あおみ労務事務所
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「経営」という言葉を辞書で引いてみますと、「計画に基づいて事業などを行うこと。又そのためのしくみ」 とあります。畢竟、経営とは「経営指針(経営理念、経営方針、経営計画)を作成し、それを誠実に実践していくこと」ではないでしょうか。
このページでは、その時々の経営にかかわる情報を取り上げ、発信していきます。
2004.03.27(Sat)
ちゃんと、あなたと関係したい

理念ということについて考えてみます。

見出しは、スギ薬局(愛知県安城市二本木町二ツ池33-5)のコミュニケーションテーマです。
テレビCMでご覧になった方も多いと思いますが、白衣姿の清楚な薬剤師さんから「ちゃんと、あなたと関係したい」と言われたら、どうしようかと思ってしまいます。
CMは、通勤時のごく普通のお嬢さんが職場で白衣に着替え、薬剤師に変身する姿をみごとにとらえています。
この人とずっと一緒にいたい、この人をずっと見つめていたいという思いを覚えます。
実は理念に大切なことはこういった感覚で、言葉を変えれば「好き」ということかも知れません。
「好き」だからどんな苦難があってもできる、ということではないかと思います。
「好き」という感覚がずいぶん薄くなってきたなとつくづく思います。
流されるだけの日々が古新聞のようにうず高く積まれ、昨日があまりに遠いことのように感じられます。「ちゃんと、あなたと関係したい」と思える日がまた来るのでしょうか?

さて、下はスギ薬局の理念です。

『全店「保険調剤薬局」である私たちスギ薬局は、「かかりつけ薬局」という一大テーマを「ちゃんと、あなたと関係したい。」というコミュニケーションテーマとして考えています。
“HEALTH&BEAUTY CARE”
HEALTH CARE=健康 BEAUTY CARE=美しさ
健康=きれいになれる 美しさ=元気であること・・・
この4つの根っこは同じものであると思います。
私たちはいつまでも、HEALTH CAREのスギ薬局であり、
BEAUTY CAREのスギ薬局であり続けていきます。』



2004.03.20(Sat)
ときめきの胡蝶蘭

ときめきの胡蝶蘭。春は胡蝶蘭が日持ちする季節です。お求めは胡蝶蘭専門店で!」

今日の新聞チラシの見出しが躍っています。
春ですね。目に見えるどの風景を切り取っても春です。
あざやかな春色が柔らかな弧を描いて目の前を通り過ぎます。
それはあたかも暖かな日差しの下をさっそうと通過する菜の花色の電車のようです。
私の事務所内にもシンビジューム2鉢が満開です。
何かを求めるように花を伸ばしています。
求める先に何があるのでしょうか?

花と切っては切れないものに「花器」や「鉢」があります。
高浜市では、平成13年度から「焼き物のある暮らし」事業として、温かみのある「瓦」の素材を生かした新たな商品開発を展開しています。以下紹介します。

【庭  創  球
(ていそうきゅう)
遊び心のある球形の植木鉢。オブジェとしても楽しめます。


【やって三よオニ(やってみよおに)
魔よけ置物、ペーパーウェイトや魔よけキーホルダーなどかわいいオニのキャラクター。高浜市は鬼瓦の産地としても有名です。かの有名な日光東照宮の三ざるは、よくないことを「見るな」「言うな」「聞くな」という教えですが、それに対してよいことを「見よう」「言おう」聞こう」という積極的な態度を呼びかける鬼バージョンです。

【穴ぼこアレンジメント】
剣山やオアシスなしで、手軽にフラワーアレンジメントを楽しめます。中に照明を入れる使い方もおもしろいです。


詳細は高浜商工会ホームページ。  
http://www.ajisai.sakura.ne.jp/~takahama/



2004.03.14(San)
下宿生

全国大学生活協同組合連合会がまとめた「学生生活実態調査」で、経済情勢が厳しい中、やり繰りに腐心する今の学生の暮らしが浮き彫りになった。

リストラが蔓延する経済情勢は、親からの仕送りを減少させた。
おそらく親としては仕送りを激減させたいところだが、子を思う親は、3度の飯を2度にしても子供への愛情を断ち切ることができないのだろう。
子は子で食費を自分なりに切り詰めている。外食を減らし、自炊をする割合を増やしている。
書籍費が落ち込んでいるのはインターネットの普及が背景にあるのだろう。

しかし、私たちの学生時代に比べて総じて何と豊かなのだろうか?
親にはなりたくないという気持ちが正直なところだ。
親の苦労を子どもはいつまでたっても分からない!

