あおみ労務事務所
CONTENTS
事務所案内
労務記録
経営情報
随想
案内板
HOME
経営情報
「経営」という言葉を辞書で引いてみますと、「計画に基づいて事業などを行うこと。又そのためのしくみ」 とあります。畢竟、経営とは「経営指針(経営理念、経営方針、経営計画)を作成し、それを誠実に実践していくこと」ではないでしょうか。
このページでは、その時々の経営にかかわる情報を取り上げ、発信していきます。
2006.05.28(San)
新卒採用

今月の日経新聞・私の履歴書は、信越化学工業社長・金川千尋(かながわちひろ)さんが筆を執っている。金曜日の「社長就任」の中で、“新卒採用”について述べている下りを面白おかしく読んだ。

1990年8月に前社長が急逝し、社長に就任した金川さんは、信越化学が“効率経営”の点でかなり遅れていることを知覚していた。1990年はバブル崩壊の年であり、今後は効率経営の必要を肌で感じていたのだろう。まず最初に手掛けたのが新卒採用。その下りを引用する。

最初に大きく変えたのは新卒採用だ。
社長就任前は6百人前後を採用していたが、思い切ってほぼゼロにした。
副社長時代も「仕事が増えないのに定期的に人員を増やす習慣はおかしい」と意見を述べていたが、通らなかった。

採用計画をつくる時、各部門には「他部門並みに人を採りたい」という横並び意識が働く。人事部にも他社との横並び意識があり、集計した数字を少し削る程度で終わってしまいがちだ。

昔から、仕事がないのにどうやって定年まで雇用するつもりなのか、不思議でならなかった。
私は今でも「人を増やすのはいいが、最初に新規の事業を立ち上げなさい」と話す。
すると抵抗できない。仕事のない社員を採用したら、結局は整理せざるを得ず、会社も社員も不幸になる。

万年新卒採用難の中小企業には夢のような話だが、金川さんの話は正しいように思う。
業種で社員を採用するわけだから、就かせる仕事がないのに採用しようとするのは誤りである。
同じように、定員2名のところ、初めから退職を見込んで3名採用するというのはいただけない。
採用しようとする社員に失礼であり、初めから教育や訓練を通しての人格形成を放棄しているように見える。

“雇用”とは、その人の人生を預かるのであるから、法令を順守し、規則を整備し、社員の幸せを追求することが事業主に課せられるのではないか。

労使紛争の発端は、会社側が作り出していることが多いのである!



2006.05.20(Sat)
人材育成

デンソー会長・岡部弘さんが、“人材育成”について語っている。
その要旨は、企業が社員の教育訓練にお金を使わなくなったこと。そしてそれは、長い目で見ると、その悪影響がボディブローのように効いてきて、企業の競争力を低下させること。
特に物づくり企業は、技術・技能の伝承が競争力維持の生命線であるだけに、一度手を抜いてレベルを落とすと、回復には手間ヒマがかかること、など。

確かにそのとおりだろう。企業には多様な能力を持った人材が必要であり、そうした人たちが密接なチームワークの下に活動を進めることが大切で、そのためには、企業のニーズに応じた人材を自らの手で育てていく努力は欠かせないものだ。

私の属する中小企業家の会では、企業において必要なことは、経営指針の作成と教育(この会では共育としている)だと説いている。まず経営者が方向性を決めること。そして人を採用し、共育していく“三位一体の経営実践”で企業は永続的に発展していくのだと。

岡部さんはプロ野球に例を引き、次のように人材育成の必要性を強調する。

「以前プロ野球で優秀な4番打者を揃えたチームが勝てないということで話題になった。
過去のプロ野球の歴史を見ても、連覇するチームは概ね若い選手をうまく育てたところである。
手塩にかけて育てた人材が多いほどチームワークも発揮でき、まとまりのあるチームができる。
組織とは本来そういうものだと思っている」

企業も家庭も、“手塩にかけて”育てる努力を怠っていないだろうか?



