あおみ労務事務所
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労務記録
「会社の粘着力を増すためには社員との共通の思い出をより多く持て」と、明日香出版社の社長・石野誠一氏が、かつての講演会の中で言っていたことを思い出します。
このページでは、労務管理の意義を、「人を活かす」という視点でとらえ、業務で体験した出来事や身近で話題になったことなど、労務管理の記録を発信していきます。
2004.03.27 (Sat)
イチローの思想

労務管理の手法に「目標管理」というのがある。
担当者自らが自分が担当する仕事についての目標を設定し、その目標に対して上司との合意がとれたら、目標達成に向けての活動は自己統制しながら進めるというものである。
この場合、上司と部下との対話が成功の鍵とされる。
プロ野球選手を思い浮かべると分かり易いと思う。

ある選手が来シーズンの目標数値を設定する。
打率2割8分、ホームラン20本、盗塁20個でもいい。
本人の力量としては必ずしも達成できる数値とは言い難いが、例えば打撃フォームを少し改良すれば無理な数値ではないと判断したとしよう。
コーチとも十分な打ち合わせをし、目標を達成できるような練習方法を開発し、心身面での鍛錬を繰り返し、確実にトレーニングスケジュールをこなしていく。
シーズンに入れば、実践で残した数値から進捗度数を測定し、足りない面は何なのか、次に何をすべきかをたえず導き出していく・・・・・・。

企業の中で、「目標管理」がうまく機能するのはY理論を前提にした人間観が必要だろうと思う。
そしてここのところが肝心なのだが、Y理論を引き出せるのは実は経営者の力量なのです。
ちなみにX理論とY理論は次のとおりです。

「アメリカの経営学者マクレガーによって提唱された、管理行動を考える際の人間観。X理論は、人は生まれつき怠け者で、厳しい賞罰で統制しなければ働こうとしないという前提に立つ。それに対しY理論は、人は条件次第で目標達成に努力し、自ら進んで責任をとろうとするという前提に立つ。 マクレガーは、人を成長させ、より高い目標を達成するためにはY理論を前提とすることが必要と唱えた」


さて、マリナーズのイチロー選手。
オープン戦の打率が4割5分5厘の高打率だったらしいが、本人は次のように淡々と話していたといいます。
「そうですか。それは知らなかった。しかしゼロでないにしても大きな意味を持つものではない」
イチローは極めて現実的な考え方をする打者で、次のような思想を持っている。

「バッティングで結果が出ないと、一番いいときのビデオを見るという人がよくいる。でも、それだとベストと実際のギャップを感じて余計に苦しくなるのでは・・・・・・。良くもないがそれほどひどくない状態を基準にするべきでしょう」

「目標管理」の基準を考える上で参考になりそうな言葉です。



2004.03.20 (Sat)
年金が危ない!

衆院厚生労働委員会は、昨日、今年4月から、国民、厚生年金など公的年金の受給額を消費者物価の動向に合わせて0.3%引き下げる年金額改定特例法案を自民、公明の賛成多数で可決した。物価スライド制を適用したもので引き下げは2年連続。
改正法案によると、サラリーマンの厚生年金(40年加入、妻は専業主婦)は月額235,258円で、734円の減額。自営業者らの国民年金は、夫婦2人で月額132,416円となり、418円の減額となる。(中日新聞)

年金が危ないと記しましたが、急速な少子・高齢化は確かに年金を危ういものにしています。
昨年に続いて今年も年金受給額の引き下げが行われることになりました。
これは、物価が下がったためのもので、物価スライドは法律に明記されているので仕方のないことですが、受給者にとって下がるのはいい気持ちのものではありません。
昨年も、この件での問い合わせがずいぶんありました。

「年金は下がるものですか?」
「下がるものなのです。物価の上がり下がりで年金の受取額は少しづつ変わります。今までは物価が上がっていたので、年金額も上がっていたのです。また、もっと以前は賃金スライドといって給料の上がった分だけ年金額も上がっていたときがあります」

