あおみ労務事務所
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「経営」という言葉を辞書で引いてみますと、「計画に基づいて事業などを行うこと。又そのためのしくみ」 とあります。畢竟、経営とは「経営指針(経営理念、経営方針、経営計画)を作成し、それを誠実に実践していくこと」ではないでしょうか。
このページでは、その時々の経営にかかわる情報を取り上げ、発信していきます。
2005.04.24 (San)
一夜城

毎日、日経新聞連載中の「私の履歴書」を読んでいる。
今月は、バドミントン、テニスのラケットやゴルフのクラブを製造販売している“ヨネックス”の会長・米山稔さんが執筆されている。この人から学ぶのは、ここ一番の集中力である。

ヨネックスは、サンバタへのOEM(相手先ブランドによる生産)供給で会社を大きくしていたが、突然のサンバタ倒産で連鎖倒産の危機に陥った。事態打開のために、自分で作って自分で売ることを決意。
東京・上野の六畳一間を借り、東京営業所を開設。
ここを販路開拓の根城にし、夜行列車で全国を回った。
土曜の夜に工場のある新潟に戻り、週初めにはまた東京に来るという生活。
寝食を忘れて、問屋や小売店、大学のバドミントン部や地域のバドミントン協会を訪ねる日々。

「1年目は北海道、東北、北陸を攻め、“ヨネックス”の名前を徹底的に売り込む。2年目は中国、四国、九州を攻略。そうして勢いをつけ、3年目にいよいよ東京、大阪、名古屋に進出する」

“3年で日本一”の戦略を描き、戦略どおりに夢が現実になろうかという矢先、今度は“火災”に遭う。
本社工場が全焼し、何から何まで灰になった。しかし、この人の対応は早い。
商品の供給を途切らせまいと、3日で工場を再建することを決意。
深夜にもかかわらず、近所の棟梁を呼び出し、3日で建てるよう注文する。
大工や職人の手配をした後は、矢継ぎ早に機械設備の発注。
夜明けと同時に社員総出で突貫工事を始めた。
工場が2日で出来上がり、機械設備を3日目に搬入し、生産を再開する態勢が整った。
秀吉の「一夜城」さながらの一気呵成の工場再建は、“ヨネックス”の生き方を社員に示す機会になり、社員の活気を生んだ。

かつて、「社長学」の大家・牟田学さんが、「3年間、寝食を忘れて仕事に打ち込め。それが将来の財産になる」と言われたが、米山さんの生き方にはそれが如実に顕われている。

私のような凡人には、ただ、ただ驚きである!



2005.04.17 (San)
お金の話から・・・

中日新聞・生活欄の「お金の話」を面白おかしく読んでいる。
筆者・畠中雅子さんが、“若い人=貯蓄の少ない人、年配者=貯蓄の多い人”という常識が崩れていると指摘した後、こう言っている。

私は、年配なのに貯蓄が少ない人を「問題あり」とは思わない。
貯蓄が少なめだということは、それまでの人生を有意義に過ごした可能性も高いからだ。
逆に、30代で3千万円などの貯蓄を持っていると、「もっとお金を使って、人生を楽しんでもいいんじゃない?」と感じてしまうことが多い(余計なお世話?)。
高齢期のための貯蓄は必要だが、現役時代どんなに稼いだ人だって、高齢期には節約を強いられる。自由に使えるときに、どれだけ好きなことに使ってこられたかというのも、人生を豊かにする意味では大切なことだと思うのである。

一読して、すぐに夏目漱石の「草枕」の一節を思い出した。

世に住むこと二十年にして、住むに甲斐ある世と知った。
二十五年にして明暗は表裏の如く、日の当る所にはきっと影がさすと悟った。
三十の今日はこう思うている。──喜びの深きとき憂いよいよ深く、楽しみの大いなる程苦しみも大きい。これを切り放そうとすると身が持てぬ。
片付けようすれば世が立たぬ。金は大事だ、大事なものが殖えれば寝る間も心配だろう。
恋はうれしい、嬉しい恋が積もれば、恋をせぬ昔がかえって恋しかろ。
閣僚の肩は数百万人の足を支えている。背中には重い天下がおぶさっている。
うまい物を喰わねば惜しい。少し喰えば飽き足らぬ。存分食えばあとが不愉快だ……。

漱石にはこうした人生を達観しているような文章がずいぶんあるが、そうしてみると人の一生というのは、差し引き零なのかもしれない。それを各人がどう思うかの違いなのだろう。
思い如何で、幸せと感じるのだろうし、不幸せと感じるのだろう。

