あおみ労務事務所
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労務記録
「会社の粘着力を増すためには社員との共通の思い出をより多く持て」と、明日香出版社の社長・石野誠一氏が、かつての講演会の中で言っていたことを思い出します。
このページでは、労務管理の意義を、「人を活かす」という視点でとらえ、業務で体験した出来事や身近で話題になったことなど、労務管理の記録を発信していきます。
2005.04.23 (Sat)
私の履歴書

昨日、“士業事務所でご活躍のあなたさまへ”と題された手紙をいただいた。
送り手は、日経BPマーケティング社・マーケティングディレクターのU氏。中身は、日本経済新聞に連載されている「私の履歴書(経済人)」全38巻を特別価格にて配布するとのこと。

私は、いい読者とはとても言えないが、「私の履歴書」のファンの1人である。
この欄を読みたくて、深夜、新聞の届くのが待ち遠しいと思ったこともたびたびある。
今月登場しているヨネックス会長の米山稔さんの自伝も、毎日拝読している。

手紙の中に、殺し文句があった。
下に抜粋するが、要は、「私の履歴書」をこのように利用すればあなたの仕事に価値を生みますよ、といった内容で、私のような単純な者は「ああ、そういうものか」と、つい思ってしまう。
この際、購入してもいいかな・・・・・・?

「私の履歴書(経済人)」は全38巻。これはと思う顧問先企業の経営者には、あなたが何かを感じた一冊を貸してあげてください。
でも、けっして「成功者を見習いなさい」という啓蒙のためではありません。
きっとその人も、何かにふと気付くような、何かが心に引っかかるような一節に出会われることと思います。もちろん、その一冊を気に入ってくれるという保証はありませんが、たとえ気に入らなかったとしても、その人は人に本を借りるというとても親密な行為を通して、本を貸してくれたあなたについて何かを思い、そして考えます。
そこには必ず、ただ本を貸してもらったこと以上の何かが生まれるはずです。
言葉では表現できないこと、もし表現できたとしても理解してもらうのが困難なこと、「私の履歴書(経済人)」の行間にはそれがあります。



2005.04.17 (San)
サマータイム導入?

日照時間の長い時期に時計を1時間進めるサマータイム導入議論がかまびすしい。
3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで時計の針を1時間進めるということは、つまり朝7時に起きる人は、サマータイム期間中は、時計が7時を指していても実際のところ6時に起きる。
深夜12時に寝る人は、時計が12時を指していても、実際のところ11時に寝る。
すべて1時間繰り上げて生活するということで、日照時間の長い季節にはいいのかも知れない。

サマータイム推進議連幹事長の自民党衆議院議員・川崎二郎さんは、「私はもともと、テニスを明るい所で長くやりたいとサマータイムを推進するようになった」と言っているが、動機というものはそのくらいのものであろう。
省エネ、昼の時間の有効活用、余暇の充実とか、サマータイム導入によるメリットはいろいろあるようだが、時節柄、“地球温暖化防止”という大義名分が山葵のように効いている。

逆に、労働強化に繋がることを恐れるむきもある。
「働く人にすれば、朝は1時間早く働き始めたものの、夕方になれば、“まだ明るいから働け”と言われるかもしれない。仮に多くの人の余暇時間が増えたとしても、飲食店や交通機関では明らかに労働強化になる」
と言うのは、社民党党首の福島瑞穂さん。社民党らしい“労働強化”が大義名分である。

個人的にはどちらでもいいが、サマータイムは普段、寝坊の人間がたまには早起きする動機付けができていいのかも知れない。


2005.04.09 (Sat)
こつこつ努力すれば・・・

「人生の目的はない。人生を生きることが目的」

作家・五木寛之さんが、その著書「人生の目的」の中に書いている。
そんなものかと思うが、こう考えると生きることも少し楽になってくる。
生きることは、決して苦しいことばかりではないが、喜怒哀楽の“喜楽”から“怒哀”を差し引けば、いくら残るだろうか?時代にもよるし、生き様にもよろう。
幕末の風雲児・高杉晋作が「浮世の値三銭」と詠ったのは何となくうなずける。
しかし、その三銭の何と尊いことか。

大相撲にうれしいニュースがあった。

34歳5ヶ月の出羽の郷(出羽海部屋)が戦後最年長で新十両昇進を決めた。
初土俵から20年目、所要114場所での悲願達成は、大器晩成型諸氏の励みになるだろう。
大相撲では、十両昇進で一人前と認められ、関取と呼ばれる。
出羽の郷は艱難辛苦20年かけて、関取の座を掴んだことになる。
いわゆるふんどし担ぎから始まって、20年の歩みはどんなだったろうと想像する。
自力がつかず焦ったことや、後輩に抜かれたやるせない日々。
怪我が癒せず、引退を覚悟したときもあったという。

「こつこつ努力すれば報われる」

ぱっとしないが、牛の歩みで確実に前進する、というのが私は好きだ。
続けていればやがて花が咲くことを出羽の郷は示したくれた。
それが何よりもうれしい。



2005.04.02 (Sat)
お金を払って働く!

