□2004.07.31(Sat) |
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■自分のカンバン
このページで、かつて取り上げましたが、フリープロデューサーの木村政雄さん。
「元吉本興業常務で、人気漫才師横山やすし・西川きよしのマネージャーだった人」と言えば、「あぁ、わかった」と言ってもらえるでしょう。
木村さんが、今日の日経新聞・仕事常識欄で“仕事の肝心”について述べています。
分かっているつもりで分かっていないのが、この部分ではないでしょうか?
しっかり吟味したいものです。
私が「会社のカンバンや肩書では生きていけない」とはじめて痛感したのは、8年半担当したやす・きよのマネージャーをはずされた時かもしれません。
「木村さん、今度、メシ食いにいきましょ」「次、これお願いしますヮ」
それまで、三顧の礼を尽くされ、チヤホヤしてくれていた関係者がサーッと私のところから離れていった。有頂天になっていた私はポカンとしてしまった。
「そうか。大事にされていたのは、やす・きよが後ろにいたからで、ボクの実力ではなかったのか」と悟ったのです。
サラリーマンという身分ではありましたが、「会社に頼ってはいけない、自分自身の商品価値を高めなければいけない」と感じたのです。
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□2004.07.24(Sat) |
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■経営理念
“宮の雪”で知られる蔵元・葛{崎本店の宮崎社長の話を何度も伺ったことがあるが、ただただ驚くばかりだっだ。
経営理念は「酒類販売の製造販売を通じて地域社会に貢献できる企業をめざす」である。
この“地域社会に貢献”のところを社内で繰り返し、繰り返し議論している。
“貢献する”とはどういうことなのか?“貢献”の中身は何か?
私自らが大酒飲みだから、酒は飲みすぎると体に良くないことを実感している。
少量であれば薬にもなるし、食を進める効果を持つ。しかし、大酒はいけない。
そこのところも議論の対象になったのだろう。
少し前から方針が変わってきている。
かつての宮崎本店の方針は「普通の酒を短期間に大量に」であった。
しかし、これでは消費者に、短時間でたくさん飲め、と言っているようなものである。
そこで方針を「いい酒を少しずつ長く」に改めた。
「同じ値段で2本飲めます」といった発泡酒的な感覚ではいけないことに気づいたのである。
かつてCoCo壱番屋が「10人前のカレーを1時間以内で食べれば無料にします」を宣伝文句にしていたと記憶するが、これもまた理念に一致しないということで止めてしまった。
これと同じことが宮崎本店でも行われたのである。
“宮の雪”のようなうまい酒は、こうした社内の徹底した議論によって生み出されていることを知るにつれ、目に見えないところの努力に敬意を払わざるを得ない。
そして、この努力こそが生き残りの条件であるようにも思う。
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□2004.07.17(Sat) |
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■報・連・相
今では経営者の誰もが知っている“報・連・相”だが、始まりのころは「一体何だろう?」と少し考えたことを覚えている。
企業にとって、一つの連絡ミスが時として大きな不祥事になることがある。
連絡ミスを防ぐための基本が“報・連・相”、つまり「報告・連絡・相談」なのである。
「報告」は、主に上司からの指示に対して経過や結果を知らせることで、縦関係の情報伝達を指す。
「連絡」は、同僚や関係部署など、横のつながりのある人どうしが情報を伝えること。
一方、仕事上で迷った時に、上司などに対して判断を仰ぐのが「相談」である。
チームワークが基本になる組織において、決して一人芝居は許されず、相手の状況を考えて、こまめに伝達する“報・連・相”は同じ業務に携わる人どうしが重要な情報を共有することになるし、仲間へのやさしさ、思いやりを育む訓練にもなるだろう。
さて、“報・連・相”を確実にこなす7カ条は、次のとおりです。
1 正しく伝える
2 簡潔に伝える
3 事実情報と意見・憶測情報は分ける
4 まずいことこそ早く伝える
5 話すことは事前に整理し、質問されることを前提に臨む
6 内容が複数ある場合は優先順位をつける
7 確実性を要することは忘れずに後で確認する
(注)今井繁之著「頭を使ったホウ・レン・ソウ」より
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□2004.07.10(Sat) |
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■座禅
経営者の皆さん、暑い中、経営お疲れさまです。
“ 営々黙々 花が咲いても 咲かぬでも”
かつて、明日香出版社社長・石野誠一さんがそう言っていましたが、本当に中小企業経営は営々黙々で、室内プールで何千mも泳ぐような、繰り返しの連続です。
それは禅寺での修行にも似ていて、それを感じている経営者の方々は、時折、座禅をするために寺を訪れるようです。
愛知県碧南市本郷町の曹洞宗 華慶山 林泉寺。
もうずいぶん前ですが、中小企業家が集まる例会として、この寺で座禅をしました。
しかし、マナーの悪さに折り紙を付けられました。
「座禅中にはいろいろな思いが心の中を巡りますが、1つの思いにとらわれないように」との住職のお言葉も空しく、昨夜からの疲れで大半はすやすや夢の中。
ほとんどの者が、深夜2時くらいまで“青春の居酒屋”で飲み、朝5時過ぎに起きたのですから、無理もなかったのです。
普段は、心に乱れが生じた人の肩を住職が軽く打つ“警策”の音が響きますが、何せ、乱れが生じるほど真面目に生きている人はいませんので、住職もこの日ばかりは諦めたのでしょう、生き方はいろいろあってよろしい、と説いてくださいました。
お茶と会話を楽しみながら和やかな時間がゆっくりと過ぎていったように記憶しています。
経営者たちは、あれから座禅をどのように経営に取り入れ、活かしているのでしょうか?