2006.05.14(San)
2.5人称の視点

日経新聞・生活欄に連載されている「モードの方程式」(文:服飾史家・中野香織さん)を読むと、“2.5人称の視点”というものがあるという。その定義を中野さんは、こう述べている。

自分だったら、という1人称の視点。家族ならばという2人称の視点。そして他人事と見る3人称の視点。1人称、2人称の視点だけでは感情に走って冷静な専門的な判断が下せなくなる。かといって無味乾燥な3人称の視点であれば、人をモノとして扱うことになりかねない。1、2人称を考慮に入れつつ、3人称的な専門的判断を下せる・・・というのが2.5人称の視点。

そして、こんな例を引いている。

ミドリさんは、小さな腫瘍を切除するかどうか迷っていた。
担当医から医学的な説明を受けても、どうすればよいのか判断しかねていたが、別の医師の次のひと言で手術を受ける決心をしたという。

「ミドリさんが僕の妻だったら、医者として、できるだけ早い時期に手術をすると思います」

プロの医師としての視点と、患者を家族のように親身に思う視点を併せもった頼もしいひと言だった、と元気になったミドリさんは振り返る。

労務管理の専門家として、2.5人称の視点を持つのは大切なことだと思う。
経営者としての視点(1人称の視点)、労働者としての視点(2人称の視点)を考慮しつつ、それを超えた2.5人称の視点・・・専門家としてのあり方を教えてくれているような気がする。



2006.05.07 (San)
税の由来

中日春秋(中日新聞・朝刊)に、税についての雑学が記されていた。
少し紹介すると、“税”の文字は、脱衣の“脱”の原字であるらしい。
“脱”は、人の着物を剥がしてぬきとる様子を表しているというから、太古の為政者が人々から税をとる様は、まるで雲助が、駕籠に乗せた客の着物を身ぐるみ脱がすような感じではなかったか。

歴史を見れば実にさまざまな税がある。
徳川綱吉の頃の犬税。犬の収容施設のために徴収した「お犬扶持」である。
同じ頃、ロシアのピョートル大帝は、国庫の赤字解消で長靴、薪、スイカなどに課税した。
ひげ税も徴収したというが、これは、西欧化のため風俗を改善する目的があった。
フランスでは、「シルエット」の語源ともされるシルエット氏が、空気への課税を唱え、首になった。
他にも、窓税、共同トイレ税・・・。

税は、国民を「食わせる」方法の一つだといわれる。
賃金と税のバランスで国民を食わせる、というのなら、税をもう少し勉強するのが本分なのだが、如何せん税を学ぶところがない。税はこうも国民を愚弄する?


2006.04.29 (Sat)
経営指針発表会

中小企業経営者の集いの会で、ともに学んでいる建設業者のHさんから手紙をもらった。
手紙には、Hさんの会社の経営指針発表会の案内が記してあった。
そして、住宅着工数が年々減少する中での、大手ハウスメーカーのルールのない受注攻勢に対する怒りと、無力な零細企業に何ができるかを模索するHさんの絵模様が一枚の絵のように浮かび上がっていた。


  経営指針を発表する会社としては多分、日本一小さな会社だと思いますが、チャレンジしてみ
  ます!ご都合がつけばご参加下さい。

Hさんは、この発表会の成功を祈願するため、ある方の墓参りに長崎県の対馬へ渡航したそうだ。
ある方とは、対馬の猪鹿追いつめを指導したとされる陶山訥庵(すやまとつあん)。
徳川
五代将軍綱吉の頃の人だと聞いたが、どんな人なのだろうか?

