□2007.06.30 (Sat) |
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■就業規則の読み合わせ
仕事柄、就業規則の作成を頼まれる。就業規則は職場規律や労働条件を明確にしたもので、労働基準法という法律さえ熟知していれば、後は、ほとんど常識の範囲である。
常識をわきまえている“大人”にとっては、就業規則をひっくり返すのは、およそ慶弔時だけで、親族に不幸があったから何日休めるとか、子が生まれたからいくらもらえるといった類である。
ところが、どの企業にも大人になり切れない“問題児”がいて、そんなときだけ就業規則をつぶさに見つめることになり、「解雇事由」や「懲戒」という使い慣れない言葉が頭上を飛び交う。
常識とはいえ、就業規則は使用者からの一方的な押し付けであるから、社員に理解させることが大切で、就業規則を労使が共有して読みあわす時間を1年に1度でもいいから持つことだ。
そうすると、労使共に就業規則の中身が見えてくる。採用時にたくさんの資料提出を要求しているナとか、休暇の使用はずいぶん厄介だナとか・・・。
社員への要求はきついが、社長が未来の会社像を全く示していないことも分かる。本来、社長は「経営マニフェスト」を作成するのが先で、社員に生産性の向上を要求するのはその後だ。
というわけで、就業規則を切り口として、会社の課題を見つめ直すのもいいだろう。
そのためには、就業規則の社内での読み合わせをぜひ提案したい!
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□2007.06.23 (Sat) |
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■指示待ち症候群
いつ頃から巷に現われたのか、「指示待ち症候群」。上からの指示がない限り自分からは動こうとせず、何かにつけて「(上司が)指示してくれない」と不満を持つ人々。
団塊の世代は、指示待ち症候群だと言われるが、指示に対して忠実に行動する彼らがいたからこそ、大量の人材が必要であった高度経済成長期を乗り越えられたという面もある。
団塊の世代と現在の若者とでは、「指示待ち」の中身が明らかに違う。団塊の世代には、そもそも自分の発想で自由に行動するという裁量権はなかったのである。
現代では、部下にも裁量権が与えられる風土が醸成されているので、自分の発想で自由に行動できるのだが、やり方がわからないから、ただ指示を待つだけになり下がっている。
それでは、指示待ち症候群にどう対処すればいいのだろうか?何かヒントは・・・と思っていた矢先、「若い人を育てるにはやって見せることから始める」という見出し。
医師で登山家の今井通子さんが、富士通社長との対談で若者の育成を語っている。
世代の特徴を的確に言い当てているところなど、中々面白い中身を紹介する。
60年代後半、メンバーが20代で始まり、1985年のチョモランマ(エベレスト)まで続いた私の登山チームの活動を振り返ると、下が育っていないことに気づいた。
コミュニケーションも「ツーカー」で、チームの皆が達人になってしまった。
そして、後ろを振り返ったら、皆、歳をとってしまって、後に続く人がいない。
その点を反省して考えると、今は横型社会ではなく、「斜め型社会」がいいと思う。昭和10年代後半生まれ世代は、親から怒られながら親の背を見て、自分で考えながら、育った。
次の団塊の世代は勉強、勉強と言われて、親の背を見るヒマもなかった。
だから、親から「どうして、こんなことがわからないのか」といわれて戸惑った人たちだ。
さらに、その下の年代は全くのお坊っちゃん、お嬢ちゃんで、靴下をあちこちに投げ捨てておいても親が片づけてくれる。テーマをきちんと決めてやれば、勉強もしているので、やり方はわかる。
しかし、自分からは率先してやらない。いわゆる指示待ち症候群。しかも、プライドが高い。そこで、やり方が分からない初めてのことに出会った時には、手も足も出ない。
団塊の世代は「自分で考えなさい」と言われて辛い思いをしているから、若者に考えろとは言わないし、ヘタに教えるとプライドを傷つけて嫌われるから、結局自分でやって見せてしまう。
例えば、テントの中のゴミをパックに入れて片づけるにしても、「はい、片づけおばさんですよ」などとやってしまう。すると、若い人たちは「ゴミって、そんなに小さくなるんですねえ」と感心する。
斜め型社会として考えると、教え方は世代によって違ってくる。それを考えながら、教えることが大切で、若者をいかに早く育てるには、「やって見せる」こと。
団塊の世代は、私たちと若者たちの間でおどおどしているし、若い世代はプライドだけがあるので、下手に教えると反発を食らってしまう。だから、黙って「やって見せる」のが一番いい。
(富士通社長・黒川博昭との対談から)
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□2007.06.16 (Sat) |
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■がんばる社長は会社を潰す?
インターネットの普及により、情報が氾濫している。どうでもいいもの、関わりたくないものが圧倒的に多い中、それでも、これは使えるぞ!と膝を叩きたくなるものが稀にある。
「がんばる社長は会社を潰す?」もその一つ。今まで、社長はがんばるものと“錯覚”していたが、「がんばる社長が会社を潰す」とはどういうことなのだろうか?
メールを読み進めていくと、なるほどと納得。そこには、社長が何をしなければいけないかという、「社長の役割」が縷々と述べられている。以下、少し引用。
「わが社の営業では、私が一番売上を上げている!社長として当然だ!」
このようにお考えの経営者のみなさま。いつまで、そんな考え方にこだわっているのですか?
