吟


軸吟の「お宝はやすみりえから来た手紙」は、当初「やすみりえ」を「くんじろう」にしたが、おかざきにはくんじろうを知っている人は一人もいないので、やすみりえに直した。

絵手紙の先生であるくんじろうの方が味があるのにナ・・・・
くんちゃんには悪いことをした。
  


夏の日の土手道



2018.05.27(Sun)
とっくり二本転がしている孤独

眠りに就く前のひとときが安らぎの時間である。
昔は、布団の中で古典落語を聴いたものだが、今では柳誌の寝読み。

柳社には交換誌がたくさん送られてくるので、句会のごとに1、2冊いただく。
それを寝る前の数分、開いたページを目で撫でていくだけの読み方。

昨日は、「川柳文学コロキュウム」(No76 2017.4)を開いた。
岡崎守さん(北海道川柳連盟会長 札幌川柳社主幹)の鑑賞文がすばらしい。

ご本人が言われるように、川柳家の鑑賞(読者)は添削者としての視点を持ち合わせている。
よって、句の奥行き(背景)と句の良し悪しとを合わせて鑑賞しようとする。

例えば・・・・


宝石はガラス玉です 再稼働   北田惟圭

一字あけの句である。一字あける必要があるのだろうか。
「宝石はガラス玉 原発の闇」として、反転の余情を引き出す必要がある。

「宝石はガラス玉です 再稼働」であれば、流れの余情で一字あける意味が薄れてしまう。



夜を来る足音を聞く 梨を剥く   笹田かなえ

「梨を剥く 夜を来る足音を聞く」としたなら、反転の余情が生まれるだろうか。
「夜を来る足音 梨の断片」としたならば、一字あけの一拍が増幅すると思うのだが。

それほどに難しい課題を含んで、一字あけの句は存在している。
その奥行の深さに、のめり込んでいく。

燃えやすい私 火傷にまだ懲りぬ   伊藤玲子

一字あけが気になる。「火傷にまだ懲りぬ燃えやすい私」。
反転させても意味が深まりはしない。

意外性を引き起こすのが、一字あけの役割。
その役割を熟知して妙味を引き出すのが余情である。

余情とは、心の彩の結晶であり、私の生きる証しでもある。


と、こんな感じの淀みのない鑑賞文。
本当は、書斎で端座して読まねばならないのだが・・・・



2018.05.20(Sun)
海の絵が昔ばなしをしてくれる

水曜日、岡崎川柳研究社のS女さんが電話をくださった。
そして謹呈させてもらった句集の礼を言われた。

本社句会のメンバーへは、一人一人句会時に手渡したが、欠席だったS女さんへは郵送した。
火曜日に入院先から一時帰宅、そこで句集の存在を知られたようだった。

S女さんは、電話口でも言われたが、齢97年3ヶ月。
しかし、その矍鑠たるや誰にも負けない。頭脳明晰ぶりも相変わらず。

近頃心臓が弱くなってきたようだが、医師に言わせるとその歳では当たり前の症状とか。
来し方を振り返り、川柳がどれほど励ましになったかをとうとうと語られた。

私の句もいくつか取り上げて批評してくださった。
特に心に留まった句は次の句だと言われた。


かなしみを砕くたっぷり笑わせて

軽トラにまだ青春が乗せてある

許そうと思う荒地でいることを


俎上に載せられたものは、すべて幸せな句であろう。
一時であれ、誰かの口を突いて出た句は句としての本望がある。

S女さんとの会話はほんの数分であったが、私の中に新緑が広がった。
いつまでも元気で、本社句会にもたまには参加くださいますように!



2018.05.13(Sun)
足を組むこの世を少しだけ拗ねて

駅前の「なつかし処昭和食堂」からファックスが届く。
「春宴会ご予約承ります」とあるが、もう初夏だしなぁ・・・・

もう一通は、「ビール好きにはとっても嬉しい!!」のキャッチコピー。
その下に、私の心を見透かすように・・・・

「飲み放題ワンコイン500円(税別)」
「生ビール何杯飲んでも1杯100円(税別)」

う〜ん、税抜きなら考えてもいいな。
生ビール10杯で、千円ぽっきり。

税はどうも野暮ったくていけない。ポケットがジャラジャラして困る。
さてと、どうするか?頬杖を付いて考える・・・・


今日は、俳句の会(ペンキ句会)。
精鋭たちに囲まれて、私だけが素人!

参加者は12名(内投句者1名)。投句数は1人5句。
全60句の中から入選句は、1人7句(内1句は特選)。

私の結果は↓ イマイチ進歩が見られない!


叶わない恋なのだろう五月闇  (2点)

剃刀の刃さえ匂える初夏となり  (3点)

苺狩たくさんジャムを煮るように  (1点)

復讐はちいさきことよ麦の秋

からっぽの日曜豆飯が炊ける  (3点 特選1)


ちなみに私が選んだ句は↓


夏燕メビウスの輪を抜けて来し(特選)

春愁はふとんの国へ亡命す

足裏に人体のつぼジギタリス

企画書の添削の山明易し

企みのないこともない薔薇のジャム

誰にでも罪はあるもの石鹸玉

薫風やホワイト急便通過する



2018.05.06(Sun)
にんげんをやり直す日は歯を磨く

長い黄金週間がようやく終わろうとする。
麦の穂がすくすく伸び、ややチクチク感に襲われる。

しかし、それが心地好さとなって身体の芯を覆う。
まだひと月ある雨期までのあいだ、この気分は続いていくだろう。

昨日は、岡崎川柳研究社の本社句会。
3月がインフルエンザ、4月が川柳大会だったため3ヶ月ぶりだ。

句集(ベストコレクション)発刊から2ヶ月弱。
本当なら一番初めに謹呈しなければいけない仲間が最後となった。

句集は、本社句会を基軸として発表した句を中心に添えた。
それゆえ、本社句会は私の作品の原点であると言ってよい。

今朝、本社句会の仲間・柳友のRさんからメールをいただいた。
過分な褒め言葉にくすぐったい感もあるが、素直にうれしかったので紹介する。

さっそく帰りの車内で読ませていただきました。
いつもは句会の疲れがでるのでしょう、最寄りの勝幡駅まで乗車時間は一時間弱。

心地よい揺れにあらがえず、眠ってしましますが、昨日は違いました。
「ふー」 洩れるため息聞こえませんでした?

秀句を前に、同じ川柳の作り手として、身につまされ、固まる時にふともれるそれです。
どのページをくっても、素晴らしい句が並んで、慌てています。焦っています。

例えば、五月の今、爽快な五月がそこにあります。
溽暑と大暑の到来を前に穢れのない五月がそこにあります。

<どこを切り取っても謎のない五月>
<指切の指に五月が絡みつく>

家に帰り、さっそくYさんに、句集を読んでいただきました。
本に顔を向け、集中する静かな時間が流れます。

読後、「やさしい句たち、いいね。それに光がある」
そして、さらに「その光は淋しさの、哀しさの裏返しかもしれないな」

「生きる哀しみ」、この印象に私も同感。生きる哀しみを知っているから、比呂志さんのポリシー「励まし」「希望」が立ちのぼり、やさしさの気がただよう。

そうです。「句は人となり」。心の姿、隠しようもなく句に現れます。だから句は怖い!
その「励まし」「希望」は己へ、己を囲むすべての人たちへ向けて。

この一点が揺るがないから、決して叫ばず、平明な言葉で詩的なオブラートに美しく包んで、我々に提示する。憎い! 

そうすることが人の心に深く深く届くことを、かつ、それが文芸の真の役割であることを比呂志さんは知っている。最後に、

<欠けているとこがやさしさなんだろう>

この句、句意の見つけもさることながら、なんとやわらかい!
「はい!」って返事をしている素直なRがいます。


麦の穂



2018.04.29(Sun)
りんご剥く朝の光をほどくよう

名鉄三河線・三河高浜駅から三重県総合文化センター(津市)までは、アバウト2時間の道のり。
着いたのはジャスト10時。さて、今から生涯学習棟 大研修室に於いて戦いが始まる。

平成30年三重県川柳連盟川柳大会。
記憶を繙いていくと、初参加は平成26年(三川連会報にて確認)。

その時の招待選者は、「展望」主宰の天根夢草さんと「川柳きぬうらクラブ」の浅利悦子さん(三川連大会では、県外から2人招待選者を呼び、他は三川連会員から選者を出す)。

「泣けるだけ泣けば鏡の奥に春」(課題「春」)が秀句に輝いている。
確かこの時は「川柳きぬうらクラブ」の会長・浅利猪一郎さんが運転するマイクロバスで行った。

27年の招待選者は、NHK学園川柳講座編集主幹の大木俊秀さんと「川柳グループ草原」の竹内ゆみこさん。ゆみこさんの若さと明るさは魅力的だったナ。

続いて28年の招待選者は、「やまと番傘川柳社」会長の阪本高士さん1人。
「旅プラン鴎が一羽どこへ行く」が平抜きの止め、秀句までもう一歩だった。

29年、大阪府の吉道あかねさんと「大垣川柳会」の武山博さんが招待選者。
「人情に飢えたライオンだっている」等が入選。

そして30年、何と、ぬぁぁーんと私が招待選者!
もう1人は「堺番傘川柳会」の会長の岩田明子さん。

「一線を越してはならぬマークです」(課題「マーク」)が秀句賞、出来過ぎ。
懇親会も無料ということで、遠慮しながらの(?)飲食であった。

入選句は ↓

バカボンのパパになりたい日暮れどき  「のんき」

駅裏の酒場に過去をキープする  「過去」

目に映るものを笑いの種にする  「笑う」

もう少し枠を広げて生きないか  「枠」

竹の子をぐーんと伸ばす雨マーク  「マーク」

一線を越してはならぬマークです  「マーク」

あおぞらは何も忖度してくれぬ  「自由吟B」

一度だけさまよえばいい五月病  「自由吟A」

揉めごともあって甘酸っぱい苺  「揉める」 軸吟



2018.04.22(Sun)
自販機に詰める何でもない言葉

火曜日、縦長の郵便物が届く。差出人欄には、「大垣観光協会」。
郵便物の表下には、「奥の細道むすびの地 大垣」とある。

中を覗くと、「春の芭蕉祭 入選」と記された(7p×37p)の短冊。
先日、投句した俳句が入選作として日の目を浴びたのだった。

封筒には、短冊の他に挨拶文と「春の芭蕉祭」入賞句一覧と図書券千円分。
受賞句はと言うと ↓

 薫風や堀の小滝の青となる

すっかり忘れていた。
そもそも大垣の地まで行ったのは何だったのか?

記憶の紐が解けると何と言うことはない。
4月8日(日)のJRのさわやかウォーキングだ。

この日は仕事が入っていたが、直前にキャンセル。
元々大垣に行く予定だった妻に合流したという訳だ。

コースは ↓


 大垣駅(スタート) → スイトピアセンター → 四季の広場 → 奥の細道むすびの地記念館

 → 御菓子つちや本店 → 大垣城 → 田中屋せんべい総本家 → 武内酒造 → 渡辺酒造場

 → 大垣駅(ゴール) 


旅の目的は、当然ながら造り酒屋での試飲!後は、付録のようなもの。
試飲してびっくり!得も言われぬほどの美味。

地酒はその地で飲むのが一番美味いと言うが、水の町・大垣の面目躍如といったところだろう。
「芭蕉祭り」は偶然の産物で、堀川沿いを歩いていると投句用紙を手渡された。

大垣は、俳聖・芭蕉の終焉の地。
それゆえ、俳句文化が深く根を下ろしているようだ。

芭蕉庵でお茶をいただきながら二句捻り出したが、投句した瞬間から忘れ果てていた。
気持ちは試飲、試飲であったのだ。

という訳で、入選作品が短冊で送られてきたが、薫風は夏の季語(天分)。
滝も夏の季語で、季重なりは免れないが、小滝としたところが技ありだったのかもしれない。



水門川舟下り・大垣



2018.04.15(Sun)
春を待つ春にならなければいいと

夕刻の稗田川沿いの散歩を終えて帰宅。風が強い。
そのせいか、黒くなり始めた空に星がきれいだ。

北の低い空に煌々と輝くのは金星。久しぶりに会えた。
西の上空には、オリオンと冬の正三角形。シリウスが眩しい。

春といえば、春の大曲線が東の空に見える。
北斗七星の尾を伸ばしていくとオレンジ色のアルクトゥールス、そしてスピカへ続く曲線。

もう少し空を見上げていたいが、風が強いのであきらめる。
晩酌は芋焼酎・紅芋の「小さな小さな蔵で一所懸命に造った焼酎です」と奄美黒糖焼酎!

ここ一週間はワイルド・ターキーの8年物を飲んでいたが、やっぱり焼酎がいい。
黒糖焼酎は気紛れで購入。どんな出会いがあるか?

昨日は高浜川柳会の例会日で、いつものメンバーと見学者が一人。
互選句の投票と選評、課題句の入選披講、そして雑詠の選と選評でみっちり2時間。

途中、地震で建物が揺れたが、何事もなく過ぎ去った。
生きていればいろいろなことがあるから驚かない。

見出しの句は、岡崎川柳研究社本社句会の自由吟で秀句を得た句。
この日は、インフルエンザにより欠席投句だったが、翌日、柳友Rさんがメールをくださった。↓


「春を待つ春にならなければいいと」
秀句賞
おめでとうございます。選者・勝司さん、選んだのはさすが。

人間のアンビバレントな心理を平明な言葉でちゃん表現した。
唸りましたよ。いい句だなー。悔しいー(笑)



2018.04.08(Sun)
うつくしい人に逢いたい羅針盤

名鉄三河線・三河高浜駅前の「なつかし処 昭和食堂」からファックスが届く。
先回初めて紹介したが、今までも四季毎には来ていた。

今回は、何と!・・・・・


飲み放題がワンコイン500円(税別)


何と!と言うほどのことではないが、小生にしてみれば生ビール10杯は軽くいけるし、芋焼酎の水割りなら15杯といったところだから、まあ安い。

安さだけで勝負している店だからやむを得ないが、昨今のお店は理念がしっかりしていて、その中にお客さんの健康も企業理念としてしっかり入れてある。

そのところを考えれば、昭和食堂は売上さえ上がればいいのだろうか?
自分の身は自分で守らねばならないから、企業に理念を要求しても無理なのだろう。

さて、4月8日から12日までと15日から19日までの期間中、行くべきか、行かざるべきか?
ハムレットの心境になって考えている。


昨日は、岡崎さくらまつり協賛 春の市民川柳大会。
季節的に仕事で多忙な折、稚拙な句ばかりを投句した。

お茶を濁すような作句は褒められたものではないが、その分肩の力が抜けて良かったのかも知れない。お蔭様で2句が秀句をゲット。

その内の一つが天となり、天にも昇るような心持ちがした(シャレです!)。
入選句は↓



虫食いの地図しあわせをまだ探す  「地図」

陽気全開 生ビール飲むときは  「陽気」

たんぽぽのぽぽの陽気に敵わない  「陽気」

にんげんをやり直す日は歯を磨く  「クリア」 秀句

生きて死ぬいのち陽炎なんだろう  「はらはら」

足を組むこの世を少しだけ拗ねて  「組む」 秀句



閉会後、先日発刊した句集を謹呈させてもらった柳友のYさんからお礼の品を頂戴した。
句で天に選ばれたときよりも、遥かに天に昇る心地がしたものだった!



ハナミズキがすでに満開



2018.04.01(Sun)
敵ひとりいて紙ヒコーキを飛ばす

庭のクリスマスローズが見ごろを迎えた。
この柔らかいクリーム色の花はいつでも心を癒してくれる。

咲く時期としては早いのか、遅いのか?
桜の落花を横目に咲き誇っているようにも見える。


昨日は、「せんりゅうくらぶ翔15周年記念集会」(大会)で、三重県亀山市まで。
昨年10月下旬以来の亀山はなぜか懐かしい。

場所は、国道一号線沿いの「亀山あんぜん文化村」。
投句後に弁当と地ビール持参で行った神辺地区の桜並木が見事だった。

大会成績は↓


いい風が吹くまで羽は畳みます  「待つ」

誘惑の手がしなやかに掻き混ぜる  「渦」

さみしさだろうか逆さに渦を巻く  「渦」

父という哀しみがあり立ち泳ぎ  「立つ」

擦り切れるまで聴くロッキーのテーマ  「立つ」

風船がふわりこの世に厭きたのか  「ふわり」

水に浮く豆腐すきまのない暮らし  「ふわり」


大会後の懇親会、これが得も言われぬ楽しさ。
限りある時間が恨めしいことだった。



2018.03.25(Sun)
よれよれの襷に父の夢がある

句集をお送りした人から、手紙やハガキ、メールが届く。
いただいたそれらは、すべて宝物である。

句集全体の感想や気に入った句を連ねて下さり、それが参考になる。
一行の句評に、「あっ」と思うことがある。


生きてきた時代を軽く語れない

ひらがなで問うとやさしい詩になる

さみしくて花屋の多い町へゆく

散ることを教えてくれるいい花見

地図にない旅だ縄電車で行こう

あおぞらは友だち天窓を開ける

生きてゆくため片隅に置く光

人間になろう祈る日悲しむ日

縄跳びに空を一緒に入れてやる

ゆうやけを呼ぶ魂の泣くあたり


これらは、ここ数年の中で詠んだもので記憶に新しい。
そして、すべてが一本の線上にある句群である。

これからは、この線上にはない異次元の点、線を求めていくことになるだろう。
そのときはどんな作品群ができあがるだろうか、楽しみだ。

そうは言っても、人間の本質がそうそう変えられるものではない。
言葉と言葉のはざまに突き落とされなければいいが…・




2018.03.18(Sun)
遠吠えも犬死にさえもみんな夢

グッ!と爽快!!角ハイボール 何杯飲んでも1杯100円

「なつかし処 昭和食堂」から↑のファックスが届いた。
名鉄三河線 三河高浜駅前の昭和食堂のお店。

歩いても10分と掛からない地の利で稀に行くが、つくづく感動のない店だ。
まず、店員のやる気のなさ。そして料理が全体に美味くない。

それでも行くのは、見出しにあるような「安さ」。
ハイボール10杯飲んだとしても千円(税別)。

さらに、「幹事様1名分無料!!」とある。
つまり、飲みたいだけの人が行く店であり、小生もその一人。

でも、料理は期待できないからなぁ・・・・
冷奴とか胡瓜もみとか、素のままのものがいいかも・・・・

期日は3月31日(土)まで。
家内と子供4人の総勢6名で行こうか・・・・なんて考えている。


火曜日、出版元の新葉館から川柳句集が届いた。
「川柳作家ベストコレクション」と銘打っての企画ものである。

川柳マガジン通巻200号を記念して、川柳界の第一線で活躍する川柳作家200名の句集を集大成しようという試みで、小生も200人の中に名を連ねた。

冊数は200部。どう捌けばいいか?
まずはお世話になった人へ。そして名刺交換したり、手紙をいただいた人へ。

送りたくても住所を知らない人たちも多くいる。
この作業が楽しくもあり、苦しくもあり・・・・

↓は、K子のスカイラウンジより拝借!






2018.03.11(Sun)
かなしい恋です損益分岐点

出窓のサボテンが花を咲かせた。
ほとんど水もやらなかったサボテンだが、それが良かったのかも。

毎年咲いてくれる花だが、いつからここにあるのか?
妻は新婚旅行で買ったと言っているが、それなら30年前の話だ。

私の感覚では、まだ5年ほど。
妻が人知れず育ててくれたものだろうか?

新婚旅行は、宮崎〜鹿児島。
サボテン公園などあったから、そこで土産に買ったのか?

過去の糸を手繰り寄せても、サボテンが出てこない。
男とはやっぱり薄情な生きものだろうか?

 生きてゆくため片隅に置く光

こんな拙句を思い出した。
サボテンの花は、生きてゆくためのかけがえのない花になっているのだろう!



サボテンの花



2018.03.04(Sun)
山茶花はらりと力みのない別れ

佐布里池(そうりいけ)(愛知県知多市)の梅が満開になる頃だ。
多忙な日々を繰り返していて、梅のことなど忘れていた。

今年は冬が厳しかったせいか梅も椿も遅いようだ。
しかし季節は律儀なもので、その時期になるとちゃんと花を楽しませてくれるからありがたい。

木曜日、朝から微熱が続き、仕事を終えて主治医に診てもらうと、インフルエンザ。
その夜は39.3℃まで体温が上がったが、頓服を一錠飲むと、その後は37℃台で推移。

昨日の本社句会はそれゆえ欠席。
欠席投句をファックスで送り、務めだけ果たした。

結果を送っていただいたので報告↓



遊ぶ波さがして飛んでいるカモメ  「波」

生き下手へ波の数だけあるヒント  「波」 佳句

周波数合っていますか湯の加減  「波」

いい風が来るまで羽は畳みます  「ゆうゆう」

春を待つ春にならなければいいと  「雑詠」 秀句

熟年期まだトーキョーが待っている  「雑詠」 佳句

待ち人の来ぬ日も刻む春キャベツ  「雑詠」 佳句


今夜は4日ぶりの入浴で髪も洗った。
まだ微熱は残るが、もう大丈夫だろう。

今、焼酎の水割りを2杯目、味が分からない。
味の分からぬ酒を呑むことほど空しいことはない!



2018.02.25(Sun)
犬の遠吠えさえうつくしい影絵

昨日は、妙喜寺(西尾市江原町)にて、西尾川柳会主催の「風輪の会」(参加者40名)。
物故者の多い岡崎川柳研究社にとってこの数は、大健闘と言えるだろう。

「岡崎」を長年牽引してきた我が師・曾田規世児を昨秋亡くしてから7ヶ月。
曾田さんが西三河地区に開拓した川柳教室は、多い時期には10会場あったが、現在では6会場。

それぞれの教室が、独自の歩みを続けている中で、年に一度大同団結する。
その集合体が風輪の会である。西尾川柳会では12回目。

「風輪」とは、風の輪と書く。
岡崎の川柳誌「風」に寄り添う仲間の「輪」が、まさに風輪の会なのだ。

課題は、「梅」「鰻」「銀杏」の3題。
私は「鰻」の選を担当。

それぞれの天位を紹介する。


早春賦梅一輪のいのち詠む   都築典子

うな重の蓋のあたりにほーら春   山下吉宣

耐え抜いて故郷へ錦大銀杏   角谷実苗


風輪の会メンバー(住職も会員)



2018.02.18(Sun)
犬掻きのままで七合目が過ぎる

速報!たった今、小平奈緒がやってくれた。平昌五輪スピードスケートの女子500b。
オリンピック記録での金メダル。昨日のフィギュア男子・羽生結弦の金よりもうれしい。

大会の映像は後世に残るだろうからと、珍しくリアルタイムでテレビの前に!
日本選手団主将でもある小平のきりりとした滑り。感動をありがとう!


1週間前に届いた「川柳すずか」(鈴鹿川柳会・会報290号)を見ている。
今号では、「すずか路」前号鑑賞を担当した。

鑑賞文がどんなものか知らないままに書かせてもらっているが、これでいいのか、どうか?
選評とは違って、鑑賞は想いの振り幅が大きいものだろうから、見よう見まねでもいいか?

鑑賞文は↓


「すずか路」前号鑑賞  289号から

「二刀流」と言えば、当節ではプロ野球の大谷翔平選手を指すが、その昔、二刀流を標榜した川柳家がいた。右に大衆の剣を持ち、左に芸術の剣をかざした川上三太郎である。自戒を込めて三太郎の語録を二つ。「そこまでを句にするよりそこからを書くべきである」「句とは十七字にちぢめる事ではなく、十七字にふくらむ事である」。それでは、「すずか路」という大衆の剣を抜いてみよう。

想い出がだんだん妻とずれてくる   石崎 金矢

大海原へ出航する二艘の船を思い浮かべた。型も性能も操縦士の腕も違う船は、みるみる離れていく。まして方向も違う船。わずかな方位の違いが途方もない差となって表れる。かくして妻との共通の想い出は、違った景色に見えてくる。

祝う日も喪の日も酒は同じ色   竹内そのみ

今日のビールはやけに甘いし、いつもより輝いて見える。昨日のビールは最近では一番苦かったし、どんよりしていた。何が違うのか?「それはお前の心さ!」と誰かが囁く。心を縛る何かが、味も色も違ったものにさせているのだろう。

重箱がだんだん低くなる老後   福村まこと

重箱は四季を表わす四重が正式とされるが、庶民には手間も金もかかり、二重くらいで丁度よい。ましてや老夫婦だけの家庭なら一箱で充分。重箱は老後の生活の比喩。質素だが健全な暮らしぶりに満足している様子が窺われる。

日も月もみんないっしょに歳をとる   佐藤 千四

「歳月人を待たず」とか。この陶淵明の詩の一節は、「歳月は人を待ってはくれないから、嬉しいときは大いに喜び楽しもう。酒をたっぷり用意して、近所の仲間と酌み交わそう」の意。いつの時代にも粋な詩人はいるものだ。

天までも昇ってきたわマッサージ   寺田 香林

鈴鹿のホームページをご覧になっていない方には恐縮だが、たかこ会長の「ルンルン」が真っ先に聴こえた。「ピョン」から「ルンルン」へ!今年も期待値大。マッサージの心地よさはまさに天まで昇るほど。話し言葉がよく効いた一句。

スッピンが化けて電車を降りてゆく   瀬田 明子

同時作すべてが電車内で化粧する女性がモチーフ。「寝坊」に始まり、「降りてゆく」までの数十分の物語。「見ないフリ」とあるから、もちろん明子さんのことではないが、すっかり様変わりした車内風景に隔世の感を抱いたのだろう。

知らぬ間にゆっくりと効くいいくすり   澁谷さくら

即効性のある薬は概して副作用を伴う。反して、漢方など即効性のないものは副作用もなく、じわじわと効いてくる。薬のことを詠んでいるが、薬だけではあるまい。薬を人間に置き換えて読んでもよい。「ゆっくり」がこの句の趣旨だ。

嵐呼ぶ男に着火されました   神野 優子

映画「嵐を呼ぶ男」の封切りは1957年。優子さんはその後の生まれだから、裕次郎のドラマーを見たのはリバイバル上映か、それともカラオケか?封切りから六十年後の昨今、草食系ばかりが増えて、着火できる男が少なくなってきた。

笑われることにしっかり慣れておく   上村 夢香

加齢とは、笑われる材料の在庫を増やすことだろうか?話がくどくなったり、同じことを何度も聞いたり。足が遅くなったり、膝や腰が痛くなったり。でもそんなこと、ぜんぜん気にすることはない。なぜなら、誰もが通る道だから。

可愛いおとこ見ると振り向く癖がある   前田須美代

須美代さんはいったいいつまで色気があるのだろうか?そうか、若さを保つ秘訣はこの癖なのだ。同時作「そうでしたあれが別れのハグでした」も可愛いおとことのハグを彷彿とさせる。須美代さんにいつか着火されたし!

コーヒーも酒も砂漠を潤さぬ   坂倉 広美

「砂漠を潤さぬ」とは、重症。どんな悩み事があるのか?「砂漠」は自身の比喩だが、好きなコーヒーや酒を飲んでも鬱積は溜まる。同時作「死ぬ日までの修羅消しゴムで何度消す」とあるように、どうやら原因は胸に巣食う修羅のようだ。

一年分一晩喋り夜が明ける   勝田五百子

娘さんとの一年ぶりの再会だろう。遠く嫁いだ娘と母が布団を並べて夜が明けるまで語り合う光景は何物にも代え難い幸せなひとときだ。お孫さんは爺ちゃんの布団の中で、星のような寝息。新家完司さんのいかつい顔が浮かんだ。

サンタさんお茶を出すのでいらしてね   中川 知子

数多いクリスマスの句の中で一番面白いと感じた句。サンタが本当はいないことなど、小学校の高学年になればいやが上でも知らされるが、それでは夢がない。夢の続きが見たくて、メルヘンを追い求めるのは大人も同じ。

野球帽とるとやっぱり古稀の顔   吉崎 柳歩

化粧、髪型で別人のようになる女性と違って、男性はさほど変化しないものだが、スーツ姿の石橋芳山さんはまるで違った。野球帽姿の新家完司さんは青年に見えた。別人を作るアイテムは豊富。纏えばその日は違う人生を生きていける。



2018.02.11(Sun)
失ったものがバケツを深くする

三連休の中日は「俳句の会」である。
基礎も学ばずに、見よう見まねで書いているだけの俳句。

もっとも、川柳も同じで、基礎をみっちりやったわけではない。
「詠み」と「読み」の中で、自分らしいと思える川柳が形作られればいいが、そんなに甘くない。

参考書をもう一度読み返そうかと思うが、一杯飲りながら古典落語を聴いている方が楽しい。
机の上に並べると、参考書の重さは一貫目ほどありそう。

春になったらこれらを読んでみよう!
このやる気も、一時間も経たぬうちに萎んでいくのが情けない。

我が家の本箱に眠っているのは↓

「楽しく始める川柳」(山本克夫著 金園社)
「早分かり川柳作句Q&A」(三宅保州著 新葉館出版)
「川柳の理論と実践」(新家完司著 新葉館出版)
「だれでも楽しく詠める川柳入門 上達のコツ50」(杉山昌善監修 メイツ出版)

俳句の本はと言うと↓

「俳句とあそぶ法」(江國滋著 朝日新聞社)
「あなたも俳句名人」(鷹羽狩行 西宮舞共著 日本経済新聞社)
「1億人の季語入門」(長谷川櫂著 角川学芸ブックス)
「超辛口先生の赤ペン俳句教室」(夏井いつき著 朝日出版社)
「夏井いつきの超カンタン!俳句塾」(夏井いつき著 世界文化社)

さて、「俳句の会」での戦績は↓
「凩」は、初冬の季語だからこの時期としては少々遅い、との指摘あり!


凩のなかにときどき失くす耳 (2点)

夜食にはソース焼きそば春隣

春浅し小便小僧よく耐えた (2点)

旅かばん春の改札までわずか (4点 特選2)

六感が外れた春のせいだろう (2点 特選1)



2018.02.04(Sun)
人形のくせに正論ばかり言う

寒い寒いと言いながら、立春に到着。
ここからは三寒四温を繰り返し春になっていく。

春を待つ喜びのある季節は、たとえ殺風景でもよいものだ。
やがて梅が咲き、桜・桃へと続く一本の道である。

川柳マガジン3月号の合評原稿を書いている。
3月号は、新田川草(にったせんそう)の作品を俎上に載せての合評。

新田川草の名前は知らなかったが、プロフィールを見てびっくり。
宮城県にある「川柳杜人社」の初代主宰で、現代川柳の確立に尽力した柳人。

「杜人」と言えば、広瀬ちえみ、佐藤みさ子、加藤久子など歴戦のつわものを有する実力吟社。
その初代主宰とあれば、相当な人物に違いない。そしてその句は詩性を帯びている。

合評句は↓ どんな作品論が展開できるか?
毎月毎月、手ごわい相手が続く!


指人形指を離れてむくろなる

煙突へ昇れば空が遠くなり

花一つ萎れ空ろな喫茶店

大衆と呼んで己の影を踏み

命への執着トマトの赤胡瓜の青



2018.01.28(Sun)
からくりを指人形の指が解く

午後から家人と一緒に、刈谷市の市原稲荷神社の節分祭へ。
節分祭は、毎年立春の日の前の日曜日に開催される。

その年の厄年・還暦の人が「福男」「福女」となっての豆撒き神事。
境内では振る舞い、野菜市が開かれ、毎年参拝者で賑わう。

2時からの豆撒きに合わせるように雲が陽を隠し、小雪がちらつき出した。
寒さは、この冬の大寒波で慣らされていたから、さほどでもなかった。

豆撒きの後は、豚汁、汁粉、甘酒、餅の振る舞いへ。
流れが速いので、長い行列も苦にならず3時には神社を後に。

豆撒きの風景は、↓




金曜日、「月刊川柳マガジン」2月号が届いた。
今号は、特別十句詠として作品を載せていただいた。

「川柳マガジン文学賞」受賞の記念としての作品である。
11月の下旬には原稿をメール送信してあるので、あれから2ヶ月。

業務多忙の折の作品で、推敲不足の印象が強かったが、こんなものだろう。
川柳観の異なる人には奇異に映るかも知れないが、これも立派な川柳!


冒険

冬というガリヴァーのいる玩具箱

うずもれてゆく珈琲の缶ばかり

えんぴつの芯尖らせて冬の色

哀しい色だね夕日になってから

いちまいの底が邪魔して笑えない

控え目に生きひかえめに打つ柩

立ち泳ぎしながら改札を抜ける

水攻めにされた不夜城などいいね

遠い町とおいところで笑う声

冒険が好きでまだこの街にいる



2018.01.20(Sat)
青空を食べた日カレンダーに○

暖かな大寒の日だ。
昨年は大雪に見舞われたが、今年は一味違う。

冬はいつもこうであればと思うほど、空の青がきれい。
暖かさは、日々の生活に喜びと活力を与えていく。

今日は、家人とJA愛知中央の「農業まつり」へ。
碧海5市の各地区で行われるこの祭りも、碧南地区を最後に終わる。

朝9時半、碧南会場(碧南営農センター 碧南市港本町)に到着。
すでに100bほど続く列の最後尾に並ぶ。

目的は、農作物(ダイコン、ニンジン、カブ)の引換券をゲットするため。
待つこと30分、ようやく列が動き出す。

その後は、ニンジンジュースやヤーコン茶、ハーブ茶の試飲、焼き芋の試食等々。
新鮮な地元農畜産物や特産加工品もいくらか買って、バイバイ。

あおいパーク(碧南市江口町)にて、ダイコンとニンジンを受け取り、そのまま西尾市西幡豆へ。
今日のメイン・イベントは、「尊王 新春酒蔵開き」だ。

11時30分、会場到着。
数多の酒飲みが所狭しと会場を埋め尽くし、酒・肴でもう出来上がっている老若男女。

「三河鳥羽の火祭」「尊王 純米酒」「「奥 夢山水二割二部」「奥 夢山水十割 生酒」
「雫原酒 幻幻」「山崎醸 夢吟香」「DREAM生酒」等々・・・・

イカの姿焼きを肴に無料・有料試飲で2合ほど。昼の酒はこのくらいが丁度よい。
それにしても新酒はいささか辛いが、これも新酒の宿命。低温でしばらく熟成させると旨くなる。

甘口、辛口と一本ずつを土産として帰路に。
明日のきぬうら新春句会に一本持っていこう!



西幡豆の海



2018.01.14(Sun)
留守電に寒くないかと母の声

稗田川沿いを歩く。
明るい内の散歩は久し振りだ。

いつもは、オリオン座と冬の正三角形を眺めながらの散歩だが、今日は空が青い。
空に残るいくつかの飛行機雲の線はすべて、崩れながら淡くなっている。

午後4時半、後1時間もしないうちに日没を迎える。
この時間帯の散歩は、夕焼けというやさしさがあるから好きだ。

夕ぐれの時はよい時、
かぎりなくやさしいひと時。

うろ覚えの堀内大学の詩を思い出す。
少しずつ日が永くなっていくのは限りない喜びだ。

今日は、俳句の会。
メンバーは俳句のつわものたちだから、力作揃い。

俳句詠みの顔をしてメンバーの一員に納まっているが、句がすべて物語っている。
本日の一人一句。

熱燗をすすれば別の命燃ゆ  憲一

包装紙プチプチつぶす寒燈火  三千代

ゴージャスな管弦楽団恵方巻  たまゑ

いやな客帰ってちょろぎひとつまみ  典子

七種の粥は真似事絵空ごと  風子

トロ箱に競らるる雑魚や雪催  当卯

紙コップ風に転んで冬の葬  しょう子

今井町冬晴れ映す古ガラス  みな子

虎造聴く微睡み寝言三ケ日  隆雄

介護バス五分早めの四日かな  誠次

寅さんをまた観たくなり松の内  健司

二錠ほど春の光を飲んでゆく  比呂志



2018.01.07(Sun)
軽く生きよと風船の糸はなす

新しい年が明けて7日目、七草である。
本来、七草粥を食べる日とされているが、我が家にはとんと縁がない。

年末、年始で荒れた胃を整えるには、春の若菜はいいだろう。
今年は、生活習慣として七草粥に挑戦してみようか・・・・

昨日は、岡崎川柳研究社の新年句会。
いつもよりやや華やいだ雰囲気。

来月97歳になる澄女さんが秀句を連発。
いい句が詠めるというのは、心身ともに健康である証拠、見倣いたい。

犬掻きのままで七合目が過ぎる  「戌・犬」 秀句

教科書は捨てて首輪のない犬に  「戌・犬」 佳句

犬の遠吠えさえうつくしい影絵  「戌・犬」 秀句

初めてのお使い風がやわらかい  「初」

青空をときどき食べて生きている  「雑詠」 軸吟

さて、今年の抱負は見出しの句のように軽く生きること!
何物にも縛られずに、自由に、伸びやかに・・・・



赤い風船



2017.12.30(Sat)
消印の町 父がいて母がいて

午後、墓掃除を終えて帰宅、これで年末の大掃除がほぼ完了した。
事務所のカレンダーを来年のものに差し替え、しばし今年のカレンダーを捲る。

フロイデンベルク(ドイツ)を写した2月の画像が目を引く。
木組みのモノトーンの建物が雪景色の中に浮かび上がる。

この街の家々は17世紀そのままの姿を維持しているとか。
画像はこんな感じ↓



フロイデンベルク(ドイツ)


さて、今年の総仕上げ。この1年間で秀句をいただいた句を恒例により掲載。
見返すと、納得できる作品の少ないこと!