全体像を見渡すと下のような結果となっています。


2003年下宿大学生1ヶ月の生活費内訳
 
  
収入 支出
仕送り 85,670 ▲7.9 食費 25,120 ▲6.0
奨学金 18,820 12.8 住居費 52,660 ▲3.5
アルバイト 22,630 2.0
交通費 3,200 0.3
その他 1,970 4.8 教育娯楽費 9,400 ▲0.5
書籍費 2,560 ▲8.6
勉学費 2,050 ▲5.1
日常費 9,750 ▲1.0
電話代 6,160 ▲6.9
その他 2,660 ▲8.3
貯蓄等 11,270 5.9
合計 129080 ▲3.5 合計 124,820 ▲3.2
    (数字は四捨五入、合計額は一致しません)


2004.03.05(Fri)
あいのり

世の経営者の皆さん。
経営とはいかなるものでしょうか?
私は一応、経営者という部類に入りますが、本当の意味での経営者ではありません。
というのは、儲けという概念が基本的に欠落しているからです。
いや、むしろ儲けなくてもいいと思っているくらいです。

少し前に『あいのり』というテレビ番組を見ていました。
数組の男女が「らぶワゴン」というクルマに相乗って世界各地を旅していく中で、男女が互いを知り合いながら真実の愛をつかんでいく・・・という心温まる番組でした(今でもやっています)。
ヒマラヤ山脈の麓にあるブータン王国を旅していたときのこと。
番組はその国の特徴を伝えていました。
ブータン王国は国の発展を拒み、新しい文明を受け入れることなく、何百年も過去と同じ様式・生活水準を保ち続けています。
経済の発展や文明の進歩は人の暮らしを便利にしてくれるが、それは幸せとは別次元のものであるという認識なのです。
だから、例えば「橋」ならば、今の日本にありがちなデザイン性を重視し景観を損なわないものをつくるのではなく、人が渡れればそれでいいという発想なのです。
そして、そこに住む住民はどこまでも明るく、強く、真面目なのです。
日本人と源流を同じくするのか、ブータンの人々は驚くほど日本人に似ています。
日本の原風景がそこにあるような気がしました。

ともすれば私たちは、便利であること、生活水準が上がることが幸せだと思いがちですが、それを戒めるような『あいのり』でした。



2004.02.27(Fri)
元気な個人、元気な企業

少し前に、このページで取り上げたことがありますが、元吉本興業常務・木村政雄さんが相変わらず、鋭い視点で世相に切り込んでいます。
中日新聞朝刊に21世紀に躍進する元気企業の特集が組まれていて、その中で木村さんは次のように語っています。

『僕は吉本に33年間いたわけですが、大体10年周期で転機があったわけなんです。
「やすきよ」という大スターのマネージャーとしてこれから芸能界でと思った時に、東京へ行けと言われたんです。これが10年目。
そして、東京では無名の吉本の売り出しに奔走したんです。
漫才ブームもありやっと吉本の知名度が上がったと思ったら、今度は大阪へ戻って来いと。これが20年目です。
沈滞気味の興業に手を入れたりして、吉本も元気を取り戻しました。 
そして、30年目、今度は常務になれと。
偉くなったからええやないかと言われそうですが、僕から言わせてもらえば、現場を取り上げられたんです。
30年間で「やすきよ」を取られ、「東京」を取られ、そして現場そのものを取り上げられた企業人生活でした。
でも取り上げられて、違うテーマに挑戦させてもらったから、結果として元気になれた自分がいて、そして自分の賞味期限も延ばせたように思うんです。