そんな気の利いた人がいたのでしょうか?
なんとも歯がゆい経営者ばかりですが、時は確実に緩やかな川のように流れています。
“営々黙々 花が咲いても 咲かぬでも”
あの時と同じように、蝉時雨が耳に響きます。
「お前は何をやっているんだ」と蝉に叱られているようです。
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□2004.07.03(Sat) |
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■夢先案内人
夢を売る商売として、旅行業というのはいい。
単に景色を楽しむだけでもいいが、何かを目的にした旅もいい。
「落語ツアー」と称して、寄席めぐりをしたり、旅路や旅先でおもむろに落語を楽しんだり。
ちょっと、アイデアを考えているだけで楽しくなってくる。
アイデアというものは人によって泉のように湧き出すものらしい。
年商5億円の添乗員である日本旅行西日本営業本部課長・平田進也さんのアイデアは脳のフル回転によって紡ぎ出される。
九州へのスケッチ旅行に行ったお客さんたちの写真が手元に届いた時のこと。
同じ販売部のT課長がぼそっと「単に写真を送るだけではおもろないわな」。
この一言で、平田さんはお客さん同士の同窓会を思いつく。
お客さんから会費を取ってホテルの宴会場で同窓会。これをT課長がすぐ実行した。
これが大盛況。その後親しくなった人たちで長野県の白馬や山口県の萩などへの旅行も世話することができ、ビジネスとしても成功したと言う。
「天は二物を与えず。自分は旅行のアイデアと先見性では人に負けない自信があるが、アイデアを整理してまとめたり、会社の中でどう実行するかが苦手。ビジネスチャンスを嗅ぎ取る“鼻”はあるけど“頭”がない。自分にない才能を周囲に探していくこと、これに尽きる」
とは、平田さんの箴言!
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□2004.06.26(Sat) |
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■置き菓子
江崎グリコ(大阪市)は、24日、職場に置いた専用ボックス内の菓子を1個100円で販売する「オフィスグリコ」のサービスを28日から名古屋市内で開始すると発表した。すでに東京、大阪、福岡で展開しており、全国4地区目。(中日新聞)
“置き薬”ならぬ“置き菓子”とは、富山の薬売りもびっくりだろう。
「配置販売」といった販売方法は、薬以外にもジュース、酒などの販売機や駅の切符売機などがあって、人手が要らないのが特徴である。
“置き菓子”とはグリコも考えたものである。
しかし、ゲームセンターなどには、スナック菓子やつまみなどの自販機がすでにあるわけだし、そうそう珍しくもないのかも知れない。
ある置き薬屋の社長と親しくしているが、1人が担当するのは1,000件から1,100件だと言っていた。1日何件こなせるものか分からないが、売れた(使用された)薬の集金と薬の補充だけでも手間がかかりそうである。
グリコでは、菓子が9種類24個入る無料レンタルの専用ボックスを職場に置き、すべてが100円の販売価格。利用者は好みの商品と引き替えに代金箱に代金を入れる。
販売員は週1回、職場を訪れ、商品の補充や代金の回収を行う。
人手が要らない「配置販売」が功を奏するのは、案外、販売員の地道な訪問といった“人手”が決め手なのかも知れない。
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□2004.06.19(Sat) |