今年もこんなやりとりがあるのだろうな、きっと。
年金が少し心配になったきた。



2004.03.14 (San)
年金加入記録送付サービス

今年は5年に1度の年金法改正の年だが、改正法案は国会で相当もめそうな雰囲気です。
以前から争点として、世代間格差が指摘されていて、納めた保険料に対し、受け取れる年金の倍率は、若い人ほど低くなります。
厚生年金を例にとってみると、今年69才の人は8.3倍、50代半ばの団塊の世代は約4倍だが、29才だと2.4倍となります。
団塊世代やその前後はやや優遇しすぎの印象があり、その後の世代は気の毒な印象が拭えません。しかしいずれが優遇されようがその時々の社会情勢を鑑みた結論であり、損得を言うのは、不毛の論理だと思います。
何が良いのか悪いのかは、どこまでいってもわからないことで、最終電車に乗り遅れたことが、結果として良かったということもあるのです(ずいぶん飛躍した理論です)。

   運不運よいほうにとって終電車         比呂志

さて、社会保険庁は、年金加入者が受給年齢になる直前の58才に達した時点で、年金加入記録を送付するサービスを開始したと発表しました。
年金の個人情報提供体制の強化を図るもので、希望者には受け取る年金の見込み額についても通知するそうです。

照会専用電話(加入記録 0422-70-0077   見込み額 0422-70-0088   4月22日から)



2004.03.06 (Sat)
個と組織の新しい関係

あなたの会社に、足りないものは何ですか?
あなたの働き方に、足りないものは何ですか?

組織への従属からの変化が求められている今、私たち個人は何のために働くのか、組織は何のためにあるのか、企業の価値とは何か、が問われています。
富士ゼロックスのシンポジウムの模様から、くらたまなぶさん(あそぶとまなぶ事務所代表)の発言を集めてみました。

『町のパパ・ママラーメン屋さんってありますよね。
夫婦で経営して、バイトを1人雇っているような。
昔は満員だったらしいけど、今は業績不振みたいな。
そこでお父さんがバイトに言うわけです、お客さんの前で。
「予算をしっかりやれ。もっとチャレンジしろ!」と。
それを見せられる客はラーメンがまずくなり、客足がますます遠のく。
チャレンジとか予算とかは、お店=企業の中でクローズに話していても何も始まらないし、お客さんも増えるはずがないですよね。
昔は、方針と指示命令に従っていればよかったけど、私と上司の先にはお客さんがいて、そこから拍手をもらわない限り、内輪でけんかしても何の意味もない。
社会に受け入れられてこそ、個と組織の関係はうまくいくんだと思います。』

『予算のような数字の目標は必要ですね。
でも同時に必要なのが、言葉の目標なんだと。
機会、バイオ、情報、どんな業種でも組織を成り立たせている根っこの部分には、算数と国語しかないと思うんです。
数字の目標だけを求めても絶対にもうからない。
言葉、つまり国語があってはじめて、現場も動くと思いますね。』

『どんなに小さい案件でも大きな新規事業でも、必要なのは「ロマン」と「そろばん」と「冗談」だと思っています。
企業にロマンがあることで、お客さんはその見返りに“チャリン”とお金を支払ってくださる。
ラーメン屋さんなら、「くらた豚骨ラーメンで満腹と幸せを」というように。
逆に、あらゆる味で勝負するのであれば、自ずと商品開発も店の体制も変わってきますよね。
その一方で、そろばん=目標を達成するには、いい意味での歯車が必要不可欠だと思います。
少し実務的に言えば、上司と部下とお客さんがいたとして、現場に近い若いメンバーがまず吸収して、それをフィードバックするような体制をいかにつくっていくかが面白いし、一番努力しがいがあるはずです。
そしてたとえ苦しい時でも、意欲や愛情や情熱をベースにした冗談を言い合って、みんなで頑張るという姿勢が大事なんだと思いますね。』

『やっぱりお互いが尊敬し合うことが一番です。
接待はどうしたらいいんだとか、名刺はどう交換すればいいのかっていうことは、上司を尊敬して聞いた方がいい。
でも街の流行はどうなっているんだっていうのは、上司が部下に聞かなければいけない。
その50%づつの尊敬し合いをうまくやれば、必ず新しい関係が築けるし、お客様の声を風通しよく入れることにもつながるんだと思います。』


