□2005.09.25 (San) |
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■癒やしキット
「ミニ動物に癒やし求めて」
「小エビ・アリ・・・自由でいいな」
の文字が、昨日の日経新聞・夕刊の見出しに並ぶ。
水の交換や餌やりなどの世話がほとんどいらない手軽さが受けて、小エビやアリなどの小さな生き物の飼育キットが男性中心に人気を集めているという。
「エビがフワフワと泳ぐ姿をぼんやり眺めると、不思議と気分が休まり、仕事の疲れも取れる」
世の男性諸君は、かくも疲労感に苛まれているのだ。
いや、疲労感だけではない。言い知れぬ焦燥感、嫌悪感、不透明感?
経営者も勤労者も、石臼で挽かれる蕎麦粉のように身を粉にしていながら、生きている実感が薄いのかもしれない。そして、会社にも家庭にも身の置き所がなくなっているということか?
思春期の頃のように、何もかもが空しくなっていく日。
観賞用の小エビが限られた空間を自由に飛び跳ねている。
アリが巣作りに懸命になっている。
小さな生物は、その“いのち”を慈しむように動いている。
それがかえって羨ましい・・・・・・。
さて、さて、具体的な商品は下のとおり。
小エビ飼育キット「ホロホロ」
高さ約14センチの水槽内にハワイ産のエビ5、6匹のほか、バクテリア、藻、ミネラルを含む人工海水、小枝がセットされている。エビの排出する老廃物はバクテリアが分解。
藻は光合成で酸素を供給するほか、餌にもなる。
ほぼ完全な循環型の生態系を持つため、餌やりや水槽内の掃除は必要ない。
アリの飼育キット「アントクアリウム」
特殊ジェルが詰まった透明なケースに、捕まえたアリを数匹入れると、ジェル内部に巣を作り生態をつぶさに観察できる。ジェルは餌と水分になるため、世話は不要。
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□2005.09.18 (San) |
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■心づくしとは?
日経新聞で連載されている「仕事常識」を面白おかしく読んでいる。
今週の「私のビジネステク」は、“江戸前職人心づくし口伝”。
すし匠(東京・四谷)店主の中沢圭二さんは、“客の思い”を弟子とともに学び合っているそうだ。
客が少なく、食材が余ってしまった夜には、板場に若い弟子を立たせ、カウンターに中沢さんと兄弟子が座る。そして客になりきって注文する。
全員で店の味と客の気持ちを確かめ合う時間である。
深夜まで弟子と語り合い、「あのお客様はこんな気持ちだったのか」を感じ合う。
それが今後、客と向き合う時の店の財産になるという。
同様に、季節ごとに弟子全員連れて、おいしい物探しの旅に出るという。
各地の食材や料理、味わい方を、食べて語り合う。
そして、どんな料理で味わえば満足するか、皆で考える。
心遣いは仕事の段取りを教えるだけでは、決して身につかない。
料理の楽しみ方を見せ、客の気持ちを一緒に味わい、語り合うこと。
食べて飲む修行が人を育て、店を育てる。
最近の若手はオフの付き合いを嫌うが、どんどん連れまわすのが中沢さん流。
嫌がられても上等、若手に遠慮する上役など無意味、「修行だ。ついて来い」その一言が組織の価値を守っていく!
