□2006.12.31 (San) |
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■あおみ事務所だより
今年もようやく終わる。
「もう」ではなく、「ようやく」というのが正直な気持ちだ。
長さは人それぞれ感じ方が違うものだが、苦しいとか哀しい日々が多いほど長く感じてしまう。
逆に、うれしいとか笑いのある日々ばかりだと、時はおそろしく短いのだろう。
「ようやく終わる」が実感なら、相応の辛さがあったということか?
来年から発行する「あおみ事務所だより」に添える言葉を書いている。
かつて書いた文を少し直し、いくらか言葉を足した。
それでいいの?もうひとりの自分の問いが聞こえるが、やがてそれも寒風の中へ流れて行く。
新年明けましておめでとうございます。
「一富士 二鷹 三茄子」
富士山は高大、鷹はつかみとる、茄子は「成す」という意味から、これらを夢見ると縁起がいいとされています。この言葉から私は、経営というものを連想します。
高大な富士山は、経営者としての高い理念であり、つかみとる鷹の姿は、経営方針に従い掲げた計画に向かって突き進む姿であり、そして茄子は、計画目標を成し遂げていくこと。
不確実性の時代。一寸先は闇の中で、それでも成功している企業は、経営指針を掲げ、着実に前進しているようです。
さて、本年から「あおみ事務所だより」を毎月発行することとなりました。
経営、労務の情報提供を目的に、より良い経営のお手伝いとなればと思っています。
本年が、御社にとってより良い年でありますよう祈念申し上げるとともに、あおみ労務事務所への変わらずのご愛顧をいただければ幸いです。
平成19年元旦
あおみ労務事務所 柴田比呂志
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□2006.12.24 (San) |
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■年金公開講座
刈谷社会保険事務所(愛知県刈谷市寿町)の窓口で、一枚のチラシを目にした。
「年金公開講座」開催のおしらせ
続けて、「年金制度の意義と役割、保険料納付の重要性について “年金公開講座”
を開催します!」とある。年金への関心がすっかり国民に定着し、現行の年金制度を憂慮する人々も多くなってきた中、しかし一方で、危機感もなく、今がよければいいという若者も多くいる。
それはそれで、生き方なのだから仕様がないが、刹那主義は往々にして、後悔を生む火種となる。まぁ、そんなことはどうでもいいが、行政の役割としては、この手の学びの会を多くやることが大切だろう。
年金の詳細を知る人が多くなればなるほど、力となる。
それぞれの立場で、それぞれの利害で年金を多角的に捉え、考えることで、弾力ある制度にしていくことが必要なのだ。来春からの年金分割もすぐそこに控えている。
こうした講座が、年金について興味を持つ礎となればいい。
今年の年金裁定請求書の控えを繰っている。
老齢給付が一番多いが、それらに混じって遺族給付、障害給付もある。
今年は自殺者の遺族からの依頼で、遺族給付も扱った。
年金給付には、その人の人生が映し出される。辿ってきた道程が、書類の上に透けて見える。
そこには平坦な道はひとつもなく、喜怒哀楽の窪みが無数に存在しているようだ。
点が線となり、面となってようやく形ができるように、その人その人の形が投影されるのが、年金裁定請求ではないか?
そんなことを思いながら、「年金公開講座」を受講しようかナ・・・・・・。
年金公開講座 http://www.sia.go.jp/~aichi/ex01/190119.pdf
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□2006.12.17 (San) |
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■創作四字熟語
12日、今年の漢字が発表された。
清水寺の境内で老僧の大筆が書いた文字は、「命」。
今年は秋篠宮妃紀子さまが悠仁(ひさひと)さまを出産された一方、いじめによる子どもの自殺が社会問題化、飲酒運転による死亡事故が相次ぐなど、生まれた命、絶たれた命、奪われた命、そして、命の不安への膨らみという理由によりこの字になった、と解説された。
漢字は公募により決定されるから、世相を投影してはいるが、「命」ではすこぶる重い。
人が「命」を考えるのは、平世ではなく、乱世ではないか?