入社式がいたるところで行われている。

新入社員はどこまでも初々しく、その前途は洋々だが、何一つとして仕事を知らない。
考えてみると企業は大変である。根気よく仕事を教え、その上、給料を支払っている。
新入社員を一人前にするためにどれだけ先行投資をしていることか。
“人材”を“人財”にしていく苦労は並大抵のことではないだろう。

「勤務地・東京郊外、完全週休二日制、月10万円」

大卒者を対象にした、ある“仕事”の条件である。
この場合、東京郊外の完全週休二日制の会社で仕事をして月給10万円貰える、のではない。
月10万円は働く側が払う金額である。
働いた上で、お金を払うとはどんな仕掛けがあるのだろうか?

これは、キャリアコンサルティング会社が4月に始める「第2新卒者就業研修」の中身である。
パソコン講習やキャリア相談なども実施するが、研修の柱は職場内訓練(OJT)で、派遣先企業で社内会議に参加し営業活動にも同行する。働き方は社員とほとんど変わらない。
期間は原則3−5ヶ月で、転職はいつでも大歓迎という。
スキルを身につけさせるため、コミュニケーション能力など就職に役立つ能力をOJTで伝授しようというのが会社の狙いである。

お金を払って働くのは抵抗があるという、若人よ!
そんなことはありませんぞ。身銭を切ることで、スキルがより身につくのです。
社労士にもこんな仕組みがあれば、もう少し上等になっていたかなぁ・・・・・・?



2005.03.26 (Sat)
働いていたほうが長生きできる?

『お金の話』(野中清志著)によると、男性の日本一の長寿県は長野県であるらしい。
実は長野県は高齢者の就労率が全国一で、それが長野の男性の長生きの理由ではないか推測できる。フルマラソンを走り終えてゴールしたとたん、いきなり止まってしまうのは体によくないように、定年退職した後も、適度に仕事をし、社会と接触をもっていたほうが長生きできるのだろうか?

長寿化は喜ばしい半面、老後の生き方が問われる。生きがいや健康はもちろん、それを支える経済的な基盤、すなわち貯蓄や収入などが十分かどうか・・・・・・。

著者・野中さんは、老後の理想的な生活は「三つのポケット(収入)を持つ」ことだと言う。
一つ目は「年金」。二つ目は「労働所得」で、三つ目は「資産所得」。資産所得とは、不動産の活用により手にする所得のこと。

年金は、未払いの者には辛いだろうな。
労働所得は、取りも直さず健康があって得られるものだから、日々摂生に努めていかなければならない。酒量を少し減らすとか・・・・・・。
資産所得は、在職中に資産形成に力を入れて・・・とあるが、世知辛いこの世の中では、それもままならないのが現実だろう。
皆、生きていくのが精一杯で、気がつけば年をとっているのだろう。

お金も大事な話だが、趣味のほうが明るい話題といえる。
お金の話は、どうも生臭くっていけない!



2005.03.19 (Sat)
まず与える!

異業種交流の会に参加させてもらっている。
零細企業を絵に描いたような小規模経営に悩みは無尽蔵で、人のこと、仕事のこと、金のことなど相談に乗ることがずいぶんある。
“経営課題”といえば格好はいいが、経営者として理想とするところと、現実とのギャップは果てしなく、どこから手を付けたらいいのかがまるでわからずにいるのだろう。

特に人に関する悩みは尽きない。
零細企業ゆえの採用の難しさに始まり、人の育成ができないこと、定着しないことなど。
給料が安く、休日が少ないという悪条件の下では、採用はいよいよ困難で、よく言うところの「酔ったような」人しか集まらない。
人は、生活できることが基本になるし、事業所の将来性を求めていく。
仕事ができるできないに関わらず、生活のできない給料では辞めていくだろうし、将来性のない事業所では愛想をつかして去っていく。

「仕事のできない者に高い給料が払えるか!」
という経営者の言い分も一理あるが、それでは事業所は伸びない。
まず与えること。とにかく先に与える。
「頼むよ。期待しているからね」
と、目をつぶって給料や休日を多め、高めに与える。
そうすれば、覚えた頃に辞めていく、というのはずっと減っていくだろう。



2005.03.12 (Sat)
自分を褒める!