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■話し上手より聞き上手
今日の日経新聞『仕事常識』欄に、日本旅行西日本営業本部課長の平田進也さんの「私のビジネステク」が載っている。
“話し上手より聞き上手”とは、よく言ったもので、最近話題の「コーチング」も、聞きながら相手の話を導き出し、潜在的な部分を引き出していくことを主眼としている。
平田さんはこう言っています。
「モノを売ろうと思うとお金は逃げる。自分を売ればお金はついてくる」
「大事なのは、お客さんの好みや悩みを聞いてあげて、お客さんの良き理解者となることです。
向こうの都合に合わせて聞き、そこにちょっと売り込みをする。
聞くこと9割、話すこと1割が営業の極意だと思います」
そして、自身のかつての飛び込み営業を振り返っています。
私の飛び込み営業は、こんな感じでした。
「いい天気ですね」
「だれや、あんた」
「こんなにええ天気だと気持ちいいですなあ」
「忙しいんや。用がないなら帰れ」
「すんません。帰りますわ」
「何や、君は?」
「あ、実は私、旅行屋ですねん」
しかし売り込みはせず1回目の訪問はこれで終わり。
2回目は旅したいところがあるか聞くだけ、3回目は何が食べたいかを聞くだけ、その後も世間話に始終します。
「君は何しに来とんのや」と相手が言ったら、自分との会話を楽しんでくれるようになった証拠ですからしめたもの。
その時に初めてセールスにつなげれば「買うたるわ」と言ってくれる確率が高くなるのです。
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□2004.06.12(Sat) |
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■受験生確保へ格安バスの旅
南山大(名古屋市昭和区)が遠方の受験生を対象に、同大のキャンパスへの格安バスツアーを企画した。名古屋市内のシティホテルに宿泊する一泊二日の旅程で、受験生は1人3千円と、破格の値段。受験生をバスで連れてくる手法は全国でも珍しく、名古屋の名所や愛・地球博(愛知万博)もPRして大学選びに役立ててもらう戦略を立てている。
南山大は、昨年まで、札幌市や福岡市を含む全国9ヶ所で説明会を開いてきたが、2千万円余りを費やしても出席者は2百人足らずにとどまっていた。バスツアーはこうした低調な状況を打破するのが狙い。定員4百人が満席になれば、「半分以下の持ち出しで2倍の受験生にアピールできる」(同大入試課)と、そろばんをはじく。(中日新聞)
ずいぶん前になるが、ある方が「近頃は、幼稚園の先生までがストライキをやる」と嘆いていらした。少子化の影響で、幼稚園への入園児童は年々減少していて、経営の負担は相当なものらしい。昇給などの面で割を食うかたちになった先生たちは、労働条件の向上を目指してストライキをするということだった。
南山大学のバスツアー企画は、そんなことを思い出させてくれた。
少子化がすべての原因ではなかろうが、近年の学校経営はどこも厳しいらしい。
それゆえ、あの手この手の戦略でいどむのであるが、しかし、南山大のように「2千万円の費用をかけて2百人の出席者」では、今まで何をしていたのだろうか、と思う。
本気で学生を集めようとしていたのか疑問である。
有名私立大学という世間の評価の中で、何もせずぬくぬくと生きてきたのではないか?
経営には工夫、勘考が必要であり、それは今後ますます重要度を増していくだろうが、大切なことは地道な努力の持続ではないか。
いずれにしても、バスツアーがよい成果に繋がるといいと思う。
それは、わが母校、南山大が好きだから?