日産自動車を再建したカルロス・ゴーン氏は、休みにポルシェなど他社の車を乗り回している。
客として車を楽しむ心が、人を育て、会社を育てたのではないか。
心したいエピソードである。
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□2005.09.11 (San) |
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■懐石「志ら玉」
昨日、中小企業家の学びの会で、料亭・懐石「志ら玉」(名古屋市北区上飯田)を訪れた。
故加藤唐九郎、故小山富士夫、故河本五郎、鈴木青々、加藤卓男といった現代陶芸界のそうそうたるメンバーが集まり、“陶芸家のたまり場”といわれた懐石「志ら玉」。
その古い静かな民家のたたずまいは、しばし浮世を忘れさせてくれた。
ご主人・柴山笑庵さんのお話を伺い、それからわび、さびの料理を堪能した。
懐石料理の真髄は「こころざしの厚さ」と言うご主人の言葉を集めてみた。
「志ら玉は、お客さんに育てられた店ということもできますな。一杯飲んで“あーせい、こーせい”と助言してくれるのを“はいはい”と聞いていたら、こんな店ができた」
「(加藤唐九郎)先生はふだん代金を払わない。年末になると1万円札をぎっしりかばんに詰めてやってくるんです。年末に来ないと、また1年先、という具合」
「10年ほど前、敷居につまづいてけがをされた時、“志ら玉がオレを殺しぞこなった”と随分言われましたなぁ」
「(最近のグルメブームで)自称“食通”が多いんですな。こういうお客さんは御しやすい。決まって能書きに弱い。変わったものを出せば喜んでいただける」
「通人は何を出してもうまく食べる。自分を食べ物に合わせてくる」
「元手のかからないもので、客が腰を抜かす料理が一番ですな。そうすれば客も店ももうかる」
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□2005.09.04 (San) |
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■衆議院選挙
衆議院選たけなわである。
各党公認・推薦、無所属の議員候補者たちが舌戦をくりひろげている。
刺客、落下傘といった小泉劇場に始まり、ようやく政策論にたどりついたかのようである。
毎日、新聞紙上に各党首や幹部の演説内容が紹介されている。
党に属していない候補者には気の毒だが、公党の演説風景を取り上げてみる。
選挙のパンフレット。郵便局で配達すると120円だそうです。民間だと80円。どっちがサービスいいか。(小泉純一郎首相が熊本県菊陽町の街頭演説で)
民主党は政権交代というが、そうはいかんざき。いいかげんな政党に政権をわたすわけにはいかない。(公明党の神崎武法代表が福岡市の街頭演説で)
公明の党名の由来は政治とカネにクリーン。だが、今は結党の精神を忘れている。名前を変えたらいい。(民主党の岡田克也代表が大阪市での街頭演説で)
小泉政権が続けばサラリーマン増税は間違いなく実施される。いいかげんな政治のつけを国民が払うことになる。(民主党の小沢一郎副代表が和歌山市での街頭演説で)
今回の選挙で共産党の「たしかな野党が必要です」というキャッチフレーズは評判がよい。長崎県で行われた調査では支持率が1位だった。本番でもそれぐらい獲得できると大躍進になる。(共産党の志位和夫委員長が神戸市での街頭演説で)
小泉首相は郵政民営化を「魔法のつえ」のように使って強引に郵政に目を向けさせているが、詐欺商法だ。(社民党の福島瑞穂党首が岡山市での記者会見で)
おカネもない。組織もない。人手もない。カブトムシにも手伝ってほしいぐらいだ。(新党日本の田中康夫代表が名古屋市での街頭演説で)
郵政は百何十時間議論したと自民も公明も言うが、空念仏の討論に何の意味があるのか。(新党日本の荒井広幸幹事長が都内での記者会見で)
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□2005.08.28 (San) |
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■シンカ・タンク
昨日、株式会社シンカ(高浜市湯山町)の会社見学会があった。
会場は、シンカ・タンクと命名された情報発信源・株式会社シンカ ショーウルーム。
毎月発行される手作りの情報誌も、『シンカ・タンク』の名を冠している。
野々山社長は、建設会社に勤める以前は広告代理店にいて、ショーウインドウやネオンサインのデザインを手掛けており、その強みを活かさない手はないと考え、デザイン力の高いプランナーを武器にあらゆる層のファン化を図っていった。
そして、さらにデザイン面の実力を強化するため、店舗物件に取り組んでいく。
店舗は住宅に比べると思い切ったデザインにできるため、そこで培ったデザイン力を住宅に応用することで、他社にマネのできない意匠を実現していったのである。
株式会社シンカの特筆すべき点として、創作割烹「円ん屋」を自ら経営していることがある。
「建設会社がなぜ、食い物屋か?」の問いに、野々山社長はこう答えている。
「これは、自ら別の苦労を体験することにより、日頃感じ得ない発見と価値観を知り、明日の真の価値を察知し、結果的にそれが、“人々へのより良い価値の提供に繋がる”と考えたからです。
また、“お客様に良い店を作ってあげようと思うなら、まず自分で自分の店を作ってみろ”との思いを暖めてきた具体的物件とも言えます」
トステムハウジング研究所が、急成長の要因を下のように分析しているが、衆目が一致しているところである。