  
2004.03.01 (Mon)
あいちしごと情報ナビ

愛知県就業課は3月1日正午から、仕事を探す若者と人材確保を目指す企業との「出会い」の場をホームページ上で提供する「あいちしごと情報ナビ」の運用を始める。
県内の勤務地で若者を正規採用する予定のある企業と、県内事業所への就職を希望する30才未満の人が対象で、大学などの新規卒業者を含む。
求人・求職情報の提供のほか、求職者同士で意見交換する掲示板や人事担当者からのアドバイス、ビジネスマナーが学べる問題集などのコーナーがある。
登録すれば、求人企業や求職者へEメールで連絡できる。
ホームページに掲載された情報は、公開の翌々月末に削除される。
「あいちしごと情報ナビ」のアドレスは


http://www.jobnavi.pref.aichi.jp




2004.02.20 (Fri)

雑感

労務管理の仕事に携わっていてつくづく思うのは、カネにきれいでありたいということだ。 
すべてが損得抜きに生きることは難しいだろうが、少し損するくらいがいいような気がする。
権利と義務が背中合わせなのが世の中である。
しかし、義務を行使せずに権利だけを主張する人がいかに多いことか。
退職時、引継ぎもせずに有給休暇を残らず使って辞めていく社員がいるが、いい気分のものではない。
他方、退職する者に有給休暇を絶対に認めない経営者もいて、同友会で学ぶ「共に育つ労使関係」にはずいぶん遠いなと思う。

15年ほど前だった。ある会社の社員が仕事中の災害で1ヵ月ほど休業した。
社員は年少者だった。
療養の状況を確認するために社員の自宅へ電話したとき、お母さんが出られた。
ケガの具合、職場復帰のメドなどを聞いた後、労災保険の休業請求の話をした。
そのとき、お母さんは「そんなもの請求しないで下さい。働かんでおカネをもらうことを覚えますので」と言われた。

後にも先にも給付を拒まれたのは、このときだけである。




2004.02.15 (San)
春秋

今朝の日経新聞・朝刊のコラム「春秋」欄。

『「会社人間」という言葉が生きていた時代を企業で過ごした世代には、「成果主義」の人事管理が広がるこの時代の会社がどんな風に映るのだろうか。
組織率が2割を切った労働組合が賃上げを要求から外して,俳句の季語にもなった「春闘」の季節は有名無実も同然になった。
一方では政府の審議会が65歳までの雇用延長を打ち出している。
昇進、転勤、リタイア。
どの世代にとっても企業社会の眺めが大きく変わってきた。』

「大河の流れ」というのがある。
労務管理もこの大河の流れの中で移りゆくのだろう。
終身雇用は残り、年功序列はなくなっていくだろう。
終身雇用が国策として守られるかわりに、企業はその人が残した成果によって賃金を変えていく。
しかし、成果が顕著に判定できる職場はいい。
成果を測る能力も材料もシステムもない職場はどうなっていくのだろうか。
簡単にはいかないことが山のようにある。
そこに中小零細企業の弱点があるが、しかし一方で「面倒見のよさ」や「温かさ」「やさしさ」があるのが中小零細企業だろう。
その利点をどうつかまえ、具体化するか。
そこには大企業とは違う労務管理が求められる。


  
2004.02.08 (San)
学生向け会社説明会 吉本興業、有料に

吉本興業が毎年春開く学生向けの会社説明会を有料にする。
早ければ2005年からで、参加費は1人千円程度になる見込み。(中日新聞)


求人のための会社説明会を有料にするのは、前代未聞と言っていいだろう。
私がかつて勤めていた「敷島製パン」を例にとると、製パン業界国内2位でありながら、求人には苦労していたという気がする。
懇切丁寧に会社説明をし、「いい会社」を学生に植え付けるのにずいぶんと努力している節があった。
好景気に沸くあの当時であれば当然の事かもしれないが、説明会に参加した学生には土産まで付けていたという記憶がある(勘違いかもしれない)。
今、中小零細企業の労務管理に携わっている者として、どんな中小零細企業であろうと、会社説明会を有料でやるくらいの目標があってしかるべきだろうと思う。
有料にして、なおかつ学生が集まる「魅力」をどう備えていけるかに精力を注ぎ込む事だ。