現代が乱世というのではなく、人々の気持ちが乱世にいる、という気がする。
さて、こちらは「創作四字熟語」。
住友生命保険が、今年の世相を映した「創作四字熟語」の優秀、入選作を発表したのだが、これがバカにおもしろい。さながら川柳を読んでいるようだ。
「虚業無常」(諸行無常)
時代の波に乗ったライブドアが堀江貴文社長の逮捕で一転、上場廃止になった。
「全国青覇」(全国制覇)
甲子園大会で優勝した早稲田実業高校の斉藤佑樹投手の青いハンカチブームを表した。
「住人怒色」(十人十色)
耐震強度偽装事件の被害住民の怒りを強調した。
「駐違一秒」(注意一秒)
道路法改正で短時間でも駐車違反が許されなくなった状況をなぞらえた。
「飲果応報」(因果応報)
飲酒運転をいさめる。
「上下差憂」(上下左右)
格差の広がりを警戒する。
「感無景気」(神武景気)
「いざなぎ超え」の景気回復でも一向に実感がわかない庶民の思い。
その他、「獅子退陣」(獅子奮迅)、「美治麗国」(美辞麗句)、「銀盤反舞」(大盤振舞)が入選。
社労士の世界では、「年金分割」「偽装請負」「職業倫理」などが話題になったが、如何せん元々の言葉が見当たらない。
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□2006.12.09 (Sat) |
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■解雇予告期間の延長
さて、問題です。
Tさんは会社から30日前の解雇予告を受けたが、解雇日の前日になって急な注文が入ったことを理由に、解雇日を5日延長するとの通知を受けた。そのまま会社の言い分に従ったが、それでよかったのか?
単発ではあるが、急ぎの注文が入ることはよくあることです。
こうした場合、法律ではその取り扱いをどう求めているのでしょうか?
会社が行った当初の解雇予告は、労働基準法第20条の手続き(少なくとも30日前の予告)を充たしているのでTさんが納得しているならそれでいいのでしょうが、問題はその後。
行政通達では次のように示されています。
「予告期間満了後引続き使用する場合には、通常同一条件にてさらに労働契約がなされたものとみなされるから、改めて法第20条の所定の手続きを経なければならない」
ということは、当初の解雇日が来ても5日間延長後に解雇する今回のような場合は、改めて解雇手続きが必要であり、解雇日直前の再予告となるので、会社は、5日分の賃金とは別に解雇予告手当(平均賃金25日分)を支払わなくてはなりません。
法律は、会社の都合には合わせてくれないようです。
(個別労使紛争解決ドキュメントから引用)
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□2006.12.02 (Sat) |
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■太陽政策
キタナイ話だが、トイレの格言というのがあるそうだ。
男性諸氏は居酒屋などで一度は見たことがあるだろう、例えばこんな調子。
急ぐとも 東や西にかけるなよ 南るひとが 北ながる
やおらかに 心静かに手を添えて 外に落とすな マツタケの露
中には、「これは標語かしらん」というキレイなものまである。
思い出を多くに水に流しましょう。
資源を大切にあなたの一滴が大切です。
しかし、これらはいずれも「汚すな!」を間接的に依頼したもので、いくら掃除をしても汚されることへの憤りを丁重に言ったにすぎない。
最近、この傾向が“依頼型”から“感謝型”に変わってきたと、日経新聞連載中の「妙なお話」の中に書かれていた。つまり、次のような調子で感謝の意が述べられている。
いつもきれいにご使用ありがとうございます。
どうやら、人間の心理効果を狙ったものか、使う前から感謝されてしまったら、汚さないように気を使わざるを得ない。慎重に用を足そう、という気になる。
事実、JR線各駅の便器にタバコやガムを捨てる人が減った、という効果をもたらした。
これはいわば、“トイレの太陽政策だ”と「妙なお話」では結論づける。つまりこういうことだ。
フランスのラ・フォンテーヌ著の寓話には「太陽と北風」の話が載っている。
馬に乗った旅人が外套を身にまとっている。
どちらが早くその外套を脱がせるか、北風と太陽が賭けをする。
北風が力にまかせて風を吹き付けると、旅人はかえって身を固める。
太陽が雲を払い光を注ぐや、旅人は外套を脱ぐ。
JRのトイレの張り紙は、太陽の手法に似ている。
人を信頼し、まず自分から与えるということだ。
人事・労務にも「太陽政策」は使えると思うが、どうだろう?