社長が一番売上を上げている会社は、はっきりいって、「もっとも危険な会社」です。
よく考えてみてください。社長が一番売上を上げている会社、というのは、社長以外の人材が、まったく育っていない会社ということではないでしょうか。
企業は社長が一人でがんばる場所ではありません。営業によって売上を上げるのは、営業マンの仕事。社長は、社員たちが売上を上げやすいように、様々な戦略を考えるのが仕事です。
あぁ、そうか。社長が一人でがんばらない組織を作らなければいけないのだ。
社長は、「社員の能力を引き出しやすくする」ために存在するのだから。
このあたりに気づいていない会社というのは多い。社長が社員の仕事を奪って、最前線で戦っている姿をよく見るが、本来指揮官というのは、最後部にいるものだ。
ジャイアンツに例えるなら、阿部主将が頼りないからといって、原監督が選手として試合に参加したら、周りの選手はどう思うか。原監督は試合を采配するのが役割なのである。
確かに、会社の目的・規模に応じた役割というのがあって、社長がプレイングマネージャーに徹しなければならない場合もあろうが、しかしそれだけでは社員の育成はおぼつかない。
社長が一人でがんばらない組織づくり・・・。一途に考えてみたいものである!
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□2007.06.09 (Sat) |
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■有料職業紹介事業
「先生、有料職業紹介事業って知ってます?」
金曜日、顧問先の労務担当者からの電話。いきなり相手の口をついて出た専門用語に、少々ビックリ。労務の専門家としては何でもない話だが、丁度いい機会だから整理してみよう。
“有料”があるなら、当然“無料”もあるわけで、無料にあたるのが職業安定所(ハローワーク)。
有料と無料の違いは、紹介先から手数料や報酬を受けるかどうかで決まる。
対価を徴収して職業紹介を行う「有料職業紹介事業」となれば、人身売買に繋がりやすいから、労働者保護のため労働局の許可が必須。この許可を得るのが大変厄介なのだ。
何の事業でもそうだが、目的をハッキリさせることが大切だ。「銭が稼げそうだから」といったヤミクモな理由では、人の雇用や紹介は許されない。ましてや手数料や報酬を受けるのだから。
それで、大切なのが「事業計画」の立案。事業をする意味や目的に沿って、職種や手数料を決めていかなければならないし、人材や紹介先を受け入れるための事務所の整備も必要となる。
加えて、雇用する社員の中から「職業紹介責任者」を選任しなければならない。職業紹介責任者は、「職業紹介責任者講習」を受講した者に限られるのだ。
ここに至ってやっと「許可申請」。しかし、まだまだハードルがある。有料職業紹介事業者として許可されるにはこんな用件が要る(一部だけ掲載)。
① 財産的要件
・資産(繰延資産及び営業権を除く)の総額から負債の総額を控除した額(「基準資産
額」)が500万円以上(事業所が複数の場合は 500万円×事業所数)。
・自己名義の現金・預貯金の額が150万円以上(事業所が複数の場合は、1事業所毎に
60万円を加算)。
② 守秘義務
・個人情報を適正に管理し、求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置をとるこ
とができること。
③ 事業所に関する要件
・有料職業紹介事業に使用することができる事務所の面積が20㎡以上。
・風俗営業や性風俗関連特殊営業が密着する場所で営業していないこと。
④ 許可の欠格事由
・代表者または役員が禁錮刑などに処されて5年を経過していない場合や労働法関係
や出国管理法などで罰金刑に処されて5年を経過していない場合は許可されない。
相談のあった会社、本気で有料職業紹介事業を考えているのだろうか?
であるならば、「本業にもう少し力を入れて下さい!」という社員の声が聞こえてきそうだ。
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□2007.06.02 (Sat) |
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■採用できる求人票の書き方
採用コンサルタント・矢田祐二氏が、「ハローワークの求人票の書き方」について講演された。
主催は、愛知中小企業家同友会 三河青年同友会。
他の行事があって失礼したが、この人のこの手の話は以前からずっと興味を抱いていた。
矢田氏がブログで、講演のさわりを述べているのを拝見したが、要旨はこんな感じだ。
ハローワークの求人票は、自社をアピールするスペースは非常に狭いが、ハローワークに来
た求職者からすると、この求人票がすべてである。
まずは、この求人票を『一番に』選んでもらう必要がある。一番に!
次は、『事業内容』の記入例。
●文章例 『もったいない例』
湾岸施設、土木資材の製造および販売
●文章例 『がんばった例』
湾岸施設の研究から開発を得意とし、お客様のご要望に応える形での製品の開発やアイディ
ア・企画を出し合っての自社製品の開発、そして製造、販売までを行っています。また、土木
資材全般の販売も行っています。
受講者としては、上の違いに気づけばシメタもの。求職者にとっては、(入り口)は求人票がすべてだから、会社としては、紙面で求職者にいかにアピールできるかどうかが勝負。
少し前、省力化機械を製造している会社の求人票にこんなのがあった。
子供の頃作ったプラモ、少し大変だったけれど、完成した時の誇らしさと充実感があった。
素材の加工から機械完成までを一貫して行う当社には、こうした喜びがいつもあります。
(入り口)はソフトからでいいが、やがてハードが求められる。
人を受け入れるだけの整備ができているかを、常に考えたいものである!
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□2007.05.27 (San) |
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■年金問題を考える
社会保険庁の年金納付記録漏れ問題が、新聞の紙面をさらっている。マスコミの大方の論旨は、社会保険庁に非があり、その大悪人を糾弾しているかのようである。
無論、入力ミスといったずさんな管理には弁解の余地はないが、納付記録5千万件の対象者が不明になっているそのほとんどは、社会保険庁だけの非とは言い難いのではないか?