さて、吉本興業。
「なかには冷やかしも少なくない」と言っているように、10人未満の採用に延べ千人が参加する。
開催にかかる費用を賄うためというのも、うなずける。
有料化に伴い、説明会に同社のタレントを出演させ、漫才やコントを楽しんでもらい、ファン層の拡大を図るのも二次的なねらいである。

転んでもただでは起きぬ難波根性はたくましい。


                                                           
2004.02.01 (San)【ちょっといい話4】
豊田大谷校野球部監督・中村豪さん(61)が今朝の中日新聞・県内版「未来の主役へ」に登場。
中村監督といえば、工藤公康(巨人)やイチロー(マリナーズ)などを教え子に持つ、愛工大名電高の往年の名監督です。
工藤公康に関わるエピソードがいいので紹介します。

『印象深いのは工藤公康。
当時、野球部員は授業後に名古屋市千種区の学校から春日井市のグラウンドまでスクールバスで通っていたんだけど、僕は中学時代から有名だった工藤が上級生につぶされちゃいけないと思い「走って通え」って言ったんです。
工藤は1年から3年の春まで走り続けました。                                    「努力する才能」が、40歳を過ぎても現役選手でいられる秘訣でしょうね。

その工藤が3年の時でした。
夏の愛知大会決勝の前日に、OBが工藤や捕手の山本幸二(元巨人)、内野手の中村稔(パ・リーグ審判員)ら主力だけを食事に連れ出したんです。
僕は「残ったやつの気持ちを考えろ」と怒り、帰ってきた彼らを殴りつけた。
「決勝はおまえたち抜きでやる」。
反省させるための演出だったけど、残った選手らが「一緒にやりたい」って訴えてきましてね。
この一件で士気が上がり、決勝で浜田一夫(元中日)のいた愛知高に競り勝った。

それが僕にとって初めての甲子園。
あの感動といったらなかった。
今でも感動を追いかけているくらいですからね』


                
2004.01.24 (Sat)
昨夜、愛知県社会保険労務士会・三河西支部の新年会に出かけた。
相変わらずのメンバーで、何一つ目新しい事はない。
酒好きの身としては、家で飲むか、そこらの居酒屋で飲むか、新年会で飲むかの違いだけで、金額の多少はあるにせよ、新年会に参加するのにまるで抵抗がないが、酒の飲めない会員や、酒席の雰囲気になじめない会員では、義理にでも参加する気は起こらないだろうと思った。
厚生部の方が企画や設営にご苦労されたようだが、もう少し実りのある新年会ができないものだろうかと思う。
「新年会なんてこんなものよ」と言ってしまえばそれで終わりだが、要は心の問題かもしれないという気もする。
何かを捜しに出かけるという気負いもときには必要かもしれない。なにせ待っているだけでは何も始まらないのだから。
そんなことを少し思った新年会でした。


賃金未払いが過去最高

2002年に全国の労働基準監督署に寄せられた賃金未払いの申告軒数は、約2万3千件で、総額は約277億円と過去最高だったことが厚生労働省のまとめで分かった。
企業が倒産して賃金が支払われずに、国が立て替えた額は、2002年度は約476億4千万円と、前年比86.4%増に上り、これも過去最高。(中日新聞)



2004.01.15 (Thu)
少子化対策は国づくり

日経新聞夕刊「大磯小磯」から。
上と下とでは論点が違うが、的を得た提案だと思うので掲載します。

「21世紀の日本を展望するとき、国が取り組むべき最大の課題は少子化対策である。
現在最大の政治課題である年金問題も、結局は子供の数が増えない限り解決しない。
移民を増やすという選択肢は、日本にとっては極めて困難だろう。
少子化が解決しない限り、年金問題は掛け金率を引き上げ、支給額を減らすしか解決の道がない袋小路である。
政治は年金問題の根本である少子化対策を、もっと真剣に議論すべきである」

