あおみ労務事務所
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「経営」という言葉を辞書で引いてみますと、「計画に基づいて事業などを行うこと。又そのためのしくみ」 とあります。畢竟、経営とは「経営指針(経営理念、経営方針、経営計画)を作成し、それを誠実に実践していくこと」ではないでしょうか。
このページでは、その時々の経営にかかわる情報を取り上げ、発信していきます。
2007.12.29(Sat)
陽徳と陰徳

今年お世話になった一人に、T社のT会長がいる。Tさんは会社経営の傍ら(?)「掃除に学ぶ会」にも積極的に参加し、中部ブロックのブロック長も務めている。

昨今は会社経営に“掃除”を取り入れて良い会社を作った、という事例がしばしば紹介されるが、Tさんは、社員を巻き込もうとはせず、自らの「行」としてただ黙々とトイレ掃除をしている。

この話を聞いて、「もったいない。社員を巻き込んで掃除をすれば、会社がもっと良くなるのに」と思ったが、今では、「Tさんの方が正しいのでは」という気持ちに変わった。

関大徹著「食えなんだら食うな」(山手書房刊)を読んでいる。「今こそ禅を生活に生かせ」というサブタイトルが示すとおり、全編、禅のあり方を問うた作品集だ。

その中に「社長は便所掃除をせよ」という一節がある。その要旨は、社長がするトイレ掃除は、“陰徳”でなければならない。なるべく人目につかないようにやるのがその工夫だ・・・。

「“陰徳”はあくまでも人の陰でやってこその陰徳であり、人にかくれてやるべきであって、人に見られたら“徳”そのものが霧消するぐらいの心がけでなければならぬ」

「人に見られることによって、人は、人情として、“おれはこんなにいいことをしている、どうだ”という、自己を誇るこころが生じるであろう。その慢心がすべてを帳消しにする」

「いわんや、これ見よがしに便所掃除をするなど論外で、会社の秩序でいえば、上級者の頂点たる社長が、下級者の社員の前で便所掃除をしている風景など、これに過ぐる放漫はあるまい」

徳には「陽徳」と「陰徳」があるとか。お寺に寄進するように表むきの徳を積むのと、人知れず、公の場所の塵を拾ったりして、陰でこっそりさせていただく徳。

トイレ掃除は、後者である。Tさんは陰徳を積むことで、素晴らしい会社を作り上げたのだった。


         掃除に学ぶ会 なぜ、トイレ掃除か  http://www.souji.jp/


2007.12.22(Sat)
問題解決能力

昨今では、「問題解決能力」がいろいろな場面で問われているようだ。「知識」よりも「知恵」ということらしいが、答えのない事象は、もはや知識だけでは太刀打ちできないのだろう。

そもそも教育には次の三つの力がある。

 @基礎基本知識の習得 
 Aそれを利用し、答えが決まった応用問題を解く力 
 B社会に出てから必要となる答えのない問題を解決するコミュニケーション能力

とりわけ、現代ではBが求められているということだろう。

先日、経済協力開発機構(OECD)による学習到達度調査(PISA=ピザ)が公表され、「日本はトップ集団から落ちた」「学習意欲は世界最低レベル」といった内容が盛り込まれていたようだ。

「80年代の欧米では、IT化もあり知識を持っているだけでは社会に対応できなくなったことが問題化した。情報の多い時代を生き抜くためには、どこに情報があるか見極め、それを活用する力が必要。そうした人材を持つ国が発展する力を持てる」(渡辺良PISA議長)

経済機構がなぜ教育調査をするのかというと、国の発展の根幹は人的資源、つまり教育にあるという理由からだが、この理論からすると、日本の今後は相当危ないと言えるのかもしれない。

ということで、問題解決能力。どうすれば早急に身につけられるか?問題を解決する前に、問題発見が先決で、これにはコツがある。それは、目で見て、「素朴な疑問」をもつこと。

つまり、課題を発見するには、何よりも自分の身のまわりを見渡し、素朴な疑問を持つことが大切で、いつも次のような気持ちを持つことだ。

 @困っていることはないか
 Aおかしいな
 B危ないな
 C迷惑をかけていることはないか
 Dなぜだろう
 E何だろう

こういう見方で、問題を発見する。問題が発見されれば、もうすでに半分解決しているようなものだ。素朴な疑問を持つ、という原点に立ち返るというのが、問題解決能力なのだろう!



2007.12.15(Sat)
社員は敏感?

動物園の飼育係が動物の檻に入って動物たちの世話をするとき、自分がいま世話をしている動物のことだけを考えていないと、動物はその人に咬み付く・・・・・・

ということが、先日読んだ本に書かれていた。動物は皆、敏感で、人間がいま何を考えているのか分かるというのだ。人間はそうはいかない。動物的な感が働くのは恋人同士くらいか?

これは植物にも当てはまるようだ。以前、観葉植物のポトスを栽培している農家を訪れたとき、農園長がそんなことをこぼしていた。農園長の話はこうだ。

あるとき、ポトスと違う観葉植物(青年の樹だったか?)を別棟に栽培しようとしたところ、いつもと同じように手をかけ、愛情を持って育てたはずのポトスが枯れてしまったというのだ。

ポトスには、自分のことだけを考えていないことが分って、怒って枯れてしまったのだという。植物もまた、人が何を考えているかを鋭敏に察する力があるのだろう。恐いことだ。

人を恋することも、動物や植物のように相手に対して鋭敏になるようだ。楽しいデートをしているはずなのに、相手は自分のことを考えていない。何か他のことを考えている。

それは敏感に分かる。人ゆえに、相手を咬み付くことや枯れることで意思表示することはできないが、心は完全に白けていく。そこが厄介だ。

会社という組織もそうではないか?この場合の動物や植物にあたるものは、社員だろう。社員は敏感に社長や上司の言動から好悪の情を察知する。そして敵味方を判断するようになる。

こうなると働き方にも影響がでてしまう。それゆえに、組織の長がしなければならないことは、部下に分け隔てなく愛情を注ぐことではないか?

自分がいま接している部下のことだけを考える。次に接する部下には、その部下だけのことを考える。そして、その次も・・・。決して比較はしないということだ!



2007.12.09(San)
地元の温泉につかろまい!

まるごと「三河・知多半島」読本・「月刊ティーワン」の特集、「地元の温泉につかろまい」に心和ませている。“ふらっと行って、のんびりくつろぐ”のが温泉の良さ。さて、どんな温泉があるか?