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□2006.11.26 (San) |
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■社員旅行
「社員旅行で農村体験」の見出しが目に留まる。
見出しの下には、世界遺産に登録された白川郷の町並みが写っている。
そして、「グリーンツーリズム」を社員旅行に取り入れる企業が出始めた、の活字が踊る。
「グリーンツーリズム」とは、山間部の自然豊かな農村に滞在し、農業や林業体験、地域住民との交流を楽しむこと。例えば、東白川村の里山を訪れ、木工体験をしたり、里山散策、野菜作り、郷土料理を味わったり、白川郷ではわら細工や味噌作りをしたりする。
こうした農村体験を社員旅行に取り入れるのはなぜだろうか?
簡単に言えば、農村と企業との利害が一致したからだ。
団体旅行の増加が地域おこしにつながると考える農村。
世代を超えたコミュニケーションを深める手段として、体験型旅行が有効とみた企業。
企業側から言えば、農業・林業体験を通じて「きずな」の強化が図れる。
若者を中心にしたプライバシー意識の高まりで社員同士のコミュニケーション不足が懸念される昨今、日常の会話不足を共同作業を通じて補おうとするのは自然の成り行きだ。
「きずな」の強化は、若年層の離職率の低下につながる。
農村が仕掛けたグリーンツーリズムにせよ、この一点で企業は寛容したと見るべきだろう。
社員旅行が企業に戻りつつある今、農村体験というかつてない社員旅行も面白い。
どんどん活用すべきだと思う。
農業・林業体験が案外、「思いやり」という副産物を生むかもしれない。
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□2006.11.18 (Sat) |
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■職安所長公募
民間から職安所長公募
新聞の片隅で、身を縮めるようにしている文字が目に飛び込んだ。
ハローワーク(公共職業安定所)の所長を民間から公募しようというものだ。
厚生労働省兵庫労働局が、兵庫県内の1ヶ所のハローワークの所長を民間から公募すると発表した。民間公募は全国初の出来事で、来年度以降、全国に広げていく方針。
民間公募の目的は記されていないが、ハローワークの今後を模索するためには、新しい発想や英知が必要なのだろう。閉ざされた組織は硬直化し、やがて死に体となり、悪臭を放つ場合が多い。それを食い止めるには、新しい血を入れていくことが、何より必要、ということか?
それは会社も同じである。新入社員が毎年入社する会社は、新しい風が吹き、新しい水が流れる。樹々はそうして、次代への新芽を吹かせていく。新芽は組織活性化の原点となり、やがて柔らかな葉に育っていく。
囀(さえずり)を こぼさじと抱く 大樹かな 星野立子
民間公募からこんな期待を抱くが、どうだろう?
民間公募は、例えば、小学校長にも見られるが、既存の組織に染まっていないので新鮮だ。
その専門性から、やがて社労士のハローワーク所長が誕生するかもしれない。
それもいいだろう。
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□2006.11.11 (Sat) |
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■離婚年金分割
お父さん大変です!離婚予備軍の9割女性
ヤフー!ジャパンのホームページに、上の見出しがくっきり浮かんでいる。
「何のことやら」と、問われる世のお父さん方は世情に疎い!
お母さん方は、すでに準備万端であるのです。
来春から始まる離婚時の厚生年金分割制度に先立ち、分割後の年金額の目安となる情報を提供するサービスが、今年10月から社会保険庁で始まっている。
10月分の利用者は全国で1255人、うち9割の1209人が女性。
記事には、「社会保険事務所への来訪や電話、文書での相談は計6283件あったが、このうち情報提供の請求手続きまで進んだ人は、離婚の意思が特に固い“離婚予備軍”とみられる」と書かれているが、断言すると、これは“杞憂”です。
社会保険庁が、情報の提供を一方的に推し進める形で、世のお母さん方を刺激していると見るべきです。「離婚したら、自分の年金はいったいいくらになるのだろう」と関心を持つのは人情。
離婚を真剣に考えている人は、少数ではないでしょうか?
ちなみに、離婚時の年金分割制度とは、次のことを指します。
夫婦が離婚したとき、例えばサラリーマンの夫の厚生年金(公務員の場合、共済年金)の一部を専業主婦の妻が年金受給時に受け取ることができる制度。
従来の制度では、サラリーマンの夫が厚生年金と基礎年金の両方を受け取る一方、専業主婦の妻は基礎年金分しか受け取ることができない。
しかし、2007年4月以降に成立する夫婦の離婚については、当事者の合意または裁判所の決定により、妻が厚生年金分を受け取る権利を最大で2分の1にできる。
婚姻期間中の保険料納付記録が年金分割制度の対象となる。
また、08年4月以降に妻が専業主婦(正確には、国民年金の第3号被保険者)だった期間は、サラリーマンの夫が納めた厚生年金の保険料は夫婦が共同で負担したとみなされ、離婚した場合、厚生年金分は自動的に2分の1に分割される。
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□2006.11.04 (Sat) |
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■虫になれ!