年金被保険者に喧嘩を売るつもりはないが、対象者不明の件は、被保険者に理由がある場合が多いように思う。年金手帳を紛失してしまい、就職する先々で新規に手帳を作ってしまったり。
実際、30も40も転職をして、行く先々で新規で手帳を交付した例はいくらもある。その中には、1ヶ月、2ヶ月で退職した場合もあるから、記憶にない加入期間は宙に浮くことになる。
周囲の少しの気遣いで救われたものが、法に無知であるがゆえに、将来に禍根を残すことになった例はいくつもあるだろう。要は、誰もが年金に対する意識が低かったのである。
そもそも、厚生年金は戦費を賄う目的で始められた。昭和17年といえば、大戦真最中。時の政府は、戦費獲得のために将来の年金を約束して、保険料を徴収する制度を創設したのである。
そんな目的の年金制度が緒に就いたときの管理は、おそらくずさんそのものだったことは想像に難くない。戦後60年が過ぎ、ようやく制度に理解が示されるようになったといえる。
これからなのだ。これから皆で作り上げていかなければいけないときに、過去の非をつつき、糾弾していくことは、あまりに了見が狭すぎるように思うが、どうだろう?
少子・高齢化の風はとどまるところを知らない。そんな中で永続できる公的年金制度をどう熟成させていくかの方に、議論を集中させていく必要があるのではないか?
要は、国民が大人になりきれるかどうかである!
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□2007.05.20 (San) |
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■小規模会社の人材育成
金曜日は、中小企業家の集まりの月例会。
内容は、「小規模会社の人材育成」をテーマに、報告会とグループ討論。
この会の特徴は、会員の中から報告者(講師)を選定し、その報告を俎上に乗せて、グループ討論でテーマを深めていくという、いわば“メダカの学校”であることだ。
♪誰が生徒か先生か♪という「メダカの学校」の歌詞そのままに、そのつど先生と生徒が入れ替わり、報告者は、自らの経営体験を語り、他の経営者は、その体験談に自社を重ねていく。
この日の報告者・Oさんは、明治初期から続く老舗鍛冶屋の四代目。自身の我がまま、気まま、遅刻の常習が理由で、ある日、社員がひとりも出社しない朝があった、という。
社員がいないと何もできないと悟ったOさんは、鍵山秀三郎氏(現イエローハット相談役)との出会いの中で、トイレ掃除を始める。そして、「社員は自分を映し出す鏡」であることを知る。
仕事にいい加減な社員がいれば、それはかつて自分が通った道ではないか。遅刻社員は自分の鏡に他ならない。「社員が気づくまで待とう」と腹を決めたのである。
そして、社員が働きやすい環境を整えるのに腐心し、「喜びの創造と共有」という理念を掲げ、社員、顧客、社会とともに歩み、喜びの花を咲かすことに邁進している。
「社員さんの成長がお客様に対しての最高のサービス。経営者としての資質を高めることが、社員さんの成長に直結する。社員さんの成長が刺激となり、経営者、会社が成長する」とOさん。
「大勢の子分の中で親分のために死ねる人間は何人いるか?」
「ひとりもいないが、私は子分のためならいつでも死ねます」
大昔の勝海舟と清水次郎長のやりとりである。
Oさんは、常に「社員を信じる」、「社員と向き合う」ことを心掛けている。
社員のためなら命もいらない、という覚悟を見たような気がした。
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□2007.05.13 (San) |
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■外国人研修廃止?
外国人研修を廃止 実習に一本化で改善 (厚労省改正案)
昨日の中日新聞・朝刊に上の見出しが躍っている。劣悪な環境や低賃金労働が問題となっている「外国人研修・技能実習制度」について、現実的な改正案がまとめられたといえる。
ここ数年、外国人研修生、実習生は飛躍的に増加している。これは、中小・零細企業にとって労働力確保が容易にでき、しかも低賃金での労働を可能にしているためだ。
「外国人研修・技能実習制度」は、技術習得を目的に中国や東南アジアの若者を対象に実施されているが、研修時から本来の目的を無視して、通常の“業務”に就労させているのが実態。
労働環境が厳しい製造現場などへ派遣したり、最低賃金法が適用されない研修生を低賃金で長時間働かせるケースも続発。実習生から管理費の名目で賃金を天引きする企業もある。
研修生は雇用関係がないため、労基法の対象とはならず、“隠れ蓑”となっているということもある。これら実態が炙り出されて、「外国人研修を廃止 実習に一本化で改善」となったわけだ。
それにしても、一部の中小・零細企業の外国人研修生、実習生に対する支配行為は嘆かわしい。外国の研修生、実習生といえど、相手は“人”なのである。
「二十歳の時に松代(長野県)人であることを自覚し、三十歳で日本人であることを知り、四十歳で世界人であることを知った」
吉田松陰の師・佐久間象山が、こんなことを言っている。
象山は、“世界人”となれない日本人を、墓の中で嘆いているのではないか?
厚労省改正案は次の通り。
① 1年間の研修期間を廃止、最賃法など労働法制が適用される3年間の実習に一本化
② 終了時に実習生は評価試験を受験
③ 報酬が日本人と同等と判断できる目安を設定
④ 実習生の受け入れ団体には、5年程度の適正な活動実績を許可条件として監理責任を
負わせ、労働基準監督署による労働指導を強化
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□2007.04.29 (San) |
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■派遣の労務管理
木曜日、K派遣会社からの相談。「派遣社員から風邪で休んでいる間の休業補償を請求されたが、どうしたらいいか」という内容だった。
この派遣社員は、派遣先の製造ラインで同じ仕事をしいている同僚から風邪をうつされ、しばらく休業した。そしてこの休業を、職場環境の配慮義務を欠いた会社の責任だ、と主張した。
よって、「休業期間中の賃金補償をして欲しい」と言ってきたのである。
「筋は通っていると思えるが、どうしたものだろうか?」とK社長。
① 派遣会社に責任があるのか?