雑多なストレスが細菌のように体内に蔓延しているので、昨今は温泉ブームとか。癒しの空間に一たび足を入れると、体内の細菌は無くなりはしないが、確実に減っていくのだろう。

ということで、ページを捲ると地元の温泉がひたひたと波のように足先を濡らしていく。知る人ぞ知る「稲武温泉 どんぐりの湯」(豊田市・武節町)や「香嵐渓 岩神の湯(豊田市・岩神町)。

童話作家・新美南吉の故郷半田にあるのが「半田天然温泉 ごんぎつねの湯」。59.1度の高温源泉を落差3mの滝から流して冷ましているとか。湯客が皆編み笠を被っているのはなぜだろう?

そして、こちらも有名、まるは食堂創始者・相川うめさんの「まるは うめ乃湯」(南知多町・豊浜)。今年97歳になるうめばあちゃんの肌もツルツルになるという銘泉。

続いては「銭湯」。しばらく行ってないが、学生の頃にどれだけ世話になったことか。我が懐かしの「新川温泉」(碧南市・山神町)も登場。昔は壁には富士山が定番だったのに・・・。

入浴後には、ラムネかコーヒー牛乳で一杯飲り、隣には決まってマッサージ器で体をほぐす老人がいた。碧南市には以前、14件の銭湯があったが、今は2件だけ。

客数も全盛期だった昭和40年代に比べ、3分の1にまで減少。しかし、地元の人や会社帰りにひと風呂浴びにくるサラリーマンも多く、浴場では「今日は遅かったね」などの会話が飛び交う。

儲けだけが喜びではない。無くてはならぬ人のために身銭を切って残すことも必要なのだろう。それは商店街にもいえることで、シャツター通りと揶揄されながら、続けていくことも大切なのだ。

温泉と銭湯、その違いは様々あるが、いずれも癒しの空間。いつかそこへ戻る日まで、残しておいて欲しい。



2007.12.02(San)
優秀な社員を辞めさせない方法

今日のヤフー・トピックス。「優秀な社員を辞めさせない方法」という文字。労務管理を業とする身にとって、こうした“情報”を見逃すわけにいかない。何を訴えようとしているのだろう。

「昔はお客様が神様だったが、最近は従業員を満足させる事で従業員がより良いサービスを提供して、顧客を満足させるということが求められる」

この“情報”が訴えたいのは、どうやら上のような内容で、「顧客満足よりも従業員満足を優先させる」ことに眼目があるが、「原文」とあるから、おそらく海外の“情報“なのだろう。

ともあれ「優秀な社員を辞めさせない方法」。日本にもまかり通るか?

1. 企業文化を正しく伝える

文化に合わない人を雇っても辞めてしまいます。入社してから実情に気が付いた従業員は辞めます。現状を正しく伝えたうえで、将来はどうなりたいかや、面接を行っている相手がその目標に対してどのように貢献できるかなどを語りましょう。

2. 規律の範囲内で自由を与える

チャレンジングな課題を与えたり、仕事に直接的に関係がない教育を受ける事を許可するのも良いかも知れません。

3. 多様性を大事にする

画一的な人材ばかりでは活気のある職場は作れません。多様性は活気や新しいアイディアを産み出します。多様性を保つにはリーダーが様々な意見に耳を傾けられるように努力をしなければいけません。

4. 良き企業市民であること(コーポレートシティズンシップ)

昔は利益をあげることが全てでしたが、最近は社会の一員としての企業の責任/義務を考慮する必要があります。環境保全活動などをする社員を表彰するなどの方法があります。

5. 正しく褒める

誰かが凄い成果を出したら、その事を本人に伝え、周辺の人々にも伝えましょう。さらに、顧客にも伝えましょう。

6. 福利厚生で工夫

どこでもあるような福利厚生ではなく、従業員が喜ぶものを考える。 Qualcommでは社員の夜食を提供してくれる。コインランドリーサービスや、週に一度の昼食サービス、エキスパートによる教育を受けれるようにするなどもあり得る。

7. 従業員のニーズは変化する

子供が生まれたら変わる。歳を取ると親の面倒をみなければならなくなるかもしれない。仕事以外の部分の負担を軽減すれば、仕事に集中できる時間が増える。

8. 偉大な従業員は偉大なリーダーの下に集う

従業員は仕事を辞めるのではなく、リーダーに対して辞める。

9. 定期的な面接

従業員は自分が会社にどうやって貢献できているかを知るのが好きなので、面接の時間を使ってそれを伝えるようにする。

10. 最も仕事がしやすい環境を整える

各自のアイディアを発揮できるようにする。 Googleでは20%の時間を使って各自が好きなことを出来る。使うツールを十分そろえてあげるのも重要。

11. 仕事/プライベートのバランス

最近の若い人は、親がひたすら仕事に身を捧げてやりたい事を全く出来ずに55歳を迎え、突如として解雇されて再就職先が無いような状況を見たりしています。そのため、「私はそうはならない」と思っています。

12. 休暇をとるようにしつこく迫る

良く休暇をとる従業員の方が健康であり続けます。また、燃え尽きる事も少なくなります。

13. 雇用主と従業員の間に信頼関係を

リーダーを信頼できるとき、従業員は良く働きます。また、従業員は自分達が信頼されているとわかる必要もあります。例えば、Best Buyでは9時から5時という時間が適応されず、自分で時間を管理できる従業員制度によって効率を上昇させました。

14. 雑草を排除する

効率が著しく低かったり、ネガティブな従業員は良い従業員に悪影響を与えます。

15. 新人発掘

インターンや社内指導教育プログラムを利用して新しい才能を発掘しましょう。

16. 季節毎に大切に思っている事を伝える

夏は金曜日を半日にしたり、季節の果物をオフィスに贈ったり、季節毎に「大事に思ってるよ」と伝えましょう。



2007.11.24(Sat)
パレートの法則

ちょっと面白い話を引きます。出典は、ひろさちや著「ゆうゆう人生論」。

あなたのお店に100人のセールスマンがいるとします。さあ、この100人が等分の仕事をしているでしょうか?「ノー」ですよね。どう考えてみても、等分の仕事をやっているようには思えません。

では、仕事の量は等分になっていないとして、どのように分担されているのでしょうか?その点に関しては、イタリアの経済学者のパレートが、「パレートの法則」を提唱しています。