「長期的に見れば、そもそも国の運営する年金によって老後の生活を支えるというライフスタイル自体を変えなくてはならない。
年金制度が維持できなくなるとすれば、老後の生活は家族が一体となって、自ら支えるほかはない。
そのためには、親の老後を支えてくれる子供が増え、充実した教育が施されて、国に頼らなくても老後の心配のない社会システムに変わっていかざるを得ないだろう。
社会保障を国に頼る社会から個人が自らの生活を家族単位で守る社会に移行しなければならない。
国が面倒を見るのは、不幸にしてそれができなかった人たちだけにすべきである」



2004.01.07 (Wed)
幸せになるためのコツは?

『おかあさんがもっと自分を好きになる本』という本が「学陽書房」から出ています。
著者は以前このページで取り上げたフリージャーナリストの北村年子さん。
シンガーソングライターの平松愛理さんと「共演した」シンポジウム以後、少なからず注目して見ていましたが、ようやく出会えました。
本の要旨は次のとおりです。

『自分が自分を好きで幸せになってこそほかの人を大切にできる。
「自己尊重トレーニング」という心理学的な方法を通して「いいお母さん」ではなく、「幸せなお母さん」になろうとすることで、子どもともいい関係になれる。
そのコツを「一歩だけ先行く仲間」として記している。
自分を許し受け入れることは「甘え」ではなく「心の栄養」である。 
愛されたい、認められたい、つながりたいと感じるのは子どもだけではなく、母親も大人もみんな同じ。この感情に素直になればもっと幸せになれるはず』

「労務管理」のヒントになりませんか?



2003.12.31 (Wed)
中日新聞生活欄に、生活部記者が選ぶ2003年10大ニュースが発表されています。            この中で、「年金改革」と「有期契約派遣社員の雇用ルール改正」の2つは我々の日常業務に関するものなので紹介します。

年金改革                                            少子高齢化が進み、個人の収入は増えず、金利もつかない“総デフレ状況”の中で、将来への不安が増し、5年に1度の年金の見直しにかつてないほど関心が高まった。
11月の総選挙では争点の1つになったが、その後発表された厚生労働省の改革案では結局、抜本的な制度改革に踏み込めなかった。
来年2月に国会に提出する予定の政府案作りに向け、年末には、厚生年金保険料の上限を18.35%に、給付水準を現役世代の50%以上に確保する方針が決定。
だが、保険料を払っていないサラリーマン世帯の専業主婦の扱いなど、議論が分かれる部分が残っており、年明け後も曲折が予想される。

有期契約派遣社員の雇用ルール改正
長引く不況で、パートタイマーや派遣社員などの非正規社員が急増する中で、期間を定めて働く有期雇用契約や派遣期間の延長など、雇用に関わる法律が改められた。
有期雇用契約は労働基準法の改正で、原則1年が3年に延長される。
施行は来年1月1日。
労働者派遣法の改正では、「一時的・臨時的派遣」が上限1年から3年に延長される。
3年を超えた場合は、派遣先の企業が直接雇うことを義務づける。
これまで禁止されていた製造業への派遣や正社員への雇用を予定した「紹介予定派遣」も解禁に。
施行は同3月1日。
有期契約や派遣雇用が拡大されることで多様な働き方が可能になる反面、正社員への道はさらに険しくなりそうだ。


                                                           
 
2003.12.24 (Wed)
顧問先企業から退職金のことで次のような相談を受けました。                        
「税制適格年金に加入し生保会社に任せきっていたところ、その生保会社から現状の給付を維持していくためには、2,000万円近くの掛け金の積み立てが不足している、掛け金の増額を考えたらどうかと言われたが、どうしたらよいか」

税制適格年金とは
そもそも税制適格年金は、生保会社等が行っていて、中小企業が従業員に支払う退職金を準備するために加入します。
「確定給付型」で、金利が下がると企業側の負担は大きくなります。
従業員が辞めると、積み立てられたお金は従業員に直接給付されます。
会社が支払った掛け金は全額経費損金。