煩悩の深さで赤くなるトサカ

熱燗に小指を入れるときが好き

お手玉をするのに丁度いい宇宙

欠けているとこがやさしさなんだろう

さよならが滑らかに出る倦怠期

太陽は見えぬスマホという樹海

躓いたとこに貴方がいてくれた

革命を起こそう空が青すぎる

青空を入れて愉快な水たまり

銀紙にくるんで空を持ち帰る

二錠ほど春の光を飲んで行く

人間の秘密が見える指メガネ

かくれんぼするすき焼の葱の中

すき焼の葱の下にもあるチャンス

巣箱から巣箱へ春を編む小鳥

子が巣立つ切取り線の向こう側

軽トラにまだ青春が乗せてある

奔放な妻のかばんにガムテープ

生きてゆく天動説をまだ信じ

リズムよく生きたか川という流れ

定型を崩さぬ滝がやわらかい

一本の滝になるまで矢を放つ

実像をぶれた写真が語りだす

電池切れだろうか空が曇りだす

また負ける涙の準備しておこう

どん底も愉快にやろうパンの耳

母さんが走る革命かもしれぬ

母さんがいて冒険がまだできる

あおぞらは友だち天窓を開ける

やわらかな線上にいる鳩の群れ

まださがす青春という遺失物

生きてゆくため片隅に置く光

初心などとうに忘れた草の丈

息継ぎを習って人の波へゆく

逢える日の下絵小さな朱を入れる

青を描く遥かな人に逢うように

フルートの音色またたく間に少年

菜箸でつつくと逝ってしまう夏

美しい角度であすを跳ねてみる

褒められて男は沖へ舟を出す

白黒はあなた自身で決めなさい

車にもしっぽが欲しい車間距離

雑音が聴こえぬほどの哀を抱く

躓いてみんな大樹の下に来る

青春の傷あと草の実はやさし

地球儀を抱くこの青は汚すまい

しあわせを抱く力なら捨ててない

砂時計の砂と眠りに就いている

喧騒をはなれて風はかぜらしく

許そうと思う荒地でいることを

満たされて行方不明になる祈り

響くまで眠りの中にいるワイン

ソーダ水飲み干し海と響き合う

子を許す母はいつでも傘だろう

戦いを終えて銀杏の黄が落ちる

マフラーを巻くには早い青みかん

消印の町 父がいて母がいて

場内放送ボクが迷子にされている

軽く生きよと風船の糸はなす

留守電に寒くないかと母の声

青空を食べた日カレンダーに○

少子化の波がいちども返さない

からくりを指人形の指が解く

人形のくせに正論ばかり言う



2017.12.24(Sun)
ソーダ水飲み干し海と響き合う

イブの一日は、鈴鹿市白子のコンフォートホテルの目覚めからだ。
昨夜は、このホテルの一室で14名が押し合いへし合いしながら「封筒回し」。

「封筒回し」とは、川柳家たちの座興で、全員が選者と投句者を兼ねた句会。仕組みはこうだ。
全員に配られた封筒に、それぞれ自分で出題した課題を書き込み、それを右の人に回す。

課題の書かれた封筒が来たら、2句(1句でもいい)を作って句箋を封筒に入れて、右の人に回す。
最終的に自分が書いた課題の封筒が回ってきたら、全員の投句が済んだということ。

後は、それぞれの出題者が選句をして発表(披講)。各人が2句ずつ作れば、26句になるが、1句の人もいるから、投句数はそれぞれの課題に20句ほどか?

入選は、秀句(天・地・人)と平抜き3句。
私の出題は「欠ける」。入選句は下のとおり。

平抜き   欠けてない方がうれしいビスケット  竹里

  〃     また太るためにいったん欠ける月  久美子

  〃     わたくしが欠けるとつまらないこの世  柳歩

人の句   欠けている茶碗の口にある悪意  舞 

地の句   月欠けてわたしの恋が終わりそう  夢草

天の句   品格に欠けても勝ちにいく張り手  久美子

  軸     やさしさが僕の一番欠けたとこ  比呂志

昨日の昼は、鈴鹿川柳会の忘年句会。
夕刻(午後5時)から、忘年会 → カラオケ → 封筒回し と続いた次第。

封筒回しを終えてからは、初恋談義そして雑談。
終了したのは、午前1時を軽く超えていたか?

自宅着は、ジャスト10時。
それから延々午後5時まで仕事!今ようやく終えて、これから当番の風呂掃除。

イブの夜は、家族でささやかなパーティー。
オードブルと寿司とケーキが食卓に並ぶのは、恒例の風物詩!



2017.12.17(Sun)
響くまで眠りの中にいるワイン

今日は、川柳きぬうらクラブの月例句会。
毎月第4日曜のはずだが、12月と1月は第3日曜に変更。

朝、家人に頼まれた風呂掃除と買い物を済ませ、昼食の準備も終えて、句の最終チェック。
この段階でどうにかなるものではないが、昨夜一杯飲みながらの作句では心許ない。

ゆえに、推敲をするわけだが、自分で言うのも変だが、ぎりぎりの及第点。
というよりは、忘年会等での飲み過ぎが祟って、推敲意欲の低下が原因だ。

妻は、四日市まで一人でJRのさわやかウォーキング。
コースを覗いてみると、味噌・醤油蔵(伊勢蔵)に酒蔵(神楽酒造)。

「いいな、いいな」と思いながら、きぬうらの句会へ。
結果はまずまずだが、どうもピリッとしない。概してスパイスが足らない。

からくりを指人形の指が解く  「人形」  秀句

人形のくせに正論ばかり言う  「人形」 秀句

にんげんが好きな土人形の眉  「人形」

バラを買うだけでニュースになる男  「ニュース」 佳句

心ないニュースは木枯らしのせいか  「ニュース」

残酷なニュースも夕焼けがくるむ  「ニュース」

さて、遅くなりましたが、11月の川柳結果報告です。


岡崎川柳研究社本社句会(11/4)

響くまで眠りの中にいるワイン  「響く」 秀句

ソーダ水飲み干し海と響き合う  「響く」 秀句

傘のなか繰り返される明と暗  「傘」

子を許す母はいつでも傘だろう  「傘」 秀句

落下傘ボクらはみんな自由だね  「傘」 佳句

戦いを終えて銀杏の黄が落ちる  「雑詠」 秀句        

食卓のなかにさざめく海がある  「雑詠」


阿久比川柳大会(11/4)

自分とは何か答えは出せぬまま  「自分」

供養などしてはもらえぬ足の裏  「供養」 軸吟

こんにゃくか豆腐か迷う針供養  「供養」

リセットをするかふれあいにも厭きた  「ふれあい」

ふれあうと命はにっこりと笑う  「ふれあい」


鈴鹿ネット句会(11/16発表)

マフラーを巻くには早い青みかん  「みかん」 秀句

蜜柑しかなかった頃の黄の温み


刈谷文協川柳大会(11/18)

極上の皮肉はマグニチュード8  「皮肉」

冬銀河殺し文句が冴えてくる  「殺し文句」

手土産を殺し文句にするリボン  「殺し文句」

見た目には逞しかった砂の城  「ほろ苦い」


きぬうら句会(11/19)

俺の番だと十一月のカレンダー  「カレンダー」

青空を食べた日カレンダーに○  「カレンダー」 秀句

十二月ひと皮むけたカレンダー  「カレンダー」 佳句

封印を解くとてっぽうみずになる  「破壊」


川柳塔ネット句会(11/21発表)

にんげんという坂道の七合目  「だんだん」


鈴鹿川柳会句会(11/25)


ごみ袋あさるカラスもボクの影  「あさる」

吉野家の牛丼あさるように食う  「あさる」

ブラックな企業を壺に閉じ込めよ  「壺」

夕焼けを入れて熟睡できぬ壺  「壺」

道草をたっぷりとして来いよ冬  「自由吟」

自転車のサドルを下げる冬の風  「自由吟」

四捨五入すると堤防らしきもの  「堤防」 誌上互選



2017.12.10(Sun)
満たされて行方不明になる祈り

月一の俳句句会だ。
俳句というものが分からぬままに続けているのは、心許ない限り。

一から俳句というものを繙きたいが時間がない。
見よう見真似、これが俳句に対する現在地だ。

とりあえず、いつもどおり五句を投句(↓)。
俳句の体を成しているのか、それすら分からない。


ユーモアの降ってきそうな冬隣

オルガンの音色に合わせ冬支度

徳利を振るとガサゴソ冬の音

ブランコも冬で小さな息をする

えんぴつの芯尖らせて冬の色


「ユーモア」と「徳利」の句がそれぞれ1人ずつ特選に選ばれた。
「えんぴつ」の句は総合点2点。

句会終了後に忘年会、これがよかった。
メンバーの素顔がしだいに見えてくる。

もう少し酒がまわると、もっと違った貌になるだろうが、時間切れ。
宴会の最中にミニ句会。「皿」「醤油」のお題で一句を作り投票で順位付け。参加者9名。


しょうゆ皿木枯らし少しずつ溜める


私の句が見事、一位を獲得。
何が良かったのか、さっぱり分からぬ!

帰り、名鉄三河線の小垣江、吉浜間で事故があり、復旧作業完了までは1時間ほどの見込み。
仕方なく7`の道のりを徒歩にて帰宅。

木枯らしに吹かれながら、最後は木枯らしになっていた!



木枯らし吹く日



2017.12.09(Sat)
許そうと思う荒地でいることを

師走に入り、慌ただしい日々が続いている。
仕事量もさることながら、気が急く分、落ち着きを失いがちだ。

午後9時、南東の空にオリオンの星たちと冬の正三角形。
シリウスが煌々と光を放ち、その存在を告げる。

夜の散歩を終え、いつもなら温まっている身体だが、冬の冷気が纏わりついて硬直状態。
昨日今日と寒さはうなぎ登りに上がり、まるで真冬のようだ。


川柳マガジン12月号を繰っている。
今号は、第15回川柳マガジン文学賞表彰号でもある。

先月号の誌上で準賞に選ばれたのを受けて、今号は誌上での表彰式。
喜びのことばと顔写真とで1ページ、これは自分史の1ページでもある。

文学賞と前後して、先月号から「近代川柳作家作品合評」の合評者を受け持つことになった。
6人の合評者が、作品論を展開するコーナーである。

11月号は「時実新子作品合評」。
以下は、作品と鑑賞文である。


君は日の子われは月の子顔上げよ

傷痍軍人の夫へ十代で嫁ぎ、夫から暴力を受け続けた新子の暗く悲しい半生。
自らを「月の子」と呼ぶのは、壮絶な日々が身体に染みついた故だろう。
「月の子」に対する「日の子」は無論、夫ではない憧れの君だ。
好きな男に身を尽しこれからを生きようと言うのだろう。
「顔上げよ」は、他ならぬ自身への応援歌である。


恋成れり四時には四時の汽車が出る

昼とも夕ともつかぬ中途半端な時刻に落ちているのは、全うな恋ではなく、許されぬ恋だ。
ところで、一日を眺めていると夕暮れに近づくほど太陽の光は弱まっていくが、夕暮れが近づいてくる一瞬、光が強くなる。時が後戻りするのだ。いつしか恋を忘れた女が、許されぬ恋に奔るのも午後四時という妖しい時間帯だからである。


妻を殺してゆらりゆらりと訪ね来よ

何とも怖い句である。もっとも、人殺しを奨励する句ではあるまいが、許されぬ恋を全うしようとする女の心の襞には「男よ、妻を殺して私のもとに来い」との願いが棲みついているのだろう。
「ゆらりゆらり」がその怖さを加速させている。
許されぬ恋の中で、女は男の覚悟を試しているのである。



いちめんの椿の中に椿落つ

春の一風景を切り取り心象を詠んだ句。
「椿」から連想されるのは赤。それは血の色だ。
そして、一枚ずつ花弁を散らす山茶花とは違い、椿の花は房ごと落下する。
それは自死する武士か、あるいは遊女に身を窶して死んだ女か。
ここにもまた生きる屍が晒される。
生きることの辛さ、切なさを詠んだ句であると解釈する。


墓の下の男の下に眠りたや

死ねばたいていの人は骨になって墓の下に眠る。
そこに愛した男がいるのなら、全うな愛だったことになる。
許されぬ愛だったのなら男はいない。
女の求めていたのは、全うな愛ではなかったか。その象徴としての「墓」。
死後を想うとき、ごくありふれたしあわせを羨望する眼差しだけがそこにある。



2017.11.26(Sun)
喧騒をはなれて風はかぜらしく

昨日は、 毎年恒例の家族だけの京都日帰り旅行。
京都と決めているわけではないが、やっぱり晩秋は京都だ。

今年はどんな顔をしているか、丸い顔か、尖った顔か・・・・
はたまた四角い顔に出合えるかもしれない、楽しみだ。

8時43分名古屋発のぞみ。自由席の乗車率は150lほどか?
3人に1人が座れない計算、我が家族は飛び込み乗車のため、無論座れない。

新幹線京都駅からはJR線で嵯峨嵐山駅まで。
これまでは阪急線で嵐山駅まで行っていたので、いささか趣が違う。

他の観光客の流れに身を任せて歩いていくと、ほどなく天龍寺前に。
渡月橋から続くメイン・ロードはうねりを上げるほどの人の波だ。

嵯峨・嵐山の旅は、やはり渡月橋を見なくては始まらない。
そんな思いで渡月橋まで歩くが、この数十メートルが進まない。

やっと渡月橋に着いた時には、少々うんざり。
人の波に飲み込まれ、溺れかかったかのようだ。

 
渡月橋 → 天龍寺 → 常寂光寺 → 二尊院 → 清凉寺(嵯峨釈迦堂) → 大覚寺

と歩を進めた。大河内山荘、化野念仏寺、愛宕念仏寺にも行きたかったが、時間切れ。
感慨深かった「常寂光寺」と「二尊院」を少し紹介(画像だけ)。

【常寂光寺】



【二尊院】


帰路は、黄昏の渡月橋を渡り、阪急線の嵐山駅から桂駅を経由して烏丸駅まで。
地下鉄に乗り換え、京都駅へ、そして夕食と買い物。

三男は、竹馬の友が住む京都御所近くのアパートへ直行のため、ここでバイバイ。
明日から、サイクリングで「しまなみ海道」を走破するとか。

名古屋駅着は20時29分。ここで名古屋市に住む長女とバイバイ。
JR線東海道線で刈谷駅まで、そしてマイカーにて我が家へ。

さて、今年の京都の顔は、ちょっと三角、ちょっと四角!
顔が貌になっていたかもしれない・・・・



2017.11.19(Sun)
砂時計の砂と眠りに就いている

11月の折り返しを過ぎるころから寒くなってきた。
まだ身体が寒さに付いていけず、肩や手足に力が入る。

昨日は雨の土曜日で、そぼ降る中を刈谷市文化祭川柳大会へ。
今年最後の大会は、想定内の結果。

期待が大きいと落胆も大きいから、こんなところがいいのだろう。
それよりも柳友との再会がいい。

話しはできなくても、顔を見るだけで心が和む。
「がんばっているな」と思うだけで、胸の奥底まで満たされる。


極上の皮肉はマグニチュード8  「皮肉」

冬銀河殺し文句が冴えてくる  「殺し文句」

手土産を殺し文句にするリボン  「殺し文句」

見た目には逞しかった砂の城  「ほろ苦い」


今日は、「川柳きぬうらクラブ」の句会日。
朝は雲と青空が半々の空模様だったが、午後からは怪しい雲行き。

ときおり小雨がぱらついたりしたが、何とか持ってくれた。


俺の番だと十一月のカレンダー  「カレンダー」

青空を食べた日カレンダーに○  「カレンダー」 秀句

十二月ひと皮むけたカレンダー  「カレンダー」 佳句

封印を解くとてっぽうみずになる  「破壊」



さて、遅くなりましたが、10月の川柳結果報告です。


岡崎川柳研究社本社句会(10/7)

天高しさみしい人の行くポスト  「集まる」

躓いてみんな大樹の下に来る  「集まる」 秀句

青春の傷あと草の実はやさし  「抱く」 秀句

地球儀を抱くこの青は汚すまい  「抱く」 秀句

しあわせを抱く力なら捨ててない  「抱く」 秀句

永遠はないのに風が吹き止まぬ  「雑詠」

砂時計の砂と眠りに就いている  「雑詠」 秀句

喧騒をはなれて風はかぜらしく  「雑詠」 秀句

青信号だから青春つっぱしる  「信号」 軸吟


豊橋文化祭川柳大会(10/9)

眠られぬ夜も歓迎します 恋  「どうぞ」 軸吟

光陰という矢を誰が放つのか  「誰」


鈴鹿ネット句会(10/17発表)

書斎では決して読まぬマンガ本  「読む」 

左遷され夕日の丘で読む聖書  「読む」


川柳塔ネット句会(10/22発表)

貧しさはみんな背中が寒いから  「貧しい」

青空の孤独が何となく分かる  「貧しい」 佳吟


きぬうら句会(10/22)

消印の町 父がいて母がいて  課題吟 「持つ」 秀句

菜箸でつつく気取りのない文化  課題吟 「俗」

孤高にはなれない笊そばを啜る  課題吟 「俗」

場内放送ボクが迷子にされている  「放送」 秀句

再放送が始まる空はいわし雲  「放送」

軽く生きよと風船の糸はなす  「上」 秀句

薀蓄を聴く長雨を見るように  「上」 佳句

神棚で発火しそうになる野心  「上」


みえDE川柳(10/27発表

徒競走しているような秋の雲  「スポーツ」


鈴鹿川柳会句会(10/28)


シーソーの片側にほろ苦い過去  「苦い」

丁寧に洗う普通でない足を  「普通」

普通ではいけない鉄人の料理  「普通」

石鹸でこすると新しいわたし  「自由吟」

エラ呼吸しているボクの進化論  「自由吟」

旅先で聖書を読んだことがない  「読む」 誌上互選


亀山市民川柳大会(10/29)

満たされて行方不明になる祈り  「祈る」 秀句

恋文を祈りのなかで書いている  「祈る」

髭を剃るまではながーい逃亡者  「逃げる・逃がす」

秋蝶のあおぞらまでの長い距離  「しっかり」

二度塗りをして美しくする記憶  「しっかり」



2017.11.12(Sun)
しあわせを抱く力なら捨ててない

昨日は、「春日の森 市民俳句・短歌・川柳の集い」。
今年から場所を「高浜市やきものの里 かわら美術館」ホールに移した。

高浜市文化協会のメイン・イベントの一つだが、このところ参加者は低調気味。
総投稿者2,837人、総投稿数7,548作品だが、そのほとんどが学生。

一般参加が毎年減っている。
高齢化の波がここでも押し寄せていると言ったところか?

ここ数年、表彰式の進行と作品の披講を担当しているが、こなすだけの催しになっている。
開催の趣旨はどこにあるのか?何を狙いにしているのか?

疑問符ばかりが頭を掠めるが、学生の作品は捨てたものではない。
特に高校生の短歌は大好きだ。


暗闇に大きな音で照らされた君の瞳に輝く花火   加藤あずさ

ねむたいの?ねそうな猫に問いかけた私も猫になれる気がした   杉野彩音

池の中水面うつる空のかお虹も出てたら一日いい日   毛利優月

「またあした」いつもかわすひとことが「またいつか」に変わる春の日   坂野虹歩


川柳の分野では、今日、奈良県で国民文化祭が開催されている。
出席は叶わなかったが、今頃は懇親会場の熱気は最高潮だろう。

「日本のはじまり橿原市へ、いざ川柳の祭典」
「川柳を愛する人々が集結!日本国はじまりの地「橿原」から川柳の魅力を発信!」

柳友が肩を組んでいる姿は想像に難くない。
去年の犬山の時と同じように!



2017.11.05(Sun)
地球儀を抱くこの青は汚すまい

夕刻、稗田川の川沿いを散策。寒い・・・・
寒いはずだ、空気は11月の風を孕んでいる。

もう11月か!今年もこのまま何もなさずに終わっていくのだろうか?
そんなことを毎年言っているような気がする。

昨日は、阿久比(あぐい)川柳大会。
知多半島のちょうど真ん中にあるのが知多郡阿久比町。

半島の真ん中にあるためか、知多半島では阿久比町だけが唯一海岸線を持っていない。
人口は2万9千人ほど。どこを見渡しても長閑な平野が横たわる。

毎年、ここの大会は阿久比米である「れんげちゃん」500gが参加賞として配られる。
今年は選者としての参加であったため、もう一つ日本酒が付いた。

阿久比町にある蔵元・丸一酒造の銘酒「ほしいずみ 辛口純米酒」だ。
若き名杜氏が醸し出す味わい深い酒である。

今日は、高浜川柳会の句会日。
会員のほとんどが連荘だったため、少々疲れ気味。

それはそうだ。句を詠むという作業は体力を使う。
ゆえに、川柳筋を日頃から鍛えておく必要があるのだ。


川柳マガジン11月号が届いた。
今月号は、第15回川柳マガジン文学賞の発表号である。

「後世に残る名句の誕生」と「次世代を担う作家の発掘」を目的としたこの文学賞は、日本一ハイレベルな川柳賞と言われるだけあって、格調がすこぶる高い。一作品は10句。

文学賞の大賞には、正賞として賞状・楯。そして、副賞として川柳句集が刊行される。
大賞を目指してどれだけの川柳作家が競っている事か!

前置きが長くなったが、な、何と、私が文学賞の準賞に輝いた。
大賞は逃がしたが、大賞と比べても遜色がない(自分で言ってどうする!)。

これは奇蹟に近い。夢、幻ではないか!と頬を抓って見る。
夢ではなさそうだ!


「いち抜けて」

地球儀を回す知らない町へ出る

吊革を掴むいのちという時間

さみしさから逃れ風船が割れる

誰一人乗らぬ夕焼け行きのバス

青春がまだハンガーにぶら下がる

大空へ飛ばす孤高というボール

水鉄砲たったひとつの空を撃つ

廃線という夕焼けを追っている

消印のまだ柔らかいふくらはぎ

いち抜けてこの世の天窓を開ける



夕暮れの廃線駅



2017.10.29(Sun)
青春の傷あと草の実はやさし

先週に続いて、またもや台風(22号)の襲来。
しかし、富士山に初冠雪があったので、上陸の可能性は薄いとか。

ともかく、今日は「亀山市民川柳大会」である。
主催者はよくぞ大会開催を決断してくれた。

亀山という異郷の地へ一年ぶり、いざ出陣である!
朝、8時過ぎ出発、開催場所の亀山文化会館到着は11時過ぎであった。

雨はさほどでもない、風はさすがに台風だけのことはある。
木々を揺らし、トタン屋根を鳴らし、傘を反り返らせる風、風、風。

風雨が暴れる前に、大会結果を報告!


満たされて行方不明になる祈り  「祈る」 秀句

恋文を祈りのなかで書いている  「祈る」

髭を剃るまではながーい逃亡者  「逃げる・逃がす」

秋蝶のあおぞらまでの長い距離  「しっかり」

二度塗りをして美しくする記憶  「しっかり」


秀句のおかげで「芸術文化協会会長賞」をゲット!出来過ぎ!
遠路はるばる、亀山の地へ行った甲斐があった。

次の土曜日は「阿久比川柳大会」で選者を務めることになっている。
何はともあれ、句作り、句作りである。



2017.10.24(Tue)
躓いてみんな大樹の下に来る

週末は、秋の長雨に加えて台風21号の襲来。
昨日の午前中まで強い風を残したが、午後からは穏やかな秋晴れを復活させた。

台風より、衆議院選挙の方が興味深いが、選挙の悲喜こもごもはいつも味わい深い。
話題の政党に思ったほど票が集まらず、話題の選挙区では思いも掛けぬ人が当(落)選。

希望の党が光より速いスピードで失速する様は、いい教訓になる。
裸の王様となった小池代表は、セーヌ川の畔で何を考えただろう?

健闘したのが、枝野代表率いる立憲民主党。
「排除の理論」に屈せずに勝ち取った議席は、数以上に意味があるように思う。

しかし、いずれもこれからが大切。初心を忘れずにやることだ。
さて、今から高浜市文化協会の理事会。来月の「文協祭」や「春日の森」など議題は満載!



討ち入りのように集まる秋の雲



2017.10.15(Sun)
白黒はあなた自身で決めなさい

秋の長雨の季節が到来した。
一雨ごとに寒くなるのは少しばかり辛い。

今を盛りの金木犀が、この雨で黄金色の十字の花を散らせてしまうだろう。
こちらは少しさびしい。

昨日は、高浜川柳会の句会日。
このひと月のあいだに、三つの大会と我が師・曾田規世児の死。

死は誰にでも来るが、やっぱり無念さを抱いてみんな死んでいくのだろう。
喜んで死んでいく人はいない。それが人間の共通点だ。

今日は、俳句の会(ペンキ句会)。
四句が入選(↓)、素人としては上出来だった。

秋高し希望の党と言われても

討ち入りのように集まる秋の雲

蟋蟀を放ち地球はしずかなり

ちっぽけな男を揺する秋祭


さて、先月の川柳結果報告です。


展望ネット句会(9/1発表)

待ち人がいるから目立つ時計台  「目立つ」 10点


岡崎川柳研究社本社句会(9/2)

倖せのかたちで縺れ合っている  「縺れる」

ベーゴマの渦またたく間に少年  「渦」 佳句

地下鉄の渦に抱かれている独り  「渦」

許そうか渦が小さくなっている   「渦」

十二色ないから秋が描けない  「雑詠」 佳句

菜箸でつつくと逝ってしまう夏  「雑詠」 秀句

靴下の穴よ夕陽を見せてやる  「靴」  軸吟


中部地区川柳大会(9/10)

美しい角度であすを跳ねてみる  「跳ねる」 秀句

十二色ならべて秋よ跳ねてみろ

てのひらで踊るかっぽれなど踊る  「和」 佳句


川柳塔ネット句会(9/23発表)

伸び代がボクを誘惑してくれる  「伸びる」

伸びてゆく破竹は宇宙だと思う  「伸びる」


川柳忌・みたままつり句会(9/23)

感謝する心へ積木くずれない  「感謝」

褒められて男は沖へ舟を出す  「褒める」 秀句

凡庸を褒められている風の中  「褒める」

あきらめの悪いおとこの冷奴  「和食」

肉じゃがの大きい方が私です  「和食」

さよならが残る九月の駅にいて  「献句」


鈴鹿川柳会句会(9/23)


栓抜きがない宅配で取り寄せる  「宅配」 誌上互選

惑星のようにも見える鼻の穴  「鼻」

鼻歌はスマップ何があろうとも  「鼻」

真直ぐに生きると嫌なことばかり  「嫌い」

嫌いならサンドバックになってやる  「嫌い」

唇の薄くなるまで投げキッス  「自由吟」

水枕してうつくしい夢を見る  「自由吟」


きぬうら句会(9/24)

鉢巻を締め炎天のアスファルト  課題吟 「巻く」 佳句

平成の次もしばらくネジを巻く  課題吟 「巻く」

単線の電車はきっとマイペース  課題吟 「単」

生きる意味問うて般若の面かぶる  「吟行吟」

ツユクサの青余生にはまだ遠く  「吟行吟」 佳句

夢いっぱい詰めて圧力鍋の湯気  「圧力」

白黒はあなた自身で決めなさい  「圧力」 秀句

お百度を踏み神さまを困らせる  「圧力」 佳句

完ぺきな男のしっぽ踏んでやる  「尾」

車にもしっぽが欲しい車間距離  「尾」 秀句


みえDE川柳(9/29発表

ちっぽけな男を揺する秋祭り  「祭」


2017.10.08(Sun)
褒められて男は沖へ舟を出す

秋祭りが各地で盛りを見せている。
我が隣町の半田市では、「はんだ山車まつり」が壮大に繰り広げられている。

豪華絢爛な山車31輌が勢揃い。
5年に一度、半田市が熱気で湧き返る瞬間である。



半田山車祭り


そんな光景を尻目に我が家族は、碧南市東山地区のお祭りへ。
ここでは毎年恒例の餅投げがメイン・イベントだ。

ビニール袋に包まれた一口サイズの餅に、手作りの商品券というか当たり券が入っている。
ここの良さは、ハズレ券がないこと。餅一つに、最低でもティッシュペーパー一箱が当たる。

我が家などは、これで1年分のティッシュが確保できるほどである。
戦績は、ティッシュ25箱、インスタントラーメン8個、ラムネ缶6本、白だし2本他、思い出せない・・・・

祭りでは、ちょっとしたエピソード。
な、何と川柳会の重鎮・三重県の橋本征一路(はしもとせいいちろ)さんにお会いした。

伊勢の半平屋のおやじがなぜここに!と思ったが、偶然とはこんなものだろう。
あの含蓄のあるあっけらかんとした川柳ととぼけたような披講を思い出した。

が、よくよく見ると他人の空似か?
真相はわからぬまま通り過ぎたが、やっぱり征一路さんであるはずはないな!

ということで、お詫びに征一路さんの句を紹介。
明日は、豊橋文化祭川柳大会の選者。暑い日になりそうである。


人の死とたしかを競う茄子の花

姉は鋏でいもうと指でちぎる封

落としたら割れるたまごを持たされる

夫婦別姓どちらの庭の桜の木

メーカー希望小売り価格で嫁に行く
                                   (三省堂現代川柳鑑賞事典から)



2017.10.02(Mon)
美しい角度であすを跳ねてみる

九月が終わった。残暑らしい残暑のない九月だった、というのが実感だ。
このまま本物(?)の秋へ突入していくのだろうか?

昨日は、次男坊の会社の運動会(フェスティバル)。
親会社の創立を記念してのグループ全体の行事だ。

グループの社員と家族、数千人が「やわらぎ森のスタジアム」(豊田市西広瀬町)に集結した。
次男坊は新入社員なので、その家族はゲストとして歓迎された。

幹事会社の手際の良い進行で、三時間ほどの開催日程は無事終了。
帰路には、「菊石」の銘柄で知られる酒蔵元「浦野酒造」に立ち寄った。

日曜は休業日だが、外で遊んでいた蔵の子供が家人を呼んで、売店を開けてもらった。
「菊石 ひやおろし 本醸造」一本を購入して、家路についた。

「ひやおろし」とは、春に火入れ(低温加熱処理)した後、低温保存して、秋口になってほどよい熟成状態で生詰めしたもの。

その熟成されたやわらかな旨味は、堪らない。
晩酌が進んだのは言うまでもない(いつもそうですが・・・)!



2017.09.24(Sun)
逢える日の下絵小さな朱を入れる

稗田川の河川敷の彼岸花が満開となった。
対岸から見ると赤と白と金色の花が無造作に並んでいる。

と言って、それは一つの法則性を帯びているようで、とても美しい。
晩秋の紅葉が、蔦・楓・七竈(ななかまど)・櫨(はぜ)を配して一枚の絵を構成しているように。

昨日は、愛知川柳作家協会主催の「川柳忌・みたままつり句会」。
参加者は245名(出席者167名、欠席投句者78名)と過去最高(?)だった。

この一年の物故者のみたまを祭り、しめやかに進められた句会。
無論、「大会」の規模ではあるが、黙祷を捧げるのがこの会の一番の目的だ。

物故者の中には、私の師である曾田規世児もいた。
九月九日に亡くなった“ホヤホヤ”の物故者である。 私の献句は


さよならが残る九月の駅にいて


人との別れは、やはり駅が一番絵になるだろう。
いずれかが旅立ち、もう一方がホームに残る。

別れた後にも駅のホームには「さよなら」が残っている。
さよならは、いつまでも胸にしまっておきたい置き土産である。


感謝する心へ積木くずれない  「感謝」 

褒められて男は沖へ舟を出す  「褒める」 秀句

凡庸を褒められている風の中  「褒める」

あきらめの悪いおとこの冷奴  「和食」

肉じゃがの大きい方が私です  「和食」



今日は、川柳きぬうらクラブの「吟行会」。
年に一度の催しで、吟行場所は、「住吉神社と赤レンガ周辺」。

少年が知らない街を探索するように、足取りは軽く、好奇心はいっぱい。
見慣れた風景が、今日は違う景色に感じられてとても新鮮だ。

ほぼ一時間の吟行を終え、句会会場は「住吉福祉文化会館」。
さて、互選研究そして吟行句と課題句の披講が始まる・・・・


生きる意味問うて般若の面かぶる  「吟行吟」

ツユクサの青余生にはまだ遠く  「吟行吟」 佳句

夢いっぱい詰めて圧力鍋の湯気  「圧力」

白黒はあなた自身で決めなさい  「圧力」 秀句

お百度を踏み神さまを困らせる  「圧力」 佳句

完ぺきな男のしっぽ踏んでやる  「尾」

車にもしっぽが欲しい車間距離  「尾」 秀句



2017.09.17(Sun)
フルートの音色またたく間に少年

九月も半ばとなり、銀杏(ギンナン)の季節到来。
ということで、今日は安城市和泉地区の八剣神社まで。

ここの銀杏(イチョウ)の木は小ぶりだが、良い実をつける。
家人によると、どのイチョウの木よりも実が大きく、剥きやすいとか。

今年の出来はどうだろうか?まだ落下には至ってないのでは?
という心配もなんのその、八剣神社のイチョウは人を裏切らない。

家人と一袋ずつ持参したビニール袋は、ものの十分ほどで一杯。
神さまに少し賽銭をはずんで、今しがた帰宅。

さて、ギンナンの香しい匂いが我が家に立ち込めるのはもうすぐ。
これもまた秋の風物詩である。


先月の川柳結果報告です。イマイチから抜け出せない・・・・


展望ネット句会(8/1発表)

俯いていては見えない時計台  「台」


岡崎川柳研究社本社句会(8/5)

逢える日の下絵小さな朱を入れる  「わくわく」 秀句

青を描く遥かな人に逢うように  「わくわく」 佳句

ハイボール飲めばこの世は宝島  「宝」

色のない風を宝にして生きる  「宝」 佳句

父母とおんなじ薬飲む日暮れ  「雑詠」 佳句

戦いがすんであいつと肩を組む  「雑詠」 佳句

八月の風をあつめる帽子店  「帽子」 軸吟


咲くやこの花賞(8/8発表)

梅雨さなか指名手配の空の青  「逃げる」 軸吟


鈴鹿ネット句会(8/17発表)

忍者にはなれそう壁を這うゴーヤ  「壁」


川柳塔ネット句会(8/23発表)

ツユクサの青やあやあと肩を抱く  「草」


鈴鹿川柳会句会(8/26)


競艇と酒と誠実さが取り柄  「ボート」 誌上互選

生きている実感三時にはおやつ  「午後」

逃避行するにはユメのない真昼  「午後」

太陽は真上たたかう貌になる  「午後」

僕のユメ伝えるためにある銀河  「伝える・伝わる」


きぬうら句会(8/27)

チャルメラの半音高くなって秋  「笛」 佳句

フルートの音色またたく間に少年  「笛」 秀句

懐手してみる武士になりたくて  「武士」 佳句

武士道がころころ笑いながらゆく  「武士」

「七人の侍」もう誰も生きてない



2017.09.10(Sun)
菜箸で突くと逝ってしまう夏

九月も三分の一が過ぎた。
秋の風が頬に心地のよい季節となった。

このまま秋日和といかないまでも、暑さの峠は確実に越えたのだろう。
稗田川の堤には、金色の彼岸花が花を付け始めた。

昨日は、高浜川柳会の句会日。句会後に納涼会という名の懇親会。
好きな川柳を語り、好きな杯を傾けるというのは喜ばしいことだ。

懇親会では、各人一句ずつ「渾身の句」を持ち寄り、その句の「真意」を披歴し合った。
句にはそれぞれ背景があり、それを語ることは「詠み」と「読み」の鍛錬になる。

肩の力を抜いて、自らの川柳を探っていくことで、思わぬ発見が得られるものだ。
深層心理というか、意識の外に漂うものが、仲間の何気ない言葉から腹に落とされる瞬間。

しみじみ酒を酌み交わしながら、川柳の良さを味わった懇親会であった。
私の一句は

 小さい秋どんな袋に入れようか

五年前の長野県の大会で秀句を得た句である。題は「袋」。
選者だった浅利猪一郎さんとはその時から交流を持つこととなった。

今日は、中部地区川柳大会(中日川柳会主催)。
私の句はすべてイマイチだったが、それでも一句が秀句に採られた。

 美しい角度であすを跳ねてみる

題は「跳ねる」。「美しい角度」とはどんなものか?日が短くなって、影が長くなってくる落日。
美しい角度で、鳥たちは遠い旅路に出るのだろうか?