これは、簡単にいうと、「80/20の法則」です。つまり、100人のセールスマンがいると、売り上げの全体の80%を20%の人間(20人のセールスマン)が売っているという法則なんです。

ということは20人がいるだけで、全体の80%の仕事が片付くのです。ということは、100人に年間500万円の給料を出して、5億円の人件費で10億円の利益を上げるより、セールスマンを20人にして人件費1億万円にして、、8億円の利益を得たほうが得ですね。

100人だと純益は5億円ですが、20人にすれば純益は7億円になります。
ところが、どっこいそうは問屋が卸してくれません。

セールスマンを20人にすると、20人には2億円しか利益を上げる能力がないのです。その2億円のうちの80%を4人が上げ、残りの20%を16人で上げることになります。

ひろさちやさんは、この「パレートの法則」を引いて、何を言いたいのでしょうか?
それは、「世の中には、あまり優秀でない人間も必要」だということ。

優秀な人間ばかりだと、その優秀な人間が落ちこぼれになってしまいます。優秀な人間を優秀な人間にしてやるために、80%のあまり優秀でない人間が必要なのです。

そうしてみると人間には無駄がない、といっていいでしょう。パレートの法則を知れば知るほど、「能力のない人間」も許せるという気になるのではないでしょうか?



2007.11.11(San)
法則を考える!

中日新聞社発行の小雑誌「Clife」(シィーライフ)をパラパラ捲っていたら、「頭の体操」のコーナーに遭遇。「クイズ・パズルを解いて脳を鍛えましょう。さあ、できるかな?」

難易度☆、難易度☆☆は楽々クリア。ところが難易度☆☆☆には手も足もでない。答えを見れば、「なぁんだ」と思うが、コロンブスの卵はこんなところにも転がっていた。

さて、次の設問を解いてみてください。

 ある法則で図が並んでいます。「?」には何が入るでしょうか?

  


お分かりでしょうか?1本の針金のようなものが途中で幾通りかに折られています。
この針金が意味するものが分かれば、答えは容易です。

右脳をフル回転させて、考えてみてください。どうやら、針金はすべて同じ長さで、折られている位置も同じ。折られ方が深いか、浅いかの違いだけです。

そうです、この針金は時計の針を示しています。折られているところは短針と長針の交差しているところです。9:00からスタートして、9:40、10:20・・・・と40分ずつ進み、答えは11:00。

法則というものはかように、目の付けどころがモノを言います。設問が意味するところへ目が行くかどうかが分かれ目。そして、心と体がそれについていくかということも大切なことのようです。



2007.11.03(Sat)
リーダーシップに東京マラソン!

一昨日、作家・童門冬二さんの小文が目に留まった。そこには、自身の社員へのリーダーシップのあり方に悩む小規模経営者Aさんの心底が垣間見えて、好感が持てた。

下は、“家族的和”を重んじてきたAさんが、そのやり方に疑問を抱き、行きつけのイタリアン・レストランのオーナーシェフから「社員へのリーダーシップ」について教えられるくだり。

Aさん:「いまどんなことをやっているの?」

シェフ:「来年の東京マラソンへの参加準備で、トレーニングをしてます」

Aさん:「全員参加?」

シェフ:「ええ、その予定です。強制はしませんが皆申し込みました。競争率が高いので、全員出場できるかどうかわかりません。でも皆トレーニングには努力してますよ」

Aさん:「またどうして、東京マラソンに参加する気になったの?」

シェフ:「何でもいいのです。仕事以外の次元で心をひとつにする目的を設定すれば、それが結局は仕事面での結束に反映されますからね。私が先頭に立ってジムに通ったりしています」

童門さんの小文をあえて会話に直したが、童門さんが言いたいところは、シェフが最後に言った「仕事以外のところで心をひとつにする目的を設定する」ということだ。

そういえば、今朝のラジオで、先週、100`ウォーク(正式名:三河湾チャリティ100km歩け歩け大会)を開催した会社が取り上げられていた。「白だし」の竃。とこころ(本社:安城市東端町)だ。

その大会趣旨は、「100km歩け歩け大会の目的は、今までに体験したことのない100kmを歩く中で、いかに多くの感動・感激・感謝を味わうことができるか」ということ。

そして、「歩いている時、また歩き終わった後に何を感じとれたか」、「歩く人、サポートする人が共に支えあい、助け合うこころの大切さ」を学ぶことにある。

これこそが、「仕事以外のところで心をひとつにする目的を設定する」ことではないか?その中から多くの感動秘話が生まれている。皆さん、とくと味わってください!

   竃。とこころ 「歩け歩け大会」の模様は   
http://www.ajitokokoro.co.jp/100km.html


2007.10.27(Sat)
千円札は拾うな!

月曜日、「がんばれ社長!号外PR版」のメールが届いた。見出しには、「新卒採用・人材力アップサービスの実績を持つワイキューブが、その採用ノウハウを大公開いたします!」

ワイキューブ?どこかで聞いた覚えがあるナァ・・・と読み進めると、分かった。ワイキューブ代表は、「千円札は拾うな」で著名な安田佳生さんではないか!

「千円札は拾うな」というユニークなタイトルの本を出版以来、安田さんはテレビ、ラジオにも頻繁に出ていたと記憶するが、本はついぞ読まなかった。

おそらく安田さんの斬新な考え方が、著書には散りばめられているはずだから、アンチョコで調べてみるのも悪くないと思った。さて、さて、その思考法とは・・・?


「今や、人と同じことを人より長い時間やることを“努力”とは言わない。
サボらずに真面目に努めることが“勤勉”ではない。

新しいやり方を考え、実行することが“勤勉”であり、もっとも短い時間で成果を出す為の工夫をすることが“努力”である」

「勤勉の対極にあるのは、“怠惰”ではなく、今の時代は“不変”であり、変化し続けること、それが今の時代に求められている“勤勉さ”なのである。

そして、変化し続ける為には、人と同じやり方を捨て、より大きな成果を生む別の方法を考え実行する」

「大切なのは、“捨てる”こと。変化をする為には、まず、現在の凝り固まった価値観を捨てるところから始めなければいけない。今までのやり方を捨てる」

「優秀な人材には仕事をさせないこと。優秀な人にたくさんの仕事をさせると、こなしてくれはするけど、それだけで終わってしまう。

優秀な人の最も大切な能力は“新しいものを生み出す能力”なのだから、自由な時間を与えて、新しいものを出してもらうのが吉」

「売上げを伸ばすために“嫌な”顧客を捨てること。嫌なお客1割を断ると結果的に売上げが増える。お客の1割を断るのだから、売上げも1割落ちると思われるが、実際にはそうではない。

実際にやってみるとわかるが、残りの9割の会社だけで95%前後の売上げになる。なぜ1割下がらないのかというと、現実にはいちばんうるさい客が、いちばん儲からない客だからだ」


さて、なぜ「千円札は拾うな」か?「千円札を拾うと目線が下がり、他のものが見えなくなるから」。目先の小さな利益よりも、もっと価値のあるものに目を向けよう、というのが安田さんの志だ!