世界バレー女子の活躍を楽しみにしている。
日本は初戦、台湾に競り負けたものの、その後、コスタリカ、ケニアを下し2勝。
今日の韓国戦に勝てば、2次リーグ進出となる。
今、テレビ中継が始まった。高橋、木村、小山とスパイクが続き、幸先のいい出足だ。
木村が何となく気弱に感じられるが、全日本を何年も経験しているので、杞憂なのだろう。
杉山が、相変わらずいいところで決めている。主将・竹下の目がいい。
その昔、「サインはV」というテレビドラマをやっていた。
文字通り、バレーボールに青春を賭けた物語で、岡田可愛が主役のバレー選手を演じていた。
范文雀がいて、監督役は中山仁だった。「稲妻落とし」や「X攻撃」などの技をよく覚えている。
予選リーグから順調に立ち上がってきた中山仁率いるチームの決勝戦。
中山仁は選手をコートに送り出すとき、「虫になれ!」と言った。
一瞬、何のことかと思ったが、虫のように地べたを這いずりまわり、ボールを拾って、拾って、拾いまくれという意味の言葉を選手に捧げたのだと思った。
その後、「サインはV」の再放送があった。
「虫になれ!」は「無心になれ!」だったことを初めて知った。
さて、韓国戦。韓国の選手たちの動きが速い。まるで虫のように動めいている。
日本が勝つには、さらに虫になることだろう。
2時間後、虫になった日本チームは、勝利を手中に納めた。
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□2006.10.29 (San) |
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■誰のための企業経営か?
何のための企業経営か、誰のための企業経営か?
昨日、中小企業家の集会で、こんなテーマを与えられた。
自分は何のために経営しているのか?そしてそれは誰のために?
まず、)トータルサービスネットワーク社長・樋口義高さんが基調報告をされた。
)トータルサービスネットワークは、生保、損保、投信の代理店として、顧客のライフプランや経営計画、夢の実現へのお手伝いを通して、経営理念である「すべての人に、より良い未来を」の実現を目指している。
その後、グループ討論。先のテーマがグループ全員に投げかけられた。
「何のために」は難しい。ならば、「誰のために」。
お客様のため、社員のため、家族のため、自分自身のため・・・・・・。
グループの中に、塗装ラインの省力化設備をつくる仕事をしている経営者がいた。
その人は、小さい頃から物づくりが好きで、趣味の延長線上で起業された。
お客様とか社員という意識はなく、ただ物をつくることが無上の喜びだ、と話された。
そして、物づくりを通して会社が存続すればいい、と。
ならば、その人は自分のために企業経営しているということになるのだろうか?
幸い、物づくりは順調で、会社も存続していける。
しかし、作ったものが売れず、給料の遅延が始まり、会社の存続が危ぶまれたら・・・・・・。
その時、初めて視点はお客様や社員へ向くかもしれない。
自分だけの経営から、周りを見据えた経営に・・・・・・。
段階があるのだろうか?業種、規模に応じて、経営に対する思いの強さに応じて。
樋口さんは、「経営理念」は魂の叫び!と言われた。
そして、「すべての人に、より良い未来を」与えようと邁進されている。
京セラの稲盛和夫さんは会社の目的をこう言っている。
従業員やその家族の生活を守り、その幸せを目指すこと
経営とは何だろうか?いつまでも青空に問うている。
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□2006.10.21 (Sat) |
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■特定社労士
森川隊長からメールがあった。
特定社労士研修 グループ13メンバー各位
10月13日(金)、特定社労士研修のグループメンバー9名中6名が集まり、懇親会を行いました。
座は大いに盛り上がり、来年1月下旬に新年会を行うことと、
10月には山本さんの好意に甘え、沖縄宮古島・那覇へ行こう、との話に発展しました。
ついては、次の日時で新年会を予定します。
別途案内しますが、今からスケジュールを空けておいてください。
1.日 時 : 2007年1月19日(金) 18:30〜 2時間程度
2.場 所 : 金山駅周辺(または名古屋駅周辺)、今度は「素材屋」にしようか?
12月末に正式案内を出そうと思います。1/26(金)は年金研修があり避けました。
日程変更および会場の希望等あれば連絡ください。2/2(金)の方がいい?