今の木村政雄の元気はこの吉本時代の3回の挑戦に凝縮されていると思っています。
でもこのまま吉本にいて、今までのような元気さが自分自身として保てるのかと自らに問うた時、まず辞めてみようと思ったのです。
何をしようと計画があったわけではありません。
捨てることがあってこそ、見えてくるものがあると。
まずはリセットしようと思ったんです。
あったのはこれからも人と接する仕事がしてみたいという思いでした。

人は無いものに集まってきます。
あたかも光に群れる虫のようなものです。
昔はモノがなかったから、モノがある所に人は集まりましたよね。
それじゃ今の時代に無いものは何だろうかと。
それは「元気」だと思ったんです。
みんなうつむいて歩いてますよね。
「元気」になれる場面を作れば人は集まってくると思って、「有名塾」を立ち上げたんです。
そんなにお金になるものではありません。
しかし人と接することで何か新しい考えや思いが自分の中に芽生えてくることもあります。
そんな元気さを与えられる環境を色んな組織が持つことができれば、もっと元気な個人、元気な企業、そして元気なニッポンになれるのではないかと思っています』



2004.02.21(Sat)

念ずれば花ひらく

愛知中小企業家同友会への入会は平成5年の初夏だった。

“夏が来れば思い出す”の尾瀬の水芭蕉ではないが、あの頃どんな思いで入会し、何を学ぼうとしていたのだろうかと思う。
その前年の秋、一度だけオブザーバーで参加した。
そのときの例会は「裸婦デッサン」だった。
刈谷市在住の洋画家・青山誠一さんが、きれいなモデルさんを3人連れてこられていた。
青山さんの話の後しばらくして、その3人が裸婦となり、デッサンは始まった。
皆「難しいな、難しいな」と口走っているが、表情は崩れっぱなしだった。
あのときの例会の趣旨は何だったのだろう、今更ながら思う。


入会まもなくオリエンテーションがあった。
2人の報告者が「同友会と私」というテーマで話をされた。
「同友会で何を学び、どう活かしているか」という内容だったと思う。報告者の1人がA薬品のAさんだった。
懇親会の席で名刺交換した。
それから数日後、ハガキが届いた。
そこにはAさんの直筆で次のように書かれていた。


「先日は同友会三河支部新入会員オリエンテーションで、私の粗末な話を聞いて頂き、有り難うございました。低成長で激動の時代でわからないことばかりです。今後もご指導下さい。
柴田様にも健康に留意され、ご活躍をお祈り申し上げます。    感謝」


ああ、こんな人もいるんだと思った。
指導するどころではない。
話をしてもらうだけでありがたいと思う人だった。
Aさんとはその後何度も交流し、会うたびにカセットテープや小冊子を頂戴している。
あの頃のAさんのように、今では私もごく稀に報告者や講師の依頼を受けることがあるが、人はときの流れの中で成長していくのだと思う。
だから大切なことは決してあきらめたり、あせったりしないことではないか。

私の事務所には、Aさんの色紙「念ずれば花ひらく」とA薬品の薬箱が置かれている。



2004.02.15(San)
牛丼エレジー

吉野家の牛丼が姿を消した。                                             年中無休、24時間営業の吉野家は、若かりし頃の大恩人と言っていい。
南山大学の学生だった頃、夜中に酒を切らしては大騒ぎしていたという記憶がある。
四畳半の安アパートで、楽しみといえば酒。
屈強な若者が勉強するはずもなく、酒を切らせば大弱り。
そこへ救いの手を差し延べてくれたのが吉野家だった。
なにせ酒屋は早く店じまいするし、代わりに設置してある酒用の自動販売機は11時で終了するものだから、深夜となれば、吉野家へ行って牛皿の肉を食べながら、ビールを浴びるしかなかった。
今のようにコンビニが幅を利かせている時代ではなく、深夜に酒は容易に手に入らなかった。
地下鉄・鶴舞線の「いりなか」駅近くの吉野家。
今でもあるのだろうか。
もう一軒、贔屓にした吉野家がある。
こちらは、池袋演芸場(東京都豊島区東池袋)の脇にある小さな店。
演芸場を住処としていた私は、演芸場のスリッパで、昼の部と夜の部の幕間に店に通った。
金のない若者には「早い、うまい、安い」が何より魅力だった。
牛肉のタンパク源をここで一気に摂取して、明日を迎えたのだろうな、今でならそう思う。
またの日の楽しみにして、とりあえずは吉野家の牛丼、バイバイ!!