今週の日経新聞・夕刊の“人間発見”に、女子プロゴルファーの不動裕理さんが登場している。
言わずと知れた、女子ゴルフ界の第一人者で、目下5年連続の賞金女王を獲得している。
昨秋の宮里藍さんとの賞金女王を賭けた一騎打ちは記憶に新しい。
“人間発見”に描かれた不動さんのゴルフに対する考え方を追ってみる。

「ゴルフに一番大切なのは自分中心であること。マイペースを保ち、周りに惑わされない。そして自分を追いつめず、自分の意思でコントロールできない部分は“しょうがない”と切り捨てること」

「勝てないころはミスするたびに、原因はなんだったのか考え込んだ。しかし、毎週毎週試合があり、一打一打悩んでいたのではきりがない。そこで楽しくプレーができるように考え方を変えた」

「まずミスの原因を他に持っていくこと。私はカップに入るように打っているのに、入らないということは自分以外に問題があると。風が突然吹いた、暗くなってラインが読めなかった。ボールが言うことを聞かなかったというように」

「私のプレーにかかわるすべてのものが、私に協力して、と思うこと。パターの打ち方がおかしくても、入るときは入る。だから打ち方や腕前の問題ではない。自分が入るように打っているという気持ちだけで十分」

「基本的には自分を褒めまくっている。ショットやパットがうまくいったとき“私ってすごーい”。ダフっても結果オーライでピンに寄れば気持ちいい。たとえ2位でも“2番目にいいスコアだったんだから上出来、上出来”と機嫌良く帰る。ミスを重ねてスコアを落としても、罰として賞金が減るだけ。世界がひっくり返るわけではない」

不動さんの声を拾って思うことは、生きていくことで大切なのは、自分を褒めること、自分を好きになることだ、という気がする。自分が褒められれば、他人を褒められる。

不動裕理が少し好きになった。



2005.03.05 (Sat)
すっきり年金教室

中日新聞・生活2005に“すっきり年金教室”の小文が載っている。
筆者は、私もかつて研修会でお世話になった高木隆司さん。
公的年金の仕組みが、解かり易く綴られている。話のポイントを記すと次のようになる。

1. 公的年金制度には、すべての人を対象とする国民年金と、サラリーマンを対象とする厚生年金がある。(公務員が加入する共済年金については、おおむね厚生年金と同じ仕組み)

2. サラリーマンは国民年金の加入者であり、同時に厚生年金の加入者でもある。

この2の部分が年金に馴染みのない方には解かり難く、私もその説明に何度も往生した。
言葉で伝えることが困難なら、図式すればいい、ということで、年金の参考書には、おおよそ下のような図が描かれている。
日本の公的年金は二本建てになっているといわれている。
それは、厚生年金に加入したことがある人の場合で、一度も会社勤めをしたことがない人は、一階建ての基礎年金しかもらえない。
今は自営業者として国民年金だけに加入している人も、以前、サラリーマンとして勤務したことがあれば、立派な二階建てということになる。
サラリーマン経験が短い人ほど、二階の天井が低くなると理解すればいいだろう。

この“すっきり年金教室”、今後も続くのだろうか?
続くのであれば、年金を解かり易く話す術を身につけたい。






2005.02.26 (Sat)
人生を預かる!

早朝、経営者である友人からの電話。
聞けば、雇用していた日系ブラジル人を解雇したとのこと。
無断欠勤、遅刻の常習者で、ほとほと困り果てた末の解雇である。
解雇は納得したものの、数日後、本人から、失業給付を受けたいからと雇用保険の離職票を要求された。雇用保険の被保険者にはなっていない。どう対処すればいいか?
およそ、そんな内容だった。

早朝から電話してくるところをみると、事態を苦にして、早くに目覚めたのだろうか。
誠実な彼の言動から判断して、解雇せざるを得ない必然があったのだろう。
さて、この場合どう対処するか。

解雇は納得済みだからいいとして、今後の対応として、解雇は慎重に慎重を重ねる必要がある。解雇するまでの過程として、無断欠勤・遅刻に対するどの程度の戒めがあったか、場合によっては始末書、誓約書を取る必要もあろうし、また無断欠勤・遅刻が解雇に値するものであるか考慮しなければならない。
懲戒解雇にあたるかどうかは、就業規則にその事由があるかにかかってくるが、懲戒解雇は制裁という面を持つから、よほど悪質でない限りは、解雇予告をするのがいいだろう。
いずれにしても、解雇には、誠実に対応することが必要である。

雇用保険は、入社時(入社が2年以上前の場合は2年前)に遡って資格取得すればいい。
雇用保険は強制保険だから、事業主の義務として、仮に本人が加入したくないと言っても加入させなくてはいけない。
この場合、確認資料を持参して、資格取得と資格喪失を同時に行うことになる。

雇用するということは、半ばその人の人生を預かるということだから、法を遵守して、恥ずかしくない事業主であって欲しいと思う。
事業主としてやらねばならぬことはきっちりやる、そうでなければ、無断欠勤・遅刻と騒ぐこともやめるべきだろう。ましてや、解雇することも・・・・・・。

友よ!分かってくれるかなぁ。



2005.02.19 (Sat)
終身雇用は文化!