山路を登りながら、こう考えた。
知に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。

しかし、住みにくいと悟ることで、漱石は居心地の良さを感じたのではないかと思う。
すべては裏表である。



2005.04.10 (San)
自分の良さを・・・

中日新聞・県内版にパーソナリティの矢野きよ実さん(43)が登場している。
相変わらずきれいな人だ。いつもキラキラ輝いて見える。
軽快な語り口から発せられる音色は、どこか風鈴のようにも聞こえる。
「未来の主役へ」と題されたこのコーナーで、矢野さんの風鈴はどれほど多くの人を癒すだろう。

「若いころは、何でも1人でやるんだ、それが格好いいんだと思いがちです。
でも、経験を積むにつれ、いろんな人に支えられているからこそ自分があるって分った。
そうした人たちの期待に応えなくてはと思うから、また頑張れる。
だから、今でも仕事をしていられるって思います」

「若い人の中には“認めてもらえない”って感じている人が、たくさんいると思う。
でも、大切なのは、人と人とのつながりだと思うんです。
認めてくれる人のところに行こう。認めてくれる人を見つける目を身に付けよう。
そのためには、まず自分の良さを見つけなくちゃ」

「家の中に引きこもっていては分らない。
外へ出て、音楽とか食べ物、絵画、何でもいいから好きなものを見つけてください。
そうすれば、きっと自分の良さも分ってくる」

自分の良さを見つけるところから始める・・・か。いい言葉だ。
自分をまず好きになること。好きになれば人に語ることができる。
語るために、また自分の好きなところを見つけていく。
そんな繰り返しで人は成長していくのかも知れない。

“自分”を“企業”に置き換えてみたらどうだろうか?


2005.04.02 (Sat)
にいみ農園

中日新聞・愛しのFOOD記に、「にいみ農園」(碧南市桃山町)が取り上げられている。
ビニールハウスの中のミニトマトはまもなく旬を迎えるのか、たわわに実っている。
房がたっぷり日光を浴びるようになると、葉がせっせと糖を作る。
夜も気温が高くなるから葉が盛んに呼吸して糖を出す。
今からが最もおいしい時期なのである。

実は、この農園の娘さんをよく知っている。
器量良しの彼女は、その昔、私のお得意様企業で事務を執っていた。
農園を手伝うということで退社したが、農園の前の県道を通るたびに気になっていた。
どうしているのだろうか?

にいみ農園の“売り”は、1年中取れるミニトマト。
全国でも珍しい周年栽培に取り組み、日本一の味を目指す。
農園横の直売所では、元気よい「いらっしゃい」のあいさつに迎えられる。
「接客をきちんとすると、お客さんが物でなく気持ちを買ってくれる。
お客さんが食卓で、『おいしいね』と話し合う団欒の風景が夢」

もっとおいしいものをとの思いから、6、7年前に栽培方法を変えた。
そのとたんトマトが一斉に枯れた。植えても植えても枯れていった。

“欲望”が“愛情”を超えたとき、生き物は一斉に反乱を起こすのかも知れない。
観葉植物のポトスを栽培していた知人が、ポトス以外のものに手を出したとたん、ポトスが枯れてしまったとこぼしたことがあるが、植物にも嫉妬があるのだろう。
そう思うと切なくもあるが、生き物とはおもしろいものである!



2005.03.26 (Sat)
殿様の茶碗

ある国に有名な陶器師がいた。その名声を聞いて、殿様の茶碗を焼いてくれという依頼が来た。高級な茶碗は、軽い薄手のものとされていた。陶器師は腕によりをかけ、最上等の品を作って献上した。
見た目には、まことに品のいい茶碗である。しかし殿様は、食事のたびに苦痛を忍ばねばならなかった。薄い茶碗では、熱くてたまらない。
ところがある時、旅先で、厚手の粗末な茶碗を使った。実に具合がいい。熱い茶でも、汁でも、安心だ。誰の作なのか、と尋ねても、知る者のない安茶碗だった。
御殿に帰った殿様は、陶器師を呼び、「いくら上手に焼いても、親切心がないと、何の役にも立たない」と諭した。

作家・北村薫さんが、小川未明の童話・殿様の茶碗 を上のように要約している。
芸術と実用との違いを如実に表わしているように思う。
見て楽しむ物と、日常で使っていく物とはこれほどに落差があるものなのか。
それゆえ、使途いかんで価値はまったく違ってくる、と言っていい。
小川未明は、“親切心”という言葉を使ったが、“親切心”なくしては、お客様からの支持は得られないし、二度と買ってはもらえない。
顧客満足というと大層だが、“親切心”とか“おもいやり”という言葉に置き換えてみると、案外、物の本質が見えてくるのかもしれない。