大会では、隣の席に座らせてもらった豊橋番傘川柳会のYさんとお話しができた。
全日本川柳協会賞を貰ったことよりも遥かにうれしいことだった。


秋の風景



2017.09.03(Sun)
酒場放浪記

吉田類(よしだるい)の「酒場放浪記」がいい味である。ご存知、BSーTBSの月曜夜の人気番組。
「酒場という聖地へ酒を求め、肴を求めさまよう・・・」という冒頭のナレーションからしてグッとくる。

遊びの世界でしか味わえない快楽を目に見えぬ天糸蚕で手繰り寄せるときのトキメキとでも言おうか、やや時代がかったけだるさの中でふつふつと湧き上がってくるもの。モノトーンだが、人の心を擽る妖しいひと時だ。


私の家では、BSは見られないので、もっぱらインターネットの動画で見る。
リアルタイムから遅れて数日だが、一向に構わない。

お洒落とはとても言えない下町の酒場がとてもやさしい。
そこで酌む酒と肴の数々。


吉田さんは、酒場の紹介を上から目線ではなく、ただの客として自然体でとてもおいしそうに飲む。
そして、店主や女将や他の客とのふれあいと会話。

吉田さんがほろ酔いになって店を出る頃には、私もしっかり酔っている。
人間と酒場との絆がとても強く映し出されている好番組である。



ここは、熊野駅前「かわかみ」(東京都荒川区東尾久)。
日暮里・舎人ライナー線と都電荒川線とが交差したすぐのところに提灯が下がる。

西日を遮るように店へ入っていくと、人懐っこそうな主人と面倒見の良さそうな女将。もつ焼きの屋台を引いていた主人と実家がお好み・もんじゃ焼きの女将がこの地に店を構えて三十三年。屋台時代から続くタレを使った焼き鳥が人気の店だ。


まずは生ビールをグビッ。通しは「芋がら」。干した里芋の茎と細かく刻んだ油揚げを甘辛く煮つけたもの。茨城が故郷という主人の地元から取り寄せたものだ。

「牛串」と「とん串」が次に来る。皿は、かつて由美かおる似だった女将手製のもの。
肉の甘さが口中に沁みてきたところを生ビールで流し込む。これが堪らない。


二杯目は「紫蘇サワー」。常連が飲んでいたトロピカルな色彩に目が留まり、さっそくその爽やかさをいただく。口中がさっぱりしたところを今度は、「レバ」と「とりかわ」。

タレの馴染み具合が半端ではない。「周りに笑われるくらい鳥皮を食べ続けている」と常連客が話すほど、創業以来の変わらぬ味は客を惹きつけて止まない。

ここで、サワーから日本酒「万葉飛鳥」(奈良・生駒)へ。ぐい飲みも女将手製のもの。
コクとキレを併せ持つ奥深い酒は奈良酒の特徴だろうか。

次の一品は、旨い日本酒には定番の鮪の「なかおち」。これぞ下町の贅沢である。
なかおちを一切れ、万葉飛鳥をぐい飲みで一杯。これを繰り返すこと数度。そして「げそバター」へ。


料理が出来るまでの数分が常連客との挨拶時間だ。
氏素性の分からぬ同士が、家族を、仕事を、人生を語る。

利害関係のない分、そこに脚色の入り込む余地はない。たとえあったとしても一向に構わない。
酒を仲立ちにした愛しい者たちとの会話は何より楽しい。


奥の座敷には、常連客の娘が被写体となったカレンダー。
娘は歌手ということだ。

「ありがとうの笑顔も ごめんなさいの涙も あなたがあなたでいるために きっと大切なこと」
の文字が表紙には刻まれている。この景色もまた下町の人間模様である。

げそバターはどこか懐かしい味付け。
自分でもできるのではないか、料理してみようかと思うが、これができない。

酒呑みを虜にさせた三十有余年の歳月は、素人を寄せ付けぬ大きな砦となって客の前にあるのだろう。「この味は出せない」酒を喉に流しながらつくづく思う。

と、ここで再び奥の座敷へ。先ほどの歌手である娘が来店したのだ。
青いワンピースに愛らしい笑顔。乾杯の後にこんな会話。

「僕もリズム&ブルースを歌っているんですよ」
「存じ上げております」
この一言が二人の間をより近付ける。


締めは「切りいか 生姜 もんじゃ」。もんじゃ焼に合わせる酒は「鶴正宗 お酒屋さんのお酒」(京都・伏見)。創業以来扱っている酒である。

もんじゃを匙で掬い取り口へ。口中に広がるいかの香味と生姜の辛味。
そこへ鶴正宗を流し込む。その味は「ワンダーランド」へと化学変化する。


「ぐい飲みは絶対に離しませんね」と女将。もんじゃという愛情いっぱいの逸品に、ほど良く杯を重ね、店は下町のワンダーランドと化すのだった。

この日のエンディングは

 憑きものの喉より落つる紫蘇サワー  吉田類



ところで、吉田さんの本業は、イラストレーターでエッセイストのはずだが、「酒場詩人」とある。
若かりし頃に仏教美術に傾倒し、シュール・アートの画家として活動。

パリを起点に渡欧を繰り返し、後にイラストレーターに転身。
九十年代からは酒場や旅をテーマに執筆を始める。

俳句愛好会「舟」の主宰でもある。
吉田さんの俳句・・・いいなあ!


 徳利よりしろ蝶ほろと舞ひ立ちぬ

 ワンタン喰ふ春や乳房の舌触り

 人魚曳くひとすじ青き夜光虫

 定説を蜥蜴くるつと翻す

 ハイボール弾ける初夏のブルージーン

 立ち飲めば無頼の夏のよりどころ

 まどろみし酒樽ひとり言ちて秋

                                        (刈谷文協文芸誌「群生」寄稿)



2017.08.27(Sun)
あおぞらは友だち天窓を開ける

秋が目の前に迫ってきたせいか、風がとても涼しい日曜日。
昨夜は、「日本酒セミナー」があり、丸一酒造(知多郡阿久比町)の酒の“お勉強”。

「ほしいずみ 純米酒」「ほしいずみ 辛口吟醸酒」「ほしいずみ 純米吟醸酒」「ほしいずみ 純米大吟醸酒」の4種類を代わる代わる飲んだのだが、久し振りに酔い潰れる手前までいった。

今日は、「きぬうら句会」。
一夜漬けを予定していた宿題も、そんなわけでできず、朝に持ち越し。

浅漬けならぬ朝漬けで作句した川柳は、イマイチ。
最近このイマイチから抜け出せなくなった。結果は・・・・


チャルメラの半音高くなって秋  「笛」 佳句

フルートの音色またたく間に少年  「笛」 秀句

懐手してみる武士になりたくて  「武士」 佳句

武士道がころころ笑いながらゆく  「武士」

「七人の侍」もう誰も生きてない  「武士」


9月からは、「川柳 秋の陣」が始まる。
皮切りは「中部地区川柳大会」(中日川柳会主催)。

肩の力を抜き、心を入れ替えていかねばなるまい。
ネットで拾ったいい画像を眺めながら・・・・


新家完司撮影・秋の気配

  新家完司さんのブログはこちらです  
https://shinyokan.jp/senryu-blogs/kanji/


2017.08.20(Sun)
青を描く遥かな人に逢うように

木曜日、夏の家族小旅行。
妻と二人だけを予定していたが、三男が急遽合流。

郡上おどりの「郡上八幡」あたりに行こうと思っていたが、結局、「馬籠宿」へ。
ご存知、中山道の43番目の宿場だ。

「馬籠」「妻籠」と並べられるが、いずれも山あいの情緒あるしっとりした町並だ。
馬籠と言えば「水車」。これが、水力発電発祥の地を象徴している。

勾配の厳しい石畳の坂の両側に土産物屋が並び、一般の家でも当時の屋号を表札の他に掛けるなど、史蹟の保全と現在の生活とを共存させている。

午前中に五平餅一本、昼は、馬籠宿展望台脇の「恵盛庵」にて、ざるそばを二枚ずつ。
旨口の味噌だれと本場ならではの麺のコシを堪能。


馬籠宿から恵那山


続いて、「妻籠宿」。こちらはどちらかと言うと地味な町並み。
昼時ということもあったか、平日を思わせるような人出と景色。

馬籠が観光地化された「日間賀島」ならば、妻籠は、まだ鄙びた感の残る「佐久島」のようだ。
朴葉餅の和菓子屋に賑わいがあったが、結局、何も買わずじまい。



妻籠宿


さて、まだ時間は十分ある。道の駅・賤母(しずも)で見つけた資料を頼りに「苗木城跡」へ。
パンフで見る限り、風情のある見晴らしの良さそうな城跡だ。

近年、高田城跡など「天空の城」と持てはやされるところが多いが、苗木城跡もその一つ。
どんなところかと期待半分で車を走らせると、これが凄い!

まさに「天空の城」と呼ぶに相応しい格調ある城跡。
切立った崖を存分に生かした天然の要塞が垣間見えた。

天守台跡の南下に大岩があり、馬洗岩と呼ばれる花崗岩質の自然石があった。
この由来が面白い。

かつて苗木城が敵に攻められ、敵に水の手を切られた時、この岩の上に馬を乗せ、米で馬を洗い、水が豊富であるかのように敵を欺いたのだそうだ。


苗木城跡


妙に感心しながら、最後の目的地となる「岩村城跡」へ。
岩村城は、日本三大山城の一つに数えられる名城。

江戸諸藩で最も高い標高717mに城が築かれており、霧が発生し易いゆえに、別名「霧ケ城」。
女城主でつとに知られた名城だったとか。

岩村醸造の銘酒「女城主」を一瓶買って帰ってきた。
萩が花が付け始めていて、一足早い秋を見つけたようだった。



日本のマチュピチュ・岩村城跡



2017.08.13(Sun)
息継ぎを習って人の波へゆく

第2日曜日は、俳句の会である。
つい先日入会したように思うが、すでに1年が過ぎている。

近詠5句を持ち寄り、無記名にて投句。
これをシャッフルして、人数分に分け、各々が藁半紙に転記する。

10人いれば10枚の藁半紙ができる。
これを1回転させながら、各人が入選句7句(内特選1句)を選んでいく。

特段上手い人もいなければ、特別下手という人もいない。
ドングリの背比べというのが、互選の句会にはちょうど良い。

先週、我が俳句を引っ張り出したので、今日は他人の作品を紹介する。
これら作品から会の実力のほどが知れよう!


お静かに入道雲がふくらむわ   原しょう子

涼しさは四枚重ねの白き皿   清水みな子

先頭に汗の少年バスを待つ   稲垣三千代

推敲のメモ見失う秋暑し   鷲津誠次

朝ぐもり大きなプリン仕込中   二村典子

蝉時雨遣らずもがなが多すぎて   中島憲一

大あんまきコロンコロンと蝉の殻   山田隆雄

庄内は屋根瓦まで油照り   みさきたまゑ

命ある水や水母のかたちして   寺尾当卯



水彩画・鎌倉の海



2017.08.12(Sat)
初心などとうに忘れた草の丈

「川柳すずか」(鈴鹿川柳会)八月号が届いた。
今号では、「すずか路」前号鑑賞を載せてもらった。

選評とは違い、“心の赴くまま”というのが鑑賞である。
礼儀はあるが、そこには束縛も枷もなく、責任も問われない。

見よう見真似、これでいいものか、誰も教えてくれないから、自由気儘に書き殴っているが、どの世界でもやはりポイントというものはあるのだろう。


「すずか路」前号鑑賞  283号から

柳誌を捲る。新聞のチラシをちらと眺めるように、目でページを撫でてゆく。
と、そこに思いがけず素敵な一文に巡り会うことがある。

「川柳文学コロキュウム70」。
代表の赤松ますみさんが、自身の作句姿勢を書いておられる。


「水面下にまだ眠ったままの自分を掘り起こしたい」
「常に新しい表現、言葉を模索してゆく努力を惜しまない」
「作句に対する冒険心を忘れない」

こんな言葉に出合うから川柳が一層好きになる。
句を詠む気持ちがより湧いてくる。

カラオケで喉の具合を確かめる       岡ア美代子

その人なりの健康法があって、朝のカラオケもその一つ。
上手く歌えれば喉は快調、よい一日になること請け合い。
朝のカラオケはその日の準備体操だ。寝坊の人には特にお勧め。
ご婦人にとっては毛穴が開き、美容効果もありそうだ。

火葬して酒盛りをせよ僕の葬        日野  愿

若くして旅立たれた人の葬は涙が付きものだが、長寿の葬には笑いがある。
美味い酒になるのは長寿の葬だ。
だから人は永く生きねばならないと、これは酒飲みの弁。
さあ、地の酒を酌み、乾杯だ。「鈴鹿川」が飲みたくなってきた。

丹念にほどくか切るかもつれ糸       澁谷さくら

もつれた糸をどう解くかは性格にもよるが、その人の生きてきたプロセスに答えがある。
「西になし、東にもなし、来た(北)道さがせ、皆身(南)にあり」とは、一代でえびふりゃー(エビフライ)の「まるは食堂・旅館」を築いた相川うめさんの言葉。
もつれ糸、私なら切ってしまうだろうな。

トンネルを抜けるもう一人のわたし     上村 夢香

トンネルの中で自身を見つめたのだろう。そうしてこれからの行く末に思いを馳せている。
どう自分を変えられるのだろうか、と。川端康成はトンネルの先に雪国を見たが、夏のこと、比喩のトンネルを抜けると、万緑のど真ん中。

内緒です酒で転んだだけですが       前田須美代

内緒にしなくても、酒の上の失敗は笑って済ませられるもの。
いや、須美代さんは大変な酒豪だそうだから、メンツが邪魔をするのだ。
酔った振りもできず、酒豪には酒豪なりの厄介さがある。
かく言う私もそれで何度も苦労した。

痩せたかと思えばゴムが伸びただけ     西垣こゆき

川柳の面白さの一つは「落ち」。落語の落ちと同じだ。
落ち幅が大きいほど緊張が緩和され、笑いがどっと起こる。
こゆきさんの同時作「時々は深夜ドライブポストまで」も、ポストという意外な行き先が落ちとなり、笑わせてもらった。

水くれろなすやきゅうりが死んだふり    松岡ふみお

こちらも「死んだふり」に笑った。死んだふりは、生きとし生けるものの生命力だ。
表記を「ナス」「キュウリ」とせずにひらがなにしたことで、萎びた感がよく出た。
「水くれろ」とは、地獄の底の血の池から叫ぶカンダタの声だ。

ラクガキがある次のページもその次も    坂倉 広美

「ラクガキ」が書かれているのは、日記や手帳ではない。広美さんの人生そのものだ。
そして、それは自身の年輪に意識的に刻んだものだろう。
たかが落書き、されど落書き!「ラクガキ」は、生きてゆくためのメッセージでもある。

焼印を奇麗に消して恋をする        寺前みつる

焼印は、烙印のこと。「烙印を押される」とは、一生涯にわたって払拭されない汚名を受けることで、この句の「焼印」は比喩。罪深い私が生まれ変わって恋をしようというのだ。
みつるさんの同時作「妻の掌の温さ冷たさ日々変わる」にも、常温のやさしさを持てぬ人間の非情さが透けて見える。

うっすらと障子明るく今日始動       千野  力

障子のない家庭でも、障子を通して部屋に入ってくる朝の光は想像できる。
生気が漲るように、人に接吻してくれる朝の光のやさしさ。
「障子を開けてみよ、外は広いぞ!」と言ったのは豊田佐吉翁。
障子を開ければ世界が広がってゆく。

疲れたら猫をもふもふしに行こう      樋口 りゑ

帰るところがあるというのはありがたい。それを人は故郷と呼ぶが、心の故郷はどこにでもある。
愛猫のぺっとりと肌に吸いつく体温の懐かしさ。それは疲れたときの桃源郷だ。
でも、夏には毛を刈ってぼうずっくりにした方が涼しいな。

娘の古稀がとても意外な母の顔       眞島ともえ

「人生七十古来稀なり」は、中国の唐代の話で、現在の七十歳はそれは若々しい。
自分の歳も忘れてしまった母親であろうか?娘が古稀なんて信じられないというのだ。
痛ましいことだが、子へ還ってゆく母を看るのも娘の務めである。

指示はバントなのに絶好球がきた      佐藤 千四

奥様からの指示はバント。そう、走者を先の塁へ進めるための犠打。
長年の夫婦生活ですっかり信用がないからね。私には送りバントが丁度いいと言うのだろう。
ところが、投手からは打ち頃の絶好球。夫として、男として冒険すべきか?

怖いのは圧倒的な葉の白さ         青砥 英規

葉の白い植物と言えば、ドクダミ科のハンゲショウ。半夏生の頃に花を開き、葉が白くなる。
虫媒花で、虫を誘う必要から白く進化したと言われる。
ハンゲショウは半化粧とも書き、四谷怪談のお岩さんさながらのゾクッとする怖さ。



続いて、七月の川柳結果報告です・・・・

展望ネット句会(7/1発表)

蓄えた髭を損したように剃る  「損」 (6点)

岡崎川柳研究社本社句会(7/1)

しあわせを探して爆ぜる草の種  「種」

口笛が出そうな通いなれた道  「通う」 佳句

ざっそうの貌して夏を通過中  「通う」 佳句

質通いそんな時代の人が好き  「通う」 佳句

石鹸の匂い忘れたことがない  「雑詠」 佳句

表札の文字にちいさな芯がある  「雑詠」 佳句

幸せという字が少し痩せている  「痩せる」 (席題)  


咲くやこの花賞(7/8発表)

ごつごつの手触りそうか幸せか  「ごつごつ」


川柳塔おきなわネット句会(7/16発表)  

滑り台まだ人間を降りられぬ  「自由吟」

さくらんぼ命の種を吐いている  「自由吟」 佳作

川柳塔ネット句会(7/22発表)  

粗探ししてはいけない指眼鏡  「見る」  

股のぞきして美しくする未来  「見る」 佳吟


鈴鹿句会(7/22)

幸せという字が少し痩せている  「細い」 (誌上互選)

追伸の二行小骨が突き刺さる  「骨」

遮断機が上がりも一度恋をする  「自由吟」


きぬうら句会(7/23)

罪深いボクに海賊船が来る  課題吟 「舟・船」

まだ余白いっぱいあすへ舟を漕ぐ  課題吟 「舟・船」

猿山のサルからかなしみを習う  課題吟 「習う」

息継ぎを習って人の波へゆく  課題吟 「習う」

手を腰に当て牛乳を飲むマナー  「マナー」 軸吟

辻褄を合わせる力だけはある  「能力」

伸び代を信じて坂道を上がる  「能力」


みえDE川柳(7/28発表

この星で生きよう旨いもの食べて  「星」



2017.08.06(Sun)
生きてゆくため片隅に置く光

午後からは、刈谷文化協会の理事会。
何度もサボっているので、今日は真面目に出席。

と、議案書の中に「第3回刈谷文芸祭」のチラシを発見。
「あなたの一句を!俳句募集!」とあるではないか。

ちなみに、第1回は、「短歌、俳句、川柳を募集します。日常の暮らしや自然の中から感じた想いを表現してください!」。第2回は、「500字エッセイの募集!」だった。

俳句を初めて1年が過ぎたことだし、挑戦してみるのも悪くない。
果たして、この程度の地力で強豪(?)に立ち向かえるか?

丁度よい機会だから、この1年の俳句を眺めてみよう。
多数は川柳の焼回しか柳誌に発表した川柳作品。

「我が子」である川柳が、俳句として通用するかどうかを実験的にやっているので致し方ないが、これからはそんなことでは済まされないだろう。心して掛かりたいものだ。

理想とは遠いところで麦を踏む

コーヒー香るほどの贅沢椿咲く

春眠や始発のバスはとうに出て

パンジーの一鉢読み掛けの絵本

春愁や恋という字を撫でてみる

遅咲きのさくらは少しだけ無口

心地よい風よくるぶしから五月

粽解きいつしか少年へ還る

冷奴きれいな面を上にして

夕暮れの赤さをひとつ天道虫

更衣また少年の木が伸びる

夢いくつ食べたか文庫本の紙魚

逢いにゆく夏の星座を諳んじて

さようなら伐採された樹よ夏よ

遮断機の下りて夏海遠くなる

秋の星うつらうつらとまた眠り

優しい奴だったな夕焼けの絵本

平和ってトンボの目玉乾かない

逢いたくて秋を沸騰させている

秘密基地さがして秋の真ん中へ

ふるさとを想うキリンの首に秋

晩学の危うさツユクサが青い

花嫁を真ん中にコスモスの海

首筋に冬またバスを乗り換える

帽子屋の角を曲がれば冬の風

秋が逝くパラパラ漫画捲るよう

贅沢をひとつ打ち消すように冬

牙ひとつ欲しくて冬の野を駆ける

半人前が生かされている冬銀河

まだ木偶でいられる温さ冬木立

木枯らしと赤いベンチの話し合い

さかずきを干せば過激な冬銀河

あたたかな二月の画用紙を選ぶ

春が来る草木が原子語をしゃべる

ペン先はなめらか春の予定表

少年の微熱さくらはもう近い

新芽吹くポップコーンの爆ぜる音

二錠ほど春の光を飲んで行く

夜更かしは快適 春の星たちよ

空っぽの玩具箱から咲くさくら

どこを切り取っても謎のない五月

指切りの指に五月が絡みつく


紙ヒコーキ飛ぶ新緑の街にいる

逡巡の日々まだ青い夏みかん

炎天や雑誌束ねるようにして

どこまでも青春好きなラムネ瓶

万緑や一リットルの水を飲む

心太しあわせ少し痩せている 

八月の風をあつめる帽子店

水鉄砲たったひとつの空を撃つ

生きている付録のような砂糖水


2017.07.30(Sun)
まださがす青春という遺失物

第5週目ということもあって、平穏無事な土、日曜日。
そこはよくしたもので、参加しようか迷っていた国文祭の事前投句が片付いた。

明日投函すれば、一件落着である。
11月の当日はどうしようか?とりあえずは、交流会ともども参加に○。

今月は、仕事も川柳もとにかく忙しかった。「年更」「算定基礎」という定型業務は言うに及ばず、「川柳マガジン文学賞」、川柳「湖」のふるさと川柳、そして国文祭の事前投句。

その合間を縫って、例会やネット句会の作句・投句に近詠句、課題句の作句提出。
さらに依頼された鑑賞文の執筆等・・・・

昨日、川柳マガジン8月号が届いた。
「柳豪のひとしずく」は小島蘭幸(こじまらんこう)特集。

言わずと知れた川柳塔社の主幹である。
そして、今年6月、全日本川柳協会の理事長に就任された。

小島蘭幸といえば青春群像というイメージがある。
レモンライムのように口中に広がってゆくその爽やかさは、こんな感じ!


恋人の前でワントライを決める

鉛筆一本あれば私の文学よ

水平線を見ている迷い消えている

ふるさとよ大きなパンツ干してある

ライオンの風格に似て子が這うよ

妻の鼻のてっぺんにあるやすらぎよ

淋しい人が集まってくる樹になろう


三省堂「現代川柳鑑賞事典」(田口麦彦編)より



2017.07.23(Sun)
やわらかな線上にいる鳩の群れ

今日は、川柳きぬうらクラブの例会日。
課題「マナー」の選者を賜っていたので、雄々しく出陣。

共選ということもあって、もう一方の選者へは出句。
下の三句であるが、これがあろうことか全没。


人間を愛するためのマナー本

手に腰を当て牛乳を飲むマナー

群衆の中でマナーが咽(むせ)ている


日の目を見ることのなかった“我が子”であるから、この項に記させてもらった。
もう一つの課題は、「能力」。

こちらは二人の選者に二句ずつ入選。


辻褄を合わせる力だけはある

伸び代を信じて坂道を上がる


唯一、没になった句も、この際記しておこう。


無能さは柩に入ってからわかる


入選と落選(没)は、戦と同じで「時の運」。
無論、戦略や戦術、戦闘の良し悪しはあろうが、選者との相性は大きな要因だ。

そればかりに甘えていてはいけないが、それぐらいの大らかさが必要。
次のステップへ進むためには、枝葉は切り捨てるくらいが丁度よいのだ。

さて、次は川柳マガジンの文学賞作品(7/27締切)が待っている。
うかうか芋焼酎で一杯やっていてはいけない!



2017.07.16(Sun)
母さんがいて冒険がまだできる

梅雨が明けたものか、七夕過ぎから蝉しぐれが喧しい。
人はどうであれ、蝉の中では、梅雨明けは宣言されたようだ。

ここ数日は、はっきりしない天気。
夜の散歩も、星々が見えない日が続いた。

ずいぶん遅くなったが、6月の川柳の結果報告です。
明日は「海の日」。青い海原を冒険したくなる・・・・


きぬうら川柳大会(6/3)

あおぞらは友だち天窓を開ける  「開」 秀句 人位

石になるまでは戸惑い続けよう  「惑」

まっすぐに打たれる釘の世界観  「世界」

約束のようにツバメの来る世界  「世界」

詩人にはなれない恋が成就する  「自由吟」


岡崎川柳研究社本社句会(6/10)

巡る日へ時計の針は進ませて  「巡る」

逡巡の日々まだ青い夏みかん  「巡る」 佳句

裸の王様に似合いの夏が来る  「巡る」

敵対の眼は永遠の距離だろう  「視線」

失敗へモグラ叩きが止まらない  「雑詠」

まださがす青春という遺失物  「雑詠」 秀句 地位


咲くやこの花賞(6/8発表)

やわらかな線上にいる鳩の群れ  「線」 人


鈴鹿ネット句会(6/16発表)  

月一でさっぱりを買う散髪屋  「さっぱり」

厄介になる墓ていねいに洗う  「さっぱり」


東海市川柳大会(6/17)

逆上がりするとき猫の目がきれい  「猫」

靴箱に今日一日を閉じ込める  「靴」

生きてゆくため片隅に置く光  「光」 準特選

椅子ひとつ孤高の人を座らせる  「人」

素麺を啜るにんげんらしき音  「人」


川柳塔ネット句会(6/22発表)  

奪われぬように裸の王様に  「奪う」


鈴鹿市民川柳大会(6/25)


桃缶が冷え憎しみは半分に  「憎い」

炒飯の具にする苦手意識など  「苦手」

夏だから恋は薄めの睨めっこ  「自由吟A」

剃刀のようです雨の日の手紙  「自由吟B」

竹筒のようかん恋は奥手です  「筒」(席題)

捨て猫が数匹そこそこの暮らし  「暮らし」(誌上互選)

天窓を開けて暮らしの空を見る  「暮らし」(誌上互選)


みえDE川柳(6/30発表

初心などとうに忘れた草の丈  「誓い」



2017.07.02(Sun)
母さんが走る革命かもしれぬ

午後九時を回った。
世間の注目は、東京都議会議員選挙の結果と藤井聡太四段の連勝記録。

小池百合子率いる都民ファーストの圧勝は確定済みだが、将棋の方は・・・・
現在、藤井四段の劣勢が伝えられている。

連勝記録は、いつかは途絶えるもの。
また、勝負は時の運もある。

しかし、30(連勝)という数字を残したいのは地元の人の情だろう。
藤井聡太負けんなよ、劣勢を盛り返せ!と叫ばずにはいられない。

カレンダーが変わり、七月。
梅雨も後半を迎え、夏空が恋しくなる。

 夏空になるまで青を積み上げる

梅雨最中だから、青を積み上げねばならぬ。
そうすれば、少しくらいいいことが待っている気がする。



2017.06.25(Sun)
どん底も愉快にやろうパンの耳

今朝は、雨の一日を覚悟して鈴鹿市民川柳大会に出発。
無論、鞄の中には筆記用具や国語辞典の他、折り畳み式の傘。

曇り空のままなら、傘を開くこともないがどうなることやら。
人生を占うと言えば大袈裟だが、他愛のない賭けも時々は楽しい。

結果は、傘を一度も開くことはなかった。
日頃の心掛けの良さか、はたまた偶然の産物か?

鈴鹿の成績は下の通りだが、柳友との再会が格別うれしかった。


桃缶が冷え憎しみは半分に  「憎い」

炒飯の具にする苦手意識など  「苦手」

夏だから恋は薄めの睨めっこ  「自由吟」

剃刀のようです雨の日の手紙  「自由吟」

竹筒のようかん恋は奥手です  「筒」 席題


鈴鹿海岸



2017.06.17(Sat)
また負ける涙の準備しておこう

今日は、高浜川柳会メンバーで二年ぶりの東海市川柳大会。
梅雨晴れ間というより、一向に降らぬ入梅時に東海市へいざ参戦。

投句を終え、しばし柳友と挨拶、雑談の後、メンバーたちと大池公園まで。
文字通りの大きな池と深い森に身を置いて、魂が洗われる思いがした。

それが幸いしたものか、結果は5句が入選、内1句が準特選。
東海市教育委員会長賞ゲットという塩梅。

逆上がりするとき猫の目がきれい  「猫」 

靴箱に今日一日を閉じ込める  「靴」

生きてゆくため片隅に置く光  「光」  準特選 

椅子ひとつ孤高の人を座らせる  「人」

素麺を啜るにんげんらしき音  「人」


大池公園の花菖蒲


さて、遅くなりましたが、先月の川柳の結果報告です。


愛川協川柳大会(5/3)

ゆっくりと伸びればいいさ豆の蔓  「ゆっくり」

ネコの眼が光るネットの片隅に  「ネット」

シーソーが揺れるネットの裏側で  「ネット」


岡崎川柳研究社本社句会(5/6)

消えやすいとこから順に塗ってゆく  「塗る」 佳句

塗るたびに欠けたところが顔を出す  「塗る」

叱られてまだ曇天のなかにいる  「叱る」 佳句

叱られて波はいつでも聞き上手  「叱る」 佳句

青空へ歌舞伎役者が見得を切る  「雑詠」

今夜またチンで済ませている独り  「音」 軸吟


鈴鹿ネット句会(5/16発表)

また負ける涙の準備しておこう  「負ける」 秀句

負け方を覚えジャングルジムの上


川柳塔ネット句会(5/21発表)

人間の影を夕日が踏んでいる  「影」


鈴鹿川柳会句会(5/27)


横丁を曲がるとカレーだとわかる  誌上互選 6点

クセ球があるから口笛が吹ける  誌上互選 2点

父の日は父をくすぐる吟醸酒  「くすぐる」

ルビ振ると少しくすぐったい漢字  「くすぐる」

砂を噛むこれで男になれそうだ  「砂」

汗臭い男をかくす砂ぼこり  「砂」

真夏日へ狂ってしまえ砂時計  「砂」

沈黙という怖ろしいふたり旅  「自由吟」


きぬうら句会(5/28)

助っ人になってはくれぬ仁王様  課題吟「助ける」 

生きている助言をくれる空の青  課題吟「助ける」 

底辺に生き青空が好きになる  課題吟「底」 佳吟

どん底で愉快にやろうパンの耳  課題吟「底」 秀句

母さんが走る革命かもしれぬ  「母」 秀句

炊きたてのご飯に母である誇り  「母」 佳吟

母さんがいて冒険がまだできる  「母」 秀句

原色でいようスポーツ続けよう  「スポーツ」 佳吟



2017.06.11(Sun)
電池切れだろうか空が曇りだす

昨日は高浜川柳会の例会日。
高浜中央公民館から場所を変えて、ようやく吉浜公民館に落ち着いた。

仲間の句もずいぶん洗練されてきた。
コトバの選び方、表現方法、そしてリズムも申し分なし。

会員のピカリと光る一句。


新緑の風が悩みの消臭剤   康司

四十の二倍生きても日々惑う   文子

子供らのキラキラネームルビをふる   典子

四季咲きの花に男が試される   清和

噴水のベンチで父の日を過ごす   比呂志


今年から「川柳おかざき 風」の巻頭には、「川柳とわたし」が載せられている。
会員の持ち回りで、川柳に関するそれぞれの想いを綴ったものだ。

6月号は恥ずかしながら私の担当。
拙文ですが、ご覧下さい!


 レモンいれて紅茶薄るる朝から雪  内藤吐天

現代詩を齧っていた私が、短詩系文芸に触れるきっかけとなったのは、その当時、中日新聞に連載されていた岡井隆さんの朝刊コラム『けさのことば』の中の上の俳句でした。

こんなに自由に、やさしく、そして柔らかい一行詩を詠めたらいい。
破調も気にせずに、ありのままの日常を詠める俳句っていいなと思ったものでした。

その感動はいつしか萎んでいきましたが、身体の芯に残っていたのでしょう、短詩系という水を求める心の芽が、あの日を起点に芽吹いていったのです。


平成十五年、市の回覧板で高浜市文化協会主催の「川柳初心者講座」の募集を知りました。
俳句と川柳の違いはあるものの、ともに五・七・五を基調とした十七音の定型詩。

しかも川柳は、心の機微を表現する人間諷詠の詩。
これはやってみる価値はあると受講したのでした。

あれから、十四年。現在、高浜川柳会の世話人をしていますが、これからも柔らかく、やさしく、自由な目で日常(人間)を詠んでいこうと思っています。

 指メガネ覗くこの世は美しい



2017.06.04(Sun)
実像をぶれた写真が語りだす

近所の酒屋から「夏の酒だより」が届いた。
酒の専門店として市外からのファンも多い「美味良酒マルア」だ。

これまで日本酒の蔵開きツアーには何度も参加させてもらった。
一昨年は、半年にわたる日本酒講座(碧南市芸術文化事業)を事実上開催した。

さて、「夏の酒だより」の巻頭には

愛知のお酒を味わおう!日本酒セミナー

とあるではないか!
一昨年の碧南市エメラルド・カルチャークラブ講座をバージョンUPしたものだ。

6月〜11月の毎月第4土曜日 17:00〜18:30
やきものの里かわら美術館 第1スタジオ

各回2,000円(税込) 全6回申し込みの方は10,000円(税込)
もちろん、どの回のセミナーもご試飲付き!(各回とも4種類くらいの酒をたっぷり!)

初回は、「蓬莱泉・空」でお馴染みの関谷醸造・遠山杜氏による日本酒基礎知識@と試飲。
「杜氏さんから直接酒造りの話しを聞いて、お勧めのお酒を味わえる
おいしいセミナー」だとか。

ああ、前途がバラ色になってきた。
とりあえずは6月24日(土)の初回に参加してみよう。



2017.05.28(Sun)
一本の滝になるまで矢を放つ

吉田類(よしだるい)の「酒場放浪記」がいい味である。
ご存知、BS−TBSの月曜夜の人気番組。

酒場という聖地へ酒を求め、肴を求めさまよう・・・

私の家では、BSは見られないので、もっぱらインターネットの動画で見る。
リアルタイムから遅れて数年だが、一向に構わない。

お洒落とはとても言えない下町の酒場。
そこで酌む酒(日本酒が圧倒的に多いが、酎ハイやホッピーもあり)と箸を付ける肴の数々。

酒場の紹介を上から目線ではなく、ただの客として自然体でとてもおいしそうに飲む。
そして、店主や女将や他の客とのふれあいと会話。

吉田さんがほろ酔いになって店を出る頃には、私もしっかり酔っている。
人間と酒場との絆がとても強く映し出されている好番組である。

吉田さんの本業は、イラストレーターでエッセイストのはずだが、「酒場詩人」とある。
若かりし頃に仏教美術に傾倒し、シュール・アートの画家として活動。

パリを起点に渡欧を繰り返し、後にイラストレーターに転身。
90年代からは酒場や旅をテーマに執筆を始める。

俳句愛好会「舟」の主宰でもある。
吉田さんの俳句・・・いいなぁ!


徳利(とくり)よりしろ蝶ほろと舞ひ立ちぬ

ワンタン喰ふ春や乳房の舌触り
 
人魚曳くひとすじ青き夜光虫

定説を蜥蜴くるつと翻す

揚羽蝶ガラスのビルをぬけ去りし

ハイボール弾ける初夏のブルージーン

立ち飲めば無頼の夏のよりどころ

土手刈られ蟋蟀ももを露にす

酔ひ忘る路傍の闇の虫の音に

まどろみし酒樽ひとり言(ご)ちて秋






2017.05.14(Sun)
定型を崩さぬ滝がやわらかい

黄金週間が過ぎてまた日常へ還る。
思い切り羽を伸ばした分、この日常がとてもシンドイ。

ここのところ曇り空が多い。
スカッとした青空なら気分は晴れるが、そうはいかないのがこの世。

仕方ないので、餌をあさるスズメたちを眺めている。
スズメの寿命はいったいどのくらいなんだろう?

さて、先月の川柳結果です!

岡崎春の市民川柳大会(4/1)

お客様と呼ばれて膝が崩せない  「客」

善人もこころのなかに飼う刺客  「客」 佳吟

生きてゆく天動説をまだ信じ  「あべこべ」 秀句

かなしみの向こう笑っている桜  「あべこべ」 

リズムよく生きたか川という流れ  「リズム」 秀句

勝ち負けのリズムは青い空の下  「リズム」

開かねば愛は小さな痣のまま  「開く」


咲くやこの花賞(4/6発表)

深爪で恋を演じているのです  「切る」



鈴鹿ネット句会(4/16発表)

フツウとは違う何かを欠いた夜  「普通」


豊川桜まつり川柳大会(4/16)

新緑の頃のいのちがよく萌える  「グリーン」

逡巡の日々ゆっくりと書く名前  「巡る」


川柳塔ネット句会(4/21発表)

山笑うやはり大きな声だろう  「大きい」


鈴鹿川柳会句会(4/22)


電池切れだろうか空が曇りだす  誌上互選 11点

恋という魔物が胸に棲みついた  「ドキドキ」

切れ味を試され硬くなる南瓜  「試す」

蔵巡り杜氏のハナシより試飲  「試す」


きぬうら句会(4/23)

定型を崩さぬ滝がやわらかい  「滝」 秀句

銀河にも滝はあるのか星が降る  「滝」 佳句

一本の滝になるまで矢を放つ  「滝」 秀句

実像をぶれた写真が語りだす  「実像」 秀句

新緑のなかにわたしの現在地  「実像」 佳句

実像をたしかめにゆく散髪屋  「実像」 佳句


三川連川柳大会(4/29)

いい知らせ束ねて凪の海にする  「束」

桜散りくさかんむりの出番です  「チーム」

誠実に生きて畑に埋めるゴミ  「畑」

たましいを一つ畑に播いている  「畑」

古傷のせい遮断機が上がらない  「古い」

人情に飢えたライオンだっている  「自由吟」



2017.05.07(Sun)
生きてゆく天動説をまだ信じ

昨日は、岡崎川柳研究社の本社句会。
いつもより1時間ほど早く出て、本社句会の前に岡崎公園の藤棚を見物。

JRのさわやかウォーキングの日とも重なり、公園内は多くの人出。
藤は見頃で、まさに藤色の景色と香りを堪能させてくれた。

実は、岡崎公園内にある岡崎城の袂に川上三太郎の句碑がある。

 子供は風の子天の子地の子   

この句碑の建立に努力したのが、岡崎川柳研究社の創立主幹・稲吉佳晶と二代目主幹・曾田規世児である。三太郎率いる川柳研究社(東京)には、並々ならぬ恩恵を受けたのだろう。

後日談だが、岡崎川柳研究社主催の川柳大会で、ある日「碑」という題が出た。
トリの選者・曾田規世児が天に抜いた句が

 記念碑になっても邪魔にされている    青砥たかこ

曾田さんは、「これほど面白い句は初めて見た、私でも作れん」と、コメントしたそうだが、三太郎句碑がしばらく稲吉佳晶邸の庭に捨てるように放置されていた現実を思い出し、苦笑いしたのだろう。

青砥たかこさんは、現在、鈴鹿川柳会の会長。
私は、現在岡崎川柳研究社の幹事で、鈴鹿川柳会の誌友でもある。

面白おかしい関係が見えてくるではないか!