手元に、キャノン・御手洗社長の講演録がある。
そこには、実力主義と終身雇用を文化にしている企業体質が浮き彫りにされている。
実力主義は、キャノンの伝統である。向上心を持っている人間を正当に評価するのが人間らしい経営という考えに基づいている。
40歳くらいで最大2倍ほど給料の開きがあるという。労使が真正面から向き合い、時代の危機感を共有しながら徹底的に話し合ってきた結果でもある。
そして同様に、御手洗社長は終身雇用の良さを説いていく。
雇用不安がない社員には信頼感が生まれ、自分の会社を守ろうとする。
終身雇用があってこそ、社員教育も生きてくる。
世に言うところの終身雇用の欠陥は、キャノンのような実力主義で補うことができる。

実力主義と終身雇用との融合とでもいうのだろうか。
会社を守り、雇用を守るには、この方式がいいのかも知れない。
しかし、御手洗社長が言うように、これら融合は、労使の徹底的な話し合いが作り出した産物であることを忘れてはいけないのだと思う。



2005.02.12 (Sat)
愛知を歩こう!

愛知社会保険事務局から"歩いて健康になろう"のPR用パンフレットが届いた。


「普段のウォーキングの距離をつないで、愛知を踏破してみませんか?1日1万歩、歩幅を70cmとして7km。毎日歩くと1年間で2,555kmになります」

そうか、歩くことは身体も心もすみずみまで健康にしてくれるのか。
ならば、冬の旅人を気取って歩いてみるのも悪くない。お供はというと・・・・・・?

伊良湖岬を振り出しに、伊良湖フラワーパーク、渥美町郷土資料館と渥美半島を東へ向かう。
石巻山、豊川稲荷を抜けて、長篠城跡、湯谷温泉。
ゆっくり湯に浸かり、旅の垢を少し落としてから、お決まりの地酒で乾杯。
水がいいこの地の吟醸酒は格別だ。千年生きた心地がする。

千代姫温泉、茶臼山高原、夏焼温泉。奥三河のしっとりした旅情を満喫する。
香嵐渓・三州足助屋敷では馴染みの店に上がり、ぐつぐつ煮える猪鍋をつつきながら一献。
空きっ腹に冷酒がシミワタル。

白鷺温泉、愛知青少年公園、明治村まで、愛知万博会場を取り巻く海上(かいしょ)の森を横目に一気に抜ける。日本モンキーパーク、大山城、ツインアーチ138と進み、ここらで一服。
愛・地球博が始まることだし、ちょっと洒落て今度はワインをいただこう。

津島神社、国府宮神社。国府宮の裸祭りはいつだろうか?と考えながら小牧城へ。
そして名古屋市に入れば、名城公園、名古屋城。お堀の白鳥たちよ元気かい。
ナゴヤドームを抜けて東山公園に到着。万葉の散歩道では、古代のお酒をいただこう。古代のお酒はお雛様の白酒か?

鶴舞公園、名古屋市美術館、中村公園、荒子観音は素通りで、名古屋市野鳥監察館、名古屋港水族館へ。お供の好きな熱帯魚が一杯泳いでいる。原色がまぶしすぎるから目がクラクラする。すかさずビールで乾杯。ああ、今度は頭がクラクラする。

旧東海道の桶狭間古戦場から鞍ヶ池公園、岡崎城へ。三河湾まで南下すれば、竹島、西浦温泉、愛知こどもの国。吉良温泉の民宿では、ウイスキーの水割り片手に海の幸をたっぷりいただこう。明日への英気はこうして養われる。

華蔵寺、あいち健康の森と北進してから一気に知多半島を縦断。内海温泉沿いのさかな広場で新鮮な魚介類を買い付け、いざ師崎へ。フェリーの中では秘蔵の芋焼酎が飛び出し、緑茶割りで乾杯。ついついがぶ飲みして、ついに頭が朦朧。かくして伊良湖の夜は更けた。

                                      (この物語はフィクションです)