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□2004.06.05(Sat) |
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■座禅
経営者の間で座禅が静かなブームになっている。
座禅による呼吸法で脳がリラックスするため、疲れやストレスが消えていくのがいいようで、常に決断、選択といった過酷な業務を強いられる経営者には打ってつけのリラックス法なのである。
同様に禅の考え方も見直されているようだ。
人生百にみたず。常に千年の憂いをいだく。
中国の禅僧、寒山の詩にある一節である。
百年もない人生なのに、人間は先のことに悩み過ぎる。明日はこの世にいないかもしれないのに明後日のことを考えてどうするものか、という意味である。
禅は座禅を通して「今この一瞬に集中せよ」と説く。
いい言葉だ。
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□2004.05.29(Sat) |
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■菜の花プロジェクト
田原市(愛知県)は6月から、遊休農地に植えた菜の花から菜種油を搾り、その油を学校給食に使った後、車の燃料にするという「田原菜の花プロジェクト」に取り組む。
田原市は、一昨年から農家に菜の花の種を配り、市内に約280fある遊休農地が荒れるのを防いできた。「この菜の花を環境保全に活用できないか」と考えたのが、プロジェクトのきっかけ。(中日新聞)
田原市の菜の花畑は、初春を彩る風物詩として知られるが、遥か彼方に広がる菜の花が人の心を癒すだけでなく、資源循環型社会の一翼を担うというのはすばらしいことだ。
田原市ではすでに、市販の食用油の廃油から作った燃料で公用車やスクールバスの一部を走らせていて、菜の花が実用化されるのは折り紙つきのことらしい。
菜の花は、車が排出する二酸化炭素の一部を吸収する特質を持っていて、環境にやさしい植物なのだ。こんな試みが全国いたるところに広がるといい。
行政が本気で取り組むことで、世の中が変わる。
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□2004.05.22(Sat) |
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■ビール電車今年も発車
走るビアホールで会社帰りに一杯・・・・・・豊橋鉄道(愛知県豊橋市)は路面電車の社内で冷たい生ビールを楽しめる「納涼ビール電車」を今年も走らせる。
6月10日から8月28日までで、料金は1人2,900円。
おつまみが付き、生ビールが飲み放題になる。
社内は提灯や風鈴で飾り涼しさを演出するという。
納涼ビール電車の運行は今回で12回目で、昨年は約2,300人が利用した。
団体貸切の場合は定員28人で8万円。
JR豊橋駅前を午後6時6分と8時5分に出発する2便があり、運動公園までを1時間15分かけて往復する。乗車には事前予約が必要。(中日新聞)
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□2004.05.15(Sat) |
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■自遊時間
『遠くへ行きたい』(永六輔作詞)の歌詞のように、知らない町を歩いてみたい、知らない海を歩いてみたい、と思うことがある。
旅はいつも心をすみずみまでくすぐるし、疲れた身体に安らぎを与えてくれる。
旅に出るということは、突き詰めれば現実逃避なのだろうが、現実だけでやっていけるほど人は屈強ではないし、現実を受け入れるだけの人生では人は砂漠のように乾き切ってしまう。
渇きを潤す水を求めて人は旅に出るのだろうか?
一人旅が増えているようだ。
一人旅を満喫しようとする人のために、単独逗留歓迎の宿も少しづつ増えていて、気兼ねの要らない温泉宿に人気があるということだ。
現実逃避には一人旅はもってこいで、海、山を問わず一昔前が感じられる鄙びた里へ行くことができればどんなにうれしいことだろうと思う。
さて、『一人旅の宿選び5ヵ条』(日経新聞)というのを眼にしたので紹介します。
1 自分の部屋で食事できるか
夕食は必ず部屋で、朝食は広間でも可
2 一人でも楽しめる施設やサービスがあるか
囲炉裏や暖炉、カフェ、ライブラリーなどのパブリックスペースや、
蕎麦打ち教室など一人でも参加OKのイベントがあると楽しい
3 部屋のサイズは適正か
8〜10畳が目安。あまり広いとかえって落ち着かない
4 部屋にカギとトイレがあるか
特に女性の場合、あった方がベター
5 適度に放っておいてくれるか
宿の人の干渉は必要最小限が理想
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□2004.05.08(Sat) |
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■養生訓
私たちはいったい何のために働くのでしょうか?
あるとき、それはQOL(生活の質)の向上のためだ、と言われたことがあります。
経営者として利潤を追求するには、売上げや経費を数値化して、良い面を伸ばし、悪い面を減らしていく作業の継続が必要ですが、ではそれは何のためなのか?
利潤を追求することが人生の目的ではありえないですね。
利潤を追求することによって得られる何かが大切なことですね。
それは、経営者自身や家族が幸せになること、社員を幸せにしてあげること、地域社会に潤いを与えることなどいろいろあるのでしょうが、とどのつまりはQOLに他ならないのです。
さて、「養生」もQOLを向上するための知恵なのだそうです。
江戸時代の著名な儒学者・貝原益軒は『養生訓』の中で、人生を健やかにイキイキと生きるための知恵と倫理を述べています。
益軒が説く“養生の道”とは、「身を損なうものを取り去ること」です。
「内欲」を慎み、「外邪」を防ぎ、適度な運動と心の平静を保つ・・・・・・。
「内欲」 三欲(飲食・好色・睡眠)
饒舌欲
七情(喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)を慎むこと。
「外邪」 天の四気(風・寒・暑・湿)を防ぐこと。
適度に身体を動かし、心を常に和楽に保って日々を過ごすこと。
養生すると、免疫力などの自然治癒力が活性化し、イキイキ元気になるということです。
社員を活かすのは、案外こういうところにヒントがありそうです!