1 打ち合わせ、プラン作成、現場チェックを営業マン1人がこなし、要望を反映させ安心感を獲得
2 素材や柄の選択肢を多くすることで「自ら選んだ」という満足感を与える
3 店舗物件の受注方法に有効な資産活用。
飲食店の経営にもチャレンジし、説得力をアップ
4 内容充実のカラー情報誌『シンカ・タンク』で新規客獲得とOB客の生涯顧客化を図る
会社見学会の後、「円ん屋」へ行き、皆で乾杯。
創作料理に舌鼓を打ち、いつまでも行く夏を惜しんでいた。
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□2005.08.21 (San) |
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■河村瑞賢
河村瑞賢といえば、江戸時代、東廻り、西廻り航路を開いて商業発展に功績を残したという知識しか持ち合わせていないが、ここ数日、河村瑞賢のエピソードをいくつか目の当りにしたので、紹介する。
江戸時代、盂蘭盆のとき、祖先の霊に動物をかたどった野菜を供える風習があった。
お盆の後、多量の野菜がお堀や下水に投げ捨てられ、役人を怒らすほどだった。
この捨てられた野菜を、瑞賢は乞食にわずかな銭を与えて拾い集めさせ、塩漬けにして売った。
幕府が開かれてまもない頃のことで、当時の江戸の町は土木工事が盛んで、集まっていた土木人足は弁当のおかずに、この塩漬けを競って求めた。
瑞賢が巨万の富を得るきっかけとなったのが、俗に振袖火事と呼ばれている明暦の大火だった。
消失町数八百町といわれ、この火事で江戸市街地はほとんどが焼き失せた。
瑞賢は家々の燃えるさまを見て、わが家に火の粉の振り掛かるのもかえりみず、有り金残らずふところに入れて江戸を飛び出し、信濃の木曾へと急ぎ、すぐに山々の木を買い占めた。
通信網の発達していない当時だから、大火のニュースが届くまえのことで、数日後駆けつけてきた材木屋に転売して、大儲けした。
江戸に戻ると、それまでしていた材木屋のほかに土木建築請負業も始め、大名・旗本から仕事を取りつけ、富を増したといわれる。
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□2005.08.14 (San) |
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■吉井理人
「最低年棒でも野球したい。出費を抑えるため単身赴任」
オリックス投手・吉井理人さんが日経新聞サンデー版に登場している。
作季限りで解雇されたオリックスに今季テスト参加し再入団した。
最低年棒に近い額の500万円で契約したが、今はローテーションの軸で活躍している。
米大リーグに移った時も、4年で10数億という日本の某球団の誘いを断っている吉井投手。
現在は、神戸の球場近くで、家賃8万5千円のマンションに単身赴任している。
吉井投手といい、米大リーグのパイオニアである野茂投手といい、何だろうか?
解雇される辛さを知るたびに、金では代えられぬ大切なものを見続けてきたのではないか。
大切なものとは、“好きな野球ができること”。
現在好調なのは,作季、二軍で若い選手たちに交じって優勝争いをし、忘れかけていた闘争心を再確認できたことだと胸のうちを打ち明ける。
現在の目標は、優勝することの他にもうひとつ。
吉井投手の大リーグ歴は、丸5年になるまで登録がまだ1日足らない。
1日の空白を埋めるため、大リーグに再挑戦したいと語っている。
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□2005.08.08 (Man)
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■近江商人の根性
江戸時代、日本の経済活動の中心となったのは近江商人だったが、その商魂は実にたくましかった。あるとき、山の峠で2人の呉服屋が一緒になった。2人とも、山を越えたむこうの町の祭りの縁日に店を出すため、重い荷を背負ってここまで来たのである。
その1人が言った。
「毎年、あの町へ行くのだが、いつもこの山がもう少し低かったら楽でよいのにと思いますよ」
もう1人の、近江商人はこう言った。
「私はもっとこの山が高ければよいと思います。そうすれば商売に行く人が減りますから、私はどんな思いをしてでも山を越え、1人でうんと儲けてやります」
(「商売のタネ本」より)
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□2005.07.30 (Sat) |
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■セールストーク
安達太陽堂(岡山)専務・長谷川桂子さんはタダモノではない。
安達太陽堂の化粧品部門だけで2千人の顧客名簿がある。
岡山県の旧新見市(今年4月合併)は人口が約2万4千人。
その半分が女性と考え、子供などを除くと、市の5人に1人が常連客という勘定になる。
長谷川さんは、商売の基本は「固有名詞」だと言う。
そして、顧客名簿の中のお客の顔をほとんど覚えている。
「あ〜ら、岩田さん」「佐藤さん、久しぶり」──。
「いらっしゃいませ」だけではお客は満足しない。
固有名詞で呼ばれ、自分をわかってくれている、ということが大切だと説く。
なぜ覚えているのか?その秘密は写真シールにある。
化粧品を買いに来たお客に、「髪型変えた?1枚撮らせて」とデジカメでパチリ。
閉店後、シールを印刷して、顧客名簿に貼っておく。
長谷川さんのセールストークは見事だ。
パーマをかけたばかりのお客の来店の際どんなトークをすればいいのか?