沖縄日程は、10/6(土)〜9(火)で宮古2泊、那覇1泊と話し合いましたが、
次回懇親会時に再度つめましょう。
今年6月、第1回紛争解決手続代理業務試験(特定社労士試験)があった。
この受験資格を得るために、4月下旬から試験当日まで中央発信講義(30時間)、グループ研修(18時間)、ゼミナール(15時間)を受けた。
森川隊長は、グループ研修の際のグループ長を務めてくださった。
合格発表後の懇親会やら、新年会の準備、さらに来秋の沖縄旅行まで企画され頭が下がる。
懇親会は大事な会議があったので叶わなかったが、新年会は出席したいと思う。
すでに1月19日の欄には、「新春のつどい」と書き込まれているが、何とかしたい。
木曜日、合格証書が送られてきた。
これで登録手続を経ると、“特定社労士”となる。
労使トラブルが起きたとき、トラブルの当事者の一方を代理して、相手方と話し合いによる解決をめざす・・・“あっせん→和解”という手続代理が、来春からできるようになる。
新しい仕事にあまり期待しないが、グループメンバーとの今後の付き合いの方が楽しみだ。
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□2006.10.15 (San) |
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■目的の存在
ある人が、永六輔さんがこんなことを書いているよ、と教えてくれた。
定年後のことなんか、就職する前に考えておけよ。
定年になって定年後のことなんか責任もてるかよ。
その方は、永さんの言葉をこう変えてみたらしい。
死んだ後のことなんか、元気なうちに考えておけよ。
死ぬ時になって、死後のことなんか責任もてるかよ。
何とも横暴なように聞こえるが、よくよく読むと正しいように思う。
定年後のことがしっかり決まっていないと、定年までの間を安心して働けず、死後のことがはっきり思い定まってないと、安心して人生を送ることが出来ないのだろう。
“目的の存在”をはっきりさせなくてはいけないのだ!
もう一つ、その人から教わった話。
ドストエフスキーの小説「死の家の記録」の中の記述。
これは考えさせられた。
監獄では、受刑者はレンガを焼いたり、壁を塗ったり、畑を耕したりさせられた。
もちろん強制労働だから、辛く厳しいには違いないが、そういう仕事には目的がある。
自分が働けば、食糧が生産され、家が建ってゆく。こういう目的のある労働には意味を見
出せるから、苦しくとも何とか耐えていけた。
しかし、こんな刑を科せられたらどうなるか。
大きな土の山を、Aの場所からBの場所へ移動させる。
汗だくになってやり遂げると、今度はその土の山を、最初にあった場所Aへ再び。
それが終わったら、またBへ。
こんな目的のない無意味な労働を、毎日、繰り返し強制されたらどうなるか。
受刑者は、4、5日もしたら首をくくってしまうか、死んだ方がましだと考え、やけをおこして
破滅してしまうだろう。
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□2006.10.07 (Sat) |
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■年金受給者
人材派遣会社を経営している友人から、こんな相談があった。
「年金を受けている男性を雇用した。本人は年金を減額されずに働きたいと言っている。
いい方法はないか?」
経営者に立ち会って、本人から詳細を聞いた。
男性は今年3月60才になり、現在、特別支給の老齢厚生年金のうち報酬比例部分だけ受けている。基本月額(加給年金を除いた特別支給の老齢年金の月額)は、約15万円になるが、この額が受けられるのは、63才から。報酬比例部分だけの額は約8万円。
在職老齢年金(会社に勤めながら受給する年金)の相談は日常茶飯だが、ややもすると話が違法行為に及ぶことがある。その典型的な例は、社会保険に加入しないという方法。
所定労働日数、1日の労働時間いずれかが4分の3に満たなければ、社会保険に加入しなくてもよいが、いずれも満たしているにも関わらず、社会保険に加入するのを嫌がるケースがある。
社会保険に加入すれば報酬の額に応じて、年金が減額されるからだ。
この男性の場合、フルタイムで働いていて、1ヵ月平均の給料はおよそ27万円。
4分の3に満たないような勤務条件では給料が減るから嫌だという。
ならば社会保険に加入するしかない。そうすれば年金は満額とはいかないが、一部受給できるし、以後数年間、厚生年金を掛ければいずれ年金が増額する。
そう説得したところ、今度は友人である経営者が渋い顔。
聞けば、派遣先企業から受ける1時間当たりの金額は1,500円で、本人の時給は1,250円。
社会保険に加入すれば採算が合わないから、時給を200円下げる、という。
何をかいわんやである。合法なんて言葉はどこにも見当たらない。
加入させたくない経営者と加入したくない男性との利害が一致しているだけの話だ。
採算の合わない仕事は止めるしかないのである!