2007.10.20(Sat)
日本食研の宮殿工場

「桃子かさくらか?」

女子ゴルフの結果を夕方のニュースで追っていたら、テレビ画面には白亜の宮殿。
びっくりドンキーばりの中途半端な豪華さは、東南アジアの宮殿か?

ところが、この宮殿こそ、今話題(?)の日本食研の“宮殿工場”(下)であった。
敷地面積・約76,306平方メートル、建築面積・9,047平方メートル建築延面積・約27,280平方メートル。
完成日・平成18年5月10日、総工費・約85億円
日本食研はこの工場建設の由来を次のように記している。

 中世より東西交易の活発化によってヨーロッパには香辛料や珍しい食材が集まりました。
 料理人は初めて目にする食材を前に腕を振い、宮殿では晩餐会が行われ食文化の向上に
 繋がりました。

 そこで、弊社ではヨーロッパを代表するベルベデーレ宮殿をモチーフとして宮殿工場を建築
 しました。この工場を『世界の食文化の開拓者』のシンボルとして新たな味の開拓を続けたい
 と思います。
 
そうなのだ、日本食研は、企業ポリシーである“『世界の食文化の開拓者』に挑戦”を、言葉とは別に、誰にも一目で分かる形として残したのだった。
「てんぷら粉」や「からあげの素」など、我々が食卓で使用するものを主力製品とし、新製品「焼肉のたれ宮殿」は、宮殿工場で作られた渾身の一品。

“焼肉のたれ宮殿”の味を追求することがすなわち、“『世界の食文化の開拓者』に挑戦”することなのだろう。その意気やよし。ニュースの中で社長が最後に言っていたことが印象的だった。
 
 食品会社というものは、どんなに万全を尽くしても完璧ということはない。しかし完璧を求めて
 いくことが社会的責任。宮殿の中で社員さんに働いてもらうこともその一環。

経営理念は、「仕事で成功することは人類に最大の幸福をもたらす」。いい言葉だ。

    日本食研を知りたい方へ 
  http://www.nihonshokken.co.jp/main.html


日本食研 宮殿工場提供先・デイリーポータルZさん

2007.10.13(Sat)
ショコタンの秘密

「ダイレクト出版」代表の小川忠洋さんから、毎日のようにメールでニュースレターが届く。どんな人で、どんな理由からメールを送るのか知らないが、新聞チラシを見るようにチラと目を通す。

「今日はちょっと面白い話がある。中川翔子、通称ショコタンって知ってるかな?プロミスのCMとかに出ている人気タレント。最近は明るいコスプレキャラで大人気。TV番組にも引っ張りだこだ」

というように、早朝(?)からヤケに明るい調子で話し始めるのは、若さであり、彼の取り柄なのだ。低血圧の人には馴染めそうもないが、日帰りツアーの旅を探すつもりで眺めればいい。

さて、ショコタン。小川さんのニュースレターにはこんなふうに書かれている。
「彼女は最初から大人気だったわけではない。彼女はもともとお宅で暗い性格だった」

「それがある事をきっかけに、あんなに明るいコスプレ少女に生まれ変わることができた。
彼女にいったい何が起きたのか?」

思わせぶりの言葉が興味をそそる。そしてついに核心を突いてくる。
「ショコタンの事を知っている人は彼女が、ブログをつけている事をしっているだろう」

「実は、このブログに彼女の変化のタネがあったのだ。暗い性格を改善しようと思って、ショコタンはある事をした。それを毎日することで、性格はだんだん明るくなっていったんだそうだ」

「何をしたのか?彼女は、その日あった"いい事だけをブログに書く"ようにした。
それをやっただけで、彼女は驚くように変化した」

「人間が何かを考えている時は、それ以外の事を同時に考える事はできない。
だから、暗い事を考えている時に、同時に明るい事を考える事は無理なのだ」

「ショコタンが明るい事ばかり書くようにしたら、明るい事ばかり考えるようになる。そうすると、世の中の明るい面ばかりが見えるようになる。何故なら、脳が勝手に明るい事を探しているからだ」

「彼女のまわりの日常が劇的に変わったわけではない。むしろ彼女のまわりは以前と全く同じだった。ただ、彼女の考え、視点が変わっただけで、世の中が変わって見えた」

「そして、自分自身も変わった。そしてあんなに人気者になった…」

昨今はプログを持っている人が多いから、皆、書くことには慣れてきた。「考えること」と「書く」ことが交差してプログは美しい花を咲かせるが、実はこの二つが大切だということが知らされる。

明るくなりたければ、明るいことを考え、そして記録していく。脳と手と眼で明るさを学習していくのだろう。元々身近なショコタンが、ますます身近に感じられたニュースレターだった。



2007.10.06(Sat)
ホッピー

「ホッピー三代目、跡取り娘の体当たり経営改革」という本が売れているらしい。
著者・石渡美奈さんは、現在、ホッピービバレッジ鰍フ取締役副社長。

「30代看板娘」が、創業97年の老舗メーカーを大変革、具体的には5年で年商を3倍、年30%の増益をたたき出したのだ。その秘策を解き明かすのが、本書というわけだ。

魔法の杖があるわけではないから、その秘策は、当たり前のことを当たり前にやっているだけなのだろう。経営とはそういうものだ。

特別があるのなら、それは、持続するということだろう。誰もが諦めてしまうことを、諦めずに持続させたということではないかと思う。

読んでもない本を取り上げたのは、この本で「ホッピー」が日の目を見ることになりそうだからである。ホッピー好きにとってはうれしい限りだ。

東京近辺では、ホッピーは当たり前に居酒屋などにあったが、ここ愛知県では皆無だった。ファミリーマートでは取扱っていたが、行きつけの店は、売れ行きが悪くて置くのをやめてしまった。

現在では、ホッピーが飲みたくなったら、焼き鳥の「備長扇屋」を利用するだけだ。
というわけで、看板娘のやる気でホッピーが飲めるようになる。うれしいなぁ!