2005.02.05 (Sat)
確定拠出年金

中日新聞・くらしナビゲーターに「確定拠出年金」が取り上げられています。
対話方式で、その仕組みが解かり易く解説されているので、紹介します。


「4月から、勤務先で確定拠出年金(日本版401K)が導入されることになったんです」

「2001年秋に始まった制度ですね。昨年11月末の導入企業数は約3,300社。大手や中小企業、医療法人にも広がっています」

「運用商品のメニューから選択して自分の退職金、年金づくりをする制度ですが、一般の商品と大きく違う点はありますか」

「定期預金については同じですが、保険商品は5年や10年に金利を見直す商品が採用されるケースが多いですね。投資信託は、購入時の手数料がかからないものがほとんど。保有期間中の手数料も安く設定されています」

「もし転職することになれば、残高をそのまま持ち運べるようですが、具体的にはどうなるのですか」

「転職後もそのまま60歳まで続けられ、60歳以降に引き出す制度となっています。転職先が同じ制度を導入していれば、残高をそのまま移し、会社が掛け金を負担してくれます。転職先にその制度がなく、他の企業年金制度もなかったり自営業者になった場合は、自分で掛け金の負担を続けるか、運用だけ60歳まで続けるかいずれかになります」

「転職時には引き出せないんですね」

「例外として公務員や専業主婦になったり、転職先が別の企業年金制度を導入している場合は、加入期間3年未満に限り引き出せます。今年10月の改正で、加入期間3年未満または残高50万円以下の場合、一時金で引き出しが可能となります」

「この制度が始まって以降、転職した人の状況はどうでしょうか」

「実際は、手続きを怠っている人が多いようです。退職後6ヵ月以内に手続きをしないと積立金が国民年金基金連合会に自動移管されるのですが、その数は昨年10月末で16,000人余います」

「政府は何か対策を考えているんですか」

「脱退後の手続き説明の徹底を会社や運営管理機関に促しています。確定拠出年金は60歳まで続けるのが前提の制度。転職するときは、手続きを忘れないようにしてくださいね」



2005.01.30 (San)
年金裁定請求

仕事柄、年金裁定請求の依頼を受けることが多い。
その際一番厄介なのが、職歴の確認である。
この世に生を受けてからどんな人生を送ってきたのかは、履歴書1枚で語ることはできないまでも、履歴には、その人の来し方が微かに透けて見えるものだ。
40年以上の長きに渡って働いてきた歩みは、千差万別である。
1ヶ所で職を全うした人もあれば、転々と職を変えた人もいる。
思い出したくない過去もあるだろうし、いとおしくて堪らぬ職場もあるだろう。
それらすべてを一括りにして、職歴は確認されていく。

以前扱った年金裁定請求書の写しを繰っている。
厚生年金保険船員被保険者期間調査申出書の写しが眼に留まる。
まだ十代の頃に船に乗っていた人だ。
船舶所有者の欄は空白。船舶名は霧島丸。船舶所有者の住所は広島県。
勤務期間は34年春頃から36年夏頃まで。備考欄に、「関西汽船の下請けとして、大阪府大阪市九条で勤務。船舶所有者は広島県在住の親方で、氏名の記憶はない」と書かれている。
広島社会保険事務局に調査申し出をした。
船を下りてから、大阪で数ヶ所、鹿児島で数ヶ所、愛知で数ヶ所務めている。
2、3の事業所の記憶がない。記憶をたどりたどりやっと裁定請求の形ができあがった。

先週、奥さんからその人の訃報の知らせが入った。そして、遺族年金の裁定請求依頼。
老齢年金と違って、遺族年金の場合には悲しみと直面する。
仏壇に般若心経を唱えて帰ってくることもある。
病、老、死を扱うとは因果な商売である。

   細切れの記憶をたどり冬の駅                比呂志



2005.01.23 (San)
待てば海路の・・・

中日新聞編集局長・小出宣昭さんが面白い事を言っている。

今の日本の若者に失われたものは、辛抱や我慢という“待つ時間”ではないか?
“待つ時間”を体験してしか人間の精神は育たない。

昨年の名古屋場所のとき、小出さんは親方衆と飲む機会があり「なんで日本の力士はアカンのですか」と素朴な疑問をぶつけてみた。
某親方の返答はこうであった。

わしはねえ、ケータイ電話がいかんと思ってるんですよ。若い力士たちは今も昔も、稽古でしごき、水をぶっ掛け、また稽古に励む。ふらふらになってチャンコ鍋を食べ、寝る。
問題は布団に入ってからで、今の若い衆は、布団の中からケータイで母親や彼女に電話するんですよ。こんな辛い稽古は堪らん、なんて言っているのかね。
辛抱とか我慢の空気が抜けちゃうんだ。だが、モンゴルやロシアにはケータイがかからん。