「パーマかけたの?」ではダメ。長谷川さんはこう言う。
「まあ、かわいい。すてき。髪がフワフワ。もしかしてパーマかけたの?」
真っ先にお客の印象が変わったという事実を指摘してから、その背景を推測する。
「まあ、白い肌。すてきね」という言い方はどうか?
これでも気分はよくなるが、自分と対比することでより実感がこもる。
「白い肌って私のあこがれ。こんなに白くてうらやましい。本当にきちんとお手入れしているのね」
売れるには理由(わけ)があるのである!
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□2005.07.23 (Sat) |
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■理念が降る
最近になって「理念」が天から降ってきたという鍛冶屋の四代目がいます。
元々、「喜びの創造と共有」という理念があったが、腹に落ちずにこれまで来たといいます。
ところが、ある日・・・それは大学を卒業した娘が引越しする際、荷物を運んでいた四代目の中に突如として雷のように閃くものがあったというのです。
引越しの片付けがおよそ終わったとき、娘から「クーラーのリモコンがない」という一言。
片付けが一段落して、やれやれと思っていた彼にとって、その言葉は頭にカチンときた。
大した手伝いもせず、自分の引越しを親頼みする娘に対して、「早く言えよ」という気持ちの表れだったのか、梱包を紐解き、リモコンを捜す煩わしさで、頭がブチ切れそうになったと言います。
しばらく不機嫌にリモコンを捜していたが、やがてそんな彼の頭に去来したもの・・・。
今日、俺は何のために奈良県の天理まで来たんだ?
学業を終えた娘を慰労し、我が家へ気分よく迎えるために来たのではなかったか?
そのとき、かつて創った理念が浮かんだそうです。
そして、「喜びの創造と共有」という立派な理念を噛みしめたといいます。
そうか、そうだったんだ。いつでも、どこでも“変わらないのが理念”。
ついに理念が降ってきた。
娘の下宿の階段を降りるとき、彼は確かな声でつぶやいていました。
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□2005.07.16 (Sat) |
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■デンパークの改善
安城産業文化公園デンパーク(愛知県安城市赤松町)の常務理事に、7月1日付で、デンソー前総務部長の新井博文さんが就任した。
デンパークは「花と緑のテーマパーク」として市が約140億円かけて建設。
市とJAあいち中央、安城商工会議所、デンソーなどの民間企業による「財団法人・安城都市農業振興協会」が運営している。
デンパークは開園した97年度には入園者約122万人を記録。翌年度は約73万人で、毎年減少傾向にあり、昨年度約49万人。今年4−6月は前年同期比で約1割減。
市からの補助金・委託料は昨年度約3億5千万円で、安城市民1人当たり約2千円。
これまで現場のトップは市から派遣された部長級職員が務めており、民間からの登用は初めて。
新井さんの登用は、入場者数の逓減から発生する補助金・委託料の負担増の“改善”にあるが、誤った改善では将来に禍根を残すことになる。
新井さんの発想を、就任時の発言から拾ってみたい。
私が求められているのは合理化とは思っていない。最初からコストで締めてはいけない。
夢を与える場所だから、萎縮しては何も生まれない。
植物が本当に好きで仕事をしている若い職員にも会え、うれしかった。
スタッフにはたくさんのアイデアがあるはず。
それらを実現させるために職場環境を整えるのがマネジャー。
失敗したっていい。ダメもとでやって、ダメだったらやめればいいのが改善なのだから。
どこか飽きられているのも事実だろう。
だからこそ、スタッフが楽しんで仕事をすれば、公園の質は上がる。
展示でもスタッフの応対でもいいから、訪れた人が何かひとつ感動して帰っていくような公園にしたい。
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□2005.07.10 (San) |
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■夢の車
トヨタ自動車の新社長に就任した渡辺捷昭さんが、“夢の車”づくりを目指す決意を語っている。
「乗れば健康、走れば空気がきれいになる車をつくりたい」
かつて豊田英二最高顧問が、どこでも自由自在に移動できる“きんと雲”を車づくりの目標に掲げたように、渡辺社長も具体的な目標を語られた。
「実現は簡単ではないが、環境破壊など負の部分ばかりでは、社会に絶対認められない。企業の存在価値を示すためにもメッセージとして伝えたい」と続けている。
ああ、いいことだ。ハードルは高くても夢が具体的であれば少しずつでも近づいていける。
“乗れば健康になる”とは、車に乗ることによって健康施設でトレーニングをするのと同様の効果が上がるということだろう。
そのためには、車がどうあるべきかを徹底的に議論することが必要だろう。
まさか、梃子を利用した足踏みの車というわけにもいかないだろうから。
同様に、“走ることで空気清浄できる車”の議論も待たれる。
二酸化炭素ではなく、酸素を放出できれば、樹々も喜ぶだろう。
いずれも、後先考えずの発想から始めればいい。
天下のトヨタさんに言うせりふではないか?