  ホッピービバレッジ株式会社のHPです   http://www.hoppy-happy.com/



2007.09.29(Sat)
商いは道によって賢し

昨日は、中小企業家が集まる月例会。大須演芸場席亭・足立秀夫さんの講演「商いは道によって賢し」を聞いた。さすが席亭、寄席芸全般に通じていて、全編、漫談を聞くようで楽しかった。

講演の要旨は、人間は健康でいられることが一番幸せ。健康を維持するためには、@好き嫌いなく何でも食べること A十分な睡眠をとること B言いたいことを言うこと Cよく笑うこと。

そして、よく笑うための方策として、落語の効用を語られた。話は本寸法だが、寄席芸に劣らない軽妙な話術は人を惹きつける。かくしゃくとした73年の人生が裏打ちされているのだ。

今まで、大須演芸場の灯が消えかけたことが何度もあった。家賃滞納による再三の明渡し要求や、つい数年前には競売に掛けられた。そのたびに助けてくれる人がいた。

明渡し要求の時には、ミヤコ蝶々さん始め、芸人が助けてくれた。ボランティアで寄席に出演した上がりで滞納した家賃を支払ったのだった。

競売に掛けられた時には、ロック歌舞伎のファンである客が助けてくれた。毎年演芸場で行われているロック歌舞伎をこの先も見れるようにと、客自らが落札してくれたのである。

演芸場にとって大切なのは、客と芸人である。大切な客や芸人によって助けられた席亭は、本当に幸せ者ではないか。企業が困窮した時、社員や得意先が助けてくれるだろうか?

それを考えるとき、席亭・足立さんの生きざまがキラキラ光る。身銭を切って、入りの悪い寄席を維持し、芸人の育成に血眼になっている姿は、人の生き方として感動する。

 本気ですれば、大抵のことができる
 本気ですれば、何でもおもしろい
 本気でしていると、誰かが助けてくれる

寄席の灯を絶やすまいとする足立さんの本気に、皆が助け、助けられたのである!

060101_150147.jpg
足立席亭                お客が入っているぞ!



2007.09.22(Sat)
ランチェスターの法則

 「ランチェスターの法則というものがあって、どうも自民党の福田元官房長官も考えているのかな
 と思う」

民主党の鳩山幹事長が、昨日の記者会見で発した言葉だ。福田氏が、自民党総裁選で民主党と似通った主張を繰り返していることを皮肉ったものだが、政治家からこんな発言が出て少々吃驚。

ランチェスターの法則とは、業界一位の企業が、二位の企業の製品を模倣すれば、さらに業績を伸ばせるという法則。

福田氏が民主党の政策を模倣し、政権維持しようとしているのではないか、というわけだ。
さすが、鳩山御殿の御曹司、ランチェスターの法則まで勉強しているわけだ。

さて、話のついでにランチェスターの法則について触れてみたい。あんちょこを取り出すと
この法則には、「一騎打ちの法則」「集中効果の法則」と呼ばれる二つの法則があるようだ。

「一騎打ちの法則」とは、「2者間の戦いにおいては、武器の性能が同じであれば、兵力が大きい方が勝つ」というもの。例えば、A軍の兵力が5、B軍の兵力が3の場合は

双方がお互いに1人ずつ戦い、お互いの数を減らしていくとすると、その結果は、 5−3=2
 になり、兵力の大きいA軍が勝つということになる。


「集中効果の法則」は、「持っている武器の性能が同じである集団同士での戦いにおいては、被害は戦力の2乗比の差になる」というもの。

近代のビジネス現場を想定すると、一騎打ちではなく、お互いに離れたところから攻撃を仕掛けて、敵側の複数の相手を攻撃したり、逆に相手から攻撃を受けたりと集団戦になる場合が多い。

先と同様に、A軍の兵力が5、B軍の兵力が3とすると、A軍はB軍の1.7倍の兵力を持っているにすぎないが、A軍はB軍の2.9倍強いという計算になる。

集団戦においては、「双方は兵力の2乗分の攻撃力で戦う」ということになり、戦いの後に残る兵力は、5×5−3×3=16 
と計算され、A軍の強さが確認できる。

ランチェスターの法則は、ここで終わるのではなく、ここから導き出される「弱者の戦略」「強者の戦略」がむしろ大事で、ビジネスにどんどん応用されている。

ここまで読めば、鳩山氏の言った意味がわかるだろうか?つまり、政策(武器の性能)が同じであれば、議員数(兵力)の多いほうが圧倒的に有利であるということだ。

民主党は弱者の戦略でどう対抗する?



2007.09.16(San)
鶴亀算

安倍総裁の突然の辞任で、自民党は次期総裁選たけなわ。本命・福田氏優位の中、幹事長・麻生太郎が対抗として出馬。“マンガ”が趣味というだけあって、何とも魅力のある人である。

マンガといえば、大分前、「ドラえもん学習シリーズ・ドラえもんの算数おもしろ攻略」が、子どもたちの本箱に眠っていた。マンガをふんだんに用いた学習参考書で、中々面白かった。

大人にとっても、活字だけのものより、絵が描かれているものは入りやすい。まして算数、数学といった無味乾燥の教科では、ドラえもんの愛嬌ある笑顔がどんなに救いになったことか。

「ドラえもんの算数おもしろ攻略」の中に、「鶴亀算」というのがあった。「何のことやら?」と読み進めていくと、小学生の頃の算数はこんなふうに解いていたのか、と新しい発見があった。

「鶴亀算」とは要するに、文章題の解き方の一種で、解き方の中でも最も有名なものとされる。具体的にはこんな感じになる。我慢して読んで下さい。

 【例題】

ツルとカメがあわせて8匹、足の数があわせて26本であるとき、ツルとカメは何匹(何羽)いるか。
ただしツルの足は2本、カメの足は4本である。


 【解法】
鶴亀算を解くとき、一般的な解法として知られているものとして、「とりあえず全部ツルであるとみなす」というものがある。この方法に従って上の問題を解くと、

@とりあえず8匹すべてがツルであるとすると、足の数は、2*8=16で、全部で16本となる。これは
  問題にある26本に比べて10本少ない。


Aこの10本の差を、ツルとカメを交換することによって補っていけばよい。(つまり、ツルを一匹ず
  つ減らし、カメを一匹ずつ増やしていく。)