そして、小出さんは“待つ時間”の大切さを主張する。
一休さんを引き合いに出し、学識抜群の高僧でありながら、酒は飲む、遊郭に上がる、恋にはまる、誰からも愛される。
この自由な精神の根っこには、若い頃の死を覚悟した厳しい修行があった、と指摘する。
修行を通じて、死も、生も、権力も、金も、何物も恐れぬ自由と勇気を身につけたのだと。

世のサラリーマン諸君。辛抱しなさい!我慢しなさい!
“待てば”海路の日和あり、と一休さんが言ってます。


2005.01.15 (Sat)
夢は・・・

昨夜は、愛知県社会保険労務士会・三河西支部の新年会があった。
知立市の結婚式場が会場で、昭和風の居酒屋が持ち分の私からすれば、もったいないような場違いな雰囲気。会員総数140名(16.12.1現在)のうち22名の出席で、顔ぶれは例年どおり。
この会の活性化のなさが数値からして明らかだが、それでも、少ない人数の中にあって新年を祝おうとする出席者の熱い思いが、アルコールが入るほどに醸成されて、それなりの楽しさはあった。数人のグループで、その後二次会。
後は、それぞれの思惑もからみ皆、霧のようにどこかへ消えていった。

帰り、刈谷駅構内の通路で、女の子が2人、“書”の店を広げていた。相田みつをさんの書を想像してもらえればいいが、色紙に書かれた言葉がアルコールの入った身にしっとりと入り込み、妙な気分になった。優しい言葉の数々。2枚の色紙を買い、帰路に着いた。

  
永遠なんて / この世の中には / ないけれども

  いつか君が / 
振り向いてくれる / そんな思いを

  僕は馬鹿みたいに / 
信じ続けていたい


  
は / 見るものじゃ / なくてね 

  
叶える為の / ものなんだよ  



2005.01.09 (San)
少子に挑む2

「少子、少子と小市民には解からん!」とシャレもどきを言っちゃぁいけません。
少子化であろうとなかろうと時は過ぎていく。
過ぎ去るものには手を振ればいいが、これから来るものは避けられないのだから、どんな手を打てばいいのだろうか?

  少子化の風が吹く凧揚げてみる          比呂志

衆議院議員・野田聖子さんがおもしろい提案をしている。
1つは、児童手当の増額。もう1つは、子ども保険の創設。
野田さんの言葉を拾ってみる。

「児童手当が(第1子、第2子にはそれぞれ月額)5,000円とはふざけた金額。
もっと産もうというインセンティブ(動機づけ)にならない。『お父ちゃんの給料でも、もう1人産んでも大丈夫よね』と思ってもらうには月50,000円という現実的な数字にしないと。
自民党内では『ばらまきだ』と言われるが、今もいろいろばらまいてるじゃない。
子どもは将来、納税してくれるんですよ。効果的なお金の使い方を考えるべきだ」

「すべての企業が就業規則に育児休業制度を盛り込むことなどを柱にする“子ども・子育て応援プラン”が新年度から始まる。そのためには、子ども保険創設が必要。
子どもの有無を問わず定額の保険料を納め、奨学金やひとり親の子どもへの育児金などに充てる。子どもがない人も現役世代の責任を果たし、将来堂々と社会保障を受けることのできる土壌もできる」

自民党のマドンナ・野田さんは今年も元気だ!



2005.01.01 (Sat)
少子に挑む

元旦の空はどこまでも青く、気持ちが良い。
昨日小雨が降ったせいで空が澄んでいるのだろうか?
こんな時は、青い空に向かって凧揚げでもしたら、さぞ爽快だろうと思う。
子どもの頃は、よく野原で凧を揚げたものだが、ずいぶんのご無沙汰だ。
凧が揚がらずに、野原を駆けまわったことの方が多かったように思うが、ときおり風と凧の相性がいいときの、小さくなった凧を誇らしげに見つめていた記憶が甦る。
いつの頃からだろう、凧を揚げる子どもの姿を見なくなったのは・・・・・・。  

元旦の新聞に、「少子に挑む」(日本経済新聞)、「人が減る!」(中日新聞)の見出しが躍る。
昨年の出生率1.29が続けば、2050年までに日本の人口は8800万人になるとも書かれている。
良くも悪くも、いよいよ少子化が深刻になってきていることが読み取れる。

作家・椎名誠さんが、“「大人の国」への一歩”と題した小文を中日新聞に寄せている。
少子化を優しい眼差しで見つめ、好意的に捉えているのがよく分かる。
私たちがこれから何をすべきか、を教えてくれているような気がする。