今の慌ただしさが落ち着いたら、Hさんに尋ねてみよう。




2006.04.23 (San)
いい加減2

ある調査によると、「通勤電車が10分遅れたらイライラしますか?」の問いに、「イライラする」と答えた人が84%いたそうである。この結果は、日本人の大半の人は、電車はきちんと来るのが当たり前、「来るべきものだ」と思っていることに他ならない。
しかし、そうなっているのは、鉄道関係者のものすごい努力によるものだということを、誰もが見落としてしまっている。ものすごい努力をしているのに、それが「当たり前」と思われているから褒められることがない。それどころか、ちょっとした遅れで怒られてしまう。

こうしたことは実は人間関係でも起こっている。
最初のうちは相手の良いところを分かっていても、慣れてくると、それが当たり前のことになる。
こうなると、目が行ってしまうのは、嫌なところばかりになる。
良いところを良いところとして評価できなくなってしまうと、自然とそうなってしまうのである。
「イライラする」ときには、よく思い直してみなければいけない。
「ひょっとして、自分はすごくぜいたくなことを考えているのでは?」と。

こう考えると、不自由な暮らしや生活をしていたり、経験するというのは、とても良いことなのではないかと思う。こうした考え方が実は、“いい加減”なのである。

(東京カウンセリングセンター所長・菅野泰蔵さん「良いところを見ていこう」を引用)



2006.04.16 (San)
いい加減

  常、平生真面目な人は戦争に対しても真面目である。   (ビアス『悪魔の辞典』)

数年前、真宗大谷派 岡崎教区 第14組で開催する、「心の元気塾」に参加したとき、講師の中村薫さん(同朋大大学院教授・真宗大谷派養蓮寺住職)から上の言葉を聞いた。
そして、中村さんは結論として“いい加減”の重要さを説いた。

人は、“いい加減”を持ち合わせていないと、その真面目さゆえに戦争を正義のものとして、真面目に戦争に協力してしまう。鼠小僧次郎吉じゃないが義賊を気取って真面目に泥棒に取り組むのもまた、真面目な人の特徴なのである。

ああ、そうか、いい加減でいいんだと思った。ただし、いい加減の“いい”がなかなか難しい。
これを見つけていくために学んでいくのだろうか?そうであればまた私も真面目な人なのだろう。

いい加減は難題ではあるが、いい加減を探すことが経営課題というのであれば、何とも締まらない話である!



2006.04.08 (Sat)
3人のコンサルタント

今週、毎日配信されてくるメルマガ「がんばれ社長!」の中に面白い記事があった。
「がんばれ社長!」の武沢さんのところへ、ある販売会社のA社長が次のような相談に来たのだ。

ある輸入製品を売りたいのだが日本ではまだ市場がない。
しかも自社は代理店の下の販売店の立場だ。
できれば正規代理店にな
ってメーカーと直取り引きもしたい。
だが、今の代理店とケンカはし
たくない。
どのような優先順位で行動すべきだろうか?

たまたま3人のマーケティング関係のコンサルタントが居合わせていた。
3人はそれぞれ、下のようなアドバイスをした。


1人目の意見。
絶対成功する、という信念は大切だが、特定商品への思い入れが強すぎては盲目になる。
"市場に聞け"ということばがあるように、まずは営業活動に出向くことだ。
そして、企業としてその製品で売上げや利益を確保できるという見通しが持てるようになることが最優先の課題ではないだろうか。結果次第では、その製品ではダメだと結論づける事だってあり得る。決めるのはお客だ。

2人目の意見。
気の毒だが日本での成功は大変むずかしい製品だと思う。
今のあなたの話を聞いて、私自身が消費者になりたいとは思えなかった。
お客のゴリヤクが何なのかを分かりやすく語れるようになることが、あなたの一番の優先順位ではないか。今まで日本でこの製品がなぜ売れてこなかったのかをもっと調べることも大切だ。
もっと冷静になって、あなたにふさわしい他の製品をさがした方がよいと思う。

3人目の意見。
ユニークという意味でとても面白い製品を見つけてきたと思う。
簡単に売れるとは思わないが、ある程度の市場が日本にもあるように思う。
僕だったら、すぐにそのメーカーにアポをとって外国に飛ぶ。
そして、こちら側の熱意とか希望を伝えに行く。メーカーの熱意も聞いてみたい。
そして、安心して日本国内での販売活動が続けられるような供給体制やアフターサービスなどを確認し、販売計画をメーカーと共有してくる。