2004.02.08(Sat)
リピーター獲得集客作戦

避暑地として知られる山梨県高根町清里のイタリア料理店などの飲食店が、気温により自慢料理を安くする「寒いほどお得フェアー」を1月24日から始めている。
標高1,200メートルにある清里は、夏はゴルフやハイキングなどで約60万人が訪れるが、冬場は6万人前後。
新たな冬場の集客作戦としての出血サービスだ。

実施しているのは清里観光振興会飲食店組合の26店。
JR清里駅前にある観測所で毎日午前10時に気温を計測する。
気温が5度以下は30%引き、氷点下5度以下なら50%引き、店先にその日の気温と割引率、対象とする料理を示す雪だるま型の看板を置き、客に知らせる。

リピーターを獲得して冬の清里を活性化させる狙いだが、涙ぐましい努力といえる。


                                                          
2004.01.31(Sat)
人生後半戦のポートフォリオ 『時間貧乏』からの脱出

皆さん、自分の時間をどのようにお使いですか?
有意義に自分の時間を使えればいいのですが、他人に費やす時間(労働や通勤)にへとへとになって、自分の時間をぼーっと過ごしているのが現状ではないですか。
本日の日経新聞・朝刊「せいかつミステリー」は、そんなことを考えさせられる内容で編まれています。

作家の水木楊さんが、「人生後半戦のポートフォリオ 『時間貧乏』からの脱出」のなかで、時間という貴重な資産を自分の望むとおりに使おうと提唱しています。
その前提として、「カネ」「モノ」「時間」の三要素で三角形を描き、できた三角形の形で判断していくのです。
起点から真上に「時間」、左に「カネ」、右に「モノ」の軸を伸ばしていき、下の計算の答えを書き込み、三つの点を結ぶと三角形がどんな形になるか。

1日24時間から睡眠時間や食事などに要する時間として9時間を差し引く。
残りの15時間から、勤務時間と通勤時間を足した「他人時間」を引く。
これが「自分時間」。
便宜上、平日の自分時間に5(1週間分)と52(1年間分)を掛け、年間の自分時間をはじく。
それを起点から真上に伸ばした「時間」の軸に書き込む。

次に年収を年間の労働時間(1日8時間なら2千、10時間なら2千6百)で割り、時給を出す。
年収のうち預貯金に振り向けた金融商品購入金額を時給で割り、起点から左へ伸ばした「カネ」の軸に書き込む。
年収のうちモノやサービスの購入に向けた金額を時給で割り、その数字を起点から右へ伸ばした「モノ」の軸に入れる。

理想は底辺の長さに対して高さが大きいタワー型の三角形。
水木さんはこう助言しています。
「他人時間の中に自分時間を作る。将来への投資、例えば定年後、自分がやりたいことにつなげるつもりで、現在の仕事に取り組むことです」



2004.01.24(Sat)
働くということ

忘れられない中学校時代の恩師がいます。
生徒にたえず温かい眼差しを注いでくれていた担任で、今でも時折思い出します。
その先生は、地元の小学校の校長を最後に退任されて、その後、鍼灸の専門学校に入学。そして現在鍼灸治療院を経営されている。
あれほど嫌っていた(父子の離反があり、父親は子供皆に嫌われていたと言っていました)にもかかわらず、父が鍼灸師だったからこそ、先生の意識の中に「鍼灸」という文字が深く刻まれていたのでしょう。
数年前、鍼灸治療院を始めたことを知り、「ああ、いいな」と思いました。
時を隔てて(無論先生の父親はとうに亡くなっています)父子が分かり合えるのはこんな風景のなかにしか存在しないのです。