「あちこちの国を旅していて共通することは、多すぎると見えないという現象。
ネパールのシェルパ族は星に興味がない。毎日、多くの星を見ているから。
モンゴルの遊牧民は花に興味がない。草原は季節になると花だらけになるから。
イヌイットは氷に、南の島国の人はサンゴに興味がない。
日本は人が多すぎるので、人が見えない。
だから、電車内で化粧をする女性や弁当を食べる人がいる。
僕は都内に住んでいるが、近所の人とあいさつしないのが普通になってしまった。
だが、人口が減ると隣人愛みたいなものが生まれる可能性があるかもしれない」

「人口の大都市集中は変わらないが、高齢者は増えていく。
若者向けのレジャー施設や飲食店は閑散とするだろう。一方で、お年寄りは海べりや畑で魚を捕ったり、農作物を作ったりして、自分で味わうようになる。
趣味と実益を兼ねながら自然へと戻っていくライフスタイルだ。
家の周囲を掃いたりしながら、自分を見つめ直すのだろう」

「少子化で若者が甘やかされている構造がある。
パラグアイのインディオは10人ほどが1つの部屋に住んでいる。
引きこもる日本の子どもは幸せなのかもしれない。
日本は自動販売機にあふれ、酒やたばこを子どもが自由に買えてしまう国。
大人の知的なコントロールがない中での便利さ。これは不幸だと思う。
便利すぎる中で生きると、災害などへの状況判断能力が脆弱になってしまう」

「多くの国がそうであったように、日本も移民を受け入れないと先進国の基盤はつくれないような気がする。そうすることで、隣人愛や隣国の人を愛する基盤ができる。
日本が国際国の基盤をつくりたいなら、門戸を広げて迎え入れるべきで、今の人口減少は、日本が大人の国になるきっかけだと思う」



2004.12.26 (San)
碁打ちの成果主義

大手企業を中心に成果主義賃金が導入されて久しい。
成果を上げる者と、上げない者とを賃金で格差をつけようとする試みは、賛否両論あるにせよ、年功型賃金を採用している企業でも多少の格差をつけているのが実態である。
要は、成果がどの程度賃金に反映されるかの度合いの問題で、野球やサッカーなど実力主義のはずのスポーツ界でも、ずっとベンチを暖めていても年棒ン億円の選手もいることを考えると、かなりいい加減だと言っていい。

少し前、作家・江波戸哲夫さんの「碁打ちの成果主義」と題したコラムを読んだ。
成果主義、実力主義を最も厳しく実施しているのは、どの業界だろうか?という疑問から始まり、スポーツ界、物書きの業界に触れ、まだまだ甘さが残ると指摘する。

「物書きは、私の印象では7、8割は成果主義である。とりわけ単行本は売れなければ小部数の印税しか入らないし、もっと売れなければ、どの出版社も単行本を出してくれない。
ただし雑誌などでは、売れ行きがすぐにその書き手の実力と結びつかないので、編集者との人間関係なども関与する」

では、“碁打ち”はどうか?
この世界は徹底している。勝てば金になり、勝たなければ金にならない。

「囲碁のプロは負け続けると金が入らないから、多くの人は素人相手に稽古碁をやって謝礼を得る。これも成果を上げて多少は有名にならなければ注文もこず、何か副業をしなければならなくなる。
この業界にも“あいつは勝負には勝つが、碁はヘボだ、あんな碁は打ちたくない、石が泣くよ”などと、アンチ成果主義の物差しを持っている人もいるが、彼は貧乏に甘んじなければならない」

成果主義、実力主義とサラリーマン族にとって世知辛い世の中だが、、碁打ちに比べれば、ずっとぬるま湯なのである!



2004.12.18 (Sat)
アルミ缶

昨日の中日新聞・ペーパーナイフ欄に「アルミ缶」と題されたコラムが載っていた。
そこには、お金のためにアルミ缶回収作業している豊橋市内のホームレスが描かれているが、この仕事を通して、地域の人にあてにされたり、優しくされたりと、お金だけでない喜びも見出しているようで、微笑ましかった。

家の近所でも、たまに自転車でアルミ缶を回収している人を見かける。
市が設置したあちこちの回収箱からアルミ缶だけを抜き取ったり、自動販売機の横に転がるジュースやビールの空き缶を拾って集め、業者の元へ持っていき換金するのだそうだ。
多くは、公園や駅構内に住むホームレスの人たちだと聞いた
なるほど、ホームレスの人も生きていかなければならないのだ。

こんな仕事ならやってみたいという衝動に駆られる。
今でこそ、士業に就いているが、元々が工場作業員志向組の私としては、黙々と作業に精を出している自分の姿を思い浮かべると身震いする。
新聞紙に包んだ弁当箱を下げて出勤し、昼の休憩時にその新聞を読みながら弁当食べている姿が彷彿とされ、何ていいんだろうか。
アルミ缶回収作業にはそんな姿が読み取れて、愛着が湧く。
夜、うまい酒を飲めるかどうかもそのあたりが左右しているように思う。

1`87円にしかならないアルミ缶の回収作業。
1`になるには60個分のアルミ缶が必要だから、割に合う仕事ではないが、地球環境保全に一役買っているあたり、やりがいのある仕事なのだろう。

浮世を離れたご隠居さんになったときやりたいと思うが、その時は腰が立たないかも知れぬ!