2017.05.03(Wed)
リズムよく生きたか川という流れ

我が家の食卓に苺がお目見えした。
まだ酸味の強い、相変わらずの不揃いの苺だ。

まだ、朝晩は幾分冷えるが、やはりそこは初夏。
日中、汗ばむことが多くなった分、風邪も引きやすいようだ。

世の中は、黄金週間ということで、浮かれている。
あらゆる緑が萌え、初夏の花々は咲き乱れ・・・・。

土曜日は、三重県総合文化センター(津市)にて、三重県川柳連盟(三川連)川柳大会。
この大会は、三川連に加入してなくても参加できるのでありがたい。

アットホームな雰囲気が満ち溢れ、いつもながらの纏まりの良い大会である。
吉崎柳歩会長は、留任。いよいよ長期政権の呈を帯びてきた。

入選句は以下。

いい知らせ束ねて凪の海にする  「束」 

桜散りくさかんむりの出番です  「チーム」

誠実に生きて畑に埋めるゴミ  「畑」

たましいを一つ畑に播いている  「畑」

古傷のせい遮断機が上がらない  「古い」

人情に飢えたライオンだっている  「自由吟」


今日は、愛知川柳作家協会(愛川協)の総会・大会。
こちらは、会員だけが出席できる純度の高い大会になっている。

入選句は以下。

ゆっくりと伸びればいいさ豆の蔓  「ゆっくり」

ネコの眼が光るネットの片隅に  「ネット」

シーソーが揺れるネットの裏側で  「ネット」


さて、川の流れのようにこれから多くの大会が始まる。
大会のリズムがすんなりと腹に落ちる季節になってきた!



2017.04.23(Sun)
子が巣立つ切取り線の向こう側

我が家のささやかな庭に、擬宝珠(ギボウシ)が咲いた。
斑入りの葉の間から茎が伸びて、その先に白い小花を付けている。

萌える新緑の季節に、花は身を寄せ合って何か囁いているようだ。
釣り鐘状の花を下垂らして、鈴蘭のようにどこまでも可憐な花々。

さて、遅くなったが前月の川柳結果です。
年度替わりというのは、とにかく忙しい!


岡崎川柳研究社本社句会(3/4)

光るものボクの中では足の裏  「光」

二錠ほど春の光を飲んで行く  「光」 秀句

竹光でよい人間を斬るのなら  「光」 佳句

ここだけの話が雲になっていく  「秘密」

シャボン玉 涙のわけは話さない  「秘密」 

人間の秘密が見える指メガネ  「秘密」 秀句

かくれんぼするすき焼の葱の中  「雑詠」 秀句

曇天をどう生きようか思案する  「雑詠」 佳句

狩人の眼となり家を捨てる猫  「雑詠」 


鈴鹿ネット句会(3/16発表)

過ちもしっかり包むオムライス  「黄」

水仙の黄にもしずかに加齢臭  「黄」


尾張旭川柳大会(3/20)

雑念を捨ててあしたも陽は昇る  「あさひ」

すき焼の葱の下にもあるチャンス  「チャンス」 秀句  

淋しくはないよチャンスが谺する  「チャンス」

遠い日の声が聞こえる耳の奥  「奥」

閂を掛けてこの世の奥を見る  「奥」

足跡を撫でる逢いたい人ばかり  「足跡」

足跡を見れば普段着だとわかる  「足跡」


川柳塔ネット句会(3/21発表)

目覚ましが鳴る日曜の青い空  「鳴る」

さみしさの底で背骨を軋ませる  「鳴る」


鈴鹿川柳会句会(3/25)

終電は行って眠りについた街  誌上互選 3点

悔恨の数だけぐい飲みが欠ける  「悔しい」

淋しくて点を繋いでいる星座  「点」

一点を見つめ桜が開花する  「点」

歯を磨く声が小さくならぬよう  「自由吟」

満開ってさくらにとって大仕事  「自由吟」


きぬうら句会(3/26)

飴ちゃんを配る善意の光る街  課題吟「配る」 軸吟

巣箱から巣箱へ春を編む小鳥  課題吟「巣」 秀句

子が巣立つ切取り線の向こう側  課題吟「巣」 秀句

雑魚はざこ万年床が性に合う  課題吟「巣」

相槌を打つには早い日暮れどき  「同意」

奔放な妻のかばんにガムテープ  「テープ」 秀句

青春をしている父のテーピング  「テープ」



古民家で見たギボウシ



2017.04.16(Sun)
すき焼の葱の下にもあるチャンス

4月も半ばになった。
今年の桜は花芽の開花が遅かったため、まだ八分散りを保っている。

今日は、そんな桜の麗しい桜ヶ丘ミュージアムにて、「豊川桜まつり川柳大会」。
無論、大会がメインだが、その後の懇親宴(花見)を楽しみに参加された柳人も多かったようだ。

大会は、3人の選者がちゃちゃっと披講を済ませ、すぐに表彰式。
その時間は1時間ほど。12時開会だから、1時には終了したことになる。

そして、八分散りの桜の下へ移動して、花見。缶ビールに清酒、芋焼酎が並べられ、肴は「豊川やしの実」メンバー手作りの天麩羅や旬の野菜の漬物など。

小吟社ならではの、小回りの利く大会と懇親宴。
大会の成績など誰も眼中にない、こんな会があってもよい。

懇親宴の後は、有志による三次会。場所を豊橋駅前繁華街の居酒屋「おかめ」に移し、夜が更けるまで語り合う。おかめのママもまた柳人である。

楽しい一時を過ごし、帰宅は午後11時くらいだったか?
途中社内で寝過ごし、一区間戻るハプニングもあったが、これもご愛嬌。

かくして春の一夜は過ぎてゆく!

 夜更かしは快適 春の星たちよ



2017.04.09(Sun)
青空を入れて愉快な水たまり

昨日、今日と花見には申し分のない満開の桜。
生憎の花曇りの天気が恨めしくもあるが、雨にならずよかった。

昨日は、高浜川柳会の例会日。桜の頃は吟行と洒落てもいいのだが、花より団子(酒)好きな連中だから、作句が危ぶまれて、まだまだ吟行句会はためらわれる。

まぁ、そのうち何か企画しなければならないだろう。
新緑の頃もいいし、紅葉のときでもいい、外に出ることで見えてくるものがあるだろう。

句会を終えて自宅に戻ると、宅配の包み紙。
「川柳瓦版の会」からの表彰盾が入っている。

盾には、「咲くやこの花賞 平成28年度第1位 柴田比呂志 川柳瓦版の会」と記してある。
5日(水曜日)が表彰式だったが、業務多忙で出席できずにいたものだ。

この世はたぶんに奇蹟というものが起こる。「咲くやこの花賞」という、年間を通しての誌上競吟での第1位は名誉なことだが、これが実力と錯覚してはいけない。

いいときもあれば悪いときもある、それが人生。
半世紀以上生きて、辛いことをいくつも経験して、得た教訓だ。

「咲くやこの花賞」には今年度もチャレンジするので、ここらで本当の力が分かるだろう。
今日は一人で乾杯といこうか?昨日も乾杯したはずだが・・・・。

今日は、俳句の会。
名句は生まれようもないが、こんな句を出した。

夜更かしは快適 春の星たちよ



春の大三角形


2017.04.02(Sun)
銀紙にくるんで空を持ち帰る

午後八時、稗田川沿いを歩く。西の空には、ずいぶん低くなった冬の大三角形。
ご存知、ベテルギウス、プロキオン、シリウス。オリオン座があるから一目で分かる。

そして、東の空には、春の大三角形。こちらの目印は、北斗七星だ。
北斗七星の柄の部分を伸ばしていくと、オレンジ色をしたアルクトゥールス。

またそのカーブを伸ばしていくと白色をしたスピカ。
その二つの星と、しし座の尾の先にある2等星のデネボラを結んだものが春の大三角形だ。

寒さを乗り切り、ようやく四月。
今年は桜が遅いのが玉に瑕だが、良い季節になった。

昨日は、「岡崎さくらまつり協賛 春の市民川柳大会」。
我が岡崎川柳研究社主催の唯一の大会だ。

司会という縁の下を担当したお蔭だろう、岡崎市教育委員会賞(3位)と岡崎市観光協会賞(4位)をゲット、出来過ぎ。入選句は↓


お客様と呼ばれて膝が崩せない  「客」

善人もこころのなかに飼う刺客  「客」 佳吟

生きてゆく天動説をまだ信じ  「あべこべ」 秀句

かなしみの向こう笑っている桜  「あべこべ」 

リズムよく生きたか川という流れ  「リズム」 秀句

勝ち負けのリズムは青い空の下  「リズム」

開かねば愛は小さな痣のまま  「開く」


今日は、高浜市文化協会主催の「大山さくらものがたり」。
写真撮影、文芸コンクール、茶会が行われたが、桜がまだチラホラで淋しい開催となった。

文芸(短歌、俳句、川柳)コンクールは三ケタにのぼる作品の応募があり、上々。
穏やかな青天が何よりの味方だった。




2017.03.26(Sun)
二錠ほど春の光を飲んで行く

先週の「三千盛」感謝祭ツアーから一週間が過ぎた。
その間、不思議なことに日本酒が縁を切ってくれない。

翌日の月曜日は、春分の日で「尾張旭川柳同好会創立三十周年記念川柳大会」に参加。
夕方からの懇親宴で、「純米吟醸 八海山」と「久保田 千寿」を痛飲。

日中、投句後に鈴鹿川柳会の美女二人と連れだって城山公園へ行ったものだから、懇親宴でも浮かれるように新潟の銘酒をごくんごくん。まぁ、このノリも悪くない。

火曜日は休肝日。
週二日の休肝日は、昨年の十一月以降続けている。

水曜日は、我が家で「純米大吟醸 越乃白雁」(中川酒造)。
落ち着いた吟醸香、口内でふくらむ上品な味わいが魅力の旨口タイプの酒。

木曜日は、異業種交流会のグループ会。二次会は場所を変えて、グループメンバーのお店へ。
ここで出された「一念不動 純米大吟醸原酒」(関谷醸造)がとてもおいしく、やはり痛飲。

金曜日は休肝日。
週二日の休肝日はいつまで続くか?

そして、土曜日は、神杉酒蔵の蔵開きへ。
JRのさわやかウォーキングに便乗しての無料試飲は果てを知らない。

さて、日曜日。明日は悲しい休肝日だから、今から「純米大吟醸 越乃白雁」を空けてしまおう。
そして火曜日からは、芋焼酎に切り替えるつもり・・・・!



2017.03.19(Sun)
革命を起こそう空が青すぎる

温かい春の一日。今日は「三千盛」感謝祭ツアー。
近所の酒店の主催で、マイクロバスを借り切って、蔵開きへ参戦。

行き先は、岐阜県多治見市笠原町にある蔵元・三千盛(みちさかり)。
知る人ぞ知る、超辛口の清酒を醸し出すことで有名な安永年間創業の蔵元である。

 
美味良酒マルア出発(9:00) → 刈谷駅南口(9:30) → 三千盛到着(10:30)

 → 試飲&屋台のおつまみを楽しむ(約2時間) → 製造蔵見学(約1時間) → 

 幸兵衛窯・市之倉さかずき美術館見学(約1時間) → 刈谷駅南口(4:00) →

 美味良酒マルア到着(4:30)


ざっと上の通りの行程だが、これで終わらないのが酒飲みの卑しさ。
さらに、マルア店内で打ち上げ(反省会)。午後8時、ようやくお開き。

蔵開き日和と言っても過言ではない春の彼岸の日曜日。
酒も良かったが、三千盛の女将さんと娘さんの着物姿がきれいだったのが印象的。


三千盛蔵開き風景



2017.03.12(Sun)
躓いたとこに貴方がいてくれた

この冬は日本酒に嵌っていた。普段は芋焼酎の水割りと決めているが、昨年、鈴鹿川柳会の忘年会で鈴鹿の銘酒「作(ざく)」を呑んでからというもの、日本酒が病みつきとなった。

1月以降を数えてみても、ざっと10品種くらいにはなるか?
覚えているものを書いてみる。

越乃寒梅 純米吟醸 灑(さい)
純米酒 作 穂乃智
純米吟醸原酒 尊王
吟醸 そんのう
鳴門鯛 純米 水ト米原酒
ふなぐち菊水 一番しぼり
久保田 生原酒
三河武士 純米大吟醸

よって、この春はいいさか疲労気味。
適度に呑めば百薬の長だが、呑み過ぎは万病の素だろう。

3月からは、今までどおり芋焼酎に変えている。
たまには日本酒が呑みたい。花見は「作」を持参で花の下へ行こう。

さて、恒例の川柳報告(1/28 鈴鹿川柳会以降)です。
日本酒ほど味わい深いものがないのは残念!


岡崎川柳研究社本社句会(2/4)

滑らかな朝ハミングを口にする  「滑らか」

さよならが滑らかに出る倦怠期  「滑らか」 秀句

奪い合う椅子がごめんなさいと言う  「椅子」 佳吟

冬の椅子 冬の景色と響き合う  「椅子」

孤高とは一枚残るさくらの葉  「雑詠」

煩悩を撫でる毛深くなっている  「雑詠」

逆上がり無心で蹴った日の青さ  「雑詠」 佳吟

逃げているようにも見える豆の蔓  「逃げる」 軸吟


鈴鹿ネット句会(2/16発表)

これ以上好きになってはならぬ線  「引く」


風輪の会(2/18)

これもまた縁だと思う向かい風  「縁」

躓いたとこに貴方がいてくれた  「縁」 秀句


鈴鹿川柳会句会(2/25)

冷えているのは青春の落し物  誌上互選 1点

みんな幸せかと地球儀は回る  「連続」

六感が外れた春のせいだろう  「外す・外れる」

人間がいないと完ぺきな地球  「外す・外れる」


きぬうら句会(2/26)

革命を起こそう空が青すぎる  「空」 秀句

青空を入れて愉快な水たまり  「空」 秀句

銀紙にくるんで空を持ち帰る  「空」 秀句

腹筋を鍛えています向かい風  「腹」

展望ネット句会(2/3発表)

恋をして好きという字が上手くなる  (6点)

恩返ししてくれそうな鶴が好き  (9点)



2017.03.05(Sun)
太陽は見えぬスマホという樹海

昨日は雛納め。雛の顔を吉野紙でくるみ、箱の中にはしょうのうを入れるのが由緒正しいやり方なのだが、我が家では、2月の初めに出し、3月4日に仕舞う、ただそれだけの年中行事。

雛人形の主(娘)が名古屋に就職、実家を出ているので、昨年から雛段を七段から五段にした。
余った人形を供養に出してスキッリ。人形の出し入れも、それは楽チン。

今日は、1ヶ月ぶりの名鉄ハイキング。ハイキングのメインは、「ごんぎつね」ゆかりの里山・権現山(ごんげんやま)。コースは・・・・

住吉町駅(スタート) → 新実南吉記念館 → 権現山 五郷社・植公園 → JAあいち知多植大 

→ 箭比神社 → 阿久比町勤労福祉センター(ゴール) 


「ごんぎつねの里」と言えば、半田市・矢勝川堤防の2百万本の彼岸花が浮かぶが、今日の散策は、対岸の阿久比町(あぐいちょう)の権現山。南吉の童話「ごんぎつね」の背景になったところだ。

山頂には、菅原道真の子孫によって祀られたという伝承が残っている五郷社(ごごうしゃ)が鎮座。
たかだか32bの山だが、運動不足の身にはこたえた。

権現山を後にして、もう一つ名のない山を登る。
その中腹に位置するのが、「
箭比(やひ)神社」。

深い森の中にある急な石段を登る。途中、赤い鳥居をくぐったが、後で分かったが、この赤鳥居をくぐると「おこり」にかかるそうだ。おこりとは、
発熱、悪寒などをともなう熱病。

苔むした石段を気を付けて登っていくと、やがて本殿。
一通り参拝して、帰りは石段ではなく、くの字に迂回した林に囲まれた道を歩く。

真っ直ぐに伸びたヒノキが厳かな雰囲気を作り出す。
深い森の息遣いがヒシヒシ胸に迫ってきた。

ゴールは、阿久比町勤労福祉センター。
ここでは、「お雛さまと吊るし飾り展」。

厳かな静けさから今度は、旅人で賑わうあざやかな巷へ。
家人は、ここが目当てだったらしい。

距離8`、所用時間2時間の散策は、かくして終わりを告げた!
昼食は、半田市内の有名店で、海老フライ定食。



新美南吉



新美南吉記念館



権現山



箭比神社



2017.02.26(Sun)
さよならが滑らかに出る倦怠期

「二月は逃げる」という言葉どおり、逃げていく二月。
大寒を越し、立春を迎え、冬と春とのはざまを光の速さで過ぎていく。

しかし、春などずっと先のこと。まだ冬はゆらゆら湯気を立てている。
日差しはすこしずつ強くなってきたが、暖かさはまだこれからだ。

鈴鹿川柳会の発行誌を眺めている。
昨年から、「すずか路」前号鑑賞を担当させていただいている「川柳すずか」。

半年に一度の鑑賞だが、夥しい句に出会い、視界は確実に広がっている。
拙い鑑賞文だが、春が来る前に紹介させていただく。



「すずか路」前号鑑賞  276号から

その昔、川上三太郎が愛弟子の時実新子を指導する時、三太郎は、新子が作句した川柳の頭に○×だけを添えて返したという。  

×朝からの雨コーヒーの香が恋し  
○味噌汁のどろりどろりと失意抱く 

「素顔の川柳であれ」というのが三太郎の一貫した姿勢であり、指導法。「どろりどろり」の中に新子の苦悩、本音を感じ取ったのだった。


新子の川柳は「私発」。「私の川柳は本音で読む川柳。かならず私を濾過し、自分の目で自分の言葉で自分の本心を表現している」。

訃報続いていっそう浸みる秋の冷え     北田のりこ

寒波のように賀状削除の訃報来る     加藤 吉一


好きな酒入れて別れをする柩     西野 恵子

「川柳界の巨星落つ」の訃報が続く。晩秋に尾藤三柳氏が旅立ち、今日(十二月二十四日)、墨作二郎氏の訃報に接した。お会いすることは叶わぬ二人だったが、句は脳裏に焼き付いている。

「乱世を酌む友あまたあり酌まん」(三柳)
「車座で読むアンネの日記 ビートルズ」(作二郎)

クリームを塗ってと拗ねる足の裏     鈴木 裕子

肌の乾燥する季節。「拗ねる」足の裏にクリームを塗ってあげるのも人の務め。「尊いのは足の裏」と書いたのは、詩人の坂村真民さん(故人)。一生を汚い処と接している足の裏だ。光を発するくらい丹念にクリームを塗り込んであげよう。

一瞬をフォーカスしたぞ猫パンチ     千野 力

愛猫が突然ボクサーのごと猫パンチ。その一瞬をパチリとは、力さんらしい好奇心の成せる業。しかし、猫は元々狩りをする動物。体内の襞に野性を溜めている。ここぞと思うところで猫パンチを繰り出し、生き抜いてきたのだろう。そしてその後は何事もなかったように、猫なで声を奏でている。

雪女粉雪らしいすぐ消える     小出 順子

雪女といえば、小泉八雲の「雪女」を思い浮かべるが、それも束の間、「すぐ消える」で順子さんにどんでん返しを喰らわされた。これが川柳味。レミオロメンの「粉雪」の歌詞「粉雪ねえ心まで白く染められたなら」に心のリセットを期待する私には、とうてい川柳味は身に付かない。

人類も絶滅危惧種かもしれぬ     高柳 閑雲

北極圏のトナカイの平均体重が、ここ十五年ほどで十二パーセントほど減ったという。温暖化の影響で雪が雨となり、草地が氷で覆われることが多くなったためだ。痩せ細ったトナカイだけでなく、サンタクロースもやがて絶滅危惧種となるのだろうか。

これ以上捨てると寒い不用品     西野 恵子

身の周りが不用品ばかりでは鬱陶しくてやり切れないが、かといって、すべてを捨ててしまっては場が殺風景になる。新聞、パンフ、週刊誌の類は捨てる。衝動買いした書籍も処分する。しかし、想い出多いものは本棚に大切に仕舞っておこう。冬ごもりに役立つに違いない。

間をおいてみればすんなり出るこたえ     澁谷さくら

江戸小噺を一つ。若者が昼寝をしているところに大家がやってきて「けしからん、若いうちはしっかり働け」と小言。「働いてどうなるんで」「働けば金が儲かる」「お金が儲かってどうなるんですか」「そうすりゃ、自分の店が持て、いずれ番頭を置いて、主人のおまえはゆっくり昼寝ができる」「ですが、大家さん。あっしはその昼寝を今やっているんです・・・」

落ち穂拾う時代があったミレーの絵     西垣こゆき

落ち穂とは麦の穂。脱穀の時にこぼれた麦の穂を拾い集めるのが「落ち穂拾い」。自分の労働では十分な収穫を得ることのできない寡婦や貧農の人々が命をつなぐための権利として認められた慣行だったという。この秋、朽ちた向日葵が「落ち穂拾い」の光景に見えて仕方なかったことを思い出す。

ひとり暮らしかもコンビニのおじいさん     坂倉 広美

デパートの休憩コーナーに座って漠然と人を見ていると、いつしかひとりの人を追っていることがある。あの人はどんな人なのか、どうしてあんなにうれしそうにしているのか。そばつゆを買って、やさしいお嫁さんにそばを作ってもらうのだろうか。想像の翼は次から次へ広がるばかり。デパートもコンビニも人間社会の縮図だ。

野菜高皮をむくのも惜しくなる     橋倉久美子

今年の野菜の高値は、主産地の北海道に台風が相次いで上陸した影響が大きいが、食べ残しの多い日本の食文化に一石を投じてくれたのも野菜高だった。「犯罪に近い宴の食べ残し」(新家完司)が、今更ながら胸に沁みる。野菜高の川柳をもう一句。「野菜高戦のように値があがり」(中根のり子)

百虫の王はゴキブリだと思う     吉崎 柳歩

かつて立川談志(故人)が「地球が滅亡しても蝿とゴキブリと噺家だけは生き残る」と言ったが、いつの時代も、嫌われ者が世を憚るのは同じこと。「百虫」は造語かと思ったが、カマキリ、スズメバチなどに「百虫の王」の冠をつけることがあるようだ。嫌われ者でも生きなければならないのは同じ。百虫の王よ、頑張れ!


2017.02.18(Sat)
欠けているとこがやさしさなんだろう

今日は、妙喜寺(西尾市江原町)にて、西尾川柳会主催の「風輪の会」(参加者41名)。
物故者の多い岡崎川柳研究社にとってこの数は、大健闘と言えるだろう。

「岡崎」を長年牽引してきた我が師匠・曾田規世児が病魔に倒れてから丸五年。
西三河地区に開拓した川柳教室は多い時期には10会場あったが、現在では6会場。

それぞれの教室が、独自の歩みを続けている中で、年に一度大同団結する。
その集合体が風輪の会である。

「風輪」とは、風の輪と書く。
岡崎の川柳誌「風」に寄り添う仲間の「輪」が、まさに風輪の会なのだ。

本日の入選句

 これもまた縁だと思う向かい風  「縁」

 躓いたとこに貴方がいてくれた  「縁」 秀句

結果、「躓いた・・・」が最優秀句となり、曾田さんの掛け軸をゲット。
ご本人の個性的な字で書かれている句は下。

 人生の挫折を救う母の声    規世児

大切にしようと思う。


妙喜寺にて(住職も会員)


2017.02.12(Sun)
熱燗に小指を入れるときが好き

今日は、「ねのひ蔵開き」(盛田 小鈴谷工場)を蹴って、俳句の会へ出席。
二村典子さん率いる船団愛知句会(ペンキ句会)だ。

搾りたての新酒の魅力がギリギリまで匂い立っていたが、縁あって参加させてもらっている句会だから大切にしたい、という気持ちの方が強かった。

出席者9人、投句者1人。結果は・・・・


生きるって大き目に編むニット帽 (1点)

あたたかな二月の画用紙を選ぶ (3点 内特選1)

春が来る草木が原子語をしゃべる (3点 内特選3)

ペン先はなめらか春の予定表 (4点 内特選1)

春を載せ回覧板がひとまわり (0点)


句会では、 技術的なこともさることながら、読みを中心に学んでいく。初心者にはこれが難しい!相変わらず的外れが幅を利かす。いつになったら的確な読みができるのか?


さて、恒例の川柳報告(12/23 鈴鹿川柳会以降)です。
こちらの方もピンボケが闊歩する!


咲くやこの花賞(1/6発表)

凄いでしょ化学反応後のわたし  「凄い」

ほんとうの凄さを知った空の青  「凄い」



岡崎川柳研究社本社新年句会(1/7)

罪状を告げて一番鶏が鳴く  「酉」 佳句

煩悩の深さで赤くなるトサカ  「酉」 秀句


生き下手な男のような門構え  「門」

花挟入れると消えてゆく鬼門  「門」

立ち飲み屋みんな冬木立になって  軸吟


川柳塔おきなわ(1/13発表)

熱燗に小指を入れるときが好き  「雑詠」

曇天のいつまで続く肩の凝り  「雑詠」


きぬうら句会(1/25)

地球儀をまねて洗濯機は回る  課題吟「ルーツ」

行く秋を惜しんで風の弾き語り  課題吟「弾く」

些かの憂いもなしに四捨五入  課題吟「弾く」 佳句

きれいに着飾る絶滅危惧の鳥  「酉(鳥)」  

啄木鳥のせい唇がヒビ割れて  「酉(鳥)」

大太鼓怒涛の海を呼び寄せる  「楽器」 軸吟

欠けているとこがやさしさなんだろう  「自由吟」 秀句


鈴鹿川柳会句会(1/28)

スマホ持つ少年の手が柔らかい  誌上互選 1点  

太陽は見えぬスマホという樹海  誌上互選 9点

転ばないようにいつでも腹八分  「転ぶ」

喝采を浴びるプランを練っている  「プラン」

気配りを忘れて春に来る寒波  「自由吟」




2017.02.05(Sun)
煩悩の深さで赤くなるトサカ

曇、雨、曇と、切取り線のように連ねた日曜日。
9時前からパラパラ降り出した雨をかえりみず、妻と名鉄ハイキングへ。

今日のコースはわが町・高浜市。ハイキングというより近所を散策している気分。
すべてが見慣れた景色。いつも通っている普段着のままの道々だ。

高浜港駅(スタート) → オニハウス(観光案内所) → 鬼みち → かわら美術館 →

大山緑地公園 → えびせん家族高浜店 → 中部公園 → おとうふ市場大まめ蔵 →

人形小路おいでん横丁(ゴール)

「高浜のカントリーロードを歩こう!鬼みちから人形小路おいでん横丁へ」
の呼びかけも、雨のため、いささか迫力がない。雪中行軍ならぬ雨中行軍の人出もまばら。

しかし、陶器瓦の町・高浜市の自慢はいくつもあって、一押しは、「衣浦観音」。
かわら美術館すぐ北の高台に位置し、高浜の町をやさしく見守っている。

観音寺境内にある高さ8mの陶管焼の観音像は、日本一の大きさとか。
境内へ立ち寄る人は少なかったが、ここはやはり癒しの空間。

高浜の鬼板師で「鬼長」の屋号を持つ浅井長之助氏の製作で、これを焼成したのは、陶管の窯元・森五郎作氏。歳月約4年の苦心の末、昭和34年3月完成。


衣浦観音


二押し目は、大山緑地公園内の「大たぬき」。
長い歳月、公園を行き交う老人や園内で遊ぶ子どもたちを、温かく見守ってきた。

昭和39年建立。陶管焼で高さは5.2m、胴回りは8m。
胴回りの長さは、陶管製の像としては日本一と言われているとか。

大山緑地公園は桜の名所。地元では、千本桜はつとに有名。
散り初めの桜の花びらが、大たぬきの頭に肩に降ってゆく。

今年もすぐそんな季節が来る。



大山緑地公園・大たぬき


2017.01.29(Sun)
旅人は祈りを込めて雲になる

YAHOO!ニュースから下の画像が飛び出した。
真冬のコスモス。季節はずれの色彩を辿っていくと、どうやら沖縄県。

「桃色の魅力に誘われて 沖縄・金武町 コスモス畑にぎわう」の見出し。
そうか、沖縄ではとっくに春。コスモスが咲いてもおかしくない気温なのだろう。


11月から3月までのあいだ、田んぼを休ませるため緑肥として植えられるコスモス。
それが、この時期(本土では一番寒い!)満開になっていく。

札幌の「雪まつり」や秋田県横手市の「かまくら」を思うと、やはり日本列島は東西に長い。
雪掻きで苦労している人たちとコスモスの海で縦横に羽を広げる人たち。

東西の中間地点、西三河地域はまた違う貌をする!



金武町伊芸区・コスモス祭(又吉康秀撮影)



2017.01.22(Sun)
さみしさが握る三色ボールペン

午後からは、仕切り直しの「きぬうら新春句会」。
1月下旬ということもあり、懇親宴は止めて、通常の句会だけとなった。

句会に先立ち、平成28年度「きぬうら作品年間賞」の授賞式。
各会員2句提出の応募作品全80句から秀句3句、佳作5句の推薦を6人の選者に依頼。

秀句に3点、佳作に2点を配点し、獲得合計点により年間賞を決定。
その結果は、何と、何と、最優秀句賞と優秀句一席を私が独占した。

 永遠を入れてかなしくなった箱  最優秀句賞(10点)

 お手玉をするのに丁度いい宇宙  優秀賞一席(9点)

これだけではない。平成28年度 誌上課題吟の部も第2位と健闘。
各賞状と副賞の図書券をいただいたのだった。

句会の成績はさほど揮わず、本来の実力が出た。
まだまだだ。今年は川柳を体系的に学んでいこうと思う。

句会の入選句は・・・・

 大太鼓 怒涛の海を呼び寄せる  「楽器」 軸吟

 きれいに着飾る絶滅危惧の鳥  「酉(鳥)」

 啄木鳥のせい唇がヒビ割れて  「酉(鳥)」

 欠けているとこがやさしさなんだろう  「自由吟」 秀句



冬木立



2017.01.15(Sun)
ユメのある時代を生きた正露丸

朝起きたら一面の雪景色。
雪国を思わす真っ白な光景が、まだ眠い眼に射し込んでくる。

今日の「きぬうら新春句会」は、早々に中止が決定。
楽しみにしていたが仕方ない。主催者はこんなとき本当に大変だ。

昨夜は、懇親宴用の差し入れの清酒「作(ざく)穂乃智」を買った。
準会員の身では、こんなことくらいしか役立てない。

この酒、知る人ぞ知る。
伊勢志摩サミットのコーヒーブレイクにて供された酒だ。

今晩一人でゆっくり味わおう。
川柳仲間に振る舞うのは、これからいくらでもできる。

さて、恒例の川柳報告(11/27 きぬうら句会以降)です。
我が頭上に、秀句よ降ってこい!


岡崎川柳研究社本社句会(12/3)

旅人は祈りを込めて雲になる  「浮く」 秀句

笛を吹く凡人だけがついてくる  「凡人」

凡人もたまには読んでみる聖書  「凡人」

生き下手の愛しいまでに冬の蝶  「下手」 秀句

お祭りの射的倒れたことがない  「下手」

狼にはなれない嘘が下手くそで  「下手」 佳句

欲深い街に小さな赤い羽根  「深い」 軸吟


鈴鹿ネット句会(12/16発表) 

かさぶたを剥いで夫婦になってゆく  「悟る」


きぬうら句会(12/18)

たこ焼の穴にも古きよき時代  「時代」

ユメのある時代を生きた正露丸  「時代」 秀句

温もりがレコード盤にある時代  「時代」

かけうどん一杯ユメを見る銀河  「ほかほか」

百年を生きるほっかほかの笑顔  「ほかほか」 佳吟

しあわせの在庫が増える土瓶蒸し  「ほかほか」


鈴鹿川柳会句会(12/23)

冬の風ボスにはボスの吹き溜まり  「代表」 誌上互選 5点

モネの絵をさがす印象派のとびら  「代表」 誌上互選 1点

こんなにも青い空です油売る  「売る・売れる」

体じゅう宙ぶらりんな片想い  「自由吟」

ていねいに洗った手から虹が出る  「洗う」 席題 3点

手を洗う人間臭を消すために  「洗う」 席題 3点


川柳塔(12/23発表)

さみしさが握る三色ボールペン  「持つ」 秀句



2017.01.08(Sun)
生き下手の愛しいまでに冬の蝶

茶を啜る。
寒い朝の対処法は、これに限る。

暖冬の正月から一転、寒波がこの三河地方にも来た。
雨が雪に変わることはないが、寒さが厳しくなるのはこれから。

昨日は、岡崎川柳研究社の本社句会。
新年句会ということで、いつもよりいくらか多い30名ほどの参加。

恒例の干支のお題では、二句が入選、幸先がよい。
「酉」では発想が広がらないので、やはり「鶏」。

罪状を告げて一番鶏が鳴く

煩悩の深さで赤くなるトサカ

岡崎川柳研究社の柳誌「川柳おかざき 風」1月号を繙く。
今年から、「私の好きな句」に選評(鑑賞)を載せることになった。

その第1回目は私が担当。
作句とは違う世界を作りだすのは、とても悩ましい!