② 派遣先の責任は?
③ 業務上の災害としてとらえることはできないか?
④ 業務上が無理なら、健康保険の傷病手当金は受給できないか?
⑤ 有給休暇で処理できないか?
上のような形で責任と補償の課題が整理される。責任があるとすれば、その所在は派遣元なのか、派遣先なのか。そして、その補償はどのように行えばいいのか。
しかし、これは表面上の見方であって、実はその本質は深いところに根ざしているように思う。
この件は、実は、派遣社員の日頃の不平、不満が噴出した結果ではないか?
一般の会社なら、欠勤日を有給休暇にあてることで解決するところだが、有給も与えず、ましてや社会保険にも加入させていない派遣社員に対して、どうすることができるだろうか?
本人が社会保険に加入するのを渋るばかりか、「加入するなら、時給を200円下げる」派遣会社も実際に存在するのである。そうした事実へのささやかな抵抗ではなかったか?
加えて、派遣元も派遣先も、派遣元責任者、派遣先責任者を選任して、その義務である“派遣労働者の福祉の推進”に努めているのだろうか?ほとんどの派遣会社が、“否”ではないか?
製造業の労働者派遣事業は緒についたばかりである。平成16年の派遣法改正後、雨後のタケノコのように発生した派遣会社の成否は、いかに丁寧に労務管理を遂行していくかに尽きる。
この相談への回答は、「できるだけのことをしてあげて下さい」。
派遣会社としては、労働者派遣法の熟知から始めることだ!
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□2007.04.22 (San) |
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■通常支部会
金曜日、愛知県社会保険労務士会・三河西支部の通常支部会に出席。
年に1度のこの“総会”は、老いも若きも一同に会する場として貴重だが、相変わらずの出席率。
会員数156名中、46名が出席。それでも例年に比べて多い方だった。
この会の意識の低さを象徴しているといえばいえるが、ライバル同士が同じ船に乗るわけだから、同業者の総会は、この程度のものかもしれない。
新しい仲間が入会する隣で、馴染みの顔が退会していく。非開業から開業へ、または開業から非開業への異動と、人事の悲喜こもごもは総会ならではだ。
支部会では来賓の方から祝辞を頂いた。社保事務所、ハローワークや労基署の所長、署長がそれぞれの立場で行政の現況を解説、そして理解、協力を呼びかけた。
刈谷労基署長からは、労災事故の実態が次のように話された。
労災事故撲滅は至上命令ゆえ、その言葉の重みを噛み締めた。
刈谷管内15,000社の中で、4日以上の休業を要する労災事故は、毎年450件(3%)ほど。
その内、120社は過去3年以内に同様の労災事故を起こしている。
同じ会社が繰り返し労災事故を起こしているという事実は、業務の改善、見直しを行う余地のない企業体質を浮き彫りにさせている。
労災事故として近年目立つ特徴は、こうだ。
① 高齢者が全体の4割
② 挟まれ、転倒、転落の事故が多く、体力の低下が懸念される
③ 食料品製造、運送業の事故が多発、過去数年の5割増
こうした事象を踏まえて、企業へ体力測定や安全マネジメントシステムの構築、安全への年間計画作成をお願いしている。
また、人手不足からの長時間労働、過重労働が安全面を損なうのは周知のとおりだが、企業として徹底した「安全配慮義務」をお願いしたい、と。
労務士会会員の意識の低さもさることながら、企業の意識の低さをも垣間見た支部会だった。
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□2007.04.14 (Sat) |
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■今年の新人は「やりがい」より「待遇」!
学生優位といわれた「売り手市場」の就職戦線を経て、社会人となった今年の新人。
「安定企業で働き続けたい」とする傾向が、特に強いようだ。
その背景には、就職氷河期時代の就職活動や転職で苦労した先輩たちの姿や、物心ついたときから明るい話題がなく、親からも安定を重視するよう言われ続けていたことなどがある。
だから、就職の決め手は「安定成長を見込め」「大量採用せず」「リストラしたことがない」企業。
不況の影響を受けない業種で、リストラがないのが一番、という発想にたどり着いたのだ。
そして、「やりがい」より「待遇」を重視しているのが今年の新入社員。
前年と比べた次の数値は、如実に本質を掴んでいる。
志望企業の選択基準 |
割合 |
前年比 |
自分がやりたい仕事ができる |
68%
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-4.6 |
給与・福利厚生など待遇がよい |
57%
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+2.4 |
雇用が安定している |
42%
|
+3.1
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「条件の良い会社があればさっさと移るほうが得」と答えた人は37%で、過去最低の水準。
「今の会社に一生勤めようと思っている」という回答は29%と、過去最高。
さらに、「能力主義希望」は過去最低の水準を記録した。 (リクルート
就職白書2006より)
安定志向は、逆の見方をすれば「理想」より「現実」を選択した結果といえる。
夢は覚めるが、現実は覚めないという“冷めた目”が、就職氷河期時代に身についたのだろう。
それも良しとしなければならないが、リスクを背負わない体質は元来、脆弱である。
冒険することも忘れないでいて欲しい!
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□2007.04.07 (Sat) |
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■新人の給料は社会からの期待料!
新入社員の入社手続きが一段落した。今年も、期待と不安を胸に多くの新入社員が入社した。
「がんばれ新卒」と声をかけたくなる気持ちは毎年同じだが、今年の感慨はひとしおだ。
我が家の長男も専門学校を卒業して、刈谷市内の会社に入社した。
在学中に学んだ「IT」を専門にしている会社だが、どれだけの貢献ができるのか?