2005.03.19 (Sat)
音読健康法

元来、どもり症の私には音読が欠かせない。
“どもり”という言葉は、差別用語であるらしく、“吃音”というのがいいのかも知れない。
どもりと言うと不思議がる人が多いが、発語の際の痙攣がすべてにあるわけではなく、音と音との繋がりによって摩擦が起こることがあるくらいで、それも音読によって多少なりとも矯正されているから、傍目には、わからないようだ。
どもりが無口にさせたと言えなくもないが、それによって“音読”を手に入れたのだから、すべては塞翁が馬なのだろう。

明治大学文学部教授・齋藤孝さんが、音読健康法を提唱している。
音読することで得られる利点がいくつかあって、私にはいささか吉報となるが、その齋藤さんの講演録を紐解いてみる。


『元気を技化する』

世の中にはさまざまな健康法がありますが、私は音読健康法を提唱しています。
元気に声を出すこと、しゃべることは非常に重要です。
健康かどうかのバロメーターのようなものです。
脳の働きを保って、認知症を予防する効果も期待できます。
テキストとしてまず推奨したいのは夏目漱石の『坊ちゃん』です。
ポイントは速く正確に読むこと。全部で11章ありますが、1章を20分から25分で読む。
そのぐらいのテンポです。毎日1章を2、3日に分けて読んでも構いません。
これは効きます。活力が内側からわき上がってきます。
優れた文学作品の文章には、言霊というのか、言葉自体に力があります。
音読していると作家の込めた力が乗り移り、読み終えると身も心も活性化して、他の人が死んだ魚のように見えるほどです。(中略)

音読が健康にいいと思う最大の理由は、元気に声を出すことで呼吸力が鍛えられるからです。
へその下の丹田と呼ぶ下腹部を中心とした、丹田呼吸法です。
釈迦が菩提樹の下に座り、悟りを開いたのも、この呼吸法によって集中力を高めたからだといわれています。
丹田呼吸法では、鼻から3秒ほど息を吸って2秒ほど止め、15秒ほどかけて、すーっと吐きます。
この呼吸法をマスターすると欲や余計なプライドなどが消え、心身ともにリラックスできます。
武道でいう自然体のような、腰と肝(はら)を中心とするしっかりした体の構えも体得できます。(以下略)



2005.03.12 (Sat)
最小限が最大限に

経営者用メールマガジン・『がんばれ社長!今日のポイント』(作者・武沢信行)が毎号届く。
気の利いた経営の話題がふんだんに載せられ、読む者を魅了する。
さすが、発行部数日本一のメールマガジンである。
3月7日のメルマガには、今日の言葉に接して武沢氏はこう記している。


【今日の言葉】

「あなたが今日行う必要最小限のことは、やがてあなたが出来る最大限のことになる」(SMIファウンダー:ポールマイヤー)


人気ラーメン屋の新人アルバイトA君の話。
A君が初出勤の日、嵐のようなランチタイム混雑が終わった。ピーク時には外に行列が20人もいたが、今では店内カウンター12席のうち半分しかお客がいなくなった。

ほっと一息ついたA君に対し、店長から皿洗いを命じられた。「はい、了解しました」と元気よく洗いものを始めたA君。店内外の様子や他のスタッフの仕事ぶりをチラチラみながら洗いものをしていると、店長から罵声が飛んだ。「チンタラ洗ってるんじゃない。全力かつ大急ぎで洗え!」

しばらくしてA君は、休憩のときに店長からこんな説明を聞いた。
「忙しさの状況にあわせて仕事をするんじゃない。そんな高等判断をアルバイトに求めていない。君に要求したいことはただひとつ。いつも全身全霊で目の前の仕事に集中すること。さっきの君の皿洗いは、他ごとを考えながらやっているようで、何一つ真剣さが伝わってこなかった」

A君は店長に謝りながらも、思いきって質問してみた。
「店長、もし全力で皿洗いして洗うものがなくなったとき、かえってヒマになるのじゃありませんか?僕だけヒマになるのがいやだったので、無意識に時間調整したのかもしれません」