恩師のことを思い出したのは、今日の日経新聞・朝刊で次の記事を見つけたからです。

大阪・西天満。岡本健さん(71)。割烹着姿がとても似合っています。
定年まで5年を残す60才のとき、大阪高裁刑事部総括判事を最後に、裁判官人生に終止符を打ち、調理師学校で1年修行した後、大阪高裁から程近いビルに居酒屋を構えた。
膨大な証拠書類を読むのに気力の衰えを感じ、裁判官の仕事もマンネリに陥っていたとき「もういい仕事はでけん。潮時や」と迷うことなく黒の法衣を脱ぎ、割烹着に着替えた。
弁護士など法曹としての第二の人生は「過去の知識や経験を食いつぶすだけ」と眼中になかった。
一度得た地位や収入、名誉など「安定」は手放したくないのが人の常ではあるが、安定が充実感を保証してくれるとは限らない。
このあたりが生きる難しさだろうと思う。
「この景気でしょう。そりゃ厳しいですわ。しんどいけど、お客さんの笑顔見たらねぇ」
「後悔しない。自分で選んだ道やからね」
写真の顔がとてもいい。



2004.01.18(San)
体験型商品

消費者が実際に使い勝手を試して、納得すれば購入するという「体験型商品」が急増している。
景気の不透明感が漂う中で、高額商品に慎重な消費者の心理が背景にある。
メーカーや販売員による説明よりも“百聞は一つの体験にしかず”といったところだ。(日経新聞)

数年前、私の学び仲間であるふとん店の主人が、こんな事を言っていました。
「靴であればお客様は10人が10人、履いてサイズを確かめた上で買っていかれる。
しかし、寝具を買う場合、畳に横たわってふとんをかけて寝心地を確認したり、枕を頭にあてがってサイズなり固さなりを確かめた上で買っていかれる人はまれです」
そんな思いから、主人は、お客様がいつでも寝心地をはかれるようにと、店の片隅に実演コーナーを設けたのです。(私も体験した上で1万円の枕を買いました。体験は客に購買意欲をかりたてるのでしょうか)
このように、小さなお店では何でもないサービスが、大手企業にはなかったのです。
時代は進んで、今では住宅、家電にまで「体験」できるシステムが導入されました。
住宅なら、モデルハウスに宿泊して、その良さを確認できる、というように。
感覚に訴えるこの種のアイデアは、今後増え続けていくことでしょう。



2004.01.14(Wed)
「まるは」、中部空港出店へ

今日の日経新聞夕刊に、愛知県知多半島の南端にある食堂旅館「まるは」(南知多町)が2005年開港の中部国際空港(愛知県常滑市)の旅客ターミナルビルに料理店を出店する、という記事が載っていますが、「まるは」と聞いてすぐ思い出したのは、何といってもあの「おばあちゃん」です。

相川うめさん。艱難辛苦の末、食堂旅館「まるは」を大きく、有名にした張本人。
3年前、うめさん91才の時の講演(半田市法人会主催)を聴いた。
その前にもうめさん84才の時の講演を聴いている。
何とも元気なおばあちゃんで、その半生を語るときの迫力は、半分の年にも満たない私の比ではない。
おばあちゃんは、「勘考」という言葉を好んで使ったが、記憶に残っている「勘考」をここで紹介します。