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□2005.07.02 (Sat) |
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■阪神タイガース
今年のプロ野球、セリーグは阪神が強い。
今のところ、優勝候補の筆頭に挙げられていた中日を抑えて堂々の首位。
岡田監督がいいのか、フロントが寛容なのか、選手の士気がみなぎっているからか、おそらくそれらすべてが噛み合ってここまで来ているのだろう。
元阪神監督・野村克也さんの「私の履歴書」(日経新聞)が先月末で終わった。
野村さんの次に阪神の監督に就任したのが星野仙一さんで、それ以降強いチームに変貌を遂げている。何がそうさせたのか?
「私の履歴書」をじっくり読むと、ヒントが隠されていることがわかる。
野村さんが辞任した後、阪神監督に就任した星野さんは、早々と打者では金本、投手では伊良部、下柳らを獲得、大補強を行った。そして、それらの選手が皆、大活躍した。
幹となる中核選手が生まれて歯車が勢いよく回り出し、優勝できたのである。
阪神が優勝した後に、野村さんは阪神球団の久万オーナーと会う機会があった。
その席で、オーナーは、“野村君と星野君の2人の決定的に違うところ”を示唆した。
「あなたは詰めが甘いんです」
野村さんはこの言葉の意味をこう考えている。
「私は、4番とエースを補強してくれ、とは頼んだが、そこまでだった。
星野監督は具体的に、この選手を採ってくれ、あの選手を採ってくれ、お金はこれだけかかる、とオーナーに要望していたようだ。多分、オーナーはそのことを指摘していたのだろう」
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□2005.06.25 (Sat) |
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■高所恐怖症
中小企業の動向に詳しい立教大学経済学部教授(金融論)の山口義行さんが、愛知県内の製造業の状態について、「高所恐怖症の状態」と分析している。
中部国際空港の開港、愛知万博開催と追い風が続く愛知県では、トヨタを筆頭にした自動車産業の拡大はバブル期に匹敵する空前の活況を呈している。
生産能力は設備も、人も、いっぱい、いっぱいである。
これ以上の注文に応えるには、設備投資をしなければならない。が、問題はその後。
もし自動車景気に陰りが見えてきたら、余剰設備を抱えて苦しむことになる。
それを考えると安易な投資はできず、いかに注文増に応えていけばいいか、頭を悩ませる。
「仕事の量がピークから落ち始めるのではないかという予感があって、設備投資をしてまで需要増に対応する気にはならない。大手メーカーが長期的な展望を出さないから不安になる」
「高所恐怖症の状態」とは言い得て妙である。
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□2005.06.19 (San) |
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■念ずれば花開く?
学友(中小企業家の学び仲間)の会社の事務所前に石碑が建てられていた。
石碑には、仏教詩人・坂村真民さんの文字で“念ずれば花開く”と刻まれている。
念ずれば花開く・・・・・・いい言葉だ。
ちょうどその日、「がんばれ社長」のメルマガが送られてきた。
その日の要点は、ざっとこんなふうだ。
ある韓国牧師が、布教活動のための自転車を欲していた。
念ずれば花開くを実践するかのように、毎日神様にこう祈った。
「神さま、あなたの栄光を表すために私は自転車を必要としています。
どうか、自転車を私にさずけて下さい。み心のなるがままに、アーメン!」
しかし、牧師の願いは神様には通じない。
半年たったとき、牧師は抗議の意味も込めて、こう祈る。
「神さま、私は全時間をあなたに捧げています。それは私の喜びです。
でも自転車がなくて毎日の活動はとても不自由を感じています。
もし、み心にかなうならば一日でも早く自転車を私に授けてください。
それとも、私の活動はみ心にかなわないのでしょうか?」
すると、そのとき初めて神から返答が来た。
「あなたの祈りは毎日聞いている。あなたの願いをかなえてあげたいとそのたびに思う。
だが、いつもあなたは"自転車が欲しい"としか言わない。
私はどんな自転車をそなたに授けてよいのか分からないのだ。もっと具体的に祈ってくれ」
牧師は反省し、自転車の色、形、大きさ、カゴの色、荷台の形状、ハンドルのデザインなど、超リアルに祈った。すると次の日、自転車に乗ってやってきた教会清掃のボランティアの婦人が、こう切り出したのだった。
「あのぉ、先生。これは先月買ったばかりの自転車なのですが、主人が私の誕生祝いにスクーターを買ってくれましたの。もしこれでよろしかったら、先生が役立ててくれませんか?」
それはまさに牧師が祈ったとおりの自転車だった。
メルマガは次のように結ばれている。
心に描いた夢は必ず実現すると言うが、漠然と描いたものは実現しない。
いや、実現に向けてのエネルギーが生じない。人生はエネルギーが作り出す。
そのエネルギーは気から生まれる。気はあなたの夢想から始まるのだ。
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□2005.06.11 (Sat) |
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■人生の危機に読む本
“人生の危機に読む本”として、各界の著名人がそれぞれ1冊ずつあげている。
人生の危機すなわち、愛する人の死、突然の大病、仕事の挫折・・・・・・困難なときに癒してくれた本。ちなみに私の場合は何だろうか?