私の好きな句(十二月号より)  

離れてよ皺が私によくなつく     加藤ミチエ

ご婦人にとって皺は大敵。小皺ならまだしも、パワーショベルで掘削されたような皺は「離れてよ」と言わずにはいられない。それでも懐いてくる皺は、長く生きてきた勲章。

バイキングだんだん元が取れぬ歳     加藤千恵子

「バイキング必ず元を取る自信」(青砥たかこ)「ウエストのラインが消えたバイキング」(山本鈴花)などの句を思い出す。元が取れないのは残念だが、歳相応の食欲があることを良しとしよう。

飲み過ぎか桂馬歩きの帰り道     会津庄一朗

「桂馬歩き」とは面白い表現。自分のことか、それとも酔っ払いを客観視しているものか。いずれにせよ飲み過ぎであることは確か。車道は危ないから、歩道をゆっくり桂馬歩きして下さい。

腹が減るとても呆けてはいられない     飯田 昭

ひもじさは辛いものだが、ひもじさを知らなければ呆けが進む、空腹ではとても呆けてはいられない、と昭さん。「犯罪に近い宴の食べ残し」(新家完司)が、呆けを加速させているのも事実。

三本の矢まとに当たった気がしない     小嶋 順子

アベノミクスを暗に批判した句。弓矢は的に命中してこそ価値を生むが、安倍さんが提唱した三本の矢は的に当たったのかどうか。主婦感覚では当たった気がしない、と。

毒舌がことさらはずむ快復期     瀬戸 澄女

お年寄りの毒舌は元気な印。ましてや、快復期には胸のつっかえ棒が取れた分、いっそう毒舌が冴える。家族もこれで安心だ。さて、これからは「寝たきり」老人ではなく、「出たきり」老人でいこう。

世渡り下手で信号運にめぐまれぬ     伊藤たかこ

「タイミング良く信号が青になるかどうかの運」が信号運。が、ここでの信号運は比喩。生きる運すべてを指している。世渡り下手、結構なことです。生きることが下手な人ほど神さまや仏さまに近いのですから。

たいていはコップの中で起きたこと     神谷とみ鼓

「コップの中の嵐」と言う。大した事はない、やがて落ち着く、という意味か。嵐の真っただ中にいると思えることも、振り返れば時間だけが流れていただけのこと。なるようになる、抗ってもしかたない、と作者。

野菜高戦のように値があがり     中根のり子

「戦のように」がこの句の命。今年の野菜の高値は、主産地の北海道に台風が相次いで上陸した影響が大きいが、食べ残しの多い日本の食文化に一石を投じてくれたのも野菜高。

酔うほどに知らない僕があっかんべ     黒川 利一

五代目小さんの「蒟蒻問答」を思い出した。こんにゃく屋の親父が寺であかんべえをしたのを、修行僧が『三尊の弥陀は目の下にあり』という仏教語だと勘違いをして敬服するという噺。「あっかんべ」は僕らの小宇宙。



2016.12.31(Sat)
土に還るみんなきれいな顔をして

大晦日の空が澄んでいる。
この時期は遥かかなたの山々がよく見える。

419号線沿いに車を知立方面へ走らせると、正面に恵那山。
そして、その後方右に南アルプス、左に中央アルプスの山々。

恵那山はまだ雪を冠ってないので、やはり今年は暖かいのだろう。
雪を頂いた恵那山は、革命が起こりそうなほど過激な貌をする。

中央アルプスから離れて手前左には、雪を冠った御嶽山。
西三河地方の住人には、やはり御嶽山が一番の馴染みだろう。

表題は、「川柳塔」のネット句会で秀句をいただいたもの。
お題は「みんな」。
今年の後半は、「川柳界の巨星落つ」の訃報が続いた。

晩秋に尾藤三柳氏が旅立ち、年末には墨作二郎氏も土に還られた。
お会いすることは叶わぬ二人だったが、句は脳裏に焼き付いている。

乱世を酌む友あまたあり酌まん  三柳

車座で読むアンネの日記 ビートルズ  作二郎

さて、今年の大会、句会で秀句をいただいた川柳を紹介する。
これらの句群も、冥土の旅の一里塚である。

夢をまだ探してサルは木に登る

爪を切りあすの仕種を軽くする

海原を染めるカモメという自信

招かれて今日一日をフイにする

恋は終わった黙祷を捧げよう

やわらかい人になろうと湯の町へ

やさしさを辿れば母といういで湯

メール打ちときどき少年へ還る

回り道したから解けた答案紙

その日から鴎になった旅プラン

注ぎ残しないよう今日を傾ける

カモメ舞う今が幸せならばよい

箱庭のキュウリが真直ぐに育つ

奇蹟だな一億人のなかの君

さみしさを抱えた人の来る花屋

未来へは伏流水になって行く

あおぞらのような人です謎がない

暴かれて海という名の水たまり

雨の日はすこし違った世界観

永遠を入れてかなしくなった箱

地図のない旅だ縄電車で行こう

椅子一つわたしの影を座らせる

巻き戻しすると悲しくなる時計

十七音母への想い書き切れぬ

危ないと思うきれいな底だもの

しあわせを呼ぶと返ってくる谺

ゆうやけを呼ぶ魂の泣くあたり

あすという仕切り最終便が来る

煙吐くエントツ永久という長さ

モノサシで測れぬしあわせの段差

いっぽんの滝が流れている微熱

平熱になっては翔べぬかもめーる

人柄が滲むあなたという魚拓

母に逢う靴の冷たいはずがない

激動の時代 湯舟の栓を抜く

淋しさを流そう全開のシャワー

向日葵になろう看護の目をひらく

梅干を真ん中ニッポンの文化

誤りに気づいて青いままの空

誤りを悔い一本の樹になろう

スナップを利かせる妻の言葉尻

肩車そこから明日が見えるかい

指メガネ覗くこの世は美しい

夕焼けは休み時間を知っている

さみしい街だ影だけがすれ違う

青空になるまで揺らすラムネ瓶

うれし涙は伏流水になってゆく

背伸びする踵がつくりだす宇宙

愛された日々幕切れはこんなもの

青空に頬擦りしたいいい気分

あおぞらが広がってくる読後感

旅へ行く未来の帽子取り出して

帽子屋の角を曲がれば冬の風

抽斗に仕舞った秋の日の夕陽

人間ってユメの粉末だよきっと

土に還るみんなきれいな顔をして

幾重にも覆われ明日の背が見えぬ

旅人は祈りを込めて雲になる

生き下手の愛しいまでに冬の蝶

ユメのある時代を生きた正露丸

さみしさが握る三色ボールペン


御嶽山



2016.12.24(Sat)
人間ってユメの粉末だよきっと

昨日は、鈴鹿川柳会の忘年例会。
鈴鹿へは、夏の大会とこの忘年例会には必ず出席する。

おもてなしの精神が全体に息づいていて、とても居心地がよい。
青砥会長、吉崎会長補佐、橋倉会計と、いずれもできた人たちだ。

句会は特筆することはないが、忘年会の後の「封筒回し」がよかった。
封筒回しとは、全員が選者と投句者を兼ねる句会である。

仕組みはこうだ。
全員に配られた封筒に、それぞれ自分で出題した課題を書き込み、それを右の人に回す。

課題の書いた封筒が来たら、2句を作って句箋を封筒に入れて、右の人に回す。
最終的に自分が書いた課題の封筒が回ってきたら、全員の投句が済んだということ。

忘年会とその後のカラオケでの痛飲により、酩酊状態。
そんな中で、よく作ったと思う川柳の数々。

稚拙なのは否めないが、「やればできるじゃない」というのが正直な感想。
11人の仲間で奏でた封筒回しの入選句(私のものだけ)を紹介する。

酒だけが味方と知ったリストラ日  「酒」

いい人ばかりいる人生など困る  「困る」

奪われてからが私の正念場  「奪う」

さみしさの裏側にあるヌード本  「本」

グリーンとは私の生き方の理念  「グリーン」


封筒回しメンバー(吉崎柳歩撮影)



2016.12.17(Sat)



川柳七句

曇天の向こうに生きてゆく痛み

雨天決行 竜巻だって雹だって

充電してます痛いと言いながら

牙ひとつ欲しくて冬の野を駆ける

遠吠えをせよ淋しいと言ってみよ

包み込む愛はこんにゃくだと思う

冒険がしたくて鎧戸を開ける



2016.12.11(Sun)
青空に頬擦りしたいいい気分

絵に描いたような青空。
昨日とは打って変わって、風のない穏やかな日和。

十二月も中旬に入ったというのに、この青空は何だ!
怪しいほど青い空は、まさに国宝級。

 青空に頬擦りしたいいい気分

 あおぞらが広がってくる読後感

家人は、朝から名鉄ハイキングへ。
今年最後とかで、知多郡武豊町界隈の味噌蔵・醤油蔵へ出かけた。

私はというと、午後からの俳句会のために、俳句をひねっている。
詩性川柳が俳句として通用するのかどうか?今は実験中だ。

いずれ壁に突き当たることは間違いない。
やはり何事も一から始めなければ、成就しないものだ。


夜、稗田川のいつものコースを散策。
北の空には沈もうとする夏の大三角形が見える。

そして南の空にはオリオンを含む冬の大三角形。
時刻は八時半少し前か?六つの星が同時に見えたのは初めて。

 半人前が生かされている冬銀河


さて、11月の川柳の月例報告(10/23きぬうら句会以降)。
ひと月が月光仮面より速い!


岡崎川柳研究社本社句会(11/5)

人間が呑まれてしまう秋夕焼け  「包む」

青空をもれなく映す水たまり  「包む」

青空に頬擦りしたいいい気分   「気分」 秀句 人位

あおぞらが広がってくる読後感   「気分」 秀句 地位

旅へ行く未来の帽子取り出して  「帽子」 秀句 地位

裏切りへ深く被ってゆく帽子  「帽子」 佳句

帽子屋の角を曲がれば冬の風  「帽子」 秀句 天位

指切りの文化へ青い風が吹く  「文化」 軸吟


刈谷市民文化祭川柳大会(11/19)

スマホから水平線は見えるかい  「スマホ」

淋しくてスマホの森を出られない  「スマホ」

抽斗に仕舞った秋の日の夕陽  「宝」 秀句 天

真夜中のお宝ふふふって笑う  「宝」

あおぞらに一人芝居の飛行雲  「芝居」

鉛筆と消しゴムだけでする芝居  「芝居」


国民文化祭川柳大会(11/20)

人間ってユメの粉末だよきっと  「粉」 準特選


川柳塔ネット句会(11/22発表)

土に還るみんなきれいな顔をして  「みんな」 秀句 人


みえDE川柳(11/25発表)

店頭にならぶ新刊書の気合い  「気合い」



鈴鹿句会(11/26)

凪の海これから老いが身に迫る  「迫る」(誌上互選) 2点

ラストラン花道なんかないけれど  「飾る」

形容詞だけで話せるもみじ狩り  「飾る」

意識下にある「わたくしは大丈夫」  「意識」

無意識にきれいな方へ寄っていく  「意識」

黒板を拭いたら消える現在地  「自由吟」


きぬうら句会(11/27)

キリギリス歌えよ冬が来る前に  「歌う」(課題吟)

ゆうやけへ放つあしたの応援歌  「歌う」(課題吟) 佳句

少子化へ駄菓子屋の棚やせてくる  「菓子」(課題吟)

綿菓子をふわっと乗せて陽が届く  「菓子」(課題吟) 佳句

背表紙の哀しみ少しだけわかる  「背」

君とまだ背中合わせの冬が来る  「背」

幾重にも覆われ明日の背が見えぬ  「背」 秀句 人位

あおぞらに最敬礼をしてしまう  「とびっきり」

不老不死プラス思考のとびっきり  「とびっきり」

家族写真みんなとびっきりの笑顔  「とびっきり」



2016.12.04(Sun)
旅へ行く未来の帽子取り出して

十二月に入った。
まだ、暮れという気忙しさはないが、締めくくりの月は少しだけ束縛感をもたらす。

昨日といい、今日といい、暖かな日差しに恵まれている。
柔らかい日差しは、暮れの緊張感を振り解き、旅へと誘ってくれる。

今日は、久し振りに家人と一緒に名鉄ハイキングに参加。
ほぼ半年ぶりにリュックを背にした仲間たちと、馴染みある岡崎の景色に触れた。

コースはというと・・・・

東岡崎駅(スタート) → 乙川堤防 → 東公園 → 八柱神社 → 丸石醸造 → 

岡崎信用金庫資料館 → 岡崎公園(八丁味噌グルメフェスティバル) → 

カクキュー八丁味噌 → まるや八丁味噌 → 岡崎公園前駅(ゴール)

乙川の堤防は、河津桜の名所。
岡崎では、この河津桜を「葵桜」と言うらしいが、徳川家の紋所からの命名なのだろう。

暮れの景色の中で、一樹に数枚の葉が風に揺れている。
夕焼け色の葉が柔らかい日差しを浴びて、キラキラ光る波のように輝いて見える。

東公園は、紅葉の名所だろうか?
この時期の東公園は初めてだったが、奥に入れば入るほど違う顔をしている。

紅葉の色彩、濃淡が様々な組合せで眼前に広がり、何かを語りかけてくる。
「いい詩が詠めるか?」とでも聞いてくるように。

丸石醸造では、「純米 三河武士 無濾過生原酒」300mlを購入。
岡崎公園で買ったB級グルメグランプリに輝いたから揚げを肴にちびちび。

八丁味噌蔵のカクキュー、まるやとも健在。
味噌おでんで一杯飲りたくなった。


岡崎東公園の紅葉



2016.11.27(Sun)
愛された日々幕切れはこんなもの

昨日は、妻に駆り出され、半田市の臨海地へ雑草の蔓を採りに行った。
リースを作るのが目的だが、ヒルガオ科の植物だろうか、数bの蔓を数本。

しかし、その生命力に驚いた。繁殖力は半端ではない。
地球が滅びても、この蔓植物は生き残るだろうと思わせる。

幹の太さも尋常ではない。人の首に巻きつけば、命を奪うことくらい容易なのではないか。
ともかく蔓を刈るのに四苦八苦、慣れぬ身には楽ではない作業であった。

今日は、川柳きぬうらクラブの月例会。
選者になっているので欠席はできない。

妻たちは、京都旅行。
晩秋恒例の家族総出の紅葉狩りである。

雨の一日なので、羨むこともないが、今年の京都がどんな顔をしているか?
興味のあるところではある。

さて、句会の入選句は・・・・


背表紙の哀しみ少しだけわかる   「背」  

君とまだ背中合わせの冬が来る   「背」

幾重にも覆われ明日の背が見えぬ   「背」 秀句

あおぞらに最敬礼をしてしまう   「とびっきり」

不老不死プラス思考のとびっきり   「とびっきり」

家族写真みんなとびっきりの笑顔   「とびっきり」


もうすぐ9時になる。妻たちはまだ戻ってこない。
一杯飲んで先に眠ってしまおうか!



2016.11.20(Sun)
背伸びする踵がつくりだす宇宙

行ってきました、行ってきましたよ!
第31回国民文化祭・あいち2016「川柳の祭典」。

所は、愛知県犬山市。国宝・犬山城のお膝元の名鉄犬山ホテル(前夜祭)と犬山市民文化会館(川柳大会)。

今年は愛知県が担当県であるため、前日からスタッフとして心地好い汗を流した。
前夜祭の名札を番号順に並べ、名簿とチェック、参加者の漏れをなくす作業だ。

200名の出席者となると、一つや二つ漏れが出てくるものだが、それを事前に掴みだし、あるべき姿に手直しする作業。努力が奏したものか、トラブルもなく前夜祭は無事終了。

二次会は、岩倉のホテルで宿泊する仲間とホテル前の居酒屋へ。
終了後、まだ呑み足らず、コンビニでビールを購入して、部屋で一人酒。

さて、当日は場内整理を担当。
大会会場案内や投句場所の案内、その他・・・・こちらも大過なし。

川柳会の超有名人、マドンナ、大御所にも逢えて幸せなひと時だった。
全国大会・・・・いいね!先日作った名刺を柳友にお渡しできたのもよかった。

入選句は、当日投句の一句のみ。
しかし、これが準特選。誇らしいことであった。

 人間ってユメの粉末だよきっと    「粉」



国宝・犬山城



2016.11.13(Sun)
うれし涙は伏流水になってゆく

昨日は、「春日の森 市民俳句・短歌・川柳の集い」の表彰式。
毎度のことながら、受賞作品の披講と作者紹介を担当した。

入賞者総勢119名。
短詩系文学といえど、すべての披講は骨の折れる作業である。

それでも小学生、中学生の作品を披講するのは楽しい。
特に小学生の発想には舌を巻くことが多い。↓は、小学生のピカッと光る作品4句。


はなびさくやがてしぼんでまたさいて  高浜小学校  杉浦彩香 

カブトムシ目をあわせれば戦いだ    吉浜小学校  神谷春登

秋の空さんまのほねがささります       〃     影山彩音

かきごおり青のみつだと富士山だ    港 小 学 校  水谷優杏


さて、恒例の川柳結果(9/25きぬうら句会以降)です。


岡崎川柳研究社本社句会(10/1)


憎しみが揺れるカーテン越しの風  「憎い」

憎悪などどこにもないと秋の天  「憎い」

心憎いかたちでアユが遡上する  「憎い」 佳句

逆風に耐えたいのちへ鈴が鳴る  「鈴」

煩悩にときおり鈴を付けてみる  「鈴」

マイペースを貫きとおす猫の鈴  「鈴」 佳句

青空になるまで揺らすラムネ瓶  「染まる」 秀句

草の根に生き草色が満ちてくる  「染まる」

樹海からの風はきっと母だろう  「木・樹」 軸吟


亀山市民川柳大会(10/2)

マドンナに遇い日常を裏がえす  「覚める」

眠りから覚めこれからが正念場  「覚める」

桃缶を開けるとマドンナに逢える  「缶」

恋をして箸の持ち方まで変わる  「箸」

フレンチの箸が哀しい顔をする  「箸」

秋天へなみだの乾くまで待とう  「涙

うれし涙は伏流水になってゆく  「涙」 秀句

秘密基地さがしに秋の真ん中へ  「舞台」

あの世まで妻の舞台で遊びます  「舞台」


豊橋文化祭川柳大会(10/10)

白旗を揚げて妻には甘えよう  「甘える」

愛という薬が効いている孤独  「薬」

ふるさとを想うキリンの首に秋  「自由吟」


鈴鹿ネット句会(10/16発表)

くびすじに秋を感じて仲直り  「秋」

秋風の吹くころ閉じる羞恥心  「秋」


阿久比川柳大会(10/22)

君に逢ういつも小雨のセントレア  「知多」

生きているかと新米が炊けてくる  「新米

夕暮れもおなじ歩幅のまま二人  「相性」 佳吟


鈴鹿句会(10/22)

地球滅亡救命ボートではあかん  「いよいよ」(誌上互選) 2点

いよいよの時は鎖国と決めている  「いよいよ」(誌上互選) 5点


濁点をひとつ消そうと赤い羽根  「濁る」

根を深く下ろせば奪われる自由  「根」

十年後わたしを待ち伏せる私  「自由吟」


川柳塔ネット句会(10/23発表)

ワイパーの吹きムラ雨の日の心  「こころ」


きぬうら句会(10/23)

埴輪からボクの形ができあがる  「つくる」 佳句

背伸びする踵がつくりだす宇宙  「つくる」 秀句 地位

あっけなく剥れるかさぶたも時代  「あっけない」 佳句

愛された日々幕切れはこんなもの  「あっけない」 秀句 天位

シーソーの向こうに秋の日の夕陽  「あっけない」 佳句



2016.11.05(Sat)
さみしい街だ影だけがすれ違う

今月開催される国民文化祭が近づいてきたので、パソコンで名刺を作った。
勿論、川柳大会用のものだが、できたのが↓

今まで、大会で出会ったさまざまな柳人から名刺を頂戴してきたが、お返しできずにいた。
大した書き手でもないので、名刺を作ることは憚るべきものとの意識があったからだ。

一度、「楽生会」主宰の上野楽生氏には叱られた。いや、親身になってくれたのだろう。
「名刺持ってないと仲間の輪が広がらないよ。それは自分の川柳が磨けないということ」

これで大手を振って大会に参加できる。
柳人に出会うのが楽しみになってきた。





川柳七句

許そうよ「秋穫祭」の誤字ならば

秋の天みんな案山子になっている

三文判 秋の契りを忘れない

濃厚な秋をたっぷり召し上がれ

手のひらで握ると痛い秋もある

秘密基地さがして秋の真ん中へ

ふるさとを想うキリンの首に秋



2016.10.29(Sat)
夕焼けは休み時間を知っている

川柳マガジン11月号が届いた。
今号は、第十四回川柳マガジン文学賞の発表号である。

有効応募総数256作品(氏名・住所の抜け落ち等、無効応募作品は除外)。
5名の選考者による審査を経て、大賞には鳥取県倉吉市の牧野芳光さんが選ばれた。

私は惜しくも(?)合点4点で26位。
昨年の5位(合点10点)には及ばないが、まあまあの善戦。

能力、キャリアからして、この辺りが丁度いいところだ。
猫が爪を研ぐのは、標的のうっすら見えるこの位置がよい。

応募した作品はあまり覚えていないが、表題は「月光仮面」となっている。
過去帳を繙くと、こんな作品群が・・・・


 『月光仮面』

振り逃げで月光仮面にはなれぬ

大人だと思うきれいに消してある

バラードのやさしいところまで泳ぐ

かもめにはなれず乾いた窓ガラス

追い風がまだ吹いている振り返る

冷奴きのうのことはもういいよ

生真面目を太らせてゆく湖の底

山肌をあらわにさせて立ち上がる

屯田兵になってあしたを耕そう

正義の味方一生に一度だけ


事務所の本棚に「月光仮面の経済学」(金子勝著)があるので、思いついた表題だろう。
ただ、何が言いたいのか、なにを訴えたいのか、などが一切不明。

締切ギリギリに、ただ応募するだけの目的で書き綴った川柳。
疾風のように現れて、疾風のように去っていく・・・・過ぎ去ればなんにもない作品群。

ちなみに、大賞の牧野芳光さんの作品(↓)は、とてもよい。
私と句風が似ているような。目指すはこの辺りかもしれない。


 『ニアミス』

諦めたものが大きく見えてくる

群青の何かが足らぬ空の色 

青空にあなたは何を描いたのか

オン・オフのはざまに疑問符が詰まる

それらしい顔して手探りで歩く

ニアミスになろうなろうとする言葉

手に触れた言葉が森になっていく

本心が出てしまうからほどけない

見つからぬようジャガ芋の中にいる

人間の臭いぬめりになっていく



2016.10.25(Tue)
指メガネ覗くこの世は美しい

涼しいというよりも、寒さを感じさせる朝。
比較的高温の秋を過ごしてきたせいか、晩秋の風が身に染みる。

調子に乗っていると風邪を拗らせかねない季節。
それはそうだ、落ち葉がカサコソと音を立てている。

テレビでは、ハクチョウが初飛来したニュース。
確実に冬に近づいているのがわかる。

街をゆき子供の傍を通るとき蜜柑の香せり冬がまた来る   木下利玄

土曜、日曜とも、また川柳に浸った。
晩秋の風に乗って遠出するのが楽しい時なのに・・・・

土曜日は、「阿久比川柳大会」(知多郡阿久比町文化協会主催)に参加。
この大会は参加賞として新米(阿久比米れんげちゃん)0.5`がプレゼントされる。

それを目的に行くわけでもないが、20分ほどで到着できる近い距離が魅力。
高浜川柳会の仲間を引き連れて、いざ参戦・・・・結果は3句が入選。

君に逢ういつも小雨のセントレア  「知多」 

生きているかと新米が炊けてくる  「新米」

夕暮れもおなじ歩幅のまま二人  「相性」 佳吟


日曜日は、「川柳きぬうらクラブ」の月例句会。
海(衣浦湾)一つ越した、これまた20分ほどの手頃な距離。

埴輪からボクの形ができあがる  「つくる」 佳句

背伸びする踵がつくりだす宇宙  「つくる」 秀句

あっけなく剥れるかさぶたも時代  「あっけない」 佳句

愛された日々幕切れはこんなもの  「あっけない」 秀句

シーソーの向こうに秋の日の夕陽  「あっけない」 佳句


何となく淋しいのは、しとしと降る小雨のせいか?
迷路へ迷い込んだような、底なし沼へ招かれていくような、そんな錯覚。

さて、今夜は亡くなった同業者の通夜。
もうすぐ出発しなければならない・・・・。


ハクチョウの飛来



2016.10.16(Sun)
青空になるまで揺らすラムネ瓶

夕刻の稗田川を久し振りに散策。
釣り人が数多、川面に竿を下している。

稗田川には、知多湾からボラが上ってくる頃だから、釣り人の狙いはボラだろうか?
川の堤には、今を盛りとホトトギスやホトケノザといった秋の草々。

十月も半ばを過ぎて、季候が揃ってきたようだ。
もう台風の心配はなく、これからは秋雨のたびに寒くなっていくだろう。

昨日は、岡崎川柳研究社の幹事会。
不祥続きだった会の運営を見直すいい機会を得た。

これまで幹事会らしきものは無いに等しかったが、新しい光を求めて幹事会を召集。
幹事が誰かも分からない状態から、一歩進んだことは間違いない。

新会長、組織・運営について、規約の作成、柳誌の見直し、初心者講座の開講など・・・・
本来組織が行うべきことが、初めて俎上に載せられた。

幹事会が終了して、近くの喫茶店で懇親会。
皆で話す川柳のあれこれが楽しい。

今日、川柳「湖(うみ)」第3号が届いた。昨日の懇親会の折にも話題になっていた「湖」。
私の師匠の一人・浅利猪一郎が主宰する誌上大会「ふるさと川柳」の発表号である。

課題は「霧」。
二句共に入選、「霧よ元気か・・・」の方は、佳作も得ている。

癒されにいきます霧の時刻表  (3点)

霧よ元気かラジオ体操しているか  (5点)

優秀句には届かなかったが、二句ともまずまずの成績。
今後も川柳を通して、自分の想い、自分の姿を正直に書きたいものだ。

ついでながら、「霧」の最優秀句、優秀句を紹介する。

最優秀句

一過性の霧です他意はありません  (山本 

優秀句

あれはたぶん父の日記にあった霧  (青砥 和子)

改札を抜けて私も霧になる  (小出 順子)

くるぶしの霧から舟の発つ気配  (伊藤 寿子)

くちびるのその先濃霧注意報  (佐野 由利子)

霧になるまでの助走がおもしろい  (菊池 国夫)

おとうとはすっかり霧になりました  (ひとり 静)

きっかけは霧子の猫を踏んでから  (奥野 とみ子)

霧深くチュッパチャプスが離せない  (松谷 早苗)

魂が乾かぬように霧を吹く  (錦 武志)



2016.10.10(Mon)
誤りを悔い一本の樹になろう

今日は、豊橋文化祭川柳大会に参加。
主催は、やしの実川柳会(椿陽子会長)。

豊橋までは遠い、遠いと感じていたが、4、5回参加を繰り返すと、この長さが手頃な距離に思えてくる。先日の亀山といい、岐阜、大垣も含めて小旅行を感じさせるいい長さ。

長野県の飯田もしかり。次は、静岡あたりを目指そう。
川柳行脚というほど熱は入っていないが、川柳は果てしなく続きそうな道である。

とりあえず、今日の成績。

白旗を揚げて妻には甘えよう  「甘える」

愛という薬が効いている孤独  「薬」

ふるさとを想うキリンの首に秋  「雑詠」

さて、先月の川柳結果
(8/28きぬうら句会以降)です。


岡崎川柳研究社本社句会(9/3)

ちっぽけな殻だ奥歯で噛み砕く  「殻」 

やり直すきのうの抜け殻を探し  「殻」    

さみしい街だ吸い殻のアクセント  「殻」 佳句

阿と吽が同じ電車に乗ってゆく  「乗る」 

深呼吸してから妻のてのひらへ  「乗る」 佳句

肩車そこから明日が見えるかい  「乗る」 秀句 天

風船を仲間のようにカモメたち  「風船」 

風船も逢いたい人がいて旅へ  「風船」

聖戦へ紙ふうせんを膨らます  「風船」

夕焼けを袋いっぱい詰め母へ  「袋」 軸吟 


咲くやこの花賞(9/8発表)

またねって囁くツチノコの明日  「神秘」

雷鳴はなめらかラッピング電車  「神秘」


中部地区川柳大会(9/11)

人生を語りたくなる伊達メガネ  「メガネ」

指メガネ覗くこの世は美しい  「メガネ」 秀句 天


川柳忌・みたままつり句会(9/22)

触れるまで大人しかったバラの棘  「触れる」

人間を脱いで祭りの輪のなかへ  「祭り」



川柳塔ネット句会(9/23発表)  

封をするしあわせ零さないように  「ふさぐ」 佳作


鈴鹿句会(9/24)

得意技でしたね父のモノ忘れ  「技」(誌上互選) 3点

感情を殺しひたすら回る寿司  「ひたすら」

まだ余分あります私売ってます  「余分


以下余白ガムふーせんを膨らます  「余分」

飾らない言の葉自由とはこれか  「自由吟」


きぬうら句会(9/25)

花束のなかに愛する人の文字  「紙」(課題吟) 

夕焼けは休み時間を知っている  「休む」(課題吟) 秀句 天

美しい生き方ですね 落葉樹  「休む」(課題吟) 佳吟

星降るやずっと戦のない暮らし  「星」 佳吟

未来図が描けずこの世を屯する  「危うい」 佳吟 

さみしい街だ影だけがすれ違う  「危うい」 秀句 天 

コンビニの灯り闇夜を作らない  「危うい」



2016.10.02(Sun)
母に逢う靴の冷たいはずがない

今日は、亀山川柳会主催の第12回亀山市民文化祭 川柳大会に参加。
朝8時少し前に出発。8時9分名鉄三河線 三河高浜駅を発し、8時21分刈谷駅に着。

刈谷駅からはJR東海道線。刈谷駅8時27分発、名古屋駅8時45分着。
ここからはJR関西線。9時6分名古屋発、10時6分亀山着。

亀山市文化会館までは徒歩10分弱、よって会場到着は10時15分頃か。
出席者数49名。大会としてはかなり少ない。アピール不足か、はたまた地の利の悪さか?

参加人数が少ないこともあって、10句中9句が入選。その内、1句が秀句となり、中日新聞社賞をゲット。何とも誇らしいことであった。入選句は・・・・


桃缶を開けるとマドンナに逢える  「缶」

恋をして箸の持ち方まで変わる  「箸」

うれし涙は伏流水になってゆく  「涙」 秀句

秘密基地さがしに秋の真ん中へ  「舞台」  他


電車の待ち時間が、1時間近くあったので旧東海道の亀山宿へ。
亀山宿は、東海道46番目の宿場町。

まずは、編照寺(へんじょうじ)。
阿弥陀三尊像と脇侍の勢至菩薩立像ともに三重県指定文化財に指定。

次に、飯沼慾斎生家跡へ。そして、加藤家屋敷跡。
一目で素封家だとわかる屋敷跡だが、すべてにおいて品がいい。

ここまで見て、時間切れ。それでも情緒あるやさしい町並みに癒された。
亀山宿から関宿へ、一度ゆっくり歩いてみたいと思った。


亀山宿の風景



2016.09.25(Sun)
川柳七句

追伸はフランスパンの長さほど

指切りの小指が黙ってはいない

秋風が来る頬骨のあたりから

逢いたくて秋を沸騰させている

何もない身体ひとつを残すだけ

しなやかに生き息継ぎが美しい

鎖骨から遠い海鳴り聴いている



2016.09.17(Sat)
いっぽんの滝が流れている微熱

夏の間休催となっていたJRの「さわやかウォーキング」が、九月に入り再開。
妻と一緒に、静岡県は磐田市までのささやかな旅。あのジュビロ磐田の本拠地だ。

「〜ふるさとの自然100選〜式年遷都を迎えた「鎌田神明宮」を訪ねて、が謳い文句。
まだ30℃を超える暑い中、金魚のようにゆらゆら11.7`のコースを歩いた。

磐田駅(北口) → 今之浦公園 → 福王寺 → 安久路公園 → オープンガーデン「樹」

 → 連城寺 → うさぎ山公園 → 鎌田神明宮 → 天楠神社(高根山古墳) →

ゆばの京華 → 磐田駅(北口)


印象に残ったところだけ拾っていくと、まず福王寺。

千年を超える歴史を持つ古刹で、元々は真言宗高野山の末派として建立。

後、曹洞宗に改宗。平安時代の陰陽師(おんみょうじ)・安倍晴明が諸国行脚中に祈祷をしてこの地の暴風を鎮めたという伝説から、境内には安倍晴明が風神として祀られている。

御朱印をいただきに行ったとき、可憐な花が目に付いた。
八重のピンク色の花が十房ほど。

葉の形からして、「桃」かと思い、聞くと案の定、桃の花。
狂い咲きとのこと。私の頭でなくてよかった!


福王寺


鎌田神明宮。鎌田神明宮は651年創建。鍬・鋤・鎌などが宝物。
「虫封じ」という子どもの健康を祈る、珍しい神事が伝えられている。

本殿内部の横壁上には、所狭しと鎌が供えられていて、少々びっくり。
宮本武蔵に出てくる、鎖鎌の名手・宍戸梅軒を思い出していた。



鎌田神明宮


ゆばの京華(坂口商店)。
ウォーキングの醍醐味は、その土地ならではの品に触れること。

酒蔵などは一番人気で、その蔵の自慢の銘酒を試飲することは大きな楽しみ。
ゆばの京華では、湯葉の試食。湯葉の刺身、野菜や佃煮などとの加工食品も。

どれもが美味。湯葉は、栄養価が高く、カロリーは控えめ。
健康志向の食品として、やがて家庭の食卓を彩る日が来るのではないか?


生ゆば


ゆばの京華を後にして、ゴール(磐田駅)までは1`足らず。もう少しだ。
磐田駅前の「海鮮さかな道場」で鉄火丼980円を食べてからゴール。

磐田の地味なたたずまいと初秋の風。
旅の演出をしてくれたのは、やはり季節の花・曼珠沙華だった。




2016.09.11(Sun)
平熱になっては翔べぬカモメール

昨日は、高浜川柳会の月例句会。
秋が少しずつ顔を出してきたが、まだまだ日中は暑い。

句会後に納涼会を予定していたので、全員出席。
納涼会には、全員渾身の一句を持ち寄っての出席。

その一句の背景を語ってもらうためだ。
一句を物するまでの経緯、心のありよう、想いなど・・・

他人に話す中で見えてくるものがある。
喜怒哀楽を表現する川柳には、これはとても大切なことだ。

今日は、中日川柳会主催の中部地区川柳大会。
結果は芳しくなかったが、秀句(天位)が一つ。

 指メガネ覗くこの世は美しい  「メガネ」

さて、川柳の結果(6/28発表川柳塔おきなわネット句会以降)を報告します。
気付かなかったが、2ヶ月分も溜めていた。



岡崎川柳研究社本社句会(7/2)

にんげんを洗う蛇口は全開に  「洗う」 

クワの実が熟す指切りした道で  「小指」   

いっぽんの滝が流れている微熱  「熱」 秀句 天

平熱になっては翔べぬかもめーる  「熱」 秀句 地

雨の日は雨の日なりの世界観  「深い」 軸吟 



咲くやこの花賞(7/8発表)

淋しさはこんな味だろかくれんぼ  「味」


鈴鹿ネット句会(7/17発表)  

人柄が滲むあなたという魚拓  「滲む」 秀句


鈴鹿句会(7/23)

自惚れもなくてはならぬ挑戦者  「過信」

ふところに辞表を隠し刺し違え  「刺す・刺さる


飲み放題こんな自由があるものか  「自由」 誌上互選


きぬうら句会(7/24)

炎天をほどくレモンの丸齧り  「解く」 佳吟

飴ちゃんを舐めて緊張感を解く  「解く」 

自問自答してカモメはまた迷う  「解く」 

かなしい街だね冷たい語が並ぶ  「冷たい」

母に逢う靴の冷たいはずがない  「冷たい」 秀句 地

ユメのあるはなし冷凍保存せよ  「冷たい」

腕捲りまだ青春をしています  「腕」 課題吟


岡崎川柳研究社本社句会(8/6)

激動の時代 湯舟の栓を抜く  「急流」 秀句 人

急流へメダカも一度行きたがる  「急流」 佳句   

淋しさを流そう全開のシャワー  「急流」 秀句 天

向日葵になろう看護の目をひらく  看護」 秀句 人

海を見る気持ちは同じモアイ像  「像」 佳句

この国のかたちが見えぬ竜馬像  「像」

ハチ公の前でさみしさ膨らます  「像」 佳句

いわし雲いい人ばかり先に逝く  「消える」 軸吟 


咲くやこの花賞(8/8発表)

無意識に行く喝采のあるところ  「にぎやか」


鈴鹿ネット句会(8/17発表)  

青い風あり指切りという文化  「文化」 

梅干を真ん中ニッポンの文化  「文化」 秀句


川柳塔おきなわネット句会(8/19発表)
  

誤りに気づいて青いままの空  「誤り」 秀句 地

誤りを悔い一本の樹になろう  「誤り」 秀句 天



みえDE川柳(8/24発表


誰よりも遠くへ飛ばす梅の種


鈴鹿句会(8/27)

カレーパン一個で凌ぐ崖っぷち  「ぎりぎり」

卓袱台に秋の味覚が鎮座する  「座る


三枚におろして愛を確かめる  「自由吟」


きぬうら句会(8/28)

スナップを利かせる妻の言葉尻  「利く」 秀句 地

酷使した利き腕だから温める  「利く」 佳吟 

猛暑日にウィット利かす通り雨  「利く」 

注目を浴びると角が取れてくる  「注目」

待つ人は数多「火花」の文庫本  「注目」 

夏が逝く陛下の「お心」を残し  「注目」



2016.09.04(Sun)
プレバト

今、「プレバト」が熱い。「プレバト」と突然言っても解かるはずはないが、「あの俳句の超辛口先生」と言えば知る人も多いだろう。

芸能人が俳句、生け花、料理の盛り付けなど様々なものに挑戦。その作品や料理をその道のプロが判定し、才能の有無を査定していくテレビ番組が「プレバト」である。

残念ながら、俳句のコーナーしか見たことはないが、芸能人の俳句を評して、「凡人の凡人たる所以」「才能の欠片もない」などの辛口発言が初中後飛び交う。

そうして独自の添削。かくしてズタズタに切り裂かれた俳句は、羽化した蝶のように華麗に飛び立って行くのである。

俳句の査定方式を説明しよう。事前に出された全員共通の一枚の写真を元に一句詠み、番組に提出。俳人・夏井いつきが査定し、七十点以上で「才能アリ」、六十九〜四十点で「凡人」。三十九点以下で「才能ナシ」の査定となる。

スタジオでは別室から中継を結び、解説や添削を行う(あまりに酷い場合には夏井も匙を投げることがある)。俳句の発表後、作者から俳句に込めた意味などを語ってもらうが、それらも判断材料に加味され、場合によっては減点・ランクダウンも発生する。

夏井は、超辛口先生の異名を取るとおり、俳句に懸ける情熱は本物。「芸能人にそこまで言うか」と初めは視聴者を引かせてしまうが、後に、この本気の指導が技術を磨かせ、人の心を動かしていくのだと解かる。また、着想や表現方法を褒めることも知っていて、句をさらに良くするための手解きはとても美しくみえる。

百聞は一見に如かず。事例を挙げよう。「鎌倉・紫陽花と電車の風景」で一句。今井華(モデル・タレント)の原句(車窓から迫る紫陽花待つは海)に対する句評はこうだ。

感覚のみずみずしい素晴らしい句。紫陽花の風景から海へジャンピングする映像の切替えがいい。作者が夏の海を待っている様子、さらに、もう少しすると潮の香りもしてくる様子が、「待つは海」の中にタッピングされている。惜しいのは、「車窓から」という言い方。「車窓へと」とした方が主役としての紫陽花の動きが出る。

かくして添削句は(車窓へと迫る紫陽花待つは海)。また別に、紫陽花の映像のアップから始めるやり方をも提案。(紫陽花の迫る車窓や待つは海)。「や」で一気にカットが切り替わり、海の光景が眼前に広がると言うのだ。

今井の句は、才能アリ一位の作品。これとて七十八点だから、俳句の深さが解かろうというものだ。残り二十二点をどのように埋めていけばいいのか。才能もさることながら、積み上げていく辛さ、険しさもある。指導も必要だが、己の手で掴み取ることはもっと必要なのだろう。

少し告白をさせてもらうと、この春から俳句の句会に参加している。素人としてはなかなかの善戦。これまで特選が七句。(理想とは遠いところで麦を踏む)(粽解きいつしか少年へ還る)(冷奴きれいな面を上にして)いずれも当季雑詠作品だが、夏井ならばどんな評をしてくれるだろうか。

余談になるが、俳句を長年やっている人に「あれを俳句のすべてだと思わないでね」と言われたことがある。プレバトから受ける夏井の俳句観や添削に対し、若干のやっかみからの忠言だろうが、夏井の解説や添削は、初心者にはとても解かり易いし、俳句の本質が実は映像なのだと教えてくれる。こんな指導法が今までにあったかどうか。

超辛口先生に教えられたこと。俳句は季語が主役、季語の威力は絶大であること。季語になったつもりでモノを捉えよう。「吾亦紅」であれば、あの可憐な穂状の花になり切り、地上数十センチのところで風に揺れながら秋に触れてみよう。

さて、「プレバト」のまとめ。「花火大会の写真」で一句。才能アリを獲得した二句を夏井が、どう評しどう助言したか。しっかり噛みしめようと思う。

湖に花火が照らす寂しさよ」(大鶴義丹)。

着想はどこにでもありがちなもの。しかし、花火が寂しさを照らし出すというところに、詩がある。「照らす」を「灯す」と変えることで、陳腐な表現が俄然生きてくる。湖面に灯される寂しさが映像化される。

(添削後は)「湖に花火が灯す寂しさよ」。

「大輪の轟き焼けて夏が散る」(ミッツ・マングローブ)。

花火と書かずに花火を表現したところがいい。音と匂いと視覚があり工夫がある。しかし、「轟き」が名詞なのか「轟き焼けて」の複合動詞なのかが読み手には解からない。「轟き焼けて」であれば、動詞が三つ重なり混雑感がある。誤解を避けるためにも語順を変えると映像がしっかりしてくる。

(添削後)「轟きの大輪焼けて夏が散る」 

                                    (刈谷文協文芸誌「群生」寄稿)



2016.08.28(Sun)
ゆうやけを呼ぶ魂の泣くあたり

毎月第4日曜日は、準会員として所属している「川柳きぬうらクラブ」の句会日。
岡崎川柳研究社の本社句会とは違い、全体に若々しい。

若々しさは、当然、着想にも表れていて、「これ、いい句ジャン」と叫ぶこと数多。
やはり、指導者が良かったのだろう。既読感、既視感のない句を多く目にする。

手元には、平成27年度きぬうら優秀作品。
作句する上での指標とすべき作品ばかりだ。

【最優秀句賞】

許されるたびに小さな実をつける  (今村美根子)


【優秀賞】

大根の白さ無名のままでいい  (眞島知恵)

恋といういくさマヨネーズを搾る  (柴田比呂志)


【佳作】

恋が融けるぱらぱらぱらと破線から  (伊賀武久)

知らぬ間にまた増えているかすり傷  (仲田早苗)

一滴の水になりたい汚染水  (高橋祐介)

結論は豆乳鍋になりました  (石川典子)

いい方へ道は曲がっているらしい  (堀崎みつ子)


さて、本日の入選句。

スナップを利かせる妻の言葉尻  (利く) 秀句

酷使した利き腕だから温める  (利く) 佳吟

猛暑日にウイット利かす通り雨  (利く)

注目を浴びると角が取れてくる  (注目)

待つ人は数多「火花」の文庫本  (注目)

夏が逝く陛下の「お心」を残し  (注目)



2016.08.21(Sun)
煙吐くエントツ永久という長さ

今日は、常滑焼まつりへ妻と出陣。
主要4会場の内の「イオンモール常滑会場」と「ボートレース常滑会場」へ。

イオンモールの方は、陶芸作家の個展といった風情。
趣のある焼き物が並んでいたが、それらはすべて芸術作品、貧乏人には縁遠いものだ。

続いて、ボートレース会場。こちらは、凄い。
会場の外には屋店が立ち並び、まさにお祭り。

会場内では、焼き物の展示販売の他、イベントがいっぱい。
「手揉み製茶の実演と常滑急須でお茶を楽しむ」「常滑焼の体験・実演」・・・・

中でも感動的だったのは、「常滑の地酒を常滑焼で乾杯!」
「常滑焼酒器と地酒の試飲販売!」

澤田酒造の「白老」吟醸酒と金鯱酒造の純米吟醸酒を試飲。
どちらも美味。金鯱酒造のワンカップを二瓶買った。

それにしても、こんな暑い最中にやらなくても、と思うが、理由ありのようだ。
瀬戸の陶器市も暑いときだったと記憶するが、涼しいときにやって欲しいものだ。

常滑焼まつりの光景は、こんな塩梅!