それまで女漁師、魚の仲買をしていたうめさんは、昭和25年、知多郡豊浜に魚屋を開業した。
そのとき地元の人は皆、うめさんを嘲笑したといいます。
豊浜では魚は買うところではなく、貰うところだったからです。
そこで「勘考」したうめさんは、中古の自転車を2台買い、「自転車貸します」というたて看板と一緒に店の横に置いた。
豊浜という地は道の起伏が激しく、うめさん自身も今まで「自転車があればどれぼど楽か」と考えていたから、たて看板を見た通りすがりの人たちも同じ気持ちで、自転車を借りにきた。
これが口こみで広がり、「あそこへ行けば自転車がただで借りられる」と評判になったのです。
自転車を借りた人は、やはり人の子で、自転車を返すとき、魚の一匹も買って帰っていった。
こうしてうめさんの店は繁盛し、今のまるはの基礎をつくりあげたのです。

学のない(と思います)うめさんがなぜ成功したのでしょうか。
思いの強さ、何があってもあきらめない粘り、夫を早くなくし女手一つで子どもたちを育てていかなければならないという覚悟、等々。いくつかの要因があったでしょうが、この話は「勘考」ということの大切さを教えてくれます。
今でいうなら「創意工夫」という意味でしょうか。案外これができていない!!


                                                  
2004.01.06 (Tue)
こころの詩

このページをご覧の経営者の皆さん、日々の経営お疲れさまです。
経営者でない皆さんも宮仕えお疲れのことでしょう。
ところで、疲れを癒すすべをお持ちですか。
スポーツ、レジャー、マッサージに飲む打つ買う、といろいろあるでしょうが、私は少し悟りました。
それは気負いを捨てて生きることです。
あしたはあしたの風が吹く、でいいのではないでしょうか。
少し前、こんな句を目にしました。

 雪だるま目鼻もらひし方を向く    浅井柿条

「他力」の世界を思うことなく描いて、何ともいい句です。
雪だるまは目鼻を入れられるまでは東西南北どちらを向くかわからない。
目鼻を入れられて初めて自分の見る方向が定まるのです。
そこには雪だるまの意志は何一つない。
人も同じで、大自然の大きな営みの中で雪だるまのように立ちつくしている。
そうして、目に見えぬ大きな力に導かれ、生かされている。
困ったときは「他力」の風が吹くのです。
そう思うと何だか気が楽になります。
自分のできる範囲のことを誠実に行えばいい。無理はしない。
そんなことを思いながらの出発です。



2003.12.27 (Sat)
カラダ発想術3

またまた「あそぶとまなぶ事務所」代表のくらたまなぶさんの登場です。
しかしこの人の「カラダ」の使い方はすごい。
とことん「カラダ」に覚え込ますところにその本領があります。
考えてみれば、ファッションデザイナーの山本寛斎さんも同じで、「カラダ」に覚え込まそうとしている。
してみると、考えるのも肉体労働なのです。
さて、さて、くらたさんはこう言っています。                                     

『自転車の初乗りも鉄棒の逆上がりも、最初はうまくいかない。
はじめてギターを手にしたときも、ちゃんとした音が出なかった。
あきらめてしまいそうになる。
「いやまだまだ」とみずから奮起したり、他人(ひと)が後押ししてくれたり。
「それじゃあ」とまた鉄棒に向かう。
あるいはギターに。
錯誤しながら試行する。
くり返し、またくり返す。
そしてある日、ある瞬間、突然できてしまう。
「あれ?できちゃった」
「もう1回できるかな」
反復を重ねることで、ワザが身についてしまう。
「何人ヒアリングすればいいんですか?」
「ブレスト(ブレインストーミング)は何回くらいやれば?」
とよく聞かれるが、こう答えている。
「鉄棒や自転車と同じ。できるまでやるんです」
ぜひカラダを使って反復を!』



2003.12.21 (San)
カラダ発想術2

くらたまなぶさん(あそぶとまなぶ事務所代表)が、「仕事常識」の中で、何かを生み出そうとするときどうしたらいいのかについて語っています。
クリエイティブな仕事をしている人もそうでない人も、必見です。