B一回の作業ごとに、ツルとカメの足の本数の差として、足の数が2本ずつ増えていくので、10本
  の差を埋めるには、10/2=5で、この作業を5回行えばよい。つまり、カメは5匹ということになる。


Cこれより、答えは、ツル3羽、カメ5匹である。

鶴亀算は、方程式を学んだ大人にとって、何か新鮮だ。大人は二次方程式ですぐに答えを出してしまうが、こうした「仮定」と「ずれ」から答えを求めるという手法は、色々応用できる。

方程式ですぐに答えを出してしまうのではなく、職場の中で鶴亀算を手法にしたらどうだろう。
「仮定」と「ずれ」を、「理想」「現実」に置き換えてみてもいい。

そうすることで、鶴亀算は知恵の手法となる!



2007.09.09(San)
一緒に飲みたい上司

 「一緒に飲みたい上司は?」

水曜日、キリンホールディングスアンケート結果を発表した。

「特に男性は頼れる上司と仕事の話をするよりも、気さくで明るい上司と楽しく飲みたいという傾向に変化している」(広報担当)が、今年の特徴だ。

およそ部下というものは、酒席では、「頼れる・明るい・酒好き」を求めている。上司という言葉のイメージからは、「頼れる」が付きものだから、どうしても親分肌が選考される。

「明るい」は酒席での必須事項。日頃疲れている企業人にとって、酒場は、明るく元気になりたい場所なのだ。それから、飲めない人とは一緒に飲みたいとは思わないから、「酒好き」が上がる。

これら要素が微妙に絡み合って人選はなされていく。その時々で何を一番求めるかで順位は入れ替わっていく。今年は、たまたま、「明るさ」が受けたのだろう。

アンケート結果は次のとおり。 (  )内は昨年の順位。

 順位  男性有名人  順位  女性有名人
1 (2) 所ジョージ 1 (1) 黒木 瞳
2 (1) 明石家さんま 2 (2) 久本雅美
3 (8) 渡 哲也 3 (4) 和田アキ子
4 (6) 佐藤浩市 4 (7) 篠原涼子
5 (4) 北野 武 5 (6) 吉永小百合
                  

さて、ここで「日本の歴史上の人物で、誰と飲みたいか?」を考えてみた。とっさに挙がるのが、「竜馬」。「西郷」もいいが、いくら飲んでも酔いそうもないから少々敬遠。

詩歌の得意な「高杉晋作」は、相性はよさそうだが、並外れて過激だから、萎縮してしまうだろう。
「勝海舟」は、自慢話ばかり聞かされていささか辟易。「大久保利通」は恐そうだし・・・。

維新のツワモノばかり出したが、日本史年表を引っ張り出すと、江戸後期に「大塩平八郎」という名が登場する。「大塩?誰?」という人のために・・・。

「江戸後期の陽明学者。大阪町奉行の与力だったが、私塾を開いて子弟の教育にあたった。天保の飢饉に庶民救済を町奉行に願ったが聞き入れられず、子弟とともに大阪で兵を挙げた」

「大塩平八郎の乱」は、江戸時代唯一の反乱といわれるが、これが実は維新に繋がっているといえなくもない。脈々と明治の代にも平八郎は生きていたのだ。

 友人になりたいと思った相手に対して、なんらかの邪心を抱いているならば、
 親しくするべきではない。

という平八郎の言葉がある。さしずめ今夜は、この言葉を抱いて飲むことにする!



2007.09.02(San)
迷子になる条件

炎暑が過ぎ去り、秋になった。大人にとっての日常は何の変化もないが、子供たちはというと、夏休みが終わって肩を落としているようだ。やり残したことがいくつもあるのだろうか?

やり残したこと・・・。先週の「落語考」じゃないが、振り返ると、落語を一つも覚えなかったことを今になって悔いている。いつかいつかと思いながら、一席でも本気になって取り組めばよかった。

何事も遅いということはないのだけれど、意欲というものは年とともに確実に低下する。「思い立ったが吉日」で、今後は、“思い切る”ことが、生きるための大切な要素になっていくだろう。

先日聞いた話だが、飛行機というのは、離陸の時に7割くらいの燃料を使うらしい。これは人間の行動でも同じで、何かを始める時に、一番エネルギーを使うのだ。

だから、多くの人が何も始められずにいる。スタートできない人に共通するのは、「目的地」が決まっていないということだが、そうかもしれない。

「目的地」が決まっていないから、事を起こす必然性が前頭葉を刺激せず、いつまでも同じ場所でアクセクしている。これでは、迷子になっているのと同じだ。

誰かが言っていたが、「誰でも必ず“迷子”になる条件」というのがあるそうだ。その方の言を紐解くと、こんなふうになる。当てはまる人は注意してください。

@ 今自分がどこにいるか分からない。
A 自分が今からどこに行こうとしているか分からない。
B ましてや地図も持たずに。

要は、経営指針というか、経営のマニフェストの必要性を説いているのだが、「目的地」を決める作業は、経営者にとって必須だろう。今からでも遅くない、マニフェスト作りにいそしもうではないか。

思い立ったが吉日・・・今を思い切ることだ!



2007.08.25(Sat)
落語考

明日は経営者仲間のグループ会。「閑古鳥の鳴く」「妖気漂う」と言われる大須演芸場でしばし演芸に浸るわけだが、つまらないだろうナ。

つまらないところへなぜ行くかって?それは、ご挨拶代わり。大須演芸場の席亭・足立秀夫さんに九月例会の講師を依頼したので、まずは挨拶というわけだ。

加えて、大須演芸場の実態を知ることで講演会は有意義なものになるだろう。講師の背景(職場)を知ることが学びの深さに繋がっていく。うまい落語の一席に出会えればいいが。

「かくかくしかじかの努力を重ね、艱難辛苦のすえ主人公が成功した・・・これが講談。落語はね、そんなんじゃない。何の努力もしないでブラブラしていて富クジに当たる、火焔太鼓で大儲けする、女にバカモテする。これですよ、人生のダイゴ味は。努力して成功するのは当たり前だっての。人生、努力しないで成功するのが理想的です」