すると店長は意外な言葉を返してきた。
「君をヒマにしないのが私の仕事だ。もし本当にヒマになれば、休憩という指示を出す。大切なことは、ダラダラした仕事ぶりを体にしみこませないことなんだ。しみこんじゃうと、本当に忙しくなったとき、最高速に戻すのが大変なんだ。焼きが回ると鈍るんだよ。だから普段から最高速で仕事をして、少しでもたくさんの仕事をこなすことが君自身の未来のためなんだ」

「今日の言葉」でマイヤー氏が指摘したとおり、必要最小限のことしかやっていないと、それがその人ができる本当の最大限になってしまう。
かつて京セラでは、不景気で工場がヒマになると、工員の半分に草刈りなどさせて、残った半分の社員が全力で仕事をしていたという。

時間を決めて、その中で全力こめて仕事をしよう。



2005.03.05 (Sat)
旬が逆転

日経新聞・夕刊に、赤い果実がたわわに実っている。
その横で、何やらその実を収穫している若い女性外国人。
果実は、よく見るとサクランボだが、温室ではなく天然のサクランボがこの時季、実をつけるのだろうか?と思って記事を読んでいくと、その地はオーストラリア南端のタスマニア州ホバートにある農園。

山形県から10年前に持ってきた高級品種“佐藤錦”が昨年末、初めてたわわに実をつけた。
日本に足しげく通って、佐藤錦には雨よけが必要といった手法を学び、後継者である娘さんと試行錯誤の末、今回の収穫にこぎ着けたのだった。

もともと現地のリンゴを作っていた農場主は、販売先や品目の多様化を考え、日本に目を付けた。
質が良ければ売れるうえ、オーストラリアと日本は、赤道を挟んで対極の位置にあるから、旬の時期が逆になる。日本産をほとんど見かけない年末であれば、日本産のサクランボは人気が出るだろう。

その他、ソバやイチゴ、ウニなども旬の違いを利用して輸出するオーストラリアの業者たち。
豪州育ちのニッポン食が、市場を席巻する日が近いのかも?



2005.02.26 (Sat)
甘酒の素

たんぽぽニュース(碧南・高浜タウン情報誌)に「地元いいもの大紹介」の記事が載っている。
杉浦製糀所の「甘酒の素」。“丁寧な熟成で生まれる素朴な甘味”と紹介されている。
杉浦製糀所の所在地は碧南市二本木町。
この地は私の修行時代の勤務地であったが、糀(こうじ)製造所があるとは知らなかった。
看板くらいは見ているかもしれないが、“糀”という字が読めずに記憶に残らなかったのだろうか?

創業は大正3年。創業以来変わらぬ製法で甘味の味を守り続けている。
「大量生産を求めて機械化してしまうといい甘味はできない」と手作りにこだわる。
材料は国内産うるち米のみで、添加物は一切使用しない。
うるち米をよく洗浄し水に浸して蒸し、その後、種糀が混ざるようによく揉む。
米の芯まで糀が行き届くようにすることで、糀の良さが引き出される。
2日間寝かせると甘酒の命となる糀が完成。
お粥状にした白米と糀を混ぜ合わせ熟成させると甘酒ができあがる。

「自分でも売るのが惜しいほど、おいしいものができるとうれしい。みそ作りのために遠方から糀を買い求めに来てくれる人もいて、まだまだ頑張ろうと励まされます」

満足というのは、そんなものかもしれない。誰かに必要とされていることで続けられる。
3代目社長は喜寿過ぎて(?)なお健在である。



2005.02.19 (Sat)
めざせ!早朝の達人

「体を活発に活動させる人間の交感神経は午前5時から午前9時まで働き、体を休養させる副交感神経は午後9時から午前5時まで働く。人間の体は日の出とともに活発になり、日没とともに休むようになっている。朝の1時間は夜の3時間に相当する」

早朝の達人になって、新鮮な頭脳をフル活用させることは経営者にとって必要なことだが、一朝一夕にできないことはどんな世界でも共通している。
早起きできるためのポイントを以下整理してみます。

@起床時刻の目標を立て100日間かけて実現する

人間の体は100日間で環境になじむ。午前8時起きの人が5時起きを目標にするなら、まず7時半起きを目指し、それができたら次に7時に挑戦するというように時間をかけて起床時間を早める。

A目覚めたら、ためらうことなく跳び起きる

目覚まし時計を3、4個用意して同時に鳴らす。布団から手の届かない所に置いて、立ち上がらないと止められないようにする。目覚めると同時に掛け布団を部屋の隅に蹴飛ばす。