2016.08.14(Sun)
あすという仕切り最終便が来る

お盆二日目は、家人と二人で浜松までの日帰り旅。
妻は、富士の裾野の御殿場あたりに行きたかったらしいが、遠方では疲れるので止めた。

目指すは、奥浜名湖。妻の愛車を私が運転して、いざ出発。
コースはというと・・・・

 新東名岡崎東IC → 新東名浜松いなさIC → 龍潭寺 → 方広寺 → 竜ヶ岩洞

 → 浜松フルーツパーク → 新東名浜松いなさIC → 伊勢湾岸道豊田南IC

まずは、龍潭寺(りょうたんじ)。天平5年(733)、行基によって開創された古刹。
小堀遠州作の池泉観賞式庭園は江戸初期の造園だが、庭の構成が見事。

本堂の縁に座っていると、風がゆっくり流れるのが分かる。一服の茶を所望したくなる。
他には、江戸の名工・左甚五郎作と伝わる鴬張りの廊下や龍の彫像などがある。

そして、この古刹は、井伊家の菩提寺。
井伊家の歴代当主の位牌、墓、ゆかりの品などが納められている。


2017年の大河ドラマが、柴咲コウ主演による井伊直虎(次郎法師)に決定した。
直虎の生涯の舞台となる奥浜名湖、引佐の井伊谷にあるのが龍潭寺なのだ。


龍潭寺の鬼瓦


次は、臨済宗 大本山 方広寺(ほうこうじ)。後醍醐天皇の皇子である無文元選禅師が開山、国の重要文化財の釈迦三尊像、七尊菩薩堂がある。

方広寺参道入り口にある赤い大鳥居からスタート。
昔ながらの門前町で店先を眺めながら堂々とした佇まいの門(通称黒門)をくぐる。

黒門から少し進むと朱色が美しい山門(通称赤門)。
参道は深い緑に包まれ、ところどころ安置されている五百羅漢。

「哲学の道」と呼ばれる裏参道を通り、本堂へ。
釈迦三尊像も眩しかったが、赤いつり橋、朱塗りの三重の塔が印象深かった。


方広寺・五百羅漢


方広寺を後にして、少し遅い昼食。浜松とくれば、鰻、「奥浜名湖 鰻いしかわ」で鰻重の梅を注文。美味かった、やはり本場は違う!

さて次に控えしは「竜ヶ岩洞」(りゅうがしどう)。2億5千万年前の地層に形成された鍾乳洞。
落差30bのダイナミックな「黄金の大滝」がハイライトのひとつ。気温は真夏でも18度。

東海エリア最大級の鍾乳洞は、私の感覚では郡上にある鍾乳洞に良く似ていた。
神秘的な地底世界は、自然の成せる業だが、発掘した人も偉かった!


竜ヶ岩洞・黄金の大滝


旅の最後は「浜松フルーツパーク」。東京ドーム9個分の敷地を誇る大型果樹園施設。
一年を通してフルーツ狩りができるか、それは3時までの入園者だけ。

すでに4時近くなっていたので、もっぱら園内を散策。
曇天の夏には、これが快適。

りんごの並木は、姫りんごと普通のりんごの競演。
まだ青いりんごの方が多かったが、赤らんでいるのもあって、いい色彩だ。

トロピカル・ワインカーヴでワインの試飲と手作り工房の店で買い物。
試飲は、運転手であるため、黒糖の梅酒を舐める程度、残念!

噴水ショーがある時などは、園内は超満員になるとか。
もう少しこの園の良さを味わいたかったが、時間切れ。

かくして、奥浜名湖の旅は帰路を残すのみ。
また、いしかわの鰻を食べに行きたいものである!


浜松フルーツパーク・バナナ園



2016.07.31(Sun)
川柳七句

林立のビルに乾いてゆくインク

ひと眠りすれば何でもない悩み

平和ってトンボの目玉乾かない

日付印あすも誰かが泣いている

落丁というレッテルは乙なもの

余熱あり恋の教科書手放せず

引きこもり解けたか蓮の花ひらく



2016.07.25(Mon)
危ないと思うきれいな底だもの

少しずつ日は短くなっているが、まだまだ夏の始まり。
夏至のころと比較してはいけないが、それでも淋しいものだ。

「川柳すずか」7月号を繰っている。
「鈴鹿市民川柳大会号」と記されているとおり、熱気の溢れている紙面。

大会からひと月過ぎて、まだその熱気は逃げていない。
素足に纏わりつき、熱い、熱い日を語っているようだ。

この号では、私の「すずか路」前号鑑賞が載っている。
書いたのは、ちょうどひと月前の梅雨最中の一日・・・・


「すずか路」前号鑑賞  270号から

「一筆啓上火の用心お仙泣かすな馬肥やせ」は、日本一短い手紙として知られている。家康の家臣・本多作左衛門が陣中から妻に宛てたこの手紙には、家を守り、家族を愛し、忠義を尽くす思いが短い文の中に簡潔に込められている。

「川柳」は、手紙のようにメッセージ性を持った文芸であろう。一句によって救われた数多くの人たちにとっては、川柳こそ日本一短い手紙なのである。そんな想いを抱きながら前号の「すずか路」を読ませていただいた。

サングラス孫が掛けてはうれしがる     千野  力

紫外線から目を保護する「サングラス」は夏の季語。今ではお洒落の道具として一役買っているが、どちらで用いるかは本人次第。渋さを売りにする力さんにとっては、お洒落の方か。幼い子どもはこんな物珍しいものが大好き。お孫さんのうれしそうな顔が透けて見える。「外すまで美女でありけりサングラス」(末廣紀惠子)

モナリザも鑑賞しない自撮り棒     川喜多正道

ブログがこんなに幅を利かせている現代では、「自撮り棒」というけったいなものが世に出てくるのは当然だが、モナリザくらいはじっくり鑑賞したい。いや、そもそもルーブル美術館で自撮りが許されるのか。先年講演を依頼した、「赤絵」で有名な画家・斎藤吾朗さんはモナリザの公認模写日本人初。それも、あのシャガール以来五十年ぶりというから驚きだ。

お散歩は吠えない犬に許される     石崎 金矢

歩くことが好きである。とりわけ季節の草花や果実を見ながらの散歩は格別。桑の実が熟してきたとか、グラジオラスが生育してきたとか・・・。散歩ですれ違う多くの人は犬を連れている。ほとんどは大人しいが、中には凶暴なのも。犬も人を見て吠えるのだろうから、こちらの責任も半分。しかし、すれ違う犬も半分は大人の対応が求められる。

百までは身辺整理などしない     竹内そのみ

余生を安心して過ごすため身辺整理をすることが「終活」。その終活を百歳までしないという心意気は見事。好奇心、向上心ともに今なお盛んなのだろう。「孫の代実る種なら蒔いておく」。同じく「すずか路」に載せられたそのみさんの作品。百年先を見据えて、これからの人たちの幸せを考えていく、その意気やよし。

ああ言ったこう言われたを聞かされる     岡崎美代子

世の中は「親しき仲にも礼儀あり」だが、母娘の関係にはそれは当てはまらない。娘さんが姑に言われたことを正直に話したのだろう。人生の先輩としては、身につまされることもあるが、大半はどうでもいい話。娘さんとて、一晩寝れば肺腑の底に永遠に眠ってしまうもの。かくして小さなストレスは消されていく。これもまた知恵。

すくすくと願いをこめて巻くちまき     竹原さだむ

端午の節句の食べ物と言えば、関西では「粽」、関東では「柏餅」。私が育った西三河地方では柏餅だった。物の本によると、柏の葉は、新芽が出ないと古い葉が落ちないため「子どもが生まれるまでは親は死なない」、すなわち「家系が途絶えない」という子孫繁栄の意味が込められている、とか。由来も知らず、よくぞここまで生きてきた。

再婚の理由は寂しいだけでした     前田須美代

「寂しいだけ」と自嘲気味に笑うが、こんな大きな理由は他にない。古今亭志ん生の小噺を一つ。「あの旦那、少しは甲斐性でもあるのかい?」「ありゃしないよ、とんでもないろくでなしさ」「どうしてそんな奴といっしょになったの?」「だって・・・寒いんだもん」。男女の機微はかくも深いもの。私で良ければお相手します。

遮断機がアッカンベーと舌を出す     佐藤 近義

踏切を渡ろうとした時に、遮断機が下りてきたのだろう。「アッカンベーをするように」とは近義さんの感性。交通量の多い駅付近には「開かずの踏切」があって、急いでいるときは恨めしい。開かずの踏切の定義は「ピーク時の遮断時間が一時間あたり四十分以上となる踏切」。スローライフもいいが、開かずの踏切を無くす努力も必要だろう。

鴛鴦の仲が良いとは限らない     岩谷佳菜子

おしどり夫婦に見られる佳菜子さん夫婦も、内情は決して仲良しではない、ということだろう。であるなら、安心した。我が夫婦も同じようなもの。実際、おしどりのオスは、メスの産卵まではメスを守り抜くが、産卵後は抱卵や子育てを手伝うこともなく、メスから去ってしまうのだと。オスにはオスの事情がありそうだ。

「どうこうふたり」なんだとばかり思ってた     毎熊伊佐男

三年前から、霊場全九十八ヶ寺を巡拝する「歩いて巡拝(まいる)知多四国」に参加している。そこで目にするのが、巡拝者のすげ笠に書かれた「同行二人(どうぎょうににん)の文字。同行二人とは、お遍路がお大師さまと二人連れという意味。妻と二人で参加しているから、さしずめ「同行三人」といったところだろう。

打たれ続け紙風船が耐えている     瓜生 晴男

打たれるものはみな耐えている。サンドバックも紙風船も。生活のために働く私だって耐え続けなければならない。苦痛がやがて快楽に変わるものと、耐え切れずに爆発するものと、違いがあるのはそこだけだ。一読して、黒田三郎の詩「紙風船」を思い出した。美しい願いごとをするように、何度も打ち上げる紙風船があればいい。

ポストまで行けば迷いは消えるはず     青砥たかこ

恥ずかしながら初恋(?)の頃を思い出した。投函するかしないか迷ったラブレター。叶わぬ恋とわかっていたが、書かずにはおれなかったこと。ポストまで行けば投函するしかないと、清水の舞台から飛び降りたこと、など。たかこさんの迷いはそんな安直なものではないはずだが、迷った日は、振り返るといつも美しい。



2016.07.16(Sat)
巻き戻しすると悲しくなる時計

7月のカレンダーを眺めている。
イタリアのアマルフィ海岸。

青く光り輝く海から「世界一美しい海岸」とも称される
アマルフィ
急峻な斜面にはカラフルな民家やホテルが建ち並ぶ。

この光景、見せてあげたいな。
どんな言葉より美しいかも・・・・


世界遺産・アマルフィ海岸


さて、川柳の結果を報告(5/29きぬうら川柳大会以降 欠席投句の「鈴鹿句会」は、柳誌到着後の報告)します。


鈴鹿句会

人間になろうとロボットも必死  「自由吟」

青い星なぜ人間は奪い合う  「奪う」 誌上互選


展望ネット句会(6/1発表) 

「奥」で二句投句するも全没


岡崎川柳研究社本社句会(6/4)

巻き戻しすると悲しくなる時計  「時計」 秀句

しあわせか時計回りに生きてみて  「時計」 佳句    

どうせなら笑って落ちよ砂時計  「時計」 

美しきもの口コミというチラシ  「チラシ」

旅行社のチラシでさあ非日常へ  「チラシ」

あおぞらを限定品で売るチラシ  「チラシ」 佳句

十七音母への想い書き切れぬ  「短い」 秀句

一生は短距離走とおもいます  「短い」

越えられぬ海です母の水たまり  「水」 軸吟  


咲くやこの花賞(6/8発表)

危ないと思うきれいな底だもの  「底」 天


鈴鹿ネット句会(6/17発表)  

「裸」で二句投句するも全没


鈴鹿市民川柳大会(6/18)

冷奴こんないい手がありました

テキトーを許さぬ全開の蛇口

溺れてもいいかな美しい海に


みえDE川柳(6/24発表


「笑う」で二句投句するも全没


きぬうら吟行吟(6/19)

青空に遠吠えばかりしてしまう  「呼ぶ」

しあわせを呼ぶと返ってくる谺  「呼ぶ」 秀句

ゆうやけを呼ぶたましいの泣くあたり  「呼ぶ」 秀句

半歩ずつゆく夏至という折返し  「仕切る」

あすという仕切り最終便が来る  「仕切る」 秀句

生きる意味など問わぬ白鷺の舞い  「吟行吟」

煙吐くエントツ永久という長さ  「吟行吟」 秀句


川柳塔ネット句会(6/25発表)  

アジサイは手紙 小説とも思う  「思う」


川柳塔おきなわネット句会(6/28発表)
  

モノサシで測れぬしあわせの段差  「差」 秀句



2016.07.03(Sun)
椅子一つわたしの影を座らせる

七月になった。
まだまだ雨雲を纏った空を恨めしく見上げているが、もう少しだ。

 夏空になるまで青を積み上げる

今は、ただ一途に青を積み上げる時期。
しとしと降る雨の中、じっとり湿気を含ませている中だからこそ、それができる。

夕刻、妻と稗田川沿いを散策。
桑の実をを見ようと、いつもより早く、まだ明るいうちに。

樫(かし)、楢(なら)、欅(けやき)、山桜、椋木(むくのき)、椚(くぬぎ)の中に一本だけある桑。その実がどれほど熟しているか?

しかし、遅かった。枝から桑の実はすでに落ちてしまっていて、その姿を見られず残念。
六月初旬から中旬くらいまでが旬というところか?

桑の実は英語で「マルベリー」。
我が家で毎年採れるブラックベリーに良く似ている。

さて、肝心の散策の方はと言えば、突然のスコール。
コンビニの軒で雨宿りしながら、迎えの車を待つことになった!



桑の実



2016.06.26(Sun)
川柳七句

かなしみの奥で鳴いてる鳩時計

何もないのが美しく見えてくる

青空を掴むジャングルジムの上

進化論ざっそうはまだ雑草で

少年に還れば風が見えてくる

過去形のキミと終電車のなかで

引きこもり解けたか蓮の花ひらく



2016.06.19(Sun)
永遠を入れてかなしくなった箱

昨日は、「鈴鹿市民川柳大会」に参加。
選者だった昨年に比べ、今年は気楽なものだ。

宿題を句箋に写し、席題「危険」をチャチャとやっつけ、投句箱に投句。
「さて、白子の海岸にでも出よう」と思ったが、真夏のような日差し。

日焼けを避けて、柳友たちと大会会場である「東樽鈴鹿店」で専ら雑談。
一年ぶりの友たちと、共通の話題には事欠かさない。

入選句は辛うじて三句、“適当”に詠んだのがいけなかった。


冷奴こんないい手がありました  「適当」

テキトーを許さぬ全開の蛇口  「適当」

溺れてもいいかな美しい海に  「自由吟A」


今日は、川柳きぬうらクラブの「吟行会」。
蔵と運河の街として知られる半田市中村町周辺を散策し、句箋にしたためた。

発見と想いが重なった時、深みのある句になるのだろうが、そうは問屋が卸さない。
吟行句は、「見たさま」になりやすく、俳句のような句が多かった。


しあわせを呼ぶと返ってくる谺  「呼ぶ」

ゆうやけを呼ぶ魂の泣くあたり  「呼ぶ」

あすという仕切り最終便が来る  「仕切る」

煙吐くエントツ永久(とわ)という長さ  「吟行吟」



半田運河・蔵の街



2016.06.12(Sun)
地図のない旅だ縄電車で行こう

我が家のブラックベリーが実を付け始めた。
まだ青い実だが、ひと月もしないうちに収穫できるだろう。

ブラックベリーはとても強い植物とみえて、初年度から太い茎になり、夥しい実を付けた。
三度目の今年はさらに多くの実を付けるだろう、楽しみだ。

果実は、梅酒をつくる要領でホワイトリカーに氷砂糖を加え、涼しい所に寝かせておく。
半年後にはみごとな果実酒となる塩梅、これまた楽しみだ。

さて、川柳の結果報告(4/29三川連川柳大会以降 欠席投句の「鈴鹿句会」および「きぬうら課題吟」は、柳誌到着後の報告)です。


鈴鹿句会

キャンバスに何も描かないのも答え  「贅沢」

Tシャツの下から海が迫り上がる  「シャツ」

捨てぜりふ吐いて桜は散ってゆく  「自由吟」

二重線引いて元気と書き直す  「元気」 誌上互選



きぬうら課題吟

空っぽの玩具箱から咲くさくら  「箱」 佳吟

夕焼けをこっそり仕舞う玩具箱  「箱」 秀句 地位

永遠を入れてかなしくなった箱  「箱」 秀句 天位

寄り道が好きで冷たい雨もいい  「冷たい」


愛川協総会川柳大会(5/4)


いい人ができて光がやわらかい  「陽気」 

心地好い風よくるぶしから五月  「陽気」 軸吟

さみしさを抱えた人の来る花屋  「気配」 秀句    

未来まで飛ぼうよタンポポの綿毛  「未来」

未来へは伏流水になって行く  「未来」 秀句 


岡崎川柳研究社本社句会(5/7)

どこを切り取っても謎のない五月  「謎」 佳句

謎一つ抱えてシャドーボクシング  「謎」 佳句    

あおぞらのような人です謎がない  「謎」 秀句 地位

幸せになれそう長いおまじない  「長い」 佳句

文学をまだこころざす小銭入れ  「小銭」

三文の徳がようやく分かりだす  「小銭」 佳句

満天の星ですユメを買う小銭  「小銭」 佳句 

無意識に探す忘れていたユメを  「探す」 軸吟


咲くやこの花賞(5/8発表)

いい人ができたんだろう風光る  「ばれる」

暴かれて海という名の水たまり  「ばれる」 天



津市民文化祭川柳大会(5/15) 

懐かしい人にときどき逢う輪廻  「なるほど」

一手打つたびにどよめく鬩ぎ合い  「なるほど」

追伸のなかに本音がてんこ盛り  「詰める」

十七音入り切らない片想い  「詰める」

湧水を無駄にはしない村おこし  「無駄」

さようならのときも炭坑節踊る  「踊る」

母さんをまだ踊らせる過疎の町  「踊る」

柔らかな風が集まるあずきバー  「集まる」


鈴鹿ネット句会(5/18発表)  

「腐る」で二句投句するも全没


川柳なごや夏の川柳大会(5/21)

聞き流すことを覚えた通過駅  「流れる」

朝採れのホウレン草という自信  「草」

遠泳をしてもやっぱり妻の海  「やれやれ」 佳吟

海になる望みもあった水たまり  「やれやれ」 佳吟

指切りの指に五月が絡みつく  「薫る」

旬の風吹いて二人になる予感  「薫る」


川柳塔ネット句会(5/23発表)

父は子へ海の大きさ語り継ぐ 


みえDE川柳(5/27発表


雨の日はすこし違った世界観  「世界」 天


きぬうら川柳大会(5/29)

夏服を着てまた少年の木が伸びる  「衣」 

大好きなあなたを入れる袋綴じ  「衣」 軸吟 

地図のない旅です縄電車で行こう  「旅」 秀句 天

輪の中にいよう素直になれるなら  「輪」 佳吟

一本の滝になろうと輪をくぐる  「輪」 佳吟

椅子一つわたしの影を座らせる  「自由吟」 秀句 人

夏空になるまで青を積み上げる  「自由吟」 佳吟




2016.06.05(Sun)
雨の日はすこし違った世界観

今日も元気に名鉄ハイキング!
この時期恒例のコースということで、「桶狭間古戦場と有松絞りまつり」。

東海地方は昨日が梅雨入り。
そぼ降る雨を纏いながら、妻の運転する車で名鉄・知立駅まで。

知立駅からは、名鉄本線の急行で一区間、前後駅で下車。
“歴史と伝統が息づくコースの始まり始まり・・・・

前後駅(スタート) → 三崎水辺公園 → 諏訪神社 → 沓掛城址公園 → 

二村山(展望台) → 桶狭間古戦場伝説地 → 高徳院 → 有松絞りまつり会場

→ 有松駅(ゴール)


終日傘を差しながらの行軍。雨は止むようで止まない。
第1のスポットは、豊明市の「三崎水辺公園」。

市民の憩いの公園として知られ、桜の名所。
ライトアップされた夜桜は神秘的な映像を醸し出すとか。


三崎水辺公園


続いて、「諏訪神社」。沓掛城址公園の手前にあり、何かありそうでなさそうな村の社。
巫女さんが余りの忙しさに目をクリクリさせていた姿が印象的。

沓掛城址公園。沓掛城址保存会による火縄銃の空砲や太鼓演技などイベント数多。
棒ジュースをいただき、夏を実感。それにしても朝からの雨が恨めしい。


沓掛城址公園


沓掛城址公園から約2`を歩くと「二村山」。
ここも桶狭間古戦場まつりのイベント会場。

この標高71.8bの山が、歴史的な意味を持つのか分からぬまま到着。
二村山保存会による、味噌汁のサービスがあった。


調べると、この山ただ者(?)ではないらしい。「二村山」は歌枕にもなっているようで、平安時代の頃から数多くの歌や紀行文の題材にされてきた。

現在でも山頂から山麓にかけて、その長く風趣な歴史を物語る歌碑・石碑がいくつか残されているとかで、要は歴史のある山なのだ。


二村山・切られ地蔵尊


二村山を下り、「桶狭間古戦場伝説地」へ向かう途中から雨が上がり、少し楽になった。
伝説地まで3.6`。アップダウンの多い道のりをただ淡々と歩く。

「桶狭間古戦場伝説地」「高徳院」ともに、まつりのイベント会場。
高徳院は、桶狭間の戦いの時、今川義元が本陣を張った寺。

境内にはタブの木があり、歴史的に意味のある大木らしいが、省略。
いよいよ、有松絞りまつり会場が近づいてきた。

止んだかと思えばまた降る生憎の雨。
大雨でないのが救われるが、雨の中にあっても大層な人出であった。

雨でない時の画像を二つ。








2016.05.31(Tue)
川柳七句

未来など信じていない豆の蔓

危機感がわたくしを透明にする

喪失という頼りないものが好き

ザクザクと刻んであたらしい私

飯を炊くとき新緑はあざやかに

五月病きっとやさしい人に逢う

傷ついた鳥に巣箱がやわらかい



2016.05.29(Sun)
箱庭のキュウリが真直ぐに育つ

玄関先のクジャクサボテンが咲き出した。
緋の色が周りの新緑に溶けて、うっとりする。

季節の花たちは、己の出番を知っていて次から次へ咲き誇る。
人間よりも遥かに利口なのだろう。

昨日は、「歩いて巡礼(まいる)知多四国」の巡拝コースに妻と二人で参加。
曇天の中を、約9`の道のりを淡々と歩いた。

コースは・・・・

太田川駅(スタート) → 観福寺 → 弥勒寺 → 清水寺 →観音寺 → アピタ

→ 聚楽園駅(ゴール)

妻の皆勤賞に比べて、時間のある時だけの参加だが、いい刺激になっている。
元より信心などありはしないが、お参りをする群れの中にいると、心が洗われる。

自らの健康を気遣い、また身の回りの人たちの幸せを祈る善男善女たちばかりだ。
悪人もいるには違いないが、祈りを捧げるときは身の悪を忘れているのだろう。

世知辛い世の中にも、いいことが転がっている気になるから不思議だ。
以下、それぞれの寺を画像で紹介する。


第82番札所・雨尾山 観福寺



第83番札所・待暁山 弥勒寺



第84番札所・瑞雲山 玄猷寺



第85番札所・慈悲山清水寺



第86番札所・大悲山観音寺


2016.05.22(Sun)
未来へは伏流水になって行く

数日前の新聞に、落語家・柳家喜多八が癌で亡くなったことが載せられた。
人間国宝・柳家小三治門下の二番弟子で、あの学習院大出、享年66歳だった。

実は、この人、名人になるのではないかと久かに睨んでいた。
気だるそうに話す姿からは想像できないだろうが、話の深み、人間描写は見事。

混沌の闇からいつか青空へ突き抜けていくのではと思っていた。
その暁には、名人という称号が授かるのだと・・・・。

これで三度目だ。桂三木助(4代目)、古今亭右朝、そして喜多八。
いずれ名人と予感させた落語家が、いずれも若くして鬼籍に入った。

見出しは、愛知川柳作家協会の総会大会の折に秀句として採られた句。
「未来へは伏流水になって行く」(課題「未来」)

落語家に限らず、名人というものは伏流水のように長い長い歳月を要するものだろう。
その時のための準備を欠かさず、目的へ邁進する者だけが授かる称号なのだろう。

無論、天賦の才も大事だが、今は、想いの強さの方が肝心だと思っている。
三木助は自殺だったが、右朝、喜多八は癌、病苦を克服する人間力も大切だ。



2016.05.15(Sun)
さみしさを抱えた人の来る花屋

「川柳すずか」5月号が届いた。
表紙絵は「トリカブト」の花。鈴鹿川柳会の青砥たかこ会長自らの挿絵である。

トリカブトは有毒植物の代名詞のように言われるが、花は釣鐘草のように可憐で鮮やか。
根に猛毒を持つとはとても信じられない。

物事は、押しなべてそうしたものだろう。信じられないことが多発するこの世の中は、元々信じてはいけない世の中なのだろうか?

さて、この号ではエッセーを掲載してもらったので紹介する。
川柳ではなく「俳句」の話だ・・・・題して「船団の会 愛知句会」


初めて俳句の句会に参加することになった。「船団の会 愛知句会」(愛知県刈谷市)である。「船団の会」といえば、「三月の甘納豆のうふふふふ」で知られる俳人・坪内稔典さんが代表を務める会だが、坪内さんを慕う会員が大勢いて、全国各地で句会、勉強会を開催している。愛知句会の世話人は、才色兼備を絵に描いたような二村典子さん。

そもそも二村さんとの出会いは、碧南市で毎年行なわれる「大浜てらまち俳句ing」。「まちが、くらしが俳句(うた)になる」をテーマとして、港があり、寺社、路地、蔵が多く点在する歴史地区「大浜」を舞台にした俳句吟行会である。二村さんはここで選者をされている。表彰式の後に一度、句会参加のお誘いを受けたが、そのままになっていた。

あれから五年半が経過する。先月、川柳の仲間を介してメールをいただいた。安城市内にある川柳会を紹介して欲しいとのこと。二村さんは川柳も達人で、安城市のとある公民館で川柳を教えている。その初心者講座の全日程が近く終了する。その後も続けたいという会員のために、受け皿を用意しておきたいとのことだった。

早速、安城川柳会を紹介。その際、俳句への思いも捨てがたいとメールで囁いたところ、このたびの俳句会初参加と相成った次第。長年胸に燻っていた俳句への魅力が土筆のように顔を出したものか、神さまが私の淡い恋心を察したものか、「しのぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで」(平兼盛)を地でいく結末となった。

さて、イントロが長くなった。この日の句会は十名の出席。内容は終始一貫した互選研究である。慣れないこともあるが、息がつけない、息継ぎが難しい。当季雑詠五句を持ち寄り、清記。そこから各人七句(その内一句を特選)を入選とする互選。集計の後、入選句の合評が延々と続く。息絶え絶えの私の結果はというと・・・

理想とは遠いところで麦を踏む(5点)

春眠や始発のバスはとうに出て(1点)

パンジーの一鉢読み掛けの文庫(1点)

括弧内の点は入選句に選んだ人の数を点数付けした。「理想とは・・」の句は一人から特選に選ばれている。初回にしては大健闘である。元より川柳の学びのための俳句と位置づけているが、「ミイラ取りがミイラ」(ちょっと違うか?)になりはしないか、少々心配になる。川柳と俳句との相乗効果を秘かに期待しているというところが本当なのだろう。

句会で二村さんに学んだこと。俳句は季語が主役、季語の威力は絶大であること。季語になったつもりでモノを捉えよう。「犬ふぐり」であれば、あの可憐な青い花になりきり、地を這う目線で春の景色を見てみよう。この日、最高点(6点)を獲得した句。

啓蟄のここはあぶないここもあぶない   二村典子



2016.05.08(Sun)
奇蹟だな一億人のなかの君

黄金週間が終わった。
家族で行った琵琶湖や天王川公園(津島市)の藤まつり、いい思い出になった。

家の中でぼっとしているより何百倍もいい。
左右の足で知らない土地を踏み、見たこともない景色を見るのがいいのだろう。

この間、川柳の大会が二つ。
三重県川柳連盟の大会(津市)と愛知川柳作家協会の総会・大会(豊橋市)。

さほど遠方ではないが、日常から少し離れた距離というのが良かった。
しかし、片道二時間まで、それを越すと泊まりたい気分になってくる。

さて、恒例の(誰も期待していないが)川柳の結果報告(3/27きぬうら句会以降 欠席投句の「鈴鹿句会」は、柳誌到着後の報告)。


鈴鹿句会

案外と近いところにある地獄  「近い」

淋しくて何度も開ける自動ドア  「扉」

叶わないことは時代のせいにする  「自由吟」

人間のにおいを嗅いで逃げる蛇  「賢い」 誌上互選


岡崎川柳研究春の市民川柳大会(4/2)

カモメ舞う今が幸せならばよい  「舞う」 秀句

曇天のさくらに熱いものが舞う  「舞う」 佳句    

血圧がなんだと塩じゃけの啖呵  「塩」 

触れないで下さい噴火致します  「触れる」 軸吟 


咲くやこの花賞(4/8発表)

「噴」で二句投句するも全没


第二回「ふるさと川柳」(4/15発表)

上から目線ですね降ってくる雪も  「雪」 佳吟

いちめんの雪歯ブラシが上下する  「雪」


鈴鹿ネット句会(4/17発表)  

返り血を浴びて大人になってゆく  「血」 


みえDE川柳(4/22発表


「光」で二句投句するも全没


川柳塔おきなわネット句会(4/22発表)  

しあわせになろう哀しい順番に  「順」 佳作

順番を問わず叩いているモグラ  「順」

あきらめた順に鴎になってゆく  「順」 佳作


川柳塔ネット句会(4/22発表)
  

あおぞらを仰ぐ誰もがおなじ顔  「似る」 
 



きぬうら句会(4/24)

ぬくもりを求め老年期へ曲がる  「曲がる」 

信念もいくらか曲げて湾になる  「曲げる」 

曲折のお蔭やさしくなってきた  「曲がる」

箱庭のキュウリが真直ぐに育つ  「偶然」 秀句 天位

立ち読みの本が愛読書へ変わる  「偶然」

奇蹟だな一億人のなかの君  「偶然」 秀句 地位



三川連川柳大会(4/29)

一番になりたい桃が熟れてくる  「一番」

旅プラン鴎が一羽どこへゆく  「プラン」

あなただと思う釣り落とした魚  「惜しい」

跳びたいと願う鎖を付けてみて  「跳ぶ」

樹齢千年おとこのなかの男だな  「男」

青空を見せてやりたい土踏まず  「自由吟」

辻褄が遠いところで合ってくる  「自由吟」

疲れ目にどうぞわたしの青空を  「自由吟」




2016.05.01(Sun)
返り血を浴びて大人になってゆく

今日は、恒例の日帰り家族旅行。
連休の内の1日だけだが、何とかみんな都合をつけてくれた。

行き先は、大津を中心とした湖南地域。
琵琶湖畔をどんなコースを辿り、どんな景色に巡り合えるか?

まずは、新幹線こだまにて名古屋駅から京都駅まで。
そして在来線に乗り換えて大津へ。その後のコースは・・・・

 
三井寺(円城寺) → 浜大津港(湖南航路高速船クルーズに乗船) → 

 柳が崎湖畔公園港(  〃 下船) → 近江神宮 → 比叡山延暦寺 


「三井寺」(円城寺)に向かう途中、地図で「花登筺 誕生の碑」を発見。
花登作品大好き人間としては無視できず、コースを少し外れてみた。

しかし、何のことはないごく普通の民家に句碑が一本だけ。
花登筺も亡くなってからもうどのくらい経ったのだろう?