愛読書の類はいくらかあるが、これがそうだと言えるものがない。
あえて記せば、『修身教授録』(森信三著)か。
それぞれの立場、それぞれの背景があって選ばれた1冊であり、貴重な資料といえる。
永六輔 『般若心経』
倉嶋厚 『神経質の本態及び療法』
小山明子 『よく生きよく笑いよき死と出会う』
保阪正康 『愛する人を亡くした時』
陰山英男 『教えるということ』
葛西敬之 『第二次世界大戦』
吉田直哉 『わが落語鑑賞』
中村富十郎 『六平太芸談』
義家弘介 『かもめのジョナサン』
横尾忠則 『ブッダのことば』
栗本慎一郎 『知覚の現象学』
堀田力 『あすなろ物語』
藤沢秀行 『李白詩選』
江上剛 『休憩時間』
松原泰道 『無門関』
佐藤優 『太平記』
花村萬月 『有罪者』
藤原正彦 『思出の記』
辻井喬 『魔の山』
中島義道 『日記』
甲野善紀 『大地の母』
江夏豊 『燃えよ剣』
山川静夫 『赤毛のアン』
島尾ミホ 『はまべのうた』
西澤潤一 『銀河鉄道の夜』
南木佳士 『流れとよどみ』
山内昌之 『留魂録』
ひろさちや 『人間の絆』
帯津良一 『漱石書簡集』
野口悠紀雄 『罪と罰』
吉本隆明 『聖書』
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□2005.06.05 (San) |
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■映像化する
「できる子はどんな覚え方をしているのだろう?」
小・中・高一貫総合予備校のクラ・ゼミが問題提起している。
記憶の方法には大きく2つに分けられるそうである。
1つは「リハーサルする」こと。覚えなくてはならない事項を頭の中で繰り返し読み返していく。
もう1つは「映像化する」こと。覚える事柄を頭の中にイメージ化したり、時には物語風にしていく。
リハーサルすることは、忘れることを一時的に防いでいるだけで、リハーサルが終われば、その時点から記憶は薄れていく。
それに対し、映像化は後々まで脳の襞に記憶がこびりついていくのだそうだ。
では、どうすれば映像化できるようになるのだろうか?
「そのひとつに“読書”があります。おそらく読書が好きな生徒は本の内容をひとつひとつ文字で理解していく方法をとっているのではなく、映像をみるように読み進んでいるのではないでしょうか。読書することで文字を映像に変換できる術を習得しているのかも知れません。さらにそれが進めば、アルファベットの並び(単語や英文)や数字の羅列さえも映像化できるようになります」
読書が大切なわけだ!