税制適格年金の給付の減額がなぜできないか
顧問先は、上のような適格年金の性格からして、掛け金の増額とともに給付の減額を行なうべきで、それをもっと早い段階にすべきだったと、生保会社の対処の仕方に憤慨していました。
しかし、生保会社では難しい問題があり、それはできなかったと返答するばかり。
難しい問題とはおそらく次のようなことだろうと推測します。

適格年金はそれを始めるには国税庁長官の承認が必要で、その給付の減額に関しても承認するかどうかの権限を持っている。
給付の減額は、相当の事由のある場合を除いて、原則として認められない。
「相当の事由」には次の場合も含まれています。
「運用利回り等の著しい低下等の事由により過去勤務債務等の額が著しく増加し、給付の額を減額しなければ掛け金等の払い込みが困難になると見込まれるため、給付の額を減額する場合」
しかし、実際には減額が認められるのは加入者の3分の2の同意が必要で、同意があったとしても認められないことのほうが多いようです。

ではどうしたらいいか
具体的に考えられるのは次のような選択肢です。
@給付を減額して継続する(今後は給付減額が認められやすくなりそうです)。
A解約する。
B中小企業退職金共済に移行する。
C確定拠出年金(401K)に移行する。
大切な事は、企業側がどれだけ現状を把握しているかということだと思います。
生保会社の対応に憤慨するのも分かりますが、自分たちの会社は自分たちで守る、という姿勢がなければどうにもなりません。
社員と同じ土俵でとことん話し合い、何が最善かを皆で考えていくこと。
全社的に定例の勉強会を開くことなど考えたらどうでしょうか。


    
2003.12.17 (Wed)
ストレスたまる一般職

ヤクルト本社が16日発表したサラリーマンの「健康と生活意識調査」によると、
「職場でストレスを感じるのは、管理職よりも30代の一般職」
「妻よりも夫の方が配偶者を大事にしている」                                    というような実情が浮き彫りになった。

調査は今年10月に実施し、東京都内の上場企業勤務の男性400人からの回答によるもの。
今回の結果を1984年の調査と比べると「仕事でストレスがよくたまる」との回答は約20ポイント上昇の33.8%。
年代別では40代と50代の約30%に対し、30代は40.0%と最高。
役職別では管理職の30.5%に対し、一般職は36.0%。
生きがいは、「子ども」との回答が54%と最高だったのに次いで「配偶者」も46.3%と2位。

ただ、同社が昨年、主婦を対象に行った調査では、「配偶者」は39.0%にすぎず、順位も「子ども」「食べ歩き」「友人」より下の4位。


2003.12.13 (Sat)
労働基準監督官が短歌集を出版
  
                        
名古屋東労働基準監督署次長の田中徹尾さんが、第1歌集「人定(じんてい)」を出版したという記事が10日付の中日新聞朝刊に出ています。
「労働」をテーマとする歌を中心に編まれ「厳しい時代を生きる労働者に、歌で安らぎを」との願いがこもる、とあります。
監督官と短歌とはイメージとして「野暮」と「粋」ほどに遠い感じがします。
記事はそのあたりを対比させていて、堅苦しいお役人の中に見出した「柔らかさ」をことのほか強調しているような気がしました。
監督官の仕事は「働く人の命や健康を守る」ための行政指導をすることです。
田中さんは「最近の労働現場では、過労死や過労自殺などが深刻な問題。日々、その切実な実情を見聞きする中で、一生懸命に働く人たちが、読んでホッとするような歌を作り続けていきたい」と結んでいます。
その仕事にたずさわった人でないと読めないような歌の数々。
日々の仕事の中で感じた疑問、人間らしさとは。
仕事を離れたときの正直な自分、等々。
詩心のある監督官だけに応援したいと思います。
少しだけ監督官が身近になったような・・・

 捜査せし労災事故の被災者の名は覚ゆれどその顔しらず

 人を売る市場だろうか白書には労働市場の低迷と二度

 くちを開けぼんやりとするひとときに気付く喜び湯船にもぐる


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あおみ労務事務所 社会保険労務士 柴田比呂志
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