最後に武沢さんが提案した。


「Aさんが3年後に販売したい数字は月間で幾らですか?また、今までは月平均で幾らですか?
そのギャップを埋めるために、どのような行動が必要ですか。
それを箇条書きに紙に書いてみませんか。」



2006.04.01 (Sat)
働く意味2

先週からの続きで、電設資材メーカー「未来工業」の山田昭男相談役の「働く意味」を再現する。


フリーター、ニートと呼ばれる働けない、働く意思がない若者が増えています。

働かなくちぁいかん、という切迫感がない。大学を出たばかりなのに車を持っている若者が多くて驚いた。今の親は何でも子どもに買ってやるから、それが当たり前だと思っている。汗水流して努力している親の背中を見ていないから、働くという実感が持てないんだな。

雇用する側にも問題があるのでは?

大企業がリストラばかりやってるから、サラリーマンになりたくないと思うのも仕方ない。そもそも、採用数が減ってるから企業に入れない。のっけからあきらめちゃう。これが社会現象だと思うし、簡単に解決できる問題じゃないな。フリーターやニートを教育しろという人もいるが、手に職を付けるのは難しいんだ。

企業の方も余裕がなさすぎるのでは?

絞れば絞るだけ儲かると勘違いした会社が多い。正社員を減らし、パートや派遣社員で済まそうとしているが、おかしいだろう。ヒューマニズムに反すると思うな。うちは正社員しか採らない。だって、机を並べて同じ仕事をしているのに、給料が違うなんてひどい。だいたい、人をコストだと考えるのは大間違い。働くのは人なんだから。それ以外で削れるところ、いっぱいあるだろう。

相談役自身、仕事でつらいと思ったことは?

いい会社をつくろう、と思ってやってきたから、つらかったことはない。岐阜県で利益率がトップになった。喜びが目に見えるから、経営は面白いな。あと、うちの業績や独自の取り組みがマスコミに取り上げられ、社員の喜ぶ顔を見ていると、やってきてよかったな、と思う。



2006.03.25 (Sat)
働く意味

久々にあのお爺さんの顔を見た。
昨年、中小企業家の研修旅行でお爺さんの会社を訪れたが、それ以来だろうか?
お爺さんとは、電設資材メーカー「未来工業」(岐阜県安八郡輪之内町)の創業者である、山田昭男相談役。「経営の基本は働く人を大事にすること」という経営哲学を貫徹している。
中日新聞の紙上で語られた山田相談役の「働く意味」を少し再現してみたい。

相談役にとっての「働く意味」とは?

生活していくための手段。稼がないと飯が食えない。若かろうが年寄りだろうが、稼ぐための仕事だ。でも、人生の半分は仕事に使うんだから、楽しくやらないと駄目。昼間から喫茶店にいるサラリーマンを多く見るが、仕事を嫌々やっているんだな。みじめなもんだと思うね。だから、社員が楽しく働ける環境を、会社がつくらないといけないんだ。

社員にやる気を出させるための独特の取り組みが有名ですね。

うちは年間の休みが約140日。社員を無料で海外旅行に行かせるし、製造業のくせに作業着がない。勤務時間は午前8時半から午後4時45分までで、実働7時間ちょっと。おまけに残業は禁止。仕事は上司に命じられるのではなく、自分でつくって取り組む。ただし成果主義は嫌いで、給与は年功序列。こんな会社、日本でうちだけだよ。仕事は楽だし面白いし、給料は上がる一方。誰も辞めるわけがないよな。

女性にやさしい環境だとか。

産休・育休として3年間休んでいい、と言っている。子育てと仕事を両立するなんて無理。いまは核家族化が進んで、若い夫婦が親と一緒に住まないでしょ。で、金がないくせに、家を建てたりする。亭主の給料だけじゃローンが払えないから、女も働かざるをえなくなる。でもそれなら、親と一緒に暮らせばいいじゃん。親は子育てのベテラン。分からないことは任せりゃいい。子育て経験がないくせに、仕事もやろうとするから、子供の教育が駄目になってきている。(次週へ続く)