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□2005.05.29 (San) |
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■胡蝶蘭の夢
昨日、胡蝶蘭栽培をしているNさんのもとを訪れた。
農園は所狭しと胡蝶蘭で埋め尽くされていた。
人が老若男女いるのと同じように、胡蝶蘭も発芽間もないものから成長して嫁入りするものまで数限りない。花房の大きいもの、小さいもの。原種に近いもの、品種改良を繰り返されたもの。
濃い色彩、淡い色彩と目を楽しませてもらった。
発芽から商品として出荷されるまでにおよそ2年半かかるという。
そのランニングコストは大きい。さらに自然と対峙していく気力は並々ならぬものだろう。
素人考えで、“植物を育てていく仕事は生命を与えられていい”と言うのは易いが、その道その道で多くの“苦”があるのだろう。
Nさんの言葉を引いて、胡蝶蘭を“確かめて”みたい。
一般的に胡蝶蘭と呼ばれるものは、台湾〜スマトラなどの熱帯生まれの野生ラン、“ファレノプシス・アマビリス”などを元に品種改良されたものです。
人間の手にかかり長年交配されて、丸くてとっても大きな花になっていきました。
ファレノプシスは“着生ラン”といいます。
アマゾンのジャングルの木の枝などに張り付くように自生しているので、水やりは大切なのですが、多湿を保ち、肥料を定期的に与える事が毎年花を咲かせるためのコツです。
気温10度で約一ヶ月位花がもち、下から3〜4節のところから切ると2回咲きます。
他のラン類に比べ割と簡単に花を楽しむことが出来ますので、ぜひ挑戦してみてください。
三州・碧海の地は気候もやわらかく、矢作川の豊かな水の恵みが満ちあふれております。
私たちは、そんな土地に自然の芸術品胡蝶蘭を栽培してみようと考えてみました。
一日中、見ていてもあきのこない、あの素晴らしい胡蝶の華に、思いっきり夢と風土の恩恵をのせて、あなたの目の栄養剤になってもらおうと思いました。
見てやってください、碧海の華を・・・。
ただ水をまいているだけの様に見えますが、胡蝶蘭の様子に気を配り、日々の成長具合を確認しているんですよ。“いい花つくろう”と思っても本当に奥が深いんです。
水・温度・土・栄養・時間、すべてがバランスよくとれて、いい花が育つのです。
やはり一番大事なことは、花に対する愛情がないとダメなんです。
いつも花と話しています。「きれいに咲いて、みんなを喜ばせてあげろよ」と。
http://www.nafuto.com/
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□2005.05.22 (San) |
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■アサノ薬品
金曜日、アサノ薬品株式会社(愛知県安城市高棚町)社長・浅野昭三氏の講演を聞いた。
相変わらず元気な方である。61才とは思えぬ若々しさには舌を巻いた。
「先用後利」という独特の商法は、会社や家庭に医薬品を置かせてもらい、後日、使った分のお代を頂くという仕組みである。早い話、富山の薬売りを思い浮かべてもらえればいい。
この商法は経営用語では、“配置販売”という。駅の切符売機や自動販売機がこれにあたる。
浅野氏は自らの経営を通して、「営業のコツはこつこつだ」と語られた。
こつこつ継続してやること、これに尽きる。営業マンは、頭は低く、笑顔を忘れないで、声を大きく、ちょっと前向きな事を話す、のがいいと言う。そして、商=笑=勝であると。
人を育てることと作物を育てることには共通性がある。ともに“こえ”をかけること。
人には“声”、作物には“肥”である。
教育は笊で水を汲むようなものである。しかし汲み続ければ笊に水垢がつき、やがて水が汲めるようになる(森信三)。
もう11年ほど前になるが、中小企業家の集まりの会に入会させてもらうことになり、新入会員のオリエンテーションに出席した。その時の報告者(講師)が浅野氏だった。
懇親会の席で名刺交換した。数日したら、浅野氏からハガキが届いた。
ハガキにはこう書かれていた。
先日は同友会三河支部・新入会員オリエンテーションで、私の粗末な話を聞いて頂き、有り難うございました。低成長で、激動の時代で、わからないことばかりです。今後もご指導下さい。
柴田様にも健康に留意されてご活躍をお祈り申し上げます。感謝。
追伸 年中無休、24時間営業の精神、見上げたものです。
私も頑張っていた頃があったんだ。
“売上高はお客様への役立ち高である”という浅野氏の言葉、噛みしめたい!