学んだことは会社が欲する一部分だし、社会が必要とするのは、学んだことの高度な応用だろう。それが身につくのはずいぶん先のことで、社会への貢献は長い道のりを必要とする。
それを考えると、会社の人材育成は大変だと思わざるを得ない。
右も左も分からない若者を、給料を払いながら一人前にしていかなければならないのだから。
「中小企業家しんぶん」(中小企業家同友会全国協議会 発行)に目を通すと、ある事務局員の手記があった。会員を増やすために飛び込み営業をしていた若き日が綴られている。
建物に威圧され、受付ではうさんくさい顔をされながら、経営者にはなかなか会うことができない。まれに通されても、資料だけを渡してそそくさと退散。そのたびに落ち込んでいった日々。
入局後1ヶ月半たった頃に、膝の具合が悪くなり、入院そして手術。同期の職員から例会や社員研修の様子を聞かされて、心がぐらぐら揺れ動いたことがありのままに書かれている。
まもなく退院という5月、先輩が給料を届けてくれた。給料袋には、丸々1ヶ月分が入っていた。
「働いていないのにいただけません」と固辞すると、先輩は諭すようにこう言った。
「たとえ君が元気に働いていても、給料分を稼ぐことができただろうか?先輩は自分の仕事の手を止めて後輩を指導し、同友会の役員は自社の社員のような眼差しで君たちを見守っている。
新人の給料というのは、早く一人前になれよという、社会からの期待料だと思う。早く元気になって、またがんばろう」
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□2007.03.31 (Sat) |
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■残業を考える!
衣料品や生活雑貨の商品企画から販売までをやっている会社。
社員たちは忙しそうに働いている。と、その職場にアナウンスが流れる。
「勤務時間は終わりました。残業せずに帰ってください」
社員たちは、早々に帰り支度をする。帰らないと叱られるからだ。
以前はこうではなかった。所定勤務時間終了後も、連綿と残業が続いていた。
しかし、仕事と生活の両立を重視する「ワーク・ライフ・バランス」の重要性が唱えられてから、メリハリを大切にする社内風土を築こうと、残業が禁止された。
残業を止めて、仕事のやり方は変わったのか?
「大事なことしかやらなくなりました」 「子供と接する機会が増えました」
それでは業績は?
「かえって売上げは伸びています。手際良くやろうとしていることと関係があるのかも知れません」 「時間を限られているほうが、力を出すんです」
「残業しないほうが業績が良い」、というのは皮肉なものだ。
「残業して片付ければいい」という意識があれば、定時に仕事を終わらせようと必死にならない。
しかし、現行の労働法制では、ゆっくり仕事をして残業した人の方が給料が高い。残業を止めた途端に給料が減るのであれば、どこまで「ワーク・ライフ・バランス」の大義名分が通用するか?
要は、“残業しなくても良い仕事のシステム作り”と“仕事の効率が上昇した際の社員への還元”をいかにするかだろう。
「経営理念」から、今一度、残業を見直してみてはどうだろう!
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□2007.03.25 (San) |
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■ノー残業!
先日、T社から就業規則の見直しを頼まれ、事務所を訪れた際、残業問題が話題に上がった。
「うちの会社はよっぽど居心地がいいのか、終業時間を過ぎても社員が一向に帰らない。
休日でも家に居れない事情があるのか、会社に来て仕事をしている」
社長が、自慢なのか、愚痴なのか分からぬような話をされたが、サービス残業が問題視されている現状においては、やはり放っておけない課題である。
残業に関しては、時間外労働の限度に関する基準(平成10年労働省告示第154号)があり、労基法36条での協定を定める場合でも、残業をすることができる時間は限られている。
簡単に言えば、家庭における娘の門限のようなもので、何時までに帰宅するように義務付けているということだ。まず残業の限度枠を作り、そこから残業の短縮を促しているといえる。
会社としては、法律で残業の制限があるのだから、これを利用して、仕事をもっとメリハリの利いたものにしていけばいい。要は、どう知恵を出すかである。
以下は、「無駄な残業を減らすための五箇条」(日経新聞収録)。
残業を制限する際の参考にするのもいいだろう。
①仕事は「8割」で
完璧主義や自己満足に陥らず、適度に力を抜いてみることが大事
② 時には他者に仕事を投げる
1人で仕事を丸抱えするのは残業のもと。同僚や上司に仕事を振って業務量を調整する。
③仕事の優先順位を明確に
何を優先的におこなうべきなのか常に意識。すき間時間などを有効活用できる。
④自らノー残業デーを作る
仕事はメリハリが大切。残業したくない日は上等なスーツを着るなど周囲にアピールする。
⑤要領の良い人をまねする
電話のかけ方、書類のまとめ方など要領の良い人は何かが違うはず。
自分のやり方を反省するきっかけにもなる。
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□2007.03.18 (San) |
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■採用受難の時代、再来
大卒採用 来年春13.5%増
今朝の日経新聞のトップ記事。主要企業が採用を増やし続ける姿勢が明らかになった。
景気拡大に加え、今年から団塊世代の大量退職が始まり、賃金の高い中高年社員が減少。
若年層の採用余地が大きくなっていることも積極採用の背景にある。
中小企業にとっては、バブル期以来の採用受難の時代が到来した、ということだ。
いよいよ中小企業にとっては正念場。生きるか死ぬか、伸るか反るか・・・。
人、とりわけ人材の流れは、景気が浮上するとき、小企業から中企業、中企業から大企業へ流れ、景気が後退してくると逆の流れになる。
中小企業にとっては、景気の低迷期の方が人材を採りやすいといえるが、しかしその時期は仕事量も減少してくるので、採りたいが採れないというのが正直なところだ。
景気が浮上してくると、今度は売り手市場になり、大手企業と違って、労働条件の悪い中小企業は採用困難に陥る。それで万年、中小企業は人材に苦労することになる。
それでは、どうすればいいのか?