B目覚めやすいように寝具などを工夫する

柔らかい布団やベットは寝過ごしやすい。畳や床の上に薄い布団を敷いて寝る。昔の武士のように少し高めで硬い枕を使うと、さっと起きやすい。

C目覚めたら脳を刺激する行動を取る

ぬれたタオルで顔や首筋をぬぐったり、熱いシャワーを浴びたりする。冷たい水を飲む、手の指を1本ずつ反対方向に反らせる、などの方法もある。

D何をやってもだめなら断眠する方法もある。

3日3晩できるだけ眠らないようにして、睡眠時間を普段の3分の1程度に減らす。昼寝はしない。4日目に早めに寝れば、ぐっすり眠れて目標の起床時間に起きられるはず。

                                                 (日経新聞より)



2005.02.12 (Sat)
販売戦略

あるサーカスの話。
このサーカスでは、サービスと称して、観客に無料でピーナッツを配っていた。
見せ物を見ながらピーナッツやポップコーンをかじるのは、アメリカ人に共通の習慣だが、実は、このピーナッツに、ちゃんと商売上のワナが仕掛けられていた。
ピーナッツは塩辛いから、当然のようにのどが渇く。
そこで後で売りに回るソーダ水やラムネがよく売れたのである。

江戸時代の鬼才・平賀源内の話。
ある日、源内のもとに知り合いの鰻屋が泣きついてきた。
夏になると客足がパタッと止まり、商売にならない。
何とか、お客を呼び込む妙案はないかというのである。
そこで源内がひねり出したのが、土用の丑の日に鰻を食べると夏バテしないという宣伝文句。
たちまち、その鰻屋に客は押し寄せ、商売不振を盛り返した。

その昔、“サマーバレンタインデー”というのが話題になった。
2月14日のバレンタインデーの夏バージョンと言っていい。
7月7日に女性が自分の好きな男性に枕カバーを贈る、というものだった。
「七夕の日に贈った枕カバーで私の夢を見てください」と、願いを込めたのだろうか?
不発に終わったようだが、仕掛けたのはおそらくフトン屋だろう。

こうした“仕掛け”が販売戦略である。
アメリカで始まった「母の日」のカーネーションも、商売不振の花屋が考え出したものである。



2005.02.05 (Sat)
倒産バク進中

昨日、とある税理士法人事務所を訪れた。
公認会計士、税理士である所長が、つぶれる(倒産バク進中の)会社の経営者の特徴を幾パターンかに分け、事細かに語られた。思い当たる節が多く、しごく的を得ている。
しかし、決して他人事ではないんだよなぁ・・・・・・。

レバ社長
 ・景気さえ回復すれば・・・・・・
 ・訪問するとまず、不景気の話、日本経済の話
        →赤字が私のせいではない・実は何もしない社長

穴熊社長
 ・いつも社長室にいる。訪問すると、細かいこと、節税のことばかり興味
 ・クレーム処理は社員の仕事、売上上げるのも社員の仕事
 ・社長自ら工場工員、経費削減のみに力を入れている
 ・協会、組合などの業界の仕事が好き
 ・新事業のみ、IT化のみを唱え続けている(すべて内向きの内容)
 ・今のお客様に対する興味は??
        →何をすべきか知っているつもりで、実は知らない社長

毒ガス経営
 ・社員への愚痴、息子への愚痴、会長への愚痴、そしてお客様への愚痴、日本経済への愚痴
 ・不安に対する相談ではなく愚痴
 ・外で言われる悪口で社員は腐る
        →経営者としての自覚に欠ける弁解社長

経理音痴社長
 ・損益計算書(特に、利益)しか見ない。
 ・借入金の多寡に無頓着、銀行から言われるとあわてて相談するが、またそのうちほったらかし
 ・減価償却をしない決算でも平気
 ・バランスシート(貸借対照表)がわからない

評論化経営
 ・経営のことに対する勉強熱心
 ・本を読み、研修会に積極的に参加
 ・情報ツールにお金をかける
 ・しかし、決断しない、実行しない
        →
いつも手を打たない評論家社長



2005.01.29 (Sat)
きっと勝つとぉ

受験シーズン本番に入り、ゲン担ぎ食品が花盛りとなっている。
合格の願いを込めて、お守り代わりに口コミで広がったいったものが多いと聞く。
かつて、チョコレートの“キットカット”をよく買って食べたものだが、この品物が、いつからか受験生にとって合格祈願に利用されるようになった。
福岡・博多の方言では、自分に言い聞かせるように「きっと勝つよ」というと「きっと勝つとぉ」となる。
この都市伝説が口コミで全国に広がり、“キットカット”は受験シーズンに飛ぶように売れ、これを契機に、多くのメーカーが受験生を応援しようと種々の試みをするようになった。