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□2004.05.01(Sat) |
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■豆便り
「おとうふ工房いしかわ」からの『豆便り』。
「おとうふ工房」は私の事務所から歩いて15分ほどの距離にある豆腐屋さんですが、従来の豆腐屋というイメージからは10歩も20歩も飛んでいて、豆腐の主原料である大豆やにがりをあますところなく使用して、例えば「とうふアイス」「きらず揚げ(おからと小麦を練って油で揚げた菓子)「豆乳抹茶ソフトクリーム」などさまざまな形に商品化され、隣の「大まめ蔵」というお店で販売されています。
また「パン工房麦蔵」では、豆乳生地で焼かれたパンが売られていたり、2階の「豆腐茶房豆蔵」では、豆腐懐石、豆腐定食、豆腐パフェなど豆腐づくしのメニューが掲げられています。
戦略の妙というのか、次々に浮かぶアイデアは出色で、ここまでくれば、会社はひとりでに大きくなるのでしょうか。
さて、『豆便り』の中に、「おとうふ工房いしかわ」の会社理念が垣間見られて、何ともうれしい限りです。以下抜粋します。
水ぬるむ季節。田んぼに水が張られ、苗が植えられみるみる育っていく様は、心躍るものがあります。日本民族が数千年にわたって育んできた稲作文化の偉大さを感じます。
連作障害の出ない作物としての米は、すばらしい限りです。どんな作物でも連作を続けると障害が出てしまうのですが、田んぼに水を入れることで防げるんですよね。だから田んぼに水を張るとエネルギーを感じるんでしょうね。
オーストラリアの小麦の話で、雨季に水没するところは、連作障害なしに豊かな実りがあると聞いたことがあります。一緒ですね、
文明が起きたユーフラテスもチグリスもみんな水のあるところですよね。人間のDNAが本能的にいい水を嗅ぎ分けるのかしら。
豆腐も水が命です。私たちも良質な矢作川水系の伏流水を汲み上げて製造しています(定期的な水質チェックも怠りません。ご安心を)。排水もキレイな水に帰すように処理場で加工してから放流します。
会社の理念に環境問題を掲げています。
いつまでも大切にしたいですね。誰のものでもない地球を。
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□2004.04.25(San) |
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■各駅停車で行こう
寒が少し戻った。
2、3日前はこの時期としては異常な暑さだったが、季節が私たちの身を慈しむように、北からの強い風を吹かせて、寒を連れてきてくれたようだ。
おかげで今日はTシャツの上にセーターを着ている。
セーターを着ると温もりが肌に伝わる。社会を知る前の幼い頃の温もりだ。
季節はいつの時もにわかにバランスをとって私たちの前を通り過ぎる。
それはあたかも、何気ない素振りで通り過ぎる名鉄線の赤い電車のようである。
『「中部スローな旅 各駅停車で行こう』と題して、中日新聞の日曜版にJR線を紹介しているコーナーがある。今日は東海道線の6回目ということで、往時の面影を残す三条大橋の風景が記されている。
各駅停車の旅だから、各駅ごとの思いが蓄積されていくのだろうが、駅ごとに町並みが変わり、風が変わり、人が変わるのを眺めながら歩くのはいいものだ。
「あっ、水路に鯉が泳いでいる」なんて声に出しながら、白壁造りの書院の横を歩いている姿が彷彿としてきて、旅はどうしてこんなに味があるのだろうか。
道々を歩きながら、何気なく野の花が活けてあるような奥床しい居酒屋を探すのも悪くない。
知らない人に道を尋ねて、親切にされるのもいい。
淡い景色の中で、人が人であることを感じるのはこんなときだけなのだろうか。
各駅停車で行けばいいじゃないか、と思う。
都会の街中のように人の歩幅が広く、せわしいのが今の世の中だ。
何もかもが急ぎすぎてしまっている。
人々は余裕を持てず、いらいらが高じて、果ては社会悪が蔓延していくのだろう。
あらぬ書きようになってしまった。
部屋の窓から、湯山公園の新緑の木々の葉が揺れているのが見える。
少し気を静めるために、散歩にでも出ようか。
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□2004.04.17(Sat) |
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■“マイ日本酒”いかが
銘酒「空」の蔵元として知られる愛知県設楽郡の関谷醸造が、同県稲武町黒田に完成させた新蔵「吟醸工房」で、居酒屋や酒屋、百貨店など顧客個々のニーズに合わせた日本酒を仕込む珍しい取り組みを始めた。(中日新聞)