2006.03.18 (Sat)
年齢観

日本経済新聞(朝刊)に堺屋太一の小説「世界を創った男 チンギス・ハン」が連載されている。
この欄は、2ヶ月前まで渡辺淳一の「愛の流刑地」が連載され、多くの読者を誇っていた。
渡辺さんの柔らかな文(内容も)に比べ、堺屋さんの場合やや硬いので、少し敬遠していたが、昨日分の“年齢観”は面白かった。堺屋さんが言うように、歴史を実感するには、こうした知識も必要だろう。以下紹介させていただく。

歴史を語る時、情報と並ぶ問題は年齢観だ。

近代は、医学と衛生の進歩で平均寿命が延びたばかりか、眼鏡、義歯、補聴器などで身体能力も補強できるようになった。その一方、教育年限が延び社会的出発の年齢は遅くなっている。

このため、二十一世紀に生きるわれわれは、史上の人々とは著しく異なる年齢観を持っている。歴史を実感するためには、当時の人々の通念を納得させるような換算が必要だろう。

私は、折に触れて、十六世紀後半の日本、戦国時代の人々の年齢観がどんなものだったか、武将たちの行動と評判から考えてきた。その結果、当時の年齢(数え年)を1.2倍して3を足したぐらいが、今日の私たちが持つ年齢観にふさわしいのではないか、と考えている。

例えば、織田信長は49歳で死去した。これを1.2倍して3を足すと62歳、現役社長バリバリの年齢で無念の死を遂げたのだ。

53歳で死んだ武田信玄なら67歳、社長から会長になる年頃だ。豊臣秀吉の没年は63歳、先の換算では79歳になるから既に相談役、幼い秀頼ばかりを心配する老人だったのも頷ける。75歳まで生きた徳川家康は今の93歳、相談役から名誉会長となって10年余での大往生、といえばよく適っている。



2006.03.12 (San)
えんぴつで奥の細道

「えんぴつで奥の細道」(大迫閑歩書、伊藤洋監修)が売れている。
芭蕉が記した文章を鉛筆でなぞるだけの本が、たちまち10万部を突破した。
文字を丁寧になぞることで、あなた自身の旅が始まります、と帯にあるように、芭蕉が江戸の深川から終点大垣まで歩いた道程が、私たちの胸のうちに雲のように湧くのだろうか?

複写機のなかった頃は、誰もが一冊の本を手で写したが、手で写すことで得られる何かがあるのだろう。お手本を真似て書く習字のように、先人の息づかいや喜怒哀楽がそこには眠っている。
絵の模写もそうだが、描いた人物の“いのち”を感じることができるのだろうか?

読者の声が紹介されている。読者がこの本から感じた“いのち”は何だろう。

生きてきて良かった、と思います。温かい心の糧をいただいて、小生、毎日の楽しみが増えました。(90歳、男性)

字の練習にもなり、古典も勉強でき、そして毎日、旅ができる。続編を期待しています。(55歳、女性)

久しぶりに本屋で宝物を掘り当てたような気分になりまた。(77歳、男性)

手書き文字のやさしさに満足、一日分の長さもちょうどよく、毎日音読してから字の練習をしています。大切に使いたいと思います。(63歳、女性)

「えんぴつで奥の細道」 ─ 何これ!本屋さんに飛んでいきました。字の書き方、ことばの意味、勉強になって、古典が読める。一石二鳥、いや三鳥です。(69歳、女性)

昔読んだはずの文章が、何十年を経て、頭の中に、えんぴつを持つ手に、とても新鮮に入ってきます。(64歳、女性)



2006.03.05 (San)
ポスト小泉

政界の巷で、ポスト小泉の噂がかまびすしい。
麻生太郎外相、谷垣禎一財務相、福田康夫、安部晋三官房長官の“麻垣康三”が候補者だ。
小泉さんの後の有力候補だから、いずれ劣らぬツワモノなのだろう。
3日、参議院決算委員会で、福田さんを除いた三閣僚が、ポスト小泉の有力候補としての心構えの一端を披露した、と新聞が報じている。

質問に立ったのは自民党の西銘順志郎代議士。「褒められることやそしられることは世の常だ」という意味の琉球王朝時代の歌を引いて感想を求めた。
三氏はそれぞれどう応えたのか?