明治製菓のスナック菓子“カール”は、この時期、商品名の冒頭に「ウ」をつけ「ウカール」とした。
ロッテのビスケット菓子“コアラのマーチ”は、コアラはほとんど木の上で生活し、「眠っても落ちない」から受験生に歓迎されている。
同じく、ロッテのガム“キシリトール”は、「きっちり通る」という響きが受験生に受けている。
こうした由緒が、いずれも商品の包装紙に丁寧に書かれているところが憎い。
日本ハムのウインナーソーセージ“小さなシャウエッセン”の包装紙には、「ウインナーを食べて目指せwinner(勝利者)」の言葉が踊る。
サークルKサンクスは全国のコンビニ店でコアラのマーチ関連の対象製品2つを購入した人には入浴剤“コアラの湯”。キットカット商品2つなら“キットカット文具”を先着順でプレゼントする独自の受験生フェアを開催している。

受験生を応援するメーカーの商法は、毎年逞しくなっていく。
受験の神様もどこかで微笑んでいるのだろうか?



2005.01.23 (San)
厄を割る石

日経新聞・プロムナードの蜂飼耳さんの随筆をおもしろおかしく読んだ。
蜂飼さんの近所の神社は年々、初詣に訪れる人の数が目に見えて増えてきていると言う。
その理由は、神社の経営努力に他ならないが、お土産の品を増やすとか、休憩所、パス停、お札納め所といった表示を言葉で細かく示したりしただけでなく、“厄を割る石”に拠るところが大きいようである。石は蜂飼さんが子供の頃から見慣れたごく普通の庭石だが、“有り難い石”に変貌を遂げている。

「手順。石の前に三方がある。そこに初穂料百円を置く。素焼きの盃を取り、息を吹きかけてから石に叩きつけて割る。これで厄割り」

この神社、“厄を割る石”で人は絶えない。
物を壊して気分さっぱり、という心理なのだろうか?

物の本によると、これが宗教の基本的な収入方式らしい。
どんな大きな神社仏閣でも教会でも、大胆な虚構のもとに由緒をつくり上げ、能書きを並べ、体裁を整えて待っていると、人々がお金を持って集まってくるという寸法である。
先日、三重県の榊原温泉に行った帰りに、“純金の観音様”をお参りした。
高さ33bの観音様に5億円の費用がかかったと聞いたが、大胆な虚構はここでも健在で、眉に唾つけてはバチがあたると、賽銭を入れた。
鳥居や山門、本堂や礼拝堂、庭園や絵画彫刻など豪華な建築物、芸術品を揃えたり、また複雑な礼拝形式を整えるといった涙ぐましい虚構隠しを正当化しているのが、宗教なのである。

どの業種も“厄を割る石”を見つけなければ生きていけない!



2005.01.16 (San)
酒を飲む理由

毎晩のように酒を飲む。
それも深夜からの深酒だから、身体にいい訳がない。
本当は晩酌というのがいいのだろうが、一旦アルコールを入れてしまえば、その後仕事や読書をしたりする気が失せてしまうので、早くて午後10時からの飲酒となる。
何も生活習慣病の種を撒き散らすことはないのに・・・と思うが、酒の魅力は計り知れなくて、なすすべもなく明日を迎えてしまう。

日経新聞・夕刊の「グラスの縁から」を読む。
コラムの筆者は作家・東理夫さん。
東さんによると、あるカクテルブックの中に、“パーティーを開く365の言い訳”というのがあって、その日飲むための1年分の理由がみごとに網羅されているらしい。
1月1日は「宿酔い記念日」、2日は「太陽が地球に1番近づく日」、3日は「火星が視認できる日」と続き、最後の大晦日は「全国フットボール・コーチ協会記念日」という調子で綴られているという。
木枯らし紋次郎風に言えば、“あっしには関わりのない記念日”がほとんどだから、飲む理由にはならないのではないかと思う。
やはり、自分なりの記念日でありたい。
自分の記念日をカレンダーの中に配していけば、どれだけの日々が埋まるだろうか?
そう考えると、たいした人生でもないように思えるが、記憶をたどりたどりいけば、365くらい作れるのかも知れない。
「初めてキャッチボールした日」とか「試験で赤点とった日」なんてのもいい。
それらを季節に合わせて、カレンダーに刻んでいこう。
ちなみに昨日は、「榊原温泉郷のいで湯に浸かった日」となる。

酒を飲む理由に困らないのは、いい事か?悪いことか?