昨年9月、関谷醸造さんの酒蔵見学と関谷社長の講演を聴く機会があった。
その際にも、新蔵では味や香りなどについての顧客の注文を細かく聴いた上で醸造を試みる旨のお話があった。つまり、米の種類をどうするとか、精白をどの程度にするといった顧客のニーズに合わせることで、お客様好みの酒を仕立て上げていこうとしているのである。
名付けて「マイ日本酒」。
顧客満足を図るためには並大抵の努力が要る。
努力だけではなし得ない部分もあり、思いの強さが求められる。
関谷社長はこう話している。
「売るだけの時代は終わった。手数をかけた造り方や、職人の苦労を知ってもらえれば、日本酒の味わいが増すのではないか」
日本酒の出荷数量が昨年、半世紀ぶりに焼酎に追い抜かれた。
しかし、関谷醸造の売り上げは毎年上昇しているという。
その決め手は、顧客満足にあることは間違いないだろう。
今後、関谷醸造のような経営姿勢が求められるのではないか。
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□2004.04.11(San) |
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■「接客」復権
安売りと品揃えだけじゃもう勝てない。
「接客」復権!
できる会社はもう始めている!
☆セブン−イレブンで何と試食販売
☆ヤマダ電機には「接客3級」3000人
☆丸井9割転籍、真の狙いは接客強化
☆セイジョーの店員は100人の顔と名前が一致
☆ユニクロも「接客メダリスト」量産
上は、『週刊東洋経済』のメーン見出しである。
なるほど再び接客の時代がやってきたということか。
バブル経済がはじけてから人々は「安さ」に価値感を求めて、サービスの価値観を二の次にしたが、ここへ来て、安いだけの物では物足りなくなり、サービスを欲するようになったのだろう。
セブン−イレブンジャパンの鈴木敏文会長が、そこらを経営側の立場から次のように語っている。
「日本は先進国の中でもすばぬけて商品のライフサイクルが短い。
日々の天候などにも気を配り、温度を皮膚で感じながら客のニーズを推測しなければならない。
人間を相手にしている仕事ではマニュアルは役立たず、発注はデジタル化できない。
世の中が変化すればするほどアナログが求められ、サービスが必要となる。
不景気だから売れないのではない。
不景気のせいにしてサービスを無視し、安売りに走ったことが今の状況を招いてしまった。
合理化という名目の単なる人減らしでは解決にならない。
デフレを脱却するのは簡単ではないが、新しいものは売れる。
自社で発売した高級おにぎりもその一例。
常に客の動きを見続け、それに対応した発注をすることが差別化につながる」
お客様の動きを見た経営。それには誠実な接客が肝心となるのだろう。
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□2004.04.03(Sat) |
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■真心運転術
京都に本拠を置くタクシー会社「エムケイ」で「ファーストハイヤー」という要人担当の車の乗務員をしている中村壽男さんの車の走りは「走行中、なみなみ注いだワインがグラスからこぼれない」と言われます。
運転技術が優れているだけでなく、相手の立場や会社に配慮することが接客の基本であることをわきまえ、乗車いただくすべての人がVIPと考えているからこそ出来る「技」ではないかと思います。
以下、中村さんの誠実さが溢れる話です。
『お乗りいただく前にまず、お客様のために準備すべきことを考え、冬ならひざ掛けをご用意します。
観光のお客様のために雨が降ったときには、てるてる坊主をぶらさげます。
夏はおしぼりをお出ししたり、クーラーボックスでミネラルウオーターを冷やしのどを潤していただいたりします。
水もどこの水でもいいというわけではありません。
三菱商事系の方がお乗りになればボルヴィック、伊藤忠商事の方ならエビアンを。
それぞれ商品の輸入にかかわっておられるからです。
友人から並行輸入品を安く売る店を紹介されましたが、もちろん「正規品」でなければいけません。
つたないながらも、一生懸命の接客が気にいっていただけたのか「キョウトに来た時には、また必ずミスターナカムラにお願いする」と言って、ご指名いただけるようになりました』
中村さんはこれまで、ゴルバチョフ元ソ連大統領、俳優のリチャード・ギアさん、長嶋茂雄監督、橋本龍太郎元総理らを乗せている。
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