目立たぬように生きてきたので、褒められることもそしられることも少ない。
鈍な身だが、がんばりたい。(谷垣禎一)

何もない無名よりは悪名でも名前があったほうがまだいい。(麻生太郎)

(江戸時代に長州藩で緊縮財政などによる藩改革を断行した家老・村田清風を引き合いに)批判を恐れず信念に従って物事を進めてきた人がいたからこそ今日の日本がある。(安部晋三)

閣僚でない福田さんの言葉がないのが残念だが、三者三様、見た目どおりの答弁であると感じられもするが、それぞれの思いを胸に秘めているのだろう。

どの人に日本を託せばいいのか・・・・?
そんなことを仕事の合間に考えている。



2006.02.26 (San)
危機と強靭さ

ライブドア前社長・堀江容疑者の送金指示メール問題で民主党が揺れている。
折角、二大政党制の足場が固まりつつあった政界で、民主党はまたしても自民党に赤子の手を捻られるがごとくやり込められている。
危機管理能力の欠如が盛んに言われるが、若いということはそういうことなのかも知れない。
当の永田氏本人の議員辞職や国会質疑の責任者である野田国会対策委員長の辞任は避けられないところだし、下手な対応に始終すれば、前原代表や鳩山幹事長の首も飛びかねない。
何事も経験を積むことだ。“人間万事塞翁が馬”なのだから、今後の糧とすればいい。

手元に松下幸之助翁の言葉がある。
何の後ろ盾もなく、零細な家内工業から出発して、繰り返し破滅の危機に直面しながら、すさまじい人生闘争を繰り返しつつ生き延びてきた、強靱な精神力を表わす発言である。
一度聞けば忘れられないほどの衝撃を受ける。

ある町が水害で、すべてを流出した。隣町は何の被害もなかった。
10年後、被害を受けた町は例外なくすべて発展している。
火事で全部燃えてしまった町も同様である。これも全部発展している。

災害を受けなかった町は、発展しない。恵まれたと思ったところは、実は恵まれていない。
悲惨な状況に突き落とされた町が、10年後には数倍の発展をする。

これは何が原因であるか。私は心の問題であると思う。
これは復興しなければならないという、人々の心の働きによって変わってくる。
悲惨な被害が、その後の発展の起因となる。

私の今までの体験からいえば、不景気に直面しては発展し、何か事故が起こっては発展してきた。大きな災害が起これば、「ああ困った」と動転するのが人情である。
だか翌日になると、考え直す。
あわてるな、待て待て。
ああいうことをやっていても解決しない。この際このように立て直そう。

(日経新聞・ニッポンの企業家 作家・津本陽氏の小文を引用させて頂きました)



2006.02.18 (Sat)
成功の要因

グッドウィルグループ会長兼CEO・折口雅博さんの「私のビジネステク」最終回。
折口さんは、チャンスを掴むための要因の一つに、“謙虚さ”を上げている。

「ビジネスを展開するうえで自信を持つことは大切です。相手に安心感を与えることができるし、自分自身も前向きな気持ちになります。しかし、同時に謙虚さも忘れてはなりません。
成功すると人は往々にして勘違いを起こします。
自分は偉い人間なのだとか、自分にはできないことがないなどと思いがちです」

折口さんは、成功しても、自分を見失わないように努めてきたと言う。
ディスコ冬の時代といわれた1990年代前半、ジュリアナ東京やヴェルファーレを成功させ、時代の寵児などともてはやされた時も平常心を忘れなかった。
グッドウィルグループが4年5ヶ月で株式を店頭公開し、2004年、歴代2番目の速さで東証1部上場した時も冷静さを肝に銘じた。