2005.01.09 (San)
雨楽な家

週末の新聞チラシを見ていたら、「雨楽な家」という文字が目に飛び込んできた。
太陽ハウジング(愛知県知立市上重原町恩田168)の“家づくり相談会”の中の1コマ。

雨楽な家・・・ 故郷の匂いのする土間のある家で美しい木架構を見ながら暮らしたい。

社長が、高浜市の生まれで、この町にかなり力を注いでいるということを聞いたことがある。
高浜市に「雨楽な家」をたくさん造っていこうと作戦を練っているのだろう。
「雨楽な家」のコンセプトは・・・

上品でおしゃれな家であること

一目で伝統の架構美がわかること

これが日本の家だと胸がはれること

端正で粋で心地よく古びていくこと

何となく素足で歩きたくなること

イタリア家具やローバーミニが似合うこと

自然の恵みの空間で大の字になれること

住んで頭がよくなりそうと思えること

のびのびと子育てが楽しめること      

雨の日も早く帰りたくなること

“雨の日が楽しい”が「雨楽な家」の発想だろうが、“頭のよくなりそうな家”というのが何ともいい。
太陽ハウジングのホームページはこちらです。
 http://www.taiyo-co.com



2005.01.01 (Sat)
漱石の手紙  

 
元日の山を後に清き温泉(でゆ)    夏目漱石

年が明けた。
明けたからどうということもないが、湯につかり身心をリフレッシュさせるのもいいだろう。
掲句は、“坊ちゃん”縁の愛媛県・道後温泉だろうか?
柚子を一杯浮かべた湯に漬かってみたいという気持ちにさせる。

漱石の手紙を読んでいる。
寄席通いに明け暮れた漱石の“素”が手紙のあちこちに垣間見られて実に楽しい。
こんな風に生きられたらいいのに・・・・・・・。

拝啓 御懇切なるお見舞い状頂戴ありがたく候。
小生病状は胃カイヨウにて今少しすれば退院ぐらいはできそうに候。
平生もごぶさた、病気になるとなおごぶさた、まことに相済まなく候。
右はお礼まで。艸々                                    (明治43年)

拝復いつも御無沙汰しています。
近頃講演はほとんどやらぬことに自然なってしまいました。
これは小生の不精と時間のないのと、それを知って頼む人が来なくなったからです。
先年も謝絶、今度もお断りでは甚だすみませんが、右のわけで中々遠方へ出かける勇気も余裕も時間も根もありませんから、どうぞご勘弁を願います。
小生は旅行をするといつでも病気をします。
今春も京都へ行って寝ました。
まあ廃人の部に属すべき人間です。
とりあえずご返事まで。匆々不一                            (大正2年)

あなたは病気で寝ているそうですね。
ちっとも知らなかった。痛いでしょう。
しかし内臓の病気よりはまだ楽かもしれない。辛棒なさい。
本が読みたいというから何か送ってあげようと思うが、何を上げていいか分からない。
注文があるなら買って送って上げましょう。
どんな種類の本ですか、言っておよこしなさい。
むやみに高い本はいけません。                             (大正5年)



2004.12.25 (Sat)
紙芝居

昔懐かしい紙芝居が、東京・有楽町にお目見えした。
演目は、「月光仮面」でも「隠密剣士」でも「怪傑ハリマオ」でもなく、“郵政民営化”。
郵政民営化をよりアピールする狙いで、自民党の武部勤幹事長が発案したらしい。
紙芝居は、郵便事業の創始者である前島密が語り部となり、新米郵便局員らに郵政民営化のメリットを説明する内容になっている。
デキはともかく、内容を理解させるのに紙芝居を利用することはいいことだと思う。
“視覚”に訴えるものは理解しやすいし、脳裏にいつまでもこびりついて離れない。
武部幹事長は、飴や煎餅を買って紙芝居を見た在りし日の自分を思い浮かべ、これは使えると思ったのだろうか?   
そこには、湯船に香る柚子のようにノスタルジアが充満し、湯上りの身体のような爽快さがある。
こんな光景は何ともいい。
「やるなら覚悟してほしい」といった青木幹雄参議院会長の言葉もどこ吹く風で、紙芝居を実行した武部幹事長にエールを送りたい。

経営指針(経営理念、経営方針、経営計画)の発表も紙芝居にすれば、どれほど理解されやすいだろうと、こんな提案がしてみたかった!