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□2006.09.30 (Sat) |
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■転職して想定外だったこと
今朝の日経新聞・NIKKEIプラス1に、「転職して想定外だったこと」のベスト15が載っている。
“想定外”と憚りなく言うところに、転職者の甘さが見て取れるが、また一方でこのランキングから中途採用する企業に驚くほど社員を受け入れる態勢がないことも分かる。
新卒で入社した企業と比べ、転職先は概してそれよりも小さな企業となる場合が多い。
ヘッドハンティングされた者は別として、その場合、労働条件は確実に下がると考えていい。
給与は下がらなくても、労働時間が増えたり福利厚生が充実していなかったりしているはずだ。
転職する多くの人は、新卒で入社した企業のやり方が標準だと思い込む傾向がある。
このため、「こんなはずではなかった」と転職を繰り返しかねない。
仕事柄、転職者を数多く見てきたが、何の技術も身につけずに転職を繰り返した人は、大から中へ、中から小へ、小から零細へと企業を転がるように落ちていく。
転職する場合は、確実に世間で通用する“技術”を身につけていることに尽きる。
付け焼刃ではない、本当の“技”が転職するときの武器になるはずだ。
「転職して想定外だったこと」は、中途採用中心の中小企業にとっては反面教師になる。
逆をやっていけばいい。すべてできなくともやれるところから始めればいい。
そうすれば社員のヤル気は確実に上がっていく!
転職して想定外だったことのランキング(カッコ内は人数)
@ 社内研修が不十分(435) A サービス残業が当たり前の職場だった(406)
B ワンマン社長や親会社などの支配が強く、現場に決定権がない(324)
C 事前説明にあった仕事に加え、別な業務も任される(319)
D 周囲に退職者が多く、将来的な不安がある(271)
E 転職者は即戦力として現場からの期待が大きすぎる(266)
F 事前説明にあった業務内容と実際の仕事内容が違う(243)
G 福利厚生の制度が前の会社に比べ整っていない(220)
H 仕事量が多く、休日出勤を強いられる(212) I 入社直後から業績悪化に陥った(206)
J 前職の経験が生かせる業務ではない(201)
K 同僚の仕事への意識が低すぎ、自分のやる気もなくなった(193)
L 事前説明と実際の現場の勤務時間が違う(158)
M 飲み会・朝礼・運動会など社内行事の参加やその会社特有の慣習などにとまどった(157)
N 同期入社がいないため、仕事の悩みなどを相談する相手を見つけにくい(156)
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□2006.09.24 (San) |
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■撲滅される社会悪
酒気帯びの記者 朝日が懲戒解雇
22日の新聞各紙におよそ上の内容の文字が載せられている。
懲戒解雇に処されたのは、朝日新聞社の27才の駈け出し記者。
警察担当として飲酒運転撲滅キャンペーンに携わっていた。
記者は、19日午前1時40頃の検問に酒気帯びで引っかかり、交通切符を切られた。
摘発後も上司に違法行為を報告せず、山梨県身延町教育長が酒気帯び運転の疑いで摘発された問題を取材し、記事を書いていたとされる。
解雇処分の理由は、「飲酒運転という社会悪を追求してきた当社の編集方針に反する行為であり、上司への報告も怠ったため」。
読者の方は、この懲戒解雇をどう感じるだろうか?
“この程度”のことで、という声が聞こえてきそうだ。
これからという若者を、たかが交通切符を切られたくらいで・・・まして事故をしたわけでなし。
しかし、一方で飲酒運転撲滅キャンペーンに関与しているものが、酒気帯びとは言語道断、社会悪を追求する新聞記者として意識が低すぎる、という声も聞こえる。
それはそうだろう。言っていることと、やっていることが違うのだから。
飲酒運転撲滅への執拗な追求は、正義の矛を剥き出しに、仁王立ちで社会悪を排斥する。
それは時として、倒幕という違法行為に真剣をかざす新撰組のようにも見えるが、いずれにしても時代が求めているということだ。
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□2006.09.17 (San) |