2004.12.11 (Sat)
ジェネレーションY

日経新聞・夕刊に“働くことの理想と現実のギャップに悩むY世代”が特集されている。
現代の若者は自分らしい仕事に就くことへのこだわりが強く、容易に職に就かなかったり、職に就いたとしても転職を繰り返してしまうらしい。
それだけ豊かな時代なのだろうが、仕事を選択できるのは悪いことではない。
生涯を貫けるやりがいのある仕事があれば、人生はどれほど有意義だろうか。
食うためだけの仕事では、味もなければ、生きる気力も失せてしまう。
そんなY世代に、フリープロデューサー・木村政雄さんがエールを送っている。
木村さんは、言わずと知れた元吉本興業常務で、漫才師やす・きよのマネージャーを長年務めた人である。

木村さんは、Y世代をこう分析する。

「子供時代から多くの情報に埋もれて育った半面、働く大人に接する機会が少なかったため、仕事へのバーチャルな想像ばかり膨らんでいる気がする。だから現実に向き合うとギャップの大きさに苦しんでいる」

そして、働く意味をこう語る。

「自分にふさわしい仕事は世の中とかかわる中で見つけていくものだ。カネを払っていく学校と違い、職場が自分に合わせてくれることはまずない。第一志望の仕事にはなかなか就けないが、死にものぐるいで頑張ってみれば社会が見える。自分に足りない部分や、どんな仕事がやりたいかも分かってくる。今の仕事の中にやりがいを見つけることもある」

Y世代は具体的にどうすればいいのだろうか?

「まずはリアルな体験。縁があった職場にはまず飛び込んで、3年間、誰よりも頑張ったと思えるまで働いてみてほしい。理想を追いかけて新たな職場を求めるのはそれから。最初の1年や2年で理想の仕事にたどり着ける人生なんて面白くない、という開き直りが必要だ」

かつての多くの人たちは、食うために働くというのが労働の入り口だったが、働くことを知るには案外そんな入り口が大切なのかも知れない。
まず働いてみること。働くことで何を感じるのか、その時々の思いを記録しておけばいいと思う。

やがて、自分らしい仕事の形が描かれる!



2004.12.04 (Sat)
年金レポート

「年金のパンフはありますか?年金のことを調べたいのですが」

昨夕、若い女性が2人、刈谷社会保険事務所(愛知県刈谷市寿町)の受付で訊ねた。
私は、ちょうど受付窓口で書類提出していたところで、受付の人とのやりとりを聞いていると、どうやら女性たちは大学で社会保障を専攻しているようで、ゼミの宿題で「年金について」のレポートを提出しなければならないようだった。
受付の人が私を指差して、「この人は年金の先生ですよ」と言うものだから、私もレポートの一件に加担せざるを得なくなり、年金の仕組みの深くて広いことなどを話すことになった。

今は、20歳になれば、学生も国民年金に加入しなければならないから、私の頃に比べて年金についての馴染みが深いのかもしれない。
加えて、政治家の年金未納といった醜聞が身近にあったからなおさらのことだろう。
しかし、年金を知る第一歩はやはり初任給だろうと思う。
給料明細を見ると、自分が稼いだ(?)総支給額から何かしら控除されている。

「所得税?健康保険料?厚生年金保険料?雇用保険料?
どうして手取額が、総支給額の8掛か」

こんな疑問が湧けばいい方で、大半は疑問すら湧かないのだろう。
これを契機に税や社会保険の仕組みを学んでいけばいいが、そんな気の利いた新入社員がどれだけいるのだろうか?

社会の仕組みを学校教育で教えるのは、やはり無理があるのだろう。
また、学生の国民年金については、成人の日の式典の前後でやることを提案したいが、このご時世それも無理なことか。
だとしたら、会社の新入社員教育の一環として教えていくしかない、ということになる。
中小企業は、商工会議所、商工会などで実施する新入社員教育の中に、社会保険のしくみを知るプログラムを加えるよう提案すればいいのに、と思う。

しかし、悲しいかな、すべてが会社、企業任せになっている実態がここにも浮き彫りにされている!



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あおみ労務事務所 社会保険労務士 柴田比呂志
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