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□2005.05.15 (San) |
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■未来工業
水曜日、岐阜県南部・長良川のほとりの「未来工業」を訪ねた。
中小企業家の集まりの会で6月に行う“会社訪問と講演会”に向けての挨拶のためだ。
創業者・山田昭男さん(現相談役)の部屋には、演劇のパンフレットが渦高く積まれていた。
その日に興行される演劇のパンフレットを日々張り替えることが日課だと伺った。
未来工業をよく知る人は、会社をこう説明する。
「タイムカードも残業もなく、休みは年間140日。それでいて高収益を上げている。
ノルマや目標がない代わりに、自分で仕事のやり方を考えなければならない」
“カネより時間がやる気を起こす”が山田さんの持論。
「経営者の最大の仕事は社員の不満を取り除くこと。
人間はなるべく働きたくないんだから、それに応えることがやる気につながる。
しかも、工夫して労働時間を減らすのにはカネがかからない。
給料だけでは満足させるには限度があるし、カネはすぐに既得権益になって効果が薄れる。
年収2000万円のパイロットだってストライキするんだから。
報酬体系は典型的な年功序列型。そして月給制。日給月給制で、欠勤すれば控除するやり方は、働かなくてもペナルティーを払えばいいだろうという考えにつながる。
欠勤しても控除しない月給制だと、かえって休まない」
そして、報・連・相についてもこう話す。
「現場が一番現場を知っているのだから、無知な上司に相談するより、どんどん自分で決めて、実践すればいい。うちは報・連・相は禁止にしている」
午前11時から午後3時まで、みっちり教えを乞うた。
昼食に“未来鍋”をご馳走してもらい、どちらも満腹感で一杯になった。
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□2005.05.07 (Sat) |
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■変わるコンビニ
日経新聞が「変わる コンビニ」を取り上げている。
それによると、昨今のコンビニエンスストアーの特徴は次の点に集約できる。
@コンビニエンスストア各社が生鮮食品を豊富に扱う店や、店内で調理した作りたての食品を提供する店など、様々なタイプの店を展開し始めた。
A多様化する顧客の需要や単身者の増加といった消費者の変化に対応するとともに、主婦、中高年ら新規客層の開拓を狙う。
Bコンビニの競争は独自商品にとどまらず、品揃えとサービスを競う業態開発の段階に移った。
コンビニの客層は20代−30代男性が中心で、顧客に占める男女比は一般に7対3といわれる。
ただ、少子高齢化で今後の若者人口の減少が見込まれるなか、中高年や主婦層らの取り込みが大きな課題となってきているのは、関係者の衆知するところだ。
さて、コンビニが進化するのは悪くないが、「生鮮コンビニ」「店内調理店」「スーパーコンビニ」と進化して、果てはどこへ行くのだろうか、と危惧してしまう。
便利が蔓延すると、便利でないことを欲するようになり、人はどこまでいっても我が儘である。
かつてのコンビは、“鮮度”、“品揃え”、“接客の良さ”、“清潔”の4Sを備えておればよかった。
しかし、それだけでは飽き足らず、早足で階段を駆け上っている。
人は怠ける為に文明を進化させた、と夏目漱石は言ったが、漱石は文明に対し何かを警告していたのではないかと最近思えてくる。
我が家でも洗濯の水を湯船から直接汲んでいたのが(この仕事は仕舞い風呂をいただく私が担当していた)、近頃ポンプを利用するようになった。
楽になったが、小さな“苦”がなくなり、さみしくなった。
大きな“苦”は嫌だが、小さな“苦”は大切ではないか?
話がそれたが、まぁ、こんなことを思っている昨今である。
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□2005.05.01 (San) |
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■子供と一緒に育つ酒
北海道の酒造・男山(旭川市)は、子供が生まれた年に購入し、成人式や結婚式など門出の日に開封してもらうことを狙った純米大吟醸酒(1.8g瓶、18,000円)を5月16日に全国で発売する。
金属キャップの周囲をろうで固めるなど完全密封した。
木箱入りで長期保存に耐えられるよう黒色の厚い瓶を採用。
子供の手形を押したり、親の思いを自由につづれる縁起物のイチイの木札を添えた。
商品は購入者が冷暗所に保存する。
20年熟成させた酒は黄金色に変化し、口当たりもまろやかになるという。
同社は「子供と一緒に成長した酒を味わいながら、思い出を振り返ってほしい」としている。
(日経新聞)
沖縄では、長期保存した泡盛を古酒として床下などに寝かせ、祝い事があるたびに甕の上澄みを掬って飲むと聞くが、清酒を長期保存して大丈夫だろうか?
焼酎など蒸留酒は、長い間熟成させるとコニャックやスコッチのような味を醸し出すが、清酒は味がどんどん落ちてくると居酒屋の大将に教わっている。
しかし、待てよ。日出盛の「桃の滴」はうまかった。
真澄の「あらしばり」も「備前の酒一筋」もいけた。
地下の冷暗所に寝かせておけば、やはり品質も熟成されるのだろうか?
酒にいけないのは、温度と光だと聞く。
新聞紙に包んだ一升瓶を冷蔵庫で保管すればいいのかも知れない。
子供と一緒に育つ酒か─。
その発想はとてもいいが、酒飲みにはどうにも待てない気がする!
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