魔法の杖がないのなら、中小企業は独自性を高めていく他ない。
つまり、横並びをなくすということだ。他の中小企業の横並びをしていてはどうにもならない。
その会社にしかないものを、どう社内で見つけ、作り出していくか。
給料はそこそこだが、休みが一番多いとか、夏期や年末年始の連休が一番長いとか。
大企業もできない、とてつもない技術力を持っているとか。
要は、その会社の売り物をどう構築していくか。
その点において、自社で何ができるかをまず考えることだ。
その際、社員を巻き込んで議論することを提案する。
経営者では考えつかないことが、案外俎上に上るものだ。
社員の潜在的な底力をこの際、信じてみるのはどうだろう!?
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□2007.03.10 (Sat) |
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■ネットカフェ難民
夜中のドキュメント番組。ネットカフェを転々とする若者たち。
これら若者は、「ネットカフェ難民」と呼ばれ、新種のホームレスなのだそうだ。
路上や公園で寝泊りするのではなく、1時間100円のインターネットカフェの個別に仕切られた小さな空間に身をおき、手足を伸ばせずに、体を丸めるようにして眠っている。
若者たちには、“寝る”という伸びやかさを持ち合わせていない。有料のシャワーを浴びて、小さな空間で明日の仕事のために一時、翅を休めているだけだ。
荷物は安いコインロッカーに入れ、ロッカーの片隅で着替える。 ロッカーは彼らの家具代わり。
住所不定ゆえに、まともなアルバイトは断られ、日雇いの派遣仕事を転々とする。
コンビニで買った海苔弁当を、3食に分けて食べるという28歳の男子。
シャワー代の節約か、匂い消しに、ときおり香水を体に吹き付けるという18歳女子。
ドキュメントは、ネットカフェ難民の惨めさを前面に出すことで、格差社会を浮き彫りにしていたが、好きでやっているという若者の一面を見逃すことはできない。
こうした生活ができるうちは、好きならやってみるのもいい。ネットカフェ難民となって学ぶこともたくさんあるのだから。そして疲れ果てて、やがて“難民”を止めねばならぬ日に・・・
そのとき、どんなスキルが身についているか?
そのとき、周りにどれだけ助けてくれる人がいるか?
それだけは覚悟せねばならぬだろう。
ネットカフェで過ごす若者よ!愛知県に来なさい!
仕事はいくらでもあります!
少しキツイことぐらいは我慢しなさい!
そして深夜、手足を伸ばし安らかに布団で寝てください!
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□2007.03.04 (San) |
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■1対1.6対1.62の原理
先週、現状の製造業での若者の定着率の悪さが製造業崩壊に繋がっている、という“説”を紹介したが、逆に定着率のよさは次のような流れを確実に生む。
「定着率のよさ」→「従業員と経営者との一体感を盛り上げ」→「ヤル気を起こさせ」→「しつけや態度をよくし」→「しかも業績までよくしていく」
それでは社員の定着率を高めるにはどうしたらいいのだろうか?
その手の本には、およそ次のようなことが書かれている。
①社員を信じる
②公開主義に徹する
③お互いに助け合う
④親身になって社員の面倒をみる
⑤何よりも人が宝であり、大事であることを会社の理念にする
お題目のように唱えるだけではどうにもならないが、要は定着率を高め、会社が伸びるために、経営者は社員を大事にし、信じ、きびしく教育しなければならないということである。
そこで一つ、ヒント。1対1.6対1.62の原理を紹介する。
人間は、いやな仕事でも強制されればできるという一面を持っている。
いま仮に、そのときの仕事の効率を1であらわしたとしよう。
ところが、これを強制されるのではなく、自分から納得してやったとすると、そのときの仕事率は1.6くらいになる。さらに、もしその仕事の計画に自分で参加し、納得してやった場合は1.62くらいの効率が上がるという。
人間は、自らを非人間化されたときに最も自意識を傷つけられる。
反対に、心理的に満足したときエネルギーを発揮する。
この点をいかに生かすかが定着率を上げるポイントと思うが、どうだろう?
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□2007.02.24 (Sat) |
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■製造業崩壊!
梅の便りが聞こえる中、昨日は木蓮の花を見た。
まだ花は開いていないが、枝の先にこぶしのような白い花をつけ始めていた。
いつもなら三寒四温の真最中だが、今年はもうすでに春が来ているようだ。
「月間社会保険労務士」(全国社会保険労務士連合会発行)に目を通す。
すると、「製造業崩壊」の文字が目に飛び込んだ。
景気は良いはずで、製造業はバブル景気の時のような賑わいだ。
そんな時期に、「製造業崩壊」とはどんな訳なのだろうか?
読み進めていくと、なるほどと合点がいった。つまりこういうことだ。
現状の労務管理の統計結果を整理すると、次のような問題点が浮かび上がってくる。
① 入社3年以内に離職する人が激増している。
② 安易な転職を繰り返すために、年収のダウンを余儀なくされている人が増えている。
③ 年相応の年収が得られないために結婚が遅れがちで、未婚化が急速に進んでいる。
これは、「下流化現象」を意味しており、現代の若者は「安易な転職」→「年収ダウン」→「未婚化」という悪循環に陥っている。見方を変えれば、彼らを採用する企業にとっても「定着率の悪さ」→「品質悪化」→「生産性ダウン」→「人件費ロスの発生」を引き起こしているのである。
年功序列、終身雇用崩壊など、日本企業の“欧米化”が進む中、確実に企業格差が生ずるのはやむを得ないことだが、社会全体で若者のスキルを上げていく方策が必要ではないか?
