遠山氏の冒頭の言葉が印象に残ります。良い経営者になるために、同友会の門を叩き、地区の先輩諸氏と学び会う充実した日々の中にあって、しかし、人の前で話すことの怖さを端的に表現した言葉として胸に迫ります。入社4年目で、まだまだ一人前とは言い難い後継者が、どれだけ気の利いた話ができるだろうか、と。
しかし、遠山氏は、株式会社ミカワの一員としての切実な現実を、洗いざらい溢れる笑顔で語られました。今までは会社で引かれたレールの上を転がっていただけで、発言を遠慮することも多かったこと。後継者としての気づいた経営上の諸問題を解決するために着手した改革と3つの失敗。そして、会社を潰さないようにとの切ない思い等々、社内で四苦八苦する絵模様は、経営者の誰もが一度は通る道を今まさに愚直に歩いているのだと、多くの聞き手をして好感を持ってうなずかせる内容でした。
同友会に入って1年。経営に対する考え方も変わってきました。利益、儲けといった目の前の事象だけを見つめていた今までと変わって、会社や自分自身の目的、目標をはっきりさせ、さらに会社の存続といった大所高所からの視点で物事を見つめることができるようになってきています。“人の話を聞くようになってきた”“損得を考えない営業”“社員満足”という言葉が示すように、それは、後継者としての認識がもたらした成果でもあったのです。