かつて落語家の三遊亭円楽さんが、講談と落語の違いをこう語っていたが、なるほどナ。
“忠臣蔵”に例をとってみると、講談で語られるのは、敵討ちに参加した「四十七士」。

落語に登場するのは、四十七士以外の“逃げた”侍だ。当時の浅野家は五万三千石で、三百人ほどの侍がいたはずだから、してみると、ほとんどが敵討ちに参加しなかったのだ。

それを落語は肯定してみせる。「逃げるのが人間なのですよ・・・」といって。
つまり、落語が語るのは“業の肯定”で、講談が語るのは“業の否定”といえるだろう。

どちらがいいのやら・・・。



2007.08.18(Sat)
表紙考

太宰治の「人間失格」(集英社文庫)が、書店で、売れに売れているらしい。夏休みは、学生たちが感想文を書くから、こうした名作が売れるのか・・・と思っていたら、理由は別のところにあった。

「人間失格」の表紙に、「デスノート」で知られる人気漫画家・小畑健さんのイラストを使用。

従来の抽象画の表紙から一転、「デスノート」の主人公・月(ライト)を思わせる学生服姿の男の子が不敵な顔で座るデザインとなった。

編集部は、「いかにも名作」という路線からの脱却を目指して小畑さんに表紙絵を依頼。これが当たり、約1か月半で7万5000部、古典的文学作品としては異例の売れ行きとなったようだ。

さて、こちらは政治の世界。今から18年ほど前、リクルート事件に絡み退陣した竹下登元首相の後継者に指名された伊東正義元外相(故人)。

ところが、伊東さんは首相の座に就くことを固辞した。そのときに言った有名なせりふが、「本の表紙だけ替えてもだめだ」。

政治とカネの問題で、自民党は体質まで変えることができるのか。
伊東さんは自問し、難しいと思ったに違いない。

表紙を変えることの意義は、過去からの一新にある。中味があれば表紙を変えることの効果もあろうが、中味がなければむしろ逆効果になることだってある。

そのためにはやはり「名作」でなければならないのだろう。 「恥の多い生涯を送ってきました」という書き出しで知られる「人間失格」。この夏、その“名作”度を確かめてみるのもいいだろう!



2007.08.11(Sat)
シジミ論争

「猛暑」。汗を流した分、水分を補給しなければならず、昔は「水ばかり飲んではいけませんよ」と言われたものだが、近頃は適度に水気を補給することを奨励しているようだ。

時代が変われば、暮らしの知恵も変わっていくようで、本当の所を知りたい気持ちもあるが、「本当」というのは、その時々で変わっていくものなのだろうか?

今夕食はシジミ汁。土用シジミといって夏バテ解消にはもってこいの代物らしく、この時期スーパーで大安売りなのだろう。シジミ汁をすすっているうちに、「シジミ論争」というのを思い出した。

その昔、「シジミ論争」というのがあって、シジミの身を「食べる派」と「食べない派」に分け、どちらが正しいかを論争していった。「食べる派」「食べない派」は住む地方によって違うようだった。

愛知県では身を食べるほうにくみしているようで、食卓を見渡すとみんなシジミの身を食べている。シジミの身には多くのエキスが含まれているから、残すのはもったいないというところだろう。

「食べない派」の言い分はというと、「シジミ汁は吸うものであって、食べるものじゃない」といういわば精神論に由来しているようだ。煮干し同様に、身はあくまでも出し殻なのである。

まぁ、どちらでもいいが、シジミの身を食べるのは少々悲哀をともなうように思う。といって食べないわけではなく、要はどちらでもいいのだ。

東京人がシジミの身を食べないのは、「武士は食わねど・・・」が大好きだからである。「出し殻が食えるかってんだ、べらぼうめぃ!」と言いながら、内心食べたいのでは?と思ってしまう。

「時代変われば」「所変われば」は、どこにでも転がっているが、もうひとつ「人変われば」。人の根は深く、人に根ざしている“違い”というのは、やはり大きいのだろう。

論争の主役はすべて「人」なのだから!



2007.08.05(San)
「新人」をやりつづけろ!

水曜日、作詞家の阿久悠さんが亡くなった。スター誕生(日本テレビ制作のオーディション番組 1971年〜1983年)のスタート時から、その活躍を眺めていたが、鬼才の人だった。

著書「人生は第二志望で成功する」が手元にある。何事に対しても「いつも新人でありつづける」ことを信条に、いつかは枯渇していく才能と格闘している胸の内が吐露されている。

どの分野でも、仕事の中身が違うだけで、「新人でありつづける」ことは大切なことのように思う。
仕事上の“発見”や“改善”は、新人であることから発していることが多いのではないか?

阿久さんが綴った「遺書」ともいうべき一部を紹介しよう。


ぼくは、まだ新人をやっている。
考えてみると、ずっと何かの新人をやっている。

その場で落ちついてしまうことが嫌いなのか、ひとつの仕事が確立し評価を得てくると、別のジャンルでの新人をはじめ、ピリピリと緊張し、あるいは、ワクワクと興奮し、決して、石のような重い存在にならないようにと心がけている。

すわり心地のいい椅子は、人間から、常識を超えて行動するフレッシュな意欲を奪ってしまう。
ふんぞり返ったり、眠ったりすることはできるが、走ったり、飛んだりはできなくなるのである。

ぼくも、いつかは、その椅子にあこがれ、その椅子をほしがる時がくるかも知れないが、それはなるべく遅くにしたいと思っている。

歳をとり、実績を重ねてくると、つい椅子が似合いそうになっている自分に気がつく。
そこであわてて、また「新人」をやる。

これはまだまだつづきそうである。



2007.07.28(Sat)
代行業

代行業の社会進出が著しい。一昔前までは「便利屋」といって、影を潜めながらその職責を果たす、いわば“影武者”のような職業と見られていたが、ここにきて市民権を獲得したようである。

便利屋といってもその仕事は幅広く、いわゆる花見の場所取りなどの「並び屋業務」に始まって、子守、パソコンの立ち上げ、テニスやゴルフの対戦相手、老人の話し相手、旅行のお供等々。