そうでなければ、社会そのものが崩れて行ってしまう。
「よい経営環境」づくりが急務であるといえる。
中小企業が結束して、「下流化現象」を食い止める施策をどう打ち出すか。
心の問題としてとらえるのも大切なことである。
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□2007.02.11 (San) |
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■建設業の採用
木曜日、安城市内の建設業者から採用に関する相談。
この手の相談は、聞く前からおおよその察しが付く。
案の定、相談内容は、ハローワークで現場作業者を募集しているが全く応募がない、どうしたらいいかということ。この会社では、現在、ハローワークだけしか募集していない。
景気が上向いてきたせいか、中小企業の採用が困難になっているのは事実だ。
困難でも、企業が製造業ならば派遣という手もあり、労働力は確保できる。
しかし、建設業務は労働者派遣事業の適用除外業務となっていて、業者に頼んで派遣してもらうわけにはいかない。港湾運送業務や警備業務、医療関係の業務もそうだが、要は人命に関わるという理由で、安易な労働力確保を禁止しているのである。
さて、採用できない大きな理由を考えると、「採用に関する考え方」と「求人票の書き方」に弱点があるように思えた。
「採用に関する考え方」とは、我が社の将来を担う人材として投資しようという気持ちである。
その気持ちがあれば、ハローワーク以外の求人媒体も利用するだろうし、自社のホームページからいくらでも触手を延ばすことができる。
また、「求人票の書き方」には、「採用に関する考え方」が端的に表れる。
自社を将来どうしたいのか、社員にどうなって欲しいのか、会社の業績を向上させ、社員を幸せにしたいという気持ちが、文面から伝わらないようでは、求人は困難と言わざるを得ない。
求人票とは、求職者におくる最初のコミュニケーションであり、出会いの第一歩となる。
「うちは、○○を作っている会社です!!こんな思いでモノをつくっていて、こんな夢に向かってやっています。こんな条件でよければぜひ来てください!!一緒に楽しく働きましょう!」
「○○製造のメーカー 製造工程 雇用条件:○○円 残業手当あり・・・・・」
上の2社のどちらを選ぶだろうか?
相手が自分に関心をもってくれそうなメッセージを送らなければ、求人はあり得ないのである!
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□2007.02.03 (Sat) |
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■父の詫び状
昨日夜は、特定社労士研修グループの新年会。
「特定社労士研修グループ」って何?という方のために少し説明します。
昨年6月に第1回紛争解決手続代理業務試験(特定社労士試験)があったのですが、この受験資格を得るために、4月下旬から試験当日まで中央発信講義(30時間)、グループ研修(18時間)、ゼミナール(15時間)を受けたのです。
そのときのグループ研修(9人)の仲間たち7人で、遅い新年会をしたという訳です。
場所は、金山総合駅南にある“素材屋”。金曜の夜ということで芋を洗うごと大繁盛。
仕事、家庭、沖縄旅行などの話に花が咲き、楽しい時間を過ごさせてもらった。
深夜、朝の新聞に目を通していると、「中日春秋」の一文に目が止まった。
酔いも手伝って、向田邦子さんのエピソードに涙が零れた。
父親とはかくあるべきや?
作家の向田邦子さんの父親は保険会社に勤務し、仙台支店長を務めた。
母も父と暮らし、向田さんは東京の祖母宅から学校に通った。
冬を仙台で過ごしたとき。父の客が酔って戻し、玄関を汚した。
朝、母に代わって凍りついたものを掃除したが、家族にこんなことをさせる父や黙って耐える母
に腹が立ったとか。起きてきた父は無言のまま、面倒な掃除が終わるのを見ていたそうだ。
数日後に東京に戻るときも父は駅で「じゃあ」と言っただけ。
ところが祖母宅に父の手紙が届いていた。
巻紙に筆でしっかり勉強をと書き、最後に「此の度(このたび)は格別の御働き」。
その一行だけ朱の傍線があって、向田さんは「父の詫び状だった」と。
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□2007.01.27 (Sat) |
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■メンター
「職場のメンターを探せ」
と、今朝の日経新聞・プラスワンにあった。
「メンター」とは、人間関係やキャリアで悩んだときの助っ人、を意味するようだが、元はギリシャ語で「良き指導者」の意味。大手企業では、若手育成のため人事制度の一環として、メンター制度が取り入れているところが多いようだ。
人も金もない中小企業に、「メンター制度」といっても理解されにくいが、早い話、それぞれの社員が、困ったときに相談できる“職場の師匠”を持つこと。
何でもいい。「残業が多くて自分の時間がつくれない」「どうスキルアップしたらいいか」といった仕事のことでもいいし、家族のこと、恋人のこと、将来のことを打ち明けることができ、親身に相談に乗ってくれる人を探すことだ。
職場にいなければ、社外だっていい。学生の頃の恩師や受講している生涯学習の講師だっていいのだから、信頼できる人はすべてメンターになるのではないか?
メンターを探す際大切なことは、“求めよ、さらば与えられん”。
「こんな話を聞きたい」「こんな人に会いたい」という希望を明確にしなければ、何も得られない。
こんな例が挙げられている。
「右へ90度回ってください。赤いものを見た人は?」と聞くと答えはゼロ。
ところが「赤いものを探しながら回ってください」と指示すると、全員がネクタイやペンなど赤いものを見つけた。
「こんなことで悩んでいる。話をしてくれる人はいないだろうか」と意識して探せば、希望にかなうメンターに出会えるはずなのだ。
人生は長い。たまには、メンター探しの旅に出るのもいい!