さて、三井寺。近江八景の1つ「三井の晩鐘」で名高い鐘楼がある。
広大な境内には、国宝の金堂をはじめ国の重要文化財が並ぶ。

境内南端には、西国三十三ヶ所第14番札所の観音堂
いたるところ新緑がまぶしい。そして琵琶湖への眺望が素晴らしい。


三井寺を流れる晩秋の琵琶湖疏水


三井寺を後にして、浜大津港まで。途中、「大津絵の町」という可憐な遊歩道を歩く。
道端の豊かな花を見ながら、ゆっくり歩くのは至福。

浜大津港で
、湖南航路高速船クルーズに乗船。
琵琶湖岸を湖上から眺めるのも乙なもの、船は柳が崎湖畔公園港を目指す

途中、風が変わったものか、体が冷えてきたのでデッキから降りて船中へ。
それでも50分ほどのゆるやかな船旅を満喫した。



琵琶湖・沖島


柳が崎湖畔公園港から一路、赤い楼門の神社・近江神宮へ。ご祭神は大津京を遷都した天智天皇。近江神宮は、百人一首かるた名人戦でも知られ、競技かるたの聖地でもある。

広瀬すず主演の映画「ちはやふる」で有名になり、境内は、大学の卒業式のとき女学生が着るような着物、袴姿のお嬢さんが群れをなしていた。

この神社の奥深いこと。
森林浴をしているようで、神々を訪ねて一億光年の未来へ行くようだった。



京阪ラッピング電車


さて、旅の最後は「比叡山延暦寺」。
京阪近江神宮駅から坂本駅下車、坂本の石積みを横目に、ひたすら「坂本ケーブル」まで。

長さ日本一の坂本ケーブルで世界文化遺産の比叡山延暦寺まで11分。
ご存知、天台宗の開祖・最澄が、山内に寺院を立てたのが始まりという延暦寺。

昨年の「書写山・円教寺」といい、良い功徳を積んでいる。
この寺の大きさは計り知れない。孫悟空がお釈迦様の掌でジタバタしているようなものだ。

じっくり見学すると3日くらいかかりそうなので、東堂地域だけで諦めて延暦寺を後にする。
坂本ケーブルで麓まで引き返し、バスでJR比叡山坂本駅まで、そして京都駅へ。


坂本ケーブル


帰路、京都駅で伏見の銘酒・招徳の吟醸純米酒を土産に購入。
土産と言っても、自分で飲むことになるのだが・・・・そろそろ、一杯飲ることにする。


2016.04.24(Sun)
カモメ舞う今が幸せならばよい

「川柳めいばん」(名古屋番傘川柳会)4月号が届いた。
「前月号近詠鑑賞」の依頼を受けて、書き上げたのは寒い頃だった。

たった2ヶ月ほどしか経っていないが、ずいぶん昔のように感じる。
時の流れの速さに抗うことなどできないのだろう。

以下は鑑賞文。何を書いているのか・・・・


前月号近詠鑑賞風が読む文庫本」

終活に夫の邪魔なコレクション   福井 悦子   

余生を安心して過ごすため身辺整理をすることが「終活」。夫のコレクションは確かに邪魔なものですが、その道でしか分からない価値があって、もしかして高値で売れるかも。

おしゃれとは無縁介護に明け暮れる   福井 佳余子

お洒落とは遠い日常生活から介護の実態が分かります。人を生かすのは大変なこと。お洒落は介護の妨げになるのでしょう。でも心のお洒落だけは欠かさずにして下さいね。

何回も曲がった場所にある我が家   小川 加代

路地の奥にある民家かと思いましたが、違うようです。「我が家」は比喩。紆余曲折を経て辿り着いた現在の境地なのでしょう。そこに作者は充実感を抱いているのです。

受けとめる憎まれっ子の決算書   近藤 塚王

「憎まれっ子世に憚る」が下敷きにある句です。憎まれてこの世を生き、過去を振り返ったとき、決して幸せな人生ではなかったと受け止めています。「決算書」が悲しい。

妻の出す服に着替えて風邪ひかず   石崎 金矢

「奥さまがハイヨと投げたものを着る 新家完司」を思い出しました。外出には奥様の選んだ服を着て行くのですね。妻の愛情を詠んだ句ですが、男の可愛さも透けて見えます。

給料日一日だけのシャボン玉   加藤 友三郎 

給料日は小遣い日でもあるのでしょう。飲みに行くもよし、趣味に費やすのもよし、存分に楽しみましょう。屋根まで飛んで一夜で消えていくシャボン玉もまたよしです。

冬という文字に似ている雪の冨士   加藤 美子

先日「東海の名城」と謳われる掛川城を訪ねました。日本初の本格木造天守閣。そこから遥か東に頭だけ覗かせた富士山。「冬」という字は確かに雪の富士を思わせます。

身に覚えあって小言の手がゆるむ   青山 良巳

どんな小言なのか気になります。色恋に現を抜かしたとか、酒の失敗とか。自身も親から散々言われてきた小言ですね。それを思うと手加減せざるを得ない。血は争えぬもの。

予算案冬のリンゴを薄く切る   松尾 忠義

戴いたりんご仏と分けて食べ   金子 匠果

同じ果実を詠んでもずいぶん視点が違います。リンゴを薄く切ったのは、乏しい予算のせい。生きる切実さが胸に迫ります。仏さまとりんごを半分こしたやさしさは、生きる壁をいくつも乗り越えてきたからでしょう。

スキー場ごめんなさいと雪の私語   重徳 光州

暖冬の今年は、雪のないスキー場が多く、豊田市稲武地区自慢の氷瀑もほとんどが解けて、ライトアップを中止したとのこと。雪が「ごめんなさい」とは、作者のやさしい感性。

今日こそは好きと言わせる勝負服   上條 隆志

勝負服があるのですね。それさえ着ていれば連戦連勝・・。まさかそんな服があるとは思えませんが、日々お洒落を楽しんでいるからこそ、恋愛だってできるのでしょう。

風が読む孫の忘れた文庫本   田鎖 市子

永い冬が明けてようやく春。空気の入れ替えに開けた窓から風が颯爽と入ってきます。机の上には孫の忘れた文庫本。風が静かに捲っていきます。まるで本を読むように。



2016.04.17(Sun)
川柳七句

満ち足りた余韻で坂道を下りる

生と死が満ちるちいさな劇場で

飲めば酔うこのひと時を輝かせ

くちびるに歌を愛しい春だから

限度額いっぱいボクを光らせる

薄皮のまんじゅうほどの予算案

約束がハズレ馬券のように舞う



2016.04.10(Sun)
注ぎ残しないよう今日を傾ける

庭にクリスマスローズが咲いた。
その名からして冬に咲くのが適切なのではと思ったが、咲いたものは仕方ない。

調べると、立春が過ぎて寒気が緩んでくると、その花の可愛らしさが目についてくる、とあるが、やはり冬の花なのだろう。、「仲冬」(ちゅうとう)の季語とか。

さて、遅くなったが、恒例の川柳の結果報告(2/26発表 みえDE川柳以降 欠席投句の「鈴鹿句会」および「きぬうら句会」は、柳誌到着後の報告)です。

鈴鹿句会

新党を立ち上げボスになった猿  「猿」

サインなど求められても困ります  「困る」

やくそくの指が困ると言っている  「困る」

つまようじ使えば満腹に見える  「自由吟」

多目的ホールに風が吹き溜まる  「多い」 誌上互選


きぬうら句会

注ぎ残しないよう今日を傾ける  「傾く」 秀句 人位

傾いて知る大地の芽吹き空の青  「傾く」

柔らかい手では取れない鬼の首  「鬼」

指切りで鬼はやさしくなってくる  「鬼」

その日から鴎になった旅プラン  「予定」 秀句 地位

夢を語ろうガスストーブの前で  「予定」 佳吟

ペン先はなめらか春の予定表  「予定」


展望ネット句会(3/3発表) 


ネクタイを直してくれる君がいる  「愛情」


岡崎川柳研究社本社句会(3/5)

湯があふれ敵も味方もない旅情  「温泉」 佳句

やわらかい人になろうと湯の町へ  「温泉」 秀句 人位    

やさしさを辿れば母といういで湯  「温泉」 秀句 地位

どうせなら亡父にも届けEメール  「メール」

メル友が増えて眠りが浅くなる  「メール」

メール打ちときどき少年に還る  「メール」 秀句 天位

子を乗せる回転木馬から春へ  「回る」 

回り道したから解けた答案紙  「回る」 秀句 天位 

しあわせへ回転ドアは故障中  「開く」 軸吟


咲くやこの花賞(3/8発表)

「怪しい」で二句投句するも全没


加藤鰹追悼ネット句会(3/13発表)

擦れ違うS字カーブの真ん中で  「印象吟」


鈴鹿ネット句会(3/17発表)  

一升瓶うれしい重さ抱いている  「酒」 


みえDE川柳(3/25発表


「たすき」で二句投句するも全没


きぬうら句会(3/27)

この星で咲こう美味しいもの食べて  「咲く」 佳吟

咲くまでのお伽噺を聴いている  「咲く」 佳吟

何でもない振りで桜は咲き誇る  「咲く」

下積みの劇を見ているパンの耳  「劇」 佳吟

一人芝居だあれもいない劇場で  「劇」

恋という劇が死ぬまで続きそう  「劇」



2016.04.03(Sun)
やさしさを辿れば母といういで湯

今日は、高浜文化協会主催の「大山桜ものがたり」に運営スタッフとして参加。
花曇りではあったが、満開の桜にうっとり。

「大山桜ものがたり」は、千本桜で知られる大山緑地公園の桜を愛でて、邦楽大会、写真撮影、文芸コンクール、市民茶会などが開催される高浜市の一大行事。

設営の準備、後片付けの他は、文芸コンクールの受付に始終したが、雨も降らず、投句箱はいっぱい。作品の出来を別にすれば、大成功であった。

夕刻、降りそうな空を片目に稗田川を歩いた。堤に植えられた花海棠(はなかいどう)が五分咲き。しっとりとしたピンクを道行く人に投げかけていた。

ライラックも少しずつ花を付けてきた。
春本番と呼ぶのが相応しい季節。

新年度は、何となくキンチョウ感が漂う。始まりはいつもそうなのだろう。
花海棠のやさしさにいつまでも癒されていたい、と思った。


花海棠



2016.03.27(Sun)
川柳七句

しあわせの半券いつも持ち歩く

ひと冬を越しまだ解けぬ答案紙

淋しくて始発電車を待っている

パンジーの黄色やさしく頼りなく

哀しみも半分埋めてゆくパズル

大らかに生きて引き算などしない

ポケットの春が零れる逆上がり



2016.03.20(Sun)
まわり道したから解けた答案紙

「川柳めいばん」(名古屋番傘川柳会)3月号が届いた。
この号では、前月号近詠の鑑賞をさせてもらった。

作者名を伏せての「同人近詠」と「誌友近詠」約420句の鑑賞。
紙面に残せたのは、その内の13句。

長いですが、どうぞご覧ください。


前月号近詠鑑賞「おなかまで満たされてくる」

うしろから見る人もいる土俵入り   吉崎 柳歩

テレビで見る土俵入りはいつも正面から。後ろから見る人のことなど考えたこともなかった。世の中は押し並べてそう。視点を変えると見えないものが見えてくる。

今更に自分を曲げて何になる   田中 五十鈴

悔しいことがあったのだろう。立ち位置の違いか、考え方の違いか。自分を曲げれば済むが、己を否定することになる。反省はするが曲げない。振り返るのも止めよう。

十七で散った桜もある知覧   重徳 光州

十七歳弾ける心秘めている   船橋 正恵

時代背景の違いがこんなにも十七歳を違ったものにする。片道燃料で弾丸になった若い命と弾力を求めて未来へ羽ばたこうとする命。どちらも美しい「いのち」である。

美しい便り小骨は抜いてある   田中 豊泉

時候の挨拶、安否を問う言葉などを織り交ぜ、手紙はいつも美しい。本文にも配慮、思いやりがいくつも感じられる。もしかしたら、追伸に小骨が刺してあるのかも。

悔しさを布団たたきに思い切り   河合 守

人生は悔しいこと、割り切れぬことばかり。つい先日も川柳界の若き風がその命を失った。もう戻らない「いのち」を思い、布団たたきで悔しさをぶちまけてみよう。

背に腹はかえられないと着膨れる   野々山 キエ子

大切なものを守るために他を犠牲にする、と言えば聞こえはいいが、犠牲にされた方の気持ちまで考える余裕が欲しい。二兎を追う方法もあるじゃないか、と作者。

世の動き少し感じてマイペース   大洞 昌子   

ひたすらマイペースで行く君よ。自分の人生は自分のものだから、それで正解だ。地に足をしっかり着け、前を向いて歩こう。世の動き?そう、少し感じるだけでいい。

迷惑を少々かけて生きのびる   金子 匠果

「知らない土地に移り住んでうまく生きるコツは、迷惑を掛けること」とは脚本家・倉本聰さん。他人に役に立っているという意識こそ人の生甲斐。もっともっと人が生甲斐を感じるように迷惑を掛けよ、と。

かごめかごめ私独りになった里   亀頭 笑子

「かごめ」は「囲む」の命令形「囲め」に由来するものとか。一人暮らしをする里で、せめて友に囲まれて過ごしたいという願望の句。そうして、子どもの頃へ帰る。

論ずまい四十八手のうちならば   牧野 主計

横綱白鵬が「猫だまし」という奇襲で勝利した。これには賛否の内、非の方が多かった。しかし、四十八手にあるならばいいのではというのが作者の思いやり。

また二人昔のように小さい鍋   安西 廣恭

夫婦で鍋を囲む。子どもたちがいた時よりも小さな鍋だ。子が巣立ち、子のために費やす時間はなくなったが、淋しいものである。あの頃を時々は巻き戻してみよう。

おなかまで満たされてくる日向ぼこ   山本 喜禄

暖冬とを括っていたところへ突然の寒波。やはり自然は侮れない。これは人生も同じ。作者は、お腹まで満たされる至福を知った。そうか、日溜りが極楽だったのだ。



2016.03.13(Sun)
メール打ちときどき少年に還る

初めて俳句の句会に参加した。
船団愛知句会。またの名を「ペンキ句会」と呼ぶようだ。

俳句はまるで素人だが、代表の二村典子さんのお誘いで顔を出させてもらった。
出席者10名。終始一貫して互選研究である。

出席者1人につき5句を持参。これを清記した上で、各人7句(内1句は特選)を選ぶ。
それからは入選に選んだ句の評と二村さんのコメント。

結果報告・・・・3句が日の目を見た。まあ、大健闘と言えよう。

 理想とは遠いところで麦を踏む  (5点 1人特選)

 春眠や始発のバスはとおに出て  (1点)

 パンジーの一鉢読み掛けの絵本  (1点)


さて、恒例の川柳の結果報告(1/29発表 みえDE川柳以降 欠席投句の「鈴鹿句会」は、柳誌到着後の報告)です。

鈴鹿句会

あの頃の耳で聴いてるカバー曲  「カバー」

壁に耳付けても何も聞こえない  「壁」

壁からの挑戦状が来るテニス  「壁」

夕暮れにやっと歩幅が合ってくる  「歩幅」 誌上互選

苦労したころの歩幅でまだ歩く  「歩幅」 〃


展望ネット句会(2/3発表) 

指切りをしたことだけは忘れない  「忘れ」


岡崎川柳研究社本社句会(2/6)

お祈りの途中にパンのいい匂い  「祈る」 佳句

また逢える小さな祈り繰り返す  「祈る」    

恋は終わった黙祷を捧げよう  「祈る」 秀句 地位

酒場へとさそう夕暮れどきの鐘  鐘」

この靴が一部始終を知っている  「靴」 

靴紐で今日一日を引き締める  「靴」 佳句 

切り株はひとつ半分ずつ座る  「分ける」 軸吟


咲くやこの花賞(2/8発表)

「裁く」で二句投句するも全没


一新豊橋番傘川柳会10年の集い(2/14)

アサッテの空を見上げる君が好き  「好き」

風速一メートル生きていく速さ  「のどか」

仏さまの次に御飯をいただこう  「順」

筆順を変えると君があたらしい  「順」


鈴鹿ネット句会(2/17発表)  

「箱」で二句投句するも全没 


風輪の会(2/20)

泣くもんか雪の下には蕗の薹  「泣く」 佳句  


川柳塔おきなわ準備室7777アクセス記念句会(2/26発表)

白紙答案まだ生き方が決まらない


みえDE川柳(2/26発表


「凍る」で二句投句するも全没



2016.03.06(Sun)
やわらかい人になろうと湯の町へ

ひと冬を越して、ホッとしている。
例年に比べ暖かな冬だったが、それでも冬は冬、他の季節にはない壮烈な時だ。

もう大丈夫かと思うが、思った途端に風邪などをこじらすのは皮肉なもの。
ちょっとした油断は、この季節にとって大敵だろう。

このひと月のプライベート・タイムを思い返している。
ざっとこんなところか?

1月31日(日) 豆まき・・・市原神社(刈谷市)
2月 6日(土) 岡崎川柳研究社 本社句会(岡崎市)
   13日(土) 高浜川柳会句会(高浜市)
   14日(日) 一新豊橋番傘川柳会10年の集い(豊橋市)
   20日(土) 岡崎川柳研究社 風輪の会(西尾市)
   26日(金) 佐布里池梅まつりと知多木綿発祥の地 岡田地区(知多市)
   27日(土) JRさわやかウォーキング(静岡県掛川市) 
          日本酒講座(碧南市)
   28日(日) 東春酒造&澤田酒造蔵開き(名古屋市守山区 常滑市) 
3月 5日(土) 大山桜里親会(高浜市)
          岡崎川柳研究社 本社句会(岡崎市)

高浜文化協会、刈谷文化協会の諸行事や愛知中小企業家同友会の諸行事、また加入する川柳会の欠席投句や誌上大会・ネット句会への投句などを加えると随分あるものだ。

記録しておきたいことも一杯あるが、なかなか捗らない。
時の方が遥かに速い時速で流れていく。これも仕方のないことだ。

掛川市・龍尾神社(たつおじんじゃ)のしだれ梅が見事だった。
酒蔵見学のことも書きたいが次回へ・・・・


龍尾神社・しだれ梅



2016.02.28(Sun)
川柳七句

青空を見せてやりたい土踏まず

幸せという字が少し痩せている

生き方がまだ決まらない答案紙

生きているかと激励の鐘が鳴る

いい日でしたと玄関に並ぶ靴

花屋まで春の呪文を買いにゆく

しあわせの方位をさがす分度器



2016.02.14(Sun)
恋は終わった黙祷を捧げよう

あまり感慨はないが、今日はバレンタインデーということになっている。
その日に、「一新豊橋番傘川柳会10年の集い」が開催された。

いろんな感情が渦巻く中での開催だったと察知する。豊橋番傘の歴史を知る人、とりわけ一新豊橋番傘の草創期の役員には、特別な思いがあったことだろう。

ここまで来るには、汗や涙は半端ではなかった、と思う。
血の滲むような辛さがあったことは想像に難くない。

いろいろあったが、しかし振り返れば時だけが流れていたのだろう。
悲しみも喜びもすべて時に埋没されていくものだ。

多くの出会いがあった。多くの再会があった。
すべてが明日へ繋ぐ糧となっていくのだろう。


さて、遅くなったが、恒例の川柳の結果報告(12/25発表 みえDE川柳以降 「鈴鹿川柳会」誌上互選および「きぬうら課題吟」は、柳誌到着後の報告)です。

鈴鹿川柳会誌上互選

ハンカチで包む君との思い出を  「記憶」 誌上互選     

鳥だった頃の記憶がよみがえる        〃


きぬうら課題吟

人間の裏を見ている本の紙魚  「紙」 佳吟

樹の上で遊びやさしい夢を見る  「遊ぶ」 

納豆の糸と遊んでいるひとり  「遊ぶ」


展望ネット句会(1/1発表) 

「遊び」で2句投句するも入選には至らず


岡崎川柳研究社本社句会(1/9)

夢をまだ探してサルは木に登る  「サル」 秀句 天

知恵の輪を解くまで猿の長い旅  「サル」    

早送りしているように陽が沈む  「送る」

しあわせは暖冬という福袋  「暖」   

暖冬のおかげ愉快なキリギリス  「暖」 

七掛けの若さでいつも咲いている  「咲く」 

未知数がいっぱい咲いている若さ  「咲く」

翔べそうな気がする酒という薬  「薬」 軸吟


咲くやこの花賞(1/8発表)

「偶然」で二句投句するも全没


鈴鹿ネット句会(1/18発表)  

爪を切りあすの仕種を軽くする  「軽い」 秀句


きぬうら句会(1/24)

マジシャンの手捌き羊から猿へ  「申(猿)」 軸吟

自信ならトカゲの尻尾ほどはある  「自信」

大吉が出て少し走ってみたくなる  「自信」 

海原を染めるカモメという自信  「自信」 秀句 天位

夜が明けるそっと卵を割るように  「自由吟」


みえDE川柳(1/29発表


招かれて今日一日をフイにする  「招く」 秀句 人位



2016.02.07(Sun)
海原を染めるカモメという自信

マルちゃんこと丸山進さんが「川柳ねじまき♯2」を送ってくださった。
丸山さんは、愛知県瀬戸市を拠点にする「フェニックス川柳会」の代表。

時実新子主宰の「川柳大学」元会員で、長身痩躯の紳士。物腰もいつも柔らかい。
だが、詠まれる川柳は「こんな紳士が!」と驚愕するような作品ばかり。

つまるところ、このギャップが魅力の人なのである。
初めてお会いしたのは、「尾張旭川柳同好会」25周年記念川柳大会と記憶する。

そのときの発表誌を繙くと、平成24年3月20日(火・祝)。
いや、この時は実際にはお会いしていない。呼名の声を聞いただけだった。

その後、どこで巡り会い、初めて話したのはいつだったのか。
丸山さんのブログ「あほうどり」には、毎日のように接していたのに。

さて、川柳ねじまき♯2である。
感度の鈍い私には、とうてい理解できない作品ばかり。

どう、読み解いていけばいいのか。
さながら古文書の解読をしているようなもの。

丸山さんの作品を二つ。

燃えにくい人の背中を擦ってる

沈着冷静といえば聞こえはいいが、燃えにくい方だと自覚している。
大抵は夢中になれず、冷めている。それで面白みのない奴だと判を押される。

苦しい時、悲しい時に背中をさするように、誰か私の背をさすってくれぬか。
背をさするとは、相手に心地よい安心感を与え、情緒を安定させる無言の愛情表現。

そうすれば背に羽が生え、空を自由に飛べるかも。

全身に切手を貼って家を出る

手紙は書くだけ書いた。そしてポストへ出すだけ出した。
しかし、埋まらないこの気持ち。恋心は相手に届いたのか。

よし、それなら私自身に切手を貼って、私自身を投函しようではないか。
並みの郵便料金では間に合わぬ。全身に切手を貼ろう。

馬鹿な奴だと相手も折れるに違いない。


丸山さん、ありがとうございました。



2016.01.31(Sun)
爪を切りあすの仕種を軽くする

昨日は、名鉄ハイキングで、岩倉市と一宮市へ。
雨のち曇りの天候で、今一つ乗り気はしなかったが、妻とともに出陣。

コースには酒蔵もなく、メインは「♪漬物みつ〜い♪」の三井宮蔵(三井食品工業)。
数種類の漬物の試食ができ、お茶の振る舞いを受けた。

さすが、漬物専門店、いい仕事をしている。
白菜漬けが美味、たくあん漬けも旨口、血圧を気にしながらの試食であった。

コースを紹介しよう。

 
岩倉駅(スタート) → 岩倉市史跡公園 → 岩倉市自然生態園 → 三井宮蔵

 → 多加木緑道 → 妙興寺 → 一宮市博物館(ゴール) → 妙興寺駅


全長9.5`、雪を頂いた鈴鹿山系の山々(?)がよく見えた。
一番心に残ったのが「妙興寺」。

駅名に冠されているのを見てもわかるが、山門、仏殿、鐘楼といい立派なものだ。
脈々と歴史を刻んできた息吹きが感じ取れる。

妙興寺
貞和4年(1348)滅宗宗興を開山とする臨済宗妙心寺の寺院。伽藍は、貞治4年(1365)に完成したとされ、南北朝時代、尾張の北朝勢力の拠点として隆盛を極めた。



妙興寺・山門



2016.01.24(Sun)
川柳七句

目薬を差すしっとりと冬の色

綻びた時代ミシンで縫ってみる

歯を磨く悔しいことの繰り返し

軽く笑みこぼして坂道を上がる

銃爪に手をやる冬はまだ来ない

しあわせの順路どおりに歩けない

閂を掛けたこころがさがす空



2016.01.17(Sun)
失踪をしてます靴の好奇心

昨日は、高浜川柳会の月例句会。
今年最初の句会だが、1月も半ばを過ぎているのでさして感慨はなし。

毎月の句会と同じように互選句、課題句、雑詠と淡々と進む。
高浜川柳会の責任者としては、少し刺激のある企画をと、反省することしきり。

川柳鑑賞、句会報発行など、今年はチャレンジしてみよう。
会員のビカッと光る句を一句ずつ。

愚痴ばかり聞かされ鏡曇り出す  (文子)

天上の犬よストック見においで  (志保美)

誤字脱字己が生涯生き写し  (清和)

夢さがす老いの境地のど真ん中  (典子)

心意気歳の八掛けまだいける  (康司)

綻びた時代ミシンで縫ってみる  (比呂志)


今日は、家人と一緒に名鉄ハイキング。
妻は、「歩いて巡拝(まいる)知多四国」に昨日参加しているので、連荘。

名鉄の企画「歴史と文化に出会う津島界隈と愛西市酒蔵巡り」に夫が参加したがっているが、一人ではと逡巡していたので、やむを得ず付き合ってくれたというわけだ、有難い。

さて、そのコースは・・・・

 
津島駅(スタート) → 三養荘・屋根神社 → 六地蔵尊 → 稚児門 → 

 氷室作大夫家住居 → 天王川公園 → 堀田家住宅 → 津島神社 →

 清正公社 → 上河原地蔵堂 → 津島市観光交流センター → 姥ヶ森神社 →

 渡辺酒造 → 水谷酒造 → 六輪駅(ゴール)

全長10.5`の盛りだくさんのコースではあったが、ほとんどを素通り。
お気づきのことと思うが、「渡辺酒造」と「水谷酒造」にすべて賭けていた(大袈裟な!)。

渡辺酒造
1865年創業。「平勇政宗」「香穂の酒」を代表銘柄とする老舗酒蔵。
何の気取りも背伸びもない蔵。等身大の己をさらけ出している感じがよい。

それもそのはず、「平勇の酒造りコンセプト」があった。
こんなふうに記してあった。


いいお酒でなくてもよい
かっこよいお酒でなくてもよい

ただ田舎のお酒でよい
ただ旨い地の酒でよい

手で蒸米をさわり,手で麹をかきませ゜
手で酒母を育み,手で醪をつくる

お酒という生き物が元気に健康に
そしてゆっくり育ちますように


渡辺酒造


水谷酒造
江戸時代末期創業。昔ながらの手法で造る純米酒「千瓢」と、地産地消と循環型社会に貢献する「めぐる」を代表銘柄とする老舗蔵元で、蔵も創業当時の姿をそのまま残す。

驚いた、何だろうこの壊れかけた蔵は・・・天災があれば、軽くすべてが失くなるような家屋。
ハンバーグのびっくりドンキーではないのだから、見た目をもっとおもんばかったらどうか?

素人はこんなふうに考えるが、これがいいのだろう。
ボロボロの家屋からこの上ない風味。

事実、試飲した「めぐる」は他を圧倒するような上等な旨さ。
この壊れかけた酒蔵から出た珠数の味わいを堪能したのだった。



水谷酒造



2016.01.09(Sat)
夢をまだ探してサルは木に登る

今日は、岡崎川柳研究社の本社句会。
新年最初の句会とあって、仕出し弁当、ノンアルコールビールが振舞われた。

ノンアルでは調子は出ないが、ないよりはましといったところか?
酔ったような気になって句会を楽しんだ。

お陰で(?)見出しの句(課題「サル」)が天位を獲得、幸先がいい。
それにしても既視感いっぱいの句、我ながら呆れる。

「ねじまき句会」主宰のなかはられいこさんが講師を務める川柳教室では、課題「猿」で下の句が鉄砲玉のように飛び出した。

新しい!

猿も森へ単身赴任いたします   

弟は猿のポーズで帰宅する 

念願のツリーハウスで猿と飲む

進化するまで猿を飼う夫婦  

手のひらにサル遊ばせて四千年  

上田君 やはり人似の猿だった  

猿の目の中のあなたの中の僕


さて、恒例の川柳の結果報告(11/28 刈谷市民文化祭川柳大会以後。欠席投句の「鈴鹿句会」は、柳誌到着後の報告)です。


鈴鹿川柳会11月句会(11/28)

美しく生きると決めてゴミ拾い  「拾う」 誌上互選

喫茶店まずはタオルで顔を拭く  「拭く」

世話好きな友の便りが濡れている  「自由吟」


岡崎川柳研究社本社句会(12/5)

ディズニーの魔法が解けるまで遊ぶ  「遊ぶ」 秀句 人

うたた寝のユメで一生分遊ぶ  「遊ぶ」 秀句 地

存分に遊ぼう妻のてのひらで  「遊ぶ」 秀句 天

日溜まりを歩けば秋が落ちている  「歩く」 佳句

駄馬なりに歩く時間を掛けながら  「歩く」 佳句

運不運いっぱい入れる煮転がし  「運」 

躓いてからがホントの運試し  「運」

お賽銭すこしはずんで貰う運  「運」

躓いてから夕暮れが好きになる  「暮れる」 軸吟



名番85周年記念大会(12/6)

いつだって雨のち晴れが喜劇です  「喜劇」

袋綴じ開けると波の音がする  「まさか」

地球儀を逆さにまわし若返る  「まさか」

曲げたくはないが曲がってゆく身体  「曲げる」

改札を抜けると柔らかい日差し  「スムーズ」


咲くやこの花賞(12/8発表)

「深い」で二句投句するも全没


鈴鹿ネット句会(12/16発表) 

乾くまで待とう旨味が乗ってくる

乾かないようにしっとり読む文庫


きぬうら句会(12/20)

失踪をしてます靴の好奇心  「靴」 秀句 天

ゴールまで等身大の靴みがく  「靴」

銀河まで夢がまたたく登山靴  「靴」

ひと眠りしよう戦のない街で  「眠る」 佳吟

うたた寝の時間で夢を編んでいる  「眠る」

終章へ駄馬も眠りを解き放つ  「眠る」 秀句 人


鈴鹿川柳会12月句会(12/23)

七掛けの若さでいつも翔んでいる  「割引」

割引をしても消せない懺悔録  「割引」

一本の滝に打たれていい夫婦  「打つ」 秀句

百均のスリッパ少し翔びにくい  「自由吟」

毎日が雨のち晴れのいい家族  「家族」 席題 5点

スリッパの音さえ姦しい家族  「家族」 席題 2点

みえDE川柳(12/25発表)

「プレゼント」で2句投句するも全没



2016.01.03(Sun)
存分に遊ぼう妻のてのひらで

皆様、明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。

昨日は、正月恒例の20`ウォーキング。午後1時55分出発、午後5時ジャスト帰着。
所要時間 3時間5分、休憩も水分補給もなしに一気に駆け抜けた。

冬至を過ぎて幾分日が長くなってはいるが、午後5時をまわる頃には薄暗くなってくる。
それで、5時帰着を目指したわけだが、暖かく風もなく、気持ちよく歩けた。

これも普段歩き続けているからできることで、今後は年齢なりの歩きを心掛けよう。
毎年同じコースを歩いているとだんだんドラマもなくなっていく、今後の課題としよう。

正月三日目は、半田市内の寺巡り。こちらは、妻の運転する車で行ったので楽チン。
コースは・・・・

[第54番札所]海潮院 → [番外]東光寺 → [番外]海蔵寺 → [第18番札所]光照寺

→ [第19番札所]光照院 → [第20番札所]龍台院 → [第21番札所]常楽寺


何でもない冬の日のひと時、妻の手のひらで存分に遊んでいるようだ。



てじまともこ・水彩画「水の庭」



2015.12.30(Wed)
うたた寝のユメで一生分遊ぶ

見出しは、岡崎川柳研究社 本社句会で地位をゲットした句。
課題「遊ぶ」で閃いたのが、中国・唐代の物語「邯鄲の夢」だった。

以下、河出書房新社・中国故事物語より。
ちょっと長い・・・・


唐の玄宗の開元年間のことである。

呂翁という道士が邯鄲(河北省、趙の旧都)の旅舎で休んでいると、みすぼらしい身なりの若者がやってきて呂翁に話しかけ、しきりに、あくせくと働きながらくるしまねばならぬ身の不平をかこった。若者は名を廬生といった。

やがて廬生は眠くなり、呂翁から枕を借りて寝た。陶器の枕で、両端に孔があいていた。眠っているうちにその孔が大きくなったので、廬生が入っていってみると、そこには立派な家があった。その家で廬生は清河の崔氏(唐代の名家)の娘を娶り、進士の試験に合格して官吏となり、トントン拍子に出世をしてついに京兆尹(首都の長官)となり、また出でては夷狄を破って勲功をたて、栄進して御史大夫部侍郎になった。
 
ところが、時の宰相に嫉まれて端州の刺史(州の長官)に左遷された。そこに居ること三年、また召されて戸部尚書に挙げられた廬生は、いくばくもなくして宰相に上り、それから十年間、よく天子を補佐して善政を行い、賢相のほまれを高くした。

位人臣を極めて得意の絶頂にあったとき、突然彼は、逆賊として捕えられた。辺塞の将と結んで謀叛をたくらんでいるという無実の罪によってであった。彼は縛につきながら嘆息して妻子に言った。

「わしの山東の家にはわずかばかりだが良田があった。百姓をしておりさえすれば、それで寒さと餓えとはふせぐことができたのに、何を苦しんで禄を求めるようなことをしたのだろう。そのために今はこんなザマになってしまった。昔、ぼろを着て邯鄲の道を歩いていたころのことが思い出される。あのころがなつかしいが、今はもうどうにもならない‥‥。」

廬生は刀を取って自殺しようとしたが、妻におしとめられて、それも果し得なかった。ところが、ともに捕らえられた者たちはみな殺されたのに、彼だけは宦官のはからいで死罪をまぬがれ、驥州へ流された。

数年して天子はそれが冤罪であったことを知り、廬生を呼びもどして中書令とし、燕国公に封じ、恩寵はことのほか深かった。五人の子はそれぞれ高官に上り、天下の名家と縁組みをし、十余人の孫を得て彼は極めて幸福な晩年を送った。やがて次第に老いて健康が衰えてきたので、しばしば辞職を願い出たが、ゆるされなかった。病気になると宦官が相ついで見舞いに来、天子からは名医や良薬のあらんかぎりが贈られた。しかし年齢には勝てず、廬生はついに死去した。

欠伸をして眼をさますと、廬生はもとの邯鄲の旅舎に寝ている。傍らには呂翁が座っている。旅舎の主人は、彼が眠る前に黄粱を蒸していたが、その黄粱もまだ出来上っていない。すべてはもとのままであった。

「ああ、夢だったのか!」
呂翁はその彼に笑って言った、
 
「人生のことは、みんなそんなものさ。」
廬生はしばらく憮然としていたが、やがて呂翁に感謝して言った。
 
「栄辱も、貴富も、死生も、何もかもすっかり経験しました。これは先生が私の欲をふさいで下さったものと思います。よくわかりました。」
 
呂翁にねんごろにお辞儀をして廬生は邯鄲の道を去っていった。


高校の時分、漢文で習ったものと記憶するが、脳裏に刻まれているあたり、この物語が好きだったようだ。黄粱さえまだ炊けぬ間に一生を夢見た、というのが何とも言えず良い。

さて、今年の大会、句会で秀句に取ってもらった句です。
良いのもあれば、悪いのも・・・・

善人になろうヒツジの顔をして

お祝いの言葉は星が降るように

梅干しの種が遠くへ飛ぶ値打ち

贅沢をひとつ打ち消すように冬

聖戦が続くヒツジの顔をして

また寒くなる地球儀を裏返す

闇ばかり見てきたような福笑い

眠るには贅沢すぎる花ひつぎ

ぐっすり眠る悲しみを食べたから

芽を出すとポップコーンの爆ぜる音

煩悩が犇めき合っているお寺

目次から始まる夢のひとしずく

千切れ雲さみしい言葉だけ捨てる

悲しみを砕くたっぷり笑わせて

未来形を入れよう閂をはずし

勝鬨をあげてさくらが咲き誇る

平成の闇を覘いているホタル

あおぞらを覘く孤独な窓がある

三日天下妻を迎えに行くとする

遅咲きのさくらは少しだけ無口

地球儀を洗うみんなが笑うよう

にんげんになろう呪文を繰り返す

樹の天辺たったひとつの空に逢う

あおぞらに束になっても敵わない

沈むたび花屋の多い町へ行く

誘われて少し大きな雲になる

どれほどの汗を掻いたか靴の減り

皿ひとつ割りたい曇天の虚ろ

廃線の枕木かなしくはないか

ガリ版の詩集に遠い日の青さ

煙突を仰ぐと青が沁みてくる

生きている叫びだ蝉も雑草も

十二色使い切るまで汗を掻く

愚痴こぼす日は何度でも歯を磨く

切り株に座る未来の絵を描いて

風船を付けると島が持ち上がる

駅前の花屋であすを買ってくる

写経する父の癖字を真似てみて

しあわせのかたちに見える肩車

アナログで回る地球儀だから好き

あのときの家族写真が力です

相性のよさ化学反応なのだろう

生き方を少しは変えてみたい蟻

秋が逝くパラパラ漫画捲るよう

茶を啜る生きていくのは忙しい

茶柱のなかにふたりの夢がある

一杯のお茶でいのちを語り合う

幸せを逃がさぬように封をする

恋といういくさマヨネーズを搾る

断つことがこんなに軽い花鋏

生きるとは何折り畳み傘ひらく

存分に遊ぼう妻のてのひらで

ディズニーの魔法が解けるまで遊ぶ

うたた寝のユメで一生分遊ぶ

失踪をしてます靴の好奇心

終章へ駄馬も眠りを解き放つ

一本の滝に打たれていい夫婦



2015.12.26(Sun)
川柳七句

どこへ行くのか日常という電車

夜が明けるそっと卵を割るように

笑っている方へ靡いてゆく踵

黄昏の街をピエロがまた一人

いい風を探してあすへ飛ぶつもり

ハミングが聞こえる妻の新刊書

命題を抱えて朝の扉を開ける



てじまともこ・水彩画「冬の輝き」



2015.12.11(Fri)
生きるとは何 折り畳み傘ひらく

暖かい冬の日が続く。
ありがたいことだが、心の隅っこに不安もよぎる。

この世の中は、イイ事、ワルイ事が半分こずつ。
いいことがあれば、次は悪いことが起こる。

昨夜は豪雨。そのせいか今日は雨天の予報に反して晴天。
ところが午前10時少し前にスコールのような雨。

洗濯物を仕舞うのに雨を滝のように浴びた。
しかし、冬の暖かい雨は心地よかった。

この先なにごともなければ良いが、すべては人の心がけ次第か?