「大切なことは、成功を念じてしっかり目標を立て、緻密に戦略を描いて努力すること」

自分への過信は禁物、現状に満足することになるとも言う。

「売上高は10億円、経常利益は1億円もあればいいと思った経営者はそれで終わりです。
知らず知らずのうちに気が緩み、売上が8億円、7億円・・・・・・とみるみる減り、利益も1千万に細ってやがて赤字に転落してしまうでしょう。常にハングリー精神を持ち、チャレンジしていかなければなりません。ちょうど下りのエスカレーターに乗って上の階まで駆け上がろうとする感覚です」

そして、これからも新しい事業に挑戦し、うまく行ったときはありがたいと心から運命に感謝したい、と結ばれている。

折口さんの言葉には、経営者の成功の要因が詰まっている。
自信、謙虚、目標、戦略、努力、挑戦、感謝・・・・・・。

社員はさぞかし大変だろうと思うが、これもまた運命か!?



2006.02.11 (Sat)
宅水便

金曜日、労務士研修会へ向かう途上、前をワゴン車がひた走っていた。
ワゴン車の背には、水色の文字が大きく三列に彩られていた。

 おいしい水をまごころを込めて 宅水便の キララ

宅配便の類はよく目にするが、「宅水便」とは何だろうか?
業者ではなくて個人宅へ飲料水を配達するのだろう。
最近、水へのこだわりを持つ人が増えたと聞く。水が食の味の決め手にもなっている。
また医食同源と言うくらいだから、健康管理への配慮が水からなされるているのだろう。

江戸時代に、「水屋」という商売があったそうだ。
まだ水道が引かれていない時分は、夏場になると井戸水が夏枯れしていく。
そこで、水屋さんが川の上流から水を汲んで、町々へ売りに歩いた。
天秤棒で水を担いで、江戸の下町を流した姿が彷彿とさせられる。
落語に「水屋の富」という噺があるが、そうした風情が醸し出されている。

宅水便とは水屋さんの進化形なのだろうか?
そうだ、キララのホームページアドレスが車の側面に記されていた。
何事も学びは大切だから、そっと覗いてみることにする。

      宅水便のキララ  http://www.kirala.jp/index.html



2006.02.04 (Sat)
独身税

先日、テレビのバラエティ番組を見ていた。
この手の番組としては少々硬い“政策”について、政治に関してはズブの素人が語っていた。
ギャラリーには、政党に属する代議士がいて、素人が主張する“政策”に共感すれば、その政策を“お持ち帰り”できる、というものだった。
行政職にある若者が、少子化の歯止めにと、「独身税」の導入を主張した。

「独身税」の中身は、二十歳過ぎの独身者に独身税を課し、その額は、現行の国民年金保険料と同額の1ヵ月13,800円にする、というものであった。
独身税は未婚者の負担を強いることになるから、税金を払わずにすむよう早期の結婚が促進され、少子化が緩和されると考えた、いわば、“アメとムチ”のムチに相当する政策であるとともに、この税金を財源に全国各地に男女が出会える施設を創設する、という内容になっている。

今までは、アメにあたる政策は数多く採られた。
その代表的なものが「児童手当」なのだが、なにせ額が低すぎる上に、所得制限がある。
子供の小遣いほどの額で、どうして政策と言えるのか?
先日、「出産無料化」制度の導入を検討していく考えの政府表明があった。
「出産無料化」は、入院を含む出産関係費用を国が全額負担する内容。
若年夫婦らの経済的負担を軽減、少子化の進展に歯止めをかけるのが狙いとされる。
これなどは、その額からして政策と呼べるものである。

さてさて、「独身税」はどう評価されるのか?「出産無料化」と組み合わせてはどうだろう。
アメとムチが相互に機能しあい、結婚して子供を生むことは美徳、になるのではないか?
「独身税」は、いずれにしても少子化をマジに考える一助ではある。

結局、代議士のお持ち帰りはなかった・・・・・・。



  次へ    前へ
あおみ労務事務所 社会保険労務士 柴田比呂志
愛知県高浜市湯山町8丁目8番地16

TEL:0566-53-7870 / FAX:0566-54-2066 / E-mail:
shibata@aomi.jp
Copyright (C) 2003 AOMI Personnel-Management Office All Rights Reserved.