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□2007.01.20 (Sat) |
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■新卒者の採用
昨日、㈱樹研工業 社長・松浦元男さんの話を聞いた。
樹研工業は、100万分の1グラムという世界最小の超小型歯車の開発で、今や世界的に有名になったが、人事・労務面でもユニークな取り組みをされている。
その一つが、「先着順採用」。
求人募集を出すや、採用は応募順という画期的(?)なもので、松浦社長いわく
「人材かどうかは一目見て分かるものではない。20年かかって芽がでる者もいる」
肝心なのは「共育(教育)」だと言いたいのだろう。
松浦さんの話はともかく、最近、寄せられる人事・労務相談で多いのが、採用の問題である。
もっとも、中小企業の採用問題は、景気の良し悪しに関わらず、常に俎上に乗る。
人、とりわけ人材の流れは、景気が浮上するとき、小企業から中企業、中企業から大企業へ流れ、景気が後退してくると逆の流れになるから、中小企業にとっては、景気の低迷期の方が人材を採りやすいといえるが、しかしその時期は仕事量も減少してくるので、採りたいが採れないというのが正直なところだ。
景気が浮上してくると、今度は売り手市場になり、大手企業と違って、労働条件の悪い中小企業は採用困難に陥る。それで万年、中小企業は人材に苦労することになるが、泣き言を言っていても始まらないので、ここでは、一般に言われる新卒者の採用についてポイントを整理する。
【採用理念】
経営者が、自社の将来を担う人材として、投資したいという熱い気持ちと当社にお越しいただきたいという謙虚な気持ちを持つこと。
【採用方針】
① 学生に自社の存在を知ってもらう努力をすること。
自社ホームページの採用コンテンツの充実、学校での会社案内、インターンシップの実施。
② 個別会社説明会を開催し、社員の働きぶりを知ってもらい、社長の思いを語ること。
この時いかに学生に感動を与えることができるか。
③ 一人ひとりの学生に時間をかけて、粘り強く語りかけること。
自社の良さを知ってもらい、共に成長したいということを伝える。
当たり前のことのようだが、上の事柄は案外、中小企業ではできていないのが実状である。
理念、方針に沿っていかに本気で取り組むか、その本気さに“人”は動かされるのである!
㈱樹研工業 松浦氏インタビュー http://www.toyohashi-cci.or.jp/joho/200402.html
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□2007.01.14 (San) |
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■仕事とは何か 其の2
寄席芸人伝(小学館発行)を読んでいる。
修業にあけ、修業にくれる寄席の芸人たちのペーソスと涙が、漫画家・古谷三敏の筆で軽快に描かれ、寄席を愛するものとしては、何とも快い。時にノスタルジアさえも感じさせる。
第97話「おめでた小まつ」。
売れない二ツ目の噺家・柳家小まつは、結婚式の司会で糊口をしのいでいる。
未来の名人上手を目指しながら、一時の金を得るために。
一方、食べるために結婚式で歌の伴奏をしている若い女性。
本当はクラッシックをやり、いつかリサイタルを開き、満員の客を魅了しようと夢見ている。
その二人が、新郎の師匠である指物師の祝辞を聞いてはっとする。
「これが恒造が作った火鉢でございます。
これを見て頂ければ、恒造の腕がいいか悪いか、おわかり頂けると思います。
今の世の中、指物なんて仕事で、食っていける世の中じゃありません。
だからみんな、この仕事から離れちまう。離れないまでも、銭が欲しいもんだからアルベェトてんですかい?つまらねえ半端仕事に手を出して腕を下げちまう。
今入るわずかばかりの銭には目もくれねえで、それをこの恒造は食うものも食わずにこの仕事にかけている。こいつはこの道一筋にかけているんでございます」
二人は、結婚式場の仕事を止め、独演会とリサイタル開催を互いに誓い合うのだった。
今日、従兄弟の結婚式があった。
式場のロビーには、グランドピアノが置かれ、若い女性が曲を奏でていた。
「この女性は、この仕事に誇りを持っているのだろうか?」
厳粛にして華麗な音色が次々と流れて行く中で、ふとそんなことを思った。
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□2007.01.07 (San) |
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■仕事とは何か 其の1
明けて7日は、七草粥を食べる日と相場が決まっている。
七草粥を食した日が過去にあったかどうか、近所を散歩しながら考えていた。
遠い記憶は、ますます薄くなるばかりで、いつまでも答えが見つからないままだ。
寒い日は鍋がいいから、今日は七草をふんだんに入れて鍋をつつこうと思うが、自分が炊事をするわけではないので、いつも家人の気の向くまま、足の向くままだ。
そんなことを思いながら歩いていると、おや、蝋梅が早い花を咲かせている。
蝋細工のような黄色の花弁がもう十分開いていて、折からの寒風に揺れている。
この寒波は辛いだろうが、りんと咲いていて欲しい。
温かな正月が過ぎ去り、いよいよ寒波が押し寄せてきたのだろう。
蕾に少し色を覗かせた我が家の椿も、しばし時を待つのだろうか?
今朝、読んでいた本にこんな話が載っていた。
ある日本商館が、ロンドン支店に1人の門衛を雇ったところ、この男がじつに実直な働き者だった。門衛には惜しいというわけで、書記に昇進させて優遇しようとした。
すると以外にも彼は、これを拒んでこう言ったという。
「私に、何か落度があったのか。私は20年間、門衛をやっているが、一度も落度があったとは思わない。それなのに、この20年の経験を無にして、勝手のわからぬ書記になれというのは、私と私の職務に対して耐えがたい侮辱だ」
「仕事とは何か」を考えさせられる話である。
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