何かを生み出そうとするとき、まずはアイデアを膨らませる。
大風呂敷を広げきる。
でかい大風呂敷を広げるためには、自分の小さな脳みそに頼らない。
答えは自分の中にあるのではなく、大抵、他人(ひと)の中か、街の中にある。
ネットを検索しまくる。
資料をあさる。
本を買い込む。
何より人に会って、聞きまくる。
実践できるテーマなら、自らどんどん実践する。
見る、聞く、触る、食べる、飲む、現地・現場に行く。
五感を使ってカラダに染み込ませる。
そうすると部品がカラダにたまっていく。
徹底的にインプット作業を続けると、今度は外に出したくなってくる。
人にぶつけてみる。
新たな素材が返ってくる。
ブレイン・ストーミングを繰り返す。
さらに大風呂敷が広がっていく。
だんだんカタチが見えてくる。
この際大切なことは、「否定語」は最後の最後まで使わない。



2003.12.14 (San)
共育とは

中小企業家しんぶん(12月15日発行)に、叶蜻艫潟Tイクルセンター社長の沼田清さんが「社員を育てる会社への脱皮」を目指して、共育や経営指針作成に取り組んでいる記事が載せられています。

沼田さんは、中小企業家同友会に入会し、初めての例会で、真剣に社員教育について討議する様子にまず驚きます。
「なぜ皆さんそんなに教育の話をするんですか。
今はいつでも人は採用できる環境なのだから、教育など考えるより、社員もどんどん入れ替えればいいんじゃないですか」
と発言して、みなの視線が微妙に変わったことを感じ取りました。
経営指針発表会にビールを飲んで参加したところ
「一体何を考えているのか」
と批判され、前夜作り上げた経営指針も
「こんなもの意味はない」
と一蹴され、同友会には二度と行くまいと決意したのです。

しかし、幹部と共に作った経営指針の効果が直後の決算に表われ、勉強している会社は伸びるんだと思い始めました。
「指針作りを通して、少しづつでも、ああでもない、こうでもないという議論ができるようになった。そのことが当社にとって大きかった」

この間、実践を通して社員に対する見方も変わってきました。
過去の赤字の一因が、退職者が出ると契約社員で補完して仕事の質が落ちたことにあったので、社員を育てなければということに気づき始めたのです。
「採用した以上、社員をやめさせるな、育て上げようと幹部に言っています。
できるのもできないのもいる。
いろいろな人間がいてこそ会社はバランスが取れる」

沼田さんは、共育、経営指針作成を通しての経営観を語ります。
「企業の差は学びの差、人が育った分が利益になって出てくる」

ちなみに中小企業家同友会では「教育」を「共育」とし、事業主が社員とともに育っていくことを目指しています。



2003.12.10 (Wed)
プリウスな人

「プリウスな人」と題され、作曲家の三枝成彰さんが芸術性、大衆性という境を超えた21世紀の音楽について語っています。
音楽の世界では、「芸術は貴いもので、大勢の人に理解してもらう必要はない」という考えが、まだまだ主流のようで、三枝さんはその考えを捨てようと主張されています。
「プリウス」とは“先駆け”の意。                        

「クラシック音楽は、もともとはわずか6千人程度の貴族達のものでした。
大衆にはまったく関係のない世界で生まれ育っていった。
しかし、数百年たった今、芸術として残っているのは当時の大衆音楽ではなく、クラシック音楽だけです。そう考えると、芸術性と大衆性は相反する関係にあるかもしれません。
わかりやすいことと品位があることは両立が難しくて、ここに新しさという要素が入るとなお困難になる。

しかし、私はやはり音楽は楽しくないといけないと思っています。
例えば食べ物でいえば、まずくても栄養があればいいというのは芸術至上主義の考え方であって、これからの社会では、わかりやすくなければ多くの人に聴いていただけないし、文化としても残らないと思うようになってきたのです。

21世紀は共存共栄の時代であり、これまで矛盾していた同士が融合できる可能性があると思います。
例えば、21世紀に継承できる文化性、芸術性を持ちながら新しい要素を導入し、同時に現代のあらゆる世界の人たちに愛され、人間って偉大なんだって思えるような作品ができるような気がしています」 
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