2004.12.18 (Sat)
戦略の差

日経新聞・夕刊の文化欄「プロムナード」の随筆が好きだ。
硬い記事の中に混じって、ここだけ季節の潤いが感じられるし、何より物の見方、考え方が何気なく語られていて、“今”を読むのに手頃である。
2週間ほど前に、作家・真保裕一さんの「戦略の差」という小文が載っていたが、同じ髪を扱う技術職として、美容師と理髪師との違いを浮き彫りにさせていた。

真保さんは、美容師の業界団体には、Jリーグのチェアマンに匹敵するほどやり手の指導者とプロジェクト・チームがあるのではないか、と考えている。
カリスマと呼ばれる美容師ブームは、美容師の技を磨くことで業界全体のレベルの向上に繋がり、茶髪は定着し、女性のみならず、男もカットのついでに髪の色で気分を変えてみようという時代を作り上げることに寄与したのではないか。
店にもよるが、ヘアカラーはカット代金より高く設定されたりしている。
ハンバーガー屋で、ポテトはいかがですかと言われてつい注文し、売上に貢献してしまうシステム以上の戦略が美容師にはあるのだろうか。

一方、理髪師は明らかに苦戦を強いられている。
20年も値段がまったくと言っていいほど変わっていない。
しかも近所には、恐ろしく安いコンビニ感覚の理髪店まで現れている。
真保さんも指摘しているが、この違いは客層の違いなのかも知れない。
今、お金を自由に使えるのは、女性と若者たちで、世のオヤジは日々の小遣いにも事欠いている。
よって、どんな業種も女性と若者を捕まえようと必死になっていく。

オヤジ相手の商売では、どんな戦略を採ったらいいのだろうか?
一考したいものである。



2004.12.12 (San)
タクシー新サービス

地方のタクシー会社で、異業種から来た経営者が型破りな新サービスを展開している。
規制緩和などタクシー業界を取り巻く環境は厳しく、業界の秩序を乱す斬新なサービスに同業他社の視線は厳しいが、地域の消費者からは常識にとらわれないサービスとして歓迎されている。
斬新なサービスの一端を紹介します。

金閣自動車商会(富山県魚津市)

   ・おしぼりサービス
   ・自転車無料運搬サービス(車両に乗客の自転車を乗せられる装置を取り付けてある)
   ・禁煙タクシーの導入
   ・パート乗務員の採用(地域の主婦らがパートで働ける制度)

三ヶ森タクシー(北九州)

   ・タクシー定期券の導入(特定区間の往復に利用できる月決めの割引乗車券と事前に指定した
    運賃の範囲内であれば何回でも利用できるフリーパス券)
   ・福祉レンタカーの貸し出し

近畿タクシー(神戸市長田町)

   ・料金事前探知サービス(料金が上がるタイミングを事前に知らせるメーターの導入)
   ・携帯電話充電サービス
   ・安心かえる号(塾帰りに1人で帰宅する子どもを送迎する)
   ・乗車料金のポイント制導入(地元商店街と共同で乗車料金を買い物ポイントに加算する)

                                                  (日経新聞より)


2004.12.05 (San)
漱石に帰る

数ヶ月前の日経新聞・夕刊の切抜きが手元にある。
富士電機ホールディングス相談役・加藤丈夫さんの『あすへの話題』に寄せた小文である。
そこには、それまでビジネス戦士として戦ってきた男の悲哀が描かれている。

加藤さんの学生時代の友人の1人が会社を辞めた際に、書棚にあったビジネス関係の本を全部捨ててしまった。
現役時代は時代に遅れまいとして読みまくった本だが、仕事が終わってみると残しておく価値のあるものはほとんどなかった。
ガラガラの書棚に残ったのは、学生時代に買った「夏目漱石全集」だけだった。
自適となった今、久しぶりに漱石を読み直してみると、これが結構面白く、今は漱石三昧の日々。
友人に語ると、「実はオレも漱石にハマッテいる」との受け答え。
これを聞いた加藤さんは、自らの出張の折、「三四郎」と「草枕」を持参して往復の機中でゆっくり読み直したところ、やはり漱石は面白いと感じた。
「久しぶりに本を読んでワクワクする気分を味わった。自分もやがて漱石に帰っていくのだろうか」と結んでいる。

我が家に高校生の息子がいる。
現代っ子の興味は、本より I T にあるらしい。
「誕生日に夏目漱石全集を買ってやろうか」と言ったら、「なんだよ、それ」ときた。

“知に働けば角が立つ”から、まっ、出来が悪くていいか



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