してみると、一時代前の幇間(太鼓持ち)が旦那の機嫌を伺う絵模様も、いわば便利屋であったわけだ。「依頼があれば何でもやります」が便利屋のスタンスだったのだろう。


受験合格のためのお百度参り、初恋の人の現状調査、迷子のペット探しから、最近では結婚式や葬式の代理出席などの依頼も多いようで、その守備範囲は尋常ではない。

その便利屋が、今や代行業の名のもと、仕事の中身を限定して社会進出してきた。「運転代行業」は、飲酒運転撲滅の社会的要請以降、ニーズが殺到して、何時間待ちの状態。

「家事代行」は近年の核家族化に伴い、依頼は急上昇中。若夫婦の共働きや、高齢者宅の急増といった現実が、家事代行の異常なニーズからも読み取れる。

「お墓掃除代行」。これも先ほどの家事代行サービス同様に、高齢者や共働き世帯からのニーズが圧倒的に多い。加えて「長く行かないと気になる」という依頼者の心理を巧みに突いている。

「お墓参りしたくても、故郷が遠くて行けない」「お墓は近いが、体が不自由で行けない」人のために、墓石掃除や墓参りの代行をする業者が急増するのがビジネスの世界だろう。

しかし、「長く行かないと気になる」という心理を利用する(?)ビジネスから、わだかまりが生じるのも事実。「安心」を売り物にする警備事業同様、何かシックリこないものがある。



2007.07.22(San)
社会保険制度

仕事柄、新入社員研修の講師を依頼される。

餅は餅屋だから、労働法に関する解説で始終するが、ほんの数ヶ月前まで学生であった者に、医療保険や年金の仕組みを説明するのは手の掛かることだとつくづく思う。

テキスト片手に、唾飛ばしながら力説しても、まるで理解が得られず、時に、白々とした空気が流れ出す。そんな中で編み出したのが、給料明細書を利用した社会保険の解説である。

このやり方は、身近な給料明細書の「支給」と「控除」を対比させながら「給料」を読み進め、そこから社会保険の仕組みを理解していこうとするものである。

「支給」欄には就業規則に定められた基本給や手当があって、就業規則を見れば、会社の給料の支給基準がわかるし、一方、
「控除」欄には、様々な保険料が天引きされている。

「健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料って何?」そんな疑問が生まれればシメタモノで、「何で引かれるの?」に始まって、「どんなときに保険って使えるの?そしていくら貰えるの?」

社会保険を理解させるには、この方法が一番いいと思う。要は、本来貰えるはずの給料が天引きされるのは、本人にとっての痛みであるから、その痛みから社会保険制度を体感させるのである。

ということで、給料明細書を利用した説明は、若者に良く効く。そのためには痛みの部分を力説する必要があるが、若者はやがて痛みだけではないことも知るようになる。

人生は長い、失業も病気もケガもあるのが人生で、そのときには相互扶助の有難さを思うだろう。
「自分さえよければ」という考えの対極で保険制度は生きているのである!




2007.07.14(Sat)
体から心へ!

東京で寄席通いをしていたころ、川柳川柳(かわやなぎせんりゅう)という好きな噺家がいた。入りの悪い客席に向かって、「ぼんやりしてないで、笑いなさいよ」と愚痴っていたのが印象的だった。

その後に決まって、「面白いから笑うのではなくて、笑うから面白くなるんですよ」と語っていたが、寄席に通いなれると、確かにそれを肌で感じるようになった。

つまり、心から体ではなくて、体から心である。理屈では、感情が前頭葉を刺激して行動を起こさせるが、逆もまた真で、態度や行動によって感情が左右されることの方が大きいのではないか?

そんなことを思い出させてくれたのが、今週の日経新聞夕刊・あすへの話題。脳研究者の池谷裕二さんが、ある実験を引用して“笑い”を解説してくれている。こんな話だ。

参加者にヘッドホンの機能テストをお願いする。基準に合格ならば頷いてもらい、不合格ならば首を横に振ってもらう。テスト中、目の前にはペンが置かれている。

試験後、二本のペンを用意する。一本は先ほどのペンで、もう一本は別の新しいペンである。そこで「どちらが好きですか」と尋ねる。

すると、テストで頷いた人は古いペンを、首を横に振った人は新しいペンが好きだと答えるという。肯定的な態度を取ったときには、その時に見ていた周辺のものも好きになるというわけだ。

またこんな実験もある。ペンを縦にして口にくわえる。二種類のくわえ方がある。一つは唇に触れずに前歯で噛む。もう一つは歯に触れずに唇だけで挟む。

歯で噛むとその表情は笑顔に似るが、唇で挟むと笑顔ができない。強制的に表情を固定しようというわけだ。ペンをくわえた状態で、さまざまなマンガを見せ、その面白さに点数をつけてもらう。

すると歯で噛んだ人の方が、同じマンガをより面白く感じることがわかった。
池谷さんはこうした実験結果から、「笑うから面白くなる」という説を導き出したのだった。

体から心・・・か。泣くのもそうだ。悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しくなってくるということだ。池谷さんは最後に、フランスの学者の言葉を借りて、こんなふうに話を締めくくる。いい言葉だ。

「あなたが笑顔でいれば、世界も一緒にほほ笑んでくれるだろう」



2007.07.07(Sat)
高卒求人開始!

今月2日から、高卒予定者を対象とする求人申込みが始まった。

景気回復の追い風を受けて、今年も新規学卒者の売り手市場となることは間違いなく、人の流れが大企業へと加速する中、中小零細企業はどう活路を見出していくのか?

2倍を少し超える愛知県の有効求人倍率では、「中小零細企業は大変だろうな」と思っていた矢先、「刈谷市初の中途採用 来春 人材の確保に危機感」という昨日の中日新聞の見出し。

何と、刈谷市役所が来春の職員採用で、初めて中途採用を導入するとのこと。
今春の採用で、一般事務職の受験者倍率が急激に下がったことが直接の理由。

新卒だけでは優秀な人材を確保するのが難しいと判断したようで、集積する自動車関連企業の好況がもたらした“大企業への人材の流れ”は、公務員の採用にまで影響を及ぼしていたのだ。

親方日の丸はどんな時でも頑強かと思っていたが、時代の流れはどんな強固なものでも風穴を開けるものだと知った。加えて、役人の度重なる不祥事が新卒者の背を押したのか?

刈谷職安(ハローワーク)の有効求人倍率は、2.29倍(5月)で県内でもトップクラス。大企業がひしめく刈谷地域は、中小零細企業だけでなく、刈谷市そのものも大変なのだ。

ということなら、元公務員志望としては、刈谷市役所へ応募したいと思うが、老残では採用されるはずもないから、ここは断念することにする。



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