さて、遅くなったが、恒例の川柳の結果報告(10/30発表 みえDE川柳以降 欠席投句の「鈴鹿句会」および「きぬうら課題吟」は、柳誌到着後の報告)です。

鈴鹿川柳会10月句会(10/24)

借金返済あおぞらが見えてくる  「済む・済ます」 誌上互選

気が済むまで回転木馬回ったか   「済む・済ます」  〃 

二人三脚やっぱり靴は四つある  「靴」

遅咲きは遅咲きなりの身のこなし  「遅い」

車座になかなかなれぬ核家族  「自由吟」


きぬうら課題吟

復習も予習もなくて君を恋う  「恋う」

恋といういくさマヨネーズを搾る  「恋う」 秀句 地位

ささやかな反抗でした昼の酒  「酒」


展望ネット句会(11/1発表) 

さみしくて浅く被っている帽子  「浅い」


岡崎川柳研究社本社句会(11/7)

秋が逝くパラパラ漫画捲るよう  「送る」 秀句 天

また風に送られてきた現在地  「送る」 佳句    

早送りしているように陽が沈む  「送る」

茶を啜る生きていくのは忙しい  「お茶」 秀句 天  

茶柱のなかにふたりの夢がある  「お茶」 秀句 人

一杯のお茶でいのちを語り合う  「お茶」 秀句 地

腹筋を強くしてから書く手紙  「手紙」

幸せを逃がさぬように封をする  「手紙」 秀句 人

そっけない答え心が欲しいのに  「冷たい」 軸吟



咲くやこの花賞(11/8発表)

「隙」で二句投句するも全没


鈴鹿ネット句会(11/16発表)  

「熱心」のお題で二句投句するも全没


きぬうら句会(11/22)

太陽を塗るクレヨンが熱くなる  「クレヨン」

クレヨンの旅路を柔らかく歩く  「クレヨン」

断つことがこんなに軽い花鋏  「断つ」 秀句 人位

酒を断てとは冗談もほどほどに  「断つ」 佳吟


みえDE川柳(11/27発表


サミットへ海の青さは欠かせない  「サミット」 


刈谷市民文化祭川柳大会(11/28)

裏返しすれば気持ちはよく分かる  「逆」

パノラマになるまで君と背を合わせ  「逆」

てのひらの筋はわたしをお見通し  「筋」

筋道を通した雑魚がよく眠る  「筋」

ディズニーの魔法で夢が飛翔する  「展開」

生きるとは何 折り畳み傘ひらく  「展開」 秀句 


川柳なごや川柳誌上大会(11/28発表)

終電の絵のなか蟻とキリギリス  「絵」

いい父を演じて教科書を閉じる  「父」

眠れない夜には少しだけ叫ぶ  「叫ぶ」



2015.12.07(Mon)
一杯のお茶でいのちを語り合う

昨日は、名古屋番傘川柳会創立85年記念川柳大会に参加。
この大会は、名古屋番傘主幹・奈倉楽甫さんの句集「楽」の発刊記念でもあった。

名古屋栄 東急REIホテル2階オークルームを埋め尽くす人、人、人・・・・
川柳を、番傘を愛する二百人がみんな笑顔で一つの場に集結したのだった。

大会は五句が入選、まずまずの出来。
独特の雰囲気のある「比呂志川柳」がバンバン披講され・・・・とは、鈴鹿川柳会R氏の評。

ところで、「比呂志川柳」とは?
思い当たるのは五句の内の二句。

・袋綴じ開けると波の音がする 「まさか」

・改札を抜けると柔らかい日差し 「スムーズ」

詩性に凭れた川柳だが、この詩性こそが、「比呂志川柳」と言われる所以だろう。
実際のところ、詩を取ったら何も残らない句である。

穿があるわけでなし、批評性があるわけでなし、ユーモアがあるわけでもない。
ないない尽くしをかろうじて「詩」が支えていると言っていいだろう。

しかし、詩に流されずに崖っぷちのところで川柳を死守している、とも思っている。
ここが今の居場所であり、しばらくはこの合戦場で勝負するつもりだ。

よくわからない話になったが、大会の後の懇親宴は楽しかった。
柳友との再会、尽きぬ柳論の数々・・・・飲んでばかりでほとんど食べずに終わった。

午前様にはならずに済んだが、深夜、カップ麺を啜り眠りについた。
いい夢を見たのは言うまでもない・・・・!



2015.11.29(Sun)
恋といういくさマヨネーズを搾る

11月最後の日曜日は、妻と一緒に名鉄ハイキングに参加。
〜家康公顕彰400年〜紅葉を彩る大高緑地と桶狭間の戦い史跡めぐり!

中京競馬場前駅を振出しに、約10`の道のりを青空の下、ウォーキングに始終。
中京競馬場前駅では、ハイキングの集団と競馬を楽しむ集団と二手に別れた。

ハイキング集団はリュックを背負い、競馬集団はスポーツ紙を片手に。
みんな夢を追い、志を抱いて、この世を生きているのだ。

コースはと言うと・・・・

 
中京競馬場前駅(名鉄) → 豊明市桶狭間古戦場伝説地 → 緑区桶狭間古戦場公園

  → 大高緑地 → 丸根砦 → 大高城址公園 → 山盛酒造 → 大高駅(JR)

今回のハイキングは、名鉄とJRとの共催。
互いの利点を生かした共存共栄は、利用者にはとてもいいことだ。

さて、志と言えば、戦国時代の武将たち。
戦乱の中にあって互いに全国統一を目指し、しのぎを削っていた。

「桶狭間」は、言わずと知れた、織田信長率いる織田勢の今川義元勢への奇襲攻撃の地。
今川側の2万5千の大軍をわずか数千の軍勢で倒した。その所要時間は2時間ほど。

「天候の急変」「油断」などの諸種の要因はあろうが、その時の様子は、まさに息を飲むといったところ。小が大に勝つには奇襲戦法もやむ得なかったのだろう。

大高緑地へは久しぶりに訪れた。
少年の頃にゴーカートでよく遊んだものだ。

よく晴れた緑地園内で、「東海合戦ワールド」なるイベントがあり、大盛況。
しかし、「家康公顕彰400年」とあるが何だろう。

調べてみると、「平成27年(2015年)の徳川家康公薨去四百年という記念の年」とある。
「公薨(こうきょ)」つまり、親王や三位以上の死を意味するのだ。

ちなみに、貴人の死は「崩御」。皇太子や大臣などの死は 「薨御(こうぎょ)」。
王や女王、四位・ 五位以上の死は「卒去(しゅっきょ、そっきょ)」と言う。

早い話、今年は、家康公が死んで満400年目となる、当たり年。イベントには、歴史小説家・安部龍太郎氏がゲスト、大村知事や河村市長も出席していたようである。

イベントには参加せずに、屋台の五平餅を買い、美味しくいただいた。
大高緑地内外に多く植えられていたアメリカフウの紅葉が美しかった。


アメリカフウ

ハイキングの大トリは、「山盛酒造」(名古屋市緑区大高町)。
本日、私を名鉄ハイキングに駆り出したのは言わずと知れたこの酒蔵。

この酒蔵については初耳であったが、調べると・・・・

明治20年(西暦1887年)、江戸時代築造の酒蔵を譲り受けて大高にて創業。大高の古い街並み・昔ながらのたたずまいを残す酒蔵の中で丁寧に日本酒の醸造・・・とある。

銘柄は、「鷹の夢」「奈留美」「古戦場 桶狭間」「浮かれ猩猩」


山盛酒造



2015.11.22(Sun)
川柳七句

本棚を磨けばきっと晴れてくる

幸せはいつも誰かにうっちゃられ

たまご抱く一編の詩が孵るよう

掴まえてみろと逃げてく地平線

猫騙し淋しいときにしてしまう

懺悔録ばかり増えてく冬の色

芋焼酎敵も味方もあるものか



2015.11.15(Sun)
幸せを逃がさぬように封をする

いい夜だ。と言って別段いいことがあったわけではない。
昨日の雨で空気中の塵が落とされたのか、星がよく見える。

夏の大三角形が北の空から消えかけた頃に冬の大三角形が南に見えるのがこの季節。
同時に見えるものかわからないが、冬の星・シリウスがいよいよ冴える季節になった。

昨日は、「春日の森 市民俳句・短歌・川柳の集い」の表彰式。
高浜文化協会の文芸部門のメイン・イベントだ。

昨年から、表彰式の作品の披講をさせて貰っている。
事前に目を通して思うのは、小・中学生の素直さと高校生の純粋さ。

こんなところを密かに学ばせて貰っている。
心引き寄せられた作品を少し・・・・


 お年玉ママ銀行にはあずけない  安藤匠海

 お供えをちょっと拝借スイカわり  土居拓夢

 おいしいよおばあちゃんちに実るかき  宮ノ原夢渚

 星々はこんぺい糖だね天の川  小清水麻里

 春来たとお知らせ係はつくしんぼ  古橋和桜

 山粧うわたしも化粧しようかな  生見浩子

 蒲公英がニコッと笑い空晴れる  小野颯也

 シャープペンの芯押し出され頭には君との日々を押し込んでいく  佐藤星

 うるう秒この日は少し幸せだ一秒長く君といるから  濱野風音

 ビー玉に入道雲が映り込む炭酸キツめラストスパート  禰宜田彩

 開くたび光が満ちる玉手箱母が作っただし巻き玉子  出口侑佳

 体育館汗でにじんだフロアーは目には見えないみんなの軌跡  日野大地

 マウンテンバイクでかけてく北海道坂を下った風の感覚  榊原智哉

 セミの鳴く青の風景切りさいた一枚紙にあふれるようだ  諸熊奈美



2015.11.07(Sat)
茶を啜る生きていくのは忙しい

十一月になった。
街路樹のいたるところが赤く染まり出した。

茶も酒も旨くなった。
今のところ暖かく過ごしているが、寒波が突然襲ってくるのもこの季節。

季節は容赦なく過ぎていくが、肝心な心はさっぱりだ。
翳りっぱなしで、日差しが恋しいほどだ。

あとふた月、何か見つけることができるだろうか?

 十二月両手に残るものは何     森中恵美子

年の瀬までに何か残せたら・・・・と思う。

さて、恒例の川柳の結果報告(9/27 きぬうら句会以後。欠席投句の「鈴鹿句会」は、柳誌到着後の報告)です。

鈴鹿川柳会9月句会(9/26)

外れ券ばかりが増えていく空き地  「外れ」 誌上互選

悔しさをバネに押し出す心太  「悔しい」

牛歩戦術すき焼きが煮えるまで   「国会」


岡崎川柳研究社本社句会(10/3)

写経する父の癖字を真似てみて 「書く」 秀句

遺書を書く心の霧を消すように  〃

なで肩の母のやさしさ抱いて寝る 「肩」

生きてゆくたまには肩を尖らせて  〃

しあわせのかたちに見える肩車  〃  秀句

この道がいい母さんが舵を切る 「舵」 

舵ひとつ取れずに秋の虫を聴く  〃 佳句

下積みのおかげ重たい舵も切る 〃


岐阜県川柳作家協会川柳大会(10/3)


りんごもぐ高さに恋を実らせる 「うきうき」

頑張って聞く引退のファンファーレ 「引退」


亀山市民川柳大会(10/4)

姿見に釣瓶落としの秋が来る 「姿」

神様がいない頬擦りしたいのに 〃

駅前の花屋であすを買ってくる 「明日」 秀句

自販機で買う雲ひとつない空を 「自然」

強情な殻でやっぱり破れない 「破る」

正解を探していつも本のなか 「本」


咲くやこの花賞(10/8発表)

ぼんやりで二句投句するも全没


第一回「ふるさと川柳」(10/10発表)

花になる冬のブランコ漕ぎながら 「花」

さみしくて花屋の多い街へゆく  〃


豊橋文化祭川柳大会(10/12)

アナログで回る地球儀だから好き 「古い」 特選


鈴鹿ネット句会(10/16発表) 
 

「ゴミ」で二句投句するも全没


阿久比川柳大会(10/24)

大らかに生きよと地球儀は回る 「大」

あのときの家族写真が力です 「家族」 秀句

大の字に眠ろう鬼の首とって 「すっきり」

十二色使い切るまで秋を描く  〃


きぬうら句会(10/25)

花を買う君の八重歯が見たいから 「花」 

失恋のときだけ花を見て過ごす  〃

相性のよさ化学反応なのだろう 「変える」 秀句 天

ごめんねの一言風向きを変える  〃  佳吟

生き方を少しは変えてみたい蟻  〃  秀句 地


みえDE川柳(10/30発表)


味付けはしない小さな正義感 「味」



2015.10.30(Fri)
あのときの家族写真が力です

川柳添削の最終回。
Tさんの句を俎上に載せるのは、これが最後になる。

添削というのは力量が問われるものである。
実力以上の添削はできないし、何よりも句への温かい眼が必要だ。

句の解釈力や作句力以上に、この世を俯瞰する眼というか、つまり愛情なのだろうか?
その点では、分不相応の添削者であったわけだ。

さて、句を見てみよう。
課題は「自由吟」。

 ご用心マイナンバーも詐欺の種(自由吟)

来年一月から、いよいよマイナンバー制度が動き出す。
最近、マイナンバーの句をよく見かけるが、Tさん同様に詐欺ネタが多い。

やはり、着想で勝負しなければなるまい。
自由吟の入選は見つけ(視点)の良さが左右する、それを念頭に入れて作句することだ。

先日見かけた、朝日新聞の「東海柳壇」の入選句の中に次の句があった。
さらりと詠んでいるが、非常に着想のいい句。こんなところを目指していけばいいだろう。

 マイナンバー着物の柄に似合いそう(岡嶋義之)

Tさんのもう一句は・・・・

 アベノミクスも三本の矢へチャレンジか(自由吟)

平凡を絵に描いたような句。実際、アベノミクスが目指すのは三本の矢(3つの政策)であるわけで、それを今更言ったところでどうしようもない。

 田舎にはアベノミクスは届かない(詠み人知らず)
 心配なアベノミクスの副作用(前田守康)

こんな句を参考にすべきだろう・・・・。



2015.10.29(Thu)
相性のよさ化学反応なんだろう

川柳添削第五弾。
課題「ぴったり」。

「ぴったり」という課題でまず浮かぶのが、服がぴったり・・・・
「衣服がちょうどいい大きさ」というのは、誰もが考えつく発想だろう。

第一発想は同想句、類想句が付きもの。
二百数十句の中に、「ぴったりの服」がどれだけ出てくることか?

川柳を習い始めた頃によく言われたのが、「第一発想は捨てよ!」ということ。
着想は句の命、誰もが気付かないことをポーンと言い当てるよう意識することだ。

 試着して財布と会話すきま風(ぴったり)

お気に入りの洋服があった。試着してみるとぴったりの上、よく似合う。
しかし値札を見ると、容易に出せぬ金額。「すきま風」はあきらめの気持ちだろう。

一句の中に気持ちを押し込み過ぎて窮屈になっている。
少しさっぱりさせた方がいい。

 試着室 財布と会話して止める

もう一句。

 おしどりの阿吽の呼吸アメとムチ(ぴったり)

「おしどり夫婦」という言葉があるように、おしどりのつがいがいつも仲むつまじく寄り添っている姿が目に浮かぶ。何をするにも阿吽の呼吸なのだろう。

それはいいとしても、「アメとムチ」とは何だろう。
おしどりのオスは、メスの産卵まではメスを守り抜くらしい。

しかし、産卵後は抱卵や子育てを手伝うこともなく、メスから去ってしまうのだという。
そうした一連の行為をアメとムチと言っているのだろうか?アメとムチは除いて・・・・

 おしどりの夫婦であすもあさっても

次回は最終回・・・・



2015.10.28(Wed)
生き方を少しは変えてみたい蟻

Tさんの川柳添削第四弾。
課題「雑誌」。

 週刊誌スキャンダル知る美容室(雑誌)
 週刊誌売れ筋狙う浮き沈み(雑誌)

Tさんにとって一番馴染みのある雑誌は、美容室で読む週刊誌。
そこには、数々のスキャンダルが報じられている。

活火山のごとく大きく噴火したものから、火種が少し燻っているだけのもの。
小を中に、中を大に伝えるのが週刊誌の役割。

品行方正な出来事や孝行息子の美談などは面白くも何ともない。
真実を歪めたものが、いつの時代も面白いのだ。

上の二句はいかにも平凡で当たり前。
人間の本性をぶち込んでいきたい・・・・

 美容院でまとめ読みする週刊誌(毛利由美)
 しあわせな記事では売れぬ週刊誌(江畑哲男)

次回へ・・・・



2015.10.27(Tue)
しあわせのかたちに見える肩車

川柳添削第三弾。
今回Tさんが私のもとに持ち込んだ句は、ある大会の課題句。

Tさんはその大会で見事全没、その理由を知りたかったのだろう。
どこが悪いか、悪いならどこをどう手直しすればいいのか、ということだ。

総じて言えば、Tさんの句は、五、七、五の羅列にすぎない。
「分かち書き」と言って、五、七、五ごとに空白を入れる川柳である。

これでは、詩としての流れもなければ、まして余韻など生まれるはずがない。
川柳は俳句と同様、定型詩である。人間を描く一行詩でなければなるまい。

私が尊敬する新家完司さんの川柳を紹介しよう。

 この世とは冷たい雨の降るところ

 たまご割る音ほどもなくひとりの死


 霧が出て街は水族館になる

 あきらめたとき美しくなるこの世


いずれも平明であるが深い句である。先に述べたが、「今の自分の姿、今の自分の想いの表明」を絶えず意識しているからこそ、こんな句ができるのだろう。

さて、添削である。

 ノーベル賞幼少の夢実る秋(トップ)

ここにも五、七、五の羅列がある。ノーベル賞が「トップ」であるかどうかの議論はあるが、この際そこは目を瞑って、ノーベル賞をどんなかたちにすればいいか?

かつてのサラリーマン川柳に、「皮下脂肪資源にできればノーベル賞」というのがあった。
中八が気になるが、これなどは発想は悪くない。

 ノーベル賞目指しどんぶり飯を食う

発想は貧困だが、こんなところで勘弁してもらいたい。

 トップ当選ビリも国会は同じ椅子(トップ)

川柳らしい発想だと思うが、七、八、五の破調。
トップとビリを同列に並ばせていることに目を瞑れば、こんな感じの添削か?

 総選挙トップもビリも同じ椅子

次回へ続く・・・・



2015.10.26(Mon)
写経する父の癖字を真似てみて

川柳添削第二弾。
もちろん原句はTさんのもの。

 記念日は心のおしゃれエメラルド(おしゃれ)

課題「おしゃれ」。この句も何が言いたいのか不明。
何の記念日かがわからないから、句意が掴めない。

Tさんにとっての大切な日と捉えれば、「大切な日はエメラルド色に心のおしゃれをする」くらいの意味か?それでは「心のおしゃれ」とは何か?「エメラルド」とは何か?

要するに、前向きに生きるとか、心豊かに生きるとか、そんなところだろう。
それを表現するには・・・・?

 記念日は心のおしゃれする旅路

こんなところで許してもらいたい。

 大人かわいいナチュラルメイクとしは歳(おしゃれ)

この句も意味不明。ナチュラルメイクしてかわい子ぶっても、歳は誤魔化せないという意味だろうか?それならば句意がよくわかるように・・・・

 ばあちゃんのおしゃれナチュラルメイク法

次回へ・・・・



2015.10.25(Sun)
駅前の花屋へあすを買いにゆく

Tさんから川柳の添削依頼。Tさんは岡崎川柳研究社の会員で、ずっと前に川柳を齧ったことはあるが、その後中断、本社句会に出席するようになって約一年の新人さん。

私は、本社句会では曲がりなりにも席題の選をさせてもらい、川柳の体を成していないものに添削指導しているので、このような添削依頼が舞い込んだのだった。

新人とはいえTさんの意欲は凄い。各地で開催される川柳大会に積極的に参加している。
ただ、悲しいかな全没が多い。初期の頃はみんな同じようなものだが、投句を見て驚いた。

大会に参加するには、実力不足は否めない。
どんなふうに直していいものやら・・・・

 老舗いま猫お留守番シャッター街(古い)

課題「古い」だが、シャッター街の現状を説明しただけの句となっている。
シャッター街のお店は、老舗といえども客が少なく猫が留守番しているのですよ・・・と。

句主として「何が言いたいのか」が、わからない。
ここが明確でないから、読み手の胸を打つこともないのだ。

川柳の目的は何か?「今の自分の姿、今の自分の想いを表明すること」(新家完司)である。
ならば、一句の中に自分の姿、自分の想いがあるのかを問わねばなるまい。

 老舗いま招き猫だけいそがしい

句意が変わってしまったが、直せばこんなところだろうか?

 古民家で二味ちがうイタリアン(古い)

「二味ちがう」に自分の想いはあるが、一味、二味では平凡。
古民家で食べるイタリアンは、他と比べてどこが違うのか?

 うれしすぎます古民家のイタリアン

ではどうだろう?地力のない私にはこの辺りが精一杯。

他は次回・・・・



2015.10.18(Sun)
川柳七句

プライドを捨てると坂道が軽い

句点打つ明日が迷わないように

跳びたくていつも探している答え

叫びたい日は全開にする蛇口

この幅でゆっくり降りる滑り台

美しく生きると決めたゴミ出し日

夕暮れを包む大きな手のひらだ



2015.10.12(Mon)
アナログで回る地球儀だから好き

昨日は夕方に稗田川沿いを散策。
空も水も木々もすべて明るい内に歩くのは久しぶり。

秋の野に変わっているのは承知の上だが、体が触れる草々に勢いがないのは淋しい限り。
「負けるしかない雑草が生い茂る」の句のように、いつまでも人間を悩ませて欲しい。

至るところ、コスモスが可憐な花を咲かせていた。
この花はいつまでも昔と変わらず、いつまでも青春を謳歌しているようだ。

こっちは遠に中年を過ぎ、初老に入ろうとしているのに。
ハナカイドウが季節はずれの花を付けていた。

秋は狂い咲きというものが時々あって、桜なんかもそうだ。
一筋縄ではいかない季節を、夕方の景色が教えてくれた。

今日は、豊橋文化祭川柳大会に参加。
日本晴れを絵に描いたような一日。

大池公園の木々の葉が少しずつ紅くなっていく様子は気分がいいものだった。
おかげで(?)一句が特選に選ばれ、豊橋文化振興財団賞をゲット。

アナログで回る地球儀だから好き (古い)

他の句はさっぱりだったが、柳友との触れ合いもあったし、いい一日だった。



2015.10.04(Sun)
切り株に座る未来の絵を描いて

岐阜県川柳作家協会川柳大会と亀山川柳大会を連荘で終えて、ただ今無心状態。
土、日ともに日本晴れと、天気が良かったのが何より。

亀山の大会は、昨年は台風で流れている。
それを思ったものか、神さまは今年は晴天にしてくれた。

あおぞらに頬擦りしたいいい予感

あおぞらが広がってくる読後感

上の二句はいずれも大会の没句だが、選者との相性が悪かっただけと負け惜しみを言っている。没句が多い時は、そう思わなくてはやっていられない。

これも知恵というものだ。岐阜は振るわなかったが、亀山は秀句のおかげで、中日新聞社賞をゲット、出来すぎ。唯一の秀句は下。

駅前の花屋であすを買ってくる  「明日」


さて、恒例の川柳の結果報告。(8/16 きぬうら句会以降 欠席投句の「鈴鹿句会」および「きぬうら課題吟」は、柳誌到着後の報告)

鈴鹿川柳会8月句会(8/22)

老いという反乱軍がやって来る  「乱」 誌上互選

返ってきた谺が答えだと思う   「声」 

聞いてあげる痛々しい声だもの  「声」

コメントを残す小さないのちでも  「自由吟」


きぬうら課題吟


レポートも恋も未完のまま終わる  「儚い」

種明かしして儚さを食べている  「儚い」

生も死もつかのま向日葵も朽ちて  「儚い」

ドーナツの穴になるのも難しい  「穴」


岡崎川柳研究社本社句会(9/5)

十二色使い切るまで汗を掻く  「汗」 秀句

いい汗を掻けと青空からエール  「汗」    

敗北の酒よスルメが噛み切れぬ  「敗」

負けるしかない雑草が生い茂る  「敗」  

続編が気になるけれどあー眠い  「期待」 

願わくばあおぞらだけの人生を  「期待」

来年も期待しましょう蝉の声  「期待」

釣瓶落としですか夕日もにんげんも  「秋」 軸吟


長野県川柳大会(9/6)

たてがみを靡かせこの町を出よう  「出」 佳吟

澄んでゆく時間がこんなにも眠い  「澄む」

愚痴こぼす日は何度でも歯を磨く  「合図」 秀句 天

戦いの狼煙だピザの焼け具合  「合図」


中部地区川柳大会(9/13)

夕日には勝てぬ別れの名演技  「鮮やか」

妥協など知らない天窓のガラス  「ガラス」

冴えるよう胸の埃は取っておく  「冴える」


鈴鹿ネット句会(9/16発表)  

大の字に眠ると庶民らしくなる  「庶民」

花束を一度はもらいたい庶民  「庶民」



川柳忌みたままつり句会(9/23)

恋がまだできそう真夜中のメール  「メール」

切り株に座る未来の絵を描いて  「座る」 秀句

青春をひらくと柔らかい日差し  「記憶」

直次と智子は逝ったあおぞらへ  「献句」


みえDE川柳(9/25発表)

風船を付けると島が持ち上がる  「島」 天賞


きぬうら句会(9/27)


トランプのように青空切ってみる  「青空」

青空をときどき噛んでいる八重歯  「青空」

自販機で買う一枚のあおぞらを  「青空」

三つ目の角を曲がって秋が来る  「自由吟」 佳吟

畳まれた傘が夕日を追い掛ける  「自由吟」

時刻表めくると秋は小走りに  「自由吟」 佳吟



いとう良一・色鉛筆画



2015.09.26(Sat)
川柳鑑賞

世に「ネット句会」が大流行りである。句会といえば、ある場所に一同が集まって句の競吟や批評などをするものだが、今やそれがホームページからできるというのである。

句会というからには俳句か川柳ということになるが、私の場合はもっぱら川柳。居ながらにして全世界(これがあながち大袈裟ではなく、外国に住んでおられる邦人からの投句も多いと聞く)の柳友とネットを通して川柳の交流ができる。        

実は、今夜もあるネット句会の結果が発表される。ついでだから種を明かすと、NHK津放送局(三重県域)に「みえDE川柳」というFMの番組があって、リスナーの投句によって成り立っている「ネット句会」である。

ひと月に二百以上もの句が寄せられ、三重県を代表する川柳作家が選句をする。
入選句は、天、地、人と平抜きを合わせた十三句、厳選である。      

その結果はもちろん放送時間帯にリアルタイムで発表される。入選句を俎上に載せたアナウンサーと選者のやりとりや、途中入るリポーターの中継などが句に臨場感を持たせ、リスナーにとっては楽しいひとときとなる。

残念ながら私の住むエリアには音波が入って来ない。よって番組終了後に更新される「みえDE川柳」のホームページで初めて結果が知らされる。

今月のお題は「島」。
どんな結末となるか、いつも待っている時が楽しい。                 

待ち時間を利用して、川柳の鑑賞について書いてみよう。
というのは、先月、とある川柳吟社から鑑賞の依頼をいただいた。

その吟社が発行する柳誌の前月号を読み、心に残った句をピックアップして鑑賞文を書くのだ。年二回、向こう三年間。

毎回二ページの割り当ては、柳誌の活字の大きさから察して、ざっと二千字ほどになる。
全くの我流の鑑賞となるが今から楽しみにしている。

以前、柳友のTさんから手紙をいただいた。「私の好きな川柳作家」として、元川柳大学の会員であった高橋康夫さんの句が紹介されていた。

常に新しい視点から作句するとかで、「比呂志さんならどのように鑑賞しますか」と結んであった。ならば一度鑑賞文とやらを書いてみようと、Tさん宛てに綴ったのが私の鑑賞文の始まりである。

【雨傘の黒黙黙と月曜日 高橋康夫】

連休明けの月曜日。ただでさえ憂鬱な日に雨が降っている。カラフルな傘を差せば少しは気が晴れるが、私の傘は黒色。何も語ろうとはしない。仕様がないね、こんな日もある人生は。 

それからは折に触れて鑑賞文を書くようになった。
鑑賞とは芸術作品を理解し、味わうこと、と辞書にある。

ゆえに、作者がどういう思いで作句し、その句にはどんな背景があるか、何を言いたいかを掴まえなければなるまい。

それを自分の身近に置き換えて書くのがいいのだろう。
例えばこんな塩梅。

【日が暮れる針千本をのまされて 月波与生】    

小指と小指を絡ませながらどんな約束をしたのでしょうか。
針を千本飲まされたところを見ると、叶わないことだったのでしょう。

「今日こそは禁酒を誓います」「はしご酒はもう止めます」私ならさしずめそんな約束をさせられるでしょう。させる方は大したことでなくても、当人にとってはとうてい叶わない約束。

そんな繰り返しの春秋が風のように通り過ぎていく。 
今日も針千本飲まされて。

【刻み目をつけてお酒を飲まされる 渋谷重利】   

一升瓶に一合ずつの刻み目を付けて、上から順に日付を書き入れます。日付どおりに飲めば一升瓶は十日間プラス休肝日分保つことになりますが、そうはいかないのが酒飲みの悲しさ。

二合、三合と過ぎる夫を見兼ねて、今度は妻が日付を書き入れます。連れ合いの健康を気遣う妻の太い文字。ましてや監視の目が光れば、何日かは日付どおりに飲めるのです。

かくして意志薄弱な半人前の夫も冬銀河の下に生かされている。  

さて、ここまで書いて随筆の手を止める。
みえDE川柳に投句したお題「島」の結果が活字になる頃だ。

ホームページを恐る恐る開けると、何と私の句が天位。
奇蹟が起きた。

【風船を付けると島が持ち上がる 比呂ちゃん】 

比呂ちゃんは私のペンネーム。
三河湾に浮かぶ小さな無人島「梶島」をモデルにして作句した。

周囲五百mに満たない島の森林には海鳥が生息する。
風船を付けるとそのまま飛んで行きそうな島。

選者の吉崎柳歩さんの講評はこうである。

「本当のようなうそ」もまた川柳の真骨頂です。
ちっぽけな島でも風船ぐらいで浮き上がるわけがない。

そんなことは誰が考えても分かる。
そうするとこの島は「架空の島」だということが分かる。

「ひょっこりひょうたん島」かも知れないし、作者だけの思い入れのある島かも知れない。いずれにしても、誰も思いつかない「風船で持ち上がる島」に作者独自の着想があって感心しました。

こんな鑑賞文(句評)を書きたいものである。

                                     (刈谷文協文芸誌「群生」寄稿)



2015.09.23(Wed)
愚痴こぼす日は何度でも歯を磨く

この連休は、ギンナン拾いに明け暮れた。
妻が見つけた穴場には、毎日のように拾いに出かけた。

この場所は神社の境内で薄暗く、人の寄り付きそうもないところ。
高浜市の散歩コースに一応指定されてはいるが、立ち止まるには勇気がいるのだろう。

ギンナンの粒は大きく重い。今後はここを中心にギンナンを収穫することになろう。
妻の鼻は大したものだ。

シルバーウィーク最終日の今日は、愛知川柳作家協会の恒例行事・「川柳忌 みたままつり句会」に出席。出席者、投句者合わせてざっと170名ほど参加。

わが高浜川柳会からも選者を出しているので、いざ参戦。本当は、岡崎川柳研究社からの選者と言うべきだが、傘下といえどそこはそこ、仲間の晴れ舞台が間近に見られて良かった。

今日の入選句。

恋がまだできそう真夜中のメール  「メール」

切り株に座る未来の絵を描いて  「座る」 秀句

青春をひらくと柔らかい日差し  「記憶」

さて、今月は「川柳きぬうらクラブ」の句会を残すのみ。

来月は、3日 岐阜県川柳作家協会川柳大会、4日 亀山市民文化祭川柳大会、12日 豊橋文化祭川柳大会、24日 阿久比川柳大会、と大会が続く。

その間、18日 高浜川柳会句会、25日 川柳きぬうらクラブ句会もある。
誌上大会、鈴鹿川柳会への投句を含めるとかなりの作句を必要とする。

真夏日以上に熱い秋となるだろう。
血圧がまた上がりそう!



2015.09.13(Sun)
川柳七句

鍵穴を覗いて秋とたわむれる

週刊誌めくると秋は小走りに

バイバイと君紙ヒコーキに乗って

疲れ目にどうぞわたしの青空を

歩いてく誰か気づいてくれるから

へし折ってしまえ虚栄という首を

あの世とは切取り線の向こう側



2015.09.06(Sun)
生きている叫びだ蝉も雑草も

九月に入り、またひと夏を越したという思いで満ちている。
これも、盆明けからの涼しい日々のお陰だが、やれやれという感じだ。

まだ残暑厳しい日もあろうが、彼岸はそこまで来ている。
蝉の声も微かになり、夏草もだいぶ草臥れてきた。日毎に秋の色が濃くなっている。

昨日は、岡崎川柳研究社の本社句会。
名古屋番傘のSさんが、番傘の大会のPRで来てくださった。

あちこちの句会に顔を出しているようで、PRだけでなく、句会にも参加される。
課題「汗」の選者を務められ、席題も素晴らしい句を披露された。

今日は、「第六十九回 長野県川柳大会」に参加。
長野県飯田市までの道のりは長いが、半分は旅行気分、気分転換ができて良かった。

招待選者の願法みつるさんが、課題「合図」で下の句を天に抜いてくれた。
お陰で、「飯田天柳吟社賞」を受賞、出来すぎ。

 愚痴こぼす日は何度でも歯を磨く

三年ぶりに再会したRさんとも挨拶ができた。
体力の衰えはあるようだが、頑張っている姿を見るのは何よりだ。

Mさんとも一年ぶりに話ができた。
農業で日焼けした顔は健在、川柳への想いの強さも変わりがない。

帰りは、恵那峡サービスエリアで土産の品定め。
りんご風味のケーキと奥美濃古地鶏のくんせい、焼豚などをゲット。

さてと、くんせいと焼豚で今から一杯飲るとするか!



2015.08.31(Sun)
生も死もつかのま縁日のひよこ

今日で八月が終わる。
やがて向日葵が朽ち、萩の柔らかなピンクを目にするだろう。

八月から九月になったからといって、小・中学生が学校に通いだすだけで、他は変わらないのだが、秋へ移行する心は少しセンチになるものだ。

さて、恒例の川柳の結果報告(7/26 きぬうら句会以後。欠席投句の「鈴鹿句会」は、柳誌到着後の報告)です。


鈴鹿川柳会7月句会(7/25)

激励会ジュジュッと肉の焼ける音  「励む・励ます」 誌上互選

励ますと仕送りすこし多くなる  〃

陽が沈む名画座で見た陽のように  「やれやれ」

雲を流してみんな許してくれる空   「流す・流れる」

いい流れ作ろう髭を深く剃る  〃

「海の日」は海の青さを思うだけ  「自由吟」


岡崎川柳研究社本社句会(8/1)

決断の尻尾はきっと立っている  「決断」 

この町をあすは出てゆく離職票  〃

決断へ脈はしっかり打っている  〃

煙突を仰ぐと青が沁みてくる  「煙」 秀句

手花火の煙はふるさとへ流れ  〃   

煙吐くゆっくり人を恋いながら  〃    

生きている叫びだ蝉も雑草も  「夏」 秀句

立秋がわたしの影を踏みに来る  〃   

納得するまで探している出口  「探す」 軸吟


咲くやこの花賞(8/8発表)

どれほどの明るさだろう梅を干す  「明るさ」


鈴鹿ネット句会(8/16発表) 
 

「比べる」で二句投句するも全没


きぬうら句会(8/16)

友が来てマイナスイオン置いてゆく  「マイナス」  

笑おうよマイナス志向抜けるまで  〃 

罰ゲームのような海抜ゼロ地帯  軸吟

ウメボシを齧り激論まだつづく  「塩」 

あの世まで減塩という罰ゲーム  〃 佳吟

人生のたとえはシャケの塩辛さ  〃 佳吟


みえDE川柳(8/28発表)


「花火」で三句投句するも全没




2015.08.23(Sun)
川柳七句

窓の外なんにもないがいい景色

愛という一年草に飢えている

悪役になれそうもない樹の上で

生きている風のスイッチ弱にして

笑えない日は口笛を吹いてみる

夢を描く小窓に息を吹きかけて

どの花を飾ろう秋の入口へ



2015.08.16(Sun)
煙突を仰ぐと青が沁みてくる

金曜日は、夏の日帰り家族旅行。行き先は、「平成の大修理」を三月に終えたばかりの名城・姫路城。白鷺ならぬ、妻の鶴の一声で決定したものだ。

 
姫路駅(新幹線) → 姫路城 → 好古園 → 書写山・円教寺 → 灘菊酒造 

上のコースを頭に描いて、いざ出陣。気持ちは第14代城主・黒田官兵衛だ。
猛暑日が続く八月の中にあって、やや雲の多い日。雲による日陰はありがたかった。

しかし、雲が切れたときは、ギラギラの太陽が顔を出し、容赦なく体皮を焼いていく。
そんな時間が約30分、入場チケットをようやくゲットし、城内へ。

天守閣へは、さらに1時間半待ちとかで、こちらは諦めた。
もっぱら城内の石段、白壁や西の丸長局(百間廊下)、西の丸庭園を楽しんだ。

天守や小天守など8棟が国宝、さらに「菱の門」「備前門」など15の門、「イの櫓」などの櫓、土塀など計74棟が重要文化財に指定。日本初となる世界文化遺産の登録もうなづける。


姫路城・射撃用の窓


続いて、姫路城の南西に隣接する「好古園」(こうこえん)。
約1万坪にわたって広がる池泉回遊式庭園だ。

発掘調査で確認された武家屋敷跡などの遺構を活かして、市制100周年を記念して、平成4年に造営された情緒ある庭園。

江戸時代をしのばせる築地塀や屋敷門・長屋門、渡り廊下などの景観が横たわる。
時代劇や大河ドラマのロケ地としても使われているそうだ。

庭園内のレストラン・活水軒で昼食。
姫路特産のアナゴを使った穴子どんと日本そばをいただいた。

庭園内で、今を盛りの.萩の花を見た。旬を先取りした花がどの季節にも楽しめるのだろう。ギラギラの陽を浴びながら、小さな秋がゆかしく揺れているようだった。


好古園・渡り廊下


好古園の次は「書写山・円教寺」へ。書写山の山麓までタクシーで約15分。
ここからはロープウェイに乗って播磨屈指の名刹まで。

見るからに鄙びた古刹。
それもそのはず、円教寺は、康保3年(966)に性空上人が開山。

滋賀の比叡山延暦寺と並ぶ修行道場として栄えたらしい。
天台宗の別格本山としても知られ、西国三十三霊場の27番目の札所にあたるとか。

写経、座禅などの修行体験をゆっくりしたいものだが、お供がいるとそうもできない。清水寺を思わす舞台造りの「摩尼殿」、「大講堂」「常行堂」「食堂」と続き、さらに「奥の院」へ。